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    外国著作権法 カンボジア編 第2章 著作権

    第1節 著作物

    第4条

    著作者の真の知的創作物である著作物は、オリジナルであると評価される。

    第5条

    著作物は、公の公表とは無関係に、たとえ未完成であっても、著作者のアイディアの実現という事実のみによって、創作されたとみなされる。

    第6条

    共同著作物とは、その創作が複数の自然人の共同の努力の結果である著作物を指す。
    二次的著作物とは、翻訳、翻案又は改変によって、原著作物に基づいて創作された著作物を指す。
    集合著作物とは、その指揮及び名前の下で編集、発行及び公表する自然人の発意に基づいて、複数の自然人によって創作された著作物をいう。

    第7条

    次の客体は、第3条の内容に従って、この法律の下で保護される。

    1. あらゆる種類の読む書籍又はその他の文芸的、美術的、学術的及び教育的資料。
    2. 講演、演説、説教若しくは口頭の又は文書による請願及びその他の同じ性格を有する著作物。
    3. 演劇的著作物又は音楽的演劇。
    4. 舞踏の著作物。現代的であるか、伝統的な著作物又は民間伝承から翻案されたものであるかは問わない。
    5. サーカスの実演及び無言劇。
    6. 歌詞を伴う又は伴わない楽曲。
    7. 視聴覚著作物。
    8. 絵画、版画、彫刻又はその他のコラージュ又は応用美術の著作物。
    9. 写真の著作物又は写真の技術に類似する技術の支援を得て作成された著作物。
    10. 建築の著作物。
    11. 地図、図面、素描又は地理学、地形学又はその他の科学に関する著作物。
    12. コンピュータ・プログラム及びこれらのプログラムに関連する設計資料。
    13. 手工芸のコラージュ製品、手製の布製品又はその他の流行の服飾。
    第8条

    二次的著作物(翻訳、翻案、編曲及びその他の著作物の改変又は改良を含む)又はデータベースの編集物(機械で可読かその他の形式であるかは問わない)も、この法律で保護される。
    前項のいずれの著作物の保護も、その新たな著作物に取り込まれた又はその作成に用いられた原著作物の保護を害してはならない。

    第9条

    著作物のオリジナルな性格を示す著作物の題号は、著作物それ自体と同様に、この法律で保護される。
    いかなる者も、たとえ著作物がこの法律第30条及び第31条に従ってもはや保護されない場合であっても、混同を生じさせ得る状態で、同じ分野の別の著作物を特定するために、この著作物の題号を使用してはならない。

    第10条

    次の著作物は、この法律によって保護されない。

    1. 憲法、法律、王令、政令及びその他の規則。
    2. 国家機関によって発行された宣言(Pracas)、決定、証書、その他の指示書。
    3. 裁判所の判決又はその他の裁判所の令状。
    4. 本条(a)~(c)項に挙げられた資料の翻訳物。
    5. アイディア、形式、操作方法、概念、原則、発見及び単なるデータ(著作物に表現、記述、説明又は具体化されている場合も含む)。

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    第2節 著作者

    第11条

    著作者の資格は、反対の証拠がない限り、その名前で著作物が創作及び公表された自然人に属する。

    第12条

    共同著作者は、協力による著作物の所有者である。共同著作者は、全員一致の書面による同意に基づいて、その権利を行使しなければならない。意見が一致しない場合には、裁判所に申し立てをしなければならない。

    第13条

    公衆に伝達されている間に著作物にその名前が公に公表されている自然人又は法人は、反対の証拠がない限り、著作者の権利が与えられる。

    第14条

    変名又は無名の著作物の著作者は、その著作物に与えられる権利を享有する。
    著作者は、その身元を知らせ、かつ、自分が著作者であることを証明しない限り、出版者又は著作物を最初に公表した者によって代表され、その者が著作者の精神的及び財産的権利を行使する権限をもつ。出版者又は最初に著作物を公表した者は、著作者の身元、変名又は無名を特定しつつ、合意をしなければならない。
    本条第2項は、著作者によって採用された変名が著作者の本当の名前を明らかにしている場合は、適用されない。

    第15条

    視聴覚著作物の知的な創作を実現する一以上の自然人は、その視聴覚著作物の著作者とみなされる。
    反対の証拠がない限り、次の者が視聴覚著作物の共同著作者である:

    1. 監督。
    2. 脚本の著作者。
    3. 翻案の著作者。
    4. 台詞の著作者。
    5. その著作物のために特別に創作された、歌詞を伴う又は伴わない楽曲の著作者。
    6. アニメーションの著作物のグラフィックアートの著作者。
    第16条

    著作物の著作者は、精神的権利及び財産的権利の最初の所有者である。著作者が、労働契約及びその著作物を使用するための契約の下で、雇用者たる自然人または法人のために著作者によって創作された著作物の場合、前記契約に反対の規定がない限り、その著作物の財産的権利は、雇用者に移転されたものと考えられる。

