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新聞記事の切り抜きコピーサービスは無許諾で行えば著作権侵害のおそれがあるということですが、それでは記事の抄録を作ったり、見出しだけを並べたりした場合はどうでしょうか。
結論から先に言いますと、無許諾で新聞記事の切り抜きのコピーを作って販売することは著作権侵害となるおそれがありますから、もしもこれからそのようなサービスを始めようと考えておられるのなら、新聞社などの著作権者の許諾を得ておくことが必要です。以下、新聞記事の著作権について簡単にみてみましょう。


1.個々の新聞記事の抄録

まず、抄録(アブストラクト)について考えてみましょう。

抄録は既存の文章を要約して作成するわけですが、その際に著作権法27条の翻案権が及ぶ場合であるかどうかが問題になります。複写複製問題について検討した著作権審議会第4小委員会報告書(昭和51年9月)では、抄録を2種類に分け、文献の存在について指示を与えるだけであって、内容の把握については本文を必要とする程度のものである「指示的抄録」は、本文の二次的著作物には該当しない(翻案権の問題とならない。)としましたが、内容をある程度概括したものである「報知的抄録」は、二次的著作物に該当するものがあり得るとしています。

ある日刊新聞の記事を要約して英文を作成して、定期購読者に対して印刷物を頒布し、又はオンライン、ファックスにより有線送信をしていた業者の著作権侵害が争われた事件で、東京地裁平成6年2月18日判決は、「翻案」とは、「原著作物を短縮する要約を含むところ、言語の著作物である原著作物の翻案である要約とは、それが原著作物に依拠して作成され、かつ、その内容において、原著作物の内容の一部が省略され又は表現が短縮され、場合により叙述の順序が変更されてはいるが、その主要な部分を含み、原著作物の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものをいう」とし、言い換えれば「これに接する者に、原著作物を読まなくても原著作物に表現された思想、感情の主要な部分を認識させる内容を有しているものである。」という見解を明らかにしています。

この見解は、先に紹介した第4小委員会報告書の見解をより具体化したもので通説的見解と言うことができます。原著作物の主要な部分を含み、原著作物にあたらなくても主要な部分を認識させるような抄録は翻案権が及ぶことになりますから、その新聞記事の翻案権を有する者の許諾が必要になるわけです。


2.編集著作物である新聞全体の翻案

数種類の新聞から一定のテーマに従って、記事を抽出し、1で見たような翻案権が及ぶかどうかの基準に照らして、翻案権が及ばないような抄録を作成した上で、それらをまとめたものを提供する場合には、著作権が及ぶことはありません。

しかし、ある特定の号の新聞についてその掲載された記事の抄録を作成し、その新聞が伝えようとした出来事の選択、掲載順序、表題による区分及び配列までその新聞と同じように作成した場合には、個々の記事の翻案に当たるか否かとは別に、編集著作物としての新聞の翻案となることがあります。

東京高裁平成6年10月27日判決では、このような事案に関して、編集著作物としての新聞の創作性は、選択については、収集された情報の中から、一定の編集方針、ニュース性等に基づき、伝達すべき価値のあるものとしてどのような出来事に関する情報を選択して表現しているかという点にあり、また、配列については、選択された情報がその重要度や性格・内容等に応じてどのように配列されているかという点にあるとした上で、編集著作物の翻案に当たるかどうかは、問題となった文書が新聞に依拠して作成されたか否か、つまり、新聞が伝達すべき価値のあるものとして選択し、記事に具現化された客観的な出来事に関する表現と共通しているか、配列において新聞における記事等の配列と同一又は類似しているか否かなどを考慮して決すべきであるとしています。これは、一定の編集方針や配列方法自体に基づいて具体的に作成された(つまり編集物として表現された)特定の号の新聞の翻案を問題としているのであって、決して編集方針や配列方法といった「アイデア」の領域に属するものを問題としているわけではありませんが、編集著作物の翻案の1つの考え方として注目されるものです。


3.見出しの著作権

最後に、見出しだけを集めて編集する場合に、著作権がからんでくるのでしょうか。4月号にでた「題号」とも似たところのある問題ですが、見出しそのものが著作物の定義を満たしているかということになります。異論もあるでしょうが、一般には見出し自体は著作物に該当しないと考えられるケースが多いのではないでしょうか。