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    第IX編 言語、 演劇、 音楽または美術著作物および映画フィルムの著作者の人格権

    第1節 総則

    第189条 定義

    本編において、 別段の意図がみられない限りは、

    虚偽氏名表示行為 とは、 第195AC条(2)に定める意味を有する。

    美術著作物 とは、 著作権が存続する美術著作物を意味する。

    要表示行為 とは、 第193条(2)に定める意味を有する。

    表示者 とは、 第195AC条(2)に定める意味を有する。

    著作者 とは、 映画フィルムに関しては、 当該フィルムの作成者を意味する。

    映画フィルム とは、 著作権が存続する映画フィルムの最終決定版を意味する。

    取引を行う とは、 販売し、 賃貸し、 販売もしくは賃貸のために業として提供もしくは提示し、 公に展示しまたは頒布することを意味し、 第3節においては出版することを含む。

    侮辱的行為 とは、 第4節に定める意味を有する。

    監督 とは、 映画フィルムに関しては、 第191条に定める意味を有する。

    演劇著作物 とは、 著作権が存続する演劇著作物を意味する。

    侵害物品 とは、

      (a) 他の素材を掲載しもしくは含むか否かを問わず、 言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物もしくは映画フィルムを収録した物品、

    (b) 言語、 演劇もしくは音楽著作物の複製物または翻案物、

    (c) 美術著作物の複製物、 または

    (d) 映画フィルムのコピー

    であって、 当該著作物またはフィルムの重大な歪曲もしくは改変または切除を伴わない侮辱的行為以外の行為により著作者の著作者人格権が侵害されたものを意味する。

    言語著作物 とは、 著作権が存続する言語著作物を意味する。

    作成者 とは、 映画フィルムに関しては、 当該フィルムの監督、 当該フィルムの制作者および当該フィルムの脚本家を意味する。

    著作者人格権 とは、 以下を意味する。

      (a) 氏名表示権、

    (b) 虚偽氏名不表示権、 または

    (c) 同一性保持権。

    音楽著作物 とは、 著作権が存続する音楽著作物を意味する。

    名称 とは、 第3節においては、 変名、 頭文字または組合せ文字を含む。

    著作者の代理人 とは、 著作物に関する著作者の著作者人格権の侵害可能性に関しては、 第195AN条(1)または(2)に基づき、 当該著作者人格権を行使し執行することができる者を意味する。

    制作者 とは、 映画フィルムに関しては、 第191条に定める意味を有する。

    氏名表示権 とは、 第2節に定める意味を有する。

    同一性保持権 とは、 第4節に定める意味を有する。

    虚偽氏名不表示権 とは、 第3節に定める意味を有する。

    脚本家 とは、 映画フィルムに関しては、 第191条により定義が影響される、フィルムの脚本または台本を書いた者を意味する。

    著作物 とは、 言語著作物、 演劇著作物、 音楽著作物、 美術著作物または映画フィルムを意味する。

    第190条 著作者人格権の個人への帰属

    著作者人格権は、 個人のみが保有する。

    第191条 映画フィルムの監督、 制作者および脚本家

    (1) 本編において、 複数の個人が監督に携わった映画フィルムの監督は、 当該フィルムの主監督をいい、 副監督、 監督補佐、 助監督またはその他の名称を問わず従たる監督を含まない。

    (2) 本編において、 映画フィルムの制作者とは、

      (a) 当該フィルムの制作者であった個人、 または

    (b) 複数の個人が当該フィルムの制作に携わった場合――当該フィルムの主制作者であった者

    をいい、 制作責任者、 副制作者、 制作者補佐、 助制作者またはその他の名称を問わず従たる制作者を含まない。

    (3) 個人のみが著作者人格権を保有するため(第190条を参照)、映画フィルムの制作者が法人である場合には、 当該フィルムに関する著作者人格権は、 その監督および脚本家の著作者人格権のみとする。

    (4) 本編において、 複数の個人が脚本または台本の執筆に携わった映画フィルムの脚本家は、 当該フィルムの主脚本家をいう。

      注: 映画フィルムに関して複数の主監督、 主制作者であった複数の者、 または複数の主脚本家が存在した場合には、 第195AZJ条、 第195AZK条または第195AZL条を適用する。

    第192条 他の権利に追加して認められる権利

    著作物の著作者が有する著作者人格権は、 当該著作物に関して当該著作者またはその他の者が本法に基づき有する権利に加えて認められる。


    第2節 氏名表示権

    第193条 著作者の氏名表示権

    (1) 著作物の著作者は、 当該著作物に関して氏名表示権を有する。

    (2) 著作者の権利は、 第194条に定める行為 (要表示行為 ) が当該著作物に関して行われた場合に、 本節に従って当該著作物の著作者として特定される権利をいう。

