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    第1編 著作権に関する規定


    第1章 保護される著作物

    第1条

    1 創作性を有し、文芸、音楽、造形美術、建築、演劇および映画に属する精神的著作物は、その表現の方法または形式を問わず、この法律により保護される。

    2 コンピュータ・プログラムは、1978年6月20日の法律第399号により批准され、施行されている文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の範囲内で、文芸の著作物として保護される。内容の選択や配列により、著作者自身の知的創作物を構成するデータベースもまた著作権によって同様に保護される。

    第2条

     とくに保護される著作物は以下のとおりである。
    (1) 文書または口述の形式による文学、演劇、学術、教育および宗教上の著作物
    (2) 詞を伴なう、または伴なわない音楽の著作物および音楽作品、楽劇の著作物、並びにそれ自体が独創的著作物を構成する変奏曲
    (3) 演出が文書またはその他の方法で固定されている舞踊の著作物およびパントマイム(無言劇)の著作物
    (4) 彫刻、絵画、素描、版画および舞台芸術を含む類似の造形美術の著作物
    (5) 建築図面および建築の著作物
    (6) 無声または有声の映画芸術の著作物。ただし、第2編第5章の規定によって保護される単なる記録映画でないことを条件とする。
    (7) 写真芸術の著作物または写真に類似する方法で表現された著作物。ただし、第2編第5章の規定によって保護される単なる写真でないことを条件とする。
    (8) コンピュータ・プログラムの著作物。表現の形式を問わず、それらが独創的であり、著作者自身の知的創作の成果であることを条件とする。インターフェイスを含む、コンピュータ・プログラムの要素であるアイデアや原理は、この法律によって認められる保護の範囲から除外される。「コンピュータ・プログラム」という用語には、準備段階にある設計資料を含むものとする。
    (9) 第1条第2項におけるデータベースとは、データまたはその他の個々の素材が体系的または方法的に配列され、電子的またはその他の手段により、個別的にアクセスすることができる編集著作物を意味する。
    (10) 創作的および芸術的価値を有する工業デザインの著作物


    第3条

     著作物またはその部分を組み合わせることによって形成され、特定の文学的、学術的、教育的、宗教的、政治的または美術的目的のための選択および配列から生ずる独自の創作性を有する編集著作物、たとえば、百科事典、辞書、詩文集、雑誌および新聞などは、構成要素である著作物またはその部分に存する著作権にかかわりなく、かつ、それを侵害することなしに、原著作物として保護される。

    第4条

     原著作物に存する権利を侵害せず、原著作物としての創作性を有する著作物、たとえば、他の言語への翻訳、他の文学的または美術的形式への変換、原著作物の実質的な改変となる変更および追加、翻案、編曲、要約並びに原著作物を構成しない変形もまた保護される。

    第5条

     この法律の規定は、イタリアおよび外国の国家または官公庁の公文書には適用しない。


    第2章 権利の主体

    第6条

     著作権は、知的努力の独自の表現を構成する著作物の創作により取得される。

    第7条

    1 編集著作物においては、その創作を準備し、指揮する者が著作者とみなされる。

    2 二次的著作物を創作した者は、その努力の範囲内において、その二次的著作物の著作者とみなされる。

    第8条

    1 慣習的な方法により、著作者として表示されている者、または著作物の口演、実演もしくは放送において著作者として告知される者は、反証がないかぎり、その著作物の著作者とみなされる。

    2 実名に等しいものとして周知である変名、芸名、頭文字または慣用の符号は、実名と同等の価値を有するものとみなされる。

    第9条

    1 無名または変名の著作物を実演し、または方法を問わず発行した者は、著作者がその著作物の著作者であることを明らかにする時まで、著作者の権利を主張する権利を与えられる。

    2 この規定は、前条第2項に規定されている変名の場合には適用しない。

    第10条

    1 著作物が、2人以上の者を区別できず、かつ、分離できない寄与によって創作された場合、著作権はすべての共同著作者の共有に属する。

    2 文書による反対の約定の証拠がないかぎり、共有の持分は、同等の価値を有するものと推定される。

    3 共有財産を規制する規定が適用される。さらに、著作者人格権は、共同著作者の1人によっていつでも個別に行使することができる。共同著作者全員の同意がなければ、未発行の著作物を発行し、または最初の発行形式と異なる形式に変更し、もしくはそのような形式で利用することができない。ただし、1人または2人以上の共同著作者が正当な理由なく拒絶したとき、司法当局は、著作物の発行、変更または新たな利用について、当局が定める条件にもとづいて許可することができる。

    第11条

    1 国または県および市町村名において、それらの費用で創作され、発行される著作物の著作権は、それらに帰属する。

    2 発行された著作物の著作者との間に反対の約定がないかぎり、同等の権利は、議事録およびその発行物に関して、非営利的性格の私法人およびアカデミーその他の公立の文化団体に帰属する。


    第3章 著作権の内容および存続期間

    第1節 著作物の経済的利用権の保護

    第12条

    1 著作者は、その著作物を発行する排他的権利を有する。

    2 著作者は、さらに、この法律が定める範囲内において、とくに以下の各条項に掲げる排他的権利の行使に関して、その方法または形式を問わず、著作物を原著作物として、または二次的著作物として、経済的に利用する排他的な権利を有する。

