第9回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

    優秀賞 石川県・金沢市立小坂小学校一覧にもどる

    作り手の思いに寄り添う著作権教育
    -気づく・考える・そして広める-

    教諭 山口 眞希

    昨年に引き続き、今年度も賞をいただき大変うれしく思っております。

    本実践では、学級内イラストコンテストや子どもたちがよく視聴している動画投稿サイトといった身近なものを題材にしました。そして子どもたちが小さい頃から慣れ親しんでいるアンパンマンの作者・やなせたかしさんの想いにせまることから著作権について考えました。身近な生活と関連づけて考えることで「著作権を守ることは作り手の想いを大切にすること」という意識が子どもたちの中に芽生えたと感じます。

    これからも私が大切にしている「守らなければならない著作権から“守りたくなる”著作権教育」をめざし、実践していきたいと思います。ありがとうございました。

    教育活動の概要 題名 作り手の思いに寄り添う著作権教育-気づく・考える・そして広める-
    対象学年 小学校5年生
    授業科目 総合的な学習の時間
    授業時間数 5時間
    実施期間 2013年10月
    レポート・教材
    ねらい 調べ学習をしている時に、動画投稿サイトの動画を気軽にタブレット端末にダウンロードして発表資料に使おうとしたり、学級内イラストコンテストでキャラクターを勝手に改造した作品を発表したりする様子を見て、著作権教育の必要性を痛感し授業を行った。「創作物には著作権があることを知り、著作権を守ることは作り手の思いや、制作に関わる多くの人を大切にする行為であることに気づく」ことをねらいとした。
    内容 違法だから守らなければならないという動機でなく、「著作権を守ることで多くの人を大切にできる」という思いから行動できるようになってほしいと考えた。
    そこで1時間目には、子ども達がよく利用している動画投稿サイトの是非を討論させ「誰も困る人がいないのか」考えたのち、著作権法の存在を知らせた。2時間目では、なぜ著作権法があるのか考えさせるために、先日亡くなったアンパンマンの作者・やなせたかし氏のインタビュー映像と資料から、やなせさんがアンパンマンにどれほどの思いを託して制作したか気づかせ、作り手の思いや、それを届けたいと思っている人々を守るために著作権法があることを理解させた。最後は学んだことを発信するため、全校に向けて「著作権を守ろう」と呼びかけるCMづくりを行った。
    成果と課題 ふり返りの記述や授業中の反応から、自分がものづくりをする時と同じように、作品には作者の思いがこめられていること、それを無断で公開したりおもしろおかしく改造したりするのは、多くの人の心を傷つける行為であることに気づくことができた。またCMを制作することは、著作権を身近な生活と関連づけて考えることにつながった。CMを他のクラスで流し、著作権について知ってもらえたことで、より達成感のある学習となった。
    生徒の感想
    • やなせさんには、アンパンマンにたくした大きな想いがあることがわかりました。著作権法を絶対に守りたいと思いました。著作権に違反している人がいたらみんなが困ると思いました。最後まで病気でもアンパンマンを書き続けたやなせさんは、自分を犠牲にして困っている人を助ける。これはアンパンマンにたくした「正義」と似ていると思いました。つらい人生の中でもアンパンマンをやなせさんは生み出したので、気軽に著作権違反をしてはいけないし、勝手に使ったりしないように気をつけて、作者の気持ちを大切にしたいと思いました。やなせさんの苦労と努力、アンパンマンにたくされた思いがわかったので、これからも著作権を守りたいです。
    • 著作権法は作者・作品を形にする人・作品を売る人・消費者みんなを守っている。私はHPで気やすく人の作品を出すのはいけないことだと改めて感じました。作品を作る人は一生懸命気持ちをこめて作っているので、見る時もそういうことを考えて見たいです。
    • 著作権法という言葉と意味は知っていたけど、今日の授業ほど深く考えることはありませんでした。著作権法と言うのは本当に大事なことなんだなと改めて思いました。
    • 今日は著作権法を考える代表として「アンパンマン」の作者やなせたかしさんの気持ちについてビデオを見て考えました。今日はじめて作者の気持ちを知りました。とてもとーっても強い気持ちで作っているのを知りました。戦争の残酷さも感じました。私も何度かマネしたことがあったので、これからは絶対にしません。
    選考委員コメント

    ページの上部へ戻る