    第194条 氏名表示権を生じさせる行為

    (1) 著作物が言語、 演劇または音楽著作物である場合、 要表示行為 とは、 以下をいう。

      (a) 当該著作物を有形的形式で複製すること。

    (b) 当該著作物を公表すること。

    (c) 当該著作物を公に実演すること。

    (d) 当該著作物を公に送信すること。

    (e) 当該著作物の翻案物を作成すること。

    (2) 著作物が美術著作物である場合、 要表示行為 とは、 以下をいう。

      (a) 当該著作物を有形的形式で複製すること。

    (b) 当該著作物を公表すること。

    (c) 当該著作物を公に展示すること。

    (d) 当該著作物を公に送信すること。

    (3) 著作物が映画フィルムである場合、 要表示行為 とは、 以下をいう。

      (a) 当該フィルムのコピーを作成すること。

    (b) 当該フィルムを公に展示すること。

    (c) 当該フィルムを公に送信すること。

    第195条 著作者の特定の性質

    (1) 第(2)項に従い、 著作物の著作者は、 合理的な特定形式にて特定することができる。

    (2) もし、

      (a) 著作物の著作者が、 一般的にまたは本編に基づき著作者を特定することを義務付けられた者に対して、 特定の方法で特定されることを望むことを知らせ、 かつ

    (b) 当該著作者の特定方法が、 当該状況において合理的な方法である場合には、

    当該著作者の特定は、 当該方法にて行われなければならない。

    第195AA条 著作者の特定の明確性および合理的顕著性

    著作物の著作者の特定は、 明確かつ合理的に顕著でなければならない。

    第195AB条 合理的に顕著な特定となるもの

    言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物が有形的形式にて複製され、 言語、 演劇もしくは音楽著作物の翻案物が作成され、 または映画フィルムのコピーが作成された場合には、 著作者の特定は、 当該著作物の複製物もしくは翻案物または当該フィルムのコピーの各々に、 当該複製物またはコピーを取得した者がその著作者の身元を知ることができる方法にて行われた場合には、 合理的に顕著なものとみなす。


    第3節 虚偽氏名不表示権

    第195AC条 著作者の虚偽氏名不表示権

    (1) 著作物の著作者は、 当該著作物に関して虚偽氏名不表示権を有する。

    (2) 著作者の権利は、 著作物に関して、 本節の次条以下に定める行為 (虚偽氏名表示行為 ) をある者 (表示者 ) に行わせない権利をいう。

    第195AD条 言語、 演劇または音楽著作物に関する虚偽氏名表示行為

    著作物が言語、 演劇または音楽著作物である場合には、 以下を行うことは、 当該著作物の著作者に関する虚偽氏名表示行為となる。

      (a) 当該著作物またはその複製物に、 以下の方法である者の氏名を挿入もしくは貼付し、 または挿入もしくは貼付することを許可すること。

      (i) 当該者が当該著作物の著作者であることを虚偽に暗示する方法、 または

    (ii) 当該著作物が当該者の著作物の翻案物であることを虚偽に暗示する方法。

    (b) 当該者が当該著作物の著作者でないことまたは当該著作物が当該者の著作物の翻案物でないことを表示者が知る場合に、 当該者の氏名を挿入または貼付した著作物の取引を行うこと。

    (c) 当該者が当該著作物の著作者でないことまたは当該著作物が当該者の著作物の翻案物でないことを表示者が知る場合に、 当該者の氏名を挿入または貼付した著作物の複製物の取引を行うこと。

    (d) 当該者が当該著作物の著作者でないことまたは当該著作物が当該者の著作物の翻案物でないことを表示者が知る場合に、 当該者が著作者でありまたは当該著作物が当該者の著作物の翻案物であるとして、 当該著作物を公に実演しまたは公に送信すること。

    第195AE条 美術著作物に関する虚偽氏名表示行為

    (1) 本条は、 著作物が美術著作物である場合に適用する。

    (2) 以下を行うことは、 当該著作物の著作者に関する虚偽氏名表示行為となる。

      (a) 当該者が当該著作物の著作者であることを虚偽に暗示する方法で、 ある者の氏名を当該著作物またはその複製物に挿入もしくは貼付しまたは挿入もしくは貼付することを許可し、 または当該著作物もしくはその複製物に関して当該者の氏名を使用しもしくは使用することを許可すること。

    (b) 当該者が当該著作物の著作者でないことを表示者が知る場合に、 当該者の氏名を挿入または貼付した著作物の取引を行うこと。

    (c) 当該者が当該著作物の著作者でないことを表示者が知る場合に、 当該者の氏名を挿入または貼付した著作物の複製物の取引を行うこと。

    (d) 当該者が当該著作物の著作者でないことを表示者が知る場合に、 当該者が著作者であるとして、 当該著作物を公に送信すること。

    第195AF条 映画フィルムに関する虚偽氏名表示行為

    (1) 本条は、 著作物が映画フィルムである場合に適用する。

    (2) 以下を行うことは、 当該フィルムの監督、 制作者または脚本家に関する虚偽氏名表示行為となる。

      (a) 当該者が当該フィルムの監督、 制作者または脚本家であることを虚偽に暗示する方法で、 ある者の氏名を当該フィルムまたはそのコピーに挿入もしくは貼付しまたは挿入もしくは貼付することを許可すること。

    (b) 当該者が当該フィルムの監督、 制作者または脚本家でないことを表示者が知る場合に、 当該者の氏名を挿入または貼付したフィルムまたはそのコピーの取引を行うこと。

    (c) 当該者が当該フィルムの監督、 制作者または脚本家でないことを表示者が知る場合に、 当該者が監督、 制作者または脚本家であるとして、 当該フィルムを公に送信すること。

    第195AG条 改変された言語、 演劇、 音楽または美術著作物に関する虚偽氏名表示行為

    (1) 著作物が当該著作物の著作者以外の者により改変された言語、 演劇、 音楽または美術著作物である場合には、

      (a) 改変された著作物を、 当該著作者の改変されていない著作物として取引すること、 または

    (b) 改変された著作物の複製物を、 当該著作者の改変されていない著作物の複製物として取引すること

    を行うことは、 当該著作者の改変されていない著作物またはその複製物でないことを表示者が知るときは、 当該著作物の著作者に関する虚偽氏名表示行為となる。

    (2) 第(1)項は、 以下の場合には適用しない。

      (a) 改変の効果が些細なものであり、 または

    (b) 改変を行うことが、 法律に基づき義務付けられもしくは法律の違反を防止するために必要である場合。

    第195AH条 改変された映画フィルムに関する虚偽氏名表示行為

    (1) 著作物が映画フィルムであって、 当該フィルムがその作成者以外の者により改変された場合には、 改変されたフィルムのコピーを、 当該作成者の改変されていないフィルムのコピーとして取引することは、 当該フィルムのコピーが当該作成者の改変されていないフィルムのコピーでないことを表示者が知るときは、 当該フィルムの作成者に関する虚偽氏名表示行為となる。

