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    第7章-著作権局


    第701条 著作権局:一般的任務および組織

    (a) 本編に基づくすべての管理機能および義務は、特段の定めある場合を除き、連邦議会図書館著作権局の長たる著作権局長の責任とする。著作権局長ならびに著作権局の下位公務員および職員は、連邦議会図書館長が任命し、その指示および監督に従って行為する。

    (b) 著作権局長は、本章の他の箇所に定める機能および義務に加え、以下の機能を遂行する。

      (1) 著作権、本編に基づき生ずるその他の事項および関連する事項に関する国内的および国際的問題について、連邦議会に助言すること。

      (2) 著作権、本編に基づき生ずるその他の事項および関連する事項に関する国内的および国際的問題について、連邦省庁および司法府に対して情報提供および支援を行うこと。

      (3) 著作権、本編に基づき生ずるその他の事項および関連する事項に関し、国際的な政府間機構の会合および外国政府官僚との会合に出席する(行政府当局の許可を得て合衆国代表団の一員として参加する場合を含む)こと。

      (4) 著作権、本編に基づき生ずるその他の事項および関連する事項、著作権局の運営、または法により著作権局に与えられた機能に関して、研究およびプログラム(外国の知的財産権担当官庁および国際的な政府間機構と共同で行う教育的プログラムを含む)を実施すること。

      (5) その他、連邦議会が指示する機能または本編に特に定める機能および義務の遂行にあたって適切な機能を実施すること。

    (c) 著作権局長は、著作権局が交付する認証付書面を証するために1978年1月1日以後に使用する印章を定めなければならない。

    (d) 著作権局長は、前会計年度中の業務および成果について、連邦議会図書館長に対する年次報告書を作成しなければならない。著作権局長の年次報告書は、連邦議会図書館長の年次報告書とは別個にかつその一部として発行されるものとする。

    (e) 第706条(b)およびこれに基づき公布される規則に規定する場合を除き、著作権局長が本編に基づき行う処分は、修正を含む1946年6月11日の行政手続法(c. 324, 60 Stat. 237、合衆国法典第5編第5章第2部および第7章)の規定に服する。

    (f) 著作権局長は、第5編第5314条に基づく幹部職一覧表レベルⅢにつき現行の支給率または同編第5307条(d)に基づいて認証された業績評価制度を持つ機関の役職に対して同編第5376条に基づいて支払われる本給の最高年額支給率のいずれか高い方に基づく報酬を受ける。連邦議会図書館長は、著作権局長の勧告に従い、4名以内の著作権局長補の職を置くものとする。連邦議会図書館長は、著作権局長との協議を経て、著作権局長補を任命する。各著作権局長補に対する基本給の支給率は、第5編第5376条に従って決定される。


    第702条 著作権局規則

    著作権局長は、本編に基づきその責務とされた機能および義務の遂行につき、法に反しない規則を定める権限を有する。本編に基づき著作権局長が定める規則は、連邦議会図書館長の承認を要する。


    第703条 著作権局の処分の発効日

    著作権局の処分の実行につき本編が期限を定めており、かつ、当該期間の最終日が土曜日、日曜日、祝日またはコロンビア特別区もしくは連邦政府の非執務日となる場合、当該処分は、翌執務日に行うことができ、当該期間満了日に効力を生じるものとする。


    第704条 著作権局に納付された物品の保管および処分

    (a) コピー、レコードおよび識別資料(登録が拒絶された主張に関して納付されたものを含む)は、第407条および第408 条に基づく納付の後、すべて合衆国政府の財産となる。

    (b) 発行著作物の場合、納付されたすべてのコピー、レコードおよび識別資料は、連邦議会図書館の収蔵物のために、または他の図書館に対する交換もしくは譲渡のために提供されるものとする。未発行著作物の場合、連邦議会図書館は、著作権局長が定める規則に基づき、その収蔵物に加えるため、または第44編第2901条に定義する合衆国国立資料館もしくは連邦記録センターに譲渡するために、納付物を選択することができる。

