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    外国著作権法 メキシコ編

    はしがき

    この「メキシコ連邦著作権法」は、スペイン語の原文(Ley Federal del Derecho de Autor)をWIPO(世界知的所有権機関)国際事務局が英訳したもの(Federal Law on Copyright)から更に和訳したものである。WIPOの英訳に若干の間違いや疑問点があったので、それらの訳については、スペイン語の原文に依った。

    このメキシコ法の特徴的な規定を挙げてみると、「権利留保」表示についての規定(第17条)、「出版契約」その他各種の契約についての規定(第42条~第76条)、「追及権」についての規定(第92条の2)、隣接権者としての「書籍出版者」の権利についての規定(第123条~第128条)、「大衆文化の表現の著作権」についての規定(第157条~第161条)、「排他的使用権の留保」についての規定(第173条~第191条)、「国立著作権研究所」(National Copyright Institute)についての規定(第208条~第212条)などがある。

    この法律は、1996年12月24日に連邦公報に公示され、その公示から90日後の1997年3月24日に発効(経過規定第1)した。

    平成26年11月 帝京科学大学名誉教授 大山幸房

    目次

    1. 第1編 総則
      1. 単一章(第1条~第10条)
    2. 第2編 著作権
      1. 第1章 通則(第11条~第17条)
      2. 第2章 著作者人格権(第18条~第23条)
      3. 第3章 経済的権利(第24条~第29条)
    3. 第3編 経済的権利の移転
      1. 第1章 通則(第30条~第41条)
      2. 第2章 文芸の著作物の出版契約(第42条~第57条)
      3. 第3章 音楽の著作物の出版契約(第58条~第60条)
      4. 第4章 上演契約(第61条~第65条)
      5. 第5章 放送契約(第66条~第67条)
      6. 第6章 視聴覚製作契約(第68条~第72条)
      7. 第7章 広告契約(第73条~第76条)
    4. 第4編 著作権保護
      1. 第1章 通則(第77条~第84条)
      2. 第2章 写真の著作物、立体の及び図形の著作物
                      (第85条~第93条)
      3. 第3章 映画の著作物及び視聴覚著作物
                      (第94条~第100条)
      4. 第4章 コンピュータ・プログラム及びデータベース
                      (第101条~第114条)
    5. 第5編 隣接権
      1. 第1章 通則(第115条)
      2. 第2章 実演家(第116条~第122条)
      3. 第3章 書籍出版者(第123条~第128条)
      4. 第4章 レコード製作者(第129条~第134条)
      5. 第5章 ビデオグラム製作者(第135条~第138条)
      6. 第6章 放送機関(第139条~第146条)
    6. 第6編 著作権及び隣接権の制限
      1. 第1章 公益のための制限(第147条)
      2. 第2章 経済的権利の制限(第148条~第151条)
      3. 第3章 公有(第152条~第153条)
    7. 第7編 国のシンボル及び大衆文化の表現の著作権
      1. 第1章 通則(第154条)
      2. 第2章 国のシンボル(第155条~第156条)
      3. 第3章 大衆文化(第157条~第161条)
    8. 第8編 権利の登録
      1. 第1章 公的著作権登録簿(第162条~第172条)
      2. 第2章 排他的使用権の留保(第173条~第191条)
    9. 第9編 権利の集中管理
      1. 単一章 集中管理団体(第192条~第207条)
    10. 第10編 国立著作権研究所
      1. 単一章(第208条~第212条)
    11. 第11編 訴訟手続
      1. 第1章 司法当局への訴訟手続(第213条~第216条の2)
      2. 第2章 和解手続(第217条~第218条)
      3. 第3章 仲裁(第219条~第228条)
    12. 第12編 行政手続
      1. 第1章 著作権侵害(第229条~第230条)
      2. 第2章 商業関連侵害(第231条~第236条)
      3. 第3章 行政上の上訴(第237条~第238条)
    13. 経過規定

    第1編 総則

    単一章
    第1条

    憲法第28条が規定するこの法律の目的は、国民の文化遺産を守り、かつ振興すること、並びに著作者のあらゆる形式の文学的若しくは美術的著作物、実演家の実演、出版者の出版物、製作者のレコード若しくはビデオグラム又は放送機関の放送に関するそれらの者の権利並びにその他の知的所有権を保護することにある。

