Home >> 外国著作権法 >> イタリア編
    第3編 共通規定


    第1章 公の登録および著作物の寄託

    第103条

    1 この法律によって保護される著作物の公の一般登録簿は、大統領府において作成される。

    2 イタリア著作者出版者協会は、映画の著作物のための公の特別登録簿を保管しなければならない。

    3 寄託を要求される著作物は、著作者および製作者の氏名、発行の日付およびその他施行令で規定されている事項とともに、登録簿に登録される。

    4 イタリア著作者出版者協会は、コンピュータ・プログラムのための公の特別登録簿を保管することを要求される。この登録簿には、排他的利用権の権利者の氏名およびプログラムの発行日を登録しなければならない。発行とは、排他的権利の最初の行使を意味する。

    5 反証のないかぎり、登録は、著作物の存在およびその発行の証拠として認められる。登録された著作者および製作者は、反証のないかぎり、その著作物の著作者および製作者と推定される。映画の著作物については、この推定は、第2項に規定されている登録簿への登録に適用される。

    6 公の登録簿の保管は、施行令によって定められる。

    7 本条に規定されている登録簿は、コンピュータ化された手段および設備によって管理される。

    第104条

    1 生存者間の間で締結される法律文書であって、この法律が認める権利の全部または一部を譲渡するもの、またはその権利に占有権または担保権を設定するもの、およびその権利を分割または結合するための文書は、当事者の申請にもとづき、施行令が定める形式で登録することができる。

    2 この登録により、この法律または他の特別法の規定が与えるその他の法的または行政的効力も生ずる。

    第105条

    1 この法律によって保護される著作物および製作物の著作者および製作者またはその権利承継人は、施行令が定める期間内に、施行令が定める方法で、著作物または製作物の見本または複製物を大統領府に寄託するものとする。

    2 オーケストラのスコアが印刷されていないオペラの著作物または交響楽の著作物においては、声楽およびピアノまたはピアノのみに関する譜面の複製物または見本を寄託すれば足りる。

    3 コンピュータ・プログラムの寄託は、報酬の支払いを条件として、任意である。

    4 写真は、第92条第2項に規定されている場合を除き、寄託を要件としない。

    第106条

    1 寄託の不履行は、この法律の第1編の規定または国際条約の規定にもとづいて保護される著作物に関する著作権の取得または行使を妨げない。ただし、外国の著作物の場合には、この法律の第188条の適用を条件とする。

    2 寄託の不履行は、この法律の第2編の規定にしたがい、第2編に規定されている著作物に関する権利の取得および行使を妨げない。

    3 大統領府は、施行令にしたがい、寄託されなかった著作物の見本または複製物を差押える権利を有する。


    第2章 利用権の移転

    第1節 通則

    第107条

     知的著作物の著作者に帰属する利用権は、経済的性質を有する著作隣接権とともに、本章に含まれる規定の適用を条件として、法律により認められるすべての方法および形式により、取得し、譲渡し、または移転することができる。

    第108条

     16歳に達した著作者は、その創作した著作物に関するすべての法律行為を行ない、それに関して訴訟を提起する能力を有するものとみなされる。

    第109条

    1 反対の約定がないかぎり、著作物の1つまたは2つ以上の複製物の移転は、この法律で認められる利用権の移転を意味しない。

    2 ただし、鋳型、彫刻板または美術の著作物を複製するための類似の手段の移転は、複製権が譲渡人に帰属することを条件として、反対の約定がないかぎり、著作物を複製する権利を含むものとみなされる。

    第110条

     利用権の移転は、文書で定めなければならない。

    第110条の2

    1 放送のケーブル再送信の許諾は、著作権者、著作隣接権者およびケーブル業者間の契約により与えられる。

    2 放送のケーブル再送信が許諾されない場合、関係当事者は、意見の一致によって解決すべく、契約案を提案するよう第三者に請求することができる。

    3 第三者による提案は、当事者がその通知の90日以内に異議を申立てないときは、受け入れたものとみなされる。

    第111条

    1 知的著作物の発行権および発行された著作物の利用権は、それらが著作者自身に帰属するかぎり、契約行為によっても、または強制執行の手段によっても、担保、差押または仮差押の目的とすることはできない。

    2 著作物の複製物および利用による収益は、民事訴訟法にしたがい、担保の目的とし、または差押えもしくは仮差押えすることができる。

    第112条

     著作者に帰属する権利は、著作者の生存中に著作物を発行する権利を除き、国益を理由として公用徴収することができる。

    第113条

    1 公用徴収は、国家評議会における審議の後、大統領府と教育大臣との共同提案にもとづき、大統領府令によって認められる。

    2 被徴収者に支払うべき補償は、公用徴収命令またはその後の命令で定める。

    3 命令は、権利承継人および公用徴収権の行使に必要な有体物の保有者である第三者に対して、執行力を有する。

    第114条

     国益を理由とする公用徴収命令に対して、国家評議会に司法上の救済を求めることができる。ただし、補償の額に関する紛争は、司法当局の権限に属するものとする。


    第2節 死亡を原因とする移転

    第115条

    1 著作者の死後は、著作物の利用権は、著作者自身による別段の処分がない場合、司法当局が、1人または2人以上の共同相続人の申請にもとづき、重大な事由のために、遅滞なく分割することに同意しないかぎり、死亡の日から3年間、相続人の間で分割されずに存続するものとする。

    2 その期間が経過したときは、相続人は、合意により、諸法典に含まれる規定に定められる範囲内で、相続人によって定められる期間中、権利が引き続き共有されることを決定することができる。

    3 この共有は、民法典の規定および以下に掲げる諸規定によって規制される。

    第116条

    1 共有財産の利益の管理および代理は、共同相続人の1人または相続人以外の者に授権されるものとする。

    2 共同相続人が、管理者を指名することを怠り、または相続の開始の日から1年以内に、この指名について合意に至らない場合においては、その管理は、共同相続人の1人またはイタリア著作者出版者協会の要請にもとづいて、遺言が検認された場所の裁判所の命令によってイタリア著作者出版者協会に授権されるものとする。

    3 新たな管理者の指名の場合にも、同一の手続にしたがうものとする。

    第117条

    1 管理者は、著作物の利用権の管理の責任を負う。

    2 ただし、管理者は、相続財産の価値の2分の1以上を代表する相続人の同意がある場合を除き、新たな出版、翻訳その他の改変または著作物の映画への翻案、放送もしくは機械的機器への録音を許諾することができない。共有に関する民法典の規定にしたがい、少数者の保護のために、司法当局が取る措置を条件とする。


    第3節 出版契約

    第118条

     著作者が、出版者の費用により、印刷によって知的著作物を発行する権利の行使を出版者に許与する契約は、諸法典に含まれる規定のほか、本章の一般規定および以下の特別規定によって規制される。

    第119条

    1 契約は、契約時に効力をもつ法律によって規定される契約の範囲および期間について、著作者が出版に関して著作者に属する利用権の全部または一部を内容とすることができる。

    2 反対の約定がないかぎり、移転された権利は排他的権利であると推定される。

    3 将来の法律によって与えられる権利およびより広い範囲またはより長い期間の著作権保護を規定する将来の権利は、移転には含まれないものとする。

    4 明示の約定がないかぎり、移転は、映画に翻案し、放送し、および機械的機器に録音することを含む、後に著作物になされる変更や改変の利用権には及ばないものとする。

    5 反対の約定がないかぎり、利用権の1つまたは2つ以上の権利の移転は、第1編の規定にもとづき、その権利が同一種類の排他的権利に含まれる場合であっても、移転された権利には必ずしも従属しない他の権利の移転を含むものではない。

