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    1957年著作権法*1
    (The Copyright Act, 1957)

    (1957年第14号)

    [1957年6月4日]

    著作権に関連する法律を改正し統合する法律。
    インド共和国第8年の国会において、以下のとおり制定する。


    *1 本法は、ゴア州およびダマン・ディーウ連邦直轄地域には1962年規則第12号第3条および別紙により、ダードラーおよびナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域には1963年規則第6号第2条および別紙1により、ポンディシェリ連邦直轄地域には1963年規則第7号第3条および別紙I により適用が拡大され、また、シッキム州においては1979年4月27日に発効した(1979年4月27日付け通知第S.O. 226(E)号(インド官報臨時号第II部第3条(ii)430頁)を参照)。




    第 I 章 予備規定


    第1条 略称、範囲および施行

    (1) 本法は、1957年著作権法(Copyright Act, 1957)と称することができる。

    (2) 本法は、インド全土に及ぶ。

    (3) 本法は、中央政府が官報における通知により指定する日*2に効力を生じるものとする。


    *2 1958年1月21日に発効。1958年1月21日付けS.R.O.第269号(インド官報臨時号第II部第3条167頁)を参照。


    第2条 解釈

     本法において、その文脈において別途必要とされない限りは

    (a) 「翻案」とは、以下の行為をいう。

    (i) 演劇著作物に関しては、非演劇著作物への転換、

    (ii) 言語著作物または美術著作物に関しては、公の実演その他の方法による演劇著作物への転換、

    (iii) 言語または演劇著作物に関しては、当該著作物の抄録、または、書籍または新聞、雑誌もしくは類似の定期刊行物における複製に適した形式で絵画により物語または行動の全部または主要部分を伝達するような当該著作物の別版の作成、

    (iv) 音楽著作物に関しては、当該著作物の編曲または採譜、ならびに

    (v) いずれの著作物に関しても、その再編または改変を伴う当該著作物の使用。

    (b) 「建築著作物」とは、美術的性質もしくはデザインを有する建築物もしくは建造物またはかかる建築物もしくは建造物の模型をいう。

    (c) 「美術著作物」とは、以下のものをいう。

    (i) 絵画、塑像、素描(図形、地図、図表または設計図を含む)、彫刻または写真(当該著作物が美術的性質を有するか否かを問わない)、

    (ii) 建築著作物、および

    (iii) 美術的技巧を有するその他の著作物。

    (d) 「著作者」とは、以下の者をいう。

    (i) 言語または演劇著作物に関しては、当該著作物の作者、

    (ii) 音楽著作物に関しては、作曲者、

    (iii) 写真以外の美術著作物に関しては、芸術家、

    (iv) 写真に関しては、当該写真を撮影した者、

    (v) 映画または録音物に関しては、制作者、および

    (vi) コンピュータにより生成された言語、演劇、音楽または美術著作物に関しては、当該著作物を生成させた者。

    (dd) 「放送」とは、以下の方法による公衆への伝達をいう。

    (i) 何らかの無線交信による方法(記号、音声もしくは視覚映像のうちいずれかもしくは複数の形式をとるかを問わない)、または

    (ii) 有線。

    また、再放送を含む。

    (e) 「暦年」とは、1月1日に始まる1年間をいう。

    (f) 「映画フィルム」とは、動く映像を何らかの方法で作成する過程によって作成される、何らかの媒体上の映像収録物の著作物を意味し、当該映像収録物に付随する録音物を含む。また、「映画」とは、ビデオフィルムを含む、映画に類似する何らかの過程により制作される著作物を含むものと解釈されるものとする。

    (ff) 「公衆への伝達」とは、何らかの著作物を、そのコピーを発行する以外の方法で直接または展示もしくは普及の方法により、公衆が視聴しその他享受できるようにすることをいい、利用可能にされた当該著作物を公衆のいずれかの者が現実に視聴しその他享受したかを問わない。

    解説…本号において、衛星もしくはケーブルまたはその他の同期通信の手段による1世帯または1住居(ホテルもしくはホステルの客室を含む)を超える対象への伝達は、公衆への伝達とみなす。

