○ニューメディア(CATV関係)における著作権等の処理の
     在り方に関する調査研究協力者会議 中間まとめ
    昭和60年9月 文化庁



    目 次
    1 同時再送信

    (1)現状(2)問題点等(3)権利処理
    2 自主放送
    〔音楽〕

    (1)現状(2)問題点等(3)権利処理
    〔音楽以外の著作物〕

    (1)現状(2)自主製作番組(3)購入番組



    CATVにおける著作権等の処理の在り方について
    1 同時再送信
    (1)現状
    (社)日本音楽著作権協会、(協)日本シナリオ作家協会、(社)日本文芸著作権保護同盟、(協)日本放送作家組合、(社)日本芸能実演家団体協議会の権利者の5団体が、(協)日本放送作家組合を窓口団体として包括許諾で個々のCATV事業者に許諾を与えており、使用料は次の方式により一括徴収している。
    1)区域内再送信
      CATVの年間利用料収入×0.015%×波数
    2)区域外再送信
      CATVの年間利用料収入×0.09%×波数
    (注)ただし、1)+2)の合計が年間利用料収入の0.35%を上限としている。

    (2)問題点等
    現在の5団体処理では、5団体の管理に属しない著作物例えば、講演、映画等について無許諾で使用しているという問題があり、現在、放送された映画の同時再送信について映画製作者は権利行使していないが、映画製作者も権利者団体に加わって区域外再送信について権利行使をしたいと考えている。

    (3)権利処理
    (1)権利者団体の窓口を一本にしぼった包括許諾により、個々のCATV事業者が権利処理を行うという現在の権利処理の方法は現実的であり、このルールを変更する必要は認められない。
    (2)映画製作者の団体を権利者団体に加える等権利処理団体の範囲の拡充を検討する必要がある。

    2 自主放送
    〔音楽〕
    (1)現状
    (社)日本音楽著作権協会は、自主製作番組、購入番組を含めて一括した包括許諾を個々のCATV事業者に与えており、使用料は次の方式により徴収している。
    前年度の営業収入×(自主放送時間÷全放送時間)×0.01
    (注)前年度の営業収入
    契約期間に該当する年度における事業者の受信料収入及び広告収入の合算額
    自主放送時間……当該事業者が製作する番組による放送時間と、当該事業者以外の者が製作した録音物または録画物による放送時間
    全放送時間……1日の放送時間×30日×12月×全チャンネル数

    (2)問題点等
    (社)日本音楽著作権協会だけが独立した権利行使をしている点について、他の権利者団体とまとまった権利行使をすることができないかという問題がある。

    (3)権利処理
    音楽については直接著作物を使用する者から使用料を徴収するのが建前であること、類似の使用形態である放送事業者との間においても放送権の権利処理に関してはブランケット契約を結んでおり包括契約になじみ易いこと、現在の権利処理の方法で特段の支障が生じていないことから、当面現在の権利処理方法を変更する必要はない。

    〔音楽以外の著作物〕
    (1)現状
    現在購入番組の一部について、(社)日本音楽著作権協会を除く5団体((社)日本シナリオ作家協会、(社)日本文芸著作権保護同盟、(協)日本放送作家組合、(社)日本芸能実演家団体協議会、(社)日本レコード協会)が日本放送作家組合を窓口団体とした包括許諾を行う形態により、CATV事業者が権利処理をする「異時再送信」としての取扱いがなされているが、その他の購入番組、自主製作番組については、権利処理のルールが確立していない。

    (2)自主製作番組
    1)問題点等
    通常は録音・録画を伴うイニシアルの利用であり、その性質上権利者の窓口を一本化することはなじみがたい。
    2)権利処理
    各権利者団体または個々の権利者による個別処理によることで支障はない。

    (3)購入番組
    1)問題点等
    購入番組の権利処理の方法については、番組製作者が処理する方法、番組供給者が処理する方法、CATV事業者が処理する方法の三つの方法が考えられるが、多数の小規模なCATV事業者が単独で権利処理することは困難であるという実態にあること、また、番組の円滑な流通のためには番組を供給する側で権利処理を行うのが現実的であり、世界の大勢でもあることを考慮する必要がある。また、権利者の窓口をできる限り一本化することがのぞましい。

    2)権利処理
    現時点において権利処理の方法として特定の方法を固定してしまうことは困難であるところから次のように取り扱うことが適当である。
    著作権の処理について、法律上の責任はCATV事業者が負うが、番組の円滑な流通の確保を図るためには、原則として番組をCATV事業者に供給するもの(番組供給者或は番組製作者)が権利処理し、処理済のものをCATV事業者に提供する方向で、関係権利者の団体とCATVへの番組供給に最も関連が深いと考えられる番組供給者、(社)日本映画製作者連盟、(社)日本ビデオ協会、全日本テレビ番組製作会社連盟が話合いを行い実行可能なところから上記方法による権利処理をスタートさせ、順次これの拡大に努める。
    アの実施の結果を踏まえて、必要があれば改めて権利処理の方法を見直すこととする。
    なお、現在購入番組のうち放送番組の極く一部について、CATV事業者が権利処理をする異時再送信の取扱いが為されているが、これについては放送事業者の番組販売について権利処理のルールが確立したときはそれに吸収すべき性格のものである。しかし、従来の経緯もありそれまでの過渡的な措置としてこのような権利処理の方式が必要であると考える。


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