第3章 国際小委員会における審議の経過

I. 検討の内容

 国際小委員会は、「国際的課題」への対応について検討するため設置された。
 「国際的課題」への対応について、「知的財産戦略大綱」及び「知的財産基本法」には、それぞれ次のような記述がある。

【知的財産戦略大綱】
(海賊版の問題)
 海外における模倣品・海賊版等の知的財産権侵害製品が我が国経済に与える損失は極めて大きく、これを放置した場合、損失は一層拡大するものと懸念される。今後、我が国が知的財産を基礎とした発展を図っていく上で、国際市場における技術、デザイン、ブランド等の模倣や、音楽、映画、放送番組、ゲームソフト等の違法な複製(海賊版)を看過することはできない。その際には、大規模・組織的な工程が必要な模倣品、パソコンさえあれば個人でも製作できる海賊版等、製品ごとの特性を考慮しつつ、権利侵害に対する有効な対策を検討すべきである。

 政府として、侵害の発生している国の中央政府・地方政府に対し、この点に留意しつつ、世界貿易機関(WTO)創設に併せて発効した「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」等で認められた権利を最大限行使し、強力な働きかけを行わなければならない。

 WTO加盟国において、模倣品・海賊版等が大量に製造・流通している場合は、WTOのレビューシステムを最大限活用しつつ、侵害発生国の制度とその運用の監視に努め、併せて、WTO非加盟国に対しても二国間交渉等を通じて知的財産の保護強化を迫るべきである。

 さらに、世界知的所有権機関(WIPO)における知的財産権のエンフォースメントに関する議論に積極的に参画し、国際的な模倣品・海賊版等への対策の強化に努める。

 このような取組に当たっては、各国にある日本大使館・総領事館、日本貿易振興会(JETRO)等の政府関係機関も積極的に活用して、毅然たる態度で二国間交渉、多国間協議に当たり、我が国の産業界、そして国民の利益を守らねばならない。

(国際ルールづくり、途上国支援)
 また、地球規模での競争の激化や情報伝達技術の発展に伴い、知的財産の国際的保護水準の適正化や制度間の調和が求められていることから、二国間・多国間の枠組みを通じた新たな国際ルールづくりや、開発途上国の制度整備支援等の取組を推進すべきである。

(見出しは本小委員会において付加)


【知的財産基本法】
(権利侵害への措置等)
第十六条 国は、国内市場における知的財産権の侵害及び知的財産権を侵害する物品の輸入について、事業者又は事業者団体その他関係団体との緊密な連携協力体制の下、知的財産権を侵害する事犯の取締り、権利を侵害する物品の没収その他必要な措置を講ずるものとする。

2  国は、本邦の法令に基づいて設立された法人その他の団体又は日本の国籍を有する者(「本邦法人等」という。次条において同じ。)の有する知的財産が外国において適正に保護されない場合には、当該外国政府、国際機関及び関係団体と状況に応じて連携を図りつつ、知的財産に関する条約に定める権利の的確な行使その他必要な措置を講ずるものとする。
(国際的な制度の構築等)
第十七条 国は、知的財産に関する国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通じて、各国政府と共同して国際的に整合のとれた知的財産に係る制度の構築に努めるとともに、知的財産の保護に関する制度の整備が十分に行われていない国又は地域において、本邦法人等が迅速かつ確実に知的財産権の取得又は行使をすることができる環境が整備されるよう必要な施策を講ずるものとする。

 国際小委員会では、これらに示された政府全体の方針について必要な施策の検討を行うこととし、具体的には次のような事項について検討を行った。

【検討事項】
○海賊版対策
  • 海賊版流通の実態把握
  • 重点対象国の絞込み
  • 権利行使を行う上での問題点の特定と対応
  • 国際的な戦略の構築
     (国際的フォーラムの活用、先進諸国との協力等)
  • ○国際裁判管轄、準拠法
  • インターネット時代に対応した国際裁判管轄及び準拠法
  • ○著作権関係条約
  • 国際的動向の適切な把握
  • 新条約の早期策定のために我が国が果たすべき役割


  • II. 検討の結果

     国際小委員会は、平成14年7月2日に第1回を開催し、6回にわたり検討を行った。平成14年度における検討の結果は、次のとおりである。

    1 海賊版対策

    (1)海賊版流通の実態把握

     アジアを中心とした諸外国においては、我が国著作物の海賊版が広範に流通しており、この現状を危惧して海外における事業展開を踏みとどまっている権利者が多いとの指摘もある。これら海賊版は、その製造、販売行為自体が違法行為であるため、海賊版の流通の現状を把握することは容易ではない。しかしながら、効果的な海賊版対策を講じる上で、包括的ではないにせよ、何らかの手法により侵害の実態を把握することが必要不可欠であり、関係者の協力を得つつ、このための努力を継続していくことが必要である。

    (2)重点対象国の絞込み

     我が国として重点的に海賊版対策を実施すべき国・地域については、我が国の著作物の海賊版が大量に流通している中国、台湾、韓国等を中心とするアジア諸国を重点的に考えていくべきであり、その他の地域については、必要に応じ、その対象を拡大していくことが適当である。

    (3)海賊版対策を講じる上での留意点

     我が国の権利者の中には、主要な収益源が国内にあるため、アジア諸国において事業展開を積極的に行っていない権利者もあり、このことが我が国著作物の海賊版が当該諸国で流通している原因の一つとなっている。このような権利者は、現状では費用対効果の点から対策には消極的であり、結果として積極的な対策を講ずるに至っていないと考えられる。しかしながら、多くの権利者にとって、アジア諸国は我が国の著作物の有望かつ潜在的な市場であることから、これら権利者においても、当該諸国での事業展開を視野にいれて自ら海賊版対策を行うという意識の変革を図っていくことも望まれる。

     一方、アジア諸国において、既に積極的な事業展開を行っている権利者においては、海賊版の流通は自社の収益に係る問題であるため、自らが現地法人、代理店等を活用することにより著作権、商標権等侵害の実態把握に努めるとともに、権利行使を行っている事例もあり、関係機関はこのような企業等における取り組みを効果的に支援していく必要がある。これらの取り組みとともに、権利者は自らの著作物を保護するため、明確な契約の締結や技術的保護手段の積極的な導入を図ることが重要である。

     なお、アジア諸国において権利を行使する際には、侵害者の特定、被害額の証明等の立証が権利者に求められること、捜査機関のモラルに問題がある場合があること、弁護士費用や調査会社への費用がかさむこと、海賊版の鑑定を大量・迅速に行うことが求められること等制度面、運用面での問題、費用対効果の問題等が存在するとの指摘もあり、これらの側面についても留意した対策を講じていくことが必要である。

    (4)海賊版についての戦略的対応 −7つの重点施策−

     2002年8月にコンテンツ海外流通促進機構が発足する等、現在、官民一体となった海賊版対策が進められているところである。今後は、特に、自ら海賊版対策に積極的に取り組もうとしている権利者等と連携して、相手国における著作権関係の法制度整備・実施状況等に応じた海賊版対策を戦略的に講じていくことが重要である。その際には、以下の7つの施策を官民連携の下、重点的に講じていくことが必要である。

    [1] 海賊版実態把握の強化

     海賊版流通の実態を把握することは、海賊版対策を講じる上での大前提である。その実態を把握することはその性質上容易ではないが、現地事情に精通した調査会社、先行的に調査を行った実績を有する海外の団体の知識を活用し、侵害発生国の関係行政機関の協力を得つつ、海賊版被害の把握のための海外調査団の派遣等、その被害実態を把握するための取り組みを強化することが必要である。特に、中国、台湾については、2001年末から2002年初頭にかけてWTO加盟国となり、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の遵守義務が生じていることから、国内的な海賊版流通の実態に変化があるとも考えられ、この観点からの調査も強化することが必要である。

    [2] 二国間協議の実施

     海賊版が流通している国に対しては、相手国との間で直接二国間協議を行い、適切な著作権保護制度の整備及びエンフォースメント強化等について働きかけを行うことが効果的である。このため、特に我が国著作物の海賊版の流通が多く見られる中国等との間で、早急に二国間協議の場を設置し、関係機関等から提供される情報を最大限活用しつつ、我が国著作物の適切な保護についての働きかけを行うことが必要である。

    [3] 国際機関の積極的活用

     現在、世界貿易機関(WTO)、世界知的所有権機関(WIPO)等の国際機関においても、著作権のエンフォースメント等についての議論が行われているところである。特に、WTOにおいては、中国等に対してTRIPS法令レビューが行われている最中であり、これらの制度も最大限に活用しつつ、我が国著作物の海賊版が流通している国々に対して、法制度整備、エンフォースメントの強化を働きかけることが必要である。

    [4] 海賊版対策を実施している海外諸国等との戦略的連携

     海賊版が流通しているアジア諸国においては、既に米国等の諸国は二国間の対話を通じた海賊版対策の強化を当該国に要請する等の働きかけを実施している。また、国際レコード産業連盟(IFPI)、ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)、著作権協会国際連合(CISAC)、録音権協会国際事務局(BIEM)等の海外の権利者団体も侵害発生国において現地事務所を設置し、弁護士、調査会社を活用した権利行使を行う等積極的な海賊版対策を実施している。これら海外の政府、団体の有する海賊版対策についての経験、ノウハウ等は我が国が侵害発生国で対策を講じていく上で極めて有用なものであると考えられる。このため、我が国政府及び権利者においても、これら政府、団体と連携し、海賊版対策を行うことが必要である。