    (ffa) 「作曲者」とは、音楽著作物に関しては、楽曲を作曲する者をいい、当該者がこれを何らかの図示表記形式に記録するかを問わない。

    (ffb) 「コンピュータ」には、情報処理能力を有する電子的または類似の装置を含む。

    (ffc) 「コンピュータ・プログラム」とは、語句、コード、スキームまたはその他の形式(機械読み取り可能な媒体を含む)により表現された一連の指令であって、コンピュータに特定の作業を実行させまたは特定の結果を達成させることができるものをいう。

    (ffd) 「著作権団体」とは、第33条第(3)項に基づき登録された団体をいう。

    (g) 「口述」には、講演に関しては、機械装置によるまたは放送による口述を含む。

    (h) 「演劇著作物」には、暗誦、舞踊著作物もしくは無言劇の娯楽の一部分、背景装置または演技であって、その形式が文書その他に固定されたものを含むが、映画フィルムは含まない。

    (hh) 「複写機器」とは、著作物のコピーを作成するために利用されまたは利用を意図された機械的手段または装置をいう。

    (i) 「版画」には、写真ではない、銅版画、石版画、木版画、プリントおよびその他の類似の著作物を含む。

    (j) 「独占的利用許諾」とは、被許諾者のみに対してまたは被許諾者およびその許可した者に対して、他の全ての者(著作権者を含む)を排除しつつ、著作物に対する著作権を構成するいずれかの権利を付与する許諾をいう。「独占的被許諾者」とはこれに従い解釈されるものとする。

    (k) 「政府著作物」とは、以下のいずれかによりまたはその指示もしくは管理の下に作成されまたは発行される著作物をいう。

    (i) 政府もしくは政府の部局、

    (ii) インド国内の立法機関、

    (iii) インド国内の裁判所、審判所その他の司法機関。

    (l) 「インド著作物」とは、以下のいずれかにあたる言語、演劇または音楽著作物をいう。

    (i) 著作者がインド国民であるもの、または

    (ii) インド国内で最初に発行されたもの、または

    (iii) 未発行著作物の場合には、その作成時において著作者がインド国民であったもの。

    (m) 「侵害コピー」とは、

    (i) 言語、演劇、音楽もしくは美術著作物に関しては、映画フィルム以外の形式の複製物、

    (ii) 映画フィルムに関しては、何らかの方法で何らかの媒体に作成されたそのコピー、

    (iii) 録音物に関しては、何らかの方法で作成された同一の複製物を収録した他の収録物、または

    (iv) 本法の規定に基づき放送複製権もしくは実演家の権利が存続する番組もしくは実演に関しては、その録音物もしくは映画フィルム

    であって、当該複製物、コピーまたは録音物が本法の規定に違反して作成されまたは輸入されたものをいう。

    (n) 「講演」には、演説、談話および説教を含む。

    (o) 「言語著作物」には、コンピュータ・プログラム、表、およびコンピュータ・データベースその他の編集物を含む。

    (p) 「音楽著作物」とは、楽曲からなる著作物を意味し、当該著作物の図示表記を含むが、当該楽曲と共に歌唱され、朗詠されまたは実演されることを意図した語句または行為を含まない。

    (q) 「実演」とは、実演家の権利に関しては、一人または複数の実演家が生で行う視覚または音声による上演をいう。

    (qq) 「実演家」には、俳優、歌手、音楽家、舞踏家、曲芸師、軽業師、奇術師、蛇使い、講演を口述する者その他実演を行う者を含む。

    (r) [削除]

    (s) 「写真」には、写真石版および写真に類する過程により制作される著作物を含むが、映画フィルムの部分を含まない。

    (t) 「原版」には、ステロ版その他の原版、石版、木版、鋳型、母型、模写、ネガティブ、複写機器その他著作物の印刷またはコピーの複製に使用されまたは使用が意図された装置、および著作物の音声による上演のために録音物が作成されまたは作成が意図された母型その他の機器を含む。

    (u) 「所定の」とは、本法に基づき定める規則に定められることをいう。

    (uu) 「制作者」とは、映画フィルムまたは録音物に関しては、当該著作物の作成に対して発意権および責任を有する者をいう。

    (v) [削除]

    (w) [削除]