    第120条

     契約がいまだ創作されていない著作物に関する場合は、次の準則が適用される。
    (1) 期限を定めることなく、著作者が創作するすべての著作物またはある種類に属するすべての著作物に関する契約は無効である。
    (2) 雇用契約および労務契約を規制する規定を侵害することなく、創作される著作物についての排他的権利の移転に関する契約は、10年を超える期間について効力は及ばない。
    (3) 創作される著作物は決定しているが、その著作物が引き渡される期間が定まっていない場合、出版者はいつでも司法当局にその期間を定めることを請求することができる。その期間が定まっている場合、司法当局はその期間を延長することができる。

    第121条

    1 実質的で、独立性を有する部分が完成し、引き渡された後に、著作者が死亡し、または著作者が著作物を完成することが不可能である場合、出版者は、契約が取り消されたものとみなすか、あるいは、相当の報酬の支払いにより引き渡された部分に関するかぎり、契約が履行されたものとみなすかを選択する権限を有する。ただし、著作者が、著作物の全体が完成しなければ出版しないという意思を明示していた場合、または明示している場合、もしくはその意思が第23条に規定されている者によって明らかにされている場合はこのかぎりでない。

    2 著作者またはその相続人の請求によって契約が取消されたときは、出版者が受けた損害について賠償責任を負わないかぎり、未完成著作物を他者に譲渡することはできない。

    第122条

    1 出版契約は、版の数またはある期間を基礎として定めることができる。

    2 版の数に関する契約は、完成原稿の引渡しの日から20年間に、1つまたは2つ以上の版を製作する権利を発行者に与えるものとする。

    3 版の数および各版の複製部数は、契約において定められるものとする。ただし、版の数および複製部数についても、またはそれにもとづく報酬についても選択的に定めることができる。

    4 定めがない場合、契約は、1つの版について2000部を限度とするものと理解される。

    5 期間に関する出版契約は、定められた期間内で出版者が必要と考える版の数を製作する権利を出版者に与えるものとする。その期間は20年を超えてはならず、各版の最少の複製部数を定めるものとする。定めがないときは、契約は無効である。20年間は、次に掲げる著作物の出版契約には適用されない。

    百科辞典および辞書
    産業上の利用のための見取り図、図面、装飾模様、図解、写真および類似の著作物
    地図の著作物
    オペラの著作物および交響楽の著作物

    6 両方の契約形式において、出版者は、版を適当と考える回数に分けて印刷することができる。

    第123条

     著作物の複製物は、施行令の規定にしたがい、副署されなければならない。

    第124条

    1 契約により複数の版が予定されている場合、出版者は、現行の版が品切れになりそうな時期を十分に前もって著作者に通知しなければならない。

    2 出版者は、同時に、新版を継続して出版する意思があるか否かを著作者に表示しなければならない。

    3 出版者が、新版を継続して出版しないことを明らかにした場合、または、新版出版の意思表示をしたが、その意思表示の通知から2年以内に出版しない場合、契約は取消されたものとみなす。

    4 著作者は、出版者がそのことについて正当な理由を示さないかぎり、新版を出版しないことに対して損害賠償を請求する権利を有する。

    第125条

    1 著作者は、次に掲げる事項について義務を負う。
    (1) 契約で定められた条件により、および印刷に過度な困難を伴なわず、経費をかけない形式により著作物を引き渡すこと
    (2) 契約期間を通じて、許与された権利の平穏な享有を保障すること。

    2 さらに、著作者は、慣行によって定められる条件にしたがい、印刷物の校正を行なう義務および権利を有する。

    第126条

     出版者は、次に掲げる事項について義務を負う。
    (1) 契約に定めがある場合には、原作に忠実に、かつ、善良な出版慣行の準則にしたがい、著作者の氏名を表示して、または無名もしくは変名の著作物として、著作物を複製し、販売すること
    (2) 合意にもとづく報酬を著作者に支払うこと

    第127条

    1 著作物の出版または複製は、契約で定める期間内に行なわれるものとする。この期間は、著作物の完全で、最終的な複製物の出版者への現実の引渡しの日から2年を越えることができない。

    2 契約に期間の定めがないときは、著作物の出版または複製は、出版者に対する文書による請求後2年以内に行なわれるものとする。ただし、司法当局は、著作物の性質上その他特別の事情により正当と認められる場合は、より短い期間を定めることができる。

    3 期間の定めを放棄する条項、または前記の最長期間を超える期間を定める条項は無効である。

    4 2年の最長期間は、編集著作物には適用しない。

    第128条

    1 出版または複製の権利を取得した者が、契約または裁判によって定められた期間内に著作物を出版または複製しないときは、著作者は契約の取消しを請求する権利を有する。

    2 司法当局は、前記の期間の2分の1を超えない範囲で、また、必要と認められるときは適当な保証を条件として、権利を取得した者に期間の延長を許可することができる。司法当局は、契約の取消しに関する判決を、契約の条項の部分だけに限定することもできる。

    3 全部取消しの場合、権利を取得した者は、著作物の原本を返却しなければならず、また、相応な努力を払ったにもかかわらず、出版または複製が行なわれなかったことを明らかにしないかぎり、損害賠償義務を負う。

    第129条

    1 著作物が印刷によって出版されるまで、著作者は、修正が著作物の性質や目的を変更しないこと、および修正によって生じる追加費用を負担することを条件として、著作物に適当と考える修正を加えることができる。

    2 著作者は、新版に関しても同様の権利を有する。出版者は、新版の出版の前に、このことについて著作者の意見を聴かなければならない。当事者間に約定がないときは、修正を行なう期間は司法当局が定める。

    3 著作物の性質上、新版の前に著作物を最新のもとすることが必要であり、かつ著作者がこれを拒否した場合は、出版者は、新版が他者の著作物であることを表示し、区別することを条件として、その他者に著作物を最新のものとさせることができる。

    第130条

    1 著作者の報酬は、反対の約定がないかぎり、販売された複製物の小売価格の一定割合で算出される収益の取り分とする。ただし、次に掲げる著作物の出版に関しては、著作者の報酬は、一括払いで支払うことができる。

    辞書、百科辞典、詩文集その他の共同著作物
    翻訳物、新聞および雑誌の記事
    講演または講義
    学術の著作物
    地図の著作物
    音楽の著作物またはオペラの著作物
    造形美術の著作物

    2 収益の取り分を規定する契約において、出版者は販売部数の年次報告を提出する義務を負う。 

    第131条

     出版契約において、小売価格は、著作者に通知した後に、出版者が定めるものとする。著作者は、出版者が定め、または変更した価格が著作者の利益または著作物の頒布を著しく害するおそれがあるときは、その価格に反対することができる。

    第132条

     事業の移転の場合を除き、出版者は、著作者の同意を得ずに、取得した権利を他者に移転することはできない。ただし、事業の移転の場合、権利の移転が著作者の声望または著作物の頒布を害するおそれがあるときは、出版者は、その権利を移転することができない。

    第133条

     定められた価格では著作物の十分な市場を見出すことができない場合、出版者は、残部を値引きし、または廃本として売却する前に、その価格で、または廃本として売却した場合に得られる金額を計算した価格で残部を引き取る意思があるかどうかを著作者に尋ねなければならない。

    第134条

     出版契約は、次の場合に終了する。
    (1) 契約期間の満了
    (2) 著作物の出来がよくないために契約の履行が不可能な場合
    (3) 著作者が、著作物の完成前に死亡した場合。ただし、第121条の規定の適用を受ける。
    (4) 判決または法律の規定により、著作物を発行し、複製し、または市販することができない場合
    (5) 第128条に規定されている契約の取消しの場合または第133条に規定されている場合
    (6) 著作物が、本章第5節の規定にもとづいて市場から回収された場合

