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    第4章 著作者人格権

    著作者又は監督として確認される権利

    (著作者又は監督として確認される権利)
    第77条
    (1) 著作権のある文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の著作者及び著作権のある映画の監督は、この条に定める状況においてその著作物の著作者又は監督として確認される権利を有する。ただし、この権利は、第78条に従って主張されない限り、侵害されない。
    (2) 文芸の著作物(音楽とともに歌われ、又は話されることを意図される歌詞以外の)又は演劇の著作物の著作者は、次に掲げる場合には、確認される権利を有する。
    (a) 著作物が商業的に発行され、公に実演され、又は公衆に伝達される場合
    (b) 著作物が挿入されている映画又は録音物の複製物が公衆に配布される場合
    また、この権利は、著作物の翻案に関してこれらの出来事のいずれかが生じる場合には、翻案がそれから作成された元の著作物の著作者として確認される権利を含む。
    (3) 音楽の著作物又は音楽とともに歌われ、若しくは話されることを意図される歌詞から成る文芸の著作物の著作者は、次に掲げる場合には、確認される権利を有する。
    (a) 著作物が商業的に発行される場合
    (b) 著作物の録音物の複製物が公衆に配布される場合
    (c) その録音帯に著作物が挿入されている映画が公に上映され、又はそのような映画の複製物が公衆に配布される場合
    また、この権利は、著作物の翻案に関してこれらの出来事のいずれかが生じる場合には、翻案がそれから作成された元の著作物の著作者として確認される権利を含む。
    (4) 美術の著作物の著作者は、次に掲げる場合には、確認される権利を有する。
    (a) 著作物が商業的に発行され、若しくは公に展示され、又はその視覚的影像が公衆に伝達される場合
    (b) 著作物の視覚的影像が挿入されている映画が公に上映され、又はそのような映画の複製物が公衆に配布される場合
    (c) 建築物若しくは建築物のためのひな形の形式における建築の著作物、彫刻又は美術工芸の著作物の場合において、それを表現する図画の著作物又はそれの写真の複製物が公衆に頒布されるとき
    (5) 建築物の形式における建築の著作物の著作者は、また、建設される建築物において、又は意匠に従って2以上の建築物が建設される場合には最初に建設される建築物において、確認される権利を有する。
    (6) 映画監督は、映画が公に上映され、若しくは公衆に伝達され、又は映画の複製物が公衆に配布される場合には、確認される権利を有する。
    (7) この条に基づく著作者又は監督の権利は、次に掲げるとおりである。
    (a) 映画又は録音物の複製物の商業的発行又は公衆への配布の場合には、各複製物において、又はそれが適当でないときは、その身元を複製物を取得する者に注目させることができる他のいずれかの方法により、確認されること。
    (b) 建築物における確認の場合には、建築物に入る者又は近づく者に見える適当な手段により確認されること。
    (c) 他のいずれの場合にも、その身元を、当該実演、展示、上映又は公衆への伝達を見又は聞く者に注目させることができる方法により、確認されること。
    また、確認は、いずれの場合にも、明瞭かつ合理的に顕著でなければならない。
    (8) 著作者又は監督が確認される権利を主張する際に変名、頭文字又は他の特定の確認形式を明示するときは、その形式が使用される。その他の場合には、いずれの合理的な確認形式を使用することもできる。
    (9) この条の規定は、第79条(権利の例外)に従うことを条件として、効力を有する。

