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    第2部 実演の権利


    導入規定

    (実演家及び録音・録画権を有する者に付与される権利)
    第180条
    (1) この部の規定は、次に掲げる者に対して権利を付与し、かつ、違法録音・録画物を利用し、又は使用すること及びその他の若干の関係する行為(第198条及び第201条参照)に関して、罪を創設する。
    (a) 実演家に対して、その実演の利用についてその同意を要求することにより(第181条から第184条まで参照)。
    (b) 実演に関して録音・録画権を有する者に対して、その者の同意又は実演家の同意を得ずに作成される録音・録画物に関して(第185条から第188条まで参照)。
    (2) この部において、
    「実演」とは、1人若しくは2人以上の個人により行われる生の実演であり、又は生の実演である限り、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
    (a) 演劇的実演(舞踏及び無言劇を含む。)
    (b) 音楽的実演
    (c) 文芸の著作物の朗読又は朗誦
    (d) 寄席演芸又はいずれもの類似の上演の実演
    実演に関して、「録音・録画物」とは、次に掲げるいずれかに該当する映画又は録音物をいう。
    (a) 生の実演から直接作成されるもの。
    (b) 実演の放送から作成されるもの。
    (c) 実演の他の録音・録画物から直接又は間接的に作成されるもの。
    (3) この部の規定により付与される権利は、この部の規定の施行前に行われる実演に関して適用される。ただし、施行前に行われ、又は施行前に行われる準備に従って行われる他のいずれの行為も、これらの権利を侵害するものとはみなされない。
    (4) この部の規定により付与される権利は、次に掲げるものとは別個独立のものである。
    (a) 実演されたいずれかの著作物又は実演のいずれかの映画若しくは録音物又は実演の放送のいずれもの著作権又はこれらに関する著作者人格権
    (b) この部の規定に基づく以外に生ずる他のいずれもの権利又は義務

    実演家の権利

    (資格ある実演)
    第181条
    実演が資格ある個人(第206条に定義された)により又は資格ある国(そのように定義された)において行われるときは、その実演は、実演家の権利に関するこの部の規定の目的上、資格ある実演である。

    (生の実演の録音・録画等について要求される同意)
    第182条
    (1) 実演家の権利は、その同意を得ずに次に掲げることを行う者により侵害される。
    (a) 資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物を、生の実演から直接作成すること。
    (b) 資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分を生で放送すること。
    (c) 資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物を、生の実演の放送から直接作成すること。
    (2) 削除
    (3) この条に基づいて提起される実演家の権利の侵害に対する訴訟において、侵害の時に合理的な根拠に基づいて同意が与えられていたと信じた旨を申し立てる被告に対しては、損害賠償は裁定されない。

    (録音・録画物の複製について要求される同意)
    第182条のA
    (1) 実演家の権利は、その同意を得ずに、資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物の複製物を作成する者により侵害される。
    (1A) 第1項において、録音・録画物の複製物の作成は、一時的である複製物の作成又は原録音・録画物の他のいずれかの使用に付随する複製物の作成を含む。
    (2) 複製物が直接作成されるか又は間接的に作成されるかは、重要ではない。
    (3) そのような複製物の作成を許諾し、又は禁止するこの条に基づく実演家の権利は、この部において「複製権」として言及される。

    (複製物の公衆への配布について要求される同意)
    第182条のB
    (1) 実演家の権利は、その同意を得ずに、資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物の複製物を公衆に配布する者により侵害される。
    (2) この部における録音・録画物の複製物の公衆への配布への言及は、次に掲げるいずれかの行為への言及である。
    (a) 実演家により又はその同意を得てEEAにおいて以前流通していない複製物を、EEAにおいて流通させる行為
    (b) EEAその他において以前流通していない複製物を、EEA外において流通される行為
    (3) この部における録音・録画物の複製物の公衆への配布への言及は、次に掲げる行為を含まない。
    (a) 以前流通していた複製物の以後のいずれかの頒布、販売、賃貸又は貸付(ただし、第182条のC――レンタル又は貸与について要求される同意参照)
    (b) そのような複製物の連合王国又は他のEEA加盟国への以後のいずれかの輸入
    ただし、第2項(a)号の規定が、EEA外において以前流通していた複製物をEEAにおいて流通させることについて適用される場合を除く。
    (4) この部における実演の録音・録画物の複製物の配布への言及は、生の実演の原録音・録画物の配布を含む。
    (5) 複製物の公衆への配布を許諾し、又は禁止するこの条に基づく実演家の権利は、この部において「頒布権」として言及される。

    (複製物の公衆へのレンタル又は貸与について要求される同意)
    第182条のC
    (1) 実演家の権利は、その同意を得ずに、資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物の複製物を公衆にレンタルし、又は貸与する者により侵害される。
    (2) この部において、この条の以下の規定に従うことを条件として、
    (a) 「レンタル」とは、返却されること又は返却されうることを条件として、直接若しくは関接の経済的又は商業的利得のために、録音・録画物の複製物を使用に供することをいう。
    (b) 「貸与」とは、返却されること又は返却されうることを条件として、直接若しくは間接の経済的又は商業的利得のために、公衆が利用することができる施設を通じて、録音・録画物の複製物を使用に供することをいう。
    (3) 「レンタル」及び「貸与」という表現は、次に掲げる行為を含まない。
    (a) 公の実演、公の演奏若しくは公の上映又は公衆への伝達を目的として提供すること。
    (b) 公の展示を目的として提供すること。
    (c) 現場での参考用に提供すること。
    (4) 「貸与」という表現は、公衆が利用することができる施設間に提供することを含まない。
    (5) 公衆が利用することができる施設による貸与が、その施設の運営費を賄うに必要な金額を超えない金額の支払いを生じる場合には、この条の目的上、直接若しくは間接の経済的又は商業的利得は、存在しない。
    (6) この部における実演の録音・録画物の複製物のレンタル又は貸与への言及は、生の実演の原録音・録画物のレンタル又は貸与を含む。
    (7) この部において、
    「レンタル権」とは、複製物の公衆へのレンタルを許諾し、又は禁止するこの条に基づく実演家の権利をいう。
    「貸与権」とは、複製物の公衆への貸与を許諾し、又は禁止するこの条に基づく実演家の権利をいう。

    (公衆への提供について要求される同意)
    第182条のCA
    (1) 実演家の権利は、その同意を得ずに、資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物を、公衆の構成員がその個々に選択する場所から、かつ個々に選択する時間にその録音・録画物にアクセスすることができるように、電子的送信によって公衆に提供する者により侵害される。
    (2) 録音・録画物の公衆への提供を許諾し、又は禁止するこの条に基づく実演家の権利は、この部において「提供権」として言及される。

    (録音物の利用についての公正な報酬の請求権)
    第182条のD
    (1) 資格ある実演の全体又はいずれかの実質的部分の商業的に発行された録音物が、次に掲げるいずれかの行為の対象となる場合には、実演家は、その録音物の著作権の所有者からまたは、または、当該録音物の著作権が第191条のHAにしたがって消滅している場合には、当該録音物を公に演奏し、又は公衆に対して当該録音物を伝達する者から、公正な報酬を受ける資格を有する。
    (a) 公に演奏すること。
    (b) 第182条のCA第1項に定める方法で公衆に提供することによる以外に公衆に伝達すること。
    (2) 実演家は、この条に基づく公正な報酬の請求権を、徴収団体が実演家のためにその権利を執行することを可能とする目的のために徴収団体に譲渡する以外には、譲渡することができない。
    ただし、この権利は、人的財産又は動産として、遺言による処分又は法律の作用により移転することができ、また、その権利がその手に渡るいずれの者も、その権利を譲渡し、又は更に移転することができる。
    (3) 公正な報酬として支払われる金額は、以下の規定に従うことを条件として、それを支払う者及びその支払いを受ける者により、又はそれらの者のために合意されるところによる。
    (4) 公正な報酬として支払われる金額についての合意がないときは、それを支払う者又はその支払いを受ける者は、支払われる金額を決定することを著作権審判所に申請することができる。
    (5) 公正な報酬の支払いを受ける者又はそれを支払う者は、また、次に掲げることを著作権審判所に申請することができる。
    (a) 支払われる金額についてのいずれかの合意を変更すること。
    (b) その事項についての審判所の以前のいずれかの決定を変更すること。
    ただし、審判所の特別の許可がある場合を除き、以前の決定の日から12か月以内にそのようないずれの申請も行うことができない。
    この項に基づく申請を受けて定められる命令は、その命令が定められる日又は審判所が明示することができる後の日から効力を有する。
    (6) この条に基づく申請があったときは、審判所は、事項を検討し、かつ、録音物への実演家の寄与の重要性を考慮しつつ、状況上合理的であると決定することができる公正な報酬の算定及び支払いの方法について命令を定める。
    (7) 合意は、それが次に掲げるいずれかのことを意図する限りは、効力を有しない。
    (a) この条に基づく公正な報酬の請求権を排除し、又は制限すること。
    (b) 公正な報酬の金額をある者が質問することを阻止し、又はこの条に基づく著作権審判所の権限を制限すること。

    (同意を得ずに作成された録音・録画物の使用による実演家の権利の侵害)
    第183条
    実演家の権利は、実演家の同意を得ずに作成された録音・録画物であって、実演家の同意を得ずに作成されたことをその者が知り、又はそう信じる理由を有するものを用いて、実演家の同意を得ずに次に掲げるいずれかのことを行う者により侵害される。
    (a) 資格ある実演の全体若しくはいずれかの実質的部分を公に上映し、又は演奏すること。
    (b) 資格ある実演の全体若しくはいずれかの実質的部分を公衆に伝達すること。

    (違法録音・録画物の輸入、所持又は利用による実演家の権利の侵害)
    第184条
    (1) 実演家の権利は、違法録音・録画物である資格ある実演の録音・録画物であって、違法録音・録画物であることをその者が知り、又はそう信じる理由を有するものについて、実演家の同意を得ずに次に掲げるいずれかのことを行う者により侵害される。
    (a) その者の私的及び家庭内の使用のため以外に連合王国に輸入すること。
    (b) 業務の過程において、所持し、販売し、賃貸させ、販売若しくは賃貸のために提供し、若しくは陳列し、又は頒布すること。
    (2) この条に基づいて提起される実演家の権利の侵害に対する訴訟において、被告が、違法録音・録画物がその者又はその者の前権利者により善意で取得された旨を証明する場合には、侵害についてその者に対して利用することができる唯一の救済は、訴えられた行為についての合理的な支払いを超えない損害賠償である。
    (3) 第2項において、「善意で取得された」とは、録音・録画物を取得する者が、それが違法録音・録画物であることを知らず、かつ、そう信じる理由を有しなかったことをいう。

