第7回 入賞事例

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    「著作権に気を付けた情報発信」 ~資料の引用について考える~

    担当教諭 吉野 和美

    受賞のことば

    このたびは最優秀賞をいただくことができ大変光栄に思います。ありがとうございます。

    本実践は、「著作権に気を付けた情報発信」という大単元を設定し、著作権教育を教科や領域に組み込んで指導する組み込み型単元と、1時間の取り出しとして指導する独立型単元を組み合わせ、子どもたちの意識に合わせて著作権や引用を指導するタイミングを図りながら実践しました。

    子どもたちは、引用や出典を明記することへの意識が高まり、引用の仕方を知る学習を通して、今まで行っていた調べ学習では、丸写し、あるいは引用のし過ぎだったことを反省し、引用と自分の考えを分けて書くことの良さについて考えました。今後は、この学習で学んだことを更に他教科や普段の生活へ広げ、子どもだけでなく、教える側の教師も子どもと共に、著作権に対する意識を高めていきたいと思います。 (主幹教諭 吉野 和美)

    教育活動の概要 題名 「著作権に気を付けた情報発信」 ~資料の引用について考える~
    対象学年 小学校6年生
    授業科目 国語 総合的な学習の時間
    授業時間数 6時間(独立型単元3時間  組み込み型単元3時間)
    実施機関 平成23年9月~11月
    レポート・教材
    ねらい 国語科や総合的な学習の時間の中に著作権教育を位置付け、責任を持って情報を発信させるために、引用することの良さや引用の仕方を理解させ、自分の考えや著作物を大事にしようとする態度を養う。
    内容 「著作権に気をつけた情報発信」という大単元を設定し、著作権教育を行った。この大単元の中には、著作権教育を教科や領域に組み込んで指導する組み込み型 単元と、1時間の取り出しとして指導する独立型単元を組み合わせた。その中で、引用して説明する良さを感じ取り、引用の仕方を理解させる取り組みを紹介す る。
    成果と課題

    <成果>

    • 引用や出典を明記することへの意識が高まる  「調べる まとめる 伝えるときに気を付けていること」の調査では、大単元開始時は著作権や引用や出典等に気を付けるという言葉は全くなかったが、終末段階では、出典を書いたり、引用しながら書いたりしながら分かりやすくまとめようとする子どもたちが増えた。
    • 丸写し=引用のし過ぎだった自分を反省する 引用して説明する良さを感じ取ったり、引用の仕方が分かったりした子どもたちが自分を振り返った時、今までの自分は引用のし過ぎであったことに気付いた。また、分かりやすく伝えるためには、自分の体験や感想だけではなく、資料から引用した方が良いと考えるようになった。
    • 引用と自分の考えを分けて書く 引用はするが、引用したことに対して自分の考えを述べた方が良いと考える子どもが増えた。

    <課題>

    • ここでの学びを他教科や普段の生活に広げる 私たちは著作物に囲まれて生活している。そのため、著作権について考えたり、判断したりする場にたくさん出くわす。著作権の概念や引用・出典の仕方などを知識として身に付いても、実際に学んだことと向き合ったり、使ったりすることが大切である。そのためには、本実践の学びを他教科や普段の生活に広げる必要がある。
    • 教師も子どもも意識を高める 教員間で「著作権とは何か」「引用をどう教えればいいのか」「指導の系統性を職員で共通理解をする必要があるのではないか」などについて、引き続き意見交換をし、より一層、子どもも教師も著作権に対する意識を高めるようにする仕組みを考える必要がある。

    <児童の変容>

    生徒の感想
    • 著作権を守らないと最初に作った人が迷惑するから、著作権は守った方がいいと思った。引用の授業でやったように、本や資料を使うときは「 」をつけたり、出典を書いたりすることが大事だということが分かった。
    • 引用することは、相手に分かりやすい説明をするためにはいいけど、引用しすぎると自分らしさがなくなってしまうから、引用をするにもほどほどがいいと思った。
    • 説明するとき、引用した方が分かりやすいけど、引用しすぎると自分の文ではなくなってしまうので、引用と自分の文をバランスのよく入れていきたい。
    • ずーっと引用した文を書くのではなくて、そのことに対して自分の思ったことや感じたことを加えて分かりやすい文が書けるようになりたい。
    選考委員コメント

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