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    第VC編 通信自由放送の再送信

    第1節 総則

    第135ZZI条 解釈

    本編において、

    権利管理団体 とは、 当該時点において、 第135ZZT条に基づき権利管理団体であると認定された団体を意味する。

    遅延再送信 とは、 通信自由放送に関しては、 全域または一部地域において現地時間が原送信地と異なる地域における、 相当する現地時間以前の時間まで遅らせた放送の再送信を意味する。

    通信自由放送 とは、 1992年放送事業法 における国営放送事業者、 商業的放送事業者または地域放送事業者が行う放送を意味する。

    通知受領者 とは、 当該時点において、 第135ZZX条に基づき通知受領者に任命された者を意味する。

    関連権利管理団体 とは、 補償通知に関しては、 補償通知にかかる著作物またはその他の権利対象物と同一の種類の著作物またはその他の権利対象物の著作権者のための権利管理団体を意味する。

    関連著作権者 とは、 著作物、 録音物または映画フィルムの著作権者を意味する。

    補償通知 とは、 第135ZZL条にいう通知を意味する。

    再送信事業者 とは、 通信自由放送の再送信を行う者を意味する。

    規則 とは、 権利管理団体に関しては、 当該団体の基本定款および定款の規定を意味する。

    第135ZZJ条 権利管理団体の規則の運用

    本編は、 権利管理団体の規則にかかわらず権利管理団体に適用するが、 本編のいかなる規定も当該規則が本編と共に運用されうる限りにおいては当該規則に影響しない。

    第135ZZJA条 本編の適用

    本編は、 通信自由放送の再送信がインターネット上で行われる場合には、 当該再送信には適用しない。


    第2節 通信自由放送の再送信

    第135ZZK条 通信自由放送の再送信

    (1) 通信自由放送に含まれる著作物、 録音物または映画フィルムに対する著作権は、 以下の場合には、 当該放送の再送信によって侵害されない。

      (a) 再送信事業者によりまたはこれに代わり関連権利管理団体に対して行われた補償通知が効力を有しており、 かつ

    (b) 当該通信自由放送が当該補償通知に記載された放送事業者により行われ、 かつ

    (c) 当該再送信事業者が第135ZZN条に従っている場合。

    (2) 通信自由放送に含まれる著作物、 録音物または映画フィルムに対する著作権は、 当該放送の遅延再送信を行うことを可能にする目的のためにのみ行われる当該放送の複製によって侵害されない。

    (3) 第(2)項は、 当該放送の再送信が当該放送に対する著作権を侵害する場合には適用しない。

    (4) 第(2)項にいう目的のために作成された放送のコピーが作成後7日以内に破棄されない場合には、 当該コピーの作成に関しては第(2)項は適用せず、 また、 適用されなかったものとみなす。

    (5) 本条において、 通信自由放送のコピーの作成とは、 当該放送の映画フィルムもしくは録音物の作成または当該フィルムもしくは録音物のコピーの作成をいう。

    第135ZZL条 補償通知

    (1) 再送信事業者は、 権利管理団体に対して自ら行いまたはこれに代わり行われる書面による通知をもって、 当該通知が効力を有している間に自ら行いまたはこれに代わり行われる特定の放送事業者の通信自由放送の再送信に対する公正な補償金を権利管理団体に支払うことを約定することができる。

    (2) 補償通知には、 公正な補償金の額が第135ZZN条に基づき再送信事業者が作成する記録に基づいて算定されることを記載しなければならない。

    (3) 補償通知は、 権利管理団体に対して行われた日または当該通知に定められた後の日に効力を生じ、 取り消されるまで効力を有するものとする。

    第135ZZM条 公正な補償金の額

    (1) 再送信事業者が権利管理団体に対して補償通知を行う場合には、 当該通知が効力を有する間に当該再送信事業者によりまたはこれに代わり行われる各再送信に関して権利管理団体に対して支払うべき公正な補償金の額は、 当該再送信事業者と権利管理団体との間の合意により定められる額、 またはかかる合意に至らない場合にはいずれかの申立により著作権審判所が定める額とする。

    (2) 著作権審判所が第(1)項に基づく決定を行った場合には、 再送信事業者または権利管理団体は、 当該決定がなされた日から12ヶ月が経過した後いつでも、 再送信事業者によりまたはこれに代わり行われる再送信に関して再送信事業者が権利管理団体に支払うべき公正な額にかかる第(1)項に基づく新たな決定を、 裁判所に対して申立てることができる。

