第四条 世界貿易機関の構成 |
1 すべての加盟国の代表で構成する閣僚会議を設置するものとし、同会議は、少なくとも二年に一回会合する。閣僚会議は、世界貿易機関の任務を遂行し、そのために必要な措置をとる。閣僚会議は、加盟国から要請がある場合には、意思決定につきこの協定及び関連する多角的貿易協定に特に定めるところに従い、多角的貿易協定に関するすべての事項について決定を行う権限を有する。 |
2 すべての加盟国の代表で構成する一般理事会を設置するものとし、同理事会は、適当な場合に会合する。閣僚会議の会合から会合までの間においては、その任務は、一般理事会が遂行する。一般理事会は、また、この協定によって自己に与えられる任務を遂行する。一般理事会は、その手続規則を定め、及び7に規定する委員会の手続規則を承認する。 |
3 一般理事会は、紛争解決了解に定める紛争解決機関としての任務を遂行するため、適当な場合に会合する。紛争解決機関に、議長を置くことができるものとし、同機関は、その任務を遂行するために必要と認める手続規則を定める。 |
4 一般理事会は、貿易政策検討制度に定める貿易政策機関としての任務を遂行するため、適当な場合に会合する。貿易政策検討機関に、議長を置くことができるものとし、同機関は、その任務を遂行するために必要と認める手続規則を定める。 |
5 物品の貿易に関する理事会、サービスの貿易に関する理事会及び知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会(以下「貿易関連知的所有権理事会」という。)を設置するものとし、これらの理事会は、一般理事会の一般的な指針に基づいて活動する。物品の貿易に関する理事会は、附属書一Aの多角的貿易協定の実施に関することをつかさどる。サービスの貿易に関する理事会は、サービスの貿易に関する一般協定(以下「サービス貿易一般協定」という。)の実施に関することをつかさどる。貿易関連知的所有権理事会は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(以下「貿易関連知的所有権協定」という。)の実施に関することをつかさどる。これらの理事会は、それぞれの協定及び一般理事会によって与えられる任務を遂行する。これらの理事会は、一般理事会の承認を条件として、それぞれの手続規則を定める。これらの理事会の構成員の地位は、すべての加盟国の代表に開放する。これらの理事会は、その任務を遂行するため、必要に応じて会合する。 |
6 物品の貿易に関する理事会、サービスの貿易に関する理事会及び貿易関連知的所有権理事会は、必要に応じて補助機関を設置する。これらの補助機関は、それぞれの理事会の承認を条件として、それぞれの手続規則を定める。 |
7 閣僚会議は、貿易及び開発に関する委員会、国際収支上の目的のための制限に関する委員会及び予算、財政及び運営に関する委員会を設置する。これらの委員会は、この協定及び多角的貿易協定によって与えられる任務並びに一般理事会によって与えられる追加的な任務を遂行する。また、閣僚会議は、適当と認める任務を有する追加的な委員会を設置することができる。貿易及び開発に関する委員会は、その任務の一部として、定期的に、多角的貿易協定の後発開発途上加盟国のための特別な規定を検討し、適当な措置について一般理事会に報告する。これらの委員会の構成員の地位は、すべての加盟国の代表に開放する。 |
8 複数国間貿易協定に定める機関は、これらの協定によって与えられる任務を遂行するものとし、世界貿易機関の制度上の枠組みの中で活動する。これらの機関は、その活動について一般理事会に定期的に通報する。 |
2 閣僚会議及び一般理事会は、この協定及び多角的貿易協定の解釈を採択する排他的権限を有する。附属書一の多角的貿易協定の解釈については、閣僚会議及び一般理事会は、当該協定の実施に関することをつかさどる理事会の勧告に基づいてその権限を行使する。解釈を採択する決定は、加盟国の四分の三以上の多数による議決で行う。この2の規定は、改正に関する次条の規定を害するように用いてはならない。 |
3 閣僚会議は、例外的な場合には、この協定又はいずれかの多角的貿易協定によって加盟国に課される義務を免除することを決定することができる。その決定は、この3に別段の定めがない限り、加盟国の四分の三(注)による議決で行う。 |
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(a) |
この協定に関する免除の要請は、審議(コンセンサス方式による意思決定の慣行に従う。)のため、閣僚会議に提出される。閣僚会議は、その要請を審議するために、九十日を超えない範囲でその期間を定める。その期間内にコンセンサスに達しない場合には、免除の決定は、加盟国の四分の三(注)による議決で行う。 |
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(b) |
附属書一A、附属書一B又は附属書一Cの多角的貿易協定及びこれらの協定の附属書に関する免除の要請は、審議(その期間は、九十日を超えないものとする。)のため、まず、物品の貿易に関する理事会、サービスの貿易に関する理事会又は貿易関連知的所有権理事会にそれぞれ提出する。当該理事会は、審議の期間の終了に当たって、閣僚会議に報告を提出する。
(注)経過期間又は段階的な実施のための期間が設けられている義務であって、その免除を要する加盟国が当該期間の終了までに履行しなかったものに関する免除の決定は、コンセンサス方式によってのみ行う。