    第135条

    1 出版者の破産は、出版契約の取消しの原因とはならない。

    2 ただし、破産宣告から1年以内に、清算人が、出版事業を継続しない場合、または第132条に定められている条件で、他の出版者にその事業を移転しない場合、出版契約は、取消されるものとする。


    第4節 公演契約

    第136条

    1 著作者が、演劇、楽劇、舞踊、無言劇その他の実演を目的とする著作物を公に実演する権利を許与する契約は、諸法典に含まれる一般規定のほか、本章の一般規定および以下の特別規定によって規制される。

    2 反対の約定がないかぎり、この権利の許与は、排他的ではなく、また移転することもできない。

    第137条

     著作者は、次の事項について義務を負う。
    (1) 著作物が、印刷物としてすでに発行されていない場合であっても、著作物の本文を引渡すこと
    (2) 契約の期間中に許与した権利の平穏な享受を保証すること

    第138条

     許与を受けた者は、次に事項について義務を負う。

    (1) 著作者の同意を得ていない付加、削除または変更を加えることなく、また、著作物の題号や著作者、翻訳者または編曲者の氏名を慣例的な方法で公衆に告知したうえで、著作物を実演すること
    (2) 著作者に実演の監督を認めること
    (3) 著作者との合意によって指名されている場合、著作物の主たる実演家や、オーケストラおよびコーラスの指揮者を重大な理由なしに変更しないこと

    第139条

     第127条および第128条の規定は、著作物の実演に適用される。ただし、楽劇の著作物において、第127条第2項に規定されている期間が5年に延長される。

    第140条

     実演権の許与を受けた者が、著作者の要請にかかわらず、最初の実演または最初の一巡の実演の後に、著作物の実演を継続しない場合、権利の許与を受けた者の怠慢を明らかにする音楽的または文学的部分の著作者は、第128条第3項に定める結果を伴なう、契約の取消しを請求することができる。

    第141条

     楽曲の実演に関する契約は、本節の規定が契約の性質や目的に適応するかぎり、その規定によって規制される。


    第5節 著作物の市場からの回収

    第142条

    1 著作者は、重大な人格上の事由が生じたときはいつでも著作物を市場から回収する権利を有する。ただし、その著作物を複製し、伝送し、実演し、または頒布する権利を取得した者に対する損害賠償の責任を負う。

    2 この権利は、一身に専属し、譲渡することができない。

    3 この権利を行使するためには、著作者は、権利を移転した者および大統領府にその意思を通知しなければならず、また、大統領府は、施行令に定められている方法で、その意思を公告しなければならない。

    4 通知および公告の最後の日から1年以内に、利害関係者は、著作者の権利行使に反対し、または清算および損害賠償を受けるために、司法当局に救済を求めることができる。

    第143条

    1 司法当局は、著作者が主張する重大な人格上の事由の存在を認めた場合は、利害関係者に対する賠償の支払いを条件として、著作物の複製、伝送、実演または頒布を禁止することができ、また、賠償額およびその支払いの期限を定めることができる。

    2 前条第4項に規定されている期間の満了前は、司法当局は、申請にもとづき、緊急の事由の存在を認めるときは、必要とされる保証金の支払いの後、暫定的に禁止を命じることができる。

    3 損害賠償が司法当局の定めた期間内に支払われないときは、命令の効力は自動的に失われる。

    4 前条第4項に規定されているように、司法当局への救済申立てが許される期間の満了後、または著作物の取引停止が命じられている場合、著作物の複製、伝送、実演または頒布を継続するときは、著作権侵害として、この法律の民事上および刑事上の制裁に服するものとする。


    第6節 美術の著作物の価格の増加に伴なう著作者の権利

    第144条

    1 絵画、彫刻、素描および版画の形式の造形美術の著作物の著作者並びに原稿の著作者は、それら著作物の原作品の最初の公売価格が最初の譲渡価格を超えると推定される額の一定割合を受ける権利を有する。

    2 ただし、公売の主催者、売渡人および買取人は、その公売に先立って有償の譲渡行為が行なわれなかったこと、または最初の譲渡価格が公売で得た価格より低くなかったことを証明することができる。

    第145条

     前条に規定されている著作物の著作者は、著作物の原作品が、相次ぐ公売において、最後に得る増加額の一定割合を受ける権利を有する。増加額とは、最後の公売価格とその直前に行なわれる公売価格との差額とする。

    第146条

     前2条に規定されている一定割合は、売却価格が、素描および版画については1,000リラ、絵画については5,000リラおよび彫刻については1万リラを超える場合にのみ、支払われるべきものとする。この一定割合は、著作物を売却する所有者が支払うものとする。

    第147条

    1 法律上は公売とはみなされない売却の場合で、本節に規定されている著作物の原作品の価格が、素描および版画については4,000リラ、絵画については3万リラおよび彫刻については4万リラに達し、また、譲渡方法を問わず、最初の譲渡価格の5倍を超えるときは、その増加額の10%を著作物の著作者に支払われなければならない。支払いは、著作物を売却する所有者が行なう。

    2 著作物に支払われた価格および本条に定める条件の証明は、著作者が立証責任を負う。

    3 売渡人が、売却価格の2分の1を下回らない価格で著作物を取得したことを立証する場合は、一定割合は5%に引き下げられるものとする。

    4 増加額を決定するためには、第145条の規定が適用される。

    5 本条の規定は、無名または変名の著作物には適用されない。ただし、後者の著作物に関しては、この法律の第8条に規定されている場合を除く。

    第148条

     前各条に定められている保護目的のため、著作者によって製作されるレプリカは、原著作物とみなされるが、他の方法で製作される複製物はこのかぎりでない。原版から製作され、著作者によって署名された版画は、原著作物とみなされる。

    第149条

     この法律の目的上、次に掲げる売却は、公売とみなされる。
    (a) 1934年7月5日の法律第1607号となった1934年1月21日の勅令第454号の範囲内で許可された展示および展覧会で行なわれる売却
    (b) 裁判所の命令による売却
    (c) 公の競売による売却
    (d) 公の競売における売却のために提供されたが、個人的な交渉の結果、撤回された著作物の売却
    (e) 第三者が主催し、または運営する私設の展示会との関係において行なわれる売却

    第150条

    1 第144条、第145条、第146条および第147条に定められている権利は、著作者に帰属する。著作者の死後、遺言による条項がない場合は、それらの権利は、民法典の規定にしたがい、配偶者および三親等内の法定相続人に帰属する。前記の承継人が存在しない場合は、これらの権利は、画家および彫刻家保険扶助公社の保険扶助基金に委ねられる。

    2 これらの権利は、著作者の生存中およびその死後50年間存続し、事前に譲渡または放棄することはできない。

    第151条

     第144条の範囲での最初の公売価格について支払われる一定割合は、5万リラまでの額に対しては1%、それを超える10万リラまでの額に対しては2%および10万リラを超える額に対しては5%の率で定めるものとする。

    第152条

     第145条にしたがって決定される増加額について支払われるべき一定割合は、次のように定めるものとする。

    1万リラを超えない増加額に対しては 2%
    1万リラを超える増加額に対しては 3%
    3万リラを超える増加額に対しては 4%
    5万リラを超える増加額に対しては 5%
    7万5,000リラを超える増加額に対しては 6%
    10万リラを超える増加額に対しては 7%
    12万5,000リラを超える増加額に対しては 8%
    15万リラを超える増加額に対しては 9%
    17万5,000リラを超える増加額に対しては 10%


    第153条

    1 本節に規定されている造形美術の著作物の公売を合法的に統轄する者は、第144条および第145条の一定割合を、原作品の売却価格から控除し、施行令に定められている条件のもとで、イタリア著作者出版者協会にその額を納付する義務を負う。