    (3) 第(1)項においては、 再送信に含まれる異なる種類の著作物、録音物または映画フィルムに関して (合意によりまたは著作権審判所により) 異なる額を定めることができる。

    第135ZZN条 記録制度

    (1) 再送信事業者によりまたはこれに代わり権利管理団体に対して補償通知が行われる場合には、 当該再送信事業者は、 記録制度を設定し維持しなければならない。

    (2) 記録制度においては、 当該再送信事業者によりまたはこれに代わり行われる、 補償通知に記載された各放送事業者が行う各放送の各再送信に含まれる各番組の題名を記録するよう定めなければならない。

    (3) 第(2)項に従い、 記録制度は、 再送信事業者と権利管理団体との間の合意により、 またはかかる合意に至らない場合にはいずれかの申立により著作権審判所により決定されるものとする。

    第135ZZP条 記録の閲覧等

    (1) 補償通知が行われまたは効力を有している場合、 権利管理団体は、 補償通知を行った再送信事業者に対する書面をもって、 当該書面に記載する日 (当該通知に記載された再送信事業者の通常の営業日であって、 当該書面がなされた日から7日以後) に以下のうち当該書面に記載する行為を行うことを希望する旨を、 通知することができる。

      (a) 当該再送信事業者の施設において行われた再送信の数を算定すること。

    (b) 第135ZZK条に基づき行われた再送信に関して、 当該施設において保管する全ての記録を閲覧すること。

    (c) 再送信事業者が権利管理団体に対して支払うべき公正な補償金の額を算定するために関連する、 当該施設において保管するその他の記録を閲覧すること。

    (2) 第135ZZQ条に従い、 権利管理団体が通知を行う場合には、当該団体が書面により権限を付与した者は、 当該通知に定める日の当該施設の通常の営業時間中 (午前10時より前または午後3時より後を除く) に、 当該通知にかかる算定または記録の閲覧を行うことができ、 また、 これらを行うために、 当該再送信事業者の施設に立ち入ることができる。

    (3) 再送信事業者は、 第(2)項にいう者が同項により付与された権限を行使するために再送信事業者の施設に立ち入るにあたって当該権限を有効に行使するために合理的かつ必要な設備および支援を受けられるよう、 全ての合理的な予防措置をとりかつ合理的な努力を尽くさなければならない。

    (4) 第(3)項に違反した再送信事業者は、 有罪とされた場合には10罰点以下の罰金に処する。

      注: 法人は、 最高額の5倍以下の罰金に処する。1914年犯罪法 第4B条(3)を参照。

    第135ZZQ条 身分証明証

    (1) 権利管理団体の最高執行役員 (肩書の如何を問わない) は、第135ZZP条(2)において当該団体が権限を付与する者に対して、 所定の書式の身分証明証を発行しなければならない。 身分証明証には、 権限を付与された者の最近の写真を貼付しなければならない。

    (2) 第135ZZP条(2)による権限を行使するために施設に立ち入る者が、 当該施設の責任者とみられる者の求めがあったときに身分証明証を提示しない場合には、 当該者は、 当該施設に立ち入りまたは滞在してはならず、 また、 当該施設において第135ZZP条(2)に基づくその他の権限を行使してはならない。

    (3) 以下の場合には、 有罪とされた場合には1罰点以内の罰金に処する。

      (a) 身分証明証の発行を受けた者が、

    (b) 権限を付与された者でなくなり、 かつ

    (c) 当該者が、 その直後に権利管理団体に身分証明証を返却しなかった場合。

    (4) 権限を付与された者は、 第135ZZP条(2)に基づき権限を行使する際には、 常に身分証明証を携帯しなければならない。

    第135ZZR条 補償通知の取消し

    再送信事業者は、 権利管理団体に対する書面による通知をもって、 いつでも補償通知を取消すことができ、 取消は、 当該通知の日または当該通知に定めるその後の日の3ヶ月後に効力を生じるものとする。

    第135ZZS条 公正な補償金の支払の要求

    (1) 本条に従い、 補償通知が行われまたは効力を有している場合には、 権利管理団体は、 当該通知を行った再送信事業者に対する書面をもって、 当該通知が効力を有しておりまたは有していた間に当該団体によりまたはこれに代わり行われた再送信について、 第135ZZM条に基づき支払うべき公正な補償金を、 当該書面に定める日から合理的な期間内に支払うことを求めることができる。