    3 利用権の行使の最初の形式は、最初の発行とみなされる。

    第12条の2

     反対の約定がないかぎり、雇用者は、雇用者が与えた命令に従う義務の履行において、被用者によって創作されたコンピュータ・プログラムまたはデータベースに関するすべての経済的権利を行使する排他的な権利を有する。

    第12条の3

     反対の約定がないかぎり、雇用者は、雇用者が与えた命令に従う義務の履行において、被用者によって創作された工業デザインの著作物に関するすべての経済的権利を行使する排他的な権利を有する。

    第13条

     排他的複製権は、手写、印刷、石版、版画、写真、レコード、映画その他の複製方法等あらゆる手段によって著作物の複製物を増製することを内容とする。

    第14条

     排他的転写権は、口述の著作物を文書の著作物または前条に掲げる手段の一により複製される著作物に変更するのに適した手段を利用することを内容とする。

    第15条

    1 公の実演または口演の排他的権利は、方法を問わず、有償または無償で、音楽、演劇または映画の著作物、興行に適したその他のすべての著作物および口述の著作物を実演し、または口演することを内容とする。

    2 家庭、学寮、学校または高齢者施設の通常の活動範囲における著作物の実演または口演は、それが収益を目的として行なわれないかぎり、公の実演とはみなされない。

    第15条の2

    1 著作者は、その著作物の実演または口演が、公的に設立された救護センターまたは施設内、あるいは慈善団体により行なわれる場合は、構成員および客のために企画されたもので、収益を目的として行なわれるものでないときは、報酬を減額される。イタリア著作者出版者協会と関連団体との間で取り決めがなされない場合、報酬の額は、内務省の審議の後に公布される大統領府令によって定められる。

    2 前項第1文の規定の適用を正当化する主観的および客観的事情を確認する基準および要件は、責任のある議会の委員会の審議の後、1988年8月23日の法律第400号の第17条第3項により公布される大統領府令によって確定される。とくに次に掲げることが規定されている。
    (a) 先に掲げた法人が1991年8月11日の法律第266号の第6条によって設立され、少なくとも2年間登録されていたという事実の証明
    (b) その法人について確認するための、および事前に制限され、決定される構成員および客数を証明するための要件
    (c) 構成員は、証明されうる形式において、実演の日より以前に確定していなければならない。
    (d) 実演家が、慈善活動にもとづく博愛の精神において排他的に自由な実演を行なっているという事実の証明

    第16条

     排他的伝送権は、電信、電話、ラジオまたはテレビジョン放送、衛星および有線再送信による公衆への伝達を含むその他の類似の手段のように、遠方への伝送手段を利用することを内容とする。特定のアクセス条件により発信される伝送についても同様である。

    第16条の2

     この法律の目的として、
    (a) 「衛星」とは、電気通信法によれば、直接的な公の受信または私的な個々の通信を目的とした信号の送信のために割り当てられる周波数帯において運用される衛星をいう。ただし、そのような私的な受信が、公の受信にあたるといえる状況において行なわれることを条件とする。
    (b) 「衛星による公衆への伝達」とは、国内で事業を行なう放送機関の監督と責任のもとで、連続する直接の通信として、公の受信のための番組送信信号を、衛星に送信し、次に地上に送信することをいう。番組送信信号が暗号形式で放送されるとき、衛星による公衆への伝達は、放送機関自身または同意を得て行なう第三者によって、放送を解読する手段が公衆の利用のために提供される場合に存在するものとみなされる。衛星による公衆への伝達が、公衆への伝達の方法について、この法律が規定する保護水準に達していない、EU加盟国ではない国の領域内で行なわれる場合、
    (1) 衛星による公衆への伝達は、プログラム送信信号が国内にある放送局から衛星に送信される場合にイタリアで行なわれるものとみなされる。衛星放送について、この法律によって与えられる権利は、その放送機関に対して責任を負う者が行使する。
    (2) 公衆への伝達は、EU加盟国の領域内にはない放送局から送信されるが、衛星による公衆への伝達が、イタリア国内にある放送機関のために行なわれる場合は、国内で行なわれたものとみなされる。衛星放送について、この法律によって与えられる権利は、その放送機関に対して責任を負う者が行使する。
    (c) 「ケーブル再送信」とは、他のEU加盟国から発信され、公の受信を目的とした放送モードであっても、一次的なラジオまたはテレビジョン放送の、ケーブルまたはより高周波数の再送信システムによる変更のない完全な形式における同時再送信をいう。

    第17条

    1 排他的頒布権は、手段や目的を問わず、著作物またはその複製物を流通させ、また公衆の利用に供するために市販する権利を内容とし、さらに、非EU加盟国で制作された著作物の複製物を頒布のためにEU域内に輸入する排他的権利を含む。