    (権利が主張される要件)
    第78条
    (1) いずれの者も、以下の規定に従って、第77条(著作者又は監督として確認される権利)に定める行為のいずれかに関してその者を拘束するように権利が主張されない限り、その行為を行うことにより、同条により付与される権利を侵害しない。
    (2) 権利は、一般に又はいずれかの特定の行為若しくは行為の種類に関して、次に掲げるいずれかにより主張することができる。
    (a) 著作物の著作権の譲渡の際に、著作者又は監督がその著作物に関して確認される権利を主張する旨の記述を、譲渡を実施する証書中に含めることにより。
    (b) 著作者又は監督が署名した書面による証書により。
    (3) 権利は、また、美術の著作物の公の展示に関して、次に掲げるいずれかにより主張することができる。
    (a) 著作者その他の最初の著作権者が、その者により又はその者の監督若しくは管理の下に作成される原作品又は複製物の所有を手放す時に、原作品若しくは複製物において又はそれが取り付けられる額縁、台板その他のものにおいて著作者が確認されることを確保することにより。
    (b) 許諾に従って作成される複製物の公の展示の際に確認される権利を著作者が主張する旨の、許諾を付与する者により又はその者のために署名された記述を、著作者その他最初の著作権者が著作物の複製物の作成を許可する許諾中に含めることにより。
    (4) 第2項又は第3項に基づく権利の主張により拘束される者は、次に掲げる者である。
    (a) 第2項(a)号に基づく主張の場合には、主張の通知を受けていると否とを問わず、譲受人及びその者を通じて主張するいずれかの者
    (b) 第2項(b)号に基づく主張の場合には、主張の通知を受けるいずれかの者
    (c) 第3項(a)号に基づく主張の場合には、確認がなお存在し、又は見えると否とを問わず、その原作品又は複製物を入手するいずれかの者
    (d) 第3項(b)号に基づく主張の場合には、主張の通知を受けていると否とを問わず、許諾を得た者及び許諾に従って作成される複製物を入手するいずれかの者
    (5) 権利侵害に対する訴訟において、裁判所は、救済を検討する際に、権利の主張におけるいずれの遅滞をも考慮する。

    (権利の例外)
    第79条
    (1) 第77条(著作者又は監督として確認される権利)により付与される権利は、以下に定める例外に従う。
    (2) この権利は、次の種類の著作物に関しては適用されない。
    (a) コンピュータ・プログラム
    (b) タイプフェイスの意匠
    (c) コンピュータ生成著作物のいずれも
    (3) この権利は、著作物の著作権が当初第11条第2項(雇用の過程において作成される著作物)に基づく著作者の又は監督の雇用主に帰属していた場合には、著作権者により又はその許諾を得て行われるいずれのことにも適用されない。
    (4) この権利は、次に掲げる諸規定のいずれかに基づいて著作物の著作権を侵害しないこととなる行為により侵害されない。
    (a) 第30条(ある種の目的のための公正利用)、録音物、映画又は放送による時事の事件の報道に関する限り。
    (b) 第31条(美術の著作物、録音物、映画又は放送への著作物の付随的挿入)
    (c) 削除
    (d) 第45条(議会手続及び裁判手続)
    (e) 第46条第1項又は第2項(王立委員会及び法定調査)
    (f) 第51条(意匠文書及びひな型の使用)
    (g) 削除
    (h) 第57条又は第66条のA(著作権の消滅等についての推定に基づいて許される行為)
    (4A) この権利は、第1部第3章の諸規定のいずれかに基づいて著作物の著作権を侵害しないこととなる行為により侵害されない。
    (5) この権利は、時事の事件の報道を目的として作成されるいずれの著作物に関しても適用されない。
    (6) この権利は、次に掲げる出版物における発行を目的として作成され、又はそのような発行を目的として著作者の同意を得て提供される文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の次に掲げる出版物における発行に関しては、適用されない。
    (a) 新聞、雑誌又は類似の定期刊行物
    (b) 百科事典、辞書、年鑑その他の参照用の集合著作物
    (7) この権利は、著作者又は監督が著作物の発行された複製物においてその者として以前確認されていない限り、次に掲げる著作物に関しては適用されない。
    (a) 国王の著作権又は議会の著作権が存続する著作物
    (b) 第168条に基づいて著作権が当初国際機関に帰属していた著作物

