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    第5章 雑則及び一般規定

    雑 則

    (侵害訴訟手続の根拠のない威嚇についての救済)
    第253条
    (1) ある者が意匠権侵害の訴訟手続で他の者を威嚇する場合には、威嚇の被害者は、次に掲げることを主張して、その者に対して訴訟を提起することができる。
    (a) 威嚇が不当と認められる趣旨の宣言
    (b) 威嚇の継続に対する差止命令
    (c) その者が威嚇により受けたいずれかの損失についての損害賠償
    (2) 原告が、威嚇が行われたこと及びその者が威嚇の被害者であることを立証するときは、原告は、威嚇された訴訟手続が関係する行為が関係の意匠権の侵害を構成し、又はすでに行われているときは、そのような侵害を構成していたことを被告が証明しない限り、主張した救済について資格を有する。
    (3) いずれかのものを作成し、又は輸入することから成ると申し立てられた侵害について訴訟手続を提起するとの威嚇について、この条に基づいて訴訟手続を提起することはできない。
    (4) 意匠が意匠権により保護されているという単なる通知は、この条の目的のための訴訟手続の威嚇を構成しない。

    (意匠権者との関係を主張しない権利の許諾に基づいて許諾を得た者)
    第254条
    (1) 第237条又は第238条(権利の許諾)に基づいて意匠について許諾を有する者は、意匠権者の同意を得ずに次に掲げることを行ってはならない。
    (a) その者がその許諾を信頼して発売し、又は販売することを企てている商品に、その者が意匠権者から許諾を得た者であることを表示する売買説明書を貼付すること。
    (b) そのような商品に関する広告においてそのようないずれかの売買説明書を使用すること。
    (2) 第1項の違反は、意匠権者が訴えることができる。
    (3) この条において、「売買説明書」、商品に売買説明書を貼付することへの言及及び「広告」は、1968年の売買説明書法におけると同一の意味を有する。

    この部の規定の作用の範囲

    (この部の規定が及ぶ国)
    第255条
    (1) この部の規定は、イングランド並びにウェールズ、スコットランド及び北部アイルランドに及ぶ。
    (2) 女王陛下は、枢密院令により、この部の規定が、同令に明示することができる例外及び修正に従うことを条件として、次に掲げる領域に及ぶことを指示することができる。
    (a) 英仏海峡諸島のいずれか
    (b) マン島
    (c) いずれかの植民地
    (3) その権限は、同令に明示することができる例外及び修正に従うことを条件として、第221条(意匠権保護のための資格付与についての追加の規定)又は第256条(相互保護を享有する国)に基づいて定められるいずれの枢密院令をも拡大する権限を含む。
    (4) この部の規定が及ぶ国の立法府は、この部の規定をその国の状況に適応させるために必要と認めることができるところに従って、その国の法律の一部分として実施する際に、それらの規定を修正し、又はそれらの規定に追加することができる。ただし、意匠権保護が別途存在する場合にその保護を否認しないようにしなければならない。
    (5) この部の規定が及ぶ国が連合王国の植民地であることをやめる場合には、その国は、次に掲げる時までは、この部の目的上引き続きそのような国として取り扱われる。
    (a) その国を相互保護を享有する国として指定する枢密院令が第256条に基づいて定められる時
    (b) その国の法律の一部分としてのこの部の規定が改正され、又は廃止されたという事実を理由として、その国がそのように取り扱われることをやめる旨を宣言する枢密院令が定められる時
    (6) 第5項(b)号に基づく枢密院令を含む制定文書は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (相互保護を享有する国)
    第256条
    (1) 女王陛下は、ある国の法律が英国人の意匠について適切な保護を規定していると認めるときは、枢密院令により、この部に基づいて相互保護を享有する国としてその国を指定することができる。
    (2) ある国の法律が、英国人のある種類の意匠についてのみ又はある種類の物品に応用された意匠についてのみ適切な保護を規定しているときは、その国を指定するいずれの枢密院令も、その国に関係する意匠に関してこの部の規定により与えられる保護を対応する範囲に限定する規定を含む。
    (3) この条に基づく枢密院令は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる。

    (領海及び大陸棚)
    第257条
    (1) この部の目的上、連合王国の領海は、連合王国の一部分として取り扱われる。
    (2) この部の規定は、連合王国において行われる事項に適用されると同様に、海底若しくは底土の探査又はそれらの自然資源の利用に直接関連する目的のために大陸棚の連合王国領域に所在する構造物又は船舶において行われる事項についても適用される。
    (3) 大陸棚の連合王国領域とは、1964年の大陸棚法第1条第7項に基づく命令により指定された区域をいう。

    解 釈

    (意匠権者への言及の解釈)
    第258条
    (1) 異なる者が著作物の意匠権の異なる側面について資格を有する(一部譲渡その他の結果として)場合には、この部のいずれの目的上も、意匠権者は、その目的のための関連する側面の権利について資格を有する者である。
    (2) 意匠権(又は意匠権のいずれかの側面)が2人以上の者により共有されている場合には、この部における意匠権者への言及は、すべての意匠権者への言及であり、したがって、特に、意匠権者の許諾についてのいずれの要件も、それらのすべての者の許諾を必要とする。