    2 納付が行なわれる時までは、公売を統轄する者は、法律の目的上、控除額の保管者とみなされる。

    第154条

    1 公売において、少なくとも第146条に示されている価格に達した美術の著作物は、公売を合法的に統轄した者によって、イタリア著作者出版者協会に通知される。イタリア著作者出版者協会は、施行令に規定されている方法で、適当な登録を行なうものとする。

    2 虚偽の申告がないかぎり、行なわれた登録は、著作物について得られた価格の証拠となる。

    第155条

     本節各条に規定されている金額は、大統領令によって変更することができる。


    第3章 法的救済と罰則

    第1節 民事上の保護と制裁

    第1款 経済的利用権に関する規定

    第156条

    1 この法律にもとづいて、自己に属する経済的利用権の侵害のおそれがあるとの理由があり、またはすでに発生した侵害の継続もしくは反復を阻止しようとする者は、その権利の確認および侵害の禁止を確保するために訴訟を提起することができる。

    2 訴訟は、本節の規定および民事訴訟法の規定によって規制される。

    第157条

    1 映画の著作物または楽曲の著作物を含めて、公の実演が予定されている著作物について、公に実演する権利を行使する権限を有する者は、施行令の規定にしたがい、同意の証拠文書が提示されない実演の禁止を、県知事に申請することができる。

    2 知事は、申請にもとづき、また提出された通知および文書を基礎として、実演を許可し、または禁止するものとする。ただし、その権限の範囲内で司法当局に最終決定を求める、利害関係者の権利にしたがうものとする。

    第158条

     自己に属する経済的利用権の行使によって損害を受けた者は、侵害を構成する物件の廃棄または除去もしくは損害賠償の支払いを請求する訴訟を提起することができる。

    第159条

    1 前条に規定されている除去または廃棄は、不法に複製され、頒布された見本または複製物、および複製または頒布のために使用される機器のなかで、その性質上他の物件の複製または頒布のためには使用することができないものについてのみ実施することができる。

    2 当該複製物または機器の部分が、他の物件の複製または頒布に使用することができる場合は、利害関係者は、費用を負担して、自己のためにその部分の分離を申立てることができる。

    3 除去または廃棄が申立てられた見本、複製物または機器が、特別の芸術的または学術的価値を有するときは、裁判官は、職権をもって、それを公立博物館へ寄託することを命ずることができる。

    4 侵害を受けた者は、いつでも、廃棄される見本、複製物および機器を自己に引渡すこと、およびそれらの評価額を自己に支払われるべき賠償額に充当することを申立てることができる。

    5 廃棄および引渡しに関する規定は、私的使用のために善意で取得された侵害の見本または複製物には適用しないもとのする。

    第160条

     除去または廃棄は、権利の存続期間の最終年には、要求することができない。著作物または製作物の差押えは、その期間満了の日までいつでも命ずることができる。権利侵害から生じる損害賠償が支払われた場合は、期間満了日前であっても、いつでも差押えが許可される。

    第161条

    1 前各条に規定されている手続のために、司法当局は、利用権侵害を構成するすべての物件についての説明、調査、専門家の鑑定または差押えを命ずることができる。

    2 2人以上の者が共同して作成した著作物においては、差押えは、特に重大な場合または侵害が共同著作者全員の責めに帰すべきものである場合を除き、実施することができない。

    3 特に重大な場合、司法当局は、紛争に関する著作物または製作物の著作者に支払われる利益の差押えを命ずることができる。

    4 本節の規定は、方法を問わず、商業目的のために、コンピュータ・プログラムの無許諾複製物、およびコンピュータ・プログラムの保護のために用いられる装置の許諾のない除去または回避を助長することを唯一の目的とする方法を流通させ、または所持している者にも適用される。

    第162条

    1 この法律に規定されている場合を除き、差押えのような予防手続や、説明、調査および専門家の鑑定についての予防的な審査に関する第161条に規定されている手続は民事訴訟法の規定によって規制される。

    2 説明や差押えは、必要があれば1人または2人以上の専門家、および技術的調査や性質の異なる写真装置や機器による援助を受けて、司法当局によって行なわれる。

    3 関係当事者は、その代表を通じて、また、信頼する専門家の援助を受けて、手続に加わることを許される。

    4 民事訴訟法第693条第2項および第3項は、説明には適用されない。民法第697条の目的により、必要性および緊急性は、必要に応じて、この手段の実行を妨げないものと判断されなければならない。民事訴訟法第669条の8、第669条の11および第675条の規定は、財産目録にも適用することができる。

    5 民事訴訟法第675条の期間が経過した場合、すでに進行中の説明および差押えの手続 は完結したものとされるが、同様の命令にもとづいてさらに手続を開始することはできない。いずれにせよ、命令の真価によって、手続中に説明または差押えをさらに命じるように裁判官に要求する可能性は残されたままである。

    6 説明も差押えも、申立書において確認されていなかった者が所有していた物件に関するものであり、その物件が前記の命令が発せられた関係当事者によって製作され、提供され、輸入され、または頒布されたものであることを条件とし、私的使用のために用いられる物件は除かれ、または方法を問わず頒布された著作物であることを条件とする。説明および差押え手続の記録は、効力が及ばないことを前提として、申立てや命令とともに、手続の完結から15日以内に説明され、または差押えられた物件を所有している第三者に通知される。

    第163条

    1 利用権者は、利用権を侵害する行為に対し、予防手続に関する民事訴訟法の規定にしたがい、制限的な差止請求権を取得する

    2 制限的差止請求権を行使する場合、裁判官は、後に判明する権利侵害または法律違反による損害額もしくは差止請求権の適用が遅れたことによる損害額を定める。

    第164条

     本節および次節に規定されている訴訟が、第180条ないし第184条に規定されている公法人の1つによって提起されるときは、次の規定にしたがうものとする。
    (1) 前記の法人の役員は、特別の許諾なしに、権利者の利益のために前記の訴訟を提起することができる。
    (2) この公法人は、保障が規定され、認められている行為を実行するために、保障を与える義務を免除される。
    (3) この公法人は、1992年2月5日の法律第93号の目的にしたがった証明を発行するのみならず、著作権のための支払い額の証明を発行する権限をもつ役員を指名する。この証明は、民事訴訟法第474条のもとで、強制命令の効果をもつ。

    第165条

     利用権の目的である著作物の著作者は、権利の譲渡後においても、その利益を保護するためにいつでも譲受人が提起する訴訟に参加することができる

    第166条

     裁判所は、利害関係者の申立て、または職権により、敗訴者の費用で、判決の主要部分を1つ以上の新聞紙上に、必要があれば2度以上公告することを命ずることができる。

    第167条

     この法律によって認められる利用権は、その権利を適法に有する者が法律上行使することができる。

    第2款 人格権に関する司法手続のための特別規定

    第168条

     人格権の行使に関する手続においては、以下の各条の適用を条件として、この権利の性質上許されるかぎり、前款に含まれる規定が適用される。

    第169条

     著作物の著作者としての地位に係る権利を守るための訴訟において、除去または廃棄の制裁は、著作物中に著作者であることの表示を追加し、もしくは削除することによって、またはその他の公知させる方法によって損害が救済されない場合にのみ、科せられるものとする。

    第170条

     著作物の同一性に関する権利の保護に関する訴訟は、変形され、切除され、またはその他の方法で改変された著作物の複製物の除去または廃棄を求める当事者の費用でその複製物を原形に復元することが不可能である場合にのみ、提起することができる。


