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    第10章 雑則及び一般親定

    国王及び議会の著作権

    (国王の著作権)
    第163条
    (1) 著作物が、女王陛下により、又は国王の職員若しくは従業員によりその任務の過程において、作成される場合には、
    (a) その著作物は、第153条第1項(著作権保護の資格付与についての通常の要件)の規定にかかわらず、著作権保護について資格を有する。
    (b) 女王陛下は、その著作物のいずれもの著作権の最初の所有者となる。
    (2) そのような著作物の著作権は、それが他の者に譲渡されることができ、又は譲渡されているにかかわらず、この部において「国王の著作権」として言及される。
    (3) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の国王の著作権は、次に掲げる時まで引き続き存続する。
    (a) 著作物が作成された暦年の終わりから125年の期間の終わりまで。
    (b) 著作物が作成された暦年の終わりから75年の期間の終わり前に著作物が商業的に発行されるときは、著作物が最初にそのように発行された暦年の終わりから50年の期間の終わりまで。
    (4) 共同著作物の場合には、著作者の1人又は2人以上で全部でない者が第1項に該当する者であるときは、この条の規定は、それらの著作者に関してのみ、及び著作物へのそれらの著作者の寄与に基づいて存続する著作権に関してのみ、適用される。
    (5) 前記を除き、かつ、この部の他の規定におけるいずれの明示的な除外にも従うことを条件として、この部の規定は、他の著作権に適用されると同様に、国王の著作権に関しても適用される。
    (6) ある著作物に議会の著作権が存続する(第165条から第166条のDまで参照)ときは、又はその限度において、この条の規定は、その著作物について適用されない。

    (法律及び条令の著作権)
    第164条
    (1) 女王陛下は、議会の各法律、スコットランド議会の各法律、ウェールズ国民議会の各条令、ウェールズ国民議会の各法律、北部アイルランド議会の各法律又は英国国教会総会の各条令の著作権について資格を有する。
    (2) 著作権は、国王の裁可から、国王の裁可が与えられた暦年の終わりから50年の期間の終わりまで存続する。
    (3) この部における国王の著作権への言及(第163条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の国王の著作権に適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される。
    (4) 他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、次に掲げる時まで存続しない。
    (a) 法律又は英国国教会総会の条令の場合には、国王の裁可が与えられた暦年の終わりから50年の期間の終わりまで。
    (b) ウェールズ国民議会の条令の場合には、その条令が枢密院に諮問して女王陛下により認可された暦年の終わりから50年の期間の終わりまで。