    2 販売促進、教育、学術研究のための著作物の複製物の自由な頒布は、それが権利者によって行なわれ、許諾されている場合は、排他的頒布権の行使であるとはみなされない。

    第18条

    1 排他的翻訳権は、第4条に規定されている著作物の変更、翻案および変形のすべての形式を内容とする。

    2 著作者は、その著作物を編集物として発行する排他的権利も有する。

    3 最後に、著作者は、その著作物に変更を加える排他的権利を有する。

    第18条の2

    1 排他的貸与権は、期間を限定し、直接的または間接的な経済的または商業的な利用のために、原著作物、複製物および著作権のある著作物の記録媒体の利用を内容とする。

    2 排他的貸出権は、期間を限定し、公衆がアクセスしやすい標章が制定されている場合は、前項に規定されている目的以外の目的のために、原著作物、複製物および著作権のある著作物の記録媒体の利用を内容とする。

    3 著作者は、第三者に対し貸与または貸出を許諾する排他的権利を有する。

    4 前記の権利は、原著作物、複製物または著作物の記録媒体の販売またはその他の頒布行為によって消尽しない。

    5 貸与権がレコード製作者、映画製作者または視聴覚著作物の製作者あるいは連続する映像の製作者に譲渡された場合でさえ、著作者は、製作者が第三者との間で締結する貸与契約について、公正な報酬を得る権利を有する。反対の約定がある場合は無効である。施行令第16条第1項に定義づけされているように、関係当事者間に約定がない場合、この報酬は、1945年7月20日の法律第440号の第4条が規定する手続にしたがって定められる。

    6 第1項ないし第4項の規定は、建築図面または建築デザインあるいは応用美術の著作物には適用されない。

    第19条

    1 前各条に規定されている排他的権利は、それぞれ独立して存在する。これらの1つ権利の行使は、他の権利の行使を妨げない。

    2 これらの権利は、著作物の全体およびその各部分について存在する。

    第2節 著作者人格権の保護

    第20条

    1 前節の各規定に規定されている著作物の排他的な経済的利用権にかかわりなく、これら権利の譲渡後においても、著作者は、著作物の著作者であることを主張する権利および著作者の名誉または声望を害するおそれがある著作物の改変、切除その他の変更、その他評価を低下させる行為に対して異議を申立てる権利を有する。

    2 ただし、建築の著作物において、著作者は、建設の過程において必要と認められる変更に対して異議を申立てることはできない。また、著作者は、すでに完成した建築の著作物について必要とされる変更に対して異議を申立てることはできない。ただし、権限のある国の機関によって著作物が重要な美術的性質を有すると認められる場合、著作者は、その変更について研究および実施を任せられる。

    第21条

    1 無名または変名の著作物の著作者は、いつでも著作者であることを明らかにする権利および著作者としての地位を司法手続によって認めさせる権利を有する。

    2 事前に反対の約定があったにもかかわらず、著作者であることを明かにした著作者の権利承継人は、発行物、複製物、転写物、実演、口演および伝送その他公衆への呈示または告知の形式において、著作者の氏名を表示しなければならない。

    第22条

    1 前各条に規定されている権利は、譲渡することはできない。

    2 ただし、著作者がその著作物の変更を知り、かつ、それを受諾した場合は、著作者は、その変更の実施を妨げるため、または公表禁止を要求するために介入する権利を有しない。

    第23条

    1 第20条に規定されている権利は、著作者の死後、その配偶者および子が、それらを欠くときは両親その他の直系尊属および直系卑属が、並びに直系尊属および直系卑属を欠くときは兄弟姉妹およびその卑属が、これを無期限に主張することができる。

    2 公益上の必要があるときは、大統領府も、適格な専門家団体に聴聞した後に、このような措置をとることができる。

    第24条

    1 未発行著作物を発行する権利は、著作者が明示的に発行を禁止し、またはそれを他者に委託した場合を除き、著作者の相続人または当該著作物の受遺者に帰属する。

    2 著作者が発行までの期間を定めた場合には、未発行著作物は、その期間満了前に発行してはならない。

    3 第1項に掲げる者が2人以上であって、それらの者の間で協議が調わないときは、検察官に聴聞した後に司法当局が決定するものとする。故人の意思は、それが文書で表示されているときは、すべての場合に尊重されなければならない。

    4 第3編第2章第2節の各規定は、これらの著作物に適用される。

    第3節 経済的利用権の存続期間

    第25条

     著作物の経済的利用権は、著作者の生存中およびその死後70年目の終わりまで存続する。

    第26条

    1 第10条に規定されている著作物、オペラの著作物、舞踊の著作物および無言劇においては、各共同著作者および各共同者の経済的利用権の存続期間は、最後まで生存した共同著作者の生存期間によって決定される。

    2 編集著作物においては、各共同著作者および各共同者の経済的利用権の存続期間は、共同者各人の生存期間によって決定される。編集著作物全体の経済的利用権の存続期間は、発行の形式を問わず、最初の発行の日から70年とする。ただし、第30条の規定が適用される雑誌、新聞その他の定期刊行物は除く。

    第27条

    1 第8条第2項に規定されているものを除く無名または変名の著作物の場合においては、経済的利用権の存続期間は、発行の形式を問わず、最初の発行の日から70年とする。

    2 この期間の満了前に、次条に定められた方法により、著作者が著作者であることを明かにした場合、または第23条に掲げる者、もしくは著作者から許諾を得た者によって、著作者であることを明かにされた場合は、第25条が適用される。