    (x) 「複写」とは、写真複写または類似の方法により著作物のコピーを作成することをいう。

    (xx) 「録音物」とは、音声の収録物であって、当該音声が制作された手段たる媒体を問わず当該音声を生成することができるものをいう。

    (y) 「著作物」とは、以下のいずれかの著作物をいう。

    (i) 言語、演劇、音楽または美術著作物、

    (ii) 映画フィルム、

    (iii) 録音物。

    (z) 「共同著作物」とは、二人以上の著作者の協力により作成された著作物であって、一の著作者の寄与分が他の著作者の寄与分から区別できないものをいう。

    (za) 「彫刻著作物」には、鋳型および模型を含む。

    第3条 発行の意味

     本法においては、「発行」とは、コピーの交付または著作物を公衆に伝達することにより著作物を公衆に利用可能にすることをいう。

    第4条 著作物が発行されまたは公に実演されたとみなされない場合

     著作権の侵害に関連する場合を除き、著作物が著作権者の許諾なく発行されまたは公に実演された場合には、発行されまたは公に実演されたとみなされない。

    第5条 著作物がインド国内で最初に発行されたとみなされる場合

     本法において、インド国内で発行された著作物は、他の国で同時に発行されている場合でも、当該国が当該著作物につきより短い著作権保護期間を定める場合を除いては、インド国内で最初に発行されたものとみなす。また、インド国内での発行と他の国における発行の間の期間が30日または中央政府が特定の国に関して定める他の期間を超えない場合には、当該著作物はインドおよび当該他の国において同時に発行されたものとみなす。

    第6条 著作権審判委員会が判断する一定の紛争

     疑義が

    (a) 著作物が発行されているか、また、第V章における著作物が発行された日、または

    (b) 著作権の保護期間が他の国においては当該著作物につき本法が定めるより短いか

    について生じた場合には、当該紛争は第11条に基づき構成される著作権審判委員会に付託され、その判断は最終のものとする。
     ただし、著作権審判委員会が、第3条にいうコピーの交付または公衆への伝達は些細な性質のものであると考える場合には、同条における発行とみなさない。

    第7条 未発行著作物の作成が長期にわたる場合の著作者の国籍

     未発行著作物の場合において、当該著作物の作成が長期にわたったときは、本法における当該著作物の著作者は、当該者が当該期間の実質的部分において国民でありまたは居住していた国において国民でありまたは居住していたものとみなす。

    第8条 法人の居住地

     本法において、法人たる団体は、インド国内で効力を有するいずれかの法律に基づき設立されている場合にはインドに居住するものとみなす。



    第 II 章 著作権局および著作権審判委員会


    第9条 著作権局

    (1)  本法の目的のために、著作権局と称する機関を設けるものとする。

    (2)  著作権局は、中央政府の監督および指示を受けて行為する著作権局長の直接の管理下に置くものとする。

    (3)  著作権局の印を定めるものとする。

    第10条 著作権局長および著作権局長代理

    (1)  中央政府は、著作権局長1名を任命するものとし、また、著作権局長代理1名以上を任命することができる。

    (2)  著作権局長代理は、著作権局長の監督および指示に基づき、本法に基づく局長の権能のうち局長が随時指定するものを遂行するものとする。また、本法における著作権局長には、かかる権能を遂行する著作権局長代理を含むものとする。

    第11条 著作権審判委員会

    (1)  本法の施行後速やかに、中央政府は、委員長および2名以上14名以下の他の構成員からなる著作権審判委員会と称する委員会を構成するものとする。

    (2)  著作権審判委員会の委員長および他の構成員は、所定の期間中その条件に従い就任するものとする。

    (3)  著作権審判委員会の委員長は、現在もしくは過去に高等裁判所の判事である者または高等裁判所の判事の任命資格を有する者とする。

    (4)  著作権局長は、著作権審判委員会の事務局長となるものとし、所定の権能を遂行するものとする。

    第12条 著作権審判委員会の権限および手続

    (1)  著作権審判委員会は、本法に基づく規則に従い、その設置場所および審判時間の設定を含むその手続を規定する権限を有する。
     ただし、著作権審判委員会は、通常、手続を提起した者がその開始時に現実かつ任意に居住しまたは事業を行いもしくは営利のために個人的に就労する地域において、本法に基づき行われる手続を審理するものとする。

