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    外国著作権法 カンボジア編 第4章 権利の集中管理

    第56条

    著作物の著作者及び関連する権利の保有者は財産的権利を保護及び管理するために集中管理団体を設立することができる。
    著作者の権利、実演家の権利及びレコード製作者の権利又はビデオ製作者の権利の集中管理団体の設立は文化芸術省の承認を要する。
    放送機関のラジオ、テレビ、及びケーブルテレビを介した放送権の集中管理団体は情報省の承認が必要となる。

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    第5章 争訟と罰則

    第57条

    著作権又は関連する権利の侵害を受ける又は受けるおそれがある者は、以下のために裁判所に申立てを提起することができる。

    1. まじかに切迫している場合に、権利の侵害を禁止するために。
    2. 継続している場合に、被告による権利の侵害を止めるために。原告は、被告に、損害の賠償をさせること、精神的侵害を救済すること及び争訟されている装置や資料を返還すること並びにそうした違法行為から得られたあらゆる利益を返還することを目的とした申立てを提起することができる。
    第58条

    裁判所は、違法な方法で製造又は利用又は利用可能となった装置や資料、又は侵害に利用された装置で被告が所持しているか、この法律の適用によって保管されたものについて、押収・破壊を命じる権限を有する。

    第59条

    裁判所は、特に著作物の無許諾の複製物から複製した対象物の押収につき、証拠の保全を確保するために必要なすべての暫定措置を命じる権限を有する。
    原告は、申立てが裁判所によって根拠がないとされた場合は、被告に生じた損害に対し責任を負う。

    第60条

    差押えから30日以内に、差押え財産の所有者又は差押え装置や資料を管理する第三者は、差押えの解除又は効力の制限の申立てを裁判所に提起できる。

    第61条

    差押えから30日以内に、裁判所への十分な申立ての提起がなされなかった場合に、裁判所は、差押え財産の所有者の要求又は差押え財産を管理する第三者の要求を基に、この差押えの解除を命じることができる。

    第62条

    この法律の第64条及び65条の目的のために、次の行為は違法とみなされる。

    1. 著作物、レコード、放送の複製の量を制限すること、又は作成されたコピーの質を損なうことを意図するあらゆる装置又は手段を迂回するために特別に設計又は適合されたあらゆる装置又は手段の販売又はリースのための製造又は輸入。
    2. 衛星による放送を含め放送や他の方法で公衆に伝達された暗号化された番組を無許諾で受信する者を支援することができるあらゆる装置又は手段の販売又はリースのための製造又は輸入。
    3. 電子形式で提供される権利状態に関連するすべての情報の、権利者によって許可されていない、削除又は改変。
    4. 電子形式で提供された権利状態に関連する情報が既に削除又は改変されていることを知りながら行う、著作物、レコード又は放送機関による放送の、無許諾での、頒布、頒布を目的とした輸入、放送機関による放送、公衆への伝達又は公衆への利用可能化。

    「権利状態に関する情報」という語句は以下を含む:

    • 著作者の特定、著作物の特徴、実演家の特定、実演家の特徴、レコード製作者の特定、レコードの特徴、放送機関の特定及び放送機関の特徴を明らかにする情報。
    • 権利者の身元又はこの法律の及ぶ著作物や他の製品の利用の手続きや条件に関する特徴及びその情報を示す番号や符号の特徴を知ることができる情報。
    第63条

    税関当局は、著作権又は関連する権利の所有者の書面による申立てに基づいて、侵害物品を構成すると権利者が評価する物品を、商品管理の一環として保管することができる。裁判所、申立人たる適格権限のある当局及び物品の管理者は、税関当局から、当該物品に関してこの機関によって適用された押収について、遅滞なく通知されなければならない。
    この規定に反する関税法に従うことを条件として、物品の保管について通知された日から数えて10業務日の期間内に、申立人が税関当局に対して次の正当な証拠の立証に失敗した場合に、この措置は正当に解除される:

