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第二章 知的財産権に関する執行のための法的枠組み |
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第一節 一般的義務 | ||||||||||||||||||
第六条 執行に関する一般的義務 |
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1 各締約国は、執行の手続によりこの協定が対象とする知的財産権の侵害行為に対し効果的な措置(侵害を防止するための迅速な救済措置及び追加の侵害を抑止するための救済措置を含む。)がとられることを可能にするため、そのような執行の手続を自国の法令において確保する。この執行の手続は、正当な貿易の新たな障害となることを回避し、かつ、濫用に対する保障措置を提供するような態様で適用する。 | ||||||||||||||||||
2 この章の規定を実施するために採用され、維持され、又は適用される手続は、公正かつ公平なものとし、及びその対象となる全ての参加者の権利が適切に保護されるものとする。この手続は、不必要に複雑な又は費用を要するものであってはならず、また、不合理な期限を付され、又は不当な遅延を伴うものであってはならない。 | ||||||||||||||||||
3 この章の規定の実施に当たり、各締約国は、侵害の重大さ、第三者の利益並びに適用可能な措置、救済措置及び刑罰の間の均衡の必要性を考慮する。 | ||||||||||||||||||
4 この章のいかなる規定も、締約国に対し、公務員が公務の遂行において行った行為について当該公務員に責任を負わせることを要求するものと解してはならない。 | ||||||||||||||||||
第二節 民事上の執行(注) |
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注 締約国は、特許及び開示されていない情報の保護についてはこの節の規定の適用範囲から除外することができる。 | ||||||||||||||||||
第七条 民事上の手続の利用可能性 |
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1 各締約国は、この節に規定する知的財産権の行使に関し、民事上の司法手続を権利者に提供する。 | ||||||||||||||||||
2 各締約国は、民事上の救済措置が本案についての行政上の手続の結果として命ぜられる場合には、その手続がこの節に定める原則と実質的に同等の原則に従うことについて定める。 | ||||||||||||||||||
第八条 差止命令 |
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1 各締約国は、知的財産権の行使に関する民事上の司法手続において、自国の司法当局が当事者に対し知的財産権を侵害しないことを命ずる権限を有すること、特に、当該当事者又は、適当な場合には、関係司法当局が管轄権を行使する第三者に対し、知的財産権を侵害する物品の流通経路への流入を防止するため命令を発する権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
2 締約国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定める貿易関連知的所有権協定第二部の規定に従うことを条件として、この節の他の規定にかかわらず、当該使用に対する救済措置を報酬の支払に限定することができる。当該使用であってそのような救済措置の限定の対象とならないものについては、この節に定める救済措置が適用され、又は、当該救済措置が締約国の法令に抵触する場合には、宣言的判決及び適当な補償が行われるものとする。 | ||||||||||||||||||
第九条 損害賠償 |
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1 各締約国は、知的財産権の行使に関する民事上の司法手続において、侵害活動を行っていることを知っていたか又は知ることができる合理的な理由を有していた侵害者に対し、自国の司法当局が侵害の結果として権利者が被った損害を補償するために適当な損害賠償を当該権利者に支払うよう命ずる権限を有することについて定める。知的財産権の侵害に対する損害賠償の額を決定するに当たり、締約国の司法当局は、特に、権利者が提示する合理的な価値の評価(逸失利益、侵害の対象となった物品若しくはサービスの価値であって市場価格によって評価されるもの又は希望小売価格を含むことができる。)を考慮する権限を有する。 | ||||||||||||||||||
2 各締約国は、少なくとも著作権又は関連する権利の侵害及び商標の不正使用について、自国の司法当局が民事上の司法手続において侵害者に対しその侵害行為から生じた自己の利益を権利者に支払うよう命ずる権限を有することについて定める。締約国は、当該利益の額が1に規定する損害賠償の額であると推定することができる。 | ||||||||||||||||||