    (2) 第(1)項は、 以下の場合には適用しない。

      (a) 改変の効果が些細なものであり、 または

    (b) 改変を行うことが、 法律に基づき義務付けられもしくは法律の違反を防止するために必要である場合。


    第4節 著作物に対する同一性保持権

    第195AI条 著作者の同一性保持権

    (1) 著作物の著作者は、 当該著作物に関して同一性保持権を有する。

    (2) 著作者の権利は、 当該著作物に関して侮辱的行為をさせない権利をいう。

    第195AJ条 言語、 演劇または音楽著作物に関する侮辱的行為

    本編において、

    侮辱的行為 とは、 言語、 演劇または音楽著作物に関しては、 以下を意味する。

      (a) 著作物に関して、 著作者の名誉または声望を害する著作物への重大な歪曲、 切除または重大な改変をもたらす行為を行うこと。

    (b) 著作物に関して、 著作者の名誉または声望を害するその他の行為を行うこと。

    第195AK条 美術著作物に関する侮辱的行為

    本編において、

    侮辱的行為 とは、 美術著作物に関しては、 以下を意味する。

      (a) 著作物に関して、 著作者の名誉または声望を害する著作物への重大な歪曲、 切除または重大な改変をもたらす行為を行うこと。

    (b) 著作物に関して、 展示が行われる方法または場所により、 著作者の名誉または声望を害する公の展示を行うこと。

    (c) 著作物に関して、 著作者の名誉または声望を害するその他の行為を行うこと。

    第195AL条 映画フィルムに関する侮辱的行為

    本編において、

    侮辱的行為 とは、 映画フィルムに関しては、 以下を意味する。

      (a) 映画フィルムに関して、 作成者の名誉または声望を害するフィルムへの重大な歪曲、 切除または重大な改変をもたらす行為を行うこと。

    (b) 映画フィルムに関して、 作成者の名誉または声望を害するその他の行為を行うこと。


    第5節 著作者人格権の存続期間および行使

    第195AM条 著作者人格権の存続期間

    (1) 映画フィルムに関する著作者の同一性保持権は、 当該著作者が死亡するまで効力を有する。

    (2) 映画フィルム以外の著作物に関する著作者の同一性保持権は、 当該著作物に対する著作権が存続しなくなるまで効力を有する。

    (3) 著作物に関する著作者の著作者人格権 (同一性保持権を除く) は、 当該著作物に対する著作権が存続しなくなるまで効力を有する。

    第195AN条 著作者人格権の行使

    (1) 著作物の著作者が死亡した場合、 当該著作物に関する当該著作者の著作者人格権 (映画フィルムに関する同一性保持権を除く) は、 その法定遺産管理人が行使し執行することができる。

    (2) 著作物の著作者の事務を他の者が適法に管理する場合 (破産または支払不能債務者の救済のための法律に基づく場合を除く) には、 当該著作者の著作者人格権は、 当該著作者の事務を管理する者が行使し執行することができる。

    (3) 本条に従い、 著作物に関する著作者人格権は、 権利譲渡、 遺言または法の適用による承継により移転することはできない。

    (4) もし、

      (a) 映画フィルム、 または

    (b) 映画フィルムに含まれた形での言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物

    に関して複数の著作者が存在する場合には、 当該著作者は、書面による共同著作契約を締結し、 各著作者が当該フィルムまたは著作物に関して他の著作者と共同でなければ同一性保持権を行使しないことに同意することができる。

    (5) 共同著作契約は、 その条件に従って効力を有する。


    第6節 著作者人格権の侵害

    第195AO条 氏名表示権の侵害

    本節に従い、 第2節に従って著作物の著作者として著作者を特定することなく当該著作物に関して要表示行為を行いまたは行うことを許可した者は、当該著作物に関する著作者の氏名表示権を侵害したものとする。

    第195AP条 虚偽氏名不表示権の侵害

    本節に従い、 著作物に関して虚偽氏名表示行為を行った者は、 当該著作物に関する著作者の虚偽氏名不表示権を侵害したものとする。

    第195AQ条 同一性保持権の侵害

    (1) 本条は、 本節に従って効力を有する。

    (2) 著作物に関して侮辱的行為を行いまたは行うことを許可した者は、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害したものとする。

    (3) 言語、 演劇または音楽著作物が、 当該著作物に対する著作者の同一性保持権を侵害する、 第195AJ条の侮辱的行為 の定義の第(a)号にいう種の侮辱的行為を受けた場合には、 かかる侮辱的行為を受けた著作物に関して以下のいずれかを行う者は、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害したものとする。

      (a) 当該著作物を有形的形式で複製すること

    (b) 当該著作物を発行すること

    (c) 当該著作物を公に実演すること

    (d) 当該著作物を公に送信すること

    (e) 当該著作物の翻案物を作成すること

    (4) 美術著作物が、 当該著作物に対する著作者の同一性保持権を侵害する、 第195AK条の侮辱的行為 の定義の第(a)号にいう種の侮辱的行為を受けた場合には、 かかる侮辱的行為を受けた著作物に関して以下のいずれかを行う者は、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害したものとする。