    第2条

    この法律の規定は、公的政策事項であって社会のためのものであり、かつ、一般に国の領域全体にわたって順守されるべきものである。その行政上の実施は、国立著作権研究所及びこの法律に規定する場合にはメキシコ工業所有権研究所を通じて行動する連邦行政部の責任とする。

    この法律の目的上、「研究所」とは、国立著作権研究所をいう。

    第3条

    この法律によって保護される著作物は、独創的に創作された著作物であって、いずれかの形式又は媒体によって公表し、又は複製することができるものとする。

    第4条

    保護について資格を有する著作物は、次に掲げるものとすることができる。

    1. 著作者名に関して
      1. 実名の著作物:著作者の名前又は著作者を確認する記号若しくは署名を記載している著作物
      2. 無名の著作物:著作者の希望により又は著作者の確認が不可能なために、著作者の名前又は著作者を確認する記号若しくは署名を記載していない著作物
      3. 変名の著作物:著作者の身元を明らかにしない名前、記号又は署名を付して公表される著作物
    2. 伝達に関して
      1. 公表著作物:いずれかの形式若しくは媒体により、全体的若しくは部分的に、それらの本質的特徴として又はそれらの記述を用いて、最初に公衆の注目に供される著作物
      2. 未発行著作物:公表されていない著作物
      3. 発行著作物:
        1. 複製物の複製方法のいかんを問わず発行されている著作物。ただし、公衆に提供されるそれらの複製物の数量が、著作物の性質に応じて見積もられる著作物の利用の要件を合理的に満たすことを条件とする。
        2. 著作物の複製物の性質のいかんを問わず、公衆がそれらのハード・コピーを取得することを可能とする電子媒体への蓄積を通じて公衆に提供されている著作物
    3. C 独創性に関して
      1. 原著作物:著作物自体が独創的創作物であって他の既存の著作物を基礎としていない著作物、又は他の著作物を基礎としているが著作物の独創性を証明する特徴を有する著作物
      2. 二次的著作物:原著作物の翻案、翻訳その他の改変の結果である著作物
    4. 関係する創作者に関して
      1. 個人著作物:1人の者によって創作される著作物
      2. 共同著作物:2人以上の著作者によって創作される著作物
      3. 集合著作物:その者の指示及び名前で著作物を発行し、及び公表する自然人又は法人である者の発意に基づいて創作される著作物であって、その作成に参加する複数の著作者の個人的寄与が、それらの著作物が作成される目的のために著作物全体の中に融合していて、そのように作成される著作物全体の別個の分割されない権利をそれらの者の各人に付与することが不可能であるもの。
    第5条

    この法律に規定する保護は、著作物の価値、意図する目的又は表現の形式のいかんを問わず、著作物が有形媒体に固定される時からそれらの著作物に与えられる。

    著作権及び隣接権の承認は、登録若しくはいずれかの種類の証拠資料を必要とせず、又はいずれの方式の履行をも条件としない。

    第6条

    固定とは、著作物が表現されている文字、数字、記号、音、映像その他の要素の結合又はそれらのデジタル表示であって、いずれかの形式又は有形媒体(電子媒体を含む。)によってその著作物が知覚され、複製され、又はその他伝達されることを可能とするものをいう。

    第7条

    外国人の著作者又は権利者及びそれらの者の権利継承者は、この法律並びにメキシコが署名し、かつ批准した著作権及び隣接権に関する国際条約に基づいて内国民と同一の権利を有する。

    第8条

    自己の実演の最初の固定、自己の出版物の最初の固定、自己の実演の音若しくは自己のビデオグラムの映像の最初の固定又は自己の放送の国内領域外への伝達をそれぞれ実施する実演家、出版者、レコード製作者、ビデオグラム製作者及び放送機関は、この法律並びにメキシコが署名し、かつ批准した著作権及び隣接権に関する国際条約によって与えられる保護の利益を受ける。