3 各締約国は、少なくとも著作物、レコード及び実演を保護する著作権又は関連する権利の侵害並びに商標の不正使用について、次の一又は二以上の事項を定める制度を設け、又は維持する。 | ||||||||||||||||||
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4 締約国は、3(a)に定める救済措置又は3(b)に規定する推定について定める場合には、自国の司法当局又は権利者が当該救済措置又は当該推定を1及び2に定める救済措置に代わるものとして選択する権利を有することを確保する。 | ||||||||||||||||||
5 各締約国は、自国の司法当局が、少なくとも著作権又は関連する権利及び商標の侵害について民事上の司法手続が終了した時に、適当な場合には、敗訴の当事者が勝訴の当事者に対し訴訟及び適当な弁護士の費用又は当該締約国の法令に定める他の費用を支払うよう命ずる権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
第十条 他の救済措置 |
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1 各締約国は、少なくとも著作権侵害物品及び不正商標商品について、自国の司法当局が民事上の司法手続において権利者の申立てにより、例外的な場合を除き、いかなる補償もなしに廃棄することを命ずる権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
2 各締約国は、更に、自国の司法当局が、1の著作権侵害物品又は不正商標商品の製造又は生産のために主として使用される材料及び道具を、追加の侵害の危険を最小とするような態様で、不当に遅延することなく、かつ、いかなる補償もなしに廃棄し、又は流通経路から排除することを命ずる権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
3 締約国は、この条に規定する救済措置が侵害者の費用負担によって実施されることについて定めることができる。 | ||||||||||||||||||
第十一条 侵害に関する情報 |
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各締約国は、特権、情報源の秘密の保護又は個人情報の処理に関する自国の法令の適用を妨げることなく、知的財産権の行使に関する民事上の司法手続において、自国の司法当局が、権利者の正当な要請に基づき、侵害者又は侵害したと申し立てられた者に対し、自国の関係法令に規定する関連情報であって当該侵害者又は当該侵害したと申し立てられた者が有し、又は管理するものを少なくとも証拠を収集する目的のために当該権利者又は当該司法当局に提供するよう命ずる権限を有することについて定める。このような情報には、侵害又は申し立てられた侵害における何らかの局面に関与した者に関する情報及び知的財産権を侵害する物品若しくはサービス又は侵害していると申し立てられた物品若しくはサービスの生産手段又は流通経路に関する情報(これらの物品又はサービスの生産又は流通に関与したと申し立てられた第三者及び流通経路を特定する情報を含む。)を含めることができる。 | ||||||||||||||||||
第十二条 暫定措置 |
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1 各締約国は、自国の司法当局が次のことを行う権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
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2 各締約国は、自国の司法当局が、適当な場合、特に、遅延により権利者に回復できない損害が生ずるおそれがある場合又は証拠が破棄される明らかな危険がある場合には、他方の当事者に意見を述べる機会を与えることなく、暫定措置をとる権限を有することについて定める。各締約国は、他方の当事者に意見を述べる機会を与えずにとられる手続において、自国の司法当局に対し、暫定措置の申立てに速やかに対応し、不当に遅延することなく決定を行う権限を与える。 | ||||||||||||||||||
3 各締約国は、少なくとも著作権又は関連する権利の侵害及び商標の不正使用について、自国の司法当局が民事上の司法手続において、侵害の疑いのある物品、侵害行為に関連する材料及び道具並びに少なくとも商標の不正使用については侵害に関連する証拠書類の原本若しくは写しを差押えその他の方法で管理の下に置くことを命ずる権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
4 各締約国は、自国の当局が、暫定措置に関し、申立人の権利が侵害されていること又はその侵害が生ずる差し迫ったおそれがあることを十分な確実性をもって自ら確認するため、申立人に対し合理的に入手可能な証拠を提出するよう要求し、並びに被申立人を保護し、及び濫用を防止するため、申立人に対し十分な担保又は同等の保証を提供することを命ずる権限を有することについて定める。そのような担保又は同等の保証は、暫定措置のための手続の利用を不当に妨げるものであってはならない。 | ||||||||||||||||||