    解説…本項において「地域」とは、1956年州再編法(1956年第37号)第15条に定める地域をいう。

    (2)  著作権審判委員会は、著作権審判委員会の委員長がその構成員から構成する小委員会を通じてその権限および権能を行使し執行することができ、各小委員会は3名以上から構成されるものとする。
     ただし、委員長は、重要な案件についてはより多数からなる小委員会で審理すべきと考える場合には、これを5名からなる特別小委員会に付託することができる。

    (3)  著作権審判委員会またはその小委員会において本法に基づく決定のために提起された案件に関して、その構成員間に意見の相違がある場合には、多数の意見が優先するものとする。
     ただし、かかる多数意見が存在しない場合には、委員長の意見を優先するものとする。

    (4)  委員長は、第74条により認められた権限のいずれかをその構成員に授権することができ、当該授権を受けた構成員が行う命令または行為は、委員会の命令または行為であるものとみなす。

    (5)  著作権審判委員会のいかなる構成員も、個人的利害を有する事項に関しては委員会における手続に参加してはならない。

    (6)  本法に基づき著作権審判委員会が行う行為または手続に対しては、委員会の欠員の存在または構成の不備のみを根拠として異議を申立てることができない。

    (7)  著作権審判委員会は、1973年民事訴訟法(1974年第2号)第345条および第346条における民事裁判所とみなされ、また、委員会における全ての手続は、1860年インド犯罪法(1860年第45号)第193条および第228条における意味の司法手続とみなされる。



    第 III 章 著作権


    第13条 著作権が存続する著作物

    (1)  本条および本法の他の規定を条件として、著作権は、以下の種類の著作物に対してインド全域に及ぶものとする。

    (a) 創作的な言語、演劇、音楽および美術著作物、

    (b) 映画フィルム、ならびに

    (c) 録音物。

    (2)  第40条または第41条の適用を受ける著作物を除き、第(1)項に定める著作物は、以下の全てを充たさない限り、著作権を付与されないものとする。

    (i) 発行著作物の場合には、インド国内において最初に発行され、または当該著作物がインド国外で最初に発行された場合には、著作者が当該発行日(著作者が当該日に死亡しているときはその死亡日)にインド国民であること、

    (ii) 建築著作物以外の未発行著作物の場合には、著作者が当該著作物の作成日にインド国民でありまたはインドに居住していること、および

    (iii) 建築著作物の場合には、当該著作物がインド国内に所在すること。

    解説…共同著作物の場合には、本項に定める著作権付与の条件は当該著作物の全著作者が充たさなければならないものとする。

    (3)  著作権は、以下には付与されない。

    (a) 映画フィルムのうち、その実質的部分が他のいずれかの著作物に対する著作権の侵害にあたるもの、

    (b) 言語、演劇または音楽著作物に関して作成された録音物であって、その作成において当該著作物に対する著作権が侵害されたもの。

    (4)  映画フィルムまたは録音物に対する著作権は、当該フィルムまたは録音物がその全部または実質的部分について作成された著作物に対する別個の著作権に影響しないものとする。

    (5)  建築著作物の場合には、著作権は、美術的性質およびデザインにのみ存在するものとし、建築の過程または方法には及ばないものとする。

    第14条 著作権の意義

    (1)  本法において、「著作権」とは、著作物またはその実質的部分に関して、本法の規定に従い、以下の行為を行いまたは行わせる排他的権利をいう。

    (a) コンピュータ・プログラムでない言語、演劇または音楽著作物の場合には、

    (i) 当該著作物を有形的形式に複製すること(電子的方法により何らかの媒体に蓄積することを含む)、

    (ii) 当該著作物のコピーを公衆に交付すること(既に流通しているコピーを除く)、

    (iii) 当該著作物を公に実演すること、またはこれを公衆に伝達すること、

    (iv) 当該著作物に関して映画フィルムまたは録音物を作成すること、

    (v) 当該著作物の翻訳物を作成すること、

    (vi) 当該著作物の翻案物を作成すること、

    (vii) 当該著作物の翻訳物または翻案物に関連して、(i)ないし(vi)に定める行為を行うこと。

    (b) コンピュータ・プログラムの場合には、

    (i) 第(a)号に定める行為のいずれかを行うこと、

    (ii) 当該コンピュータ・プログラムのコピーを販売し、商業的貸与を行い、または販売もしくは商業的貸与に供すること。
    ただし、かかる商業的貸与は、プログラム自体が当該貸与の本質的目的でないものには適用しない。

