第5章 著作権のある著作物の権利の利用
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著作権
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(譲渡及び許諾)
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第90条 |
(1) |
著作権は、人的財産又は動産として、譲渡、遺言による処分又は法律の作用により、移転することができる。 |
(2) |
著作権の譲渡その他の移転は、1部分とすること、すなわち、次に掲げるものに適用されるように限定することができる。 |
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(a) |
著作権者が行う排他的権利を有する事項の1又は2以上であって全部でないもの |
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(b) |
著作権が存続すべき期間の1部分であって全体でないもの |
(3) |
著作権の譲渡は、譲渡人により、又はその者のために署名された書面によらない限り、有効ではない。 |
(4) |
著作権者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得ている者を除き、著作権上の利益についてのすべての権利承継人を拘束する。また、この部における著作権者の許諾を得て又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される |
(著作権の将来の帰属)
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第91条 |
(1) |
将来の著作権に関して結ばれ、かつ、将来の著作権者により又はその者のために署名される協定により、将来の著作権者が将来の著作権(全部又は一部)を他の者に譲渡することを意図する場合において、存在することとなる著作権について、譲受人又はその者の下で主張する他の者が、他のすべての者に対して、著作権がその者に帰属することを要求する資格があるときは、著作権は、この項の規定に基づいて譲受人又はその権利承継人に帰属する。 |
(2) |
この部において、
「将来の著作権」とは、将来の著作物若しくは著作物の種類について又は将来の出来事の発生の時に存在することとなる、又は存在することとなりうる著作権をいう。、
「将来の著作権者」は、それに従って解釈され、かつ、第1項に定める協定に基づいて著作権について将来資格を有することとなる者を含む。
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(3) |
将来の著作権者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得ている者を除き、権利上の利益(又は将来の利益)についてのすべての権利承継人を拘束する。また、この部における著作権者の許諾を得て又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される。 |
(排他的許諾)
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第92条 |
(1) |
この部において、「排他的許諾」とは、著作権者が別途排他的に行使することができる権利を行使することを、許諾を付与する者を含む他のすべての者を排除して、許諾を得た者に許可する許諾であって、著作権者により又はその者のために署名された書面によるものをいう。 |
(2) |
排他的許諾に基づいて許諾を得た者は、許諾を付与する者に対して有する権利と同一の権利を、許諾により拘束される権利承継人に対しても有する。 |
(遺言に基づいて未発行著作物とともに移転する著作権)
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第93条 |
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遺贈(特定の又は一般的な)に基づいてある者が収益を目的として又はその他により次に掲げる資料について資格を有する場合には、その遺贈は、遺言者の遺言又は遺言補足書において反対の意図が示されない限り、遺言者がその死亡の直前に著作権者であったときは、その著作物の著作権を含むものと解釈される。 |
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(a) |
遺言者の死亡前に発行されなかった文芸、演劇、音楽若しくは美術の著作物を記録し、又は収録している原文書その他の資料 |
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(b) |
遺言者の死亡前に発行されなかった録音物又は映画を含んでいる原資料 |
(映画製作協定の場合におけるレンタル権の移転の推定)
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第93条のA |
(1) |
映画製作に関する協定が著作者と映画製作者との間で締結される場合には、著作者は、協定が反対のことを規定しない限り、著作者の著作物の複製物を映画に挿入することに基づいて生じる映画に関するいずれのレンタル権も、映画製作者に移転したものと推定される。 |
(2) |
この条において、「著作者」とは、文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の著作者又は将来の著作者をいう。 |
(3) |
第1項の規定は、映画脚本、対話又は映画のために特に創作され、かつ、その映画に使用される音楽を映画に挿入することに基づいて生じるその映画に関するいずれのレンタル権にも、適用されない。 |
(4) |
この条の規定が適用される場合には、著作者による又は著作者のための署名の欠如は、第91条第1項(将来の著作権の意図的譲渡の抗力)の作用を排除しない。 |
(5) |
第1項における著作者と映画製作者との間で締結される協定への言及は、それらの者が直接に又は仲介者を通して結んだかどうかを問わず、それらの者の間で効力を有するいずれの協定をも含む。 |
(6) |
第93条のB(レンタル権の移転による公正な報酬の請求権)の規定は、現実の移転の場合と同様に、この条に基づく推定の移転がある場合にも、適用される。 |
レンタル権が移転した場合における公正な報酬の請求権
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(レンタル権が移転した場合における公正な報酬の請求権)
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第93条のB |
(1) |
この条の規定の適用を受ける著作者が、録音物又は映画に関するそのレンタル権を録音物又は映画の製作者に移転した場合には、その著作者は、レンタルについて公正な報酬の請求権を保持する。
この条の規定の適用を受ける著作者は、次に掲げるとおりである。 |
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(a) |
文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の著作者 |
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(b) |
映画の主たる監督 |
(2) |
