Home >> 外国著作権法 >> インド編



    第 VI 章 利用許諾


    第30条 著作権者による利用許諾

     既存の著作物の著作権者または将来の著作物の予定著作権者は、自らまたはその適法に授権された代理人が署名した書面による利用許諾により、当該権利に対する利益を付与することができる。
     ただし、将来の著作物に対する著作権に関連する利用許諾の場合には、当該利用許諾は当該著作物が発生したときにのみ効力を生じるものとする。

    解説…本条に基づき将来の著作物に対する著作権に関連する利用許諾を付与された者が、当該著作物が発生する前に死亡した場合には、利用許諾において別段の定めがなければ、その法定代理人が当該利用許諾の利益を受けるものとする。

    第30A条 第19条および第19A条の適用

     第19条および第19A条の規定は、必要な修正および変更を加えたうえで、著作物に対する著作権の譲渡に関連して適用されるのと同様に、第30条に基づく利用許諾に関連して適用されるものとする。

    第31条 公衆から留保された著作物に対する強制利用許諾

    (1)  発行されまたは公に実演されたインド著作物に対する著作権の期間中のいずれかの時点において、著作権者が

    (a) 当該著作物を再発行しもしくは再発行させることを拒絶し、または当該著作物を公に実演させることを拒絶し、かかる拒絶により当該著作物が公衆から引き上げられ、または

    (b) 当該著作物もしくは録音物の場合には当該録音物に収録された著作物を、申立人が合理的と考える条件にて放送により公衆に伝達させることを拒絶した

    との申立てが著作権審判委員会に対してなされた場合には、著作権審判委員会は、当該著作物の著作権者に合理的な聴聞の機会を与え必要と考える調査を行った後に、かかる拒絶の理由が合理的でないと判断するときは、著作権者への補償の支払を条件とし、また著作権審判委員会が決定するその他の条件に従って、当該著作物を再発行し、公に実演しまたは放送により公衆に伝達する利用許諾を申立人に付与するよう著作権局長に指示することができる。また、その後、著作権局長は、所定の料金の支払があれば著作権審判委員会の指示に従って申立人に利用許諾を付与するものとする。

    解説…本項において、「インド著作物」には以下を含む。
    (i) 美術著作物であって、その著作者がインド国民であるもの、および
    (ii) インド国内で作成されまたは製造された映画フィルムまたは録音物。

    (2)  複数の者が第(1)項に基づく申立てを行った場合には、利用許諾は、著作権審判委員会が一般公衆の利益に最もよく資すると考える申立人に付与されるものとする。

    第31A条 未発行のインド著作物に対する強制利用許諾

    (1)  第2条第(1)項(iii)にいうインド著作物について、著作者が死亡しもしくは不明でありもしくは所在をつきとめることができない場合または当該著作物の著作権者を見つけることができない場合には、何人も、当該著作物またはそのいずれかの言語への翻訳物を発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。

    (2)  申立人は、第(1)項に基づく申立てを行う前に、国内の大部分で流通する英語日刊新聞紙の一の号において、また、申立てがいずれかの言語への翻訳物の発行にかかる場合には当該言語の日刊新聞紙の一の号においても、その提案を公表するものとする。

    (3)  各申立ては、所定の書式にて行うものとし、また、第(2)項に基づき発行される広告の写しおよび所定の料金を添えて行うものとする。

    (4)  本条に基づく申立てが著作権審判委員会に対して行われる場合には、著作権審判委員会は、所定の調査を行った後、著作権審判委員会が決定する使用料の支払およびその他の条件に従って、当該著作物または申立てに記載された言語への当該著作物の翻訳物を発行する利用許諾を申立人に付与するよう著作権局長に指示することができ、著作権局長は、これを受けて、著作権審判委員会の指示に従って申立人に利用許諾を付与するものとする。

    (5)  本条に基づき利用許諾が付与される場合には、著作権局長は、著作権者またはその相続人、遺言執行人もしくは法定代理人がいつでもかかる使用料を請求できるよう、命令により、著作権審判委員会が決定する使用料の額をインド国内の公の口座または著作権審判委員会が定めるその他の口座に納付するよう申立人に指示することができる。

    (6)  本条の上記の規定に影響することなく、第(1)項にいう著作物について、原著作者が死亡している場合には、中央政府は、当該著作物の発行が国民の利益に望ましいと考える場合には、当該著作者の相続人、遺言執行人または法定代理人に対して当該著作物をその定める期間内に発行させることができる。