    (議会の著作権)
    第165条
    (1) 下院又は上院の監督若しくは管理により又はそれに基づいて著作物が作成される場合には、
    (a) その著作物は、第153条第1項(著作権保護の資格付与についての通常の要件)にかかわらず、著作権保護について資格を有する。
    (b) 著作物を作成させ、又は著作物の作成を監督し、若しくは管理する下院又は上院が、その著作物のいずれもの著作権の最初の所有者となり、また、著作物が両院により又は両院の監督若しくは管理に基づいて作成されるときは、両院が、著作権の最初の共有者となる。
    (2) そのような著作物の著作権は、それが他の者に譲渡されることができ、又は譲渡されているにかかわらず、この部において「議会の著作権」として言及される。
    (3) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の議会の著作権は、著作物が作成された暦年の終わりから50年の期間の終わりまで引き続き存続する。
    (4) この条の目的上、下院若しくは上院により又はその監督若しくは管理に基づいて作成された著作物は、次に掲げるものを含む。
    (a) 下院若しくは上院の職員又は従業員によりその任務の過程において作成されたいずれもの著作物
    (b) 下院若しくは上院の議事のいずれもの録音物、映画又は生の放送
    ただし、著作物が下院若しくは上院により又はそのために委嘱されることのみを理由として、著作物は、下院若しくは上院により又はその監督若しくは管理に基づいて作成されたものとはみなされない。
    (5) 共同著作物の場合には、著作者の1人又は2人以上で全部でない者が、下院若しくは上院のために、又はその監督若しくは管理に基づいて行動しているときは、この条の規定は、それらの著作者に関してのみ、及び著作物へのそれらの著作者の寄与に基づいて存続する著作権に関してのみ、適用される。
    (6) 前記を除き、かつ、この部の他の規定におけるいずれの明示的な除外にも従うことを条件として、この部の規定は、他の著作権について適用されると同様に、議会の著作権に関しても適用される。
    (7) この部の規定は、また、枢密院令に明示されるいずれの例外又は修正にも従うことを条件として、この部の規定が及ぶ国の他のいずれの立法機関により又はその監督若しくは管理に基づいて作成される著作物についても適用される。また、この部における「議会の著作権」への言及は、それに従って解釈される。
    (8) 第7項に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (議案の著作権)
    第166条
    (1) 議会に上程される各法案の著作権は、以下に定める規定に従って、議会の上院若しくは下院又は両院に属する。
    (2) 公法案の著作権は、最初は、法案が上程される院に属し、法案が第2の院に送付された後は両院の共有に属し、かつ、法案の本文が、法案が上程される院に手渡される時から存続する。
    (3) 私法案の著作権は、両院の共有に属し、かつ、法案の写しが上院又は下院に最初に寄託される時から存続する。
    (4) 個人法案の著作権は、最初は、上院に属し、法案が下院に送付された後は両院の共有に属し、かつ、法案が上院において第1読会に付される時から存続する。
    (5) この条に基づく著作権は、次に掲げる時に消滅する。
    (a) 国王の裁可の時
    (b) 法案が国王の裁可を受けないときは、法案の撤回若しくは否決の時又は会期の終わり
    ただし、1911年及び1949年の議会法に基づいて、法案がいずれかの会期において国王の裁可のために提出されることが可能であるときは、その会期における上院による法案の否決にかかわらず、法案の著作権は、引き続き存続する。
    (6) この部における議会の著作権への言及(第165条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の議会の著作権に適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される。
    (7) 著作権がいったんこの条に基づいて存続した後は、他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、法案について存続しない。ただし、1会期において通過せずに、以後の会期において再上程される法案に関するこの条の以後の効力を害しない。

    (スコットランド議会の法案の著作権)
    第166条のA
    (1) スコットランド議会に上程される各法案の著作権は、スコットランド議会の統合体に属する。
    (2) この条に基づく著作権は、法案の本文が上程のために議会に提出される時から次に掲げるいずれかの時まで存続する。
    (a) 法案が国王の裁可を受ける時まで。
    (b) 法案が国王の裁可を受けない場合には、法案が撤回され、若しくは否決され、又は法案についてそれ以上の議会手続がとられることがない時まで。
    (3) この部における議会の著作権への言及(第165条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の議会の著作権について適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される
    (4) 著作権がいったんこの条に基づいて存続した後は、他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、法案について存続しない。ただし、国王の裁可を受けずに、後に議会に再上程される法案に関するこの条の以後の作用を害しない。

    (北部アイルランド議会の法案の著作権)
    第166条のB
    (1) 北部アイルランド議会に上程される各法案の著作権は、北部アイルランド議会委員会に属する。
    (2) この条に基づく著作権は、法案の本文が上程のために議会に提出される時から次に掲げるいずれかの時まで存続する。
    (a) 法案が国王の裁可を受ける時まで。
    (b) 法案が国王の裁可を受けない場合には、法案が撤回され、若しくは否決され、又は法案についてそれ以上の議会手続がとられることがない時まで。
    (3) この部における議会の著作権への言及(第165条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の議会の著作権について適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される。
    (4) 著作権がいったんこの条に基づいて存続した後は、他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、法案について存続しない。ただし、国王の裁可を受けずに、後に議会に再上程される法案に関するこの条の以後の作用を害しない。