    [5] 侵害発生国における「著作権」に対する関係者の意識の向上

     海賊版に対応していく上では、侵害発生国の一般国民の意識を高めていくことが重要であり、その際、「著作権」の制度整備、エンフォースメントなどを行う関係政府機関等は重要な役割を果たすものと考えられることから、当該国の関係政府機関、司法、警察等関係者の「著作権」に関する理解を高めていくことが重要である。このため、侵害発生国において、相手国政府機関等の協力のもと、セミナー・シンポジウムの開催等を通じて、先ず、これら関係者の意識の向上を図ることが必要である。

     また、侵害発生国において一般国民の「著作権」についての意識を高めていくためには、当該国の権利者が自らの権利を行使して適正な対価を得ていくことも有効である。権利を権利者から預かり集中的に行使していく権利管理団体は、このような対価を権利者が得るにあたり重要な役割を果たすことから、当該国における権利管理団体の育成・発展についての協力を行っていくことが必要である。

    [6] コンテンツ海外流通促進機構を通じた権利者の支援

     2002年8月に設立された「コンテンツ海外流通促進機構」においては、中国に対するミッション派遣、海賊版流通の実態調査等現在積極的な海賊版対策を行っているところである。これらの活動は長期的・継続的に行ってこそ効果があがるものと考えられる。政府においても、「コンテンツ海外流通促進機構」と密接な意見交換を行い、それを踏まえて、権利者の訴訟提起等に役立つよう、各国における権利行使のために必要な調査を行う等、機構の長期的・継続的な活動を最大限支援していくことが必要である。

    [7] 在外公館等の積極的活用

     海賊版対策を講じるにあたっては、現地の事情に精通しており、また、現地の行政機関とも関係の深い各国にある日本大使館、日本貿易振興会等とも密接に連携し、我が国権利者の保護という観点から、海賊版対策と模倣品対策を一体とした対策を講じていくことが必要である。

     また、権利者においても、現地に代理店あるいは事務所等がある場合は、それらを活用した実際の訴訟提起を行う等積極的な権利行使をすることが望まれる。また、海外展開に積極的に取り組んでいる企業等において、単独で海外拠点を設置することが経済的に困難な場合においては、複数の企業等で連携し、共同の現地事務所の設置、現地の弁護士、調査会社の活用を図る等積極的な権利行使も望まれる。


    2 インターネット上の著作権侵害に対する国際裁判管轄及び準拠法

    (1)問題の所在

     インターネットの普及により、著作物が国境を越えて容易に、瞬時に、大量に、全世界的な範囲で流通するようになったことに伴い、インターネット上の著作権侵害が増大している。国境を越えた権利侵害が生じた場合、どの国の裁判所が裁判を行うかという国際裁判管轄の問題、どのような法律を適用するかという準拠法の問題が生じる。従来、これらの国際裁判管轄及び準拠法を決定する基準として、「加害行為地」や「損害発生地」が考えられてきた。しかしながら、インターネット上の著作権侵害の場合には、「加害行為地」や「損害発生地」が必ずしも明確でなく、特に「損害発生地」は世界中に広がる可能性がある。このような問題意識に基づき、本小委員会においては、インターネット上の著作権侵害にかかる国際裁判管轄及び準拠法についての検討を行った。

    (2)国際裁判管轄

     インターネット上の著作権侵害に対する国際裁判管轄については、以下のような意見があった。

    ○管轄原因について

     管轄原因として、「被侵害権利の所在国、普通裁判籍、応訴・合意管轄」とすべきであるとの意見があった。合意管轄については、これを管轄原因として採用することが適当であることについては概ね合意が得られたものの、契約の一方当事者が弱い立場にある場合、当該当事者が不利な立場に置かれ得ることについて懸念が表明された。

    ○インターネット上の名誉毀損の場合等との整合性について

     インターネット上の著作権侵害に対する裁判管轄についても、国境を越えて生じた名誉毀損やプライバシーの侵害等の一般の不法行為における裁判管轄の決定と本質的な差異はないため、これらの事案における法的評価との整合性を確保することが必要であるとの意見があった。

    ○長期的視野に立った検討の重要性について

     インターネット時代に対応した国際裁判管轄については、現在国際的にも十分な議論がされていないため、ハーグ国際私法会議等の動きも見守りつつ慎重に検討を進めるべきであるとの意見があった。

    (3)準拠法

     インターネット上の著作権侵害に適用する準拠法については、以下のような意見があった。

    ○ベルヌ条約における「保護国法主義」の明確化について

     準拠法選択ルールとしてベルヌ条約が採用している「保護国法主義」が、インターネット環境下における著作権侵害に如何に適用されるかは明確ではなく、この点の明確化を国際的に働きかけていくべきであるとの意見があった。

    ○インターネット上の著作権侵害に適用する準拠法について

     国境を越えた違法な公衆送信が行われた場合、このような侵害行為は、それぞれの国において別個の法的評価を受けるべきであるとの意見があった。より具体的には、A国からB国に公衆送信が行われた場合、A国内ではA国著作権法を侵害し、B国内ではB国著作権法を侵害すると考え、当該国法に従って法的評価が行われるべきであるとの意見があった。

     これに対し、このような送信行為に対し単一の行為・結果としてまず準拠法を確定する国際的な統一ルールを策定し、それに基づき権利関係を確定すべきであるとの意見もあった。

     なお、著作権侵害に適用する準拠法については属地主義の原則に基づいて決定すべきという考え方も存在することから、新たな準拠法選択ルールにおいて他国法が準拠法とされた場合においても、当該国法が現地法に優先して適用されることを疑問視する意見があった。

    ○インターネット上の名誉毀損の場合等との整合性について

     インターネット上の著作権侵害に適用する準拠法についても、国境を越えて生じた名誉毀損やプライバシーの侵害等の一般の不法行為における準拠法の決定と本質的な差異はないことから、これらの事案における法的評価との整合性を確保する必要があるとの意見があった。

    (4)今後の方向性

     現時点での対応として、理論的なアプローチに基づいて我が国としての方針を確定した上で国際社会への浸透を図るべきとの意見がある一方、権利者の権利行使を容易にするように、侵害者の行為に重点をおいて、準拠法・裁判管轄を検討するなど現実的な対応を行うべきとの意見もあった。

     インターネット上の著作権侵害に対しては、現在、我が国を含めた多くの国において、既存の国内法に基づいて裁判管轄、準拠法の決定が行われており、法的予測可能性が低い状況にある。このため、現実的に機能する法秩序を早急に確立する必要があるが、当面は問題の所在を見極めつつ、ベルヌ条約の「保護国法主義」の明確化等の国際的な働きかけを積極的に行っていくべきである。

     また、裁判管轄の問題については、著作物等のライセンス契約や約款に合意管轄条項を盛り込むことにより、予め侵害が起きた際の管轄裁判所を決めておくことが可能である。このような権利者と利用者の合意による裁判管轄の決定は、管轄合意以外の管轄原因に基づく他の裁判管轄ルールよりも法的予測可能性が高いため、権利者、利用者双方が契約等の中にこのような合意管轄条項を予め盛り込んでおくことは、裁判管轄についての不確実性を除去する観点からは有効であると考えられる。

     なお、権利者が訴訟を提起する際、当該権利者に自由度の高い裁判管轄の選択肢が認められることにより、訴訟を提起された側が過度の訴訟負担を負い、国境を越えた事業活動に対する萎縮効果等の弊害が生じることも予想されることから、こうした問題に対処するため、引き続き検討を進めていくべきである。

    3 新たな条約策定等への参画

     現在、世界知的所有権機関(WIPO)においては、ベルヌ条約、実演家等保護条約において著作者、著作隣接権者に付与している権利を近年のデジタル化・ネットワーク化に即したものに対応させる作業が進行中である。

     このうち、著作者の権利にかかる「著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)」については1996年に採択、2002年3月に発効しており、レコード製作者及び音の実演家にかかる「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)」についても1996年に採択、2002年5月に発効したところである。しかしながら、視聴覚的実演及び放送機関に関する条約については、現在もWIPOにおいて検討が継続されているところである。

    (1)条約検討の現状

     本小委員会において整理した「視聴覚的実演の保護」及び「放送機関の保護」に関する新条約についての検討状況は以下のとおりである。

    [1] 視聴覚的実演の保護

     視聴覚的実演の保護についての外交会議は2000年12月にジュネーブで開催され、実体規定全20条のうち19の条文についての暫定合意が得られたものの、映画製作者への実演家の権利の移転問題をめぐってECと米国の間で合意を得ることができず、結果として条約採択は見送られた。これに加え、国内で徴収する私的録音録画補償金等の外国実演家への配分が「内国民待遇」との関連で新たな論点となっており、今後の議論は、「権利移転」及び「内国民待遇」の取扱いが中心になると考えられる。

    [2] 放送機関の保護

     放送機関に関する新条約の検討は1998年以降、WIPO著作権等常設委員会の場で検討が進められている。我が国は2001年5月に開催された第5回委員会において条約形式の提案を行っている。その後、EC及び米国も条約形式の提案を、それぞれ2001年11月開催の第6回委員会、2002年11月開催の第8回委員会において提出しており、これにより主要国からの提案が出揃うこととなった。WIPOにおける今後の検討にあたっては、特に、いわゆる「インターネット放送」を新たに保護の対象とするか否か、公衆に送信される前の放送信号の保護、無許諾の暗号解除行為からの放送の保護等が重要な論点になると考えられる。

    (2)今後の基本的な対応

     視聴覚的実演に関する実演家及び放送機関の権利を近年のデジタル化・ネットワーク化に即したものに対応させていくことは我が国にとって喫緊の課題であるとの認識の下、両条約の早期締結に向けた外交努力を継続することが必要である。視聴覚的実演の保護については、条約の早期採択を優先する観点から、現在問題となっている米・EC間の調整に、我が国も積極的な役割を果たすことが必要である。また、放送機関の保護については、「インターネット放送」、「放送前信号」及び「暗号解除行為」等について我が国の立場を明確にするための検討を行うことが必要である。なお、これら条約の検討を進めるに当たっては、条約の国内的な実施のあり方についても留意すべきである。