    (7)  第(6)項に基づき中央政府が定める期間内に著作物が発行されない場合には、著作権審判委員会は、当該著作物を発行する許可の申立てを受け利害当事者の聴聞の後、著作権審判委員会が当該案件の状況に鑑み所定の方法で定める支払を条件に当該発行を許可することができる。

    第32条 翻訳物を作成し発行する利用許諾

    (1)  言語または演劇著作物の最初の発行から7年を経過したときは、何人も、当該著作物についていずれかの言語への翻訳物を作成し発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。

    (1 A) 第(1)項のいかなる規定にもかかわらず、当該著作物の最初の発行から3年を経過したときは、何人も、インド著作物以外の言語または演劇著作物の翻訳物が教授、学問または研究の目的に必要な場合には、当該翻訳物をインド国内での一般的な利用のために印刷または類似の複製形式にて作成し発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。
     ただし、かかる翻訳物が先進国において一般的に使用されていない言語にて行われる場合には、当該申立ては当該発行から1年を経過したときに行うことができる。

    (2)  本条に基づく各申立ては、所定の書式にて行うものとし、また、当該著作物の翻訳物のコピーの小売価格案を記載するものとする。

    (3)  本条に基づく利用許諾の申立人は、申立書と共に、所定の料金を著作権局長に納付するものとする。

    (4)  本条に基づく申立てが著作権審判委員会に行われた場合、著作権審判委員会は、所定の調査を行った後、以下の条件にて、申立てにいう言語への当該著作物の翻訳物を作成し発行する、利用許諾(独占的利用許諾を除く)を申立人に付与することができる。

    (i) 申立人が、公に販売された当該著作物の翻訳物のコピーに関して、著作権審判委員会が各事案の状況に鑑み所定の方法で決定する料率にて算定される使用料を当該著作物の著作権者に支払うとの条件、および

    (ii) 利用許諾が第(1A)項に基づく申立てに対して付与される場合には、さらに、当該利用許諾が当該著作物の翻訳物のコピーのインド国外への輸出には及ばず、また、当該翻訳物の各コピーは当該コピーがインド国内での頒布のみに供せられるとの通知を当該翻訳物の言語にて含むものとするとの条件。

     ただし、以下の場合には、(ii)のいかなる規定も、英語、フランス語またはスペイン語以外の言語への翻訳物のコピーの政府または政府所管官庁による輸出には、適用しないものとする。

    (1)  当該コピーが、インド国外に居住するインド国民もしくはインド国外のかかる国民の団体に送付される場合、または

    (2)  当該コピーが、教授、学問もしくは研究の目的に使用することを意図され、商業的目的を意図されない場合であって、かつ

    (3)  いずれの場合にも、かかる輸出の許可が当該国の政府により付与されているとき

     さらに、本条に基づくいかなる利用許諾も、以下の条件を充たさない限りは付与されないものとする。

    (a) 申立に記載された言語への著作物の翻訳物が、当該著作物の著作権者またはその許可した者により、当該著作物の最初の発行から所定の7年、3年もしくは1年以内に発行されておらず、または翻訳物が発行されている場合でも絶版になっていること、

    (b) 申立人が当該翻訳物を作成し発行するために著作権者の許可を求め拒絶されたこと、またはその適切な努力の後に著作権者の所在を知ることができなかったことを、著作権審判委員会の満足するよう証明すること、

    (c) 申立人が著作権者の所在を知ることができなかった場合には、著作物に名称が表示された発行者に対して書留航空郵便にて許可の要求のコピーを送付したこと。第(1)項に基づく利用許諾の申立ての場合には、当該申立ての2ヶ月前までにこれを行うこと、

    (cc) 第(1A)項に基づく申立て(但書に基づく申立てを除く)の場合には6ヶ月間、同項但書に基づく申立ての場合には9ヶ月間が、本但書(b)に基づく求めを行った日から、本但書(c)に基づく要求のコピーが送付された場合には当該コピーの送付日から経過し、かつ、当該著作物の申立てにいう言語への翻訳物が、当該著作権者またはその授権された者により当該6ヶ月間または9ヶ月間に発行されていないこと、

    (ccc) 第(1A)項に基づき行われる申立ての場合には、

    (i) 翻訳が提案される特定の版の著作者の氏名および題名が翻訳物の全てのコピーに印刷されること、

    (ii) 著作物が主に挿絵からなる場合には、第32A条の規定も遵守すること、

    (d) 申立人が著作物の正確な翻訳物を作成し発行する能力を有し、また、本条に基づき支払うべき使用料を著作権者に支払う手段を有することを、著作権審判委員会が確信すること、

