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    第2章 著作権者の権利

    著作権により制限される行為

    (著作物の著作権により制限される行為)
    第16条
    (1) 著作物の著作権者は、この章の以下の規定に従って、連合王国において次に掲げる行為を行う排他的権利を有する。
    (a) 著作物を複製すること(第17条参照)。
    (b) 著作物の複製物を公衆に配布すること(第18条参照)。
    (ba) 著作物を公衆にレンタルし、又は貸与すること(第18条のA参照)。
    (c) 著作物を公に実演し、上映し、又は演奏すること(第19条参照)。
    (d) 著作物を公衆に伝達すること(第20条参照)。
    (e) 著作物の翻案を作成し、又は翻案に関して前記のいずれかの行為を行うこと(第21条参照)。
    また、これらの行為は、この部において、「著作権により制限される行為」として言及される。
    (2) 著作物の著作権は、著作権者の許諾を得ずに、著作権により制限されるいずれかの行為を行い、又は行うことを他の者に許諾する者により侵害される。
    (3) この部における著作物の著作権により制限される行為を行うことへの言及は、次に掲げることへの言及である。
    (a) 著作物全体又はそのいずれかの実質的部分に関して、その行為を行うこと。
    (b) 直接的に又は間接的にその行為を行うこと。
    また、いずれかの介在する行為自体が著作権を侵害するかどうかは、重要ではない。
    (4) この章の規定は、次に掲げる規定に従うことを条件として、効力を有する。
    (a) 第3章の規定(著作権のある著作物に関して許される行為)
    (b) 第7章の規定(著作権の許諾についての規定)

    (複製による著作権侵害)
    第17条
    (1) 著作物の複製は、著作権のあるあらゆる種類の著作物の著作権により制限される行為である。また、この部における複製及び複製物への言及は、以下のように解釈される。
    (2) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物に関して、複製とは、著作物をいずれかの有形形式に再製することをいう。
    これは、著作物を電子的手段によりいずれかの媒体に蓄積することを含む。
    (3) 美術の著作物に関して、複製は、2次元の著作物から3次元の複製物を作成すること及び3次元の著作物から2次元の複製物を作成することを含む。
    (4) 映画又は放送に関して、複製は、映画又は放送の部分を構成するいずれかの影像の全体又はいずれかの実質的部分の写真を作成することを含む。
    (5) 発行された版の印刷配列に関して、複製とは、その配列のファクシミリ複製物を作成することをいう。
    (6) いずれの種類の著作物に関しても、複製は、過渡的な複製物、又は著作物の他のいずれかの使用に付随する複製物の作成を含む。

    (複製物の公衆への配布による侵害)
    第18条
    (1) 著作物の複製物の公衆への配布は、著作権のあるあらゆる種類の著作物の著作権により制限される行為である。
    (2) この部における著作物の複製物の公衆への配布への言及は、次に掲げるいずれかの行為への言及である。
    (a) 著作権者により又はその同意を得てEEAにおいて以前流通していない複製物をEEAにおいて流通させる行為
    (b) EEAその他において以前流通していない複製物をEEA外において流通させる行為
    (3) この部における著作物の複製物の公衆への配布への言及は、次に掲げる行為を含まない。
    (a) 以前流通していた複製物の以後のいずれかの頒布、販売、賃貸又は貸与(ただし、第18条のA(レンタル又は貸与による侵害)参照)
    (b) それらの複製物の連合王国又は他のEEA加盟国への以後のいずれかの輸入
    ただし、第2項(a)号の規定が、EEA外において以前流通していた複製物をEEAにおいて流通させることに適用される場合を除く。
    (4) この部における著作物の複製物の配布への言及は、原作品の配布を含む。

    (著作物の公衆へのレンタル又は貸与による侵害)
    第18条のA
    (1) 著作物の複製物の公衆へのレンタル又は貸与は、次に掲げる著作物の著作権により制限される行為である。
    (a) 文芸、演劇又は音楽の著作物
    (b) 次に掲げる著作物以外の美術の著作物
    (i) 建築物又は建築物のためのひな形の形状における建築の著作物
    (ii) 応用美術の著作物
    (c) 映画又は録音物
    (2) この部において、この条の以下の規定に従うことを条件として、
    (a) 「レンタル」とは、返却されること又は返却されうることを条件として、直接若しくは間接の経済的又は商業的利得のために、著作物の複製物を使用に供することをいう。
    (b) 「貸与」とは、返却されること又は返却されうることを条件として、直接若しくは間接の経済的又は商業的利得のため以外に、公衆が利用することができる施設を通じて、著作物の複製物を使用に供することをいう。
    (3) 「レンタル」及び「貸与」という表現は、次に掲げる行為を含まない。
    (a) 公の実演、公の演奏若しくは公の上映又は公衆への伝達を目的として提供すること。
    (b) 公の展示を目的として提供すること。
    (c) 現場での参考用に提供すること。
    (4) 「貸与」という表現は、公衆が利用することができる施設間に提供することを含まない。
    (5) 公衆が利用することができる施設による貸与が、その施設の運営費を賄うために必要な金額を超えない金額の支払いを生じる場合には、この条の目的上、直接若しくは間接の経済的又は商業的利得は、存在しない。
    (6) この部における著作物の複製物のレンタル又は貸与への言及は、原作品のレンタル又は貸与を含む。