    (3)その他の国際ルール

     WIPOにおいては、その他、フォークロアの表現の保護、創作性のないデータベースの保護についての議論が行われているところであるが、これら事項については、国内的にも保護の要望が必ずしも明確に存在しないことから、WIPOにおける諸外国の動向を踏まえつつ、長期的な課題として検討することが適当である。


    第4章 著作権教育小委員会における審議の経過

    I. 検討の内容

     著作権教育小委員会は、「著作権教育」の充実について検討するため設置された。
     「著作権教育」の充実について、「知的財産戦略大綱」及び「知的財産基本法」には、それぞれ次のように記述がある。

    【知的財産戦略大綱】
    (総合的普及啓発)
     2002年度から、広く国民に対し、ネットワークを利用した情報提供など、様々な方法により、知的財産に関する知識と意識の普及を図るための総合的な事業を実施する。
    (学校教育)
     2002年度以降、知的財産意識の啓発、創造性の重要性に関する教材、副読本の提供など、初等・中等教育における知的財産に関する教育の推進を図るとともに、教職員に対する知的財産制度のセミナーの実施等により、知的財産に関する教育手法の研究等、教育者の知的財産制度に関する知識向上を図る。

    (見出しは本小委員会において付加)


    【知的財産基本法】
    (教育の振興等)
    第二十一条 国は、国民が広く知的財産に対する理解と関心を深めることにより、知的財産が尊重される社会を実現できるよう、知的財産に関する教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた知的財産に関する知識の普及のために必要な措置を講ずるものとする。

     著作権教育小委員会では、これらに示された政府全体の方針について必要な施策の検討を行うこととし、具体的には次のような事項について検討を行った。

    【検討事項】
    ○文化庁が「直接実施」すべき著作権教育事業の在り方
    (著作権教育の「サプライヤー」としての役割)
  • 対 象
  • 手 法
  • 頻 度  など
  • ○著作権教育を実施する関係機関・団体等への「支援」の在り方
    (著作権教育の「プロモーター」としての役割)
  • 関係機関・団体等が果たすべき役割を踏まえた支援策
  • 具体的な支援の手法
     (教材・資料等の開発・提供、指導法の開発、指導者の育成・研修等)など
  • ○著作権教育を実施する関係機関・団体間の「連携」の促進の在り方
    (著作権教育の「コーディネーター」としての役割)
  • 関係者間の役割分担
  • 情報交換・協議等の場の整備
  • 共同事業の推進 など
  • *留意事項
    実際の教育現場における現状とニーズの把握に努める
    「全ての人々に必要なこと」と「一部の人に必要なこと」の区別など、目標を明確にする
    必要に応じて、「子どもを対象とする事業」と「大人を対象とする事業」を区別する
    「無断でしてはいけないこと」に関する教育に加え、「適切な契約を自ら行える能力やマインド」を養う教育に配慮する
    「モラルの向上」を実現することの可能性(具体的な手法等)を視野に入れる


    II. 検討の結果

     著作権教育小委員会は、平成14年6月21日に第1回を開催し、7回にわたり検討を行った。

     文化審議会著作権分科会においても、また、前身の著作権審議会においても、著作権教育という課題について、これを専門に検討する小委員会が設けられたのは今回が初めてである。

     この課題について集中的に検討を行う必要が生じてきた背景には、著作権というものが「すべての人々」に関わる問題になってきたという変化がある。我が国ではこれまで、産業界等で広く利用される著作物等について、一部の業界の関係者のみがそれらを「創作」し「利用」するという状況があったため、著作権について知識や意識を持つべき人々も限定されていた。

     しかし近年、コピー機やデジタル録音録画機器などの普及を始めとして、パソコンやインターネットなどに代表される情報技術の発達・普及等により、著作物の「創作手段」「利用手段」が爆発的に普及し、一部業界のプロの人々に限らず「すべての人々」が「創作者(権利者)」「利用者」になる時代を迎えた。このため、「すべての人々」にとって、著作権に関する一定の知識等が必要になっており、平成14年度から実施されたいわゆる新学習指導要領においても、中学校と高等学校において著作権教育を行うことが明記されている。

     このように、著作権に関する教育や普及啓発事業を展開していく必要性は、急速に高まりつつあるが、そのような活動は、それらが行われる「場」だけを考えても、学校、家庭、地域、職場など広範な広がりがあり、想定される活動の「形態」や「目的」なども、極めて多岐にわたると予想される。また、それらの事業や活動に対する「国の関わり方」ということについても、基本的な考え方から個々具体の事業や支援の在り方に至るまで、検討すべき課題は極めて広範にわたっている。

     このため、著作権教育全般の問題を初めて議論した平成14年度においては、著作権教育によって「目指すもの」について提言するとともに、今後著作権教育小委員会において具体的に検討していくべき課題の洗い出しを行い、それらの課題について、現場の関係者からのヒアリングや委員間の意見交換を行った。平成14年度においては、便宜上前記のような検討事項を設定したが、検討すべき課題を整理・分類する上での視点や角度についても今後引き続き審議し、必要に応じて修正や追加を行っていく予定である。

     平成14年度はこのような観点からの検討を行ったため、その検討の結果は、今後実施すべき施策の一覧や内容を網羅的に示したものとはなっていないが、ここに示された意見等を参考として、直ちに実施できる施策については早急に具体化がなされることが期待される。

    1 著作権教育が目指すもの

     多くの人々が著作物を「創作」「利用」するような時代とは、すべての人々が「権利者」にも「利用者」にもなる時代であり、著作権に関する教育も、単に「違法行為を行わない(権利侵害者とならない)ための知識の修得」ということに止まらず、適切な契約等を通じて「権利者」として自らの権利を正しく行使したり、新しいビジネスの開発などにより「権利者」「利用者」として著作権制度を適切に活用したりすることができるよう、必要な知識・技能・態度等を広く普及させることを視野に入れるべきものである。

     すなわち、著作権に関する教育が目指すべき目標は、「社会のすべての人々が、著作権について、各人にとって必要な知識や意識を持ち、知的創造活動の所産である著作物を創ったり、既にある著作物等の利用が適切に促進されること」である。

     こうした基本的な目標を達成するためには、広く多くの人々を対象とした著作権教育というもの自体が、まだ緒についたばかりのものであるということを踏まえる必要がある。すなわち、今後学校で実施される予定の著作権教育を経ずに、既に社会で活動している多くの人々についても、基礎的な部分から著作権教育を実施していく必要があり、現在の過渡期においては、例えば年齢毎に段階を追った方策では不十分な場合もある。

     さらに、日常生活や仕事において必要とされる知識等の内容やレベルについての多様性に関しても留意する必要があり、高度な内容をすべての人々に教えようとして「著作権は難しい」という偏見を助長したり、逆にすべての人々に必要な内容が欠落したりすることのないよう、十分な注意が必要である。

     例えば、既に社会で活動する人々を含めた「すべての人々」を視野においた場合の具体的な目標や、特に学校教育と大学教育が果たすべき役割を考えた場合の具体的な目標については、次のようなものが考えられる。

    (1)「すべての人々」を視野においた「目標」

    [1] すべての人々について達成すべき基本的な目標

    〈利用者として〉
    「無断でしてはいけない行為」について知り、権利者の了解を得て利用することができること
    「引用」や「私的使用のためのコピー」など基本的な例外について知り、これに基づいた適切な利用ができること

    〈権利者として〉
    自分が持っている権利について知っていること
    利用内容やその効果を十分に理解した上で「了解」を与えることができること

    [2] 著作物の創作・利用を仕事として行う人々について達成すべき目標

    関係する分野の著作物の創作や利用形態について、「権利」や「例外」などの「法律ルール」に関する知識を持っていること
    関係する分野の著作物の創作や利用形態について、適切な「契約」やビジネスでの活用等ができること

    (2)学校教育における著作権教育

     学校における著作権教育の基本的な目標は、初等中等教育の修了までに前記(1)の [1] の目標を達成する必要がある。このため、すべての児童生徒の発達段階に応じ、例えば次のような段階的目標を設定することが考えられる。

    [1] 自分が創ったものに関して「他人からされたくないこと」などを考えさせ、人々が創ったものの利用について「決まりを作ること」の必要性を理解させること

    [2] 現行の法律ルールに基づき、「無断でしてはいけないこと」などの「決まり」の具体的内容を理解させること

    [3] 自分が創ったものについては「無断で利用されない」という権利を持つことを理解させ、他人に「了解を与える」ことについて、自ら判断し意思決定ができるようにする

    (3)大学における著作権教育

     大学においては、既に初等中等教育において前記(1)の [1] の目標が達成されていることを前提として、さらに高度な教育を実施することが望まれるが、その目標としては、次に例示するように、第一に、大学レベルの教養教育的な側面があり、第二に、前記(1)の [2] 関係する専門教育的な側面があると思われる。

    [1] 教養教育
    知的財産権に関する制度全体の概要と、その中における著作権の位置づけや意義について理解すること
    国際的な制度の内容・動向などについて理解すること

    [2] 専門教育

    〈工学部等の技術に関する専門教育〉
    「技術的保護手段」「権利管理情報」など、技術と緊密に関わる法制や契約などについて、高度な知識・技能を持つこと

    〈法学部やいわゆる「ロースクール」(法科大学院)などでの教育〉
    著作権法制全般について高度な知識を持つとともに、「契約事務」「訴訟実務」等について高度な知識・技能を持つこと