    第27条の2 (削除)

    第28条

    1 経済的利用権の通常の存続期間の利益を享受するために、著作者であることを明示する者は、適用される施行令にしたがい、大統領府著作権局への申告を行なわれなければならない。

    2 申告は、施行令によって必要とされる形式において公告され、無名または変名の著作物の権利を取得した第三者については、申告の日から効力を生ずる。

    第29条

     第11条により、国、県、市町村、アカデミーまたは公の文化団体あるいは非営利的性格の私法人に帰属する経済的利用権の存続期間は、発行の形式を問わず、最初の発行の日から20年とする。アカデミーおよびその他の公の文化団体が発行する通信文および覚書の場合は、その期間は2年に短縮される。その後は、著作者が、その文書の自由な処分権を完全に回復する。

    第30条

    1 ある著作物の部分または巻が別個に、異なる時期に発行された場合、年数で定められている経済的利用権の存続期間は、各部分または各巻の発行の年から起算される。著作者は、年の端数の利益を享受する。

    2 雑誌または新聞のような定期刊行の編集著作物においても、権利の存続期間は、各分冊または各号の発行の年の終わりから起算される。

    第31条

     第85条の3の規定による規制を受けない、著作者の死後はじめて発行された著作物において、経済的利用権の存続期間は、著作者の死後70年間とする。

    第32条

     第44条の規定にかかわりなく、映画の著作物または映画と類似の著作物の経済的利用権は、以下に掲げる者のうちの最後の生存者の死後70年目の終わりで消滅する。美術監督、対話の著作者を含む脚本の著作者およびとくに映画の著作物またはそれと類似の著作物における利用のために創作された音楽の作曲者。

    第32条の2

     写真の著作物の経済的利用権は、著作者の死後70年目の終わりで消滅する。

    第32条の3

     この節に規定されている経済的利用権の存続期間は、すべての場合において、著作者死亡の年またはこの法律に規定されている事柄が発生した翌年の1月1日から起算する。


    第4章 著作物の経済的利用権を規制する特別規定

    第1節 楽劇の著作物、歌詞を伴なう楽曲、舞踊の著作物および無言劇

    第33条

     オペラ、オペレッタ、メロローグ、歌詞を伴なう楽曲、並びにダンス曲およびバレエ曲について、共同者間に特別の約定がないときは、以下の3か条の規定が適用される。

    第34条

    1 音楽部分の著作者は、当事者の共有関係から生ずる権利を除き、経済的利用権を行使する権限を有する。

    2 経済的利用から生ずる利益は、文学的部分および音楽部分の各分担部分の価値に比例して分配される。

    3 オペラについて、音楽部分の価値は、著作物全体の価値の4分の3であるとみなされる。

    4 オペレッタ、メロローグ、歌詞を伴なう楽曲、並びにダンス曲およびバレエ曲について、2つの分担部分の価値は等しいものとみなされる。

    5 以下の各条の規定にしたがうことを条件として、各共同者は、自己の著作物を分離して別個に利用する権利を有する。

    第35条

    1 文学的部分の著作者は、次に掲げる場合を除き、他の音楽の著作物との関係において、自己の分担部分を利用することができない。
    (1) 文学的部分の原稿の最終稿が作曲者に送付された後に、オペラまたはオペレッタの歌詞の場合は5年以内に、または曲を付すべき他の文学の著作物の場合には1年以内に、作曲者が曲を付さない場合。
    (2) 曲を付され、当事者により実演の準備ができたとみなされた後に、著作物が前号に掲げる期間内に実演されない場合。ただし、第139条および第141条により、実演のためにより長い期間が認められている場合を除く。
    (3) 最初の実演の後に、オペラ、オラトリオ、交響詩またはオペレッタの場合には10年間、または他の楽曲の場合には2年間、著作物が実演されない場合

    2 前項第2号および第3号に規定されている場合において、作曲者は楽曲を他の方法で利用することができる。

    第36条

    1 前条第1項第1号に規定されている場合には、文学的部分の著作者は、文学的部分について自由な処分権を回復する。ただし、作曲者に対する損害賠償請求を妨げるものではない。

    2 前条第1項第2号および第3号に規定されている場合で、前項に規定する損害賠償請求を妨げない場合には、すでに曲を付された著作物の共同著作権には影響を与えない。ただし、その著作物は、共同者双方の同意なしに実演することはできない。

    第37条

    1 舞踊の著作物または無言劇の著作物、並びに音楽、歌詞およびダンスまたはものまねで構成される他の著作物で、音楽部分が主たる役割または価値を有しないミュージカル・レヴューやこれに類似した著作物である場合には、経済的利用権の行使は、反対の約定がないかぎり、舞踊または無言劇の部分の著作者に帰属し、ミュージカル・レヴューにおいては、文学的部分の著作者に帰属する。