    (e) 著作者が当該著作物のコピーを流通から引き上げていないこと、ならびに

    (f) 当該著作物の著作権者に対して、可能であればいつでも聴聞の機会が与えられること。

    (5)  いずれの放送機関も、

    (a) 第(1A)項にいう、印刷もしくは類似の複製形式にて発行された著作物、または

    (b) 組織的な指導活動の目的にのみ作成され発行された視聴覚固定物に含まれる文章

    の翻訳物を教授の目的のために、または専門的、技術的もしくは科学的研究の結果を特定の分野の専門家に発表するために、放送するよう作成し発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。

    (6)  第(1A)項に基づく申立てに関する限りにおいては、第(2)項ないし第(4)項の規定を、必要な変更のうえ、第(5)項に基づく利用許諾の付与に適用するものとし、かかる利用許諾は、以下の条件を充たさない限りは付与されないものとする。

    (a) 当該翻訳物が合法的に取得した著作物から作成されること、

    (b) 放送が音声および視覚収録物の媒体を通じて行われること、

    (c) 当該収録物が、申立人その他の放送機関によりインド国内における放送の目的のために合法的かつ独占的に作成されたこと、ならびに

    (d) 翻訳物およびその放送が商業目的のために使用されないこと

    解説…本条において、
    (a) 「先進国」とは、発展途上国でない国をいう。
    (b) 「発展途上国」とは、当面の間、国際連合総会の実務に合致するよう理解される国をいう。
    (c) 「研究の目的」には、産業的研究の目的または商業目的のための法人(政府が保有しもしくは管理する法人を除く)またはその他の団体もしくは個人の集合による研究の目的を含まない。
    (d) 「教授、研究または学問の目的」には、以下を含む。
    (i) 学校、専科学校、大学および個別指導団体を含む、全ての段階の教育機関における指導活動の目的、ならびに
    (ii) その他全ての種類の組織的教育活動の目的。

    第32A条 一定の目的のために著作物を複製し発行する利用許諾

    (1)  言語または演劇著作物の最初の発行から7年を経過したときは、何人も、当該著作物についていずれかの言語への翻訳物を作成し発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。

    (a) 当該版のコピーをインド国内で利用可能にしておらず、または

    (b) 当該コピーをインド国内において6ヶ月間販売に供していない場合には、

     何人も、当該著作物を印刷または類似の複製形式にて、組織的教育活動の目的のために複製し、当該版が販売される価額またはより低い価額にて発行する利用許諾を著作権審判委員会に申立てることができる。

    (2)  本条に基づく各申立ては、所定の書式にて行うものとし、また、複製される当該著作物のコピーの小売価格案を記載するものとする。

    (3)  本条に基づく利用許諾の申立人は、申立書と共に、所定の料金を著作権局長に納付するものとする。

    (4)  本条に基づく申立てが著作権審判委員会に行われた場合、著作権審判委員会は、所定の調査を行った後、以下の条件にて、申立てにいう著作物の複製を作成し発行する、利用許諾(独占的利用許諾を除く)を申立人に付与することができる。

    (i) 申立人が、公に販売された当該著作物の複製のコピーに関して、著作権審判委員会が各事案の状況に鑑み所定の方法で決定する料率にて算定される使用料を当該著作物の著作権者に支払うとの条件、

    (ii) 本条に基づき付与される利用許諾は、当該著作物の複製のコピーのインド国外への輸出には及ばず、また、当該複製の各コピーは当該コピーがインド国内での頒布のみに供せられるとの通知を含むものとするとの条件。

     ただし、本条に基づくいかなる利用許諾も、以下の条件を充たさない限りは付与されないものとする。

    (a) 申立人が当該複製を作成し発行するために著作権者の許可を求め拒絶されたこと、またはその適切な努力の後に著作権者の所在を知ることができなかったことを、著作権審判委員会の満足するよう証明すること、

    (b) 申立人が著作権者の所在を知ることができなかった場合には、利用許諾の申立ての3ヶ月前までに、著作物に名称が表示された発行者に対して書留航空郵便にて許可の要求のコピーを送付したこと、

    (c) 申立人が著作物の正確な複製を作成し発行する能力を有し、また、本条に基づき支払うべき使用料を著作権者に支払う手段を有することを、著作権審判委員会が確信すること、

    (d) 申立人が著作権審判委員会の設定する価額にて当該著作物を複製し発行すること。かかる価額は、同一または類似の主題に関する同等の水準の著作物についてインド国内で通常課せられる価額に合理的に関連するものとする。