    • 特にこの法律の第59条に規定される裁判所への保全措置の要求。
    • 生じうる責任を満たすために必要な担保の裁判所への申立て。

    申立てが根拠がないとされた場合、申立人は物品の保管に起因する損害に対し責任を有する。
    特に「商標、商号に関する法律および不正競争法」に規定された水際措置に関する条項は、この条の補完的な利用のために適用されなければならない。

    第64条

    どのような手段であっても、この法律で定義される、著作者の権利を侵害する(著作物の)すべての製造、複製又は実演又は公衆への伝達は、罰せられるべき犯罪である。
    製造又は複製の侵害は、6月から12月及び/又は5,000,000(5百万)リエルから25,000,000(25百万)リエルの罰金で罰することができる。再犯の場合は二倍の罰が適用される。
    複製の侵害行為から生成された製品の輸入又は輸出は6月から12月及び/又は2,000,000(2百万)リエルから10,000,000(10百万)リエルの罰金で罰することができる。再犯の場合は二倍の罰が適用される。
    実演又は公衆への伝達の侵害は、1月から3月及び/又は1,000,000(1百万)リエルから5,000,000(5百万)リエルの罰金で罰することができる。数個の犯罪を行った場合、罰は犯罪の数に乗じられる。再犯の場合、前述の場合の二倍の罰が適用される。

    第65条

    実演家又はレコード製作者又はビデオ製作者又は放送機関の許諾のない(著作物の)すべての製造又は複製は、6月から12月の禁固刑及び/又は5,000,000(5百万)リエルから25,000,000(25百万)リエルの罰金で罰することができる。再犯の場合、二倍の罰が適用されなければならない。
    実演家又はレコード製作者又はビデオ製作者又は放送機関の許諾のないレコード、カセット又はビデオカセットの輸入又は輸出は、1月から3月及び/又は2,000,000(2百万)リエルから10,000,000(10百万)リエルの罰金で罰することができる。再犯の場合には、二倍の罰が適用される。
    実演家又はレコード製作者又はビデオ製作者又は放送機関の許諾のない放送機関による放送は、1月から3月及び/又は1,000,000(1百万)****リエルから10,000,000(10百万)リエルの罰金で罰することができる。再犯の場合には、二倍の罰が適用される。

    第66条

    この法律の第64条及び65条が適用される各場合について、裁判所は次の決定ができる。

    • 侵害行為によって得られた収益の全部又は一部及びこの犯罪を犯す目的で特別に導入された装置の押収を命じること。
    • 何れの精神的被害への補償に対する権利を害することなく、押収された資料や装置を、著作権又は関連する権利の所有者に返却することを命じること。
    • 押収した資料や装置の破壊を命じること。

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    第6章 国際条約の適用

    第67条

    カンボジア王国が当事国である著作権及び関連する権利に関する国際条約の規定はこの法律の対処事項に適用される。
    この法律の規定と抵触する場合には、これらの国際条約の規定が優先される。

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    第7章 経過規定

    第68条

    文化芸術省は、この法律の効力が生じた後、この法律の規定に反するあらゆる利用を直ちに停止する宣言(PRAKAS)を発布しなければならない。
    第64条及び第65条の刑罰の規定は、この法律の効力が生じた6月後に、この法律の規定に反するすべての存続する利用に適用される。

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    第8章 終局規定

    第69条

    この法律に反する条項は無効とみなされる。

    この法律は、カンボジア王国の国民議会により2003年1月21日に、第2期第9本会議において採択された。

    プノンペン、2003年1月28日
    国民議会議長
    署名・捺印
    Norodom Ranaridh

    *
    この翻訳は、WIPOのwebサイト「WIPO Lex」に掲載された英語の翻訳の日本語訳である。目次は、日本語訳に際し付加した。
    **
    [第20条]英語訳では"3)"となっているが、前号に合わせ日本語訳に際し「(c)」に修正した。
    ***
    [第36条]英語訳では"the exploitation can be done"となっているが、文脈の意味内容から日本語訳に際し「利用することができない」に修正した。
    ****
    [第65条]英語訳では"(two million)"となっているが、クメール語の条文を参照して日本語訳に際し「(1百万)」に修正した。

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