    (ウェールズ国民議会の条令案の著作権)
    第166条のC
    (1) ウェールズ国民議会に上程される各議会条令案の著作権は、ウェールズ国民議会委員会に属する。
    (2) この条に基づく著作権は、議会条令案の本文が上程のために議会に提出される時から次に掲げるいずれかの時まで存続する。
    (a) 議会条令案が枢密院に諮問して女王陛下により認可される時まで。
    (b) 議会条令案が枢密院に諮問して女王陛下により認可されない場合には、議会条令案が撤回され、若しくは否決され、又はそれについて議会のそれ以上の手続がとられることがない時まで。
    (3) この部における議会の著作権への言及(第165条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の議会の著作権について適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される。
    (4) 著作権がいったんこの条に基づいて存続した後は、他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、議会条令案について存続しない。ただし、枢密院に諮問して女王陛下により認可されずに、後に議会に再上程される議会条令案に関するこの条の以後の作用を害しない。

    (ウェールズ国民議会の法案の著作権)
    第166条のD
    (1) ウェールズ国民議会に上程される各法案の著作権は、ウェールズ国民議会委員会に属する。
    (2) この条に基づく著作権は、法案の本文が上程のために議会に提出される時から次に掲げるいずれかの時まで存続する。
    (a) 法案が国王の裁可を受ける時まで。
    (b) 法案が国王の裁可を受けない場合には、法案が撤回され、若しくは否決され、又はそれについて議会のそれ以上の手続がとられることがない時まで。
    (3) この部における議会の著作権への言及(第165条における言及を除く。)は、この条に基づく著作権を含む。また、前記を除き、この部の規定は、他の議会の著作権について適用されると同様に、この条に基づく著作権に関しても適用される。
    (4) 著作権がいったんこの条に基づいて存続した後は、他のいずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、法案について存続しない。ただし、国王の裁可を受けずに、後に議会に再上程される法案に関するこの条の以後の作用を害しない。

    (議会の両院――著作権に関する補則)
    第167条
    (1) 著作権の保有、利用及び執行の目的上、及び著作権に関するすべての法的手続に関連して、議会の各院は、停会又は解散により影響されない法人の法的能力を有するものとして取り扱われる。
    (2) 著作権者としての下院の機能は、下院を代表して下院議長により行使される。また、議長により許可されるとき又は議長が欠員の場合には、それらの機能は、歳入委員会委員長又は副委員長が果たすことができる。
    (3) この目的上、議会の解散の時に下院議長、歳入委員会委員長又は副委員長であった者は、相当する任命が議会の次の会期において行われるまで、引き続き職務を執ることができる。
    (4) 著作権者としての上院の機能は、上院を代表して上院議長により行使される。また、議長により許可されるとき又は議長が欠員の場合には、それらの機能は、副議長又は事務総長が果たすことができる。
    (5) 著作権に関する法的手続は、
    (a) 「下院議長」の名において下院により又は下院に対して提起される。
    (b) 「上院議長」の名において上院により又は上院に対して提起される。

    その他の雑則

    (ある種の国際機関に帰属する著作権)
    第168条
    (1) 文芸、演劇、音楽又は美術の原著作物が、次に掲げる2つの条件を満たす場合であっても、この条に基づいて著作物に著作権は存続し、かつ、当該機関が、その著作権の最初の所有者となる。
    (a) この条の規定が適用される国際機関の職員若しくは従業員により作成され、又はそのような国際機関により発行されること。
    (b) 第154条(著作者への言及による資格付与)又は第155条(最初の発行の国への言及による資格付与)に基づいて著作権保護について資格を有しないこと。
    (2) この条の規定が適用される国際機関は、女王陛下が、枢密院令により、この条の規定を適用することが得策であると宣言する機関である。
    (3) この条に基づいて国際機関が最初の所有者である著作権は、著作物が作成された暦年の終わりから50年の期間の終わり、又は連合王国の国際的義務を履行する目的上女王陛下が枢密院令により明示することができるいっそう長い期間の終わりまで、引き続き存続する。
    (4) この条の規定が適用される国際機関は、著作権の保有、利用及び執行の目的上並びに著作権に関するすべての法的手続に関連して、法人の法的能力を有し、及びすべての実質的な時期に有していたとみなされる。
    (5) この条に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (フォークロア等――無名の未発行著作物)
    第169条
    (1) 著作者が知られていない未発行の文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の場合において、著作者(又は共同著作物の場合には著作者のいずれか)が、連合王国外の国との関係により資格ある個人であったときは、この部の規定に従うことを条件として、反対のことが立証されるまでは、その者が資格ある個人であり、かつ、したがって著作物に著作権が存続するものと推定される。
    (2) その国の法律に基づいて、そのような著作物の著作権を保護し、及が執行するための団体が任命されるときは、女王陛下は、枢密院令により、この条の目的上その団体を指定することができる。
    (3) そのように指定された団体は、連合王国において、その国の法律に基づいて行う権限を与えられるいずれかのこと(著作権の譲渡以外の)を著作権者に代わって行う権能を有するものと認められる。また、その団体は、特に、自己の名において訴訟手続を提起することができる。
    (4) この条に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。
    (5) 第1項において「資格ある個人」とは、実質的な時期(第154条の意味における)にその者の著作物が同条に基づいて著作権保護について資格を有していた個人をいう。
    (6) 指定団体に通知された著作者による著作物の著作権の譲渡があったときは、この条の規定は、適用されない。また、この条のいずれの規定も、著作者により若しくは著作者の下で適法に主張する者により行われる著作権譲渡又は付与される許諾の効力に影響しない。