    第2節 刑事上の保護と罰則

    第171条

    1 第171条の2および第172条の3の規定を侵害することなく、目的や方法を問わず、権利を有せず次に掲げる行為を行なう者は、10万リラ以上400万リラ以下の罰金に処する。
    (a) 他人の著作物を複製し、転写し、公に口演し、伝送し、販売し、販売のために提供し、その他商業的に頒布する者、その著作物の公表前にその内容を暴露する者、またはイタリア法に反して外国で製作された複製物を国内に輸入し、もしくは国内で頒布する者
    (b) 公の実演を予定した他人の著作物または楽曲を、変更または追加を加え、または加えないで、実演もしくは公に口演し、または伝送する者。実演は、映画の著作物の公の上映、映画の著作物に含まれる楽曲の公の演奏および公に管理されている拡声器による放送を含むものとする。
    (c) この法律に規定されている改変の形式によって(a)および(b)に規定されている行為を行なう者
    (d) 権利を得た複製または実演の数を超えて複製物を複製し、または実演を行なう者
    (e) (削除)
    (f) 第79条に違反して、ラジオ放送または再送信を有線もしくは放送で送信し、レコードその他の類似の媒体に録音し、または違法に録音されたレコードその他の類似の媒体を販売する者

    2 公表を意図しない他人の著作物に関して、またはその著作物の著作者としての権利を侵害することによって、または著作物の変形、切除、その他の改変により、前記の行為を犯し、かつ、その行為が著作者の名誉または声望を害するときは、1年以下の禁固または10万リラ以上の罰金に処する。

    第171条の2

    1 営利を目的として、コンピュータ・プログラムを不法に複製する者、またはイタリア著作者出版者協会のマークを付けていない記録媒体に含まれるコンピュータ・プログラムを同様に輸入し、頒布し、販売し、商業目的のために所持し、貸与する者は、6か月以上3年以下の禁固および500万リラ以上3,000万リラ以下の罰金に処する。行為が、コンピュータ・プログラムの保護のために用いられる装置の許諾のない除去または回避を容認し、または助長することを唯一の目的とする方法に関するものである場合にも同様の刑罰が適用される。違反が重大である場合には、2年以上の禁固および3,000万リラの罰金に処する。

    2 営利を目的として、データベースのコンテンツを、イタリア著作者出版者協会のマークが付いていない記録媒体で複製し、他の記録媒体に移転し、頒布し、伝達し、公に提供または展示し、第64条の5および第64条の6の規定を侵害する者、データベースの抽出または再利用し、第102条の2および第102条の3の規定を侵害する者、もしくはデータベースを販売または貸与する者は、6か月以上3年以下の禁固および500万リラ以上3,000万リラ以下の罰金に処する。違反が重大である場合には、2年以上の禁固および3,000万リラの罰金に処する。

    第171条の3

    1 私的使用以外の目的で、かつ営利を目的として次に掲げる行為を行なう者は、6か月以上3年以下の禁固および500万リラ以上3,000万リラ以下の罰金に処する。
    (a) 映画またはテレビジョンでの放映、もしくはレコード、テープまたは類似のメディア、また音楽の著作物、映画の著作物または視聴覚著作物もしくは映像のレコードまたはビデオ含むその他のメディアの販売や貸与を目的として製作された知的著作物の全体または部分を、方法を問わず、不法に複写または複製し、放送し、または公に実演する者
    (b) 文学の著作物、演劇の著作物、学術的または教育的著作物、音楽またはオペラの著作物もしくはマルチメディア著作物、編集著作物の部分であっても、共同著作物またはデータベースであっても、それらの著作物の全体または部分を、方法を問わず、不法に複製し、放送し、または公に実演する者
    (c) 複写や複製に関与せずに、(a)および(b)に規定されている不法な複写物や複製物を、国内に輸入し、販売または頒布のために所持し、市販し、販売し、貸与し、もしくは何らかの権限により譲渡し、公に実演し、公衆に放送または伝送する者
    (d) ビデオテープ、音楽テープまたは映画の著作物、視聴覚著作物もしくは映像のレコードまたはビデオを含むその他の記録媒体、または、この法律にしたがいイタリア著作者出版者協会のマークを付けることが強制されていて付けていない、また、改変または偽造されたマークが付いているその他の記録媒体を、方法を問わず、販売または頒布のために所持し、市販し、販売し、貸与し、何らかの権限により譲渡し、公に実演し、放送する者、あるいは、著作権および著作隣接権を保護するための手段を回避、解読または除去することができる装置を製作し、利用し、輸入し、販売のために所持し、市販し、貸与し、または何らかの権限により譲渡する者
    (e) 適法な頒布者の事前の同意なしに、条件付きのアクセス送信を解読することができる装置またはその装置の部分によって受信される暗号化された情報を、方法を問わず再送信または放送する者
    (f) 接続料を支払わずに、暗号化された情報にアクセスできるようにする特別装置または解読に必要な構成要素を、国内に輸入し、販売または頒布のために所持し、販売し、貸与し、何らかの権限により譲渡し、商業目的のために助長し、組み立てる者

    2 次に掲げる行為を行なう者は、1年以上4年以下の禁固および500万リラ以上3,000万リラ以下の罰金に処する。
    (a) 著作権および著作隣接権によって保護される著作物の50以上の複製物または記録媒体を不法に製作し、複写し、放送し、販売または市販し、何らかの権限により譲渡し、あるいは輸入する者
    (b) 事業として、著作権および著作隣接権によって保護される著作物の製作、頒布、販売または市販、輸入を行ない、もって第1項に違反する者。
    (c) 第1項における不法な行為を助長し、準備する者

    3 とくに軽微な違反の場合には、刑罰は軽減される。

    4 第1項における違反の有罪判決には、次に掲げる事項を含むものとする。
    (a) 刑法第30条および第32条の2に規定されている付加的刑罰を適用すること
    (b) 全国に頒布される1紙以上の新聞および1誌以上の特別な雑誌に、少なくとも1回は判決を掲載すること
    (c) ラジオおよびテレビジョンによる放送活動または放送事業のライセンスまたは許可を1年間停止すること

    5 第1項および第2項に規定されている罰金の適用による額は、画家・彫刻家・音楽家・作家および脚本家のための社会保障援助局に支払われるものとする。

    第171条の4

     許諾を得ず、営利を目的として次に掲げる行為を行なう者は、その行為がより重大な違反である場合を除き、1年以下の禁固または100万リラ以上1,000万リラ以下の罰金に処する。
    (a) 適法に取得された著作権のある著作物メディアのオリジナル見本またはその複製物を目的を問わず貸与し、もしくは方法を問わず、その利用を認める者
    (b) オーディオ、ビデオまたは視聴覚メディアについて第80条に規定されている実演を録音録画する者

    第171条の5

     この規定の目的上、この法律は、買戻しまたは条件成就の際に、販売者が購入者により支払われる額より少額を払い戻すことが定められた場合は、または、購入者が、引渡しにあたり(事前に支払いまたは他の権限にもとづくとにかかわらず)、販売価格より少額を支払うと定められた場合、その買戻権または解除条件付の販売を貸与と等しいものとみなす。

    第171条の6

    1 差押え物件が、量的に保管することが困難である場合、司法当局は、1989年7月28日の法律第271号で認められた、刑事訴訟法の履行と調整の規定であり、暫定的な規定である第83条にもとづく規定にしたがい、その廃棄を命ずることができる。

    2 第171条の2、第171条の3および第171条の4の違反に寄与し、またはそれを意図する手段や物品の没収は、不法に複写され、複製され、譲渡され、市販され、所持されまたは本邦領域内に輸入され、かつ、法律に規定があるにもかかわらず、イタリア著作者出版者協会のマークを付さず、また、偽造され、改変され、もしくは他の著作物に用いることを意図したマークを付したビデオテープおよびその他の視聴覚、レコードもしくは情報の記録媒体の没収と同様に、いつでも命ずることができる。没収は、当該刑が、刑事訴訟法第444条にしたがい、当事者の請求に適用される場合も命ずることができる。