    〈教員・司書などの専門教育〉
    各分野に関する権利制限規定や契約などについて、高度な知識・技能を持つこと


    2 共通の留意事項

     著作権教育に関する事業・活動は、これまでも、文化庁、関係団体、学校等によって実施されてきたが、「すべての人々」が「権利者」「利用者」になる時代を迎え、さらに広範・強力にこれを展開していくことが必要になっている。

     しかし、既に述べたように、そのような活動については、今後様々な活動が活発化するに従い、その「目的」「場」「形態」などが極めて多岐にわたる状況になることが予測されるため、議論の混乱を防ぐために、著作権教育小委員会では、様々な著作権教育事業について「共通して留意すべき事項」を整理した。その概要は、次のとおりである。

    (1)それぞれの事業・活動の「目標」を明確にしておくこと

     著作権に関する知識や意識は「すべての人々」にとって必要なものとなってきているが、日常生活でパソコンやインターネットなどを使うだけの人々が存在する一方で、仕事として高度な著作権契約書を自ら作成しなければならない人々も存在するなど、既に述べたように、各人が必要とする知識等の内容やレベルは、それぞれ異なっている。

     このため、様々なニーズに応じた多様な著作権教育事業が企画・展開される必要があるが、それらのすべてについて、「何を目標としているのか」「誰のどのようなニーズに対応しようとしているのか」ということを、常に明確にしておくことが必要である。

    (2)現状の把握と事業の効果の「評価」を適切に行うこと

     著作権教育に関する事業や施策の企画・実施に当たっては、まず、人々が現在持っている知識等のレベル、著作権教育に対する多様なニーズ、既に行われている著作権教育の内容など、現状を適切に把握することが重要である。特に、専門的な分野の教育事業で起こりがちな、「人々が知りたいこと」よりも「専門家が知らせたいこと」を教えようとするという事態を避けるためには、学習者のニーズを含む現状の把握が必要である。

     また、関係する事業等を実施した後には、それが元の現状をどのように変えたか(どのような効果があったか)ということを適切に把握し、「評価」(目標と結果の比較)を適切に行うことが必要である。事業を行った結果は、次の段階に向けての現状となるものであり、毎年定例的に行っている事業がいつの間にか人々のニーズと乖離しているといった事態を防ぐためにも、こうした評価を行うことが重要である。

    (3)「広がり」のある効果を目指すこと

     環境、情報、国際、福祉など、新しく生じた課題(生涯学習の分野で「現代的課題」と呼ばれているもの)に関する教育事業においては、教育活動・学習活動の効果が「点」に止まってしまうことが少なくないということが、多くの事業に共通した問題であった。このため、著作権教育についても、関係する事業の効果が、活動に参加した個人・学校・企業のみに止まらないよう、その「広がり」に留意することが重要である。

     例えば、個別の学校や企業を対象とした事業を行うだけでなく、地域全体をとらえて、関係する事業を集中的に、かつ相互の有機的連携を持って実施していくことや、一定の学習を終えた人々が核となってさらに普及活動を自発的に進めていくことなどが望まれる。約90万人の教員を対象としたパソコン研修については、まず核となる教員の研修を行い、それらの教員が各自治体や学校で講師の役割を果たしていくシステムがとられている。すべての人々が実際に参加する事業を全国的に展開することは極めて困難であり、こうした工夫が必要である。

    3 文化庁による関係施策の在り方

     前記の留意事項を念頭に置きつつ、平成14年度においては、新たに様々な著作権教育事業を企画しつつある文化庁の役割を中心に、検討を行った。

     基本的に多様で広範なものである著作権教育というものについては、文化庁が果たすべき役割だけをとっても極めて多くの側面や検討課題があるが、平成14年度においては、それらを便宜上次のように分類して検討を行った。

    [1] 文化庁が「直接実施」すべき著作権教育事業の在り方
    (サプライヤーとしての役割)
    [2] 著作権教育を実施する関係機関・団体等への支援の在り方
    (プロモーターとしての役割)
    [3] 著作権教育を実施する関係機関・団体間の連携の促進の在り方
    (コーディネーターとしての役割)


     それぞれの側面について、著作権教育小委員会において各委員から表明された意見は、次のように整理される。

    (1)文化庁が「直接実施」すべき著作権教育事業の在り方

    ○広く一般に対する情報提供の拡大

     これまでも行ってきた「著作権講習会」等は引き続き実施することが望ましいが、全国民の参加を実現することは不可能であるため、インターネット等を活用して、子どもたちも含む多くの人々に、それぞれのニーズに応じた情報を提供できる方策(例えば、多様な人々からの様々な質問にインターネットを通じて答える「バーチャル著作権ヘルプデスク」の構築)を実施する必要がある。

     また、インターネット等の活用だけでなく、マスメディア等を通じた情報提供についても検討していくべきである。

    ○講習会修了者等を通じた普及啓発の拡大

     講習会等の著作権教育事業に参加した人々は、既に一定の知識等を有しており、また、共通するニーズを持つ人々との接触もあると考えられるので、こうした人々に各職場・地域等での普及啓発の核としての役割を果たしてもらえるよう、(例えば、「著作権指導員」の制度化など)適切な方策を企画・実施する必要がある。

    ○多様な教育プログラムの開発

     著作権教育事業については、実施主体、目的、場、学習者等について、今後ますます多様化が進むと思われることから、それぞれのニーズに対応した多様な教育プログラムを検討していく必要がある。特に、企業関係者を対象とした著作権教育のためのプログラムの開発は遅れており、ニーズの多様性に配慮しつつ、企業関係者向けのプログラムを開発していく必要がある。

    (2)著作権教育を実施する関係機関・団体等への「支援」の在り方

     既に述べたように、文化庁が直接実施する「著作権講習会」などの事業は、すべての人々の参加を得ることはできない。このため、学校を始めとして、社会の中で著作権に関する教育事業や普及啓発事業を実施する関係機関等への「支援」ということが、文化庁による施策として極めて重要である。

     特に学校については、平成14年度から実施されているいわゆる新学習指導要領により、中学校・高等学校において著作権に関する教育を行うこととされているが、実際に指導に当たる教員について、著作権に関する知識や意識が十分ではないという状況にあり、教員研修等において著作権がより広範に取り上げられる必要がある。

    [1] 学校における著作権教育への支援

    ○児童生徒に対する指導法の開発と教員への提供

     新学習指導要領等に基づき、各学校の教員が適切な著作権教育を実施できるよう、適切な指導法の開発を行うとともに、これを教員研修等を通じて広く普及させることが必要である。なお、指導法の研究に当たっては、児童生徒の発達段階への配慮が不可欠であり、例えば、基本的には「ルール」である著作権について、感覚として身につけさせることや、単に知識を教えるだけでなく児童生徒に考えさせるような配慮を伴う指導法が必要である。

    ○教材等の開発・提供

     指導法の開発・普及とともに、著作権教育について特に不足していると言われる教材や資料について、適切なものを開発して提供することが必要である。こうした教材等については、その活用方法も合わせて開発・提供することが重要であるが、学校現場における著作権教育の多様性にも配慮し、教員等がそれぞれの創意工夫によって活用のしかたを変えられるような、柔軟性を持ったものが必要である。例えば、マンガを用いた読本やクイズ、ゲームの活用などといったことが一例として考えられる。

    ○実践的研究の実施と事例の提供

     学校現場においては、指導法や適切な教材等の開発・普及が十分でないこと等により、児童生徒への実際の指導について、実践的な事例を求める声が高い。このため、既に実施されている著作権教育に関する活動事例の収集を行い、参考事例として提供を行う必要がある。さらに、指導法や教材等に係る開発の成果を、例えば「研究指定校」的なものにおいて集中的に活用し、実践的な研究や事例の蓄積を行うとともに、そうした事例や成果を広く全国の学校に提供していくことが必要である。

    [2] 大学における著作権教育への支援

     大学においては、極めて多くの著作物等が創作・利用されているが、教育については大幅な権利制限が適用されること等を背景として、我が国の大学ではまだ著作権に対する関心は非常に低い現状にある。

     さらに、学習指導要領の存在や組織的な研修事業などにより、特定の情報や方向性を学校現場に伝達することが比較的容易な小・中・高等学校等とは異なり、大学の場合は大学の自主性を最大限尊重する必要があることから、大学における著作権教育への支援については、その具体的な方策について、著作権教育小委員会において更に引き続き検討することが必要である。

     平成14年度における検討では、大学における著作権教育への支援について、一般的な議論を行ったが、その中では次のような視点が示されている。

    ○著作権に対する意識の向上

     学校や企業など、著作権に対する関心が急速に高まりつつある他の機関等と比べると、一般的に言って大学においては、そのような意識がまだ低い状況にある。

     今後は、大学における著作物の利用だけでなく、大学教員が創作した著作物の著作権に係る当該教員と大学や利用者等との関係など、大学においては様々な著作権問題が発生すると思われる。

     そのような問題の殆どは、著作権に関する正しい知識と、適切な契約の習慣によって対応できるものであるが、その前提としてまず、大学関係者の間で著作権というものに対する関心や意識を高めるため、適切な方策を検討していく必要がある。

    ○研修の充実

     学校等と比較すると、大学関係者を対象とした著作権に関する研修は、非常に遅れた状況にある。教員、学生、事務職員などの立場や役割の相違により、必要な知識の分野・レベルや実際のニーズについては大きな多様性があると思われるが、大学関係者を対象とした各種の研修事業を実施する主体と連携協力して、そうした研修事業において著作権が対象とされるよう、適切な方策を検討していく必要がある。

    [3] 地方自治体・社会教育施設等の公的機関等が実施する著作権教育への支援

     著作権教育を広く全国的に展開していくためには、地方自治体(都道府県・市町村の合計で約3,200自治体)や社会教育施設(公民館約19,000館、図書館約2,600館、博物館約1,000館)による事業を支援していくことも重要である。