    (c) 美術著作物の場合には、

    (i) 当該著作物を有形的形式に複製すること。二次元の著作物を三次元にまたは三次元の著作物を二次元に描写することを含む。

    (ii) 当該著作物を公衆に伝達すること、

    (iii) 当該著作物のコピーを公衆に交付すること。既に流通しているコピーを除く。

    (iv) 当該著作物を映画フィルムに含めること、

    (v) 当該著作物の翻案物を作成すること、

    (vi) 当該著作物の翻案に関連して、(i)ないし(iv)に定める行為を行うこと。

    (d) 映画フィルムの場合には、

    (i) 当該フィルムのコピーを作成すること。その一部を構成する画像の写真を含む。

    (ii) 当該フィルムのコピーを販売し、貸与し、または販売もしくは貸与に供すること。当該コピーが以前に販売されまたは貸与されたかを問わない。

    (iii) 当該フィルムを公衆に伝達すること。

    (e) 録音物の場合には、

    (i) これを含む他の録音物を作成すること、

    (ii) 当該録音物のコピーを販売し、貸与し、または販売もしくは貸与に供すること。当該コピーが以前に販売されまたは貸与されたかを問わない。

    (iii) 当該録音物を公衆に伝達すること。

    解説…本条においては、一度販売されたコピーは、既に流通しているコピーとみなす。

    第15条 1911年意匠法に基づき登録されまたは登録されうる意匠に対する著作権に関する特別規定

    (1)  1911年意匠法(1911年第2号)に基づき登録された意匠に対しては、本条に基づく著作権は付与されないものとする。

    (2)  1911年意匠法(1911年第2号)に基づき登録されうるが登録されていない意匠に対する著作権は、その著作権者またはその許諾を得た他の者により、当該意匠が適用された物品が産業的過程により50回を超えて複製されたときに消滅するものとする。

    第16条 本法に規定する以外の著作権の不存在

     何人も、当面効力を有する本法その他の規定によらなければ、発行されていると未発行であるとを問わず、著作物に対して著作権または類似の権利を認められないが、本条のいかなる規定も、背任または背信を制限する権利または裁判権を廃止するものと解釈されない。



    第 IV 章 著作権の帰属および著作権者の権利


    第17条 最初の著作権者

     本法の規定に従い、著作物の著作者はその最初の著作権者となるものとする。
     ただし、

    (a) 著作者が、新聞、雑誌または類似の定期刊行物の経営者による業務または徒弟契約に基づく雇用の過程で、新聞、雑誌または類似の定期刊行物における発行の目的で作成した言語、演劇または美術著作物の場合には、別段の合意がなければ、著作権が当該著作物の新聞、雑誌もしくは類似の定期刊行物における発行または当該著作物の発行のための複製に関連する限りにおいては、当該経営者が当該著作物の最初の著作権者となるものとするが、その他全てに関しては著作者がその最初の著作権者となるものとする。

    (b) 第(a)号の規定を条件として、依頼により有償の対価をもって撮影された写真、描かれた絵画もしくは肖像画、または作成された版画もしくは映画フィルムの場合には、別段の合意がなければ、当該依頼者がその最初の著作権者となるものとする。

    (c) 業務または徒弟契約に基づく著作者の雇用の過程において作成された著作物であって、第(a)号または第(b)号が適用されないものの場合には、別段の合意がなければ、使用者がその最初の著作権者となるものとする。

    (cc) 公に口述された演説または談話の場合には、当該演説または談話を口述した者(他の者に代わりこれらを口述した場合には、当該他の者)がその最初の著作権者となるものとし、当該演説または談話を口述しまたは口述させた者が当該演説または談話を手配した他者により雇用されていたかを問わず、また、これに代わりまたはその施設において当該演説または談話が口述されたかを問わない。