    録音・録画権を有する者の権利

    (排他的録音・録画契約及び録音・録画権を有する者)
    第185条
    (1) この部において、「排他的録音・録画契約」とは、実演家と他の者との間の契約であって、それに基づいてその者が、他のすべての者(実演家を含む。)を排除して、実演家の1又は2以上の実演の録音・録画物をその商業的利用を目的として作成する資格を有するとするものをいう。
    (2) 実演に関して、この部における「録音・録画権を有する者」への言及は、(第3項に従うことを条件として)、資格ある者である次に掲げるいずれかの者への言及である。
    (a) 実演を対象とする排他的録音・録画契約の当事者であり、かつ、その契約の利益を有する者
    (b) そのような契約の利益の譲渡を受けた者
    (3) 実演が排他的録音・録画契約の対象であるが、第2項に掲げる者が資格ある者でないときは、実演に関して、この部における「録音・録画権を有する者」への言及は、資格ある者である次に掲げるいずれかの者への言及である。
    (a) 実演の録音・録画物をその商業的利用を目的として作成することをそのような者により許諾される者
    (b) そのような許諾の利益の譲渡を受けた者
    (4) この条において、「商業的利用を目的として」とは、録音・録画物が販売され、賃貸され、又は公に上映され、若しくは演奏されることを目的としてをいう。

    (排他的契約の対象である実演の録音・録画について要求される同意)
    第186条
    (1) 実演に関して録音・録画権を有する者の同意又は実演家の同意を得ずに、実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物を作成する者は、その録音・録画権を有する者の権利を侵害する
    (2) この条に基づいて提起されるそれらの権利の侵害に対する訴訟において、侵害の時に合理的な根拠に基づいて同意が与えられていたと信じた旨を証明する被告に対しては、損害賠償は裁定されない。

    (同意を得ずに作成された録音・録画物の使用による録音・録画権の侵害)
    第187条
    (1) 実演に関して録音・録画権を有する者の同意又は資格ある実演の場合には実演家の同意を得ずに、適当な同意を得ずに作成された録音・録画物であって、適切な同意を得ずに作成されたことをその者が知り、又はそう信じる理由を有するものを用いて、次に掲げるいずれかのことを行う者は、その録音・録画権を有する者の権利を侵害する。
    (a) 実演の全体若しくはいずれかの実質的部分を公に上映し、又は演奏すること。
    (b) 実演の全体若しくはいずれかの実質的部分を公衆に伝達すること。
    (2) 第1項における「適切な同意」への言及は、次に掲げるいずれかの者の同意への言及である。
    (a) 実演家
    (b) 同意が与えられた時に実演に関して録音・録画権を有していた者(又は2人以上のそのような者がいたときは、それらの者すべて)

    (違法録音・録画物の輸入、所持又は利用による録音・録画権の侵害)
    第188条
    (1) 実演に関して録音・録画権を有する者の同意又は資格ある実演の場合には実演家の同意を得ずに、違法録音・録画物である実演の録音・録画物であって、違法録音・録画物であることをその者が知り、又はそう信じる理由を有するものについて、次に掲げることを行う者は、その録音・録画権を有する者の権利を侵害する。
    (a) その者の私的及び家庭内の使用のため以外に連合王国に輸入すること。
    (b) 業務の過程において、所持し、販売し、賃貸し、販売若しくは賃貸のために提供し、若しくは陳列し、又は頒布すること。
    (2) この条に基づいて提起されるそれらの権利の侵害に対する訴訟において、被告が、違法録音・録画物がその者又はその者の前権利者により善意で取得されたことを証明する場合には、侵害についてその者に対して利用することができる唯一の救済は、訴えられた行為についての合理的な支払いを超えない損害賠償である。
    (3) 第2項において、「善意で取得された」とは、録音・録画物を取得する者が、それが違法録音・録画物であることを知らず、かつ、そう信じる理由を有しなかったことをいう。

    付与される権利の例外

    (この部により付与される権利にかかわらず許される行為)
    第189条
    附則第2の規定は、この部により付与される権利にかかわらず行うことができる行為であって、第1部第3章に明示する行為(著作権にかかわらず許される行為)のあるものに広範囲に対応するものを明示する。

    (ある種の場合に実演家のために同意を与える審判所の権限)
    第190条
    (1) 著作権審判所は、実演の録音・録画物の複製物を作成することを希望する者の申請を受けて、複製権について資格を有する者の身元又は所在を合理的な調査により確認することができない場合には、同意を与えることができる。
    (2) 審判所が与える同意は、次に掲げる規定の目的上、複製権について資格を有する者の同意としての効力を有し、また、審判所の命令に明示されるいずれの条件にも従うことを条件として、与えることができる。
    (a) 実演家の権利に関するこの部の規定
    (b) 第198条第3項(a)号(刑事上の責任――資格ある実演に関する十分な同意)の規定
    (3) 審判所は、第150条(一般的手続規則)に基づいて定められる規則が要求することができる通知又は審判所がいずれかの特定の場合に指示することができる通知の送達又は公表の後以外は、第1項(a)号に基づく同意を与えない。
    (4) 削除
    (5) いずれの場合にも、審判所は、次に掲げる要因を考慮する。
    (a) 原録音・録画物が実演家の同意を得て作成され、かつ、以後の録音・録画物を作成することを提案する者がそれを適法に所有し、又は管理しているかどうか。
    (b) 以後の録音・録画物の作成が、原録音・録画物がそれに基づいて作成された協定の両当事者の義務と一致しており、又はその他原録音・録画物が作成された目的と一致しているかどうか。
    (6) この条に基づく同意を与える場合には、審判所は、申請者と複製権について資格を有する者との間に合意がないときは、与えられる同意の対価としてその者に対して行われる支払いについて適当と認める命令を定める。

    権利の存続期間

    (権利の存続期間)
    第191条
    (1) 以下に定める規定は、この部により付与される権利の存続期間について、効力を有する。
    (2) 実演に関してこの部により付与される権利は、以下の規定に従うことを条件として、次に掲げる時に消滅する。
    (a) 実演が行われる暦年の終わりから50年の期間の終わり
    (b) その期間の間に(録音物以外の)実演家の録音・録画物が公表されるときは、それが公表される暦年の終わりから50年の期間の終わり
    (c) その期間の間に実演の録音物が公表されるときは、それが公表される暦年の終わりから70年の期間の終わり。
    (3) 第2項の目的上、録音・録画物は、それが最初に発行され、公に演奏され、若しくは上映され、又は公衆に伝達される時に、「公表される」。ただし、録音・録画物が公表されたかどうかを決定する際に、いずれの無許諾の行為も、なんら考慮されない。
    (4) 実演家がEEA加盟国の国民でない場合には、その実演に関してこの部により付与される権利の存続期間は、その実演家がその国民である国においてその実演が資格を有する期間とする。ただし、第2項及び第3項に基づいて適用される期間を超えない。
    (5) 第4項の規定の適用が、1993年10月29日前に連合王国が従うこととなった国際的義務と矛盾するときは、又はその限度において、この部により付与される権利の存続期間は、第2項及び第3項に明示するところによる。

    実演家の財産権

    (実演家の財産権)
    第191条のA
    (1) この部により実演家に付与される次に掲げる権利が、財産権(「実演家の財産権」)である。
    複製権(第182条のA)
    頒布権(第182条のB)
    レンタル権及び貸与権(第182条のC)
    提供権(第182条のCA)
    (2) この部における実演家の同意への言及は、実演家の財産権に関して、権利者の同意への言及として解釈される。
    (3) 異なる者が、実演に関して、実演家の財産権の異なる側面について資格を有する(部分譲渡その他の結果として)場合には、権利者は、この部のいずれの目的上も、その目的に関係する権利の側面について資格を有する者である。
    (4) 実演家の財産権(又はそのいずれかの側面)が、2人以上の者の共有である場合には、この部における権利者への言及は、すべての権利者への言及であり、したがって、特に、権利者の許諾のいずれの要件も、すべての権利者の許諾を必要とする。

    (譲渡及び許諾)
    第191条のB
    (1) 実演家の財産権は、人的財産又は動産として、譲渡、遺言による処分又は法律の作用により、移転することができる。
    (2) 実演家の財産権の譲渡その他の移転は、部分的とすること、すなわち、次に掲げるものについて適用されるように限定することができる。
    (a) 権利者の同意を必要とする事項の1又は2以上であって全部でないもの
    (b) 権利が存続すべき期間の一部分であって全体でないもの
    (3) 実演家の権利の譲渡は、譲渡人により、又はその者のために署名された書面によらない限り、有効ではない。
    (4) 実演家の財産権の所有者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得た者を除き、権利上の利益についてのすべての権利承継人を拘束する。また、この部における権利者の許諾を得て、又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される。

    (実演家の財産権の将来の帰属)
    第191条のC
    (1) この条の規定は、実演の将来の録音・録画物に関して結ばれる協定であって、実演家により又は実演家のために署名されたものにより、実演家がその実演家の財産権(全部又は一部)を他の者に譲渡することを意図する場合について、適用される。
    (2) 存在することとなる権利について、譲受人又はその者の下で主張する他の者が、その者に権利が帰属することを他のすべての者に対して要求する資格があるときは、それらの権利は、この項に基づいて譲受人又はその権利承継人に帰属する。
    (3) 実演家の財産権の将来の所有者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得た者を除き、権利上の利益(又は将来の利益)についてのすべての権利承継人を拘束する。
    この部における権利者の許諾を得て又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される。
    (4) 第3項において、実演家の財産権に関して「将来の所有者」とは、第1項に定める協定に基づいてそれらの権利について将来資格を有することとなる者をいう。

    (排他的許諾)
    第191条のD
    (1) この部において、「排他的許諾」とは、権利者の同意を必要とするいずれかのことを行う許諾を得た者(許諾を付与する者を含む他のすべての者を排除して)に許諾する実演家の財産権の所有者により、又はその者のために署名される書面による許諾をいう。
    (2) 排他的許諾に基づいて許諾を得た者は、許諾を付与する者に対して有する権利と同一の権利を、許諾により拘束される権利承継人に対しても有する。

    (遺言に基づいて未発行の原録音・録画物とともに移転する実演家の財産権)
    第191条のE
    遺贈(一般的な又は特定の)に基づいてある者が収益を目的として又はその他により、遺言者の死亡前に発行されなかった実演の原録音・録画物を含んでいるいずれかの資料について資格を有する場合には、その遺贈は、遺言者の遺言又は遺言補足書において反対の意図が示されない限り、遺言者がその死亡の直前に資格を有していた録音・録画物に関して、実演家のいずれの権利をも含むものと解釈される。