     これらの機関等においては、現時点ではまだ著作権全般に対する関心や知識が必ずしも十分ではなく、著作権教育事業を広く展開していく準備も整っているとは言いがたいが、これらの機関等が有機的な連携協力を保ち、地域全体として著作権教育事業を展開していけるよう、今後適切な方策を実施していくことが必要である。

     この課題についても、検討すべき具体的な事項が広範多岐にわたることから、著作権教育小委員会において更に引き続き検討を行うことが必要であるが、平成14年度の検討においては、次のような視点が示されている。

    ○自治体・社会教育施設の職員等を対象とした研修の拡大

     自治体や社会教育施設の職員等は、地域における教育事業・普及啓発事業の核となり得る人々であり、これらの職員等を対象とした研修において、著作権を適切に取り扱っていくことが重要である。このため、このような研修事業を行う主体と連携し、全国的に著作権に関する研修が実施されるようにすることが必要である。

    ○地域において著作権教育事業を企画・実施できる人材の育成

     前記のような研修においては、研修を受ける者自身が著作権に関して必要な知識等を身に付けるだけでなく、各地域において著作権教育事業を企画・実施する立場にある職員等については、地域の実情や学習者のニーズに対応した著作権教育事業を自ら企画・実施できるような資質の向上に努める必要がある。この場合、そのような教育事業の企画・実施に当たったり、実際に講師となったりする能力を備えた人材であることを示すための何らかの仕組みも工夫すべきである。

    ○各地域における著作権教育のための指導法・教材等の開発・提供等

     指導法や教材等の開発・提供については、当面学校教育について実施していく必要があるが、学校向けの指導法・教材等の中には、各地域における社会教育等のために活用できるものも多いと思われる。また、学校教育における「研究指定校」のような試みは、各地域における社会教育事業にも応用できるので、例えば、著作権教育に関する「研究指定自治体」や「研究指定社会教育施設」などの試みも検討すべきである。

    (3)著作権教育を実施する関係機関・団体間の「連携」の促進の在り方

     著作権に関する教育事業や普及啓発事業は、一部の著作権関係団体によって従来から熱心に行われてきており、中には各学校、地域、企業などに対して、広くきめ細かい対応をしてきているものもある。

     しかしながら、各団体が実施している事業の内容を比較すると、例えば著作権制度一般を説明するためのパンフレット等の製作などが多くの関係団体で重複して行われているなど、各団体の連携協力を促進することによってより効率的で有効な事業を展開できるのではないかと思われる点が少なくない。

     このような連携協力を促進するため、平成14年度に文化庁によって、関係団体で構成する「著作権教育連絡協議会」が設置されているが、この協議会において具体的にどのような連携協力を進めていくかは、まだ検討段階にある。

     著作権に関する教育事業や普及啓発事業を実施してきている各団体の間には、主たる関心分野や主たる対象などについて多様性があり、それぞれの経緯や伝統を踏まえた事業が実施されてきているため、連携や共同は、実際の事業の場面では必ずしも常に容易であるわけではない。このため、この課題についても、著作権教育小委員会において更に引き続き検討を行うことが必要であるが、平成14年度の検討においては、次のような視点が示されている。

    ○「著作権教育連絡協議会」等の「場」の整備・活用

     各関係団体は、それぞれの経緯・伝統等を踏まえた事業を実施してきているが、他の団体がどのような事業をどのような手法で行っているかといったことについて、情報交換を行うだけでも、大きな意義がある。このため、既に設置されている「著作権教育連絡協議会」等の場を活用して、著作権教育に関する事業を展開していくことや、既に事業を実施している著作権関係団体のみならず、利用者側も参加し、相互理解の上で事業を行うことなど連携協力の拡大も視野に入れ、関係団体間の情報交流を促進する必要がある。

    ○連携協力の意義の周知

     各関係団体の担当者にとっては、従来から実施している事業を毎年継続して行う方が、既に確立されたノウハウを活用できるため、仕事がしやすいといった状況がある。しかしながら、社会全体の大きな変化を考慮すると、著作権に関する教育事業や普及啓発事業は、すべての関係者の力を結集して飛躍を遂げなければならない転機を迎えていると言える。このため、各関係団体の担当者等に対して、連携協力の意義を周知する必要がある。そのためには、連携協力により得られる、活動機会の拡大、事業内容の充実、コストの削減等の効果を具体的に示すことが必要である。

    ○具体的な連携事業の研究

     前記連携協力事業としては、資料・教材等の共同開発・相互利用、共催事業等が考えられるが、いずれにしても各関係団体にこれまでに蓄積されたノウハウが十分生かされ、それを共有していくことが重要である。このため、「著作権教育連絡協議会」等の場を活用し、具体的な連携事業について研究を推進する必要がある。

    4 財政的措置、組織等の充実

     これまで、今後実施すべき施策を示してきたが、我が国の知的財産に関する教育を推進するためには、著作権教育を実施する文化庁、地方自治体、関係機関において、所要の経費の確保、組織・人員の充実を図る必要がある。


    第5章 司法救済制度小委員会における審議の経過


    I. 検討の内容

     司法救済制度小委員会は、「司法救済制度」の充実について検討するため設置された。
     「司法救済制度」の充実について、「知的財産戦略大綱」及び「知的財産基本法」には、それぞれ次のような記述がある。

    【知的財産戦略大綱】
    (訴訟制度の改善)
     効性を担保しつつ、権利者と利用者の双方にとってバランスのとれた保護を実現するため、有効なセキュリティ技術の開発、訴訟制度の改善、権利処理を円滑にする契約システムの構築等、デジタル・コンテンツの適切な保護の仕組みを確立すべきである。
    (損害の認定制度の検討)
     知的財産権の保護を強化し、「侵害し得」の社会からの脱却を目指す観点から、望ましい損害の認定制度の在り方について、2005年度までに検討を行い、結論を得る。

    (見出しは本小委員会において付加)


    【知的財産基本法】
    (訴訟手続の充実及び迅速化等)
    第十五条 国は、経済社会における知的財産の活用の進展に伴い、知的財産権の保護に関し司法の果たすべき役割がより重要となることにかんがみ、知的財産権に関する事件について、訴訟手続きの一層の充実及び迅速化、裁判所の専門的な処理体制の整備並びに裁判外における紛争処理制度の拡充を図るために必要な施策を講ずるものとする。

     司法救済制度小委員会では、これらに示された政府全体の方針について必要な施策の検討を行うこととし、具体的には次のような事項について検討を行った。

    【検討事項】
    ○「損害額」等関係
  • 侵害者の譲渡数量等に基づく逸失利益の算定ができる制度の導入
  • 「法定賠償制度」「倍額(3倍)賠償制度」の導入
  • 弁護士費用の敗訴者負担の導入
  • ○「裁判手続」関係
  • 積極否認の特則の導入
  • 侵害者が不明な場合の訴訟制度の検討
  • ○「侵害とみなす行為」関係
  • 侵害とみなす行為に係る違法対象行為の見直し
  • ○「間接侵害規定」関係
  • 間接侵害規定の導入の必要性
  • ○「プロバイダ等」関係
  • プロバイダに対する差止請求制度の必要性
  • プロバイダに対する発信者情報開示の義務化の必要性
  • ○「技術的保護手段」関係
  • 技術的保護手段の回避等に係る違法対象行為の見直し
  • ○「罰則」関係
  • 著作者人格権や侵害罪以外の行為に係る罰則への法人重課の導入
  • 刑罰の引き上げ
  • 侵害罪の非親告罪化
  • ○「裁判外紛争解決」関係
  • 裁判外紛争解決等の在り方


  • II. 検討の結果

     司法救済制度小委員会は、平成14年6月26日に第1回を開催し、9回にわたり検討を行った。平成14年度における検討の結果は、次のとおりである。

    1 損害賠償制度の見直し

    (1)侵害者の譲渡数量等に基づく逸失利益の算定ができる制度の導入

     著作権者等の権利者は、故意又は過失によりその権利を侵害した者に対し、民法第709条の規定に基づき、損害賠償を請求することができる。

     この場合、権利者は侵害行為と相当因果関係のある「損害額」を立証しなければならず、例えば、権利者自身が複製物の販売を行っているような場合を考えると、基本的には、損害額は、「侵害行為によって生じた権利者の販売部数の減少」×「一部当たりの権利者の利益」となる。

     しかし、「侵害行為によって生じた権利者の販売部数の減少」と言った場合に、「侵害行為」と「権利者の販売部数の減少」との相当因果関係を基礎付ける事実を立証することが困難であり、また、それを立証できなかった場合には、結果としてそのような計算による損害額は認められないというオール・オア・ナッシング的な結論となる懸念があるため、民法第709条のみを損害額の根拠とした損害賠償請求の件数は少なくなっている。

     このため、著作権の独占的な性質に鑑み、「侵害行為によって生じた権利者の販売部数の減少」による損害額は、「侵害者の販売部数」×「一部当たりの権利者の利益」と推定することにより立証負担の軽減を図るとともに、侵害者がそのような推定を覆す事実を立証した場合でも、損害額が全く認定されないということではなく、部分的に損害額が認定されるという割合的認定を可能とすることが必要である。

     このため、特許法第102条第1項と同様に、民法第709条の特例として、

    [1] 「侵害者の譲渡数量」に、
    [2] 「権利者の単位当たり利益」を乗じて得た額を、
    [3] 「権利者の販売能力を超えない限度」において、
    権利者の損害額とできることとするとともに、
    [4] 「権利者が全部又は一部の数量を譲渡できない事情」があるときは、損害額の減額を認める