    (d) 政府著作物の場合には、別段の合意がなければ、政府がその最初の著作権者となるものとする。

    (dd) 公共事業体によりまたは公共事業体における指示もしくは管理の下に作成されまたは最初に発行された著作物の場合には、別段の合意がなければ、当該公共事業体がその最初の著作権者となる。

    解説…本号および第28A条において「公共事業体」とは、以下のものを意味する。
    (i) 政府が保有しもしくは管理する事業体、または
    (ii) 1956年会社法(1956年第1号)第617条に定義する政府法人、または
    (iii) 中央法、地域法もしくは州法によりもしくはこれに基づき設立された法人。

    (e) 第41条の規定を適用する著作物の場合には、これに関連する国際機関がその最初の著作権者となるものとする。

    第18条 著作権の譲渡

    (1)  既存の著作物の著作権者または将来の著作物の予定著作権者は、その著作権を、また包括的にまたは条件付で、著作権の全部または一部について、全部譲渡または一部譲渡することができる。
     ただし、将来の著作物に対する著作権の譲渡の場合には、当該譲渡は当該著作物が発生したときにのみ効力を生じるものとする。

    (2)  著作権の譲受人が著作権を構成する権利のいずれかを受けたときは、当該譲受人は譲受けた権利に関して、また、譲渡人は譲渡していない権利に関して、本法において著作権者として扱われ、本法の規定はそのように効力を与えるものとする。

    (3)  本条において、将来の著作物に対する著作権の譲渡に関しては、「譲受人」の語には、譲受人が著作物の発生する前に死亡した場合にはその法定代理人を含む。

    第19条 譲渡の方法

    (1)  著作物に対する著作権の譲渡は、譲渡人またはその適法に授権された代理人が署名した書面によらなければ有効とならないものとする。

    (2)  著作物に対する著作権の譲渡は、当該著作物を特定され、また、譲渡される権利およびかかる譲渡の期間および地域的範囲を特定されなければならない。

    (3)  著作物に対する著作権の譲渡は、譲渡の存続中に著作者またはその法定相続人に支払うべき使用料があればその額も特定するものとし、また、当該譲渡は、当事者らが相互に合意する条件にて修正、延長または解除されるものとする。

    (4)  譲受人が譲渡の日から1年以内に本条の他の項に基づき譲受けた権利を行使しない場合には、当該譲渡に別段の定めがなければ、当該権利に関する譲渡は当該期間の終了後に消滅したものとみなす。

    (5)  譲渡の期間の定めがない場合には、譲渡の期間は、譲渡の日から5年間とみなす。

    (6)  権利譲渡の地域的範囲の定めがない場合には、インド国内に及ぶものと推定する。

    (7)  第(2)項または第(3)項または第(4)項または第(5)項または第(6)項のいかなる規定も、1994年著作権(修正)法の発効前に行われた譲渡には適用しないものとする。

    第19A条 著作権の譲渡に関する紛争

    (1)  譲受人が譲受けた権利を十分に行使せず、かかる不行使が譲渡人の作為または不作為によらない場合には、著作権審判委員会は、譲渡人からの申立を受けその必要と考える調査を行った後に、かかる譲渡を取消すことができる。

    (2)  著作権の譲渡に関して紛争が生じた場合には、著作権審判委員会は、不服ある当事者から申立を受けその必要と考える調査を行った後に、支払うべき使用料の回復のための命令を含む適切とみなす命令を発することができる。
     ただし、著作権審判委員会は、譲渡人が著作者でもあるときは、譲渡の条件が譲渡人に不利であると判断する場合でない限り、当該譲渡を取消す命令を本項に基づき発してはならない。
     さらに、本項に基づく譲渡取消しの命令は、当該譲渡の日から5年以内は発してはならない。

    第20条 原稿に対する著作権の遺言による移転

     言語、演劇もしくは音楽著作物の原稿または美術著作物の遺贈を受け、当該著作物が遺言者の死亡前に発行されていない場合には、当該遺贈は、遺言者の遺言またはその遺言補足書に別段の意図がなければ、遺言者がその死亡の直前に著作権者である限りにおいては当該著作物の著作権を含むものと解釈されるものとする。