    (c) 著作権局長は、特定の分類または一般的な分類の著作物につき、第408条に基づき納付された資料の全部または一部を原本どおり複製し、また、第(b)項に定める連邦議会図書館への移管前または第(d)項に定める資料の廃棄その他の処分前に、かかる複製物を登録に関する著作権局の記録の一部とする権限を有する。

    (d) 第(b)項に基づき連邦議会図書館が選択しなかった納付物またはその識別用部分もしくは複製は、著作権局長および連邦議会図書館長が実際的かつ望ましいと判断する最長の期間、著作権局の管理の下に保管される(政府保管施設での保管を含む)。かかる期間満了後、著作権局長および連邦議会図書館長は、その共同の裁量により、廃棄その他の処分を命じることができる。ただし、未発行著作物の場合、第(c)項に規定するとおり納付物全体の複製が著作権局の記録の一部とされなければ、納付物を故意にまたは意図的に廃棄しその他処分してはならない。

    (e) 第408条に基づきコピー、レコードもしくは識別資料を納付した者、または記録上の著作権者は、著作物に対する著作権の保護期間中、上記の物品を著作権局の管理の下に保管させることを要求することができる。著作権局長はかかる要求を行いかつ認めるための手続を規則により定めるものとし、また、要求が認められた場合に第708条(a)に基づき課せられる手数料を定めるものとする。


    第705条 著作権局の記録:作成、保存、公の閲覧および調査

    (a) 著作権局長は、すべての納付、著作権登録、譲渡証書登録その他本編に基づき行われる処分の記録を作成しかつ著作権局に保管し、また、かかる記録の索引を作成しなければならない。

    (b) 第(a)項に定める記録および索引は、完了した著作権登録に関連して納付され著作権局の管理の下に保管される物品と共に、公の閲覧に供されなければならない。

    (c) 著作権局に対する要求および第708条に定める手数料の支払があれば、著作権局は、その公式記録、索引および納付物の調査を行い、特定の納付物、登録または登記された文書に関して開示する情報の報告書を作成しなければならない。


    第706条 著作権局の記録の謄本

    (a) 著作権局の公式記録または索引の謄本を作成することができる。著作権登録証明書および公式記録または索引の謄本は、要求および第708条に定める手数料の支払があった場合に提供することができる。

    (b) 著作権局の管理の下に保管される納付物品のコピーまたは複製物は、著作権局規則に定める条件に基づいてのみ作成しまたは提供することができる。


    第707条 著作権局の書式および発行物

    (a) 著作権登録事項の便覧-著作権局長は、すべての著作権登録の便覧を定期的に編集し発行しなければならない。かかる便覧は、著作物の分類に従って区分されるものとし、著作権局長は、実行可能性および有用性を根拠に、各区分の公表の書式および頻度を決定する裁量権を有する。

    (b) その他の発行物-著作権局長は、著作権登録申請書および著作権局の機能に関する一般的情報資料を、要求があれば無料で提供しなければならない。著作権局長はまた、情報、資料目録および著作権局長が公衆にとって価値あるものと判断するその他の資料の編集物を公表する権限を有する。

    (c) 発行物の頒布-著作権局のすべての発行物は、第44編第1905条に定める寄託物図書館に提供され、また、無料で提供されるものとは別に、複製および頒布の費用に基づく価格にて公衆に販売されなければならない。


    第708条 著作権局の手数料

    (a) 手数料-以下について、手数料を著作権局長に支払わなければならない。

      (1) 第408条に基づく著作権主張の登録または補完的登録の申請書(登録がなされた場合の登録証明書の交付申請を含む)の提出。

      (2) 第304条(a)に基づく既存の著作権の更新請求の登録の申請書(登録がなされた場合の登録証明書の交付申請を含む)の提出。

      (3) 第407条に基づく納付物に関する受領書の交付。

      (4) 第205条に基づく著作権譲渡その他の文書の登録。

      (5) 第115条(b)に基づく強制使用許諾を受ける意思の通知の提出。

      (6) 第302条(c)に基づく無名著作物もしくは変名著作物の著作者の身元を明らかにする文書の登録、または第302条(d)に基づく著作者の死亡に関する文書の登録。