    (2) 第(1)項に基づく要求書に記載された額が要求に従って支払われない場合には、 権利管理団体は、 オーストラリア連邦裁判所または管轄を有するその他の裁判所において、 再送信事業者から当該額を自己に対する債務として回収することができる。


    第3節 権利管理団体

    第135ZZT条 権利管理団体

    (1) 本条に従い、 司法長官は、 官報 上の通知により、 全ての関連著作権者または当該通知に記載された関連著作権者に関して、 当該通知に記載された団体を権利管理団体と認定することができる。

    (2) 司法長官が特定の区分の著作権者に関して権利管理団体を認定し、 その後、 当該著作権者に関して別の団体を権利管理団体に認定した場合には、

      (a) 最初の権利管理団体は、 後の認定が行われた日に当該著作権者の権利管理団体でなくなり、 また、

    (b) 当該権利管理団体に対して行われた補償通知は、 当該区分に含まれる著作権者に関する限りにおいて効力を失う。

    (3) 司法長官は、 以下の全てを充たさない限りは、 団体を権利管理団体と認定してはならない。

      (a) 当該団体が、 州または特別地域の会社法に基づき設立された有限責任保証会社であること。

    (b) 認定に記載された関連著作権者に含まれる全ての者またはその代理人が構成員となることができること。

    (c) 当該団体の規則が、 その構成員に対する配当金の支払を禁止していること。

    (d) 当該団体の規則が、 所定の規則を含むこと。 かかる規則は、著作権者またはその代理人であって権利管理団体の構成員である者の利益が適切に保護されるようにするために必要な規則であって、 特に以下に関する規則を含むものとする。

      (i) 第135ZZM条に基づき再送信事業者が支払うべき公正な補償金の徴収

    (ii) 権利管理団体が徴収した額の当該団体の運営費用への充当

    (iii) 当該団体が徴収した額の分配

    (iv) 構成員でない著作権者のための、 補償金の信託管理人としての保管

    (v) 構成員による当該団体の記録へのアクセス

    (4) 司法長官は、 特定の区分の著作権者に関して権利管理団体を認定した場合には、 当該団体の審判員数、 活動の範囲およびその他関連する事項を考慮のうえ当該著作権者の利益に資すると判断しない限りは、 別の団体を当該著作権者の権利管理団体と認定することを拒絶することができる。

    第135ZZU条 認定の取消

    司法長官は、 権利管理団体が以下に該当すると判断する場合には、 官報上の通知をもって、 当該団体が権利管理団体であるとの認定を取消すことができる。

      (a) 権利管理団体として適切に機能していないこと

    (b) 当該団体の規則に従ってまたは著作権者もしくはその代理人である審判員の利益のために活動していないこと

    (c) 規則を改正したことにより、 第 135ZZT 条(3)(c)および(d)を充たさなくなったこと

    (d) 合理的な理由なく、 第135ZZV条または第135ZZW条に従うことを拒絶しまたは従わないこと

    第135ZZV条 年次報告および会計帳簿

    (1) 権利管理団体は、 各会計年度の終了後可及的速やかに、 当該年度中の運営に関する報告書を作成し、 その写しを司法長官に送付しなければならない。

    (2) 司法長官は、 第(1)項に基づき送付された報告書の写しを、 議会の各院に対して報告を受領した後当該院の 15 会日以内に提出させなければならない。

    (3) 権利管理団体は、 当該団体の取引 (信託管理人としての取引を含む) および当該団体の財務状態を正確に記録し説明する会計帳簿を作成しなければならない。

    (4) 会計帳簿は、 権利管理団体における真正かつ公平な会計記録を作成しかつ便宜的かつ適切に監査することを可能にする方法にて作成されなければならない。

    (5) 権利管理団体は、 各会計年度の終了後可及的速やかに、 当該団体の構成員でない監査人に会計帳簿を監査させ、 監査を受けた会計帳簿の写しを司法長官に送付しなければならない。

    (6) 権利管理団体は、 その構成員に対して、 本条に基づき作成される全ての報告書および監査済み会計帳簿のコピーへの合理的なアクセスを認めなければならない。

    (7) 本条は、 権利管理団体がその設立準拠法に基づき負う年次報告書または会計帳簿の作成および提出義務に影響しない。

    第135ZZW条 規則の改正

    権利管理団体は、 その規則を改正した後21日以内に、 改正後の規則の写しを当該改正の効果および改正を行った理由を記載した書面と共に司法長官に送付しなければならない。