    解説…本条においては、「原稿」の語は手書きであるか否かを問わず、当該著作物を収録した原本をいう。

    第21条 著作者が著作権を放棄する権利

    (1)  著作物の著作者は、著作権局長に対して所定の書式にて通知を行うことにより、当該著作物に対する著作権を構成する権利の全部または一部を放棄することができ、以後、当該権利は、第(3)項の規定を条件として、当該通知の日から消滅するものとする。

    (2)  著作権局長は、第(1)項に基づく通知を受領したときは、これを官報その他適切とみなす方法にて公表させるものとする。

    (3)  著作物に対する著作権を構成する権利の全部または一部の放棄は、第(1)項にいう通知の日において何らかの者の利益のために存在する権利に影響しないものとする。



    第 V 章 著作権の期間


    第22条 発行された言語、演劇、音楽および美術著作物に対する著作権の期間

     本法の本条以下に別段の定めある場合を除き、著作者の生存中に発行された言語、演劇、音楽または美術著作物(写真を除く)に対する著作権は、著作者が死亡した年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    解説…本条において、著作者は、共同著作物の場合には、最後に死亡した著作者をいうものと解釈される。

    第23条 無名および変名著作物に対する著作権の期間

    (1)  著作者の生存中に無名または変名で発行された言語、演劇、音楽または美術著作物(写真を除く)の場合には、著作権は、当該著作物が最初に発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。
     ただし、当該期間の終了前に著作者の身元が開示された場合には、著作権は、当該著作者が死亡した年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    (2)  第(1)項において、著作者とは、無名の共同著作物の場合には以下のとおり解釈されるものとする。

    (a) 著作者のいずれかの身元が開示された場合には、当該著作者をいい、

    (b) 複数の著作者の身元が開示された場合には、当該著作者のうち最後に死亡した者をいう。

    (3)  第(1)項において、著作者とは、変名の共同著作物の場合には以下のとおり解釈されるものとする。

    (a) 著作者のいずれか(全員ではない)の氏名が変名でありその身元が開示されていない場合には、その氏名が変名でない著作者をいい、複数の著作者の氏名が変名でない場合には、そのうち最後に死亡した者をいい、

    (b) 著作者のいずれか(全員ではない)の氏名が変名でありそのいずれかの身元が開示されている場合には、その氏名が変名でない著作者およびその氏名が変名であって身元が開示されている著作者のうち、最後に死亡した者をいい、

    (c) 全ての著作者の氏名が変名であり、そのいずれかの身元が開示されている場合には、身元が開示されている著作者をいい、複数の著作者の身元が開示されている場合には、そのうち最後に死亡した者をいう。

    解説…本条において、著作者の身元が当該著作者および発行者の両方により公に公表されその他当該著作者により著作権審判委員会が満足するよう立証された場合に、著作者の身元が開示されたものとみなす。

    第24条 死後著作物に対する著作権の期間

    (1)  著作者の死亡日に著作権が存在する言語、演劇もしくは音楽著作物または版画の場合、または共同著作物の場合には最後に死亡した著作者の死亡日の直前に著作権が存在するが当該日までにこれまたはその翻案物が発行されていないときは、著作権は、当該著作物が最初に発行された年の翌暦年の開始時または以前に当該著作物の翻案物が発行されている場合には当該年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    (2)  本条において、言語、演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物は、公に実演された場合または当該著作物に関して作成された録音物が公に販売されもしくは公の販売に供されたときに発行されたものとみなす。

    第25条 写真に対する著作権の期間

     写真の場合には、著作権は、当該写真が最初に発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    第26条 映画フィルムに対する著作権の期間

     映画フィルムの場合には、著作権は、当該フィルムが発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    第27条 録音物に対する著作権の期間

     録音物の場合には、著作権は、当該録音物が発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    第28条 政府著作物に対する著作権の期間

     政府著作物の場合、政府がその最初の著作権者であるときは、著作権は、その記録が最初に発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    第28A条 公共事業著作物に対する著作権の期間

     公共事業体がその最初の著作権者である著作物の場合には、著作権は、当該著作物が最初に発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。

    第29条 国際機関の著作物に対する著作権の期間

     第41条の規定を適用する国際機関の著作物の場合には、著作権は、当該著作物が最初に発行された年の翌暦年の開始時から起算して60年間の満了まで存続するものとする。




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