      (7) 第706条に基づく追加の登録証明書の交付。

      (8) その他の証明書の交付。

      (9) 第705条に定める調査の実行および報告その他のサービス。

      (10) 第119条または第122条に基づく一次送信の二次送信の明細書の提出。

      (11) 第111条に基づく一次送信の二次送信の明細書の提出。 著作権局長は、その他のサービスに対する手数料をサービス提供の費用に基づいて定める権限を有する。当該手数料には、著作権局の記録の写しを作成する場合(認証の有無を問わない)の費用を含む。第(10)節および第(11)節に基づき設定された手数料は、合理的なものでなければならず、また著作権局が明細書および当該明細書と共に納付された使用料を徴収および管理するために発生した合理的な費用を賄うための必要なコストの半額を超えてはならない。

    (b) 手数料の調整-著作権局長は、規則をもって、第(a)項(1)から(9)に定める手数料を、以下の方法で調整することができる。

      (1) 著作権局長は、申立の登録、譲渡証書の登録および業務の提供につき著作権局に生じた費用の調査を行わなければならない。かかる調査はまた、手数料調整の時期および予算に従い手数料を使用する権限につき検討しなければならない。

      (2) 著作権局長は、第(1)節に定める調査に基づき、かつ、第(5)節の規定を条件として、手数料を、第(1)節に定める業務につき著作権局に生じた費用を賄うに必要な程度を超えない額に物価上昇により予測される費用の増加を考慮した修正額を加えたものに、調整することができる。

      (3) 第(2)節に基づき設定された手数料は、1ドル以下を切り捨て、また、12ドル未満の手数料については、50セント以下を切り捨てるものとする。

      (4) 本項に基づき設定された手数料は、公平かつ公正でなければならず、また、著作権制度の目的を十分に配慮したものでなければならない。

      (5) 著作権局長は、第(2)節に基づき手数料を調整すべきと判断した場合、手数料一覧表案を作成し、経済的分析を添えて連邦議会に提出しなければならない。著作権局長が提案した手数料は、手数料一覧表が連邦議会に提出されてから120 日後に制定されるが、当該120日間に連邦議会が手数料一覧表を承認しない旨の法律が制定された場合はこの限りでない。

    (c) 本条が定める手数料または本条に基づき設定される手数料は、合衆国政府およびその機関、職員または公務員に適用されるが、比較的少額の臨時または単独の手数料の場合には、著作権局長は、本項の要件を免除する裁量権を有する。

    (d) (1) 第(2)節に定める場合を除き、本条に基づき受領するすべての手数料は、著作権局長がこれを合衆国財務省に預金し、著作権局の必要経費に割り当てるものとする。上記のとおり集金された手数料は、使用しきるまで引き出し可能なものとする。著作権局長は、その定める規則に従って、錯誤により支払われた金額または本条に基づき要する費用を超えて支払われた金額を返還することができる。

      (2) 将来の業務につき納付された手数料の場合、著作権局長は、手数料のうち現在の納付金口座の要件を満たす必要がないと著作権局長が判断する部分について、合衆国財務省の利子付証券に投資するよう、財務長官に要求しなければならない。上記手数料の部分に含まれる資金は、現在の納付金口座の要件を満たす必要があると判断された場合には、著作権局がいつでも引き出すことのできる証券に投資されなければならない。上記の投資は、合衆国が負担する既存の取引可能な債務で同時期の満期を有するものの現在の市場価値を考慮し、著作権局の必要に合致する満期を有すると著作権局長が判断する公債であって、財務長官が定める率の利息を生じるものに対して行われなければならない。