    経過規定及び留保

    (経過規定及び留保)
    第170条
    (1) 附則第1は、この部の規定の施行前に作成された著作物及び施行前に行われた行為又は生じた出来事その他この部の規定の作用に関する経過規定及び留保を含む。
    (2) 所管大臣は、写真と映画を除いた未発行の既存の著作物の著作物の保護期間を減少するために、規則により、附則1を改正することができる。
    (3) その規則は、以下の場合に、著作権を終了させることができる。
    (a) 指令2006/116/ECにより規定された著作権保護期間の終わりまたはそれよりも遅い時期、
    (b) そのことを条件として、その規則の施行日またはそれよりも遅い時期
    (4) 「既存の著作物」とは、附則第1におけるのど同じ意味である。
    (5) 第2項に基づく規則では、以下のことができる。
    (a) 異なる目的のために異なる規定を設けること、
    (b) 補則規定や経過規定を設けること、
    (c) 当該条項が効力を有するより前に通過し又は制定された法律若しくは従位立法を修正する派生的な規定を設けること
    (6) 第2項に基づく規則を制定する権限は、制定文書として実行可能である。
    (7) 第2項に基づく規則を含む制定された制定文書は、当該制定文書案が議会に提出され、かつ、各議院の決議によって承認されない限り、これを制定してはならない。

    (他の法令又は慣習法に基づく権利及び特権)
    第171条
    (1) この部のいずれの規定も、次に掲げるものに影響しない。
    (a) いずれかの法令(法令がこの法律により明示的に廃止され、改正され、又は修正される場合を除く。)に基づくいずれかの者のいずれもの権利又は特権
    (b) ある法令に基づく以外に存続する国王のいずれもの権利又は特権
    (c) 議会の上院又は下院のいずれもの権利又は特権
    (d) 関税及び物品税に関する法律に基づいて没収された物品を販売し、使用し、その他処分するという国王の権利、又は国王から権限を付与されるいずれかの者の権利
    (e) 信託又は信用の義務違反に関する衡平法上のいずれもの規則の作用
    (2) これらの留保に従うことを条件として、いずれの著作権又は著作権の性質を有する権利も、この部又はそれに代わる他の法令に基づく以外には存続しない。
    (3) この部のいずれの規定も、公益その他を根拠として、著作権の執行を阻止し、又は制限する法律のいずれの規則にも影響しない。
    (4) この部のいずれの規定も、第4章(著作者人格権)により付与される権利のいずれかを侵害する行為についてこの部に基づかずに利用できる民事上又は刑事上のいずれの訴権その他の救済にも影響しない。
    (5) 第1項における留保は、第164条第4項及び第166条第7項(法律、条令及び法案の著作権――著作権の性質を有する他の権利の除外)に従うことを条件として、効力を有する。