著作者は、この条に基づく公正な報酬の請求権を、徴収団体が著作者のためにその権利を執行することを可能とする目的のために徴収団体に譲渡する以外には、譲渡することができない。
ただし、この権利は、人的財産又は動産として、遺言による処分又は法律の作用により移転することができ、また、その権利の移転を受けるいずれの者も、その権利を譲渡し、又は更に移転することができる。
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(3) |
この条に基づく公正な報酬は、レンタル権について当分の間資格を有する者、すなわち、その権利の移転を受けた者又はその者のいずれかの権利承継人により支払われる。 |
(4) |
公正な報酬として支払われる金額は、第93条のC(著作権審判所への金額の付託)の規定に従うことを条件として、それを支払う者及びその支払いを受ける者により、又はそれらの者のために合意されるところによる。 |
(5) |
合意は、それがこの条に基づく公正な報酬の請求権を排除し、又は制限することを意図する限り、無効である。 |
(6) |
この条における1人の者から他の者へのレンタル権の移転への言及は、それらの者が直接に又は仲介者を通して結んだかどうかを問わず、その効力を有するいずれの協定をも含む。 |
(7) |
この条において、「徴収団体」とは、この条に基づく公正な報酬の請求権を2人以上の著作者のために行使することを主たる目的又は主たる目的の1つとする協会その他の団体をいう。 |
(公正な報酬――著作権審判所への金額の付託)
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第93条のC |
(1) |
第93条のBに基づく公正な報酬として支払われる金額についての合意がないときは、それを支払う者又はその支払いを受ける者は、支払われる金額を決定することを著作権審判所に申請することができる。 |
(2) |
同条に基づいて公正な報酬の支払いを受ける者又はそれを支払う者は、また、次に掲げることを著作権審判所に申請することができる。 |
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(a) |
支払われる金額についてのいずれかの合意を変更すること。 |
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(b) |
その事項についての審判所の以前のいずれかの決定を変更すること。 |
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ただし、審判所の特別の許可がある場合を除き、以前の決定の日から12か月以内にそのようないずれの申請も行うことができない。
この項に基づく申請を受けて定められる命令は、その命令が定められる日又は審判所が明示することができる後の日から効力を有する。 |
(3) |
この条に基づく申請があったときは、審判所は、事項を検討し、かつ、映画又は録音物に対する著作者の寄与の重要性を考慮しつつ、状況において合理的であると決定することができる公正な報酬の算定及び支払いの方法についての命令を定める。 |
(4) |
報酬は、それが単一の支払いとして支払われたこと、又はレンタル権の移転の時に支払われたことのみを理由として、不公正であるとはみなされない。 |
(5) |
合意は、それが公正な報酬の金額をある者が質問することを阻止すること、又はこの条に基づく著作権審判所の権限を制限することを意図する限り、無効である。 |
著作者人格権
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(譲渡不能の著作者人格権)
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第94条 |
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第4章(著作者人格権)により付与される権利は、譲渡することができない。 |
(死亡による著作者人格権の移転)
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第95条 |
(1) |
第77条(著作者又は監督として確認される権利)、第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)又は第85条(ある種の写真及び映画のプライバシー権)により付与される権利について資格を有する者の死亡により、 |
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(a) |
その権利は、その者が遺言による処分によって特別に指示することができる者に移転する。 |
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(b) |
そのような指示がないが、当該著作物の著作権がその者の遺産の一部を構成するときは、その権利は、著作権の移転を受ける者に移転する。 |
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(c) |
その権利が(a)号若しくは(b)号に基づいて移転しないときは、又はその限界において、その権利は、その者の人格代表者が行使することができる。 |
(2) |
ある者の遺産の一部を構成する著作権が一部は1人の者に、また、一部は他の者に移転する場合、例えば遺贈が次に掲げるものに適用されるように限定される場合には、第1項に基づいて著作権とともに移転するいずれの権利も、それに応じて分割される。 |
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(a) |
著作権者が行い、又は許諾する排他的権利を有する事項の1若しくは2以上であって全部でないもの |
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(b) |
著作権が存続する期間の1部分であって全体でないもの |
(3) |
第1項(a)号又は(b)号に基づいて、ある権利が2人以上の者により行使可能となる場合において、 |
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(a) |
その権利は、第77条(著作者又は監督として確認される権利)により付与される権利の場合には、それらの者のいずれもが主張することができる。 |
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(b) |
その権利は、第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)又は第85条(ある種の写真又は映画のプライバシー権)により付与される権利の場合には、それらの者の各人が行使することができる権利であり、その者が当該取扱い又は行為に同意するときは、それらのいずれに関しても(条件を)満たされる。 |
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(c) |
それらの者の1人による第87条に基づく権利のいずれの放棄も、他の者の権利に影響しない。 |
(4) |
以前与えられた同意又は行われた放棄は、第1項に基づいて権利の移転を受けるいずれの者をも拘束する。 |
(5) |
第84条(著作者の地位の虚偽の付与)により付与される権利に対するある者の死亡後のいずれの侵害も、その者の人格代表者が提訴することができる。 |
(6) |
ある者の死亡後の侵害についてこの条に基づいて人格代表者により取得されるいずれの侵害賠償も、訴権が存続し、かつ、その者の死亡の直前にその者に帰属していたものとして、その者の遺産の一部として移転する。 |