    2 第35条および第36条の規定は、前項の規定によって必要とされる変更を条件として、これらの著作物に適用される。


    第2節 編集著作物、雑誌および新聞

    第38条

    1 編集著作物において、経済的利用権は、反対の約定がないかぎり、第7条の適用から生ずるいずれの権利も侵害することなく、著作物の発行者に帰属する。

    2 編集著作物の各共同者は、既存の約定にしたがい、約定がないときは以下の規定にしたがうことを条件として、自己の寄与分を分離して利用する権利を有する。

    第39条

    1 事前の約定なしに、複製を目的として、編集スタッフ以外の者から雑誌または新聞に記事が送られる場合、著作者は、その記事の送付から1か月以内に受諾の通知を受けないか、または受諾の通知から6か月以内に複製されないときは、その記事を自由に処分する権利を回復する。

    2 編集スタッフの一員から提供される記事の場合、雑誌または新聞の編集長は、前項で規定されている期間を超えて複製を延期することができる。ただし、原稿の引渡しから6か月の期間が経過したときは、著作者は、新聞の場合には別巻または別冊のなかで、雑誌の場合には他の定期刊行物のなかで、その記事を複製して利用する権利を有する。

    第40条

    1 反対の約定がないかぎり、雑誌または新聞以外の編集著作物の協同者は、その著作物の複製物に通常の方法でその氏名を表示させる権利を有する。

    2 反対の約定がないかぎり、この権利は編集スタッフには享有されない。

    第41条

    1 第20条の規定の適用にかかわりなく、新聞の編集長は、反対の約定がないかぎり、複製のために提供される記事に、新聞の性質および目的上必要とされる形式の変更を加える権利を有する。

    2 著作者の氏名が表示されずに複製される記事において、この権限は記事の部分の省略や削除の場合にまで拡張される。

    第42条

    1 編集著作物のなかに複製された記事またはその他の著作物の著作者は、その記事等が取られた編集著作物および発行の日を表示することを条件として、その記事等を別刷として複製し、または別巻のなかに挿入する権利を有する。

    2 雑誌または新聞に掲載された記事において、著作者は、反対の約定がないかぎり、その記事を他の雑誌または新聞に複製する権利を有する。

    第43条

     雑誌または新聞の発行者または編集長は、送られてきた記事の原稿を保存し、または返却する必要はない。


    第3節 映画の著作物

    第44条

     主題の著作者、シナリオの著作者、音楽の作曲者および美術監督は、映画の著作物の共同著作者とみなされる。

    第45条

    1 以下の各条に規定する範囲内において、映画の著作物の経済的利用権の行使は、著作物の製作を指揮した者に帰属する。

    2 映画の著作物に製作者として表示される者は、映画の著作物の製作者とみなされる。著作物が、第103条第2項により登録されるときは、同条に定められている推定が優先する。

    第46条

    1 製作者に帰属する経済的利用権の行使は、製作された著作物の映画的利用を内容とする。

    2 反対の約定がないかぎり、製作者は、第44条に規定されている著作者の同意なしに、製作された著作物の翻案物、変形物または翻訳物を作成し、または上映してはならない。

    3 音楽、楽曲および楽曲を伴なう歌詞の著作者は、公の上映について、著作物を上映する者から直接に個別の使用料を徴収する権利を有する。当事者間に約定がない場合、使用料は施行令の規定にしたがって定められる。

    4 主題の著作者、シナリオの著作者、音楽の作曲者および美術監督は、その報酬が、映画の著作物の公の上映から生ずる収入の一定割合として定められていない場合には、反対の約定がないかぎり、収入が製作者との契約で定められた額に達し、その方式が、関係当事者間の取り決めによって定められているときは、追加報酬を受ける権利を有する。

    第46条の2

    1 第46条の規定にかかわらず、放送権が製作者に譲渡される場合、映画の著作物または類似の著作物の著作者は、電磁波、ケーブルまたは衛星による公衆への伝達の形式をとる著作物のあらゆる利用について、放送機関から正当な報酬を受ける権利を有する。

    2 前項および第18条の2第5項の規定とは異なる、映画の著作物または類似の著作物のあらゆる利用について、その著作者は、各利用行為ごとに経済的利用権を行使する者から正当な報酬を受ける権利を有する。

    3 原語がイタリア語ではない映画の著作物または類似の著作物のあらゆる利用について、イタリア語への翻訳または翻案によって構成される二次的著作物の著作者は、同様に正当な報酬を受ける権利を有する。

    4 第1項ないし第3項に規定されている報酬は、放棄することができず、そして、施行令第16条第1項に定義づけされている関係当事者間に取り決めがない場合は、1945年7月20日の法律第440号の第4条に規定されている手続にもとづいて確定される。

    第47条

    1 製作者は、映画の著作物に利用される著作物について、映画化による翻案のために必要とされる変更を加える権利を有する。

    2 製作者とこの法律の第44条に掲げる1人または2人以上の著作者との間に約定がないときは、映画の著作物に加えられた、または加えられるべき変更が必要なものであるか否かの問題は、適用される施行令にもとづき、大統領府が指名する専門家の会議によって定められるものとする。

    3 会議の決定は、最終のものとする。

    第48条

     映画の著作物の著作者は、その氏名、職業上の資格、およびその分担部分の表示を映画の著作物の上映の際に表示させる権利を有する。

    第49条

     映画の著作物の文学的部分または音楽部分の著作者は、製作者に帰属する利用権に損害を与えないことを条件として、いかなる方法においても、その部分を分離して複製し、または利用することができる。