    (映画製作協定の場合におけるレンタル権の移転の推定)
    第191条のF
    (1) 映画製作に関する協定が実演家と映画製作者との間で締結される場合には、実演家は、協定が反対のことを規定しない限り、実演の録音・録画物の映画への挿入から生じる映画に関するいずれのレンタル権も、映画製作者に移転したものと推定される。
    (2) この条の規定が適用される場合には、実演家による又は実演家のための署名の欠如は、第191条のC(将来の権利の意図的譲渡の効力)の作用を排除しない。
    (3) 第1項における実演家と映画製作者との間で締結される協定への言及は、それらの者が直接に又は仲介者と通して結んだかどうかを問わず、それらの者の間で効力を有するいずれの協定をも含む。
    (4) 第191条のG(レンタル権の移転による公正な報酬の請求権)の規定は、現実の移転の場合に適用されると同様に、この条に基づく推定の移転がある場合にも、適用される。

    (レンタル権が移転した場合における公正な報酬の請求権)
    第191条のG
    (1) 実演家が録音物又は映画に関するそのレンタル権を録音物又は映画の製作者に移転した場合には、その実演家は、レンタルについて公正な報酬の請求権を保持する。
    1人の者による他の者へのレンタル権の移転への前記の言及は、それらの者が直接に又は仲介者を通して結んだかどうかを問わず、その効力を有するいずれの協定をも含む。
    (2) 実演家は、この条に基づく公正な報酬の請求権を、徴収団体が実演家のためにその権利を執行することを可能とする目的のために徴収団体に譲渡する以外には、譲渡することができない。
    ただし、この権利は、人的財産又は動産として、遺言による処分又は法律の作用により移転することができ、また、その権利がその手に渡るいずれの者も、その権利を譲渡し、又は更に移転することができる。
    (3) この条に基づく公正な報酬は、レンタル権について当分の間資格を有する者、すなわち、その権利の移転を受けた者又はその者のいずれの権利承継人に対しても支払われる。
    (4) 公正な報酬として支払われる金額は、第191条のH(著作権審判所への金額の付託)の規定に従うことを条件として、それを支払う者及びその支払いを受ける者により、又はそれらの者のために合意されるところによる。
    (5) 合意は、それがこの条に基づく公正な報酬の請求権を排除し、又は制限することを意図する限り、無効である。
    (6) この条において、「徴収団体」とは、公正な報酬の請求権を2人以上の実演家のために行使することを主たる目的又は主たる目的の1つとする協会その他の団体をいう。

    (公正な報酬――著作権審判所への金額の付託)
    第191条のH
    (1) 第191条のGに基づく公正な報酬として支払われる金額についての合意がないときは、それを支払う者又はその支払いを受ける者は、支払われる金額を決定することを著作権審判所に申請することができる。
    (2) 公正な報酬の支払いを受ける者又はそれを支払う者は、また、次に掲げることを著作権審判所に申請することができる。
    (a) 支払われる金額についてのいずれかの合意を変更すること。
    (b) その事項についての審判所の以前のいずれかの決定を変更すること。
    ただし、審判所の特別の許可がある場合を除き、以前の決定の日から12か月以内にそのようないずれの申請も行うことができない。
    この項に基づく申請を受けて定められる命令は、その命令が定められる日又は審判所が明示することができる後の日から効力を有する。
    (3) この条に基づく申請があったときは、審判所は、事項を検討し、かつ、映画又は録音物に対する実演家の寄与の重要性を考慮しつつ、状況上合理的であると決定することができる公正な報酬の算定及び支払いの方法について命令を定める。
    (4) 報酬は、それが単一の支払いとして支払われたこと、又はレンタル権の移転の時に支払われたことのみを理由として、不公正であるとはみなされない。
    (5) 合意は、それが公正な報酬の金額をある者が質問することを阻止し、又はこの条に基づく著作権審判所の権限を制限することを意図する限りは、効力を有しない。

    (実演家の録音物に関する財産権の移転)
    第191条のHA
    (1) この条は、実演家が、契約により、録音物の製作者に対して録音物の以下の権利を移転した場合に適用される。
    (a) 複製権、頒布権及び利用可能化権(提供権)、又は
    (b) 実演家の財産権
    (2) 50年間の最後に、製作者が以下の条件の一つまたは双方を満たさなかった場合、実演家は、契約を終了させる実演家の意図について製作者に対して書面による通知を与えることができる。
    (a) 条件1は、十分な数量の録音物の複製物を公衆に対して発行すること
    (b) 条件2は、公衆の構成員が彼又は彼女の選択した場所から及び時点において、当該録音物にアクセスすることができるような方法における電子的な伝送により、公衆に対して利用可能とすること。
    (3) 50年間の終わり以降のいつでも、製作者は、第2項に言及する条件の1つ又は双方を満たしていたが、それを充足しなくなった場合、実演家は当該契約を終了させる実演家の意図について、製作者に対して書面により通知を与えることができる。
    (4) 通知の日から開始して12カ月の期間の経過後、製作者が第2項に言及された条件を満たしていない場合、契約は終了し、録音物の著作権は消滅し、その効力はただちに生じる。
    (5) 契約は、それが第2項または第3項に基づいて通知を与える権利を排除または制限することを意図する限りにおいて、効力を有しない。
    (6) この条における権利の移転に対する言及は、直接に当事者間において、または中間介在者を通してなされるかにかかわらず、効力を有するいずれの契約も含む。
    (7) この条において、「50年間」とは以下を意味する。
    (a) 録音物が当初の期間の間に発行されている場合、その録音物が最初に発行された暦年の最後の年から50年間、または、
    (b) 最初の期間において録音物が発行されなかったが、公衆に対して演奏され、又は公衆に対して伝達されることにより、公衆に対して利用可能とされている場合には、公衆に対して最初に利用可能とされた暦年の終わりから50年の期間。
    しかし、録音物が発行され、公に演奏され、あるいは公衆に対して伝達されたか否かを決定する場合、許諾を得ないでなされたいずれの行為も考慮してはならない。
    「当初の期間」とは、当該録音物が作成された日から開始し、その録音物が作成された暦年の終わりから50年間経過する期間を意味する。
    「製作者」とは、録音物の著作権についてそのときに権利を得る資格を有していた者を意味する。
    「十分な数量」とは、録音物の複製物を公衆の合理的な要求を満足するような数量を意味する。
    「無許諾の行為」とは、第178条におけるのと同様の意味を有する。

    (移転に関する報酬の支払い)
    第191条のHB
    (1) 第191条のHA第1項(「移転契約」)に言及される権利の移転に関する契約に基づいて、移転に関する報酬に関する非経常的な支払いの資格を有する実演家は、以下の者から、各関連期間の各年の支払に対する資格を有する。
    (a) 製作者、または
    (b) 製作者が、録音物に関する著作権について排他的許諾を付与している場合には、その排他的許諾に基づく許諾を得た者(「排他的許諾を得た者」)。
    (2) この条において、「関連期間」とは以下を意味する。
    (a) 50年間の終わりから開始して12カ月の期間、及び
    (b) 録音物の著作権が消滅する日まで、以前の期間の終わりから開始する以降の各12カ月の期間
    (3) 製作者、又は、関連する場合には、排他的許諾を得た者は、実演家に対する配分に関して徴収団体に対して、以下に関して当該期間に受け取った総収入の20%と同額を、各関連期間に、その規則にしたがって、送金することにより、第1項に基づく権利を実行する。
    (a) 録音物に関する複製物の複製と公衆に対する発行、及び
    (b) 公衆の構成員が公衆が個別に選択した場所から及び時点において、当該録音物にアクセスすることができるような方法における電子的な伝送により、録音物を公衆に対して利用可能とすること。
    (4) 第3項に基づいて送金されることを要する料金は、各関連期間の終わりの6カ月以内に支払われ、負債として、徴収団体により取り戻し可能なものである。
    (5) 第6項は、以下の場合に適用される。
    (a) 実演家が、又は、関連する場合には、排他的許諾を得た者が、実演家が以下のことをできるようにするために、その者の所有にかかる又はその者の支配下にある情報を求めるために、製作者に対して書面による要求を行うこと。
    (i) 実演家が第1項に基づいて資格を有する毎年の支払の分量を明らかにするため、又は
    (ii) 徴収団体によるその分配を確保するため、及び
    (b) 製作者、又は関連する場合には、排他的許諾を得た者は、要求のあった日から開始して90日の期間内に情報を提供しない場合。
    (6) 実演家は、カウンティ裁判所に対して、又はスコットランドにおいては治安判事に対して、製作者、または関連する場合には、排他的許諾を得た者に対して、その情報を共有することを要求する命令を求めて、出訴することができる。
    (7) 契約は、それが第1項に基づく権利を排除または制限することを意図する限りにおいて、効力を有しない。
    (8) 第3項に基づいて送金されることが要求される分量に関するいずれの紛争がある場合、実演家は、支払われるべき分量を決定するために著作権権審判所に対して提訴することができる。
    (9) 実演家が、移転の対価に関して取り戻される支払いに対して、移転契約に基づいて権利を有する場合、支払は、製作者に支払われる分量から保留または控除する権利を与える契約におけるいずれの条項にもかかわらず、50年間の終わりから、満額についてなされなければならない。
    (10) この条において、「製作者」及び「50年間」の各文言は、191条のHAにおけるのと同様の意味を有する。
    「排他的許諾」は92条におけるのと同様の意味を有する。
    「徴収団体」は191G条におけるのと同様の意味を有する。

    (権利者が提訴することができる侵害)
    第191条のI
    (1) 実演家の財産権の侵害は、権利者が提訴することができる。
    (2) 実演家の財産権の侵害訴訟においては、損害賠償、差止命令、計算その他による救済であって、他のいずれの財産権の侵害についても利用することができるすべてのものを、原告は利用することができる。
    (3) この条の規定は、この部の以下に定める規定に従うことを条件として、効力を有する。

    (侵害訴訟における損害賠償についての規定)
    第191条のJ
    (1) 実演家の財産権の侵害訴訟において、侵害の時に、訴訟が関係する録音・録画物に権利が存続することを被告が知らず、かつ、そう信じる理由を有しなかったことが証明される場合には、原告は、被告に対する損害賠償について資格を有しない。ただし、他のいずれの救済をも害しない。
    (2) 裁判所は、実演家の財産権の侵害訴訟において、すべての状況、特に次に掲げることを考慮して、事案の判事が要求することができる追加の損害賠償を裁定することができる。
    (a) 侵害の悪質性
    (b) 侵害を理由として被告に生じるいずれかの利益