    3 前項の規定は、著作権のある製作物が他の法人に帰属し、違反をする者の1人がその法人の利益のために違反したときにも適用される。

    第171条の7

     第171条の3第1項に規定される刑罰は、次に掲げる行為を行なう者にも適用される。
    (a) イタリア著作者出版者協会のマークの対象となっていない第18条の2の記録媒体の製作者および輸入者で、かつ、国内における商品化から30日以内または輸入の日から30日以内に、記録媒体の明確な確認のために必要なすべての情報をイタリア著作者出版者協会に提供しない者
    (b) その事実がより重大な犯罪を構成しないかぎり、この法律の第181条の2第2項にもとづく義務を履行したと偽るすべての者

    第171条の8

    1 アナログ形式、デジタル形式を問わず、無線、衛星、またはケーブルで放送されたアクセス条件付きの視聴覚的変換機を解読することを目的とする装置または装置の部分を、不正な目的をもって、私的または公的使用のために、製作し、販売し、輸入し、助長し、インストールし、変更し、または利用する者は、その事実がより重大な違反を構成しない場合は、6か月以上3年以下の禁固および500万リラ以上5,000万リラの罰金に処する。「アクセス条件付き」情報の場合、それは、利用者による情報への接続料の支払いは別として、信号の放送者によって選択される特定の利用者団体にのみその信号を利用可能にする方法による、イタリアまたは外国への視聴覚信号の放送を意味するものとする。

    2 とくに重大な違反の場合は、2年以下の禁固および3,000万リラの罰金に処する。

    第171条の9

    1 第171条の2、第171条の3および第171条の4の罪に対する最高刑は、以下の場合に、附加刑の適用をせず、3分の1から2分の1に減刑できる。すなわち、司法当局が著作権侵害を告発する前に、違反者が自らの著作権侵害を申告する場合、もしくは、違反者がその知り得るすべての情報を提供し、そのことが、第171条の3および第171条の4における不法な行為を助長する者または準備する者、複製者または頒布者の特定に寄与し、視聴覚的またはレコード用の記録媒体もしくは著作権犯罪を犯すことに利用され、またはそれを意図した装置および物件の大量の差押えを実施するのに役立った場合。

    2 本条の規定は、第171条の2第1項および第171条の3第1項に規定されている不法な行為を助長する者または準備する者には適用しない。

    第172条

    1 第171条に規定されている行為が過失による場合は、200万リラ以下の罰金とする。

    2 次に掲げる行為を行なう者は、同様の刑罰に処する。
    (a) 第180条および第183条に違反して仲介行為を行なう者
    (b) 第153条および第154条に規定されている義務の履行をしない者
    (c) 第175条および第176条の規定に違反する者

    第173条

     前各条に規定されている刑罰は、当該行為が、刑法典その他の法律に定めるより重大な犯罪を構成しないときは、あらゆる場合に適用される。

    第174条

     本節の規制を受ける刑事手続において、民事上の権利侵害について訴えを提起する者は、刑事裁判所に第159条および第160条に規定されている措置および刑罰の適用を刑事裁判所にいつでも申立てることができる。

    第174条の2

    1 すでに適用されている刑事制裁を妨げることなく、本編の規定の権利侵害は、権利が侵害されている著作物または記録媒体の市場価格の2倍と同額の行政上の金銭制裁に処する。この額は20万リラを下回ることはない。市場価格を決定することが困難である場合、権利侵害は、20万リラ以上200万リラ以下の行政上の金銭制裁に処する。行政上の制裁は、権利侵害の場合および著作物等が不法に複写され、複製された場合について、法律が定める罰金額とする。

    2 本条が適用され、行政上の制裁から生じた収益は、財政・予算・経済計画大臣令により、後に次のように分配するために、国庫に帰属する。
    (a) この法律に規定されている違反の防止および調査に用いられる制度や手段を強化するための、司法省の予算の基金に50%。この基金は、この法律の施行から90日以内に、1988年8月23日の法律第400号の第17条第3項に規定されている、内務大臣の同意を得て、司法大臣が承認した政令によって設立される。
    (b) 1988年8月23日の法律およびその後の改正法の第26条第3項の2に規定されている啓蒙運動を促進するための、財政・予算・経済計画大臣の予算の特別項目に50%

    第174条の3

    1 事業活動および許可された活動において犯される、本節における悪意的な違反に対して、刑事訴訟を提起する場合、検察官は、第2項以下の各規定を適用するために必要なあらゆる情報を高等警察局に伝達しなければならない。

    2 前項における情報を審査した後、高等警察局は、利害関係者を聴取したうえで、たとえあるとしても刑事的な押収を妨げることなく、15日以上3か月以内にわたり、明白な活動や事業を停止させることになる差止めを命ずることができる。

    3 第1項の違反に対する、行政上の金銭制裁のような有罪判決において、1981年11月24日の法律第689号の第24条第2項に規定されている停止期間が適用される場合を含む、3か月以上1年以内の事業活動の暫定的な終了を命ずることができる。

    4 本条の規定は、レコード原盤や開発、シンクロナイゼーションまたはポストプロダクション、また、偽造された記録媒体の製造に関連する産業上の生産活動を行なう原盤、印刷装置にも適用される。これらの規定は、テレビ番組の放送局または受信局にも適用される。1965年11月4日の法律第1213号およびその改正法の第45条にもとづく許可は、刑事訴訟が提起されているときは停止する。有罪判決の場合、許可は無効となり、少なくとも2年間は許可されない。


    第4編 公有物使用料

    第175条(削除)
    第176条(削除)
    第177条(削除)
    第178条(削除)
    第179条(削除)


    第5編 著作者の権利の保護および行使のために設置される公法人

    第180条

    1 保護される著作物を、衛星による公衆への伝達を含め、実演し、口演し、放送し、並びに機械的および映画的に複製する権利の行使について、直接的または間接的な仲介、媒介、委任もしくは代理による場合または譲渡による場合を問わず、仲介人として行動する権利は、イタリア著作者出版者協会に排他的に帰属する。

    2 その仲介行為は、次に掲げる範囲の事項とする。
    (1) 権利者の利益のために、保護される著作物の経済的利用のライセンスおよび許諾を与えること
    (2) そのライセンスおよび許諾から生ずる収入を徴収すること
    (3) 権利者間にその収入を分配すること

    3 同協会は、施行令の規定にしたがい、同協会が代理機関を有する外国においてもその活動を行なう。

    4 この権限の排他性は、この法律によって認められる権利を直接に行使する著作者またはその権利承継人の権利を害することはない。

    5 第2項(3)に規定されている収入の分配において、分配金はすべての場合に著作者に留保される。分配の制限および方法は、施行令によって定められる。

    6 ただし、著作物の利用権が、国内に住所を定め、または居住しているイタリア国民のための外国での基金の徴収から生じ、その権利者が、理由を問わず、その基金を徴収しない場合、同協会は、支払責任が生じた日から1年経過後、著作者およびその権利承継人の利益のために、その権利を行使する権限を与えられる。

    7 前項が規定する同協会の基金は、徴収の費用を差し引いた後、3年間請求者が処分権をもつ。請求がないままこの期間を経過した場合、その基金は、著作者、作家およびミュージシャンを支援する目的で、全国職業人・芸術家同盟(Confederazione Nazionale Professonisti ed Artisti)に支払われる。