    (共同意匠)
    第259条
    (1) この部において、「共同意匠」とは、2人以上の意匠家の共同により製作される意匠であって、各人の寄与が他の者の寄与と区別されないものをいう。
    (2) この部における意匠の意匠家への言及は、別に規定するところを除き、共同意匠に関して、意匠のすべての意匠家への言及と解釈される。

    (キット形式の物品への規定の適用)
    第260条
    (1) この部の規定は、組み立てられた物品に関して適用されると同様に、キット、すなわち、物品に組み立てられることを意図される構成要素の完全な又は実質的に完全なセットに関しても適用される。
    (2) 第1項の規定は、組み立てられた物品の意匠に対立するものとしてのキットの構成要素の意匠のいずれかの側面に意匠権が存続するかどうかという問題には影響しない。

    (署名の要件――法人に関する適用)
    第261条
    書面がある者により又はある者のために署名されるという次に掲げる諸規定における要件は、法人の場合には、その印章を押印することによっても満たされる。
    第222条第3項  (意匠権の譲渡)
    第223条第1項  (将来の意匠権の譲渡)
    第225条第1項  (排他的許諾の付与)

    (表現のスコットランドに関する適応)
    第262条
    この部の規定のスコットランドへの適用において、
    「利得の計算」とは、利得の計算及び支払いをいう。
    「計算」とは、計算、清算及び支払いをいう。
    「譲渡」とは、譲渡をいう。
    「費用」とは、経費をいう。
    「被告」とは、被告をいう。
    「引渡し」とは、引渡しをいう。
    「差止命令」とは、禁止命令をいう。
    「中間的救済」とは、仮救済をいう。
    「原告」とは、告訴人をいう。

    (小定義)
    第263条
    (1) この部において、
    「英国人の意匠」とは、意匠家又は意匠家を雇用する者の連合王国との関係を理由として意匠権保護について資格を有する意匠をいう。
    「業務」は、取引き又は職業を含む。
    「長官」とは、特許意匠商標庁長官をいう。
    意匠に関して「コンピュータ生成」とは、人間の意匠家がいない状態において意匠がコンピュータにより生成されることをいう。
    「国」は、いずれの領域をも含む。
    「国王」は、北部アイルランドにおける女王陛下の政府の権利を有する国王、スコットランド政府の権利を有する国王及びウェールズ議会政府の権利を有する国王を含む。
    「意匠文書」とは、素描、記述、写真、コンピュータに蓄積されたデータその他の形式によるかどうかを問わず、意匠のいずれの記録をもいう。
    「被雇用者」、「雇用」及び「雇用主」は、勤務契約又は見習契約に基づく雇用を指す。
    「政府の省庁」は、北部アイルランドの省庁、スコットランド政府のいずれかの一部及びウェールズ議会政府のいずれかの一部を含む。
    (2) 物品に関して、この部における「発売」への言及は、業務の過程において販売され、賃貸され、又は販売若しくは賃貸のために提供され、若しくは陳列されることへの言及であり、また、関係の表現は、それに従って解釈される。ただし、この部の目的上、見かけにすぎず、かつ、公衆の合理的な要求を満たすことを意図されない発売は、なんら考慮されない。
    (3) この部における「商業目的」のために物品に関して行われる行為への言及は、当該物品が業務の過程において販売され、又は賃貸されることを目的として行われる行為への言及である。

    (定義された表現の索引)
    第264条
    次に掲げる一覧表は、この部において使用された表現を定義し、その他説明する規定(同一の条においてのみ使用された表現を定義し、又は説明する規定以外の)を示す。
    利得の計算及び計算(スコットランドにおける)――第262条
    譲渡(スコットランドにおける)――第262条
    英国人の意匠――第263条第1項
    業務――第263条第1項
    商業目的――第263条第3項
    長官――第263条第1項
    コンピュータ生成――第263条第1項
    費用(スコットランドにおける)――第262条
    国――第263条第1項
    国王――第263条第1項
    国王による使用――第240条第5項及び第244条第2項
    被告(スコットランドにおける)――第262条
    引渡し(スコットランドにおける)――第262条
    意匠――第213条第2項
    意匠文書――第263条第1項
    意匠家――第214条及び第259条第2項
    意匠権――第213条第1項
    意匠権者――第234条第2項及び第258条
    被雇用者、雇用及び雇用主――第263条第1項
    排他的許諾――第225条第1項
    政府の省庁――第263条第1項
    政府の関係省庁(国王による使用に関して)――第240条第5項
    侵害物品――第228条
    差止命令(スコットランドにおける)――第262条
    中間的救済(スコットランドにおける)――第262条
    共同意匠――第259条第1項
    許諾(意匠権者の)――第222条第4項、第223条第3項及び第258条
    意匠に従って物品を作成すること――第226条第2項
    発売(及び関係の表現)――第263条第2項
    原――第213条第4項
    原告(スコットランドにおける)――第262条
    資格ある個人――第217条第1項
    署名される――第261条


    第4部 登録意匠 (略)


    第5部 特許弁理士及び商標弁理士 (略)


    第6部 特許 (略)




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