    第9条

    この法律が与える保護を決定するすべての所定の期間は、この法律自体が別に規定する場合を除き、起算のための関係の出来事が発生した年の翌年の1月1日から起算される。

    第10条

    この法律が関連規定を有しない場合には、商業法令、一般事項については連邦地方のための、及び連邦事項については共和国全体のための民法典並びに行政手続に関する連邦法が適用される。

    第2編 著作権

    第1章 通則
    第11条

    著作権は、この法律第13条に明示する文学的及び美術的著作物のいずれかの創作者に対して国家が与える承認である。この法律に基づいて、この法律は、著作者が排他的特権並びに個人的及び経済的性格の特権を享受するようにこの法律の保護を与える。前者は著作者人格権を、及び後者は経済的権利を構成する。

    第12条

    著作者は、文学的又は美術的著作物を創作した自然人とする。

    第13条

    この法律に定める著作権は、次に掲げる区分内の著作物について認められる。

    1. 文芸の著作物
    2. 歌詞を伴い、又は伴わない音楽の著作物
    3. 演劇の著作物
    4. 舞踊
    5. 絵画の著作物又は素描の著作物
    6. 彫刻及び立体芸術の著作物
    7. 風刺画の著作物及び短編小説
    8. 建築の著作物
    9. 映画の著作物その他の視聴覚著作物
    10. ラジオ番組及びテレビ番組
    11. コンピュータ・プログラム
    12. 写真の著作物
    13. 応用美術の著作物(グラフィック・デザイン又はテキスタイル・デザインの著作物を含む。)
    14. 百科事典、名詩選集及びデータベースのような著作物その他の要素などの著作物の収集物から成る編集物の著作物。ただし、それらの収集物が、それらの内容若しくは主題の選択又は配列を理由として知的創作物を構成することを条件とする。類推によって文学的又は美術的著作物とみなすことができる他の著作物は、それらの性質に最も厳密に対応する区分に含められる。
    第14条

    次に掲げるものは、この法律に定める著作権保護の利益を受けない。

    1. アイディア(着想)自体、方策、解決策、概念、方法、方式、原則、発見、手順及びいずれかの種類の発明
    2. 著作物に具現されたアイディアの工業的又は商業的利用
    3. 精神的行為を実施し、競技を行い、若しくは事業を行うための仕組み、計画又は規則
    4. 単独の文字、数字又は色彩(独創的なデザインとなる程度にまで様式化されている場合を除く。)
    5. 単独の名称及び表題又は語句
    6. 単なるレイアウト(割り付け)又はいずれかの種類の情報を伴う記入用紙及び関連する説明書
    7. いずれかの国、州、市町村若しくは同等の政治区分の紋章、旗若しくは記章の無許諾の複製品若しくは模造品、又は政府間若しくは非政府の国際機関その他いずれかの公認機関の名称、略称、シンボル若しくは記章およびそれらの呼称
    8. 立法上、規制上、行政上又は司法上の原文及びそれらの公的翻訳。これらの原文及び公的翻訳が出版される場合には、それらは、公的原文に合致していなければならず、かつ、それらは、排他的出版権を与えない。ただし、対応する原文、解釈、比較研究、注釈、解説その他著作者側に原著作物の創作を伴う類似の著作物については、保護が得られる。
    9. ニュースの情報内容。ただし、その表現形式は、保護される。
    10. 金言、格言、伝説、事実、カレンダー及び計量表などの日常使用される情報
    第15条