5 暫定措置が取り消された場合、暫定措置が申立人の作為若しくは不作為によって失効した場合又は知的財産権の侵害がなかったことが後に判明した場合には、司法当局は、被申立人の申立てに基づき、申立人に対し、当該暫定措置によって生じた損害に対する適当な賠償を支払うよう命ずる権限を有する。 | ||||||||||||||||||
第三節 国境措置(注1、注2) |
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注1 締約国は、関税同盟を構成する他の締約国との国境を越える物品の移動に関する全ての管理を実質的に廃止している場合には、その国境においてこの節の規定を適用することを要求されない。 注2 権利者によって又はその承諾を得て他の国の市場に提供された物品については、この節に定める手続を適用する義務は生じないと了解する。 |
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第十三条 国境措置の範囲(注) |
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締約国は、国境における知的財産権に関する効果的な執行について、知的財産権の保護に関する自国の国内制度に従い、かつ、貿易関連知的所有権協定に定める要件の適用を妨げることなく定めるに当たり、知的財産権の間で不当な差別をすることなく、かつ、正当な貿易の新たな障害となることを回避するような態様で行うべきである。 注 締約国は、特許及び開示されていない情報の保護がこの節の規定の適用を受けないことに同意する。 |
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第十四条 小型貨物及び手荷物 |
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1 各締約国は、小型貨物で送られる商業的な性質の物品をこの節の規定の適用対象に含める。 | ||||||||||||||||||
2 締約国は、旅行者の手荷物に含まれる少量の非商業的な性質の物品については、この節の規定の適用から除外することができる。 | ||||||||||||||||||
第十五条 権利者からの情報の提供 |
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各締約国は、この節に定める国境措置をとるに当たり、自国の権限のある当局が権利者に対し当該当局を支援するため関連情報を提供するよう要請することを許可する。締約国は、また、権利者が自国の権限のある当局に対して関連情報を提供することを認めることができる。 | ||||||||||||||||||
第十六条 国境措置 |
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1 各締約国は、輸入貨物及び輸出貨物に関し、次の手続を採用し、又は維持する。 | ||||||||||||||||||
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2 締約国は、侵害の疑いのある通過物品について又は物品が税関管理の下にある他の状況において、次の手続を採用し、又は維持することができる。 | ||||||||||||||||||
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第十七条 権利者による申立て |
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1 各締約国は、自国の権限のある当局が、前条(国境措置)1(b)及び2(b)に定める手続をとるよう申し立てる権利者に対し、当該手続を提供する締約国の法令上、当該権利者の知的財産権の侵害の事実があることを当該当局が一応確認するに足りる適切な証拠を提出すること及び当該当局による侵害の疑いのある物品の合理的な識別のため当該権利者が知っているものと合理的に予想し得る十分な情報を提供することを要求することについて定める。十分な情報の提供の要求は、前条(国境措置)1(b)及び2(b)に定める手続の利用を不当に妨げるものであってはならない。 | ||||||||||||||||||
2 各締約国は、自国の領域内で税関管理の下にある侵害の疑いのある物品の解放を停止し、又は当該物品を留置するための申立てについて定める(注)。締約国は、当該申立てが二回以上の輸送に適用されることを定めることができる。締約国は、権利者の要請に基づき、侵害の疑いのある物品の解放を停止し、又は当該物品を留置するための申立てを税関管理の下にある選定された出入国地点に適用することができることについて定めることができる。 注 申立てについて定める義務は、前条(国境措置)1(b)及び2(b)に定める手続を提供する義務に従う。 |
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3 各締約国は、自国の権限のある当局が申立てを受理したか否かを合理的な期間内に申立人に通知することを確保する。自国の権限のある当局が申立てを受理したときは、当該当局は、当該申立てが有効である期間についても申立人に通知する。 | ||||||||||||||||||