    第50条

     製作者が、文学的部分または音楽部分の引渡しから3年以内に映画の著作物を完成することができない場合、または完成から3年以内にその完成した著作物を上映しない場合には、それら部分の著作者は、その著作物を自由に処分する権限を有する。


    第4節 放送される著作物

    第51条

     直接に、または免許によって事業を行なう、国家の事業としての放送の性質や目的を考慮して、著作物を直接に、または何らかの手段を介して放送する排他的権利は、以下の特別規定によって規制されるものとする。

    第52条

    1 放送事業を行なう機関は、この条および以下の各条に規定されている条件および制限にしたがい、劇場、コンサートホールその他の公の場所から知的著作物を放送する権利を有する。

    2 劇場等の所有者、興行主および実演に関係するすべての者は、放送の準備に必要な設備の据付けや技術的な試験を許容しなければならない。

    3 新しい著作物の放送、および新しくはない著作物のシーズン最初の上演については、著作者の同意が必要とされる。

    4 3つの異なる劇場その他の公の場所で公に上演される演劇の著作物は、新しいものとみなされない。

    第53条

    1 演劇の上演またはコンサートのシーズンが2か月より短くないときは、前条に掲げる放送機関の権利は、演劇の上演に関しては週に1回、およびコンサートに関しては5回ごとに1回行使することができる。

    2 演劇シーズンまたはコンサートシーズンの期間は、シーズンの開始前に発行される予告またはプログラムで告知される期間をいうものとする。

    第54条

    1 放送が適切な技術的基準に合致するか否かを確認する任務は、放送の監督に責任を有し、かつ、1923年6月14日の勅令第1352号の第2条および1936年6月4日の法律第1552号において改正された1936年2月3日の勅令第654号の第2条によって付与される権限を有する国の諸機関の排他的義務とする。

    2 著作者の氏名および著作物の題号は、著作物の放送と同時に放送されなければならない。

    第55条

     放送機関は、時間または技術を考慮して必要とされるときは、著作物の放送に関する著作者の権利を侵害することなく、録音物の使用後は、当該録音物が破棄され、または使用不能とされることを条件として、異時放送のために、当該著作物をレコードもしくは金属テープに、または類似の手段により録音することを許される。

    第56条

    1 前各条にしたがって放送される著作物の著作者は、放送機関から報酬の支払いを受ける権利を有する。報酬の額は、当事者間で協議が調わない場合には、司法当局によって定められる。

    2 施行令で定められる方法および形式にしたがい、和解を試みた後でなければ、司法当局に対して申請することはできない。

    第57条

    1 報酬の額は、送信の回数を基礎として計算される。

    2 施行令は、異時放送または反復放送の回数および方法を定める基準を規定しなければならない。

    第58条

     著作者は、拡声器を備えたラジオ受信機を用いて放送される著作物の、公の施設内での実演について、正当な報酬を受ける権利を有する。報酬の額は、定期的にイタリア著作者出版者協会と関連する利益代表団体の代表者との協定によって決定されるものとする。

    第59条

     放送機関の構内からの知的著作物の放送は、この編第3章の規定にしたがい、著作者の同意を必要とする。前各条の規定は、第55条の規定を除き、この放送には適用しないものとする。

    第60条

     大統領府による要求がある場合、放送機関は、施行令にもとづいて定められる報酬を支払うことで、外国向けの文化的および芸術的な特別の放送を行なうことができる。


    第5節 機械的機器に録音された著作物

    第61条

    1 著作者は、この編第3章第1節の規定に定める範囲内で、次に掲げる行為を行なう排他的権利を有する。

    (1) 著作物をレコード、映画フィルム、金属テープまたは音声を複製するための類似の有形的または機械的機器に翻案し、録音すること
    (2) 翻案され、または録音された著作物の複製物を複製し、頒布し、貸与し、貸出し、またはその貸与あるいは貸出を許諾すること
    (3) レコードその他の機械的機器を用いて著作物を公に実演し、ケーブルにより放送すること、および衛星による公衆への伝達またはケーブルによる再送信を許諾すること

    2 複製権または頒布権の譲渡は、反対の約定がないかぎり、公の実演権または放送権あるいはその他の合意がないかぎり、衛星による公衆への伝達権またはケーブルによる再送信権の譲渡を含まないものとする。

    3 放送に関する著作権は、前節の規定による規制を受けるものとする。

    第62条

     知的著作物が録音されているレコードまたは音声を複製するための類似の機器の複製物は、次に掲げる事項が消すことのできない方法で表示されていないときは、商業的に頒布してはならない。

    (1) 複製された著作物の題号
    (2) 著作者の氏名
    (3) 実演家の氏名。オーケストラまたはコーラスグループは、その通称で認識されるものとする。
    (4) 製作年月日

    第63条

    1 レコードまたは類似の機器は、著作者人格権がこの法律の第20条および第21条にしたがって尊重されるような方法で作成され、または使用されなければならない。

    2 録音の技術的要請により必要な著作物の変更は、適法とみなされる。

    第64条

     国立レコードライブラリー(Discoteca di Stato)の再編成に関する規定を含む1939年2月2日の法律第467号の第5条の規定にしたがい、イタリア国内または外国における販売のために頒布されるレコードを製作する目的で、国立レコードライブラリーの原盤を利用するために、国内のレコード発行者に与えられる権限は、録音される著作物が保護される著作物であるかぎり、適用される施行令にしたがって、使用料の支払い義務を伴なうものとする。