    (サービス提供者に対する差止命令)
    第191条のJA
    (1) 高等裁判所(スコットランドにおいては民事控訴院)は、サービス提供者が、そのサービスを実演家の財産権を侵害するために使用する他の者のことを実際に知っている場合には、そのサービス提供者に対して差止命令を与える権限を有する。
    (2) サービス提供者がこの条の目的上実際に知っているかどうかを決定する際に、裁判所は、特定の状況において適切と認めるすべての事項を考慮し、かつ、特に次に掲げることに配慮する。
    (a) 2002年の電子取引(EC指令)規則(SI2002/2013)規則第6第1項cに従って利用できる接触手段を通じて、サービス提供者が通知を受け取っていたかどうか。
    (b) いずれの通知も、次に掲げるものを含んでいるその範囲
    (i) 通知の送り手の氏名(フルネーム)及び住所
    (ii) 当該侵害の詳細
    (3) この条において、「サービス提供者」は、2002年の電子取引(EC指令)規則の規則第2により与えられる意味を有する。
    (4) 第177条の規定は、第1部について適用されると同様に、この条についても適用される。

    (侵害訴訟手続において権利の許諾を得る約束)
    第191条のK
    (1) 附則第2のA第17項(競争報告の結果として行使することができる権限)に基づく権利について許諾を利用することができる実演家の財産権の侵害訴訟手続において、合意することができる条件で、又は合意がないときは同項に基づいて著作権審判所が決定することができる条件で、許諾を得ることを被告が約束するときは、
    (a) いずれの差止命令も、被告に対して与えられない。
    (b) いずれの引渡し命令も、第195条に基づいて定められない。
    (c) 損害賠償として又は利得の計算において被告に対して取得することができる金額は、それらの条件によるそのような許諾が最も早い侵害の前に付与されていたときは、許諾を得た者としての被告により支払われたであろう金額の2倍を超えない。
    (2) 約束は、責任をなんら容認することなく、訴訟手続における最終命令の前いつでも与えることができる。
    (3) この条のいずれの規定も、権利の許諾を利用することができる前に犯された侵害について利用することができる救済に影響しない。

    (排他的許諾を得た者の権利及び救済)
    第191条のL
    (1) 排他的許諾を得た者は、実演家の財産権の所有者に対する場合を除き、許諾の付与の後に生じる事項について、許諾が譲渡であったものとして同一の権利及び救済を有する。
    (2) その者の権利及び救済は、権利者の権利及び救済と併存する。また、この部の関係規定における権利者への言及は、それに従って解釈される。
    (3) 排他的許諾を得た者がこの条に基づいて提起する訴訟において、被告は、訴訟が権利者により提起されたならば利用することができたいずれの抗弁をも利用することができる。

    (併存する権利の行使)
    第191条のM
    (1) 権利者又は排他的許諾を得た者が提起する実演家の財産権の侵害訴訟が、それらの者が併存する訴権を有する侵害に関係する(全体的又は部分的に)場合には、権利者又は場合により排他的許諾を得た者は、他の者が原告として参加し、又は被告として追加されない限り、裁判所の許可を得ずに訴訟を続行することはできない。
    (2) 第1項に従って被告として追加される権利者又は排他的許諾を得た者は、訴訟手続に参加しない限り、訴訟におけるいずれの費用についても責任を有しない。
    (3) 前記の規定は、権利者又は排他的許諾を得た者のみによる申請に基づく中間的救済の付与に影響しない。
    (4) 権利者及び排他的許諾を得た者が併存する訴権を有する、又は有した侵害に関係する(全体的又は部分的に)実演家の財産権の侵害訴訟が提起される場合には、
    (a) 裁判所は、損害賠償の査定において、次に掲げることを考慮する。
    (i) 許諾の条件
    (ii) 侵害についてそれらの者のうちの一方の者にすでに裁定され、又は提供されているいずれかの金銭的救済
    (b) 侵害についてそれらの者のうちの他方の者のために損害賠償の裁定が行われ、又は利得の計算が指示されたときは、いずれの利得の計算も指示されない。
    (c) 裁判所は、利得の計算が指示されるときは、それらの者の間のいずれの合意にも従うことを条件として、裁判所が正当と認めるところに従ってそれらの者の間で利得を配分する。
    また、これらの規定は、権利者及び排他的許諾を得た者の両者が訴訟の当事者であると否とを問わず、適用される。
    (5) 実演家の財産権の所有者は、第195条(引渡し命令)に基づく命令を申請する前又は第196条(押収の権利)により付与される権利を行使する前に、併存する権利を有するいずれの排他的許諾を得た者にも通知する。また、裁判所は、排他的許諾を得た者の申請を受けて、第195条に基づく命令又は場合により第196条により付与される権利の権利者による行使を禁止し、若しくは許可する命令であって、許諾の条件を考慮して裁判所が適当と認めるものを、定めることができる。

    非財産権

    (実演家の非財産権)
    第192条のA
    (1) 次に掲げる諸条により実演家に付与される権利は、以下に定める限度までを除き、譲渡し、又は移転することができない。
    第182条(生の実演の録音・録画等について要求される同意)
    第183条(同意を得ずに作成された録音・録画物の使用による実演家の権利の侵害)
    第184条(違法録音・録画物の輸入、所持又は利用による実演家の権利の侵害)
    第191条のHA(録音物における実演家の財産権の移転)及び第191条のHB(移転の対価の支払い)
    これらの権利は、この部において「実演家の非財産権」として言及される。
    (2) そのようないずれかの権利について資格を有する者の死亡により、
    (a) その権利は、その者が遺言による処分によって特別に指示することができる者に移転する。
    (b) そのような指示がないときは、又はその限度において、その権利は、その者の人格代表者が行使することができる。
    (3) そのようないずれかの権利を有する者の関係において、この部における実演家への言及は、当分の間それらの権利を行使する資格を有する者への言及と解釈される。
    (4) 第2項(a)号に基づいて、ある権利を2人以上の者が行使することができることとなる場合には、その権利は、それらの者の各人が他の者とは独立して行使することができる。
    (5) ある者の死亡後の侵害についてこの条に基づいて人格代表者により取得されるいずれの損害賠償も、訴権が存続し、かつ、その者の死亡の直前にその者に帰属していたものとして、その者の遺産の一部として移転する。

    (録音・録画権を有する者の権利の移転可能性)
    第192条のB
    (1) この部により録音・録画権を有する者に付与される権利は、譲渡し、又は移転することができない。
    (2) 第185条第2項(b)号又は第3項(b)号の規定が、契約又は許諾の利益の譲渡を受ける者にこの部に基づく権利を付与する限りは、第1項の規定は、それらの規定に影響しない。

    (同意)
    第193条
    (1) 実演家の非財産権を有する者又は録音・録画権を有する者によるこの部の目的のための同意は、特定の実演、特定の種類の実演又は実演一般に関して与えることができ、また、過去の又は将来の実演に関係することができる。
    (2) 実演の録音・録画権を有する者は、同意がその者により与えられていたと同様に、その者がその権利を当該排他的録音・録画契約又は許諾に基づいて得ている者により与えられるいずれの同意によっても拘束される。
    (3) 実演家の非財産権が他の者に移る場合には、以前資格を有した者を拘束するいずれの同意も、同意がその者により与えられていたと同様に、権利の移転を受ける者を拘束する。

    (法定義務の違反として提訴することができる侵害)
    第194条
    次に掲げるいずれの権利の侵害も、法定義務の違反として、権利について資格を有する者が提訴することができる。
    (a) 実演家の非財産権
    (b) この部により録音・録画権を有する者に付与されるいずれもの権利

    違法録音・録画物の引渡し又は押収

    (引渡し命令)
    第195条
    (1) ある者が実演の違法録音・録画物を業務の過程において自己の所有、保管又は管理の下に有する場合には、この部に基づいて実演に関して実演家の権利又は録音・録画権を有する者は、録音・録画物がその者又は裁判所が指示することができる他の者に引き渡される旨の命令を裁判所に申請することができる。
    (2) 第203条に明示する期間の終了後は、申請は行われない。また、いずれの命令も、第204条(違法録音・録画物の処分についての命令)に基づく命令を裁判所も定め、又はそのような命令を定める根拠があると裁判所が認めない限り、定められない。
    (3) この条に基づく命令に従って録音・録画物の引渡しを受ける者は、第204条に基づく命令が定められないときは、同条に基づく命令が定められるまでの間、又は命令を定めない旨の決定が行われるまでの間、その録音・録画物を保持する。
    (4) この条のいずれの規定も、裁判所の他のいずれの権限にも影響しない。

    (違法録音・録画物を押収する権利)
    第196条
    (1) 陳列されており、又は販売若しくは賃貸のために直接提供されていることが認められる実演の違法録音・録画物であって、それについてある者が第195条に基づく命令を申請する資格を有するものは、その者又はその者の許諾を得た者が押収し、かつ、保留することができる。
    押収し、及び保留する権利は、以下に定める条件に従って行使することができ、かつ、第204条(違法録音・録画物の処分についての命令)に基づく裁判所のいずれの決定にも従う。
    (2) いずれかのものがこの条に基づいて押収される前に、提案される押収の時期及び場所が地域の警察署に通知されなければならない。
    (3) いずれの者も、この条により付与される権利を行使する目的上、公衆が接近することができる構内に入ることができる。ただし、ある者の常置の又は正規の事業所においてその者の所有、保管又は管理の下にあるいずれのものをも押収することはできず、また、いずれの威力をも行使することはできない。
    (4) この条に基づいていずれかのものが押収される時には、押収を行う者又はそれを許可する者及びそれが行われる根拠についての所定の細目を含む所定の形式による掲示が、押収が行われた場所に残される。
    (5) この条において、
    「構内」は、土地、建築物、固定した又は可動の構造物、車両、船舶、航空機及びホーバークラフトを含む。
    「所定の」とは、所管大臣の命令により定められたことをいう。
    (6) この条に基づく所管大臣の命令は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる制定文書により定められる。