      (3) 上記の投資による収入は、合衆国財務省に預金され、著作権局の必要経費への割当金に充当されなければならない。


    第709条 郵便その他の業務の中断による配達の遅延

    著作権局長がその規則により要求する証拠を根拠として、郵便その他の運輸または通信業務の全般的な中断または停止がなければ著作権局が納付物、申請書、手数料その他一定の期日までに著作権局に送付されるべき物品を適切な時期に受領していたであろうと判断する場合、上記業務の中断または停止が解除されたと著作権局長が判断する日から1ヶ月以内に著作権局が当該物品を現実に受領すれば、期限までに行われたものとみなす。

    第710条 緊急事態救済権限

    (a) 緊急事態行為-2021年12月31日以降において国家緊急事態法(合衆国法典第50編第1601条以下)に基づいて大統領が宣言した国家緊急事態が本編に基づく著作権制度またはその一部の通常の機能を妨げまたは停止させると判断した場合には、著作権局長は、期間の定めのある規定(第(c)項に定める場合を除いて期限または有効期間を含む)または本編もしくは連邦規則集第37編第II章もしくは第III章に含まれる手続規定を、著作権局長が国家緊急事態によって生ずる障害の影響を緩和するのに必要と判断する期間に限って、一時的に、停止、放棄し、調整しまたは変更することができる。この行為に当たっては、著作権局長は特定の国家緊急事態の範囲および重大性ならびに当該規定に関する具体的影響を考慮し、それに従った救済措置を執らなければならない。

    (b) 通知および効力-第(a)項に従って国家緊急事態に対応して著作権局長の執った行為は、第701条(e)または合衆国法典第5編第5章IIおよび合衆国法典第5編第7章の適用を受ける。第(a)項に基づき国家緊急事態に対応して著作権局長の執った行為の詳細を一般公衆へ伝える通知を与えることは、当該行為を発効させるのに十分である。著作権局長は、当該行為を、著作権局長が公衆の緊急事態の時期、範囲および性質の基づいて適切と判断した特定の規定に関して将来および過去に遡って効力を生じさせることができるが、第(a)項に記載する宣言前において未経過の期限についてのみ過去の遡ることができる。

    (c) 必要な声明文-第(d)項に定める場合を除いて、累計で120日以上変更を加えた規定を生ずる行為を執ったときはその後20日以内に、著作権局長は、連邦議会に、執った行為、関連する背景事情および当該行為の合理性を詳細に記載する文書を提出しなければならない。

    (d) 例外-第(a)項に基づく行為を取る著作権局長の権限は、特定の期間内に連邦裁判所に対して訴訟または手続を開始することを求める本編に基づく規定に及ぶものではない。ただし、著作権局長が第115条(e)(15)に定義する使用許諾利用可能日を調整する場合、調整された使用許諾利用可能日から計算して第115条(d)(10)(C)(i)または第115条(d)(10)(C)(ii)に記載する期間内に当該訴訟が提起されたときは、当該調整は、2018年1月1日以降に生じた対象行為によってデジタル音楽プロバイダが音楽著作物の無許諾で複製または頒布したことを理由として、当該デジタル音楽プロバイダに対して、第106条(1)および(3)に規定する排他的権利の侵害に対する請求を求める訴訟を開始する権能に影響を与えるものではない。著作権局長が使用許諾利用可能日を調節する場合には、著作権局長は、公衆への通知と同時に、第(c)項に基づいてなぜ当該調整が必要であるかの理由の詳細な説明を伴う文書を連邦議会に提出しなければならない。

    (e) 著作権期間の例外-第(a)項に基づく行為を執る著作権局長の権限は、第3章に基づく規定(第304条(c)を除く)または第1401条(a)(2)には及ばない。

    (f) 他の法律-国家緊急事態法第301条(合衆国法典第50編第1631条)にかかわらず、第(a)項に基づく著作権局長の権限は、同条または同法に基づく他の要件に基づいて大統領が定める要件(同法第201条(a) (合衆国法典第50編第1621条(a))に基づく緊急事態宣言を除く)に従属するものではない。本条に記載する権限は、国家緊急事態法(合衆国法典第50編第1601条以下)第II編の権限に優先する。




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