    第180条の2

    1 ケーブル再送信を許諾する排他的権利は、イタリア著作者出版者協会を経由して、著作権者および著作隣接権者によって排他的に行使される。著作権者および著作隣接権者について、同協会は、実演家の権利に関する実演家相互基金、および唯一の、または主要な事業として、他の著作隣接権を管理するために特別に設立された集中管理団体との間で取り交わされている特別合意にもとづいて活動する。

    2 その団体は、団体の構成員に適用される同一の基準にしたがい、構成員でない同じ種類の権利者のためにも活動する。

    3 構成員でない権利者は、その著作物等のケーブル再送信の日から3年以内にその権利を主張することができる。

    4 放送機関は、自己の権利であるか取得された権利であるかを問わず、放送に関する権利の管理について、第1項に規定されている義務を免除される。

    第181条

    1 前条に規定されている業務およびこの法律その他の規定によって課せられる業務に加えて、イタリア著作者出版者協会は、定款にもとづいて、知的著作物の保護に関するその他の活動を行なうことができる。

    2 同協会は、国または公的もしくは私的団体のために、税金、分担金および使用料の確認および徴収の業務を請け負うことができる。

    第181条の2

    1 第181条および第171条の2、第171条の3の趣旨にしたがい、イタリア著作者出版者協会は、コンピュータ・プログラムまたはマルチメディア・プログラムを含む記録媒体、あるいは、音声や映像を含み、営利を目的として市販され、または何らかの権限にもとづいて譲渡される、第1条第1項に列挙されている著作物またはその部分を固定する記録媒体に同協会のマークを付けることができる。

    2 イタリア著作者出版者協会のマークは、請求者が著作権および著作隣接権に関する法律から生じるすべての義務を履行したことを証明した後に、知的著作物を保護する目的のためにのみ、第1項にもとづく記録媒体に付けることができる。重大な証拠がある場合、同協会は、事後であっても、マークの付いている物品の状況や構成部分を検査することができる。

    3 この法律に規定されている権利から生ずる義務(の履行)を妨げることなく、第4項にもとづき施行令に規定されている条件や状況にしたがい、イタリア著作者出版者協会と関連する取引団体との間の特別合意を考慮して、同協会のマークは、1992年12月29日の法律第518号に規定され、コンピュータによってのみ利用されるコンピュータ・プログラムを含む記録媒体には付けないものとする。ただし、著作物の経済的利用と競争関係にある原著作物の全体または50%を超える部分について、明らかにコンピュータ・プログラムのために利用されるレコード、映画または視聴覚著作物である音声または映像を含まないことを条件とする。この場合、製作の適法性は、第171条の2にもとづく刑事上の保護を目的としても、製作者および輸入者から同協会に事前に提出される特別な鑑定の申告書によって確認される。

    4 マークの時期や特徴およびマークが付けられる場所は、その適用の容易さや範囲を確認するために、または著作物の改変や偽造を阻止するために、イタリア著作者出版者協会と関連団体との聴聞の後、この規定の施行から180日以内に大統領令によって決定される。マークの時期や特徴およびマークが付けられる場所を決定する方法は、事前の規則によることを条件として、前記施行令の施行まで適用することができる。その適用には、管理業務に関するすべての費用や料金が課される。同協会と関連団体との間に取り決めがない場合、費用の額は、著作権常設諮問審議会の聴聞の後、大統領府令によって確定される。

    5 イタリア著作者出版者協会のマークは、異なる記録媒体に付け替えることが不可能な特徴を有することになっている。それは、それについて要求されている著作物の題号、著作者、製作者または権利者の氏名を確認することができるという特色を含んでいなければならない。マークには、複製され、または録音録画された単独著作物に関する連続番号の情報、また、予定されている最終目的地の情報(販売、貸与、または頒布のその他の形式)を含むものとする。

    6 このマークの申請は、結果として生じる法的責任を引き受けるマークの申請者、申請者に指名された第三者によって行なわれる。その者は、少なくとも3か月ごとに、行なった活動や配布されたマークの利用について、イタリア著作者出版者協会に報告しなければならない。マークの適時の申請のために、同協会と製作者との間に特別な取り決めがある場合を除き、輸入者は、製作物の国内への輸入について、事前に同協会に報告する義務を負う。第4項にもとづく規定が適用される。

    7 第6項に掲げられている場合において、イタリア著作者出版者協会とマーク申請者は、同協会の受理記録と統合して、第2項の規定にしたがって作成される暫定的な証明で、マークを付け替えることに合意するものとする。

    8 イタリア著作者出版者協会のマークは、刑法上の強制力をもつという趣旨で、知的著作物の顕著な特徴であるとみなされる。

    第181条の3

    1 第68条第4項および第5項にもとづく複製によって支払われるロイヤルティは、手数料を差し引いた後、イタリア著作者出版者協会によって徴収され、分配される。同協会と利害関係にある取引団体との間に取り決めがない場合、支払いの額や条件、同協会に支払われる手数料の割合も、利害関係者および第190条による諮問審議会に聴聞した後、大統領令によって決定される。第68条第4項および第5項の規定の強制力は、取り決めがなされた日から、または大統領令の施行の日から効力を生ずる。

    2 第180条にしたがい、イタリア著作者出版者協会が仲介者として行なわない権利者への分配は、特別の合意のもとづき、第190条による諮問審議会の聴聞の後、大統領府令によって決定され、主要な利害関係のある取引団体を通して行なうことができる。

    第182条 (削除)

    第182条の2

    1 電気通信庁とイタリア著作者出版者協会は、この法律に対する権利侵害を予防し、確認するために、および法律によって与えられた職務のうち、それぞれのもののために、次に掲げる行為について、監督を委託される。
    (a) 視聴覚的およびレコード用記録媒体およびその他の記録媒体による方法を問わない複製および複写、また、無線またはケーブルによる公の利用が行なわれる場合および放送活動が方法を問わず行なわれる場合についての監督
    (b) 著作権および著作隣接権によって保護される著作物および録音録画物の映画館における公の上映
    (c) (a)における記録媒体による方法を問わない頒布、販売、貸与、放送および利用
    (d) 自己の店内で利用し、または第三者の用に供される公的または私的な複製センター、また、無料、複写、コピーまたは類似の複製方法

    2 法律によって委託されている業務において、イタリア著作者出版者協会は、第1項にしたがい、電気通信庁と対等の関係にある。

    3 第1項の業務のために、電気通信庁は、イタリア著作者出版者協会の調査とともに行なう調査業務を公務員に割り当てる。調査官は、複製、複写、販売、無線またはケーブル送信もしくは公の上映、また、関連する行為が行なわれる領域に自由にアクセスすることができる。行なわれた活動、製造の方法や資料、放送および無線またはケーブルの受信もしくは映画の上映による利用の方法や資料に関する証拠書類の提示を要求することができる。
     前記の領域が公然とアクセスすることができない工場、事業所または放送局である場合、調査官は、司法当局の許諾を得た場合にのみ、内部への立ち入りを許可される。

    第182条の3

     この法律に対する権利侵害の場合、調査官は、適時に警察に送る報告書を書かなければならない。警察は、刑事訴訟法第347条以下に規定されているすべての行為を行なう。

    第183条

    1 イタリアの音楽のない演劇の著作物を演劇会社および演劇事業者に興行させるためには、施行令の規定にしたがい、大統領府の事前の許諾を受けるものとする。

    2 著作者および死亡を原因とするその権利承継人は、その許諾を得ることを必要としない。

    3 ただし、外国の著作物の翻訳者は、その許諾を受けなければならない。

    4 その著作物の興行は、施行令の規定にしたがい、大統領府の監督のもとで行なわれなければならない。

    第184条

    1 外国においてイタリアの音楽のない演劇の著作物を興行する者は、3日以内にイタリア演劇交流協会(Ente italiano per gli scambi teatrali)にその旨を申告しなければならない。同協会は、月1回、意見および提案を添えて、受理した申告書を大統領府に送らなければならない。