    (「違法録音・録画物」の意味)
    第197条
    (1) この部において、実演に関して「違法録音・録画物」は、この条の規定に従って解釈される。
    (2) 実演家の権利の目的上、その者の実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物は、それがその者の同意を得ずに私的目的のため以外に作成されるときは、違法録音・録画物である。
    (3) 録音・録画権を有する者の権利の目的上、排他的録音・録画契約に従う実演の全体又はいずれかの実質的部分の録音・録画物は、それがその者の同意又は実演家の同意を得ずに私的目的のため以外に作成されるときは、違法録音・録画物である。
    (4) 第198条及び第199条(罪及び刑事訴訟手続における引渡し命令)の目的上、録音・録画物は、それが第2項又は第3項に定める目的上違法録音・録画物であるときは、違法録音・録画物である。
    (5) この部において、「違法録音・録画物」は、附則第2の次に掲げる規定のいずれかに基づいて違法録音・録画物として取り扱われることとなる録音・録画物を含む。
    第1項のB(5)及び(7) (私的使用のための個人的複製物)
    第1項のD(3) (非商業的な調査のためのテキスト及びデータ解析のための複製物)
    第3A項(5)又は(6)又は第3B項(10)(障害者のための録音・録画物の利用可能複製物)
    第6項(2)(教育機関による放送の録音・録画)
    第6項のZA(7) (教育機関による著作物からの抜粋の複製と使用)
    第6項のF(5)(b) (司書による複製:発行された著作物の単一の複製物)
    第6項のG(5)(b) (司書又は記録保管人による複製:未発行の著作物の単一の複製物)
    第12項(2)(主たる録音・録画物の移転の時に保持される電子的形式による実演の録音・録画物)
    第14項(6)(b) (民謡の録音・録画物)
    第16項(3)(放送の目的のために作成される録音・録画物)
    第17項のA(2)(タイム・シフトの目的のための録音・録画)
    第17項のB(2)(放送の写真)
    ただし、同附則の規定のいずれかに従って作成される録音・録画物を含まない。
    (6) この条の目的上、録音・録画物が作成された場所は、重要ではない。



    (違法録音・録画物の作成、利用又は使用についての刑事責任)
    第198条
    (1) 違法録音・録画物である録音・録画物であり、かつ、違法録音・録画物であることをその者が知り、又はそう信じる理由を有するものについて、十分な同意を得ずに次に掲げるいずれかの行為を行う者は、罪を犯す。
    (a) 販売又は賃貸のために作成すること。
    (b) その者の私的及び家庭内の使用以外のために連合王国に輸入すること。
    (c) この部により付与される権利を侵害するいずれかの行為を犯す目的で、業務の過程において所持すること。
    (d) 業務の過程において、
    (i) 販売し、又は賃貸すること
    (ii) 販売若しくは賃貸のために提供し、又は陳列すること。
    (iii) 頒布すること。
    (1A) 次に掲げるいずれかにおいて実演家の提供権を侵害する者は、そうすることにより録音・録画物の提供権を侵害していることをその者が知り、又はそう信じる理由を有するときは、罪を犯す。
    (a) 業務の過程において。
    (b) 公衆への伝達において。
    (2) 十分な同意を得ずに作成された実演の録音・録画物について、次に掲げるいずれかの行為を行い、それにより、この部により付与される権利を侵害する者は、それらの権利がそれにより侵害されることをその者が知り、又はそう信じる理由を有するときは、罪を犯す。
    (a) 公に上映させ、又は演奏させること。
    (b) 放送させ、又は有線番組サービスに挿入させること。
    (3) 第1項及び第2項において、「十分な同意」とは、
    (a) 資格ある実演の場合には、実演家の同意をいう。
    (b) 排他的録音・録画契約の対象である資格のない実演の場合には、
    (i) 第1項(a)号(録音・録画物の作成)の目的上、実演家又は録音・録画権を有する者の同意をいう。
    (ii) 第1項(b)号、(c)号及び(d)号並びに第2項(録音・録画物の利用又は使用)の目的上、録音・録画権を有する者の同意をいう。
    この項における録音・録画権を有する者への言及は、同意が与えられる時にそれらの権利を有する者への言及、又は2人以上のそのような者がいるときは、それらの者のすべてへの言及である。
    (4) 附則第2のいずれかの規定に基づいて、この部により付与される権利を侵害することなく行うことができる行為の遂行により、第1項又は第2項に基づくいずれの罪も犯されない。
    (5) 第1項(a)号、(b)号又は(d)号(iii)に基づく罪について有罪とされる者は、次に掲げるいずれかの刑に処せられる。
    (a) 即決の有罪判決により、6か月を超えない期間の禁固若しくは罰金又はこの両刑
    (b) 起訴による有罪判決により、罰金若しくは2年を超えない期間の禁固又はこの両刑
    (5A) 第1項のAに基づく罪について有罪とされる者は、次に掲げるいずれかの刑に処せられる。
    (a) 即決の有罪判決により、3か月を超えない期間の禁固若しくは罰金又はこの両刑刑
    (b) 起訴による有罪判決により、罰金若しくは2年を超えない期間の禁固又はこの両刑
    (6) この条に基づくいずれか他の罪について有罪とされる者は、即決の有罪判決により、標準等級の段階5を超えない罰金若しくは6か月を超えない期間の禁固又はこの両刑に処せられる。

    (地方度量衡当局による執行)
    第198条のA
    (1) 第198条の規定を区域内で執行することは、各地方度量衡当局の任務とする。
    (2) 削除
    (3) 前記第1項の規定は、北部アイルランドにおける第198条の執行に関しては適用されない。ただし、北部アイルランドにおいて同条を執行することは、経済開発省の任務とする。
    (3A) 本条における任務に関して地方度量衡当局又は北アイルランドにおける企業貿易投資省において利用可能な調査権限については、2015年消費者権利法の附則5を参照。
    (4) 1968年の取引種目法の執行を容易にする目的上情報の開示を許可するいずれの法令も、第198条が同法に含まれているものとして、かつ、同条の執行に関するいずれの者の職務も同法に基づく職務であるとして、適用される。
    (5) この条のいずれの規定も、スコットランドにおいて罪についての訴訟手続を提起する権限を地方度量衡当局に与えるものと解釈されない。

    (刑事訴訟手続における引渡し命令)
    第199条
    (1) 第198条に基づく罪についてある者に対する訴訟手続の提起を受ける裁判所は、その者の逮捕又は告訴の時に、その者が実演の違法録音・録画物を業務の過程においてその者の所有、保管又は管理の下に有していたことを納得するときは、実演に関して実演家の権利若しくは録音・録画権を有する者又は裁判所が指示することができる他の者にその違法録音・録画物を引き渡すことを命令することができる。
    (2) この目的上、いずれの者も、次に掲げる時に、罪を告発されたものとして取り扱われる。
    (a) イングランド、ウェールズ及び北部アイルランドにおいては、口頭で告発され、又は召換状若しくは起訴状を送達される時
    (b) スコットランドにおいては、警告され、告発され、又は告訴状若しくは起訴状を送達される時
    (3) 命令は、裁判所の自己の発意により又は検察官(又はスコットランドにおいては検事総長若しくは地方検察官)の申請を受けて裁判所が定めることができ、また、その者がその罪について有罪と宣告されていると否とを問わず、定めることができる。ただし、次に掲げるいずれかに該当する場合には、定めることができない。
    (a) 第203条(以後は引渡しの救済を利用することができない期間)に明示する期間の終了の後
    (b) いずれの命令も第204条(違法録音・録画物の処分についての命令)に基づいて定められる見込みがないと裁判所が認めるとき。
    (4) 下級裁判所がこの条に基づいて定める命令に由来する上訴は、次に掲げる裁判所に係属する。
    (a) イングランド及びウェールズにおいては、刑事法院
    (b) 北部アイルランドにおいては、州裁判所
    また、スコットランドにおいては、命令がこの条に基づいて定められた場合には、その者の所有、保管又は管理から違法録音・録画物が移された者は、いずれかの法律規則に基づく他のいずれの形式の上訴をも害することなく、刑の宣告に対すると同一の方法により、その命令に対して上訴することができる。
    (5) この条に基づく命令に従って違法録音・録画物の引渡しを受ける者は、第204条に基づいて命令が定められるまでの間、又は命令を定めない決定までの間、その違法録音・録画物を保持する。
    (6) この条のいずれの規定も、2000年の刑事裁判所権限(判決)法第143条、1995年の犯罪収益(スコットランド)法第2部又は1994年の刑事裁判所(北部アイルランド)令第11条(刑事訴訟手続における没収についての一般規則)に基づく裁判所の権限に影響しない。

    (捜索令状)
    第200条
    (1) 治安判事(スコットランドにおいては執行官又は治安判事)が、警察官により与えられる宣誓に基づく情報(スコットランドにおいては宣誓に基づく証言)により、次に掲げることを信じる合理的な根拠があることを納得する場合には、同判事は、警察官が必要とされる合理的な威力を行使して、構内に入り、かつ、構内を捜索する権限を与える令状を発出することができる。
    (a) 第198条第1項又は第1項のA(違法録音・録画物の作成、輸入、所持、販売等又は頒布の罪)に基づく罪が、いずれかの構内において犯され、又は犯されようとしていること。
    (b) そのような罪が犯され、又は犯されようとしている証拠が、それらの構内にあること。
    (2) 第1項により付与される権限は、イングランド及びウェールズにおいては、1984年の警察及び刑事証言法第9条第2項(ある種類の個人的又は機密の資料)に定める種類の資料について捜索の権限を与えることには及ばない。
    (3) 第1項に基づく令状は、
    (a) 令状を執行するいずれかの警察官に同行する権限をいずれの者にも与えることができる。
    (b) その発出の日から3か月の間効力を有する。
    (3A) 第1項に基づいて発出される令状を執行する際に、警察官は、ある物品が、第198条第1項若しくは第1項のAに基づくいずれかの罪が犯され、又は犯されようとしていることの証拠であると合理的に信じるときは、その物品を押収することができる。
    (4) この条において、「構内」は、土地、建築物、固定した又は可動の構造物、車両、船舶、航空機及びホーバークラフトを含む。

    (同意を与える権限の虚偽の申立て)
    第201条
    (1) ある者が、実演に関してこの部の目的上同意を与える権限をいずれかの者により与えられている旨の虚偽の申立てをすることは、その者が合理的な根拠によりそのような権限を与えられていることを信じない限り、罪となる。
    (2) この条に基づく罪について有罪とされる者は、即決の有罪判決により、6か月を超えない期間の禁固若しくは標準等級の段階5を超えない罰金又はこの両刑に処せられる。

    (法人による罪――役員の責任)
    第202条
    (1) 法人が犯したこの部に基づく罪が、法人の取締役、支配人、書記その他類似の役員又はそのようないずれかの資格において行動すると称する者の同意又は黙認を得て犯されたことが立証される場合には、その者及び法人が、その罪について有罪とされ、訴えられ、かつ、それに従って処罰される。
    (2) その構成員により事務を管理される法人に関して、「取締役」とは、法人の構成員をいう。

