第8回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    「体験と言語活動から考える実践的な著作権意識の育成
    ~子ども記者による地域・朝市の発信活動を通して~

    教諭 水谷 徹平

    受賞のことば

    新潟県 上越教育大学附属小学校

    このたびは、優秀賞と実践を評価いただき、大変光栄に感じております。自分が伝えたいという思いを基に、顔の見える相手に直接、そして雑誌や本として一般の世の中に伝えていく過程で、実践的な著作権上留意すべきことを子どもと共に考えて行きました。また、日常的に作品として蓄積している写真や詩を取り上げることによって、作品を制作する立場、作品を発信する立場、情報を活用する立場を行き来し、著作権への感度を高めていきました。実践を出した後も、子どもは自然に著作権や知的所有権にかかわる意識を高めながら、情報活用を行っています。今後も実体験をもとに、自ら考え、判断することができるような著作権教育を実施していきたいと思います。本当にありがとうございました。

    教育活動の概要 題名 「体験と言語活動から考える実践的な著作権意識の育成
    ~子ども記者による地域・朝市の発信活動を通して~
    対象学年 小学校3年生
    授業科目 総合活動・国語
    授業時間数 取り立て指導65分×2
    実施期間 平成24年 4月~11月
    レポート・教材
    ねらい

    感じた地域のよさや人のあたたかさ,季節の移ろいを写真やフリーペーパー,詩などで表現・発信する中で,著作者の状況や思いを踏まえた著作権にかかわる実践的な態度を育む。

    内容

    3年生の子どもたちが,子ども記者・子どもカメラマンになりきって,デジタル一眼レフカメラと取材手帳を手に,朝市や市内各地に繰り返し訪れる活動を総合学習で行った。「じょうえつ.net」という情報発信局を開設し,年間を通して心の動いたものを取材して,様々な形で表現したり,地域のイベントに参加したりした。本校がある新潟県上越市は,海,山に恵まれ,雪が多く降る四季の変化や自然に富む地である。市内にお出かけ取材をする中で,歴史や文化,食など,たくさんの魅力ある人,もの,ことに出あい,地域の方のあたたかさ自然,季節の変化などを実感した。キャッチコピーとしての見出し,効果的な写真,文章を組み合わせたフリーペーパー制作・発信によって,論理的思考を重ねるとともに,写真や絵,詩で心動いたことを表現することで感性を磨いた。体験とかかわる言語活動の充実によって,著作物活用の実践力と著作権意識を育んだ。

    成果と課題

    朝市や市内を繰り返し訪ね,人,もの,こととふれる中で,「おいしい」「びっくり」「うれしい」など,様々な心の動きが生まれた。思いを込めた著作物だからこそ互いに大切にしようとする思いが生まれた。
    また,フェイストゥーフェイスの関係ならではの情報発信の責任を実感した。家族や学級内といったプライベートな発信と,多数の人に影響が出るパブリックな発信を経験することで,自分たちの言動の影響を考えるようになった。

    体験を基にした子ども発の学びは,子どもに深く根を下ろす反面,必要な内容を網羅できない危惧がある。3年生における著作権を考える活動を教育活動に位置付け,実践を進める必要がある。

    生徒の感想
    • 人の作品を勝手に真似したり、少しだけ変えて真似したりすると、相手もいやな気持になるから、自分で考えた方がいいと思います。
    • 雑誌に載せる原稿を考えるときには、見た人、載った人がどちらも気持ち良く読めるような記事にしようと思いました。
    • 誰がつくった作品なのかがしっかり分かるように、作品を作ったときには名前を付けておいた方がいいと思いました。
    選考委員コメント

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