 |
インターネット上のニュースサイトを無断でリンクさせることについて著作権法上は必ずしも明確ではありません。
1997年の著作権法改正によって公衆の求めに応じてネットワークを通じて著作物を送信することについては無線・有線の別を問わず、公衆送信権が及ぶこと、また、送信が自動化されている「自動公衆送信」については、実際に送信される前段階である「送信可能化」についても公衆送信権の対象となることが明確にされました(23条1項等の改正、詳しくは「コピライト」1997年7月号(No436)P.2以下、濱口太久未“「著作権法の一部を改正する法律」について”をご参照ください。)。
しかし、この権利とリンク張りとの関係については明確ではありません。公衆送信権は、ネットワークを通じて著作物を送信する者に対して著作者が有する権利です。したがって、ニュースサイトを設置して著作物を公衆送信する者には当然公衆送信権が働いてきますし、他人のニュースサイトの内容(記事や写真等)を無断で自分のニュースサイトに取り込んで公衆送信する場合も公衆送信権が働いてきます。このような場合には著作権が当然関係してくるのですが、これに対して、リンクを張るという行為だけの場合にはニュースサイトなどに接続しているだけであって、著作物の送信が行われるのはそれぞれのニュースサイトなどから行われているため、リンクさせた者が著作物を公衆送信していると見ることができるかについて疑問があります。また、送信可能化についても既にネットワーク上に接続されているニュースサイトに対するリンクですから、これに当たるということも難しいと考えられます。
1997年の「コピライト」誌5月号(No434)のニュース欄や6月号(No435)のWindow’97で紹介されたように、米国のトータル・ニュース社を相手取って、ワシントン・ポスト、CNN、タイム、ダウ・ジョーンズ、ロイターなど8社が不実表示、不正競争、商標権、著作権などを根拠に訴訟を起こした例がありましたが、1997年6月に法律的な解釈はあいまいなまま和解になりました。和解の内容については「コピライト」誌1997年7月号(No436)のニュース欄に紹介がありますので、そちらをご参照いただきたいと思いますが、全体の印象としては不正競争や商標権の観点から解決を図ったような感じがいたします。
また、1997年の「コピライト」誌4月号(No433)のニュース欄には、ホームページに他の新聞社のニュースの見出しをのせた事件に関して、著作権侵害を認めた英国の事例が紹介されていましたが、このケースの場合には「見出し」自体の著作権が認められた事例でリンク自体が焦点になったケースとも言えないようです。
このようにリンク張り自体を著作権侵害と言えるかどうかについては、現時点では明確ではないのですが、他人の創作したニュースサイトやホームページに勝手にリンクし、それによって利益をあげているような業者の場合には、法的に全くフリーというのも社会的公平という観点からは釈然としないものが残ります。他人の成果に「ただ乗り」してサービスの出所の混同をまねくおそれのあるような事例については不正競争防止法の適用が考えられないかどうか、また、商標権の効力の範囲内と考えられないかどうかについてさらに検討の余地があるかもしれません。
なお、日本新聞協会編集委員会は1997年11月に「ネットワーク上の著作権について」という見解をまとめました(http://www.pressnet.or.jp で見ることができます。)。この中では、インターネットで新聞記事等を利用する場合のほか、リンクについても発信元の新聞・通信社への連絡を要望しています。上で述べたようにリンク張りが全く法律上問題がないとは言い切れませんから、リンクをする場合には新聞・通信社への連絡を心がけるべきであると思われます。
|