    (著作物の公の実演、上映又は演奏による侵害)
    第19条
    (1) 著作物の公の実演は、文芸、演劇又は音楽の著作物の著作権により制限される行為である。
    (2) この部において、著作物に関して、「実演」は、
    (a) 講義、演説、講演及び説教の場合には、口演を含む。
    (b) 一般的に、録音物、映画又は放送による著作物の提供を含むいずれの方法の視覚的又は聴覚的提供をも含む。
    (3) 著作物の公の演奏又は上映は、録音物、映画又は放送の著作権により制限される行為である。
    (4) 電子的手段により伝達される視覚的影像又は音を受信するための機器を用いて著作物が公に実演され、演奏され、又は上映されることによりその著作物の著作権が侵害される場合には、視覚的影像又は音を送る者及び実演の場合には実演家は、侵害について責任を有するものとはみなされない。

    (公衆への伝達による侵害)
    第20条
    著作物の公衆への伝達は、次に掲げる著作物の著作権により制限される行為である。
    (a) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物
    (b) 録音物又は映画
    (c) 放送
    (2) この章において、公衆への伝達とは電子的な転送により公衆に対して伝達することをいい、以下の著作物に関するものを含む。
    (a) 著作物を放送すること
    (b) 公衆の構成員がその個々に選択する場所から、かつ個々に選択する時間にアクセスすることができる方法による電子的な転送によって公衆に対して利用可能とすること

    (翻案の作成又は翻案に関して行われる行為による侵害)
    第21条
    (1) 著作物の翻案を作成することは、文芸、演劇又は音楽の著作物の著作権により制限される行為である。
    この目的上、翻案は、それが文書その他に記録される時に作成される。
    (2) 著作物の翻案に関して第17条から第20条まで又はこの条第1項に明示する行為のいずれかを行うことも、文芸、演劇又は音楽の著作物の著作権により制限される行為である。
    この目的上、その行為が行われる時に翻案が文書その他に記録されているかどうかは、重要ではない。
    (3) この部において、「翻案」とは、
    (a) 文芸の著作物(コンピュータ・プログラム若しくはデータベース以外の)に関して、又は演劇の著作物に関しては、次の行為をいう。
    (i) 著作物の翻訳
    (ii) 演劇の著作物が非演劇の著作物に転換され、又は場合により、非演劇の著作物が演劇の著作物に転換されるその改作
    (iii) 物語又は所作が、全体的に又は主として絵を用いて、書籍又は新聞、雑誌若しくは類似の定期刊行物への再製に適した形式で伝えられる著作物の改作
    (ab) コンピュータ・プログラムに関しては、プログラムの変更若しくは改変又はプログラムの翻訳をいう。
    (ac) データベースに関しては、データベースの変更若しくは改変又はデータベースの翻訳をいう。
    (b) 音楽の著作物に関しては、著作物の編曲又は改曲をいう。
    (4) コンピュータ・プログラムに関して、「翻訳」は、プログラムがコンピュータ言語若しくはコードへ、若しくはそれから転換され、又は異なるコンピュータ言語若しくはコードへ転換されるプログラムの転換を含む。
    (5) 何が著作物の複製となり、又はならないかについて、この条からなんらの推論も下されない。

    著作権の二次侵害

    (二次侵害――侵害複製物の輸入)
    第22条
    著作物の著作権は、著作物の侵害複製物である物品であって、侵害複製物であることをその者が知り、又はそう信じる理由を有しているものを、私的及び家庭内の使用のため以外に、著作権者の許諾を得ずに連合王国に輸入する者により侵害される。

    (二次侵害――侵害複製物の所持又は利用)
    第23条
    著作物の著作権は、著作物の侵害複製物である物品であって、侵害複製物であることをその者が知り、又はそう信じる理由を有しているものについて、著作権者の許諾を得ずに次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 業務の過程において所持すること。
    (b) 販売し、若しくは賃貸し、又は販売若しくは賃貸のために提供し、又は陳列すること。
    (c) 業務の過程において公に展示し、又は頒布すること。
    (d) 業務の過程以外において、著作権者を害するような影響を与える程度にまで頒布すること。