    著作物を傷つける取扱いに反対する権利

    (著作物を傷つける取扱いに反対する権利)
    第80条
    (1) 著作権のある文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の著作者及び著作権のある映画の監督は、この条に定める状況において、その著作物を傷つける取扱いに従わせない権利を有する。
    (2) この条の目的上、
    (a) 著作物の「取扱い」とは、次に掲げるもの以外の、著作物へのいずれかの追加、それからの削除、その改変又はその翻案をいう。
    (i) 文芸又は演劇の著作物の翻訳
    (ii) キー又は音域の単なる変更を伴う音楽の著作物の編曲又は編作
    (b) 著作物の取扱いが、著作物の歪曲又は切除となり、その他著作者又は監督の名誉声望を害するときは、その取扱いは、傷つける取扱いとなる。
    また、この条の以下の規定において、著作物を傷つける取扱いへの言及は、それに従って解釈される。
    (3) 文芸、演劇又は音楽の著作物の場合には、この権利は、次に掲げる者により侵害される。
    (a) 著作物を傷つける取扱いを商業的に発行し、公に実演し、又は公衆に伝達する者
    (b) 著作物を傷つける取扱いの映画若しくは録音物の複製物又はそのような取扱いを含んでいる映画若しくは録音物の複製物を公衆に配布する者
    (4) 美術の著作物の場合には、この権利は、次に掲げる者により侵害される。
    (a) 著作物を傷つける取扱いを商業的に発行し、若しくは公に展示し、又は著作物を傷つける取扱いの視覚的影像を公衆に伝達する者
    (b) 著作物を傷つける取扱いの視覚的影像が挿入されている映画を公に上映し、又はそのような映画の複製物を公衆に配布する者
    (c) 次に掲げる著作物の場合には、著作物を傷つける取扱いを表現している図画の著作物の複製物又はそのような取扱いの写真の複製物を公衆に配布する者
    (i) 建築物のためのひな形の形式における建築の著作物
    (ii) 彫刻
    (iii) 美術工芸の著作物
    (5) 第4項の規定は、建築物の形式における建築の著作物には適用されない。ただし、そのような著作物の著作者が建築物において確認され、かつ、それが著作物を傷つける取扱いの対象である場合には、その著作者は、その確認が除去されることを要求する権利を有する。
    (6) 映画の場合には、この権利は、次に掲げる者により侵害される。
    (a) 映画を傷つける取扱いを公に上映し、又は公衆に伝達する者
    (b) 映画を傷つける取扱いの複製物を公衆に配布する者
    (7) この条により付与される権利は、著作物の部分が、著作者若しくは監督の作品とされ、又はその著作者若しくは監督の著作物とみなされる可能性があるときは、著作者又は監督以外の者による以前の取扱いの結果としてのそのような部分の取扱いにも及ぶ。
    (8) この条の規定は、第81条及び第82条(権利の例外及び限定)に従うことを条件として、効力を有する。

    (権利の例外)
    第81条
    (1) 第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、以下に定める例外に従う。
    (2) この権利は、コンピュータ・プログラム又はいずれのコンピュータ生成著作物にも適用されない。
    (3) この権利は、時事の事件の報道を目的として作成されるいずれの著作物に関しても適用されない。
    (4) この権利は、次に掲げる出版物における発行を目的として作成され、又はそのような発行を目的として著作者の同意を得て提供される文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の次に掲げる出版物における発行に関しては、適用されない。
    (a) 新聞、雑誌又は類似の定期刊行物
    (b) 百科事典、辞書、年鑑その他の参照用の集合著作物
    この権利は、また、発行された版のいずれの修正もなしにいずれかの場所で行われるそのような著作物のその後のいずれの利用に関しても、適用されない。
    (5) この権利は、第57条又は第66条のA(著作権の消滅等についての推定に基づいて許される行為)に基づいて著作権を侵害しないこととなる行為により侵害されない。
    (6) この権利は、次に掲げることを目的として行われるいずれのことによっても侵害されない。
    (a) 罪を犯すことを回避すること。
    (b) 法令により又は法令に基づいて課される義務を履行すること。
    (c) 英国放送協会の場合には、良い趣味若しくは品位に反し、又は犯罪を助長し、若しくは扇動し、又は混乱を招き、若しくは人心に対して攻撃的となる可能性があるいずれかのものを、同協会が放送する番組中に挿入することを回避すること。
    ただし、著作者若しくは監督が、関係する行為の時に確認され、又は著作物の発行された複製物において以前確認されている場合には、十分な否認があることを条件とする。

    (ある種の場合における権利の限定)
    第82条
    (1) この条の規定は、次に掲げる著作物に適用される。
    (a) 著作権が、当初、第11条第2項(雇用の過程において作成される著作物)に基づいて著作者の雇用主に帰属し、又は第9条第2項(ab)号(映画の著作者として取り扱われる者)に基づいて監督の雇用主に帰属していた著作物
    (b) 国王の著作権又は議会の著作権が存続する著作物
    (c) 著作権が、当初、第168条に基づいて国際機関に帰属していた著作物
    (2) 第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、著作者又は監督が次の場合に該当しない限り、著作権者により又はその許諾を得てそのような著作物に関して行われるいずれのことについても、適用されない。
    (a) 関係する行為の時に確認される場合
    (b) 著作物の発行された複製物において以前確認されていた場合
    また、このような場合において権利が適用されるときは、十分な否認がある限り、その権利は、侵害されない。