    引渡し及び押収についての補則

    (以後は引渡しの救済を利用することができなくなる期間)
    第203条
    (1) 第195条(民事訴訟手続における引渡し命令)に基づく命令のための申請は、以下に定める規定に従うことを条件として、当該違法録音・録画物が作成された日から6年の期間の終了後は、行うことができない。
    (2) その期間の全体又はいずれかの部分の間に、命令を申請する資格を有する者が、次に掲げるいずれかに該当する場合には、申請は、その者が行為無能力の状態にあることをやめた日、又は場合により、合理的な努力によりそれらの事実を発見することができた日から6年の期間の終了前いつでも、その者が行うことができる。
    (a) 行為無能力の状態にある場合
    (b) 申請する資格をその者に与える事実を発見することを詐欺又は隠蔽により阻止される場合
    (3) 第2項において、「行為無能力」は、
    (a) イングランド及びウェールズにおいては、1980年の出訴期限法におけると同一の意味を有する。
    (b) スコットランドにおいては、1973年の時効及び出訴期限(スコットランド)法の意味における法的行為無能力をいう。
    (c) 北部アイルランドにおいては、1958年の出訴期限(北部アイルランド)法におけると同一の意味を有する。
    (4) 第199条(刑事訴訟手続における引渡し命令)に基づく命令は、いずれの場合にも、当該違法録音・録画物が作成された日から6年の期間の終了後は、定められない。

    (違法録音・録画物の処分についての命令)
    第204条
    (1) 第195条若しくは第199条に基づく命令に従って引き渡され、又は第196条により付与される権利に従って押収され、かつ、保留された実演の違法録音・録画物が、次に掲げるいずれかの処分を受ける旨の命令のための申請、又はそのようないずれの命令も定められない旨の決定のための申請を、裁判所に行うことができる。
    (a) 実演に関して実演家の権利若しくは録音・録画権を有する者であって、裁判所が指示することができる者に没収されること。
    (b) 裁判所が適当と認めるところに従って破棄され、その他処分されること。
    (2) いかなる命令(もしあれば)を定めるべきかを検討する際に、裁判所は、この部により付与される権利の侵害訴訟において利用することができる他の救済が、権利について資格を有する者に補償し、かつ、それらの者の利益を保護するために適当であるかどうかを検討する。
    (3) 録音・録画物に利害関係を有する者への通知の送達について、裁判所規則により規定が定められ、また、そのようないずれの者も、次に掲げることを行う資格を有する。
    (a) その者が通知の送達を受けたか否かにかかわらず、この条に基づく命令のための訴訟手続において出頭すること。
    (b) その者が出頭したか否かにかかわらず、定められたいずれの命令に対しても上訴すること。
    また、命令は、上訴の通知を与えることができる期間の終了までは、又はその期間の終了前に上訴の通知が正式に与えられるときは、上訴についての訴訟手続の最終決定若しくは破棄までは、効力を生じない。
    (4) 録音・録画物に利害関係を有する者が2人以上いる場合には、裁判所は、適当と認める命令を定め、かつ、(特に)録音・録画物を売却し、その他処分すること、及び収益を配分することを指示することができる。
    (5) 裁判所が、この条に基づくいずれの命令も定めないことを決定するときは、録音・録画物が引き渡され、又は押収される前にそれを所有し、保管し、又は管理していた者は、その返還について資格を有する。
    (6) この条における録音・録画物に利害関係を有する者への言及は、その録音・録画物について、この条又はこの法律第114条若しくは第231条又は1994年の商標法第19条(著作権、意匠権及び商標の侵害に関して類似の規定を定めている)に基づいて、その者のために命令を定めることができたいずれの者をも含む。

    (違法録音・録画物の没収:イングランド及びウェールズ又は北部アイルランド)
    第204条のA
    (1) イングランド及びウェールズ又は北部アイルランドにおいて、実演の違法録音・録画物が、関係する罪の捜査又は告発に関連していずれかの者の所有となった場合には、その者は、この条に基づいて、違法録音・録画物の没収のための命令を申請することができる。
    (2) この条の目的上、「関係する罪」とは、次に掲げるいずれかの罪をいう。
    (a) 第198条第1項又は第1項のA(違法録音・録画物の作成又は利用についての刑事責任)に基づく罪
    (b) 1968年の取引種目法(c.29)に基づく罪
    (c) 不正又は詐欺を伴う罪
    (3) この条に基づく申請は、次に掲げる場合に次に掲げる裁判所に対して行うことができる。
    (a) 違法録音・録画物のいずれか又はすべてに関する関係する罪について、いずれかの裁判所に訴訟手続が提起されている場合には、その裁判所に対して。
    (b) 違法録音・録画物の没収のための申請がa号に基づいて行われていない場合には、告訴として治安判事裁判所に対して。
    (4) この条に基づく申請があったときは、裁判所は、いずれかの違法録音・録画物に関して関係する罪が犯されていることを納得する場合に限り、それらの違法録音・録画物の没収のための命令を定める。
    (5) 裁判所は、この条の目的上、当該違法録音・録画物を代表する(同一の積送品又は一組ものの一部であることその他を理由として)違法録音・録画物に関してそのような罪が犯されていることを納得する場合には、それらのいずれの違法録音・録画物に関してもそのような罪が犯されていると推論することができる。
    (6) この条に基づいて治安裁判所が定める命令又はそのような裁判所がそのような命令を定めない旨の決定について不満であるいずれの者も、その命令又は決定に対して次に掲げる裁判所に上訴することができる。
    (a) イングランド及びウェールズにおいては、刑事裁判所に。
    (b) 北部アイルランドにおいては、州裁判所に。
    (7) この条に基づく命令は、いずれかの上訴(1980年の治安判事裁判所法(c.43)第11条又は1981年の治安判事裁判所(北部アイルランド)令(S.I1981/1675(N.I.26)第146条(事件の記述)に基づくいずれの申請も含む。)が行われ、かつそれが確定するまでの間命令の発効を遅らせるために適当であると裁判所が認める規定を含むことができる。
    (8) 第9項に従うことを条件として、いずれかの違法録音・録画物がこの条に基づいて没収される場合には、それらは、裁判所が与えることができる指示に従って破棄される。
    (9) この条に基づく命令を定めるに当たり、裁判所は、命令が関係する違法録音・録画物が(破棄される代わりに)当該実演家の権利又は録音・録画権を有する者に没収され、又は裁判所が適当と認める他の方法で処分されることを指示することができる。

    (没収:スコットランド)
    第204条のB
    (1) スコットランドにおいて、裁判所は、この条に基づいて、いずれの違法録音・録画物の没収についても命令を定めることができる。
    (2) この条に基づく命令は、次に掲げるいずれかの場合に定めることができる。
    (a) 1995年の刑事訴訟(スコットランド)法(c.46)第134条に明示する方法で行われる地方検察官による申請を受けて。
    (b) ある者が、裁判所が課すことができる他のいずれかの刑罰に加えて、関係する罪について有罪判決を受ける場合
    (3) 第2項(a)号に基づく申請があったときは、裁判所は、いずれかの違法録音・録画物に関して関係する罪が犯されていることを納得する場合に限り、それらの違法録音・録画物の没収のための命令を定める。
    (4) 裁判所は、この条の目的上、当該違法録音・録画物を代表する(同一の積送品又は一組ものの一部であることその他を理由として)違法録音・録画物に関してそのような罪が犯されていることを納得する場合には、それらのいずれの違法録音・録画物に関してもそのような罪が犯されていると推論することができる。
    (5) 第2項(a)号に基づいて申請を行う地方検察官は、申請が関係する違法録音・録画物の所有者又はその他それらに利害関係を有する者と認められるいずれの者に対しても、申請の写しとともに、違法録音・録画物が没収されるべきではないとの理由を示すために申請の審問に出頭する機会をその者に与える通知を送達する。
    (6) 第5項に基づく送達は、1995年の刑事訴訟(スコットランド)法に基づく即決の訴訟手続における被告発人の召喚について明示される方法で実行され、かつ、そのような送達は、そのような方法で証明することができる。
    (7) 第5項に基づいて通知の送達を受けるいずれの者も、及びこの条に基づく申請が関係する違法録音・録画物の所有者又はその他それらに利害関係を有する者であると主張する他のいずれの者も、違法録音・録画物が没収されるべきではないとの理由を示すために申請の審問に出頭する資格を有する。
    (8) 裁判所は、次に掲げる場合には、第2項a号に基づく申請を受けて命令を定めない。
    (a) 第5項に基づいて通知の送達を受けるいずれかの者が出頭しない場合には、その者への通知の送達が証明されない限り。
    (b) 第5項に基づく通知が送達されなかった場合には、そのような通知を送達しないことが状況上合理的であったことを裁判所が納得しない限り。
    (9) いずれかの違法録音・録画物の没収のための命令が、第2項(a)号に基づく申請を受けて定められる場合には、それらの違法録音・録画物が没収されるべきではないとの理由を示すために出頭した、又は出頭する資格を有したいずれの者も、命令の定めから21日以内に、保留訴状により高等裁判所に上訴することができる。
    (10) 1995年の刑事訴訟(スコットランド)法第182条第5項(a)号から(e)号までの規定は、同法第2部に基づいて記述された場合について適用されると同様に、第9項に基づく上訴についても適用される。
    (11) 第2項(a)号に基づく申請に伴う命令は、次に掲げるいずれかの時まで効力を生じない。
    (a) 命令が定められる日の次の日に始まる21日の期間の終了まで。
    (b) その期間内に前記第9項に基づいて上訴が行われる場合には、上訴が確定し、又は破棄されるまで。
    (12) 第2項(b)号に基づく命令は、次に掲げるいずれかの時まで効力を生じない。
    (a) 1995年の刑事訴訟(スコットランド)法に基づいて命令に対する上訴を提起することができた期間の終了まで。
    (b) その期間内に上訴が行われる場合には、上訴が確定し、又は破棄されるまで。
    (13) 第4項に従うことを条件として、この条に基づいて没収された違法録音・録画物は、裁判所が与えることができる指示に従って破棄される。
    (14) この条に基づく命令を定めるに当たり、裁判所は、命令が関係する違法録音・録画物が(破棄される代わりに)当該実演家の権利又は録音・録画権を有する者に没収され、又は裁判所が適当と認める他の方法で処分されることを指示することができる。
    (15) この条の目的上、
    「関係する罪」とは、第198条第1項若しくは第1項のA(違法録音・録画物の作成又は利用についての刑事責任)若しくは1968年の取引種目法(c.29)に基づく罪又は不正若しくは詐欺を伴ういずれかの罪をいう。
    「裁判所」とは、次に掲げるいずれかをいう。
    (a) 第2項(a)号に基づく申請を受けて定められる命令に関しては、執行官
    (b) 第2項(b)号に基づいて定められる命令に関しては、刑罰を課した裁判所