    旨の規定を創設し、損害額の算定方法について権利者の選択肢を増やすことが適当である。[1]、[2](及び [3] )の要件により、「侵害行為によって生じた権利者の譲渡数量の減少」による損害額は、「侵害者の譲渡数量」×「権利者の単位当たり利益」と推定することとなり、立証負担が軽減されるとともに、[4]の要件により、「権利者が全部又は一部の数量を譲渡できない事情」を立証した場合には割合的認定がなされることとなる。

     なお、侵害等の行為の形態としては「譲渡」に限定せず、例えば、音楽のネット販売のような「無形的利用」にも規定が適用されるようにすることが適当である。

    (2)「法定賠償制度」

     デジタル化・ネットワーク化の進展により、侵害行為の発見や損害額の立証が極めて困難になっており、そのために権利者が損害賠償請求を事実上断念する場合もあるとの指摘がある。このため、権利者による損害額の立証負担を軽減するため、法定された金額の範囲内で裁判所が認める金額を損害額とできる、いわゆる「法定賠償制度」を導入すべきであるという意見がある。この制度が導入されれば、権利者は、侵害の成立だけを立証すれば、損害賠償請求を行えることとなる。

     一方で、「法定賠償制度」を導入する場合、著作権等の侵害訴訟においては非常に低額な賠償額が認定される事例もあるため、適切な金額を定めることが困難であることが予想されること、法定する金額が低額に過ぎれば訴訟に必要な費用すら賄うことができないこと、損害額が立証困難な場合については現行の著作権法第114条の4において裁判所が口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定する制度があること、などから慎重な検討が必要であるという意見がある。

     このため、「法定賠償制度」については、これを導入することの得失や具体的な制度の在り方について、引き続き検討を行うことが必要である。

    (3)侵害の数量の推定規定

     著作権等の侵害訴訟においては、権利者が「侵害者の侵害に係る数量」を立証することが困難な場合、実際に侵害したと思われる数量よりも少ない数量に基づいて損害額が認定される場合が少なくないことから、権利者が立証した数量の2倍の数量を基に損害額を推定する規定を導入すべきであるという意見がある。

     この推定規定は、被害者に実際に生じた損害の賠償を請求するために立証負担の軽減を図るものであり、懲罰的損害賠償制度とは異なり我が国の損害賠償制度の基本原則を超えるものではないことから、導入に積極的な意見がある。

     また、権利者が立証した数量を超える侵害行為があったということについて、権利者が合理的な疑いがあることを立証するという要件を加えた上で、このような推定規定を導入することを支持する意見がある。これに対しては、「合理的な疑い」という新たな概念を持ち込むことは不適切であるとの意見がある。

     このような推定規定の導入について、積極的に反対する意見は無かったが、著作権等のあらゆる侵害事件について、実際に侵害行為が行われた数量を2倍と推定することが適当であるかどうかについて検討が必要であること、推定数量については事案ごとに決定すべきであるとの意見もあること、などの理由により、導入の可能性について引き続き検討を行うことが必要である。

    (4)弁護士費用の敗訴者負担

     弁護士報酬の敗訴者負担制度については、平成14年3月19日閣議決定「司法制度改革推進計画」において、不当に訴えの提起を萎縮させないよう、敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取り扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させるべき額の定め方等制度設計について検討した上で、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入することとされている。

     このような制度を導入するに際して著作権等の侵害について特有の事情があるかという観点から検討した。現在の弁護士報酬は、一般に、訴訟の結果依頼者が受ける経済的利益に関連して定められる場合が多いが、著作権等の侵害訴訟については、訴訟における請求額は低額である場合もあり、また、判決の結果が市場における経済活動に大きな影響を与える事例が増えてきていることから、敗訴者に負担させるべき額についてこのような現状を踏まえることが適当であるとの意見が出された。また、「敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲」に著作権等の侵害訴訟を含めるべきではないかという声もあるため慎重な検討が必要であるという意見が出された。

     この問題については、裁判を受けるという国民の権利を実質的に保証するという観点から、司法制度改革推進計画に従って、著作権等の侵害について特有の事情があるかどうか等について、引き続き検討を行うことが必要である。

    (5)「三倍賠償制度」(懲罰的損害賠償制度)

     我が国においては、不法行為に対する損害賠償制度は、著作権侵害の場合だけでなく一般的な原則として、被害者が被った不利益を過不足なく補填して不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的としている。このため、加害者に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防というものを目的とするものではないというのが一般的な考え方である。また、我が国においては、加害者に対して制裁を科し、将来の同様の行為を抑止することは、基本的な考え方として刑事上・行政上の制裁にゆだねることとされている。このため、不法行為に基づく損害賠償においては、被害者が実際に生じた損害を超えた賠償を受けることはできない(参考 最高裁平成9年7月11日判決・民集51巻6号2573頁・万世工業事件判決)。

     これに対して、知的財産権の侵害に対しては損害賠償が抑止力として効果的であるという見解もあり、「侵害し得」の社会からの脱却、侵害に対する抑止機能の強化といった観点から、立証された損害額の3倍の額を賠償額とする、いわゆる「三倍賠償制度」(懲罰的損害賠償制度)を導入すべきであるという意見がある。

     一方で、この制度の導入については、我が国においては上記のとおり、侵害者に対する制裁や一般予防効果は刑事罰の役割とされてきたこと、このような懲罰的損害賠償制度を導入した場合には、外国において同様の制度に基づく高額の損害賠償を認める判決が出た場合には我が国でも執行しなければならないという解釈に至る可能性が高いこと、他の法領域との比較において特に知的財産権侵害行為のみを「三倍賠償制度」の対象とする理由があるかを検討する必要があること、などの理由により、慎重な検討が必要であるという意見がある。

     「三倍賠償制度」の導入は、損害賠償制度全体に関わる大きな問題であり、民事法制一般や他の法領域との均衡に配慮し、また一方で、知的財産の保護強化の社会的要請が高まっていることも視野に入れつつ、今後さらに広い視野から関係各方面における議論の動向に留意しながら、引き続き検討を行うことが必要である。

    2 裁判手続きの見直し

    (1)積極否認の特則の導入

     侵害行為の差止請求又は損害賠償請求訴訟を提起する場合には、権利者は、損害額の主張・立証に至る前に、まず侵害行為の存在を主張し、その主張を相手方(被告)が否認する場合には、これを立証しなければならない。侵害行為の主張に対する否認の方法に関しては、著作権法上特段の規定は設けられておらず、民事訴訟規則一般の規定によることとなる。民事訴訟規則第79条第3項においては、「準備書面において相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならない。」と規定されている。

     特許権等の侵害訴訟においては、侵害行為の主張に際し、侵害物又は侵害方法が侵害者の固有の技術によることがあるため、相手方が侵害物についての権利者の主張を単純に否認する場合には、侵害物又は侵害方法の特定が困難である場合が多い。その結果訴訟手続きにおいて、侵害物の特定に長い時間を要し、訴訟を遅延させるという問題があったことから、特許法等において、相手方が権利者の侵害物又は侵害方法についての主張を否認する場合には、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならないという「積極否認の特則」が導入されている。この制度の導入により、実際の特許権等の侵害訴訟の審理促進が図られている。

     著作権等の侵害訴訟においても、プログラムの著作物などについて、侵害物件の解析が困難な場合があるため、権利者の立証負担を軽減し、審理を促進する観点から、特許法と同様に、侵害行為の特定において、相手方が権利者の主張を否認する場合には、相手方は自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならないこととするとともに、相手方に具体的態様を明らかにすることができない「相当の理由」がある場合は適用除外とする規定(積極否認の特則)を創設することが適当である。

    (2)侵害者が不明な場合の訴訟制度の検討

     訴訟を提起するためには、相手方の氏名及び住所を特定する必要があるが、インターネット上での著作権侵害においては、個々の侵害者の氏名や住所を特定することは困難な場合が少なくない。このため、侵害者が不明な場合でも訴訟を提起できる制度の導入を検討してはどうかという意見がある。

     この問題については、今後の具体的な提案を踏まえて、その可否・必要性等について検討することとされた。

    3 権利侵害の対象となる行為の見直し

    (1)侵害とみなす行為に係る違法対象行為の見直し

     著作権法第113条第1項においては、著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害行為には該当しないが、著作者の人格的利益又は著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者の経済的利益を害することとなる行為を、これらの権利を侵害する行為とみなすことを規定している。

     同項第2号においては、いわゆる海賊版を「頒布の目的をもって所持する行為」を侵害とみなすと定めているが、これに加えて、海賊版ビデオソフトなどの上映権侵害事件における立証負担を軽減する観点から、「当該複製物により公衆に提示する目的で所持する行為」を侵害とみなすべきではないかという意見がある。

     この問題については、本条は上記のとおり著作権等の侵害に該当しない行為を「侵害とみなす」ために定められた規定であること、過去の海賊版ビデオの上映に関する事例においては個々の上映行為を捕捉できている場合には上映権侵害として立件され海賊版ビデオソフトは押収されていること、などから、上映権侵害の実態の変化などを踏まえつつ、その必要性について引き続き検討することが必要である。

     また、同項第1号においては、頒布目的での海賊版の輸入行為、第2項においては海賊版の頒布目的所持を侵害とみなしているが、これらを合わせ読む場合に、「頒布目的なく輸入された海賊版を後に頒布目的で所持する行為」を侵害とみなすことができることを明確化すべきであるという意見がある。

     これに関連して、そもそも同項第1号及び第2号における「頒布目的」や「情を知って」という要件について、このような主観的要件がなくとも、善意で頒布した流通業者は、差止請求はされても、故意・過失が無ければ損害賠償を請求されることはないため、このような主観的要件は不要とすべきであるという意見がある。

     一方で、主観的要件は、海賊版であることを知らない善意の流通業者の頒布行為が権利侵害とならないように設けられたものであり、これを削除した場合、損害賠償は請求されないとしても、一般の流通業者が、日常の商行為を行う中で知らず知らずのうちに違法行為を行っている状態に置かれるような制度は適当ではないという意見がある。