    (e) 自然科学、物理化学、数学または技術の著作物の複製および発行の申立ての場合には6ヶ月間、その他の著作物の複製および発行の申立ての場合には3ヶ月間が、(a)に基づく求めを行った日から、(b)に基づく要求のコピーが送付された場合には当該コピーの送付日から経過し、当該著作物の複製が当該著作権者またはその授権された者により当該6ヶ月間または3ヶ月間に発行されていないこと、

    (f) 複製が提案される特定の版の著作者の氏名および題名が当該複製の全てのコピーに印刷されること、

    (g) 著作者が当該著作物のコピーを流通から引き上げていないこと、ならびに

    (h) 当該著作物の著作権者に対して、可能であればいつでも聴聞の機会が与えられること。

    (5)  著作物の翻訳物を複製し発行する利用許諾は、かかる翻訳物が翻訳権の保有者により許諾を受けた者に対して発行されたことがあり、かつ、当該翻訳物がインド国内において一般に用いられる言語を使用しているのでない限りは、本条に基づき付与されないものとする。

    (6)  本条の規定は、組織的教育活動の目的のためにのみ作成され発行される視聴覚固定物に含まれる文章の複製および発行ならびにインド国内で一般に使用される言語への翻訳にも適用するものとする。

    解説…本条において「一定の期間」とは、著作物に関しては、以下の期間をいう。
    (a) 申立てが小説、詩、演劇、音楽もしくは美術のまたはこれに関連する著作物の複製および発行にかかる場合には、当該著作物の最初の発行の日から7年間、
    (b) 申立てが自然科学、物理化学、数学もしくは技術のまたはこれに関連する著作物の複製および発行にかかる場合には、当該著作物の最初の発行の日から3年間、ならびに
    (c) その他の場合には、当該著作物の最初の発行の日から5年間。

    第32B条 本章に基づき付与された利用許諾の終了

    (1)  第32条第(1A)項に基づく著作物のいずれかの言語への翻訳物(以下本条において「許諾著作物」という)を作成し発行する利用許諾の付与の後いつでも、当該著作物の著作権者またはその授権した者が、同一の言語にてほぼ同一の内容の当該著作物の翻訳物を、同一または類似の主題に関する同一の水準の著作物の翻訳物につきインド国内で通常課せられる価格に合理的に関連する価格にて発行した場合には、当該利用許諾は終了するものとする。
     ただし、かかる終了は、上記翻訳物の発行を行わせた翻訳権者から当該利用許諾を付与された者に対する所定の方法による通知の送達の日から3ヶ月の終了後までは効力を生じないものとする。
     さらに、当該利用許諾の終了が効力を生じる前に当該利用許諾を有する者が作成し発行した許諾著作物のコピーは、既に作成され発行されたコピーが尽きるまでは引き続き販売しまたは頒布することができる。

    (2)  第32A条に基づく著作物の複製または翻訳物を作成し発行する利用許諾の付与の後いつでも、当該著作物の著作権者またはその授権した者が、同一の言語にてほぼ同一の内容の当該著作物またはその翻訳物を、同一または類似の主題に関する同一の水準の著作物につきインド国内で通常課せられる価額に合理的に関連する価額にて発行した場合には、当該利用許諾は終了するものとする。
     ただし、かかる終了は、上記版のコピーの販売または頒布を行わせた複製権者から当該利用許諾を保有する者に対する所定の方法による通知の送達の日から3ヶ月の終了後までは効力を生じないものとする。
     さらに、当該利用許諾の終了が効力を生じる前に当該利用許諾を保有する者が複製したコピーは、既に作成されたコピーが尽きるまでは引き続き販売しまたは頒布することができる。



    第 VII 章 著作権団体


    第33条 著作権団体の登録

    (1)  いかなる個人または団体も、1994年著作権(修正)法の発効後は、第(3)項に基づき付与される登録に基づきまたはこれに従う場合を除いては、著作権が付与される著作物に関してまたは本法が付与するその他の権利に関して、利用許諾を付与または許諾する事業を開始しまたは継続してはならない。
     ただし、著作権者は、その個人としての資格において、登録著作権団体の構成員としての義務に合致するよう、自己の著作物に関して利用許諾を付与する権利を引き続き有するものとする。
     さらに、1994年著作権(修正)法の発効の直前日に第33条の規定に従った機能を果たす実演権団体は、本章における著作権団体とみなされるものとし、かかる各団体は、1994年著作権(修正)法の施行日から1年以内に登録を受けるものとする。

