第3回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

    優秀賞  茨城県 つくば市立竹園東中学校一覧にもどる

    「著作権は必要なの?」

    担当教諭 新井 弥生

    受賞のことば

    竹園東中学校・写真

    このたびは優秀賞をいただきありがとうございました。音楽の授業で創作活動を行う際に、気軽にインターネットサイトから既存の曲の楽譜を使おうとする生徒がおり、自分たちが創作した創作作品にも著作権が生まれることを学ぶこの機会に、創作者の立場にたって「著作権」を考えられるように、今回の授業を考えました。著作権を肯定的な立場で見る側と、否定的な立場で見る側に分かれて、ディベートを行うことを通して、著作権についての法律を覚えるだけではなく、なぜ著作権制度が生まれ、みんなで守っていくことが大切なのか考えるよいきっかけになりました。著作権について興味関心をもち、深く考えたい、きちんと知りたいという気持ちを生徒に持たせることができました。創作者の立場になり、一人一人が著作権を守って生活することが、創作者と利用者にとってよい未来へつながることに気づけるようにこれからも考える機会をつくっていきたいと思います。 (教諭 新井 弥生)

    教育活動の概要 題名 「著作権は必要なの?」
    対象学年 中学2年生
    授業科目 音楽
    授業時間数 1時間
    実施期間 平成19年10月18日
    レポート・教材
    ねらい

    当学年の生徒は、音楽の授業で、コンピュータを使った作曲活動を行い、8時間かけて自分のオリジナル作品を完成させている。生徒各々が創作活動をする機会を使い、「著作権」について考え、理解を深める授業を実践する。自分たちの創作経験を生かし普段の生活でも、著作権について考え、創作者の立場にたった正しい判断ができるようにしたい。

    内容

    まず、コピーライト表示の意味、実際の商品のコピーライト表示、コピーコントロールCDについて知ることで、著作権を身近に感じさせる。その後、現在の著作権をめぐる問題について知り、作曲の際にインターネット上のMIDIファイルを使おうとした生徒もいたことを例に、著作権法違反にあたる内容について理解し、「なぜ著作権は存在しているのか」「著作権は必要なのか」というテーマのもと、著作権法が必要だという肯定派、必要ないという否定派の二つにわけてディベートを行う。肯定派には、創作する立場にたって、勝手に創作作品を使われること、創作の苦労と利益について考えさせる。否定派には著作物を使う際に発生する料金、自由に作品を使えないこと、情報機器の有効な活用について考えさせ、それぞれの立場から討論を行う。それぞれの主張に対して、主張をくつがえすような切り返しのひとことを教師側で準備をし、さらなる深い考えをひきだせるようにした。いろいろな意見はあれども、法を犯すことはあってはならないことであり、創作の経験から得た、創作の苦労、創作者の才能について気づき、創作者が傷つくことがないような、創作者の立場にたった判断が大切なことに気づかせたい。

    成果と課題

    ディベートを行うことで著作権について興味を持たせ、それぞれの考え深めることができた。また、自分たちの創作作品にコピーライトマークをつけることで、更に意識が高まり、日常で見る様々なものにコピーライトマークがついていると報告にくる生徒もいた。情報化が進み、家庭でも簡単にコピーが出来る環境にあること、その中でも、一人一人の正しい判断のもと、著作者の権利を守っていくことは必要であるということに気づく生徒が増えた。授業後、音楽の作曲活動でも、インターネット上の作品を勝手にとろうとする生徒は見られなくなり、他教科でも著作権の話題が出るようになるなど、生徒の中の著作権に対する関心を高めることができた。

    授業実践後の感想には、もっと著作権についてみんなで考えたいという意見もあった。時間をとれば、更に考えを深めることもできたと感じた。また、現在の著作権について知る学習内容では、もっと時間をかけて、デジタルコンテンツを個人個人で確かめる時間をとれば、高まった著作権に対する意識をもっと生かせたのではないかと思った。音楽の時間での活動では限度があるので、学活や総合的な学習など他教科とも連携しながら進めていくことも大切だと感じた。

    ページの上部へ戻る