    (二次侵害――侵害複製物の作成のための手段の提供)
    第24条
    (1) 著作物の著作権は、その著作物の複製物を作成することを特に意図され、又はそのために適応される物品について、それが侵害複製物を作成するために使用されることを知り、又はそう信じる理由を有しながら、著作権者の許諾を得ずに次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 作成すること。
    (b) 連合王国に輸入すること。
    (c) 業務の過程において所持すること。
    (d) 販売し、若しくは賃貸し、又は販売若しくは賃貸のために提供し、又は陳列すること。
    (2) 著作物の著作権は、連合王国その他における送信の受信により著作物の侵害複製物が作成されることを知り、又はそう信じる理由を有しながら、電気通信設備(公衆への伝達以外の)を用いて著作物を著作権者の許諾を得ずに送信する者により侵害される。

    (二次侵害――侵害実演のための構内の使用の許可)
    第25条
    (1) 文芸、演劇又は音楽の著作物の著作権が公の興行の場所における実演により侵害される場合には、その場所が実演に使用されることに許可を与えたいずれの者も、その者が許可を与えた時に実演が著作権を侵害しないことを合理的な根拠により信じていた場合を除き、侵害について責任を有する。
    (2) この条において、「公の興行の場所」は、主として他の目的のために占有されている構内であって、随時公の興行を目的とする賃貸のために提供されるものを含む。

    (二次侵害――侵害実演等のための機器の提供)
    第26条
    (1) 次に掲げることを行うための機器を用いて著作物を公に実演し、又は著作物を公に演奏し、若しくは上映することにより著作物の著作権が侵害される場合には、以下の者も、侵害について責任を有する。
    (a) 録音物を演奏すること。
    (b) 映画を上映すること。
    (c) 電子的手段により送られる視覚的影像又は音を受信すること。
    (2) 機器又はそのいずれかの実質的部分を提供する者は、その者が機器又はその部分を提供した時に次に掲げるいずれかに該当するときは、侵害について責任を有する。
    (a) 機器が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り、若しくはそう信じる理由を有していたこと。
    (b) その通常の使用が公の実演、演奏又は上映を伴う機器の場合には、その機器が著作権を侵害するように使用されないことを合理的な根拠により信じていなかったこと。
    (3) 機器が構内に持ち込まれることに許可を与えた構内の占有者は、その者が許可を与えた時に機器が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り、又はそう信じる理由を有していたときは、侵害について責任を有する。
    (4) 著作権を侵害するために使用された録音物又は映画の複製物を提供した者は、その者がそれを提供した時に、その提供したもの又はそれから直接若しくは間接的に作成された複製物が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り、又はそう信じる理由を有していたときは、侵害について責任を有する。

    侵害複製物


    (「侵害複製物」の意味)
    第27条
    (1) この部において、著作権のある著作物に関して、「侵害複製物」は、この条の規定に従って解釈される。
    (2) ある物品の作成が当該著作物の著作権の侵害を構成したときは、その物品は、侵害複製物となる。
    (3) 次の場合にも、当該物品は、侵害複製物となる。
    (a) ある物品が連合王国に輸入され、又は輸入されることが企てられるとき。
    (b) 連合王国におけるその物品の製作が、当該著作物の著作権の侵害又はその著作物に関する排他的許諾協定違反を構成することとなるとき。
    (4) いずれかの訴訟手続において、ある物品が侵害複製物であるかどうかの問題が生じ、かつ、次に掲げる2つのことが証明される場合には、反対のことが立証されるまでは、著作物に著作権が存続していた時にその物品が作成されたものと推定される。
    (a) その物品が著作物の複製物であること。
    (b) 著作物に著作権が存続し、又はいずれかの時に存続していたこと。
    (5) 第3項のいずれの規定も、1972年の欧州共同体法第2条第1項の意味における、いずれかの執行することができる共同体の権利に基づいて連合王国に適法に輸入することができる物品について適用されるものとは解釈されない。
    (6) この部において、「侵害複製物」は、次のいずれかの規定に基づいて侵害複製物として取り扱われることとなる複製物を含む。
    第28条のB第7項及び第9項(私的使用のための個人的複製)
    第29条のA第3項(非商業的な調査のためのテキスト及びデータ解析のための複製物)
    第31条のA第5項及び第6項(障害者:個人的使用のための著作物の複製)
    第31条のB第11項(権限のある団体により利用可能複製物の作成と供給)
    第35条第5項(教育機関による放送の録音・録画)
    第36条第8項(教育機関による著作物からの抜粋の複製と使用)
    第42条A第5項(b)(司書による複製:発行された著作物の単一の複製物)
    第43条第5項(b)(司書又は記録保管人による複製:未発行の著作物の単一の複製物)
    第56条第2項(主たる複製物の移転の時に保持された電子的形式による著作物の以後の複製物、翻案等)
    第61条第6項(b)(民謡の録音・録画物)
    第63条第2項(販売のために美術の著作物を広告する目的のために作成される複製物)
    第68条第4項(放送の目的のために作成される複製物)
    第70条第2項(タイム・シフトを目的とする録音・録画)
    第71条第2項(放送の写真)
    第141条(教育機関によるある種に複写複製のための法定許諾)に基づく命令のいずれかの規定



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