    解 釈

    (解釈についての一般規定)
    第172条
    (1) この部の規定は、著作権法、すなわち改正された1956年の著作権法の規定を言い換え、及び改正する。
    (2) 以前の法律の規定に対応するこの部の規定は、単に表現の変更を理由として、以前の法律から逸脱しているものとは解釈されない。
    (3) この部の規定が以前の法律から逸脱しているかどうかを確定する目的上、その他この部の規定の正確な解釈を確定する目的上、以前の法律に基づく決定を参照することができる。

    (EEA及び関係する表現の意味)
    第172条のA
    (1) この部において、
    「EEA」とは、欧州経済地域をいう。
    「EEA加盟国」とは、(EEA協定の)加盟国、アイスランド、リヒテンシュタイン又はノルウェーをいう。
    (2) この部におけるEEA加盟国の国民である者への言及は、法人に関しては、EEA加盟国の法律に基づいて設立された法人への言及として解釈される。
    (3) 削除

    (著作権者への言及の解釈)
    第173条
    (1) 異なる者が著作物の著作権の異なる側面について資格を有する(部分譲渡その他の結果として)場合には、この部のいずれの目的上も、著作権者は、その目的上関係する著作権の側面について資格を有する者である。
    (2) 著作権(又は著作権のいずれかの側面)が2人以上の者により共有されている場合には、この部における著作権者への言及は、すべての著作権者への言及であり、したがって、特に、著作権者の許諾のいずれの要件も、それらのすべての者の許諾を必要とする。

    (「教育機関」及び関係する表現の意味)
    第174条
    (1) この部の規定における「教育機関」という表現は、次に掲げるものを意味する。
    (a) いずれもの学校
    (b) 所管大臣の命令によりこの部又はその規定の目的上明示されるいずれか他の種類の教育機関
    (2) 所管大臣は、命令により、教育機関に関するこの部の規定が、命令に明示することができる修正及び変更を伴って、教育機関に通うことができない生徒に対して他の場所で授業を行うために(1996年の教育法第579条第1項に定義される地方教育当局又は(北アイルランド)地方教育当局により雇用される教師に関して適用される旨を定めることができる。
    (3) 第1項(a)号において「学校」は、
    (a) イングランド及びウェールズに関しては、1996年の教育法におけると同一の意味を有する。
    (b) スコットランドに関しては、1968年の社会事業(スコットランド)法の意味における認可学校を含む場合を除き、1962年の教育(スコットランド)法におけると同一の意味を有する。
    (c) 北部アイルランドに関しては、1986年の教育及び図書館(北部アイルランド)令におけると同一の意味を有する。
    (4) 第1項(b)号に基づく命令は、命令に明示されるいずれかの法令に基づいて随時効力を有する文書への言及により、教育機関の種類を明示することができる。
    (5) 教育機関に関して、この部における「教師」及び「生徒」という表現は、それぞれ、授業を行ういずれの者及び授業を受けるいずれの者をも含む。
    (6) この部における教育機関「のために」行われるいずれかのことへの言及は、いずれかの者によりその機関の目的のために行われることへの言及である。
    (7) この条に基づく命令は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (発行及び商業的発行の意味)
    第175条
    (1) この部において、著作物に関して「発行」とは、
    (a) 複製物の公衆への配布をいう。
    (b) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の場合には、電子情報検索システムを用いて著作物を公衆に提供することを含む。
    また、関係する表現は、それに従って解釈される。
    (2) この部において、文芸、演劇、音楽又は美術の著作物に関して「商業的発行」とは、次に掲げることをいう。
    (a) 注文の受領の前に作成された複製物が一般的に公衆に提供される時に著作物の複製物を公衆に配布すること。
    (b) 電子情報検索システムを用いて著作物を公衆に提供すること。
    また、関係する表現は、それに従って解釈される。
    (3) 建築物の形式における建築の著作物又は建築物と一体となった美術の著作物の場合には、建築物の建設は、著作物の発行と同義語として取り扱われる。
    (4) 次に掲げることは、この部の目的上、発行を構成しない。また、商業的発行への言及は、それに従って解釈される。
    (a) 文芸、演劇又は音楽の著作物の場合には、
    (i) 著作物の実演
    (ii) 著作物の公衆への伝達(電子情報検索システムの目的のため以外の)
    (b) 美術の著作物の場合には、
    (i) 著作物の展示
    (ii) 建築物の形式における建築の著作物、建築物の模型、彫刻若しくは美術工芸の著作物を表現する図画の著作物の複製物又は前記の著作物の写真の複製物の公衆への配布
    (iii) 著作物が挿入されている映画の複製物の公衆への配布
    (iv) 著作物の公衆への伝達(電子情報検索システムの目的のため以外の)
    (c) 録音物又は映画の場合には、
    (i) 著作物の公の演奏又は上映
    (ii) 著作物の公衆への伝達
    (5) この部における発行又は商業的発行への言及は、単に見かけにすぎず、かつ、公衆の合理的な要求を満たすことを意図しない発行を含まない。
    (6) この条の目的上、いずれの無許諾の行為も、なんら考慮されない。