     これらの問題については、各条文の立法趣旨やその適用状況を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが必要である。

    (2)間接侵害規定の導入の必要性

     権利の実行性を確保するため、権利侵害を行う者に対して当該行為の場所や手段を提供する者に関し、差止請求や損害賠償請求の対象となることを明確にする間接侵害規定の導入が必要であるという意見がある。具体的には、

    [1] 差止請求権を定めた著作権法第112条第1項の「侵害する者又は侵害するおそれのある者」に「侵害の教唆者又は幇助者」も含まれる旨を明確化すること、
    [2] 「専ら著作物の○○のみに使用される機器を製造・販売する行為」を侵害とする旨を規定すること、

    という意見がある。

     一方で、[1] については、損害賠償請求訴訟の判例において教唆者又は幇助者に対する責任が認められており、特に新たな規定を設けなくとも解決できるという意見もあること、また、差止請求の場合にのみ条文に書き込むことが他の条文では教唆者又は幇助者は対象にならないという反対解釈を導くおそれもあることから、その必要性等について検討すべきという意見がある。[2] については、「専ら著作物の○○のみに使用される機器を製造・販売する行為」を侵害とすることについては、「改変」の事例について人格権侵害を認めた判例があるが、一般的な規定の創設を行うことについては、今後の判例の蓄積を踏まえ、具体的にどのような行為や技術が問題となるかを見定めてから検討すべきという意見がある。

     このように、間接侵害の考え方については、その実態には様々なケースがあり、また、司法の場において判例が蓄積されつつあるところであるが、これらを踏まえつつ、著作権法に間接侵害一般に関する規定を導入することの可否・必要性等について、引き続き検討を行うことが必要である。

    (3)技術的保護手段の回避等に係る違法対象行為の見直し

     著作権者等が著作権等を侵害する行為の防止又は抑止を目的として音楽CDなど著作物等に施す技術的保護手段について、これを回避する方法が書籍、雑誌及びインターネット等により多数公表されていることから、技術的保護手段の回避を助長することを専らの目的とする情報を公衆に提供する行為を刑事罰の対象とすべきという意見がある。

     一方で、刑事罰の対象とする情報提供行為の範囲をどう画するのか、言論の自由等との抵触についてどう考えるか、技術的保護手段の技術レベルの適正化により解決できるのではないか、といった観点から幅広い検討が必要であり、導入に慎重な意見がある。

     この問題については、言論の自由など他の基本的価値や、刑法や不正競争防止法など他の法制とのバランスを図る必要があることを踏まえつつ、導入の可否・必要性について、引き続き検討を行うことが必要である。

     なお、音楽CDのコピープロテクションの問題については、法制問題小委員会における「『私的使用のための複製』に伴うオリジナルの中古市場への流通への対応」の課題の中での検討においては、いわゆるコピーコントロールCD(CCCD)の導入の拡大が必要であり、また、音楽CDのコピープロテクション技術をより効果的なものとするためには、DVDで採用されているような強力な技術の導入を権利者自身が早急に検討することが必要であるとの方向性が出されており、同小委員会との連携を図りつつ、検討を行うことが必要である。

    (4)プロバイダに対する差止請求制度の必要性、発信者情報開示制度の在り方について

     本年5月、いわゆる「プロバイダ責任法」が施行されたが、プロバイダによる著作権侵害の有無の判断は困難な場合が多く、その判断を誤ると訴訟を提起されるおそれがあるため、侵害の通知があった場合にはプロバイダに直ちに削除義務を認めるなどプロバイダの判断リスクを除去することが情報社会の発展には必要であるとの意見がある。また、著作権侵害について直接の利害関係者である権利者と利用者が直接紛争を解決でき、プロバイダが訴訟に巻き込まれる訴訟リスクを除去するために、プロバイダによる発信者情報の開示制度から侵害明白性の要件を取り除くことなどが必要であるという意見がある。

     一方で、現行法でもプロバイダに対する差止請求が認められる余地がかなりあると考えられるという意見がある。

     この問題については、プロバイダ責任法は施行されて間もないことから、今後の実務を踏まえて、引き続き検討を行うことが必要である。

    4 罰則の見直し

    (1)著作者人格権や侵害罪以外の行為に係る罰則への法人重課の導入

     著作権法第124条においては、法人の代表者の犯罪行為又は法人等の代理人、使用人その他の従業者の犯罪行為がその法人等の業務上の行為であるときは、行為者を処罰するほか、その法人等に対し罰金刑を科する旨の規定(いわゆる両罰規定)を定めているが、平成12年の法改正により、この場合に法人に対する罰金額の上限を自然人に対する罰金額の上限より高くする「法人重課」が導入されている。

     同条においては、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した場合について「法人重課」が導入されているが、著作者人格権又は実演家人格権の侵害や侵害罪以外の行為、技術的保護手段の回避や権利管理情報の改変等を行った者への罰則については「法人重課」が導入されていない。

     著作者人格権又は実演家人格権の侵害や侵害罪以外の行為に係る法人重課については、現時点において法人重課が必要とされるような実態があるかどうかが明らかでないこと、また、平成11年に導入された技術的保護手段の回避や権利管理情報の改変等を行った者への罰則についてはその運用状況を踏まえた検討を行う必要があることから、今後の違反実態を踏まえ、十分な抑止効果の在り方について、引き続き検討を行うことが必要である。

    (2)刑罰の引き上げ

     著作権法においては、著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害等については、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、技術的保護手段の回避や権利管理情報の改変等を行った者への罰則等については1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑罰が定められている。

     これらの刑罰の引き上げについては、著作権等の保護の重要性に対する意識の高まりや特許法及び商標法における刑罰とのバランスから、刑罰を引き上げるべきであるという意見が出された。

     ただし、法益としての重大性を変更する状況の変化をさらに検討することが必要であること、言い渡し刑の実態と懲役刑の引き上げの必要性の関係について検討が必要であることから、今後の刑罰の適用状況や他の知的財産権法制とのバランスを踏まえつつ、引き続き検討する必要がある。

    (3)侵害罪の非親告罪化

     著作権法においては、著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害等については親告罪とされている。特許権等の侵害罪については、平成10年の法改正において、従来の親告罪を非親告罪とする改正が行われている。特許権等については、現在ではほとんどの権利者が法人であると考えてもよい状況にあること、研究開発成果の保護のため、特許権等を他の一般財産権よりも手厚く保護しなければならないという強い社会的要請があること、また、特許の流通市場の創設や特許権等の担保化等の進展により、特許権等の保護は私益の保護であるとしても公的性格が高まりつつあることを踏まえると、あえて「被害者である権利者が不問に付することを希望する」場合を想定して、親告罪としておく必然性が失われているという事情が考慮されたものである。

     著作権等の侵害罪の非親告罪化については、権利者自らの告訴のみならず、第三者の告発によって法の執行機関が捜査権限を有することにより、権利侵害に対する抑止力が高まること、権利者が告訴の努力をしない限り侵害が放置されるのは適切ではないと考えられること、親告罪であることにより犯人を知ったときから6月以内に告訴することが必要になるが、この告訴期間の経過により権利者が告訴できないという事態を避ける必要があること、などから積極的な意見が多数出された。

     ただし、著作権等の侵害については、著作権等についての意識が十分でないことから日常的な活動の中で生じることも少なくないため、非親告罪化した場合に第三者による告発の濫発の恐れがあること、非親告罪化により検挙件数が増加した場合に権利者側が対応できるかという懸念もあること、などから、非親告罪化については、今後の侵害行為の態様等の状況を踏まえつつ、引き続き検討する必要がある。

    5 裁判外紛争解決等の在り方

     種々の情報技術の発達・普及等に伴い、著作物等の創作手段・利用手段の普及・多様化が急速に進んだことにより、従来の著作権関係業界(出版、レコード、放送、映画等)の人々に限らず、すべての人々が創作者・利用者となる時代を迎えている。これに伴い、著作権に関する紛争も、今後は、産業に重大な影響を及ぼすような侵害事例から、日常生活において無意識に他人の著作物を使ってしまったような場合まで、紛争の量的拡大と多様化が急速に進むことが予想される。

     このため、高度な専門性による解決が必要とされる紛争から、日常的な相談業務等によって解決できる紛争まで、多様なレベルの紛争の内容に即した解決手段が全国的に用意される必要がある。

     裁判所での紛争解決については、特許権等については、その専門技術性に鑑み、審理の方法に精通した裁判官等が必要であることから、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所への専属管轄化が議論されているが、著作権の場合は、プログラムの著作物については同様に専門技術性の要請があるものの、一般の著作物については、誰もが著作物の創作者・利用者となる状況を踏まえ、専属管轄化せずに全国各地で裁判を受けることができることが必要である。

     また、厳格な裁判手続きと異なり、簡易・迅速かつ廉価で、法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決を図ることができるなどの観点から、いわゆる裁判外の紛争解決手段(ADR)に対する期待が高まっており、「司法制度改革推進計画」(平成14年3月19日閣議決定)においても、裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化を図るための措置等を講ずることとされ、現在、司法制度改革推進本部の下で具体的な検討が進められている。著作権法には、第105条以下に「あっせん」に関する規定があり、日本知的財産仲裁センターやWIPO仲裁・調停センターにおいても著作権に関する紛争を取り扱うこととされているが、これらの紛争解決手段の利用は少数に止まっており、今後とも、司法制度改革推進本部での検討状況を踏まえつつ、その活性化の在り方を検討することが必要である。