    (2)  所定の条件を充たす個人の団体は、著作権局長に対して第(1)項に定める事業を行う許可を申請することができ、著作権局長は、当該申請を中央政府に提出するものとする。

    (3)  中央政府は、著作権者および本法に基づく他の権利者の利害、公衆および特に申請人に関して利用許諾を最も求めるであろう者の利害および便宜を考慮して、所定の条件に従い当該個人の団体を著作権団体として登録することができる。
     ただし、中央政府は、通常、同一の種類の著作物に関して事業を行う複数の著作権団体を登録してはならない。

    (4)  中央政府は、著作権団体が関連する権利者の利益に不利な態様にて管理されていると確信する場合には、所定の調査を行った後に、当該団体の登録を取消すことができる。

    (5)  中央政府が関連する権利者の利益において必要であるとの意見である場合には、命令により、第(4)項に基づき当該命令に定める1年を超えない期間、調査中の当該団体の登録を停止することができるものとし、当該著作権団体の機能を執行する管理者を任命するものとする。

    第34条 著作権団体による権利者の権利の管理

    (1)  所定の条件に従い、

    (a) 著作権団体は、利用許諾の付与もしくは著作権使用料の徴収またはその両方により著作物に対する権利を管理する独占的権限を権利者から受けることができ、また、

    (b) 権利者は、いかなる契約に基づく著作権団体の権利を損なうことなく、かかる許可を撤回する権利を有するものとする。

    (2)  著作権団体は、本法に基づく権利に相当する権利を管理する外国の団体または機関と、インド国内において当該著作権団体が管理する権利の外国における管理を当該外国団体もしくは機関に委託しまたは当該外国の団体もしくは機関が外国において管理する権利をインド国内で管理する合意を締結する能力を有するものとする。
     ただし、かかる団体または機関は、インド著作物に対する権利とその他の著作物に対する権利との間に、利用許諾の条件または徴集された料金の分配に関して差別を設けてはならない。

    (3)  所定の条件に従い、著作権団体は以下を行うことができる。

    (i) 本法に基づく権利に関して第30条に基づく利用許諾を付与すること、

    (ii) 当該利用許諾に従い料金を徴収すること、

    (iii) 当該料金を、自己の経費を差し引いた後に権利者間で分配すること、

    (iv) 第35条の規定に合致するようその他の機能を遂行すること。

    第34A条 著作権団体による報償の支払

    (1)  中央政府がある種類の著作物に関する著作権団体がインド全土において当該著作物に対する権利者の権利を広く一般的に管理していると判断する場合には、当該団体を本条のための著作権団体に任命するものとする。

    (2)  本条のために策定する規則に従って、著作権団体は、流通する著作物のコピーの数量に関連して個々の著作権者に支払うべき報償の額を決定する仕組みを定めなければならない。
     ただし、かかる仕組みは、支払を、著作権団体が合理的と考える流通の程度に達した著作物の権利者に制限しなければならない。

    第35条 権利者による著作権団体の管理

    (1)  各著作権団体は、その管理する権利の本法に基づく権利者(第34条第(2)項にいう外国の団体または機関が管理する本法に基づく権利の保有者を除く)の共同の管理に服するものとし、所定の方法にて、以下を行うものとする。

    (a) 料金の徴収および分配の手続につき当該権利者の許可を得ること、

    (b) 料金として徴収された金額を権利者への分配以外の目的のために利用することにつき、当該権利者の許可を得ること、ならびに

    (c) その権利の管理に関連して、その全ての活動に関する定期的、十分かつ詳細な情報を当該権利者に提供すること。

    (2)  権利者間で分配される全ての料金は、可能な限り、その著作物の現実の利用に比例して分配するものとする。

    第36条 申告書および報告書の提出

    (1)  各著作権団体は、所定の申告書を著作権局長に提出するものとする。

    (2)  中央政府によって適法に本条のために授権された公務員は、当該団体がその管理する権利に関して徴収した料金が本法の規定に従い利用されまたは分配されていることを確認するために、著作権団体に報告を求めることができ、また記録を求めることができる。

    第36A条 実演権団体の権利および責任

     本章のいかなる規定も、1994年著作権(修正)法の施行前に発生しもしくは負担した、実演権団体に関連する著作物に対するいかなる権利もしくは責任、または当該日において係属中の当該権利もしくは責任に関するいかなる法的手続にも影響しない。