    (署名の要件――法人に関する適用)
    第176条
    (1) 文書がある者により又はその者のために署名されるという次に掲げる諸規定における要件は、法人の場合には、その印章を押印することによっても満たされる。
    第78条第3項(b)号 (許諾に従って作成された複製物の公の展示の場合における著作者の確認される権利の許諾者による主張)
    第90条第3項 (著作権の譲渡)
    第91条第1項 (将来の著作権の譲渡)
    第92条第1項 (排他的許諾の付与)
    (2) 文書がある者により署名されるという次に掲げる規定における要件は、法人の場合には、法人のための署名又はその印章の押印により満たされる。
    第78条第2項(b)号 (著作者を確認させる権利の書面による証書による主張)
    第87条第2項 (著作者人格権の放棄)

    (表現のスコットランドについての適応)
    第177条
    この部の規定のスコットランドへの適用において、
    「利得の計算」とは、利得の計算及び支払いをいう。
    「計算」とは、計算、清算及び支払いをいう。
    「譲渡」とは、譲渡をいう。
    「費用」とは、経費をいう。
    「被告」とは、被告をいう。
    「引渡し」とは、引渡しをいう。
    「禁反言」とは、個人的妨訴をいう。
    「差止命令」とは、禁止命令をいう。
    「中間的救済」とは、仮救済をいう。
    「原告」とは、告訴人をいう。