4 締約国は、申立人が前条(国境措置)1(b)及び2(b)に定める手続を濫用した場合又は妥当な理由がある場合には、自国の権限のある当局が申立てを却下し、停止し、又は失効させる権限を有することについて定めることができる。 | ||||||||||||||||||
第十八条 担保又は同等の保証 |
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各締約国は、自国の権限のある当局が、第十六条(国境措置)1(b)及び2(b)に定める手続により申し立てる権利者に対し、被申立人及び当該当局を保護し、並びに濫用を防止するために十分な合理的な担保又は同等の保証を提供するよう要求する権限を有することについて定める。各締約国は、担保又は同等の保証が手続の利用を不当に妨げるものであってはならないことについて定める。締約国は、担保については、物品が知的財産権を侵害していないと権限のある当局が認定する場合には、当該物品の解放が停止され、又は当該物品が留置されたことによって生ずる損失又は損害を被申立人に与えないようにする支払の保証によることができることについて定めることができる。締約国は、例外的な場合又は司法上の命令に従う場合にのみ、被申立人が支払の保証その他の担保を提供することによって侵害の疑いのある物品を取得することを許可することができる。 | ||||||||||||||||||
第十九条 侵害についての認定 |
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各締約国は、第十六条(国境措置)に定める手続の開始後合理的な期間内に自国の権限のある当局が侵害の疑いのある物品によって知的財産権が侵害されているか否かを認定することができる手続を採用し、又は維持する。 | ||||||||||||||||||
第二十条 救済措置 |
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1 各締約国は、自国の権限のある当局が、前条(侵害についての認定)に規定する物品が知的財産権を侵害しているとの認定を行った後当該物品の廃棄を命ずる権限を有することについて定める。当該物品が廃棄されない場合には、各締約国は、例外的な場合を除くほか、権利者に損害を与えないような態様で当該物品を流通経路から排除することを確保する。 | ||||||||||||||||||
2 不正商標商品については、例外的な場合を除くほか、違法に付された商標の単なる除去により流通経路への商品の流入を認めることはできない。 | ||||||||||||||||||
3 締約国は、自国の権限のある当局が、前条(侵害についての認定)に規定する物品が知的財産権を侵害しているとの認定を行った後行政罰を科する権限を有することについて定めることができる。 | ||||||||||||||||||
第二十一条 手数料 |
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各締約国は、この節に定める手続に関連して自国の権限のある当局が決定する申立てに係る手数料、保管料又は廃棄費用が、当該手続の利用を不当に妨げる目的で利用されてはならないことについて定める。 | ||||||||||||||||||
第二十二条 情報の開示 |
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プライバシー又は情報の秘密に関する締約国の法令の適用を妨げることなく、 | ||||||||||||||||||
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注 この条の規定の適用上、「日」とは、執務日をいう。 | ||||||||||||||||||
第四節 刑事上の執行 |
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第二十三条 刑事犯罪 |
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1 各締約国は、刑事上の手続及び刑罰であって、少なくとも故意により商業的規模で行われる商標の不正使用並びに著作権及び関連する権利を侵害する複製について適用されるものを定める(注)。この節の規定の適用上、商業的規模で行われる行為には、少なくとも直接又は間接に経済上又は商業上の利益を得るための商業活動として行われる行為を含む。 注 各締約国は、故意による不正商標商品又は著作権侵害物品の商業的規模の輸入及び輸出をこの条の規定に基づく刑罰の対象となる不法な活動として取り扱う。締約国は、不正商標商品及び著作権侵害物品の商業的規模の頒布、販売及び販売の申出を刑罰の対象となる不法な活動として定めることにより、これらの輸入及び輸出に関する自国の義務を履行することができる。 |
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2 各締約国は、次の(a)及び(b)の要件を満たすラベル又は包装の故意による輸入(注1)及び国内における使用であって、商業上かつ商業的規模のものについて適用される刑事上の手続及び刑罰を定める(注2)。 注1 締約国は、ラベル又は包装の輸入に関する自国の義務を頒布に関する措置を通じて履行することができる。 注2 締約国は、商標に係る犯罪の未遂について適用される刑事上の手続及び刑罰を定めることにより、この2の規定に基づく自国の義務を履行することができる。 |