      (a) 当該著作物を有形的形式で複製すること

    (b) 当該著作物を発行すること

    (c) 当該著作物を公に送信すること

    (5) 映画フィルムが、 当該フィルムに対する著作者の同一性保持権を侵害する、 第195AL条の侮辱的行為 の定義の第(a)号にいう種の侮辱的行為を受けた場合には、 かかる侮辱的行為を受けたフィルムに関して以下のいずれかを行う者は、 当該フィルムに関する著作者の同一性保持権を侵害したものとする。

      (a) 当該フィルムのコピーを作成すること

    (b) 当該フィルムを上映すること

    (c) 当該フィルムを公に送信すること

    第195AR条 著作者を特定しないことが合理的である場合における氏名表示権の不侵害

    (1) 著作物に関して要表示行為を行いまたは行うことを許可する者は、 著作者を特定しないことがいかなる状況においても合理的であると証明する場合には、 著作物の著作者を特定しないことによって当該著作物に関する著作者の氏名表示権を侵害しない。

    (2) 第(1)項において、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物の著作者を特定しないことが特定の状況において合理的であるかを判断するにあたって考慮すべき事項は、 以下を含む。

      (a) 著作物の性質

    (b) 著作物が使用された目的

    (c) 著作物が使用された方法

    (d) 著作物が使用された状況

    (e) 当該著作物またはその使用に関連する、 著作物が使用された業界における慣行

    (f) 当該著作物またはその使用に関連する、 著作物が使用された業界における慣行に関する任意規定

    (g) 著作者を特定したことにより生じる困難または費用

    (h) 著作物が、

      (i) 著作者の雇用の過程で作成されたか、 または

    (ii) 著作者が他の者に対するサービスの遂行のための契約に基づき作成されたか

    (i) 著作物の著作者が複数存在する場合――特定されなかったことに対する著作権者の見解

    (3) 第(1)項において、 映画フィルムの作成者を特定しないことが特定の状況において合理的であるかを判断するにあたって考慮すべき事項は、 以下を含む。

      (a) 当該フィルムの性質

    (b) 当該フィルムが作成された主たる目的が、 映画館での上映、 テレビでの放送またはその他の目的であるか

    (c) 当該フィルムが使用された目的

    (d) 当該フィルムが使用された方法

    (e) 当該フィルムが使用された状況

    (f) 当該フィルムまたはその使用に関連する、 当該フィルムが使用された業界における慣行

    (g) 当該フィルムまたはその使用に関連する、 当該フィルムが使用された業界における慣行に関する任意規定

    (h) 作成者を特定したことにより生じる困難または費用

    (i) 当該フィルムが監督、 制作者または脚本家の雇用の過程で作成されたか

    第195AS条 侮辱的行為またはその他の行為が合理的である場合における同一性保持権の不侵害

    (1) 著作物に関して侮辱的行為を行いまたは行うことを許可する者は、 かかる行為を行うことがいかなる状況においても合理的であると証明する場合には、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害しない。

    (2) 第(1)項において、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物について侮辱的行為を行うことが特定の状況において合理的であるかを判断するにあたって考慮すべき事項は、 以下を含む。

      (a) 著作物の性質

    (b) 著作物が使用された目的

    (c) 著作物が使用された方法

    (d) 著作物が使用された状況

    (e) 当該著作物またはその使用に関連する、 著作物が使用された業界における慣行

    (f) 当該著作物またはその使用に関連する、 著作物が使用された業界における慣行に関する任意規定

    (g) 著作物が、

      (i) 著作者の雇用の過程で作成されたか、 または

    (ii) 著作者が他の者に対するサービスの遂行のための契約に基づき作成されたか

    (h) 当該行為が、 法により義務付けられまたは法の違反を防止するために必要であったか

    (i) 著作物の著作者が複数いる場合――当該行為に関する著作者の見解。

    (3) 第(1)項において、 映画フィルムについて侮辱的行為を行うことが特定の状況において合理的であるかを判断するにあたって考慮すべき事項は、 以下を含む。

      (a) 当該フィルムの性質

    (b) 当該フィルムが作成された主たる目的が、 映画館での上映、 テレビでの放送またはその他の目的であるか

    (c) 当該フィルムが使用された目的

    (d) 当該フィルムが使用された方法

    (e) 当該フィルムが使用された状況

    (f) 当該フィルムまたはその使用に関連する、 当該フィルムが使用された業界における慣行

    (g) 当該フィルムまたはその使用に関連する、 当該フィルムが使用された業界における慣行に関する任意規定

    (h) 当該フィルムが監督、 制作者または脚本家の雇用の過程で作成されたか

    (i) 当該行為が、 法により義務付けられまたは法の違反を防止するために必要であったか

    (4) 第195AQ条(3)、 (4)または(5)にいう行為を同各項にいう種の侮辱的行為を受けた著作物に関して行う者は、 かかる行為を行うことがいかなる状況においても合理的であると証明する場合には、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害しない。

    第195AT条 著作物の一定の扱いは著作者の同一性保持権の侵害にあたらない

    (1) 移動可能な美術著作物の破壊は、 当該著作物を破壊した者が、 著作者またはその代理人に対して、 その設置されていた場所から当該著作物を除去する合理的な機会を与えた場合には、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害しない。

    (2) 建築物における変更またはその移転、 解体もしくは破壊は、 以下の場合には、 当該建築物に付加されまたはその一部をなす美術著作物に対する著作者の同一性保持権の侵害にあたらない。