    第 VIII 章 放送機関および実演家の権利


    第37条 放送複製権

    (1)  各放送機関は、その放送に関して、「放送複製権」として知られる特別な権利を有するものとする。

    (2)  放送複製権は、当該放送が行われた年の翌暦年の開始時から起算して25年間の満了まで存続するものとする。

    (3)  放送に関連する放送複製権の存続中、権利者の許諾なく当該放送またはその実質的部分に関して

    (a) 当該放送を再放送すること、または

    (b) 当該放送を有償にて公に視聴させること、または

    (c) 当該放送の録音物もしくは視覚収録物を作成すること、または

    (d) 当該最初の収録が許諾なく行われた場合には(許諾を受けていた場合には当該許諾が予定していない目的のために)、当該録音物もしくは視覚収録物の複製を作成すること、または

    (e) 第(c)号もしくは第(d)号にいう録音物もしくは視覚収録物を公衆に販売しもしくは貸与しまたはかかる販売もしくは貸与に供すること

    を行う者は、第39条の規定を条件として、放送複製権を侵害したものとみなす。

    第38条 実演家の権利

    (1)  実演家が出演しまたは実演に従事する場合には、当該実演家は、当該実演に関連して、「実演家の権利」として知られる特別の権利を有するものとする。

    (2)  実演家の権利は、実演が行われた年の翌暦年の開始時から起算して50年間の満了まで存続するものとする。

    (3)  実演に関連する実演家の権利の存続中、当該実演家の同意なく当該実演またはその実質的部分に関して

    (a) 当該実演の録音物もしくは視覚収録物を作成すること、または

    (b) 当該実演の録音物もしくは視覚収録物を複製し、かかる録音物もしくは視覚収録物が

    (i) 当該実演家の同意なく作成され、もしくは

    (ii) 当該実演家が同意を与えたものと異なる目的のために作成され、もしくは

    (iii) 第39条に従って作成された録音物もしくは視覚収録物から、第39条にいう目的と異なる目的のために作成されること、または

    (c) 当該実演を放送すること(当該放送が第39条に従って作成されたものでない録音物もしくは視覚収録物から行われる場合または当該実演家の権利を侵害していない以前の放送の同一の放送機関による再放送である場合を除く)、または

    (d) 放送以外により当該実演を公衆に伝達すること(当該公衆への伝達が録音物もしくは視覚収録物もしくは放送から行われる場合を除く)

    を行う者は、第39条の規定を条件として、当該実演家の権利を侵害したものとみなす。

    (4)  実演家がその実演を映画フィルムに含めることに同意した後は、第(1)項、第(2)項および第(3)項の規定は当該実演に関しては適用されないものとする。

    第39条 放送複製権または実演家の権利を侵害しない行為

     いかなる放送複製権または実演家の権利も、以下の行為によっては侵害されたものとみなされない。

    (a) 当該収録物を作成する者の個人的利用のためまたは善意の指導もしくは研究の目的のためにのみ、録音物もしくは視覚収録物を作成すること、または

    (b) 公正取引に合致するよう、実演もしくは放送の抜粋を時事の報道または善意の論評、指導または研究のために利用すること、または

    (c) 必要な修正および変更を加えたうえで、第52条に基づく著作権の侵害を構成しない他の行為。

    第39A条 放送複製権および実演家の権利に適用する他の規定

     第18条、第19条、第30条、第53条、第55条、第58条、第64条、第65条および第66条は、必要な修正および変更を加えたうえで、著作物に対する著作権に関連して適用されると同様に、放送に対する放送複製権および実演に対する実演家の権利に適用される。
     ただし、放送された著作物または実演に関して著作権または実演家の権利が存続する場合には、当該放送を複製する利用許諾は、状況に応じて権利者もしくは実演家またはその両方の同意なく効力を生じるものとする。



    第 IX 章 国際著作権


    第40条 外国著作物に著作権を及ぼす権限

     中央政府は、官報にて公布される命令により、本法の全てまたはいずれかの規定を以下のとおり適用することを命じることができる。

    (a) インド国外の場所において最初に発行された著作物のうち当該命令の関連するものについて、インド国内で最初に発行されたと同様に、

    (b) その著作者がその作成時に外国の臣民もしくは市民であった未発行著作物またはその種類のうち当該命令の関連するものについて、インド国内で最初に発行されたと同様に、

    (c) インド国外の場所における居住地のうち当該命令の関連するものについて、インド国内にあったと同様に、

    (d) 最初の発行の日または著作者が当該日に死亡している場合にはその死亡日において、著作者が外国の臣民または市民であった著作物のうち当該命令の関連するものについて、当該著作者が当該日または時点にインド国民であったと同様に。