    (小定義)
    第178条
    この部において、
    定期刊行物中の記事の関係において「記事」は、いずれの種類の項目をも含む。
    「業務」は、取り引き又は職業を含む。
    「集合著作物」とは、次に掲げるものをいう。
    (a) 共同著作物
    (b) 異なる著作者による別個の寄与が内在し、又は異なる著作者の著作物若しくは著作物の一部分が内包している著作物
    著作物に関して「コンピュータ生成」とは、著作物の人間の著作者が存在しない状況において著作物がコンピュータにより生成されることをいう。
    「国」は、いずれの領域をも含む。
    「国王」は、スコットランド政府、ウェールズ議会政府又は北部アイルランド若しくはこの部の規定が及ぶ連合王国以外のいずれかの国における女王陛下の政府、の権利を有する国王を含む。
    「電子的」とは、電気的、磁気的、電磁気的、電気化学的又は電気機械的エネルギーにより作動されることをいう。また、「電子的形式による」とは、電子的手段のみにより用いることができる形式によることをいう。
    「雇用された」、「被雇用者」、「雇用主」及び「雇用」は、勤務契約又は見習契約に基づく雇用を指す。
    「ファクシミリ複製物」は、縮小され、又は拡大された複製物を含む。
    「国際機関」とは、その構成員が1又は2以上の国家を含む機関をいう。
    「裁判手続」は、いずれかの裁判所、審判所、又はある者の法的権利若しくは責任に影響するいずれかの事項を決定する権限を有する者に提起される訴訟手続を含む。
    「議会手続」は、北部アイルランド議会、スコットランド議会、新北部アイルランド議会又は欧州議会の手続及び2006年のウェールズ政府法第1条第5項の意味における議会手続を含む。
    「私的学習」は、直接又は間接の商業目的のためのいずれの学習も含まない。
    録音物又は映画に関して、「製作者」とは、録音物又は映画の作成に必要な手筈を引き受ける者をいう。
    「公立図書館」とは、次に掲げるいずれかにより、又はそのために運営される図書館をいう。
    (a) イングランド及びウェールズにおいては、1964年の公立図書館及び博物館法の意味における図書館当局
    (b) スコットランドにおいては、1955年の公立図書館(スコットランド)法の意味における法定図書館当局
    (c) 北部アイルランドにおいては、1986年の教育及び図書館(北部アイルランド)令の意味における教育及び図書館委員会
    「レンタル権」とは、著作物の複製物のレンタル(第18条のA参照)を許諾し、又は禁止する著作権者の権利をいう。。
    「複写複製物」及び「複写複製」は、複写の方法を用いた複製を指す。
    「複写の方法」とは、次に掲げるいずれかの方法をいい、電子的形式に保持される著作物に関しては、電子的手段によるいずれの複製をも含む。ただし、映画又は録音物の作成は含まない。
    (a) ファクシミリ複製物の作成のための方法
    (b) 多数の複製物の作成のための機器の使用を伴う方法
    「十分な出所明示」とは、次に掲げる場合を除き、当該著作物をその題号その他の記述により確認し、かつ、著作者を確認する出所明示をいう。
    (a) 発行著作物の場合には、無名で発行されるとき。
    (b) 未発行著作物の場合には、ある者が合理的な調査により著作者の身元を確認することが不可能であるとき。
    第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利を侵害しうる行為に関して、「十分な否認」とは、著作者又は監督が同意していない取扱いを著作物が受けている旨の明確かつ合理的に顕著な指示であって、次にに掲げるいずれかをいう。
    (a) その行為の時に与えられる指摘
    (b) 著作者又は監督がその時に確認されるときは、確認とともに現われる指摘
    「電気通信設備」とは、視覚的影像、音その他の情報を電子的手段により伝達するための設備をいう。
    「タイプフェイス」は、印刷に使用される装飾的文様を含む。
    著作物に関して行われるいずれかのことについて、「無許諾の」とは、次に掲げるいずれかに該当すること以外により行われたことをいう。
    (a) 著作権者により又はその許諾を得て。
    (b) 著作物に著作権が存続しないときは著作者により若しくはその許諾を得て、又は第11条第2項が適用された場合には著作者の雇用主により若しくはその許諾を得て、又は両方の場合に著作者の下で適法に主張する者により若しくはその者の許諾を得て。
    (c) 第48条(ある種の資料の国王による複製等)に従って。
    「無線放送」とは、無線電信を用いた放送をいう。
    「無線電信」とは、その目的のために構成され、又は配置された有形物質により供給されない通路を通して電磁気エネルギーを送ることをいう。ただし、地上固定地間のマイクロ波エネルギーの送信を含まない。
    「書面」は、手書きによるとその他によるとを問わず、かつ、それが記録される方法手段にかかわらず、表記又は符号のいずれの形式をも含む。また、「書かれた」は、それに従って解釈される。