    第17条

    視聴覚著作物の共同著作者と製作者の間でなされた、共同著作者が視聴覚著作物への寄与をなすことを引き受ける契約の締結は、音楽の著作物の著作者を除いて、当該契約に反対の規定がない限り、視聴覚著作物の製作者への財産的権利の譲渡の推定を意味する。しかしながら、共同著作者は、その寄与を視聴覚著作物の創作とは別に引き受けた場合には、その寄与の拡大的使用に従って、財産的権利を維持する。

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    第3節 著作者の権利

    第18条

    著作物の著作者は、その著作物について、すべての者に行使可能な排他的権利を享有する。
    これらの権利は、精神的権利と財産的権利を含む。

    第19条

    著作者の著作者人格権は、永続し、譲渡できず、差押さえできず、そして、時効にかからない。それは、死亡を理由として著作者の相続人に移転されるか、遺言に規定された条項に従って第三者に移転される。
    相続人がいない場合、この権利は、文化芸術省が代表する国の管理及び支配の対象となる。

    第20条

    著作者の著作者人格権は、次の三つの特別な点を含む。

    1. 著作者は、その著作物の公表の方法、時期及びこの公表を規律する原則を決定する排他的権利を有する。
    2. 公衆との関係のために、著作者は、その名前、資格及び著作物の尊重を要求する権利を享有する。
    3. ** 著作者は、その著作物の内容の形式の歪曲、切除及び改変であって、その名誉及び声望を害するおそれのあるものに反対する権利を有する。
    第21条

    財産的権利は、著作者の複製、公衆への伝達及び二次的著作物の創作の許諾を通して、その著作物を利用するための排他的権利である。
    第24条から第29条の規定において反対の定めがない限り、著作者は、次のことを自ら行う又は第三者に許諾する排他的権利を有する:

    1. その著作物を外国語に翻訳すること。
    2. その著作物の翻案及び単純化又は改変を行うこと。
    3. 視聴覚著作物又はレコードに収録されている著作物、コンピュータ・プログラム、データベース又は楽譜の形での音楽の著作物の原作品又はコピーの貸与又は貸出。
    4. これまで著作権者によって許諾された販売又は所有権の移転の対象となっていない著作物の原作品又はコピーの販売、貸与による公の頒布。
    5. 著作物の複製コピーの国への輸入。
    6. 著作物の複製。
    7. 著作物の公の実演。
    8. 著作物の公の展示。
    9. 著作物の放送。
    10. その他の方法による著作物の公衆への伝達。

    本条前記(c)号に規定された貸与権は、プログラム自体が貸与の主たる対象とはなっていない場合には、コンピュータ・プログラムの貸与には適用されない。

    第22条

    契約に反対の条項がない限り、一又は二以上の被用者が、その義務を遂行するに際して、又は雇用者の指示に従って創作したコンピュータ・プログラム及びその資料の財産的権利は、雇用者の所有に属し、雇用者のみがそれを行使する権原を有する。
    同様のことは、購入契約に基づいてコンピュータ・プログラムを創作するために他者を雇用する者にも適用される。この者は、財産的権利を有する。

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    第4節 著作者の権利の制限

    第23条

    自然人による、その個人的使用を目的とした、著作物のコピーの輸入は、その著作物の著作者又は権利者の同意なしに行うことができる。

    第24条

    発行された著作物のコピーを一部のみ作成することによる私的な複製は、その複製が、自然人によって、専らその個人的な目的のために作成されるときは、著作者又は権利者の許諾なしに認められる。
    本条の前項の下で認められる許諾は、次の複製には及ばない。

    1. 建物又はその他の建造物の形での建築の著作物の複製;
    2. 書籍及び楽譜の形における音楽の著作物の全体又は実質的部分の複写の形での複製;
    3. データベースの全体又は実質的部分のデジタル形式での複製;
    4. バックアップ・コピー以外のコンピュータ・プログラムの複製;
    5. 複製が著作物の通常の利用を妨げる場合若しくは著作者又は著作権者の正当な利益を不当に害する場合のいずれかの著作物の複製。
    第25条

    著作者は、次の行為を禁止することができない。

    1. 専ら家族又は友人等の身近な人々に対してなされる無償の私的な上演・演奏;
    2. 保存又は研究のために著作物のコピーを図書館で保存するための手筈;
    3. 金銭的な利得を目的としない教育のための著作物の使用;
    4. クメール語から少数民族語への翻訳又は少数民族語からクメール語への翻訳。

    著作者の名前及び著作物の出所の明確な表示がある場合は、次の行為は、著作者による禁止の対象にはならない。

    • 著作物の批評、論争、教育学、学術又は情報の性質によって正当化される分析及び短い引用。
    • 新聞雑誌の論評の放送。
    • 新聞雑誌の発表又はテレビ放送を通した、公衆全体又はその一部に向けられた演説の伝播。
    • 原著作物に基づくコミック、スタイル又はカリカチュアの翻案。
    • 公共の場にあるグラフィック又は造形の著作物の複製であって、この複製が後の複製の主たる対象とはならないもの。
    第26条