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3 締約国は、公衆に一般的に公開されている上映施設において上映中の映画の著作物を許諾なしに複製することについて、適当な場合には、刑事上の手続及び刑罰を定めることができる。 | ||||||||||||||||||
4 締約国は、この条に定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、ほう助及び教唆に対する刑事上の責任を自国の法令に基づいて追及することができることを確保する。 | ||||||||||||||||||
5 各締約国は、自国の法的原則に従い、この条に定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものについて法人の責任(刑事上の責任とすることができる。)を確立するため必要な措置をとる。この法人の責任は、刑事犯罪を行った自然人の刑事上の責任に影響を及ぼすものではない。 | ||||||||||||||||||
第二十四条 刑罰 |
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各締約国は、前条(刑事犯罪)1、2及び4に定める犯罪に関し、拘禁刑及び将来の侵害行為を抑止するため十分に高額の罰金(注)であって、同様の重大性を有する犯罪に適用される刑罰の程度に適合したものを含む刑罰を定める。 注 拘禁刑と罰金とを併せて科することができることについて定めることを締約国に義務付けるものではないと了解する。 |
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第二十五条 差押え、没収及び廃棄 |
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1 締約国は、第二十三条(刑事犯罪)1から4までに定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、自国の権限のある当局が、不正商標商品又は著作権侵害物品であるとの疑いがある物、申し立てられた犯罪のために使用された関連する材料及び道具、申し立てられた犯罪に関連する証拠書類並びに申し立てられた侵害活動から生じ、又はその活動を通じて直接若しくは間接に取得された資産の差押えを命ずる権限を有することについて定める。 | ||||||||||||||||||
2 締約国は、差押えの対象となる物件の特定を1に定める命令を発するための前提とする場合には、差押えを目的として当該物件を特定するために必要である以上に詳細に当該物件について説明することを要求してはならない。 | ||||||||||||||||||
3 締約国は、第二十三条(刑事犯罪)1から4までに定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、自国の権限のある当局が全ての不正商標商品及び著作権侵害物品の没収又は廃棄を命ずる権限を有することについて定める。不正商標商品及び著作権侵害物品が廃棄されない場合には、当該当局は、例外的な場合を除くほか、それらを権利者に損害を与えないような態様で流通経路から排除することを確保する。各締約国は、不正商標商品及び著作権侵害物品の没収又は廃棄が侵害者に対するいかなる補償もなく行われることを確保する。 | ||||||||||||||||||
4 締約国は、第二十三条(刑事犯罪)1から4までに定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、自国の権限のある当局が、不正商標商品又は著作権侵害物品の生産のため主として使用された材料及び道具並びに、少なくとも重大な犯罪については、侵害活動から生じ、又はその活動を通じて直接若しくは間接に取得された資産の没収又は廃棄を命ずる権限を有することについて定める。各締約国は、当該材料、当該道具又は当該資産の没収又は廃棄が侵害者に対するいかなる補償もなく行われることを確保する。 | ||||||||||||||||||
5 締約国は、第二十三条(刑事犯罪)1から4までに定める犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、自国の司法当局が次のことを命ずる権限を有することについて定めることができる。 | ||||||||||||||||||
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第二十六条 職権による刑事上の執行 |
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各締約国は、第二十三条(刑事犯罪)1から4までに定める刑事犯罪であって自国が刑事上の手続及び刑罰を定めるものに関し、適当な場合には、自国の権限のある当局が捜査を開始し、又は法的措置をとるために職権により行動することができることについて定める。 | ||||||||||||||||||