    (州裁判所及び執行官裁判所の管轄権)
    第205条
    (1) イングランド及びウェールズの州裁判所、北部アイルランドにおける、州裁判所は、次に掲げるいずれかの条に基づいて訴訟手続を受理することができる。
    第195条(違法録音・録画物の引渡し命令)
    第204条(違法録音・録画物の処分についての命令)
    ただし、北部アイルランドにおいては、州裁判所は、当該違法録音・録画物の価値が州裁判所の不法行為訴訟限度を超えない場合に限り、そのような訴訟手続を受理することができる。
    (2) スコットランドにおいては、それらの規定のいずれかに基づく命令のための訴訟手続も、執行官裁判所に提起することができる。
    (3) この条のいずれの規定も、高等裁判所の管轄権、又はスコットランドにおいては民事控訴院の管轄権に影響するものとは解釈されない。

    実演家の財産権の許諾

    (実演家の権利の許諾)
    第205条のA
    附則第2のAの規定は、実演家の財産権の許諾について効力を有する。

    著作権審判所の管轄権

    (著作権審判所の管轄権)
    第205条のB
    (1) 著作権審判所は、次に掲げる諸条項に基づく訴訟手続を審問し、及び決定するというこの部に基づく管轄権を有する。
    (a) 第182条のD(商業用録音物の利用についての公正な報酬の請求権)
    (b) 第190条(複製権者のために同意を与えるための申請)
    (c) 第191条のH(レンタル権の移転による公正な報酬の金額)
    (cc) 附則第2第19項(実演又は録音物が挿入されている放送の再送信について支払われる著作権使用料その他の報酬)
    (d) 附則第2のA第3項、第4項又は第5項(許諾要綱の付託)
    (e) 同附則第6項又は第7項(許諾要綱に基づく許諾についての申請)
    (f) 同附則第10項、第11項又は第12項(許諾機関による許諾についての付託又は申請)
    (g) 同附則第15項(ある種の貸与についての著作権使用料を決定するための申請)
    (h) 同附則第17項(権利として利用することができる許諾条件を決定するための申請)
    (2) 第1部第8章の規定(著作権審判所に関する一般規定)は、この部に基づくいずれかの管轄権を行使する時に、審判所に関して適用される。
    (3) 代表する団体が代表していると主張する人々の集団を合理的に代表していることを審判所が納得しない限り、その団体による附則第2のA第3項、第4項又は第5項(許諾要綱の付託)に基づく付託を審判所が受理することを禁止する規定が、第150条に基づく規則により定められる。

    実演家として確認される権利

    (実演家として確認される権利)
    第205条のC
    (1) その実演家は、次に掲げる場合には、確認される権利を有する。
    (a) 公衆に対する資格のある実演を提供又は上演する場合、
    (b) 資格のある実演を生で放送する場合
    (c) 資格のある実演の録音物を公衆に伝達する場合、又は
    (d) そのような録音物の複製物を公衆に配布する場合
    (2) この条における実演家の権利は、次に掲げるとおりである。
    (a) 公の実演の場合、実演に伴うプログラム、又はその身元をその実演を見又は聞く者に注目させることができる他のいずれかの方法により、確認されること、
    (b) 放送における実演の場合、その身元をその放送を見又は聞く者に注目させることができるいずれかの方法により、確認されること、
    (c) 公衆に対する伝達される録音物の場合、その身元を、その伝達を聞く者に注目させることができるいずれかの方法により、確認されること
    (d) 発行される録音物の場合、各複製物において、又はそれが適当でないときは、その身元を、複製物を入手する者に注目させることができるいずれかの方法により、確認されること、又は、(上記のいずれの場合においても)実演家および第1項に示された者の間で合意されうる他の方法において、確認されること。
    (3) グループによる(又はある実演の大部分がグループによりなされている)実演に対してこの条により付与される権利は、そのグループそれ自体が第2項に明示されるところにより確認されるのであれば、以下の場合において、侵害されない。
    (a) 第2項第(a)号、第(b)号又は第(c)号に含まれる場合、又は
    (b) 同項第(d)号において、そのグループの各構成員が確認されることが、合理的に実行不可能である場合。
    (4) この条において「グループ」とは、集合的に確認されうる特定の名称を有する二人以上の実演家を意味する。
    (5) 205条のDに基づく主張をする際に、変名、頭文字又は他の特定の確認形式を明示するときは、その形式が使用される。その他の場合には、いずれの合理的な確認形式を使用することもできる。
    (6) この条の規定は、第205条のE(権利の例外)に従うことを条件として、効力を有する。

    (権利が主張される要件)
    第205条のD
    (1) いずれの者も、以下の規定に従って、第205条(実演家として確認される権利)に定める行為のいずれかに関してその者を拘束するように権利が主張されない限り、その行為を行うことにより、同条により付与される権利を侵害しない。
    (2) 権利は、一般に又はいずれかの特定の行為若しくは行為の種類に関して、次に掲げるいずれかにより主張することができる。
    (a) 第2項第(a)号、第(b)号又は第(c)号に含まれる場合、又は
    (b) 実演家の財産権の譲渡の際に、実演家がその実演に関して確認される権利を主張する旨の記述を、譲渡を実施する証書中に含めることにより。
    (3) 第2項に基づく権利の主張により拘束される者は、次に掲げる者である。
    (a) 第2項(a)号に基づく主張の場合には、主張の通知を受けるいずれかの者
    (b) 第2項(b)号に基づく主張の場合には、主張の通知を受けていると否とを問わず、譲受人及びその者を通じて主張するいずれかの者
    (4) 権利侵害に対する訴訟において、裁判所は、救済を検討する際に、権利の主張におけるいずれの遅滞をも考慮する。

    (権利の例外)
    第205条のE
    (1) 第205条のC(実演家として確認される権利)より付与される権利は、以下に定める例外に従う。
    (2) この権利は、実演家(又は、第205条のC第3項 に基づく確認が認められる場合には、その団体)として確認することが合理的に実行不可能な場合には、適用されない。
    (3) この権利は、時事の事件の報道を目的としてなされるいずれの実演に関しても適用されない。
    (4) この権利は、商品又はサービスを広告することを目的としてなされるいずれの実演に関しても適用されない。
    (5) この権利は、次に掲げる附則第2の諸規定のいずれかに基づいて、第2章により付与されるいずれの権利も侵害しないこととなる行為により侵害されない。
    (a) 附則第2条第1A項(ニュースの報道)
    (b) 附則第3条(実演又は録音・録画物の付随的挿入)
    (c) 附則第4条第2項 (試験を目的としてなされること)
    (d) 附則第8条(議会手続及び裁判手続)
    (e) 附則第9条(王立委員会及び法定調査)

    実演を傷つける取扱いに反対する権利

    (実演を傷つける取扱いに反対する権利)
    第205条のF
    (1) 資格のある実演の実演家の権利は、以下の場合に侵害される。
    (a) 実演が生の放送である場合、又は、
    (b) 録音物により、当該実演が公に演奏され、または公に伝達される場合において、著作物の歪曲、切除又はその他の改変となり、実演家の名誉声望を害するとき。
    (2) この条は、第205条のGに従うことを条件として、効力を有する。

    (権利の例外)
    第205条のG
    (1) 第205条のF(実演を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、以下に定める例外に従う。
    (2) この権利は、時事の事件の報道を目的としてなされるいずれの実演に関しても適用されない。
    (3) この権利は、実演に対してなされる改変は、通常の編集または制作実務に合致する場合において、侵害されない。
    (4) 第5項に従うことを条件として、この権利は、次に掲げることを目的として行われるいずれのことによっても侵害されない。
    (a) 罪を犯すことを回避すること,
    (b) 法令により又は法令に基づいて課される義務を履行すること, 又は
    (c) 英国放送協会の場合には、良い趣味若しくは品位に反し、又は犯罪を助長し、若しくは扇動し、又は混乱を招き、若しくは人心に対して攻撃的となる可能性があるいずれかのものを、同協会が放送する番組中に挿入することを回避すること。
    (5) 第4項は、以下の場合には、十分な否認がある場合にのみ適用される。
    (a) 実演家が、その身元を当該行為により修正されたものとしての実演を見又は聞く者に注目させることができるいずれかの方法によって、確認される場合、又は
    (b) 実演家が、公衆に発行された録音物の複製物において以前確認されている場合。
    (6) 第5項おける「十分な否認」とは、権利を侵害しうる行為に関して、その修正について実演家が同意していないでなされている旨の明確かつ合理的に顕著な指摘であって、次に該当するものをいう。
    (a) 当該行為により修正された実演を見又は聞く者に注意させることができるいずれかの方法においてなされ、および、
    (b) 実演家がその時に確認されるときは、確認とともに現われる指摘。

    (侵害物品の所持又は利用による権利侵害)
    第205条のH
    (1) 第205条のF(実演を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、また、侵害物品である物品、又は侵害物品であることをその者が知り、若しくはそう信じる理由を有する物品について、次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 業務の過程において所持すること、または
    (b) 販売し、賃貸し、又は販売若しくは賃貸のために提供し、若しくは陳列すること、または
    (c) 頒布すること。
    (2) 「侵害物品」とは、実演家の名誉声望を害する歪曲、切除又はその他の改変がなされている、資格のある実演の録音物をいう。

    補則

    (権利の存続期間)
    第205条のI
    (1) この章に基づいて実演に関して付与される実演家の権利は、第2章に基づいて実演に関して与えられる実演家の権利が存続する限り、引き続き存続する。
    (2) 第1項における「実演家の権利」は、その者の権利承継人に帰属する実演家の権利を含む。

    (同意及び権利の放棄)
    第205条のJ
    (1) 権利について資格を有する者により又はその者のために同意されたいずれの行為を行うことも、この章により付与されるいずれの権利の侵害でもない。
    (2) これらのいずれの権利も、権利を放棄する者により又はその者のために署名された書面による証書により、放棄することができる。
    (3) 放棄は、
    (a) 特定の実演、特定の種類の実演又は実演一般に関係することができ、また、現存の又は将来の実演に関係することができる。
    (b) 条件付き又は無条件とすることができ、また、取消しを条件とすることを表明することができる。
    また、放棄が関係するその実演に関する実演家の権利の保有者又は将来の保有者のために行われるときは、放棄は、反対の意図が表明されない限り、その者の許諾を得た者及び権利承継人に及ぶものと推定される。
    (4) この章のいずれの規定も、一般契約法の作用又は非公式放棄に関する禁反言その他この章に定める権利のいずれかに関する取引きを排除するものとは解釈されない。

    (実演の部分への規定の適用)
    第205条のK
    (1) 第205条のC(実演家として確認される権利)により付与される権利は、実演の全体又はいずれの実質的部分に関しても適用される。
    (2) 第205条のF(実演を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、著作物の全体又はいずれの部分に関しても適用される。