    これにより、本章および命令の規定に従って、本法を適用する。
     ただし、

    (i) 中央政府は、外国(インドが条約を締結した相手方またはインドも当事者である著作権に関連する条約の当事者である国を除く)に関して本条に基づく命令を発する前に、本法の規定に基づき著作権を受けうる著作物を当該国において速やかに保護を与える規定を当該外国が制定しまたは制定することを約定したと確信しなければならない。

    (ii) 命令は、本法の規定が一般的にまたは当該命令に特定する種類の著作物もしくは場合に関連して適用されるものと規定することができる。

    (iii) 命令は、インドにおける著作権の期間が当該命令の関連する国の法が認める期間を超えないものと規定することができる。

    (iv) 命令は、本法が認める権利の享受が当該命令の定める条件および形式の充足を条件とするものと規定することができる。

    (v) 命令は、著作権の帰属に本法の規定を適用するにあたり、外国の法に照らして必要とみられる除外および修正を行うことができる。

    (vi) 命令は、本法もしくはその一部が当該命令の開始前に作成された著作物には適用されないものと、または本法もしくはその一部が当該命令の開始前に最初に発行された著作物には適用されないものと、規定することができる。

    第40A条 一定の他国の放送機関および実演家に第VIII章を適用する中央政府の権限

    (1)  中央政府は、外国(インドが条約を締結した相手方またはインドも当事者である放送機関および実演家の権利に関連する条約の当事者である国を除く)が本法に基づき認められる放送機関および実演家の権利を当該国において速やかに保護を与える規定を制定しまたは制定することを約定したと確信する場合には、官報に公布される命令により、第VIII章の規定を以下のとおり適用することを命じることができる。

    (a) 本部が当該命令の関連する国に所在しまたは放送が当該命令の関連する国に所在する送信機から送信された放送機関に対して、当該期間の本部がインド国内に所在しまたは当該放送がインド国内から行われたと同様に、

    (b) 当該命令の関連するインド国外の場所において行われた実演に対して、当該実演がインド国内で行われたと同様に、

    (c) 当該命令の関連する国において発行された録音物に組み込まれた実演に対して、当該録音物がインド国内で発行されたと同様に、

    (d) 本部が当該命令の関連する国に所在しまたは放送が当該命令の関連する国に所在する送信機から送信された放送機関が放送した録音物に固定されていない実演に対して、当該機関の本部がインド国内に所在しまたは当該放送がインド国内から行われたと同様に。

    (2)  第(1)項に基づき発せられる各命令は、以下のとおり規定することができる。

    (i) 第VIII章の規定が、一般的にまたは当該命令に特定する種類の放送もしくは実演または他の放送もしくは実演に関連して適用されること、

    (ii) インドにおける放送機関および実演家の権利の期間が、当該命令の関連する国の法が認める期間を超えないこと、

    (iii) 第VIII章が認める権利の享受が、当該命令の定める条件および形式の充足を条件とすること、

    (iv) 第VIII章もしくはその一部が、当該命令の開始前に行われた放送および実演には適用されないこと、または第VIII章もしくはその一部が、当該命令の開始前に最初に放送された放送もしくは実演された実演には適用されないこと、

    (v) 放送機関および実演家の権利の帰属の場合には、第VIII章の規定が、外国の法に照らして中央政府が必要と考える除外および修正のうえ適用されること。

    第41条 一定の国際機関の著作物に関する規定

    (1)  以下の条件を満たす場合には、本条に基づいて、当該著作物に対して、インド全土において著作権があるものとする。

    (a) 本章の適用ある機関の指示もしくは管理によりまたはこれに基づき著作物が作成されまたは最初に発行され、かつ

    (b) 本条を離れては、当該著作物に対してはその作成または最初の発行の時にインド国内において著作権がなく、かつ

    (c) 以下のいずれかに該当すること

    (i) 当該著作物は、当該著作物に対して著作権があればこれをその著作者に留保しないとの著作者との合意に基づき、当該合意に従って上記のとおり発行され、または

    (ii) 第17条に基づき当該著作物に対する著作権が当該機関に帰属すること。

    (2)  本条の適用ある機関であって、全ての重要な時点において法人の法的能力を有していなかったものは、著作権の保有、取引および執行においてまた著作権に関連する全ての法的手続に関連しては、法人の法的能力を有するものとし、また全ての重要な時期においてこれを有していたものとみなす。