    人又は家族の人生の実話に基づく著作物の著作者は、その者又はその家族の相続人である家族のメンバーに許諾を求めなければならない。

    第27条

    著作物の一時的な複製は、この複製が、権利者から許諾が与えられた著作物の使用の過程で生じることを条件として、認められる。

    第28条

    この法律の第21条の規定にかかわらず、著作者の許諾なしに、かつ、報酬の支払いなしに、正当に発行された著作物を別の著作物に引用することができる。
    この引用による複製は、出所及び著作者の名前がその出所において与えられている場合には著作者の名前が示されるという条件で行われなければならない。このような引用も必要な目的を超えて行ってはならない。

    第29条

    この法律の第21条の規定にかかわらず、次のことが認められる。

    1. 合法的に発行された著作物を、書籍や新聞等の発行物において例証の目的で、又は教育を目的とした放送若しくは音又は視覚的な上映によって、報酬の支払いなしに使用すること。この関係で、出所及び著作者の名前が出所において与えられている場合には、著作者の名前が特定されなければならない。
    2. 分離されている記事、新聞又は雑誌の記事若しくは合法的に発行された著作物の短い抜粋の複製。この複製は、複写の手段によりなされ、直接又は間接的に商業的な利得に繋がらない教育施設による授業又は試験のために使用されなければならず、かつ、当該特別の目的に応じた適切な理由と共になされることを条件として、行うことができる。この複製は、著作者の許諾なしに、かつ、報酬の支払いなしに行うことができるが、著作者の名前が出所において表示されている場合には、この出所と名前が特定されなければならない。

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    第5節 財産的権利の保護期間

    第30条

    財産的権利の保護は、著作物の創作の日から始まる。この保護は、著作者の生存中及びその死後50年をカバーする。
    共同著作物の場合、財産的権利は、最後に死亡した著作者の生存中及びその死後50年保護される。

    第31条

    無名の方法又は変名で発行された著作物の財産的権利は、このような著作物が、権利者の許諾を得て最初に発行された暦年の終わりから数えて75年間保護される。
    この著作物の創作から50年間このような出来事が生じない場合には、75年の保護期間が、このような著作物が公衆にアクセス可能になった暦年の終わりから数えられる。
    この著作物の創作から50年間このような出来事が生じない場合には、100年の保護期間が、その創作の暦年の終わりから数えられる。
    当該期間の満了前に、著作者の身元が明らかにされた場合又は公衆に疑いがない形で証明された場合には、第30条の規定が適用される。
    集合著作物、視聴覚著作物又は遺著の財産的権利は、このような著作物が最初に合法的に発行された暦年の終わりから数えて75年間保護される。
    この著作物の創作から50年間このような出来事が生じない場合には、50年の保護期間が、このような著作物が公衆にアクセス可能になった暦年の終わりから数えられる。
    この著作物の創作から50年間このような出来事が生じない場合には、100年の保護期間が、その創作の暦年の終わりから数えられる。

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    第6節 財産的権利の移転

    第32条

    この法律の第22条の各項に言及された権利の移転は、他の項に規定されたその他の権利の移転を意味しない。
    本条に言及された権利の一つの移転又はライセンスの付与をカバーする契約が存在するとき、その有効な範囲は、その契約で定められている利用の条件に限定される。

    第33条

    著作者の死亡を理由として、財産的権利は、著作者の相続人又は著作者の遺言規定に基づいて第三者に移転することができる。
    相続人又は遺言がない場合には、文化芸術省が代表する国が、この権利の管理及び運用の責任を負う。

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    第7節 財産的権利の利用

    第34条

    財産的権利の利用契約は、書面で述べられなければならず、書面によらない場合は、この契約は無効とみなされる。著作者又は権利者のみが、契約の無効の理由を提示することができる。

    第35条

    著作者の権利の利用の移転契約は、書面で述べ、これらの移転された権利の利用の各領域を別々に規定し、適切にその範囲、程度、場所、目的及び期間を限定しなければならない。

    第36条

    個々の著作者が、集合著作物の作成の枠組みにおいて、別々の著作物に寄与した場合、別段の定めがない限り、これらの個々の著作者は、自身の寄与を別々に利用することができる。ただし、著作者がこの集合著作物の利用にいかなる損害も与えないことを条件とする。
    共同著作者によって創作された著作物の場合、共同著作者の同意がない限り、利用することができない***。これらの共同著作者が同意に達することができない場合、裁判所がこの事案を決定する。

    第37条

    著作者の著作物の利用に対する権利の移転は、全体又は一部とすることができる。著作者は、移転契約の定めにしたがって、この移転から利益を受けるであろう。

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    第8節 著作物の寄託及び登録

    第38条

    すべての著作物は、自動的に保護される。著作者又は共同著作者は、その著作物を文化芸術省に寄託することができる。

    第39条

    登録は、自発的に文化芸術省に行うことができる。この登録には、著作者の実名、著作物の最初の発行日、著作物の創作日の記録及び著作者の権利の記録が必要とされる。

    第40条

    文化芸術省は、登録された著作物の登録証明書を発行する。申請者は、文化芸術省と経済財政省の共同宣言(PRAKAS)にしたがって、登録料を支払わなければならない。

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