第3部 意匠権 |
第1章 原意匠の意匠権
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導入規定
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(意匠権)
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第213条 |
(1) |
意匠権は、この部に従って原意匠に存続する財産権である。 |
(2) |
この部において、「意匠」とは、ある物品の全体又は一部分の形状又は形態(内部又は外部の)の意匠をいう。 |
(3) |
意匠権は、次に掲げるものには存続しない。 |
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(a) |
構成の方法又は原則 |
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(b) |
物品の形状又は形態の特徴であって、次に掲げるいずれかに該当するもの |
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(i) |
物品が他の物品と接続し、又は他の物品の中に、周囲に、若しくはそれに対比して置かれるようにして、その結果、両方の物品がその機能を果たすことができるようにするもの |
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(ii) |
物品が意匠家により不可分の部分を形成することを意図される他の物品の外観に従属するもの |
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(c) |
表面の装飾 |
(4) |
意匠は、資格のある国においてその創作の時に当該意匠分野において陳腐であるときは、この部の目的上「原意匠」ではない。なお、「資格のある国」とは、第217条第3項により与えられる意味による。 |
(5) |
意匠が次に掲げるものへの言及により又は第221条(資格付与について更に規定を定める権限)に基づくいずれかの命令に従って、意匠権保護について資格を有するときに限り、その意匠に意匠権は存続する。 |
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(a) |
意匠家又は意匠家の雇用主(第218条及び第219条参照) |
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(b) |
意匠に従って作成された物品を最初に市場に発売した者及びそのような国(第220条参照) |
(5A) |
1995年のオリンピック記号等(保護)法の意味における管理された表示から成り、又はそれを含む意匠には、意匠権は存続しない。 |
(6) |
意匠が意匠文書に記録され、又は物品が意匠に従って作成されない限り、及びその時までは、意匠権は存続しない。 |
(7) |
この部の施行前にそのように記録され、又はそれに従って物品が作成された意匠には、意匠権は存続しない。 |
(意匠家)
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第214条 |
(1) |
この部において、意匠に関して「意匠家」とは、意匠を創作する者をいう。 |
(2) |
コンピュータ生成意匠の場合には、意匠の創作に必要な手筈を引き受ける者が、意匠家であるとみなされる。 |
(意匠権の帰属)
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第215条 |
(1) |
意匠家は、雇用の過程において創作されたものでない意匠のいずれもの意匠権の最初の所有者である。 |
(2) |
削除 |
(3) |
意匠が被雇用者によりその雇用の過程において創作されるときは、その者の雇用主が、その意匠のいずれもの意匠権の最初の所有者である。 |
(4) |
意匠が第220条(意匠に従って作成された物品を最初に発売することへの言及による資格付与)に基づいて意匠権保護について資格を有するときは、前記の規則は適用されず、かつ、当該物品を発売する者が、意匠権の最初の所有者である。 |
(意匠権の存続期間)
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第216条 |
(1) |
意匠権は、次に掲げる時に消滅する。 |
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(a) |
意匠が最初に意匠文書に記録された暦年又は物品が意匠に従って最初に作成された暦年のうちいずれか早い方の暦年の終わりから15年後 |
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(b) |
意匠に従って作成された物品が、その暦年の終わりから5年以内に販売又は賃貸のために提供されるときは、それが最初に提供された暦年の終わりから10年後 |
(2) |
第1項における販売又は賃貸のために提供される物品への言及は、意匠権者により又はその者の許諾を得て世界中のいずれかの場所においてそのように提供される物品への言及である。 |
意匠権保護のための資格付与
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(資格ある個人及び資格ある者)
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第217条 |
(1) |
この部において、「資格ある者」とは |
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(a) |
資格のある国に居住する個人、又は |
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(b) |
法人その他次に掲げる2つの条件を満たす法人格を有する団体をいう。 |
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(i) |
連合王国その他の資格ある国の一部分の法律に基づいて形成されていること。 |
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(ii) |
いずれかの資格ある国において、実質的な業務活動が遂行される事業所を有していること。 |
(2) |
この部における資格ある者への言及は、他のいずれの資格ある国の国王及び政府をも含む。 |
(3) |
この条において、「資格ある国」とは、次に掲げる国をいう。 |
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(a) |
連合王国 |
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(b) |
第255条に基づく命令に基づいてこの部の規定が及ぶ国 |
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(c) |
欧州連合の他の加盟国 |
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(d) |
第256条に基づく命令が規定する限度において、同条に基づいて指定される相互保護を享有する国 |
(4) |
削除 |
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(a) |
連合王国に関しては、英国市民である者 |
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(b) |
連合王国の植民地に関しては、同植民地との関係により英国保護領の市民である者 |
(5) |