    2 イタリア演劇交流協会は、その定款が要求するその他の業務を遂行する。

    3 第182条の規定は、イタリア演劇交流協会に適用される。


    第6編 法律の適用範囲

    第185条

    1 第189条の規定にしたがうことを条件として、この法律は、最初の発行地を問わず、すべてのイタリア人著作者に適用される。

    2 同様に、この法律は、イタリアに住所を有する外国人著作者のイタリアで最初に発行されるすべての著作物に適用される。

    3 以下の各条に規定されている要件が充たされるときは、この法律は、前項に規定されている保護の要件に該当しない外国人著作者の著作物にも同様に適用することができる。

    第186条

    1 知的著作物の保護のための国際条約は、外国人著作者の著作物についての、この法律の適用範囲を規制するものとする。

    2 その条約が相互主義または平等主義の待遇についての一般規定を含むときは、その一般規定は、以下の各条に規定する2つの保護の実質的平等の原則にしたがって解釈される。

    第187条

    1 国際条約がないときは、第185条第2項に規定されている要件を充たさない外国人著作者の著作物は、実質的平等の保護の範囲内において、この法律が与える保護を享有する。ただし、外国人著作者が市民権を有する国が、イタリア人著作者の著作物に実質的平等の保護を与えることを条件とする。

    2 外国人が無国籍者であるか、またはその国籍が不明である場合には、前項に掲げる原則は、著作物が最初に発行される国との関連において適用される。

    第188条

    1 実質的平等は、以下の原則にしたがい、大統領府令によって確認され、規制される。

    2 外国の著作物の保護期間は、いかなる場合も、外国人著作者が市民権を有する国における著作物の保護期間を超えないものとする。

    3 その外国の法律が保護期間中に強制許諾の期間を含むときは、その外国の著作物は、イタリアにおける平等の原則にしたがうものとする。

    4 その外国の法律が、方式、すなわち留保宣言または著作物の複製物の寄託その他の方式の履行を保護の要件としているときは、その外国の著作物は、大統領府令によって決定される、イタリアにおける平等の方式にしたがうものとする。

    5 さらに、大統領府令は、その他の特別の方式または要件の履行を外国の著作物の保護の条件とすることができる。

    第189条

    1 第185条の規定は、イタリアにおいて創作され、またはこの法律もしくは他の特別法の範囲内で内国著作物であるとみなさる場合、映画の著作物、レコードまたは類似の媒体、実演家の権利、写真および工学上の著作物に適用される。

    2 前記の要件を欠くときは、第186条、第187条および第188条の規定が、これらの著作物、権利または製作物に適用される。


    第7編 著作権常設諮問審議会

    第190条

    1 著作権常設諮問審議会は大統領府に設置される。

    2 同審議会は、著作権に関する事項またはこれに関連する事項の研究を行ない、および大統領府の要請によるとき、または特別規定が要求するときは、そのような事項に関する問題について情報を提供する。

    第191条

    1 審議会は、次に掲げる者で構成する。
    (a) 大統領府が指名する議長
    (b) 専門職業家および芸術家団体、興行家団体および書籍出版者団体から各1名の副議長
    (c) (削除)
    (d) 外務省、司法省、財務省並びに企業省の代表各1名および教育省の代表2名
    (e) 旅行興行省の興行局長、評議会議長局の情報局長および文学・美術・学術財産局長
    (f) 専門職業家、芸術家、工芸家連盟の各会長およびとくに著作権問題を担当する各連盟の代表3名、並びに全国舞台労働者連盟(Federazuone nazionale dei lavoratori dello spettacolo)が指名する産業労働者連盟(Confederazione dei lavoratoli dell'industria)の代表1名
    (g) イタリア著作者出版者協会の会長
    (h) 大統領府が指名する著作権の専門家3名

    2 審議会委員は、大統領府令によって任命され、任期は4年とする。

    第192条

     審議会は、毎年大統領府が定める日に定例会を開催する。大統領府の要請があるときは、いつでも臨時会を開催する。

    第193条

    1 審議会は、(a) 総会、(b) 特別委員会として招集することができる。

    2 審議会の全委員が、総会に参加する。特別委員会は、議長の決定により、特定の問題の研究のために、随時設置される。

    3 大統領府は、審議会議長の提案にもとづき、その検討事項について特に有能な審議会委員以外の者を、議決権を与えずに審議会に招請することができる。

    第194条

     事務局は、大統領府が設置する文学・学術・産業財産局長によって提供される。

    第195条

     審議会委員は、規定にしたがい、出席日ごとに出席謝礼金を受け取るものとする。


    第8編 一般規定、暫定規定および最終規定

    第196条

    1 この法律の第12条以下に規定されている利用権が最初に行使される場所が、最初の発行の場所とみなされる。

    2 美術の著作物、映画の著作物、レコードその他音声の複製のための類似の媒体、写真の著作物その他有形的形式により識別される著作物に関しては、製作の場所が最初の発行の場所とみなされる。

    第197条

     出版契約および実演契約は、0.5%の累進的な登録料を課せられる。

    第198条

     大統領府の予算の通常予算の特別項目に、この法律が施行される予算年度から、第175条および第176条に規定されている使用料収入のうち1億6,000万リラの金額が留保される。この金額は、施行令に定められた方法により、著作者・作家・音楽家職業協会の扶助救済基金に分配される。

    第199条

    1 この法律は、その施行前および施行後に方法を問わず発行される著作物に適用される。

    2 この法律の施行前に行なわれ、または締結された行為や契約の法的効力は、まったく影響を受けずに、その当時有効であった規定にしたがい存続する。

    第199条の2

     この法律は、施行前に締結された行為や取得された権利を侵害することなく、施行日前に創作されたコンピュータ・プログラムに適用される。

    第200条

     新民事訴訟法が施行されるまで、第162条によって取調べ判事に与えられる権能は、事件が係属する部の部長が行使する。

    第201条

     最初の寄託その他の方式の義務に初めてしたがう、この法律の施行前に発行された著作物および製作された製作物の寄託および方式は、その時までに履行され、施行令の規定にしたがってなされなければならない。

    第202条

     この法律の施行前に行なわれた販売から得られた価格は、第147条の目的より、考慮されないものとする。

    第203条

    1 テレビジョンの排他的権利に関する特別規定は、大統領府令によって公布することができる。

    2 前項に規定されている政令が公布されるまでは、適用可能なかぎり、テレビジョンはこの法律の一般原則によって規制されるものとする。

    第204条

     この法律の施行から、イタリア著作者出版者協会は、SIAE(Societa Italiana Autori Editori)の名称を採用するものとする。

    第205条

    1 著作権に関する規定を含む1925年11月7日の勅令第1950号を法律化した1926年3月18日の法律第256号およびその改正法は、廃止する。

    2 レコード産業の製作物の保護に関する規定を含む1937年2月18日の勅令を法律化した1937年6月17日の法律第1251号、および芸能実演の異時放送に関する特別措置を含む1938年12月5日の勅令第2115号を法律化した1939年6月2日の法律第739号、並びにこの法律の規定に反し、および矛盾する他の法律および法律の規定は、廃止する。

    第206条

    1 この法律を実施する施行令は、その規定の違反に対する刑罰を定める。

    2 その刑罰は、32万リラを超えない罰金を定めることができる。

    3 この法律は、この法律の公布後6か月以内に公布される施行令と同時に施行する。

    4 その期間内に、SIAEを規制する新しい定款が公示される。

    5 この法律が国璽を押されてイタリア共和国の公の法令集に編入されることを命じ、かつ全国民は、国家の法律としてこの法律を遵守し、および遵守させることを要求される。




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