      (a) 当該建築物の所有者が、 合理的な調査の後に、 当該著作者もしくはその代理人の身元および所在を発見できない場合、 または

    (b) 第(a)号が適用されない場合――当該所有者が、 変更、 移転、 解体または破壊に関して第(2A)号に従う場合。

    (2A) 以下の場合には、 建築物における変更またはその移転、 解体もしくは破壊に関して当該建築物の所有者は本項に従っているものとする。

      (a) 所有者が、 規則に従い当該変更、 移転、 解体または破壊が行われる前に、 著作者またはその代理人に対して、 当該変更、 移転、 解体または破壊を行う意図を記載した書面による通知を行い、

    (b) 当該通知において、 通知の宛先人が、 当該通知の日から3週間以内に、 以下のいずれかまたは両方の目的のために当該著作物へのアクセスを求めることができることを記載し、

      (i) 当該著作物の記録を行うこと

    (ii) 当該変更、 移転、 解体または破壊に関して所有者と誠意をもって協議すること

    (c) 当該通知が、 所定のその他の情報および事項を含み、

    (d) 当該通知の宛先人が、 第(b)号にいう3週間の間に、 同号にいう目的のいずれかまたは両方の目的のために当該著作物にアクセスを求める場合――所有者が、 その後3週間以内にかかるアクセスを行う合理的な機会を与え、

    (e) 変更または移転の場合に、 当該通知の名宛人が、 当該著作物から当該著作物の著作者としての特定を除去する必要があることを所有者に通知する場合――所有者が、 かかる要求に従う場合。

    (3) 建築物における変更またはその移転、 解体もしくは破壊は、 以下の場合には、 当該建築物または当該建築物もしくはその一部の建設に使用された設計図もしくは指示書に対する著作者の同一性保持権の侵害にあたらない。

      (a) 当該建築物の所有者が、 合理的な調査の後に、 当該著作者もしくはその代理人の身元および所在を発見できない場合、 または

    (b) 第(a)号が適用されない場合――当該所有者が、 変更、 移転、 解体または破壊に関して第(3A)号に従う場合。

    (3A) 以下の場合には、 建築物における変更またはその移転、 解体もしくは破壊に関して当該建築物の所有者は本項に従っているものとする。

      (a) 所有者が、 規則に従い当該変更、 移転、 解体または破壊が行われる前に、 著作者またはその代理人に対して、 当該変更、 移転、 解体または破壊を行う意図を記載した書面による通知を行い、

    (b) 当該通知において、 通知の宛先人が、 当該通知の日から3週間以内に、 以下のいずれかまたは両方の目的のために当該著作物へのアクセスを求めることができることを記載し、

      (i) 美術著作物の記録を行うこと

    (ii) 当該変更、 移転、 解体または破壊に関して所有者と誠意をもって協議すること

    (c) 当該通知が、 所定のその他の情報および事項を含み、

    (d) 当該通知の宛先人が、 第(b)号にいう3週間の間に、 同号にいう目的のいずれかまたは両方の目的のために美術著作物にアクセスを求める場合――所有者が、 その後3週間以内にかかるアクセスを行う合理的な機会を与え、

    (e) 変更または移転の場合に、 当該通知の名宛人が、 当該建築物から当該建築物の著作者としての特定を除去する必要があることを所有者に通知する場合――所有者が、 かかる要求に従う場合。

    (4) 第(2)項、 第(2A)項、 第(3)項および第(3A)項は、 第195AG条の適用を制限しない。

    (4A) 公衆が出入りできる場所に設置され、 当該場所に設置するために作成された移動可能な美術著作物をある者 (移動者 ) が除去または移動することは、 以下の場合には当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害しない。

      (a) 合理的な調査の後に、 当該著作者またはその代理人の身元および所在を発見できない場合、 または

    (b) 第(a)号が適用されない場合――除去または移転に関して第(4B)号に従う場合。

    (4B) 以下の場合には、 移動可能な美術著作物の除去または移動に関して移動者は本項に従っているものとする。

      (a) 移動者が、 規則に従い当該除去または移動が行われる前に、 著作者またはその代理人に対して、 当該除去または移動を行う意図を記載した書面による通知を行い、

    (b) 当該通知において、 通知の宛先人が、 当該通知の日から3週間以内に、 以下のいずれかまたは両方の目的のために当該著作物へのアクセスを求めることができることを記載し、

      (i) 美術著作物の記録を行うこと

    (ii) 当該除去または移動に関して移動者と誠意をもって協議すること

    (c) 当該通知が、 所定のその他の情報および事項を含み、

    (d) 当該通知の宛先人が、 第(b)号にいう3週間の間に、 同号にいう目的のいずれかまたは両方の目的のために美術著作物にアクセスを求める場合――移動者が、 その後3週間以内にかかるアクセスを行う合理的な機会を与え、

    (e) 当該通知の名宛人が、 当該著作物から当該著作物の著作者としての特定を除去する必要があることを移動者に通知する場合――移動者が、 かかる要求に従う場合。

    (5) 著作物を復原しまたは保存するために善意で行われた行為は、 当該行為のみをもって、 当該著作物に関する著作者の同一性保持権を侵害しない。

    第195AU条 販売またはその他の取引のための輸入による侵害

    (1) 著作物に関する著作者の著作者人格権は、 当該物品がオーストラリアで作成されていたとすれば侵害物品にあたることを輸入者が知りまたは合理的に知るべきであった場合には、 当該物品の取引のために当該物品をオーストラリアに輸入する者によって侵害される。

    (2) 第(1)項において、

      取引 には、 販売のための頒布である場合を除いては、 頒布を含まない。

    第195AV条 販売またはその他の取引による侵害

    (1) 著作物に関する著作者の著作者人格権は、 当該物品が侵害物品であること、 または輸入物品の場合にはオーストラリアで作成されたとすれば侵害物品にあたることを、 当該者が知りまたは合理的に知るべきであった場合には、 オーストラリアにおいて当該物品の取引を行う者によって侵害される。