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4 閣僚会議による免除の決定には、その決定を正当化する例外的な事情、免除の適用に関する条件及び免除が終了する日を示すものとする。免除の期間が一年を超える場合には、当該免除の開始後一年以内に、及びその後は当該免除が終了するまで毎年、閣僚会議の審査を受ける。閣僚会議は、審査において、免除を正当化する例外的な事情が引き続き存在するかしないか及び免除に付された条件が満たされているかいないかを検討する。閣僚会議は、毎年の審査に基づき、免除を延長し、変更し又は終了させることができる。 |
5 複数国間貿易協定に関する決定(解釈及び免除に関する決定を含む。)については、当該協定の定めるところによる。 |
第十条 改正 |
1 世界貿易機関の加盟国は、この協定又は附属書一の多角的貿易協定を改正する提案を、閣僚会議に提出することによって行うことができる。第四条5に規定する理事会も、自己が実施に関することをつかさどる附属書一の多角的貿易協定を改正する提案を閣僚会議に提出することができる。改正案を加盟国に対し受諾のために送付することについての閣僚会議の決定は、同会議が一層長い期間を定めない限り、提案が正式に同会議に提出された後九十日の間にコンセンサス方式によって行う。2、5又は6の規定が適用される場合を除くほか、当該決定には、3又は4のいずれの規定が適用されるかを明示するものとする。コンセンサスに達した場合には、閣僚会議は、直ちに改正案を加盟国に対し受諾のために送付する。定められた期間内にコンセンサスに達しない場合には、閣僚会議は、加盟国の三分の二以上の多数による議決で、改正案を加盟国に対し受諾のために送付するかしないかを決定する。2、5又は6の規定が適用される場合を除くほか、3の規定が改正案について適用される。ただし、閣僚会議が加盟国の四分の三以上の多数による議決で4の規定が適用されると決定する場合は、この限りでない。 |
2 この条及び次に掲げる規定の改正は、すべての加盟国が受諾した時に効力を生ずる。
・この協定の第九条
・千九百九十四年のガットの第一条及び第二条
・サービス貿易一般協定第二条1
・貿易関連知的所有権協定第四条
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3 この協定又は附属書一A及び附属書一Cの多角的貿易協定の改正(2及び6に掲げる規定の改正を除く。)であって、加盟国の権利及び義務を変更する性質のものは、加盟国の三分の二が受諾した時に当該改正を受諾した加盟国について効力を生じ、その後は、その他の各加盟国について、それぞれによる受諾の時に効力を生ずる。閣僚会議は、加盟国の四分の三以上の多数による議決で、この3の規定に基づいて効力を生じた改正が、それぞれの場合について閣僚会議の定める期間内に当該改正を受諾しなかった加盟国が世界貿易機関から脱退し又は閣僚会議の同意を得て加盟国としてとどまり得る性質のものである旨を決定することができる。 |
4 この協定又は附属書一A及び附属書一Cの多角的貿易協定の改正(2及び6に掲げる規定の改正を除く。)であって、加盟国の権利及び義務を変更しない性質のものは、加盟国の三分の二が受諾した時にすべての加盟国について効力を生ずる。 |
5 2の規定が適用される場合を除くほか、サービス貿易一般協定の第一部から第三部までの規定及び同協定の各附属書の改正は、加盟国の三分の二が受諾した時に当該改正を受諾した加盟国について効力を生じ、その後は、その他の加盟国について、それぞれによる受諾の時に効力を生ずる。閣僚会議は、加盟国の四分の三以上の多数による議決で、前段の規定に基づいて効力を生じた改正が、それぞれの場合について閣僚会議の定める期間内に当該改正を受諾しなかった加盟国が世界貿易機関から脱退し又は閣僚会議の同意を得て加盟国としてとどまり得る性質のものである旨を決定することができる。サービス貿易一般協定の第四部から第六部までの規定及び同協定の各附属書の改正は、加盟国の三分の二が受諾した時にすべての加盟国について効力を生ずる。 |
6 この条の他の規定にかかわらず、貿易関連知的所有権協定の改正であって同協定第七十一条2の要件を満たすものは、閣僚会議が採択することができるものとし、その後の正式な受諾の手続を要しない。 |
7 この協定又は附属書一の多角的貿易協定の改正を受諾する加盟国は、閣僚会議が定める受諾の期間内に受諾書を世界貿易機関事務局長に寄託する。 |
8 世界貿易機関の加盟国は、附属書二及び附属書三の多角的貿易協定を改正する提案を、閣僚会議に提出することによって行うことができる。附属書二の多角的貿易協定の改正を承認する決定は、コンセンサス方式によって行うものとし、当該改正は、閣僚会議が承認した時にすべての加盟国について効力を生ずる。附属書三の多角的貿易協定の改正を承認する決定は、閣僚会議が承認した時にすべての加盟国について効力を生ずる。 |
9 閣僚会議は、いずれかの貿易協定の締約国である加盟国の要請に基づき、当該協定を附属書四に追加することをコンセンサス方式によってのみ決定することができる。閣僚会議は、いずれかの複数国間貿易協定の締約国である加盟国の要請に基づき、当該協定を附属書四から削除することを決定することができる。 |
10 複数国間貿易協定の改正については、当該協定の定めるところによる。 |