    第6節 コンピュータ・プログラム

    第64条の2

     第64条の3および第64条の4の規定にかかわらずこの法律によって与えられる排他的権利は、次に掲げる行為を行ない、あるいは許諾する権利を含むものとする。

    (a) 手段や形式を問わず、部分または全体のコンピュータ・プログラムの永久的または一時的複製。コンピュータ・プログラムのロード、ディスプレイ、処理、伝送、蓄積のために複製が必要である場合にかぎり、それらの行為は権利者により許諾されたものとする。
    (b) コンピュータ・プログラムの翻訳、翻案、変更その他の改変およびその結果の複製。プログラムを改変する者の権利にかかわらない。
    (c) オリジナルのコンピュータ・プログラムまたはその複製物の貸与を含む公衆へのあらゆる形式の頒布。権利者による、またはその同意のあるプログラムの複製物の、EC域内における最初の販売により、プログラムまたはその複製物の二次的な貸与を管理する権利を除き、EU域内においてその複製物の頒布権は消尽する。

    第64条の3

    1 反対の約定がないかぎり、第64条の2第1項(a)および(b)に掲げる行為は、誤りを修正する行為を含む、意図された目的にしたがい、適法な取得者がコンピュータ・プログラムを使用するために必要である場合は、権利者による許諾を必要としない。

    2 コンピュータ・プログラムの利用権を有する者のバックアップ・コピーの作成は、その利用に関して必要と認められる場合は、契約により差止めることができる。

    3 コンピュータ・プログラムの複製物の利用権を有する者は、権利にもとづいて、プログラムをロード、ディスプレイ、処理、伝送、蓄積する行為を実行する場合に、権利者の許諾なしに、プログラムの要素を構成するアイデアや理論を決定するために、プログラムの機能を調査し、研究し、テストする権利を有する。本項および前項の規定に反するいかなる契約条項も無効である。

    第64条の4

    1 第64条の2第1項(a)および(b)の範囲内の形式のコードおよび翻訳の複製が、独自に創作されたコンピュータ・プログラムの相互作用を実行するために必要な情報を得るために必要不可欠である場合、次に掲げる要件に該当する場合は、権利者の許諾を必要としない。
    (a) これらの行為が、プログラムの複製物を利用するライセンスを受けた者または権利を有する他の者、あるいは許諾を得た者によってなされる場合
    (b) 相互作用を実行するために必要な情報が、(a)に掲げられる者にとって、事前に容易に入手できなかった場合
    (c) 相互作用を実行するために必要な行為が、オリジナルのプログラムの部分に限定される場合

    2 前項の規定は、次に掲げることから得られた情報を認めるものではない。
    (a) 独自に創作されたコンピュータ・プログラムの相互作用を実行する以外のために利用すること
    (b) 独自に創作されたコンピュータ・プログラムの相互作用の実行に必要な場合を除き、他者に与えること
    (c) コンピュータ・プログラムおよびその表現が実質的に類似しているものの発展、製作またはマーケティングのために、あるいは著作権を侵害するその他の行為のために利用すること

    3 第1項および第2項に反するいかなる契約条項も無効である。

    4 1978年6月20日の法律第399号によって批准され、発効している文学的および美術的著作物の保護の関するベルヌ条約の規定にしたがい、本条の規定は、権利者の適法な利益を不合理に侵害する方法またはコンピュータ・プログラムの通常の利用と矛盾する方法による利用について、その適用を認めるような方法で解釈してはならない。


    第7節 データベース

    第64条の5

    1 データベースの著作者は、次に掲げる行為を実行し、または許諾する排他的権利を有する。
    (a) 全体または部分の、あらゆる手段および形式による一時的または永久的複製
    (b) 翻訳、翻案、変更およびその他の改変
    (c) データべースまたはその複製物のあらゆる形式による公衆への頒布。特定地域における権利者またはその同意のあるデータベースの複製物の最初の販売により、その地域内での複製物の再販売を管理する権利は消尽するものとする。
    (d) 公衆への送信、ディスプレイ、実行。あらゆる手段および形式によってなされる伝送を含む。
    (e) (b)に規定されている行為の結果の公衆への複製、頒布、送信、ディスプレイ、実行

    第64条の6

    1 第64条の5に規定されている権利者の権利者による許諾は、次に掲げる場合には必要とされない。
    (a) データベースが、教育または学術研究の説明のためにアクセスされ、視覚化される場合。ただし、出所が明示され、非営利目的で実行されることが正当化される場合にかぎる。アクセスおよび視覚化の行為において、他の記録媒体による全体または大部分のコンテンツの永久的な複製行為は、常に権利者の許諾を得なければならない。
    (b) 公共の安全のために、または行政および司法手続のためにデータベースを利用する場合