    (2) 第(1)項において、

      取引 には、 以下を含まない。

    (a) 頒布 (販売のための頒布を除く)

    (b) 第195AD条(b)、 第195AD条(c)、 第195AE条(2)(b)、 第195AE条(2)(c)もしくは第195AF条(2)(b)または第195AG条(1)もしくは第195AH条(1)に定める取引による取引

    (c) 第195AO条の適用ある要表示行為または第195AQ条(5)の適用ある上映である展示による取引

    第195AVA条 考慮すべき事項

    著作者人格権の侵害にあたる行為をある者が行うことを許可したか否かを判断するにあたって考慮すべき事項は、 以下を含む。

      (a) 当該者が当該行為の実行を防止する権限の程度 (もしあれば)

    (b) 当該者と行為を行った者との間に存在する関係の性質

    (c) 当該者が関連する業界の行動基準に従ったかを含め、 当該者が当該行為の実行を防止し又は回避する合理的な措置を取ったか

    第195AVB条 一定の設備の使用による送信

    送信を行うためまたは送信を行うことを容易にするための設備を提供する者 (送信事業者または送信サービス事業者を含む) は、 提供された装置を他の者がかかる行為を行うために使用したことのみをもって、 著作者人格権の侵害にあたる行為を行うことを許可したものとみなされない。

    第195AW条 行為または不作為に対する著作者の承諾――フィルムまたはこれに含まれる著作物

    (1A) 本条は、 以下の著作物に適用する。

      (a) 映画フィルム、 または

    (b) 映画フィルムに含まれる言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物。

    (1) 著作者またはその代理人の書面による承諾の範囲に含まれる行為を行いまたは行わないことは、 著作物に関する著作者の著作者人格権の侵害にあたらない。

    (2) 承諾は、 当該承諾が行われる前後の行為または不作為の全部または一部に関して行うことができる。

    (3) 承諾は、 以下に関して行うことができる。

      (a) 当該承諾がなされた時に存在していた特定の著作物、 または

    (b) 特定の種類の著作物であって、

      (i) 作成が開始されていないもの、 もしくは

    (ii) 作成の過程にあるもの。

    (4) 被用者は、 その雇用の過程において作成した著作物または作成する著作物の全部に関して、 雇用者の利益のために承諾を行うことができる。

    (5) 著作物の現在または将来の著作権者のために行われる承諾は、 承諾文書に別段の意図が示されない限りは、 その被許諾者および権利承継人ならびに当該著作権者もしくは将来の著作権者またはその被許諾者もしくは権利承継人が著作権の及ぶ行為を行うことを許可した者に対しても適用するものと推定する。

    (6) 第(2)項ないし第(5)項は、 第(1)項の運用を制限しない。

    第195AWA条 行為または不作為に対する著作者の承諾――フィルムまたはこれに含まれない著作物

    (1) 本条は、 映画フィルムに含まれない言語、 演劇、 音楽または美術著作物に適用する。

    (2) 著作者またはその代理人の書面による承諾の範囲に含まれる行為を行いまたは行わないことは、 著作物に関する著作者の著作者人格権の侵害にあたらない。

    (3) 第(4)項に従い、 承諾は、 以下のとおり行われない限りは効力を有しない。

      (a) 当該承諾が行われる前後に発生する、 特定の行為もしくは不作為、 または特定の種類の行為もしくは不作為に関して、 かつ

    (b) 以下のいずれかに関して行われること。

      (i) 当該承諾がなされた時に存在していた特定の著作物

    (ii) 特定の種類の著作物であって、 作成が開始されていないものまたは作成の過程にあるもの

    (4) 被用者は、 その雇用の過程において作成した著作物または作成する著作物の全部に関して、 雇用者の利益のために承諾を行うことができる。

    (5) 著作物の現在または将来の著作権者のために行われる承諾は、 承諾文書に別段の意図が示されない限りは、 その被許諾者および権利承継人ならびに当該著作権者もしくは将来の著作権者またはその被許諾者もしくは権利承継人が著作権の及ぶ行為を行うことを許可した者に対しても適用するものと推定する。

    第195AWB条 強迫または虚偽もしくは虚偽的文言による承諾の無効

    (1) ある者が、 著作者またはその代理人に対して、 第195AW条または第195AWA条における承諾を行うことに関して強迫を行う場合には、 かかる承諾は効力を有しない。

    (2) もし、

      (a) ある者が別の者に対して発言を行い、

    (b) 当該者が、 以下を知りながら発言を行い、

      (i) 当該発言は重要な事項において虚偽または欺罔的であり、 または

    (ii) 当該発言を重要な事項において虚偽または欺罔的でないものとするための事項が除かれていること。

    (c) 当該者が、 第195AW条または第195AWA条における承諾を行わせまたは行わせないように当該他の者を説得する意図をもって、 当該発言を行った場合には、

    当該承諾は効力を有しない。

    第195AX条 オーストラリア国外での行為または不作為

    オーストラリア国外で行為を行いまたは行わないことは、 著作物に関する著作者の著作者人格権の侵害にあたらない。


    第7節 著作者人格権の侵害に対する救済

    第195AY条 定義等

    (1) 本節において、

    訴訟 とは、 当事者間の民事的手続を意味し、 反訴を含む。

    (2) 本節を反訴に関して適用するにあたっては、 被告は、 反訴原告を指すものとする。

    第195AZ条 著作者人格権侵害の訴訟

    ある者が著作物に関する著作者の著作者人格権を侵害した場合には、 かかる侵害は犯罪とならないが、 当該著作者またはその代理人は、 当該侵害に関して、 当該著作者が当事者である第195AN条に基づき効力を有する共同著作契約に従って、 訴訟を提起することができる。