    (定義された表現の索引)
    第179条
    次に掲げる一覧表は、この部において使用された表現を定義し、その他説明する規定(同一の条においてのみ使用された表現を定義し、又は説明する規定以外の)を示す。
    利用可能複製物(第31条のAから第31条のFにおける)――第31条のF第4項
    利得の計算及び計算(スコットランドにおける)――第177条
    著作権により制限される行為――第16条第1項
    翻案――第21条第3項
    権限のある団体(第31条のBから第31条のBBにおける)――第31条のF第6項
    記録保管人(第40条のAから第43条までにおける)――第43条のA第5項
    記事(定期刊行物における)――第178条
    美術の著作物――第4条第1項
    譲渡(スコットランドにおける)――第177条
    著作者――第9条及び第10条第3項
    放送(及び関係する表現)――第6条
    建築物――第4条第2項
    業務――第178条
    集合著作物――第178条
    施行(附則第1における)――同附則第1項(2)
    商業的発行――第175条
    公衆への伝達――第20条
    コンピュータ生成――第178条
    営利のための運営――第43条のA第4項
    複製物及び複製――第17条
    著作権(一般に)――第1条
    著作権(附則第1における)――同附則第2項(2)
    著作権者――第101条第2項及び第173条
    著作権審判所――第145条
    著作権のある著作物――第1条第2項
    費用(スコットランドにおける)――第177条
    国――第178条
    本国――第15条のA
    国王――第178条
    国王の著作権――第163条第2項及び第164条第3項
    学芸員――第40条のAから第43条
    データベース――第3条のA第1項
    被告(スコットランドにおける)――第177条
    引渡し(スコットランドにおける)――第177条
    障害者(第31条のAから第31条のF)――第31条のF第2項及び第3項
    演劇の著作物――第3条第1項
    教育機関――第174条第1項から第4項まで
    EEA、EEA国民及びEEA加盟国――第172条のA
    電子的及び電子的形式――第178条
    雇用された、被雇用者、雇用主及び雇用――第178条
    排他的許諾――第92条第1項
    除外録音物――第72条第1項のA
    既存の著作物(附則第1における)――同附則第1項(3)
    ファクシミリ複製物――第178条
    映画――第5条のB
    将来の著作物――第91条第2項
    一般的許諾(第140条及び第141条における)――第140条第7項
    図画の著作権――第4条第2項
    侵害複製物――第27条
    差止命令(スコットランドにおける)――第177条
    中間的救済(スコットランドにおける)――第177条
    国際機関――第178条
    複製物の公衆への配布――第18条
    共同著作物――第10条第1項及び第2項
    訴訟手続――第178条
    適法な使用者(第50条のAから第50条のCまでにおける)――第50条のA第2項
    貸与――第18条のA第2項から第6項まで
    司書(第40条のAから第43条までにおける)――第43条のA第5項
    図書館――第40条のAから第43条
    司書(第37条から第43条までにおける)――第37条第6項
    許諾(第125条から第128条までにおける)――第124条
    著作権者の許諾――第90条第4項、第91条第3項及び第173条
    許諾機関(第7章における)――第116条第2項
    許諾要綱(一般に)――第116条第1項
    許諾要綱(第118条から第121条までにおける)――第117条
    文芸の著作物――第3条第1項
    作成された(文芸、演劇又は音楽の著作物に関して)――第3条第2項
    音楽の著作物――第3条第1項
    博物館――第40条のAから第43条
    演奏時間――第135条のA
    新著作権規定(附則第1における)――同附則第1項(1)
    1911年法(附則第1における)――同附則第1項(1)
    1956年法(附則第1における)――同附則第1項(1)
    のために(教育機関に関して)――第174条第5項
    独創的(データベースに関して)――第3条のA第2項
    議会の著作権――第165条第2項及び第7項並びに第166条第6項
    議会手続――第178条
    実演――第19条第2項
    写真――第4条第2項
    原告(スコットランドにおける)――第177条
    私的学習――第178条
    製作者(録音物又は映画に関して)――第178条
    番組(放送と関連して)――第6条第3項
    将来の著作権者――第91条第2項
    公立図書館――第178条
    発行及び関係する表現――第175条
    発行された版(印刷配列の著作権の関係における)――第8条
    生徒――第174条第5項
    レンタル――第18条のA第2項から第6項まで
    レンタル権――第178条
    複写複製物及び複写複製――第178条
    複写の方法――第178条
    彫刻――第4条第2項
    署名される――第176条
    録音物――第5条のA及び第135条のA
    十分な出所明示――第178条
    十分な否認――第178条
    供給(第31条のBから第31条のBBにおける)――第31条のF第7項
    教師――第174条第5項
    電気通信システム――第178条
    支払い条件――第135条のA
    タイプフェイス――第178条
    無許諾の(著作物に関して行われたことについて)――第178条
    知られていない(著作物の著作者に関して)――第9条第5項
    著作者が知られていない(著作物)――第9条第4項
    無線放送――第178条
    無線電信――第178条
    著作物(附則第1における)――同附則第2項(1)
    2人以上の著作者の著作物(第7章における)――第116条第4項
    書面及び書かれた――第178条



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