    (侵害物品の所持又は利用による権利侵害)
    第83条
    (1) 第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、また、侵害物品である物品、又は侵害物品であることをその者が知り、若しくはそう信じる理由を有する物品について、次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 業務の過程において所持すること。
    (b) 販売し、賃貸し、又は販売若しくは賃貸のために提供し、若しくは陳列すること。
    (c) 業務の過程において公に展示し、又は頒布すること。
    (d) 業務の過程以外において、著作者又は監督の名誉声望を害するようにして頒布すること。
    (2) 「侵害物品」とは、次に掲げる著作物又は著作物の複製品をいう。
    (a) 第80条の意味における傷つける取扱いを受けているもの
    (b) その権利を侵害する状況において、同条に定める行為のいずれかの対象となっており、又は対象となる可能性があるもの

    著作物の著作者の地位の虚偽の付与

    (著作物の著作者の地位の虚偽の付与)
    第84条
    (1) いずれの者も、この条に定める状況において、次に掲げる権利を有する。
    (a) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の著作者の地位を、著作者としてその者に偽って付与させない権利
    (b) 映画の監督の地位を、監督としてその者に偽って付与させない権利
    また、この条において、そのような著作物に関して「著作者の地位の付与」とは、誰が著作者又は監督であるかについての陳述(明示の又は黙示の)をいう。
    (2) この権利は、次に掲げる者により侵害される。
    (a) 著作者の地位の虚偽の付与があるそれらの種類のいずれかの著作物の複製物を公衆に配布する者
    (b) 著作者の地位の虚偽の付与がある美術の著作物又は美術の著作物の複製物を公に展示する者
    (3) この権利は、また、著作者の地位の付与が虚偽であることを知り、又はそう信じる理由を有しながら、次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 文芸、演劇又は音楽の著作物の場合には、ある者の著作物であるとしてその著作物を公に実演し、又はそれを公衆に伝達すること。
    (b) 映画の場合には、ある者が監督したものであるとしてその映画を公に上映し、又はそれを公衆に伝達すること。
    (4) この権利は、また、第2項又は第3項に定める行為のいずれかに関連して、著作者の地位の虚偽の付与を含む資料の公衆への配布又は公の展示により侵害される。
    (5) この権利は、また、そのような著作者の地位の付与があり、かつ、それが虚偽であることを知り、又はそう信じる理由を有しながら、業務の過程において次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 著作者の地位の虚偽の付与がある、第1項に定める種類のいずれかの著作物の複製物を所持し、又は利用すること。
    (b) 美術の著作物の場合には、その著作物に著作者の地位の虚偽の付与があるときにその著作物自体を所持し、又は利用すること。
    (6) 美術の著作物の場合には、この権利は、また、事実はそうではないことを知り、又はそう信じる理由を有しながら、業務の過程において次に掲げる行為を行う者により侵害される。
    (a) 著作者の改変されていない著作物であるとしてその所有を著作者が手放した後に改変された著作物を利用すること。
    (b) 著作者の改変されていない著作物の複製物であるとしてそのような著作物の複製物を利用すること。
    (7) この条における利用への言及は、販売し、賃貸させ、販売若しくは賃貸のために提供し、若しくは陳列し、公に展示し、又は頒布することへの言及である。
    (8) この条の規定は、著作物の著作者の地位が著作者としてある者に偽って付与される場合に適用されると同様に、次に掲げる場合にも適用される。
    (a) 事実に反し、文芸、演劇又は音楽の著作物が、ある者の著作物の翻案であるとして偽って表示される場合
    (b) 事実に反し、美術の著作物の複製物が、その美術の著作物の著作者により作成された複製物であるとして偽って表示される場合

