第3回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    「地域社会を教材とした体験的な著作権教育の実践」

    担当教諭 会津 拓也

    受賞のことば

    紋別北高等学校・写真

    この北の大地から発信した取り組みが、最優秀賞というこれ以上ない評価をいただき、生徒たちも大変喜んでいます。インターネットが普及したこの時代では、誰もが簡単に著作物を利用できるだけではなく、自分自身が創造した著作物を簡単に多くの人々に配布することができます。そのような時代の中で、著作物をどのように利用すべきなのかと同じくらい、自分自身の著作物をどのように利用してもらうか、といった視点を教育の現場でも伝えるべきではないかと考えました。そのような観点から生まれたのが、今回の取り組みです。内容についてはレポートの通りですが、このサイトの運営にあたって、さまざまな著作物を利用し、またこちらからも著作物の提案をさせていただきました。そこで、あらためて感じたのは、人と人とのつながりやコミュニケーションの大切さでした。許諾を得る相手が人間なら、利用するのも同じ人間です。真摯な態度で相手を尊重し、お願いをする。そんな経験を生徒たちと、そして地域の方々とできたことが、何よりの収穫でした。 (教諭 会津 拓也)

    教育活動の概要 題名 「地域社会を教材とした体験的な著作権教育の実践」
    対象学年 高校3年生
    授業科目 商業科目 経済活動と法
    授業時間数 12時間~
    (現在も継続中)
    実施期間 平成19年10月1日~平成20年3月1日
    (平成21年3月1日まで延長)
    レポート・教材
    ねらい

    「オホーツク紋別ホワイトカレー」を紹介する公式サイトの運営を通して、著作物を使用するための許諾交渉の体験と、自分たちが創造した著作物を他の人に利用してもらう体験を通して、キャラクタービジネスの仕組みを理解し、経済社会における心構えを養う。

    内容

    地元の食材を活かした新しい名物(ご当地グルメ)として紋別市役所商工労働観光課より提案されたオホーツク紋別ホワイトカレー。しかしながら、それを紹介するための公式Webサイトが存在していなかった。そこで、本校生徒が市役所と共同でホワイトカレーの紹介Webサイトを制作、運営を行った。このサイトの制作過程では様々な写真や文章など、他人の著作物を使用する場面が生じた。その際、著作物をWebサイトで使用するための許諾を得る手続きを体験した。また、自分たちがWebサイト上で作成し公開したキャラクター(著作物)を広告等で使用していただくような取り組みを行った。

    成果と課題

    Webサイトを立ち上げる際、依頼者である市役所との話し合いの中で、あえてWebサイト内に本校の学校名を出さず、市役所が制作・運営しているサイトであるように見せた。これにより作品が「高校生が作ったから」と評価されるのではなく、作品のクオリティそのもので評価された。このような実際のビジネスの現場と同じように依頼者の意向に合わせたサイトを制作し、Webサイトで使用する著作物の許諾交渉を行い、完成させていく取り組みは、より実社会に近い形で著作権というものに触れさせることができたと考える。

    さらに、著作物を創造する立場になる機会も設けた。Webサイトに登場するキャラクターについて、広告など別の場面で使用していただくことを前提に、著作物であることを明確に宣言した。これによりキャラクタービジネスなど、今後の発展的な学習への基礎を築くことができた。次年度以降、このキャラクターを利用した体験的な著作権教育を行うための教材になったと考える。

    今後の課題は、サーバーが本校の公式サイト内にあり、基本的に営利目的では運営できないため、サーバーレンタル料の費用や、弁護士の方に商標権についての相談する費用を捻出できればと考えている。

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