    2 第64条の5に掲げる、データベースまたはその複製物の適法な利用者により行なわれる行為は、コンテンツおよびデータベース自体にアクセスし、普通に利用することが必要である場合データベース著作者の許諾を必要としない。適法な利用者がデータベースの部分の利用についてのみ許諾がある場合、この節はその部分にのみ適用される。

    3 第1項および第2項を侵害するいかなる契約条項も、民法第1418条により、無効である。

    4 1978年6月20日の法律第399号によって批准され、発効している文学的および美術的著作物の保護の関するベルヌ条約の規定にしたがい、第1項および第2項の規定は、権利者の適法な利益を不合理に侵害する方法またはデータベースの通常の利用と矛盾する方法による利用について、その適用を認めるような方法で解釈してはならない。


    第5章 自由利用

    第65条

     雑誌または新聞で発行される経済的、政治的または宗教的性質を有する時事の記事は、複製が明示的に留保されている場合を除き、記事が掲載される雑誌または新聞に、その雑誌または新聞の日付および号数、署名記事の場合には著作者の氏名を表示することを条件として、他の雑誌または新聞に自由に複製し、または放送することができる。

    第66条

     公の集会、またはその他公に行なわれた政治上または行政上の事柄に関する演説は、著作者の氏名および演説が行なわれた日付および場所とともに、出所を明示することを条件として、雑誌または新聞に自由に複製し、または放送することができる。

    第67条

     著作物または著作物の部分は、出所または著作者の氏名を表示することを条件として、司法手続または行政手続において使用するために複製することができる。

    第68条

    1 著作物または著作物の部分を読者の私的使用のために複製することは、手書き、または著作物を販売、あるいは公に頒布するには不適当な方法による場合は、許される。

    2 図書館業務のために行なわれる図書館にある著作物の複写は許される。第4項および第5項の範囲内および条件にもとづき、私的使用のために行なわれる場合も許される。

    3 このような複製物の公衆への頒布、および一般に著作者に帰属する経済的利用権を侵害するような複製物の使用は、禁止される。

    4 1978年6月20日の法律第399号によって批准され、発効している文学的および美術的著作物の保護の関するベルヌ条約の規定にしたがい、複写または類似の方法によってなされる知的著作物の私的使用のための複製は、広告ページを除き、雑誌の各巻または各号の15パーセントに限定して許される。第三者に、複写機器または類似の複製機器を利用させ、または利用されうるコピー店またはコピーセンターは、たとえ無料であっても、本項第1文の目的のために、機器によって複製された印刷形式で発行される知的著作物の著作者または出版者に対し報酬の支払義務を負う。この報酬の額および徴収や分配の期間は、この法律の第181条の3に定められる。イタリア著作者出版者協会と利害関係団体との間に取り決めがある場合を除き、この報酬の額は、複製されたページについて、書籍との関連において、国立統計研究所が毎年決定する1ページあたりの価格の平均より低くてはならない。1993年5月22日の法律第159号の第1条および第2条は削除する。

    5 公共図書館で利用できる著作物の複製は、第4項で掲げた意味において図書館内でなされる場合は、この法律の第181条の3第1項の第2文にしたがって規定されている第181条の3第2項にしたがい、権利者に有利な多額の報酬の支払いに関する発行カタログに掲載されていない希少な著作物を除き、同項の規定の範囲内で許される。その報酬は、国または図書館が依頼した団体のための差し引き費用を負担することなく、その事業によって徴収される収入があるとき、1年ごとに直接図書館が支払うものとする。

    第69条

    1 もっぱら文化の振興や個人研究のためになされる、国または官庁に属する図書館やレコード図書館からの貸与は、報酬が支払われず、かつ、もっぱら次に掲げることに関する場合には、権利者の許諾は必要ではない。
    (a) 印刷された著作物の複製物。オペラや音楽の楽譜は除く。
    (b) 映画の著作物や視聴覚著作物または音声を伴なう、あるいは伴なわない映像を含むレコードおよびビデオ。ただし、頒布権の最初の行使から少なくとも18か月経過したことを条件とし、または、頒布権が行使されていない場合には、先に掲げた著作物や映像の完成から少なくとも24か月が経過したことを条件とする。

    1の2 国や公共団体の事業に属する図書館やレコード図書館の事業のために、国または公共団体に属するこれらの図書館やレコード図書館で利用される映画の著作物や視聴覚著作物または音声を伴なう、あるいは伴なわない映像を含むレコードおよびビデオの複製は1部についてのみ許される。

    第70条

    1 批評または議論を目的とし、または教育を目的とする著作物の断片または部分の要約、引用または複製は、その行為が著作物の経済的利用権と衝突しないことを条件として、その目的上正当とされる範囲内で許される。

    2 学校で利用される詩文集の複製は、その複製に関する公正な報酬を定める方法をも規定する施行令が定める範囲を超えてはならない。

    3 要約、引用または複製の場合、複製された著作物に表示がなされるときはいつでも、著作物の題号、著作者および出版者の氏名の表示、翻訳の場合には翻訳者の氏名が常に表示されなければならない。

    第71条

     国の音楽団体や軍楽隊は、演奏が営利を目的としないことを条件として、著作権使用料を支払うことなく、楽曲または音楽の著作物の部分を公に演奏することができる。




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