     さらに、日常生活において発生するトラブルについて当事者同士の話合いの間に入ることや、トラブルを発生させないための事前相談などについては、今後、全国の専門家の協力を得ることやネット上での対応の可能性など、簡便な手続きで迅速に対応できる方法について検討することが必要である。



    おわりに

     平成14年度においては、昨年の著作権分科会において既に検討が開始されていた事項及び「知的財産戦略」として示された政府全体の方針に関する事項を中心に検討を行った。

     各小委員会における検討の結果、いくつかの事項については法改正により対応することが適当であるとの結論を得たほか、著作物等の円滑な流通を促進するための方策や海賊版対策の在り方、著作権教育の基本的目標などについては、今後の施策を実施していく上での方向性や基本的考え方が示された。

      一方、各小委員会において今後も検討を行うものと整理された課題も少なくないが、これらの課題については、平成15年度以降も引き続き検討を進めることが必要である。

     今後とも、社会の変化や情報技術の進展等に対応して、著作権に関する諸課題について、法整備の検討を含め必要な検討を進めていくこととする。



    参考

    1.文化審議会著作権分科会委員名簿

    分科会長 北 川 善太郎 名城大学教授、(財)国際高等研究所副所長
    副分科会長 齊 藤   博 専修大学教授
    板 谷 駿 一 日本放送協会専務理事・放送総局長
    市 川 團十郎 歌舞伎俳優、(社)日本俳優協会財務理事
    入 江   観 (社) 日本美術家連盟理事
    大 澤 正 雄 (社) 日本図書館協会理事
    岡 田 冨美子 作詞家、(社)日本音楽著作権協会理事
    小 熊 竹 彦 日本生活協同組合連合会政策企画部長
    角 川 歴 彦 (社) 日本映像ソフト協会会長(平成14.7.19〜)
     (稲 葉 昭 典  前 (社) 日本映像ソフト協会会長 〜平成14.7.18)
    金 原   優 (社) 日本書籍出版協会副理事長
    國 分 正 明 日本芸術文化振興会理事長
    酒 井   昭 (社) 日本民間放送連盟常勤顧問
    迫 本 淳 一 (社) 日本映画製作者連盟参与
    里 中 満智子 漫画家
    瀬 尾 太 一 (社) 日本写真家協会著作権委員会委員、日本写真著作権協会常務理事
    辻 本 憲 三 (社) コンピュータ・ソフトウェア著作権協会理事長
    富 塚   勇 (社) 日本レコード協会会長
    永 井 多惠子 世田谷文化生活情報センター館長
    中 山 信 弘 東京大学教授
    野 村 豊 弘 (学) 学習院常務理事
    半 田 正 夫 青山学院大学学長
    松 下 直 子 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    松 田 政 行 弁護士・弁理士
    松 村 多美子 椙山女学園大学教授
    丸 島 儀 一 (社) 日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産部会長
    三 田 誠 広 (社) 日本文芸家協会常務理事・知的所有権委員会委員長
    村 上 重 美 (社) 日本新聞協会専務理事・事務局長
    紋 谷 暢 男 成蹊大学教授
    山 際 永 三 (協) 日本映画監督協会常務理事
    山 口 三惠子 日本弁護士連合会知的所有権委員会委員、弁護士
    (計30名)


    2.文化審議会著作権分科会審議経過

    第4回会議 平成14年 5月7日 文化審議会著作権分科会運営規則の制定について
    小委員会の設置について
    著作権分科会議事の公開の対応方針の制定について
    第5回会議 平成14年 7月19日 「知的財産戦略大綱」等の報告について
    各小委員会(第1回)の概要について
    第6回会議 平成14年 10月11日 「知的財産基本法(案)骨子」の報告について
    各小委員会の検討状況について
    第7回会議 平成15年 1月16日 各小委員会の審議経過の概要について(報告)
    文化審議会著作権分科会審議経過報告について
    平成14年度使用教科書等掲載補償金について
    第8回会議 平成15年 1月24日 文化審議会著作権分科会審議経過報告について


    3.各小委員会委員名簿

    (1)法制問題小委員会

    石 井 亮 平 日本放送協会マルチメディア局著作権センター副部長
    上 原 伸 一 (社) 日本民間放送連盟著作権委員会著作権専門部会法制部会主査
    岡 村   豊 玉川大学教授
    金 原   優 (社) 日本書籍出版協会副理事長
    児 玉 昭 義 (社) 日本映像ソフト協会専務理事・事務局長
    主  査 齊 藤   博 専修大学教授
    清 水 康 敬 国立教育政策研究所教育研究情報センター長
    菅 原 瑞 夫 (社) 日本音楽著作権協会送信部長
    瀬 尾 太 一 (社) 日本写真家協会著作権委員会委員、
    日本写真著作権協会常務理事
    土 屋   俊 千葉大学教授
    主査代理 中 山 信 弘 東京大学教授
    野 村 豊 弘 (学) 学習院常務理事
    生 野 秀 年 (社) 日本レコード協会常務理事・事務局長
    福 田 慶 治 (社) 日本映画製作者連盟常務理事・事務局長
    増 山   周 (社) 日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター
    法務調査部部長
    松 田 政 行 弁護士・弁理士
    三 田 誠 広 (社) 日本文芸家協会常務理事・知的所有権委員会委員長
    山  際 永 三 (協) 日本映画監督協会常務理事
    山 口 三惠子 日本弁護士連合会知的所有権委員会委員、弁護士
    山 地 克 郎 (社) 電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会委員長
    (計20名)


    (2)契約・流通小委員会

      石 井 亮 平 日本放送協会マルチメディア局著作権センター副部長
    今 川 祐 介 (社) 全日本テレビ番組製作社連盟専務理事(平成14.11.20〜)
    (秋 田 完 前(社) 全日本テレビ番組製作社連盟専務理事〜平成14.11.19)
      入 江   観 (社) 日本美術家連盟理事
    上 原 伸 一 (社) 日本民間放送連盟著作権委員会著作権専門部会法制部会主査
    大 森 一 男 (社) 電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会委員
    加 藤   衛 (社) 日本音楽著作権協会常務理事
    金 原   優 (社) 日本書籍出版協会副理事長
    久保田   裕 (社) コンピュータ・ソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長
    児 玉 昭 義 (社) 日本映像ソフト協会専務理事・事務局長
    佐々木 隆 一 (株) ミュージック・シーオー・ジェーピー取締役会長
    渋 谷 達 紀 東京都立大学教授
    寺 島 アキ子 (協) 日本脚本家連盟常務理事
    土 肥 一 史 一橋大学教授
    生 野 秀 年 (社) 日本レコード協会常務理事・事務局長
    橋 元   淳 (社) 日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター事務局長
    橋 本 太 郎 ソフトバンク・ブロードバンドメディア(株)代表取締役
    主査代理 半 田 正 夫 青山学院大学学長
    松 田 政 行 弁護士・弁理士
    村 上 重 美 (社) 日本新聞協会専務理事・事務局長
    主  査 紋 谷 暢 男 成蹊大学教授
    (計20名)


    (3)国際小委員会

    井 上 由里子 神戸大学助教授
    今 村 二 郎 (社) 日本レコード協会法務部国際担当部長・広報部部長代理
    上 原 伸 一 (社) 日本民間放送連盟著作権委員会著作権専門部会法制部会主査
    大 山 幸 房 帝京科学大学名誉教授
    加 藤   衛 (社) 日本音楽著作権協会常務理事
    久保田   裕 (社) コンピュータ・ソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長
    小 泉 直 樹 上智大学教授
    児 玉 昭 義 (社) 日本映像ソフト協会専務理事・事務局長
    主  査 齊 藤   博 専修大学教授
    関 口 和 一 (株) 日本経済新聞社編集委員兼論説委員
    大 楽 光 江 北陸大学教授
    道垣内 正 人 東京大学教授
    主査代理 半 田 正 夫 青山学院大学学長
    前 田 哲 男 弁護士
    増 山   周 (社) 日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター
    法務調査部部長
    山 地 克 郎 (社) 電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会委員長
    山 本 隆 司 弁護士
    (計17名)


    (4)著作権教育小委員会

    小 熊 竹 彦 日本生活協同組合連合会政策企画部長
    上 林 彌 彦 京都大学教授
    久保田   裕 (社) コンピュータ・ソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長
    坂 井 知 志 常磐大学助教授
    里 中 満智子 漫画家
    清 水 康 敬 国立教育政策研究所教育研究情報センター長
    菅 原 瑞 夫 (社) 日本音楽著作権協会送信部長
    関 口 一 郎 (社) 日本教育工学振興会常務理事・事務局長
    土 屋   俊 千葉大学教授
    中 井   暁 (社) 日本映像ソフト協会業務部長
    主査代理 永 井 多惠子 世田谷文化生活情報センター館長
    中 村 凱 夫 (社) 著作権情報センター理事・事務局長
    松 下 直 子 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    主  査 松 村 多美子 椙山女学園大学教授
    水 島 和 夫 高岡短期大学副学長
    (計15名)


    (5)司法救済制度小委員会

    井 上 由里子 神戸大学助教授
    久保田   裕 (社) コンピュータ・ソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長
    後 藤 健 郎 (社) 日本映像ソフト協会業務部長代理(法務担当)
    潮 見 佳 男 京都大学教授
    高 杉 健 二 (社) 日本レコード協会法務部部長代理
    道垣内 正 人 東京大学教授
    橋 元   淳 (社) 日本芸能実演家団体協議会
    実演家著作隣接権センター事務局長
    細 川 英 幸 (社) 日本音楽著作権協会常務理事
    前 田 哲 男 弁護士
    主  査 松 田 政 行 弁護士・弁理士
    主査代理 山 口 三惠子 日本弁護士連合会知的所有権委員会委員、弁護士
    山 本 隆 司 弁護士
    (計12名)


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