    第195AZA条 著作者人格権の侵害に対する救済

    (1) 第203条に従い、 著作物に関する著作者の著作者人格権の侵害の訴訟において裁判所が認めることができる救済は、 以下を含む。

      (a) 差止命令 (裁判所が適切と考える条件があれば、 それに従う)

    (b) 当該侵害により生じた損害の賠償

    (c) 当該著作者の著作者人格権が侵害されたことの宣言

    (d) 被告に対して、 当該侵害につき公の謝罪を行う命令

    (e) 著作物にかかる虚偽氏名表示または侮辱的行為を除去しまたは撤回する命令

    (2) 付与すべき適切な救済に関して裁量を行使するにあたって、 裁判所は、 以下を考慮することができる。

      (a) 被告が著作者の著作者人格権について知りまたは合理的に知るべきであったか

    (b) 当該著作物への損害による著作者の名誉または声望への影響

    (c) 当該著作物を視聴した者の数および種類

    (d) 当該侵害の影響を軽減するために被告が行った行為

    (e) 侵害された著作者人格権が氏名表示権である場合――著作者を特定することに伴い生じた費用または困難

    (f) 当該著作物にかかる虚偽氏名表示または侮辱的行為を除去しまたは撤回することに伴う費用または困難

    (3) 第(1)項に基づく差止命令を行うか否かを決定するにあたり、 裁判所は、 両当事者が当該訴訟の和解協議を試みたかおよび裁判所が審理を再開すべきかまたは当事者に調停その他の手続を通じて和解協議を行う適切な機会を与えるためにさらに審理を延期するかを検討しなければならない。

    (4) もし、

      (a) 著作物が映画フィルムであり、

    (b) 訴訟が当該フィルムの脚本家である者によって提起され、

    (c) 当該訴訟において認められた救済が損害賠償からなりまたはこれを含み、 かつ

    (d) 当該者に対しては、 当該フィルムの脚本または台本からなる演劇著作物の著作者としての著作者人格権の侵害訴訟における損害賠償によって既に救済が認められた場合には、

    本項がなければ第(b)号にいう訴訟において認められた損害賠償の額は、 第(d)号にいう訴訟において当該者に認められた損害賠償の額を差し引いた額とする。

    (5) もし、

      (a) 著作物が映画フィルムの脚本または台本からなる演劇著作物であり、

    (b) 訴訟が当該台本または脚本の著作者である者によって提起され、

    (c) 当該訴訟において認められた救済が損害賠償からなりまたはこれを含み、 かつ

    (d) 当該者に対しては、 当該フィルムの脚本家としての著作者人格権の侵害訴訟における損害賠償によって既に救済が認められた場合には、

    本項がなければ第(b)号にいう訴訟において認められた損害賠償の額は、 第(d)号にいう訴訟において当該者に認められた損害賠償の額を差し引いた額とする。

    (6) 著作物の著作者の死後行われた行為に関して、 当該著作者の法定遺産管理人により本条に基づく損害賠償金が回収された場合には、 当該損害賠償金は、 当該著作者の遺産の一部であるものとして、 また、 当該行為の遂行に関する訴訟を提起する権利が当該著作者の死の直前に当該著作者に存続し帰属したものとして、 移転するものとする。

      注: 第(6)項は、 映画フィルムに関する同一性保持権に関しては適用せず、 当該権利は著作者の死亡により終了する。 第195AM条(1)を参照。

    第195AZB条 他の権利および救済の保存

    (1) 本条に従い、 本編は、 本編以外に基づき提起された民事または刑事手続における訴訟提起の権利またはその他の救済に影響しない。

    (2) 本編に基づき提起された手続において回収された損害賠償金は、 本編以外に基づき提起され、 かつ、 同一の運営または手続より生じた手続において損害賠償額を算定するにあたって考慮されるものとする。

    (3) 本編以外の規定に基づき提起された手続において回収された損害賠償金は、 本編に基づき提起され、 かつ、 同一の運営または手続より生じた手続において損害賠償を算定するにあたって考慮されるものとする。

    第195AZC条 裁判所の管轄

    (1) 本編に基づく訴訟に対する州または特別地域の最高裁判所の裁判権は、 当該裁判所の裁判官1名により行使される。

    (2) 第(3)項に従い、 本編に基づく州または特別地域の裁判所 (構成を問わない) の決定は、 最終的かつ拘束力あるものとする。

    (3) 本編に基づく州または特別地域の裁判所の決定については、 以下の裁判所に控訴することができる。

      (a) オーストラリア連邦裁判所、 または

    (b) 高等裁判所の特別許可を得た場合には、 高等裁判所。

    (4) オーストラリア連邦裁判所は、 本編により生じる事項に関して裁判管轄を有する。

    (5) 連邦下級判事裁判所は、 本編により生じる事項に関して裁判管轄を有する。

    第195AZD条 著作権の存続に関するみなし

    本編に基づき著作物に関する著作者人格権の侵害に関して提起される訴訟において、 著作物に著作権があるか否かの争点を被告が争わない場合には、 著作権は当該著作物に存続するものとみなす。

    第195AZE条 著作者人格権の存続に関するみなし

    本編に基づき著作物に関する著作者人格権の侵害に関して提起される訴訟において、 かかる侵害が行われたと主張される時に著作物に対して著作権が存続していたとみなされまたは証明された場合には、 当該著作者人格権は当時当該著作物に存続していたものとみなす。