    (譲渡不能の著作者人格権)
    第205条のL
    (2) この章により付与される権利は、譲渡することができない。

    (死亡による人格権の移転)
    第205条のM
    (1) この章により付与される権利について資格を有する者の死亡により、
    (a) その権利は、その者が遺言による処分によって特別に指示することができる者に移転する。
    (b) そのような指示がないが、当該実演の権利がその者の遺産の一部を構成するときは、その権利は、財産権の移転を受ける者に移転する。
    (c) その権利が(a)号若しくは(b)号に基づいて移転しないときは、又はその限度において、その権利は、その者の人格代表者が行使することができる。
    (2) ある者の遺産の一部を構成する実演家の財産権が一部は1人の者に、また、一部は他の者に移転する場合、例えば遺贈が次に掲げるものに適用されるように限定される場合には、第1項に基づいて実演家の財産権とともに移転するいずれの権利も、それに応じて分割される。
    (a) その権利の保有者が行い、又は許諾する排他的権利を有する事項の1若しくは2以上であって全部でないもの。
    (b) その権利が存続する期間の1部分であって全体でないもの。
    (3) 第1項⒜号又は⒝号に基づいて、ある権利が2人以上の者により行使可能となる場合において、
    (a) その権利は、第205条のF(実演を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利の場合には、それらの者の各人が行使することができる権利であり、その者が当該取扱い又は行為に同意するときは、それらのいずれに関しても(条件を)満たされる。
    (b) それらの者の1人による第205条のJに基づく権利のいずれの放棄も、他の者の権利に影響しない。
    (4) 以前与えられた同意又は行われた放棄は、第1項に基づいて権利の移転を受けるいずれの者をも拘束する。
    (5) ある者の死亡後の侵害についてこの条に基づいて人格代表者により取得されるいずれの侵害賠償も、訴権が存続し、かつ、その者の死亡の直前にその者に帰属していたものとして、その者の遺産の一部として移転する。

    (人格権侵害の救済)
    第205条のN
    (1) この章により付与される権利の侵害は、その権利について資格を有する者に対して果たすべき法定の義務の違反として提訴することができる
    (2) 以下の場合、その者は、その者自身がその権利を侵害していたものと同様として、第1項に基づく侵害に関して責任を有するいずれの者と連帯して、責任を有するものとする。
    (a) この章により付与される権利の侵害があり、
    (b) 実演家のために行為をしたと偽って主張する者が、関連する行為に同意し、又は権利の放棄を意図していた場合であり、かつ、
    (c) その者がその通りに行為していたのであれば侵害とならなかったであろう場合。
    (3) この章により実演家に付与される権利の侵害訴訟手続において、以下のことを証明することは抗弁となるものとする。
    (a) 実演家のために行為をしたと主張する者が、被告の行為に同意し、又は権利の放棄を意図していた場合であり、かつ、
    (b) 被告が、その者が実演家のために行為をしていたと合理的に信じていたこと。
    (4) 第205条のFにより付与される権利の侵害訴訟手続において、裁判所は、状況上それが適切な救済であると認めるときは、実演の放送又は録音物から実演家を分離する否認が、裁判所が承認することができる条件及び方法で行われない限り、いずれの行為を行うことも禁止する条件で差止命令を与えることができる。

    保護のための資格付与及び範囲

    (資格ある国、個人及び者)
    第206条
    (1) この部において、
    「資格ある国」とは、次に掲げるいずれかの国をいう。
    (a) 連合王国
    (b) その他のEEA諸国
    (ba) 英仏海峡諸島、マン島又はジブラルタル、及び
    (bb) ローマ条約の当事国である国
    (c) 第208条に基づいて枢密院令が規定する限度において、同条に基づいて指定される相互保護を享有する国
    「資格ある個人」とは、資格ある国の市民若しくは臣民又はそのような国に居所を有する個人をいう。
    「資格ある者」とは、資格ある個人又は法人その他次に掲げる2つの条件を満たす法人格を有する団体をいう。
    (a) 連合王国その他の資格ある国の一部分の法律に基づいて形成されていること。
    (b) いずれかの資格ある国において、実質的な業務活動が遂行される事業所を有していること。
    (2) 「資格ある個人」の定義における資格ある国の市民又は臣民である者への言及は、次に掲げる者への言及として解釈される。
    (a) 連合王国に関しては、英国市民である者
    (b) 連合王国の植民地に関しては、同植民地との関係により英国保護領の市民である者
    (3) 「資格ある者」の定義の目的上、実質的な業務活動がいずれかの国における事業所において遂行されているかどうかを決定する際には、すべての実質的な時期にその国の外にある商品の取引きは、なんら考慮されない。
    (4) 女王陛下は、枢密院令により、
    (a) 第1項における「資格ある国」の定義に関する(bb)又は(c)の国に対するこの部の適用に関して、特定の制約に服することとする条項を設けることができる。
    (b) ローマ条約の当事国ではない国を追加するために第1項における「資格ある国」の定義を修正することができる。
    (c) (b)に基づいて追加される国に対するこの部に関して、特定の制約に服することとする条項を設けることができる。
    (5) この条に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができ。
    (6) この条において、「ローマ条約」とは、1961年10月26日にローマで作成された実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約を意味する。

    (この部の規定が及ぶ国)
    第207条
    この部の規定は、イングランド並びにウェールズ、スコットランド及び北部アイルランドに及ぶ。

    (相互保護を享有する国)
    第208条
    (1) 女王陛下は、枢密院令により、次に掲げる国をこの部に基づいて相互保護を享有する国として指定することができる。
    (a) 条約国
    (b) 英国の実演に適切な保護を与える規定をその国の法律に基づいて定めており、又は定める予定であることを女王陛下が納得する国
    (2) 「条約国」とは、連合王国も締約国である実演家の権利に関する条約の締約国である国をいう。
    (3) 「英国の実演」とは、次に掲げる実演をいう。
    (a) 英国市民又は連合王国に居所を有する者である個人により行われる実演
    (b) 連合王国において行われる実演
    (4) その国の法律が、ある種類の実演についてのみ適切な保護を規定しているときは、その国を指定する第1項(b)号に基づく枢密院令は、その国に関係する実演に関してこの部により与えられる保護を対応する範囲に限定する規定を含む。
    (5) 第1項(b)号により付与される権限は、外国に関してと同様に、連合王国のいずれの植民地に関しても行使することができる。
    (6) この条に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (領海及び大陸棚)
    第209条
    (1) この部の目的上、連合王国の領海は、連合王国の一部分として取り扱われる。
    (2) この部の規定は、連合王国において行われることについて適用されると同様に、海底若しくは底土の探査又はそれらの自然資源の利用に直接関係する目的のために大陸棚の連合王国領域に所在する構造物又は船舶において行われることについても適用される。
    (3) 大陸棚の連合王国領域とは、1964年の大陸棚法第1条第7項に基づく命令により指定される区域をいう。

    (英国の船舶、航空機及びホーバークラフト)
    第210条
    (1) この部の規定は、連合王国において行われることについて適用されると同様に、英国の船舶、航空機又はホーバークラフトにおいて行われることについても適用される。
    (2) この条において、
    「英国の船舶」とは、連合王国外の国における登録に基づく以外の1995年の商船法の目的上英国の船舶である船舶をいう。
    「英国の航空機」及び「英国のホーバークラフト」とは、連合王国において登録された航空機又はホーバークラフトをいう。

    解釈

    (著作権規定におけると同一の意味を有する表現)
    第211条
    (1) 次に掲げる表現は、この部において、第1部(著作権)におけると同一の意味を有する。
    放送
    業務
    公衆への伝達

    被告(スコットランドにおける)
    引渡し(スコットランドにおける)
    EEA国民
    映画
    差止命令(スコットランドにおける)
    文芸の著作物
    発行された
    署名された
    録音物
    無線放送
    (2) 第6条第3項から第5項のAまで及び第19条第4項(放送に関する補則)の規定は、第1部の目的上及び著作権侵害に関して適用されると同様に、この部の目的上及びこの部により付与される権利の侵害に関しても適用される。

    (定義された表現の索引)
    第212条
    次に掲げる一覧表は、この部において使用された表現を定義し、その他説明する規定(同一の条においてのみ使用された表現を定義し、その他説明する規定以外の)を示す。
    利用可能複製物(附則2の第3A項から第3E項) ――附則2の第3E項(4)
    移転(スコットランドにおける)――第211条第6項(及び第177条)
    放送(及び関係する表現)――第211条(及び第6条)
    業務――第211条第1項(及び第178条)
    公衆への伝達――第211条第1項(及び第20条)
    実演家の同意(実演家の財産権に関して)――第191条のA第2項
    国――第211条第1項(及び第178条)
    被告(スコットランドにおける)――第211条第1項(及び第177条)
    引渡し(スコットランドにおける)――第211条第1項(及び第177条)
    障害者(附則2の第3A項から第3E項)――附則2の第3E項(2)及び(3)
    頒布権――第182条のB第5項
    EEA及びEEA国――第211条第1項(及び第172条のA)
    排他的録音・録画契約――第185条第1項
    映画――第211条第1項(及び第5条のB)
    グループ――205条のC第4項
    違法録音・録画物――第197条
    差止命令(スコットランドにおける)――第211条第1項(及び第177条)
    公衆への配布――第182条のB
    公衆への提供――第182条のCA
    貸与権――第182条のC第7項
    文芸の著作物――第211条第1項(及び第3条第1項)
    実演――第180条第2項
    実演家の非財産権――第192条のA第1項
    実演家の財産権――第191条のA第1項
    発行された――第211条第1項(及び第175条)
    資格ある国――第206条第1項
    資格ある個人――第206条第1項及び第2項
    資格ある実演――第181条
    資格ある者――第206条第1項及び第3項
    録音・録画物(実演の)――第180条第2項
    録音・録画権(を有する者)――第185条第2項及び第3項
    レンタル権――第182条のC第7項
    複製権――第182条のA第3項
    権利者(実演家の財産権に関して)――第191条のA第3項及び第4項
    署名された――第211条第1項(第176条)
    録音物――第211条第1項(及び第5条のA)
    無線放送――第178条

    補足

    (国際法に対する変更の結果による修正の権限)
    第212条のA
    (1) 所管大臣は、実演家の権利の分野における国際法に対する修正の結果により、命令によりこの部を修正することができる。
    (2) この条における命令は、制定文書によりなされなければならない。そして、その命令の案が、議会の上院又は下院に提出され、承認されている場合でなければ限り、いかなる命令も作成されない。



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