第五節 デジタル環境における知的財産権に関する執行 |
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第二十七条 デジタル環境における執行 |
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1 各締約国は、第二節(民事上の執行)及び前節(刑事上の執行)に定める範囲内の執行の手続によりデジタル環境において生ずる知的財産権の侵害行為に対し効果的な措置(侵害を防止するための迅速な救済措置及び追加の侵害を抑止するための救済措置を含む。)がとられることを可能にするため、当該手続を自国の法令において確保する。 | ||||||||||||||||||
2 1の規定を適用するほか、各締約国の執行の手続は、デジタル通信網における著作権又は関連する権利の侵害(侵害の目的のため広範な頒布の手段を不法に使用することを含むことができる。)について適用する。このような手続は、電子商取引を含む正当な活動の新たな障害となることを回避し、かつ、表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則が当該各締約国の法令に従って維持されるような態様(注)で実施される。 注 例えば、締約国の法令の適用を妨げることなく、権利者の正当な利益を保護しつつ、オンライン・サービス・プロバイダの責任の制限又はオンライン・サービス・プロバイダに対する利用可能な救済措置の制限について定める制度を採用し、又は維持すること。 |
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3 各締約国は、正当な競争を保護し、かつ、表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則を自国の法令に従って維持しつつ、商標権及び著作権又は関連する権利の侵害に効果的に対処するため、産業界における協力に向けた努力を促進するよう努める。 | ||||||||||||||||||
4 締約国は、自国の法令に従い、商標権又は著作権若しくは関連する権利が侵害されていることについて権利者が法的に十分な主張を提起し、かつ、これらの権利の保護又は行使のために侵害に使用されたと申し立てられたアカウントを保有する者を特定することができる十分な情報が求められている場合において、オンライン・サービス・プロバイダに対し当該情報を当該権利者に速やかに開示するよう命ずる権限を自国の権限のある当局に付与することができる。このような手続は、電子商取引を含む正当な活動の新たな障害となることを回避し、かつ、表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則が当該締約国の法令に従って維持されるような態様で実施される。 | ||||||||||||||||||
5 各締約国は、著作者、実演家又はレコード製作者によって許諾されておらず、かつ、法令で許容されていない行為がその著作物、実演及びレコードについて実行されることを抑制するための効果的な技術的手段(注)であって、著作物、実演及びレコードに係る権利の行使に関連してその著作者、実演家又はレコード製作者が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。 注 この条の規定の適用上、「技術的手段」とは、一の締約国の法令に従って設計された技術、装置又は構成品であって、その通常の機能において、著作者、実演家又はレコード製作者によって許諾されていない行為がその著作物、実演又はレコードについて実行されることを防止し、又は抑制するよう設計されているものをいう。締約国の法令に定める著作権又は関連する権利の範囲に影響を及ぼすことなく、技術的手段は、著作者、実演家又はレコード製作者が、暗号、スクランブリングその他の関連するアクセス・コントロール若しくは保護のための加工又はコピー・コントロールの手法であって、保護の目的を達成するものを適用することにより、保護の対象となる著作物、実演又はレコードの使用を管理する場合に効果的とみなされる。 |
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6 各締約国は、5に規定する適当な法的保護及び効果的な法的救済について定めるため、少なくとも次のことについて定める。 |
(a) | 自国の法令の範囲内で次の行為から保護すること。
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(b) | 次の要件を満たす装置若しくは製品(コンピュータ・プログラムを含む。)を製造し、輸入し、若しくは頒布する行為又は次の要件を満たすサービスを提供する行為から保護すること。
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注 この条の規定の適用上、「権利管理情報」とは、次のものをいう。
(a) 著作物、実演若しくはレコード、著作物の著作者、実演の実演家若しくはレコード製作者又は著作物、実演若しくはレコードに係る権利を有する者を特定する情報
(b) 著作物、実演又はレコードの利用の条件に関する情報
