学校などの教育機関において、教育目的で既存の著作物をデジタル化する場合や、パソコンのアプリケーションソフトを使用する場合の注意点について教えてください。
著作物をデジタル化する場合、その行為は複製に当たりますので、著作権者から複製の許諾を受けなければならないのが原則です。しかし著作権法第35条1項では、「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。」と規定しており、この範囲内であれば自由にデジタル化することができると考えて差し支えありません。

ただし、同条但書では、「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」としていますので、デジタル化した複製部数のいかんによっては複製の許諾を受けなければならないことがあります。もっとも生徒が40〜50名程度で同規模のパソコンにデジタル化する場合であれば、権利者の利益が不当に害されるおそれはないと見ることができ、但書の適用はないといって差し支えないでしょう。

なお、授業を担任する教師自身ではなく、第三者に依頼してデジタル化する場合や、予備校やカルチャースクールなど営利目的の教育機関内でのデジタル化については、同条の適用は受けず複製の許諾が必要ですので注意してください。

また、教育機関で使用するパソコンにアプリケーションソフトをインストール(複製)する場合、ソフトメーカーとの使用契約に指定された使用条件(パソコン台数、使用期間など)の範囲内でのインストールは何ら問題にはなりませんが、その範囲を超えてインストールすることはできません。

さらに、教室内の複数のパソコンをネットワーク化し、同一プログラムを使用して授業を行う場合、現在では公衆送信権(著作権法第23条)の処理が必要です。

以上のとおり、教育機関内でのデジタル化、あるいは、教育目的でのデジタル化といえども、すべてのケースにおいて権利者に無断で複製行為を行うことができる訳ではありません。あくまでも「著作権者の利益を不当に害しない範囲」で行う場合に限られており、教育現場での著作権に対するさらなる規範意識が求められています。

なお、学校などの教育機関における著作物の利用については、「ケーススタディ著作権第1集 学校教育と著作権」に詳しく解説されています。