    (3)  本条の適用ある機関は、主権者またはその政府が本条を適用することが迅速である構成員の機関であると、中央政府が、官報に公布する命令をもって、宣言することのできる機関をいう。

    第42条 インド国内で最初に発行された外国著作者の著作物に対する権利を制限する権限

     中央政府は、外国がインドの著作者の著作物に対して適切な保護を与えずまたは与えると約定していないとみられる場合には、官報にて公布される命令により、インド国内で最初に発行された著作物に対して著作権を認める本法の規定が、当該命令に特定する日の後に発行され、その著作者が当該外国の国民であってインド国内に居住していない著作物には適用されないものと命じることができ、その後は、当該規定は当該著作物には適用されない。

    第42A条 外国の放送機関および実演家の権利を制限する権限

     中央政府は、外国が放送機関または実演家に対して適切な保護を与えずまたは与えると約定していないとみられる場合には、官報にて公布される命令により、放送機関または実演家に対して権利を認める本法の規定が、当該外国に拠点を置きもしくは設立されまたは当該外国の国民もしくは市民であってかつインド国内で設立されずまたは居住していない放送機関または実演家には、適用されないものと命じることができ、その後は、当該規定は当該放送機関または実演家には適用されない。

    第43条 本章に基づく命令を国会に提出すべきこと

     本章に基づき中央政府が発する各命令は、その制定後可及的速やかに、国会の両議院に提出されるものとし、提出された会期または直後の会期に国会が行う修正を受けるものとする。



    第 X 章 著作権の登録


    第44条 著作権登録簿

     著作権局においては、著作権登録簿と呼ばれる、著作物の名称または表題ならびに著作者、発行者および著作権者の名称および住所ならびにその他所定事項を記載できる所定の書式の登録簿を保管するものとする。

    第45条 著作権登録簿への記載

    (1)  著作物の著作者もしくは発行者またはこれに対する著作権の保有者もしくはこれに利害を有する他の者は、著作権登録簿に当該著作物の明細を記載するよう、所定の書式にて所定の料金を添えて、著作権局長に対して申請を行うことができる。
     ただし、物品に関連して使用されまたは使用できる美術著作物に関しては、申請書には、その旨の記載を含むものとし、また、1958年商標および商品標章法(1958年第43号)第4条にいう当該美術著作物と同一または欺罔的に類似する商標が、申請人以外の者により当該法に基づき登録されておらずまたはかかる登録が当該法に基づき申請されていない旨の商標局長の証明書を添付するものとする。

    (2)  著作権局長は、第(1)項に基づく著作物に関する申請を受領したときは、その適切とみなす審査を行った後に、当該著作物の明細を著作権登録簿に記載することができる。

    第46条 索引

     著作権局においては、また、所定の著作権登録簿の索引を保管するものとする。

    第47条 登録簿の書式および閲覧

     本法に基づき保管される著作権登録簿およびその索引は、全ての合理的な期間中閲覧に供されるものとし、何人も、所定の料金を支払いまた所定の条件に従って、当該登録簿または索引の写しまたは抄録を作成することができるものとする。

    第48条 著作権登録簿がその記載された事項の一応の証拠となること

     著作権登録簿は、これに記載された明細についての一応の証拠となるものとし、また、これに記載された明細の写しまたはその抄録とされる文書であって著作権局長が認証し著作権局の印を押されたものは、さらなる証明または原本の提出なく全ての裁判所において証拠として採用できるものとする。

    第49条 著作権登録簿の記載の訂正

     著作権局長は、所定の場合においては所定の条件に従い、以下のとおり著作権登録簿を修正しまたは変更することができる。

    (a) 名称、住所もしくは明細の錯誤を訂正すること、または

    (b) 偶発的な過誤もしくは欠落により生じた他の錯誤を訂正すること。

    第50条 著作権審判委員会による著作権登録簿の訂正

     著作権審判委員会は、著作権局長または被害者の申請があれば、以下のとおり著作権登録簿を訂正するよう命じるものとする。

    (a) 登録簿において誤って省略された記載を行うこと、

    (b) 登録簿において誤って記入されもしくは記載されている明細を削除すること、または

    (c) 登録簿における錯誤もしくは瑕疵を訂正すること。

    第50A条 著作権登録簿等の記載を公表すべきこと

     著作権登録簿に行われた各記載または第45条に基づき記載された著作物の明細、第49条に基づき当該登録簿にて行われた各記載の訂正および第50条に基づき命じられた各訂正は、著作権局長が官報またはその適切とみなす他の方法により公表されるものとする。




    ページの上部へ戻る