「資格ある者」の定義の目的上、実質的な業務活動がいずれかの国における事業所において遂行されているかどうかを決定する際には、すべての実質的な時期にその国の外にある商品の取引きは、なんら考慮されない。 |
(意匠家への言及による資格付与)
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第218条 |
(1) |
この条の規定は、雇用の過程において創作されたものでない意匠について適用される。 |
(2) |
この条の規定が適用される意匠は、意匠家が資格ある者であるときは、意匠権保護について資格を有する。 |
(3) |
この条の規定が適用される共同意匠は、意匠家のいずれかが資格ある者であるときは、意匠権保護について資格を有する。 |
(4) |
共同意匠がこの条に基づく意匠権保護について資格を有する場合には、資格ある者である意匠家のみが、第215条第1項(意匠権の最初の帰属̶̶意匠家の資格)に基づく意匠権について資格を有する。 |
(委嘱者又は雇用主への言及による資格付与)
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第219条 |
(1) |
意匠は、資格ある者との雇用の過程において創作されるときは、意匠権保護について資格を有する。 |
(2) |
共同雇用の場合には、意匠は、雇用主のいずれかが資格ある者であるときは、意匠権保護について資格を有する。 |
(3) |
共同雇用の過程において創作される意匠が、この条に基づいて意匠権保護について資格を有する場合には、資格ある者である雇用者のみが、第215条第3項(意匠権の最初の帰属̶̶雇用主の資格)に基づいて意匠権について資格を有する。 |
(最初の発売への言及による資格付与)
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第220条 |
(1) |
第218条又は第219条(意匠家又は雇用主への言及による資格付与)に基づく意匠権保護について資格を有しない意匠は、意匠に従って作成された物品の最初の発売が、次に掲げる者により、かつ、次に掲げる国において行われるときは、意匠権保護について資格を有する。 |
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(a) |
削除 |
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(b) |
連合王国又は第255条に基づく命令に基づいてこの部の規定が及ぶ他の国若しくは欧州連合の加盟国において。 |
(2) |
意匠に従って作成された物品の最初の発売が2人又は2人以上の者により共同で行われるときは、その意匠は、それらの者のいずれかが第1項(a)号に明示する要件を満たすときは、意匠権保護について資格を有する。 |
(3) |
このような場合には、その要件を満たす者のみが、第215条第4項(意匠権の最初の帰属――意匠に従って作成された物品の最初の発売者の資格)に基づく意匠権について資格を有する。 |
(4) |
削除 |
(資格付与について更なる規定を定める権限)
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第221条 |
(1) |
女王陛下は、連合王国の国際的義務を履行するために、枢密院令により、枢密院令に明示する要件が満たされるときは意匠は意匠権保護について資格を有する旨を、規定することができる。 |
(2) |
枢密院令は、異なる種類の意匠又は物品について異なる規定を定めることができ、また、第215条(意匠権の帰属)及び第218条から第220条まで(資格付与の他の手段)の作用の必然的修正であって女王陛下が適当と認めるものを行うことができる。 |
(3) |
この条に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。 |
意匠権の利用
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(譲渡及び許諾)
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第222条 |
(1) |
意匠権は、人的財産又は動産として、譲渡、遺言による処分又は法律の作用により、移転することができる。 |
(2) |
意匠権の譲渡その他の移転は、一部分とすること、すなわち、次に掲げるものについて適用されるように限定することができる。 |
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(a) |
意匠権者が行うことの排他的権利を有する事項の1又は2以上であって全部でないもの |
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(b) |
権利が存続すべき期間の一部分であって全体でないもの |
(3) |
意匠権の譲渡は、譲渡人により又はその者のために署名される書面によらない限り、有効でない。 |
(4) |
意匠権者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得ている者を除き、権利上の利益についてのすべての権利承継人を拘束する。また、この部における意匠権者の許諾を得て又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される。 |
(意匠権の将来の帰属)
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第223条 |
(1) |
将来の意匠権に関して結ばれ、かつ、将来の意匠権者により又はその者のために署名される協定により、将来の意匠権者が将来の意匠権(全体又は一部分)を他の者に譲渡することを意図する場合において、存在することとなる権利について、譲受人又はその者の下で主張する他の者が、他のすべての者に対して、権利がその者に帰属することを要求する資格があるときは、その権利は、この条に基づいてその者に帰属する。 |
(2) |
この条において、
「将来の意匠権」とは、将来の意匠若しくは意匠の種類について又は将来の出来事の発生の時に存在することとなる、又は存在することとなりうる意匠権をいう。
「将来の意匠権者」は、それに従って解釈され、かつ、第1項に定める協定に基づいて意匠権について将来資格を有することとなる者を含む。 |
(3) |
将来の意匠権者により付与される許諾は、対価を支払った善意の購入者であって許諾の通知(現実の又は推定による)を受けていない者又はそのような購入者から権限を得ている者を除き、権利上の利益(又は将来の利益)についてのすべての権利承継人を拘束する。また、この部における意匠権者の許諾を得て又は得ずにいずれかのことを行うことへの言及は、それに従って解釈される。 |
(意匠権を伴うと推定される登録意匠の権利の譲渡)
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第224条 |
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意匠権が存続する意匠から成る意匠が1949年の登録意匠法に基づいて登録され、かつ、登録意匠の所有権が意匠権者でもある場合には、登録意匠の権利の譲渡は、反対の意図が現われない限り、意匠権の譲渡でもあるとみなされる。 |
(排他的許諾)
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第225条 |
(1) |
この部において、「排他的許諾」とは、別途意匠権者が排他的に行使することができる権利を行使することを、許諾を付与する者を含む他のすべての者を排除して、許諾を得た者に許可する許諾であって、意匠権者により又はその者のために署名された書面によるものをいう。 |
(2) |
排他的許諾に基づいて許諾を得た者は、許諾を付与する者に対して有すると同一の権利を、許諾により拘束されるいずれの権利承継人に対しても有する。 |