    ある種の写真及び映画のプライバシー権

    (ある種の写真及び映画のプライバシー権)
    第85条
    (1) 私的及び家庭内の目的のために写真の撮影又は映画の作成を委嘱する者は、その結果としての著作物に著作権が存続する場合には、次に掲げる行為を行わせない権利を有する。
    (a) 著作物の複製物の公衆への配布
    (b) 著作物の公の展示又は上映
    (c) 著作物の公衆への伝達
    また、第2項に定めるところを除き、これらの行為のいずれかを行い、又は行うことを許諾する者は、その権利を侵害する。
    (2) この権利は、次に掲げる諸規定のいずれかに基づいて著作物の著作権を侵害しないこととなる行為により侵害されない。
    (a) 第31条(美術の著作物、録音物、映画又は放送への著作物の付随的挿入)
    (b) 第45条(議会手続及び裁判手続)
    (c) 第46条(王立委員会及び法定調査)
    (d) 第50条(法定の権限に基づいて行われる行為)
    (e) 第57条及び第66条のA(著作権の消滅等についての推定に基づいて許される行為)

    補 則

    (権利の存続期間)
    第86条
    (1) 第77条(著作者又は監督として確認される権利)、第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)及び第85条(ある種の写真及び映画のプライバシー権)により付与される権利は、著作物に著作権が存続する限り、引き続き存続する。
    (2) 第84条(著作者の地位の虚偽の付与)により付与される権利は、著作者の死後20年まで引き続き存続する。

    (同意及び権利の放棄)
    第87条
    (1) 権利について資格を有する者が同意しているいずれの行為を行うことも、この章により付与されるいずれの権利の侵害でもない。
    (2) これらのいずれの権利も、権利を放棄する者が署名した書面による証書により、放棄することができる。
    (3) 放棄は、
    (a) 特定の著作物、特定の種類の著作物又は著作物一般に関係することができ、また、現存の又は将来の著作物に関係することができる。
    (b) 条件付き又は無条件とすることができ、また、取消しを条件とすることを表明することができる。
    また、放棄が関係する著作物の著作権者又は将来の著作権者のために行われるときは、放棄は、反対の意図が表明されない限り、その者の許諾を得た者及び権利承継人に及ぶものと推定される。
    (4) この章のいずれの規定も、一般契約法の作用又は非公式放棄に関する禁反言その他第1項に定める権利のいずれかに関する取引きを排除するものとは解釈されない。

    (共同著作物への規定の適用)
    第88条
    (1) 第77条(著作者又は監督として確認される権利)により付与される権利は、共同著作物の場合には、各共同著作者が共同著作者として確認される権利であり、また、第78条に従って、各共同著作者に関して各共同著作者により主張されなければならない。
    (2) 第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)により付与される権利は、共同著作物の場合には、各共同著作者の権利であり、また、各共同著作者が当該取扱いに同意するときに、その権利は(条件を)満たされる。
    (3) 1人の共同著作者によるこれらの権利の第87条に基づく放棄は、他の共同著作者の権利に影響しない。
    (4) 第84条(著作者の地位の虚偽の付与)により付与される権利は、同条に定める状況において、次に掲げることにより侵害される。
    (a) 共同著作物の著作者の地位についてのいずれかの虚偽の陳述
    (b) 単一の著作者の著作物に関して共同著作者の地位を偽って付与すること。
    また、このような著作者の地位の虚偽の付与は、いずれかの種類の著作者の地位が正しく又は間違って付与される各人の権利を侵害する。
    (5) 前記の諸規定は、また、共同著作物であり、又は共同著作物であると申し立てられる著作物に適用されると同様に、共同して監督された、又は共同して監督されたと申し立てられる映画に関して(いずれかの必要な変更を伴って)適用される。
    映画は、それが2人以上の監督の協力により作成され、かつ、各監督の寄与が他の監督の寄与と区別されないときに、「共同して監督」される。
    (6) 第85条(ある種の写真及び映画のプライバシー権)により付与される権利は、共同委嘱に従って作成される著作物の場合には、その著作物の作成を委嘱した各人の権利であり、したがって、
    (a) 各人の権利は、各人が当該行為に同意するときに(条件を)満たされる。
    (b) それらの者の1人による第87条に基づく放棄は、他の者の権利に影響しない。

    (著作物の部分への規定の適用)
    第89条
    (1) 第77条(著作者又は監督として確認される権利)及び第85条(ある種の写真及び映画のプライバシー権)により付与される権利は、著作物の全体又はいずれの実質的部分に関しても適用される。
    (2) 第80条(著作物を傷つける取扱いに反対する権利)及び第84条(著作者の地位の虚偽の付与)により付与される権利は、著作物の全体又はいずれの部分に関しても適用される。



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