    第4節 権利管理団体認定前の再送信

    第135ZZX条 通知受領者の指名

    司法長官は、 官報 上の通知をもって、 本節における通知受領者となる者を指名することができる。

    第135ZZY条 権利管理団体が認定される前の再送信

    (1) 通信自由放送の再送信に含まれる著作物、 録音物もしくは映画フィルムに対する著作権は、 以下の場合には、 再送信によって侵害されない。

      (a) 当該再送信が行われた時に、 最初の権利管理団体が認定されておらず、

    (b) 再送信事業者が通知受領者に対して第135ZZZ条(1)に基づき行う通知が効力を有しており、 かつ

    (c) 再送信事業者が第135ZZN条に従っていること。

    第135ZZZ条 再送信事業者による通知

    (1) 再送信事業者は、 最初の権利管理団体の認定前いつでも、 通知受領者に対する書面による通知をもって、 当該通知が効力を有する間に当該再送信事業者によりまたはこれに代わり行われる再送信に関して、 権利管理団体が認定されたときには当該権利管理団体に対して公正な補償金を支払うことを約定することができる。

    (2) 前項にいう通知には、 公正な補償金の額が第135ZZN条に基づき再送信事業者が作成する記録に基づいて算定されることを記載しなければならない。

    (3) 第(1)項にいう通知は、 通知受領者に対してなされた日または当該通知に定めるその後の日に効力を生じ、 当該通知が取り消されるまで効力を有するものとする。

    (4) 再送信事業者は、 第(1)項にいう通知を通知受領者に対する書面をもって取消すことができ、 取消は、 取消通知がなされた日または当該通知に記載されたその後の日に効力を生じるものとする。

    第135ZZZA条 記録保管の要件

    再送信事業者が第135ZZZ条に基づく通知を行う場合には、第135ZZM条および第135ZZN条は、 以下のとおり適用する。

      (a) 権利管理団体は、 通知受領者を指すものとする。

    (b) 補償通知は、 第135ZZZ条に基づく通知を指すものとする。

    第135ZZZB条 権利管理団体の認定の効果

    (1) もし、

      (a) 最初の権利管理団体が認定されたことにより、 関連著作権者の全てについて権利管理団体が存在し、 かつ

    (b) 当該認定が効力を生じる日の直前に、 第135ZZZ条に基づく通知が効力を有していた場合は、

    当該認定日以後は、 当該通知はかかる通知としての効力を失うが、 本編において、 以下の補償通知であるものとみなす。

    (c) 再送信事業者が権利管理団体または複数の権利管理団体の各々に対して行ったものであって、

    (d) 当該通知が行われた日に効力を生じたもの。

    (2) もし、

      (a) 関連著作権者の一部について権利管理団体が認定され、

    (b) 当該認定が効力を生じる日の直前に、 通知が効力を有していた場合は、

    当該認定日以後は、

    (c) 当該通知は、 権利管理団体が認定された関連著作権者に関してはかかる通知としての効力を失うが、 本編において、 以下の補償通知であるものとみなす。

      (i) 再送信事業者が権利管理団体または複数の権利管理団体の各々に対して行ったものであって、

    (ii) 当該通知が行われた日に効力を生じたもの。

    (d) 当該通知は、 他の関連著作権者に関しては引き続きかかる通知としての効力を有する。

    (3) 通知が本条に基づき補償金通知であるとみなされる場合には、 再送信事業者は、 権利管理団体の認定後21日以内に、 当該通知が効力を生じたとみなされる日以後に第135ZZN条に基づき作成した全ての記録の写しを、 当該権利管理団体に対して送付させなければならない。


    第5節 その他

    第135ZZZC条 関連著作権者による再送信の許諾

    本編のいかなる規定も、 通信自由放送に含まれる著作物、 録音物または映画フィルムの著作権者が、 再送信事業者が著作権を侵害することなく当該通信自由放送の再送信を行いまたは行わせることを許諾する権利に影響しない。

    第135ZZZD条 本編に基づく著作権の不帰属

    本法の他の規定にかかわらず、 本編に基づき著作権の侵害にあたらない再送信事業者によりまたはこれに代わり行われる通信自由放送の再送信は、 著作物またはその他の権利対象物に対する著作権をいかなる者にも帰属させるものではない。

    第135ZZZE条 コピーの無許諾使用

    通信自由放送の著作権者は、 当該放送の再送信を許諾したことのみによって、 本法において、 当該放送に含まれる著作物、 録音物または映画フィルムに対する著作権の侵害を許諾したものとみなされない。




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