(c) (a) 及び(b)に規定する情報を表す数字又は符号
ただし、これらの項目の情報が著作物、実演若しくはレコードの複製物に付される場合又は著作物、実演若しくはレコードを公衆に伝達し、若しくは公衆により利用が可能となる状態に置くに当たって当該著作物、実演若しくはレコードとともに公衆に伝達され、若しくは公衆により利用が可能となる状態に置かれる場合に限る。
(a) | 電磁的な権利管理情報を除去し、又は改変すること。 | |
(b) | 電磁的な権利管理情報が権限なく除去され、又は改変されたことを知りながら、著作物、実演又はレコードの複製物を頒布し、頒布のために輸入し、放送し、公衆に伝達し、又は公衆により利用が可能となる状態に置くこと。 |
第三章 執行実務
第二十八条 執行に関する専門的知識、情報及び国内における調整
第二十九条 国境における危険度に応じた管理
(a) | 侵害の重大な危険を特定し、これに対処するため及びこのような危険を軽減するための行動を促進するため、関連する利害関係者及び他の締約国の権限のある当局であって知的財産権に関する執行について責任を有するものと協議を行うこと。 |
(b) | 国境における知的財産権に関する執行について他の締約国の権限のある当局と情報(侵害物品を含む疑いのある貨物をより的確に識別し、検査の対象とするための関連情報を含む。)を共有すること。 |
第三十条 透明性
(a) | 知的財産権の行使のため自国の法令上利用可能な手続、知的財産権に関する執行について責任を有する自国の権限のある当局及び支援を得るために利用可能な連絡先に関する情報 | |
(b) | 知的財産権に関する執行に関連する法令、最終的な司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定に関する情報 | |
(c) | 知的財産権に関する執行及びその保護のための効果的な制度を確保するための自国の取組に関する情報 |
第三十一条 公衆の意識の向上
第三十二条 侵害物品を廃棄する際の環境への配慮
第四章 国際協力
第三十三条 国際協力
第三十四条 情報の共有
(a) | 自国が前章(執行実務)の規定に基づいて収集する情報(統計資料及び最良の実務に関する情報を含む。) | |
(b) | 知的財産権の保護及び知的財産権に関する執行に関連する自国の立法上及び規制上の措置に関する情報 | |
(c) | 適当な、かつ、相互に合意したその他の情報 |
第三十五条 能力の開発及び技術援助
(a) | 知的財産権についての公衆の意識の向上 | |
(b) | 知的財産権に関する執行に関連する国内法令の整備及び実施 | |
(c) | 知的財産権に関する執行についての職員の研修 | |
(d) | 地域的に及び多数国間で実施される調整された活動 |
第五章 制度上の措置
第三十六条 ACTA委員会
(a) | この協定の実施及び運用について見直すこと。 | |
(b) | この協定の発展に関する事項について検討すること。 | |
(c) | 第四十二条(改正)の規定に従い、この協定の改正案について検討すること。 | |
(d) | 第四十三条(加入)2の規定に従い、WTO加盟国によるこの協定への加入の条件を決定すること。 | |
(e) | この協定の実施及び運用に影響を及ぼし得るその他の事項について検討すること。 |
(a) | 2の規定に基づいて任務を遂行する委員会を支援し、又はこの協定の締約国となることが見込まれる国の要請に応じ当該国が第四十三条(加入)の規定に基づいてこの協定に加入することを支援するため、特別委員会又は特別作業部会を設置すること。 | |
(b) | 非政府の個人又は集団の助言を求めること。 | |
(c) | この協定の実施及び運用に関する勧告(この協定の実施及び運用に関連する最良の実務に関する指針を承認することを含む。)を行うこと。 | |
(d) | 知的財産権の侵害を減少させること(違法な複製及び偽造を特定し、及び監視するための技術を含む。)に関する情報及び最良の実務を第三者と共有すること。 | |
(e) | 職務の遂行に当たり、その他の活動を行うこと。 |
第三十七条 連絡部局
第三十八条 協議
第六章 最終規定
第三十九条 署名
注 オーストラリア、オーストリア共和国、ベルギー王国、ブルガリア共和国、カナダ、キプロス共和国、チェコ共和国、デンマーク王国、エストニア共和国、欧州連合、フィンランド共和国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、ギリシャ共和国、ハンガリー共和国、アイルランド、イタリア共和国、日本国、大韓民国、ラトビア共和国、リトアニア共和国、ルクセンブルク大公国、マルタ共和国、メキシコ合衆国、モロッコ王国、オランダ王国、ニュージーランド、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、ルーマニア、シンガポール共和国、スロバキア共和国、スロベニア共和国、スペイン王国、スウェーデン王国、スイス連邦、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国
第四十条 効力発生
第四十一条 脱退
第四十二条 改正
第四十三条 加入
第四十四条 この協定の正文
第四十五条 寄託者