    第195AZF条 著作者に関する推定

    (1) 本編に基づき提起される訴訟に関しては、 第 127 条を適用する。

    (2) 映画フィルムの監督、 制作者または脚本家の氏名であるとされる氏名が、 当該フィルムが作成された時に作成されるコピーに付されている場合には、 別段の立証がなされない限りは、 その名称が当該者の本名または通常知られている名称である場合に、 本編により提起される訴訟においてその者が当該フィルムの監督、 制作者または脚本家であるものと推定する。

    第195AZG条 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に関するその他の推定

    本編に基づき提起される訴訟に関しては、 第128条および第129条を適用する。


    第8節 その他

    第195AZH条 著作物の一部

    著作物に関する著作者人格権は、 当該著作物の全部または実質的部分に関して適用する。

    第195AZI条 共同著作物

    (1) 本条は、 共同著作物である言語、 演劇、 音楽または美術著作物に適用する。

    (2) 著作物に対する氏名表示権は、 各共同著作者が共同著作者として特定される権利をいう。

    (3) 著作物に関する虚偽表示行為は、 各共同著作者の虚偽氏名不表示権を侵害する。

    (4) 著作物に関する同一性保持権は、 各共同著作者の権利とする。

    (5) 当該著作物に関して共同著作者の一人がその著作者人格権に影響する行為または不作為を承諾することは、 当該著作物に関する他の共同著作者の著作者人格権に影響しない。

    第195AZJ条 複数の主監督が存在する映画フィルム

    (1) 本条は、 複数の主監督が存在する映画フィルムに適用する。

    (2) 当該フィルムに関する監督の氏名表示権は、 各監督が監督として特定される権利をいう。

    (3) 当該フィルムの監督に関する虚偽表示行為は、 各監督の虚偽氏名不表示権を侵害する。

    (4) 当該フィルムに関する同一性保持権は、 各監督の権利とする。

    (5) 当該フィルムに関して監督の一人がその著作者人格権に影響する行為または不作為を承諾することは、 当該フィルムに関する他の監督の著作者人格権に影響しない。

    第195AZK条 複数の主制作者が存在する映画フィルム

    (1) 本条は、 複数の主制作者が存在する映画フィルムに適用する。

    (2) 当該フィルムに関する制作者の氏名表示権は、 各制作者が制作者として特定される権利をいう。

    (3) 当該フィルムの制作に関する虚偽表示行為は、 各制作者の虚偽氏名不表示権を侵害する。

    (4) 当該フィルムに関する同一性保持権は、 各制作者の権利とする。

    (5) 当該フィルムに関して制作者の一人がその著作者人格権に影響する行為または不作為を承諾することは、 当該フィルムに関する他の制作者の著作者人格権に影響しない。

    第195AZL条 複数の主脚本家が存在する映画フィルム

    (1) 本条は、 複数の主脚本家が存在する映画フィルムに適用する。

    (2) 当該フィルムに関する脚本家の氏名表示権は、 各脚本家が脚本家として特定される権利をいう。

    (3) 当該フィルムの脚本または台本監督に関する虚偽表示行為は、 各脚本家の虚偽氏名不表示権を侵害する。

    (4) 当該フィルムに関する同一性保持権は、 各脚本家の権利とする。

    (5) 当該フィルムに関して脚本家の一人がその著作者人格権に影響する行為または不作為を承諾することは、 当該フィルムに関する他の脚本家の著作者人格権に影響しない。

    第195AZM条 適用――氏名表示権

    (1) 氏名表示権のうち、

      (a) 映画フィルム、 または

    (b) 映画フィルムに含まれる形での言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物

    に関するものは、 当該映画フィルムが本編の施行後に作成された場合にのみ存続する。

    (2) 映画フィルムに含まれる形以外の言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物に関する氏名表示権は、 本編の施行前後に作成された著作物に関して存続するが、 本編は、 当該施行後に行われた要表示行為に関してのみ適用する。

      注: 第22条(1)は、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物がいつ作成されたとみなされるかを説明し、 第22条(4)(a)は、 映画フィルムがいつ作成されたとみなされるかを説明する。

    第195AZN条 適用――虚偽氏名不表示権

    (1) 著作物に関する氏名表示権は、 本編の施行前後に作成された著作物に関して存続するが、 本編は、 当該施行後に行われた要表示行為に関してのみ適用する。

    (2) 第195AD条(b)もしくは(c)、 第195AE条(2)(b)もしくは(c)、 または第195AF条(2)(b)は、 当該氏名が施行前に挿入または添付された場合であっても、 本編の施行後に行われた虚偽表示行為に適用する。

      注: 第22条(1)は、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物がいつ作成されたとみなされるかを説明し、 第22条(4)(a)は、 映画フィルムがいつ作成されたとみなされるかを説明する。

    第195AZO条 適用――同一性保持権

    (1) 同一性保持権のうち、

      (a) 映画フィルム、 または

    (b) 映画フィルムに含まれる形での言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物

    に関するものは、 当該映画フィルムが本編の施行後に作成された場合にのみ存続する。

    (2) 第(3)項に従い、 映画フィルムに含まれる形以外の言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物に関する氏名表示権は、 本編の施行前後に作成された著作物に関して存続する。

    (3) 本編は、 第(2)項にいう著作物に関して存続する同一性保持権の侵害に関しては、 侵害が本編の施行後に行われた場合にのみ適用する。 しかし、 第195AQ条(3)(a)、 (b)、 (c)、 (d)もしくは(e)または(4)(a)、 (b)もしくは(c)にいう行為は、 当該侮辱的行為が施行前に行われた場合には侵害にあたらない。

      注: 第22条(1)は、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物がいつ作成されたとみなされるかを説明し、 第22条(4)(a)は、 映画フィルムがいつ作成されたとみなされるかを説明する。




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