    新聞若しくは雑誌で出版され、又はラジオ、テレビその他の伝達手段によって放送される文学的及び美術的著作物は、その事実のためにそれらの法的保護を失うことはない。

    第16条

    著作物は、次に掲げる行為によって公衆に報知することができる。

    1. 公表:文学的又は美術的著作物をいずれかの手段によって最初に公衆に提供する行為。この結果、著作物は、未発行であることをやめる。
    2. 出版:著作物を有形形式に複製し、及びそれを複製物の形式で公衆に提供する行為、又は著作物を電子媒体に恒久的若しくは一時的に蓄積して公衆がそれを読み、又は視覚、触覚若しくは聴覚によってそれを知覚することができるようにする行為
    3. 公衆への伝達:複製物の頒布とならない拡散のいずれかの方法手段によって著作物が一般的に提供されるようにする行為
    4. 公の実演:私的集団又は家族の集まりに限定することなく、著作物をいずれかの手段によって視聴者に提供する行為。著作物が、学校又は公的若しくは私的福祉施設の範囲内で実演される場合には、利得の意図がないことを条件として、その実演は、公の実演とはみなされない。
    5. 公衆への頒布:著作物の原作品又は複製物を販売若しくは貸与その他いずれかの形式によって公衆に提供する行為
    6. 複製:著作物、レコード又はビデオグラムの1若しくは2以上の複製物をいずれかの有形形式で作成する行為(電子媒体への恒久的又は一時的蓄積を含む。)及び立体の著作物から平面的著作物を作成し、又は平面的著作物から立体の著作物を作成する行為
    第17条

    この法律の保護を受ける著作物であって出版されるものは、"Derechos Reservados"(権利留保)又は略語"D.R."の後にⒸ記号、著作権者のフルネーム及び宛先及び最初の発行の年を伴った表示を掲げるものとする。これらの事項は、見える場所に掲げるものとする。これらの要件の不履行は、著作権喪失の原因とはならないが、許諾を得た者又は出版者をこの法律に規定する制裁に服させる。 第2章 著作者人格権

    第18条

    著作者は、その者が創作する著作物の著作者人格権の唯一の、原始的及び恒久的所有者となる。

    第19条

    著作者人格権は、著作者に帰属するものとみなされ、かつ、譲渡不能で、時効にかからず、放棄することができず、及び差し押さえることができないものとする。

    第20条

    著作者人格権を行使する権利は、著作物の現実の創作者及びその相続人たちに属する。相続人不在の場合又は公有の著作物、無名の著作物若しくはこの法律第7編の規定によって保護される著作物の場合には、関係する著作物が国民の文化遺産に利害関係を有する限り、国が次の条に従ってその権利を行使する。

    第21条

    著作者人格権の所有者は、次に掲げることをいつでも行うことができる。

    1. 著作物を公表するかどうか及び公表する場合にいずれの形式によるか、又は著作物を未発行のままとするかどうかを決定すること。
    2. 著作者が創作した著作物に関して著作者の資格の承認を要求すること、又は著作物を無名若しくは変名の著作物として公表することを決定すること。
    3. 著作物について尊重を要求すること、及び著作物のいずれかの改変、切除その他の変更又は著作物に関してその価値を損ね、若しくは著作者の評判を害することがあるいずれかの行為若しくは行動に反対すること。
    4. 著作物を修正すること。
    5. 著作物を市場から回収すること。
    6. その者が創作していない著作物の著作者を著作者とすることに反対すること。その者が創作していない著作物の著作者とされるいずれの者も、この号に定める権利を行使することができる。

    相続人は、この条(1)、(2)、(3) 及び (4) の各号に規定する権利のみを行使することができ、また適用される場合には、国は、この条(3) 及び (4) の各号に規定する権利のみを行使することができる。

    第22条

    共同著作者間に別段の合意がない限り、視聴覚著作物の監督又は製作者は、その著作物全体の著作者人格権を行使する。ただし、他の共同著作者自身の寄与に関してそれらの者に属する権利、又はこの法律及びこの法律第99条の規定に従って製作者が行使することができる権利を害してはならない。

    第23条

    別段の合意がない限り、広告その他の販売促進のための告知における使用のために著作物を提出する著作者は、その使用又は利用に関連してそれらの者の著作者クレジットの省略を許可したものと理解される。ただし、そのことによって、それらの者の著作者人格権を放棄することはない。

    第3章 経済的権利
    第24条

    著作者は、その経済的権利に基づいて、この法律に規定する限度内でいずれかの形式により、かつ、この法律第21条に定める著作者人格権の所有者の地位を害することなく、それらの著作物を排他的に利用し、又はそれらを利用することを他人に許諾する権利を有する。

    第25条

    経済的権利の所有者は、著作者、その相続人又はいずれかの根拠でそれらの権利を取得した者とする。

    第26条

    著作者は、経済的権利の最初の所有者であり、かつ、その相続人又はいずれかの根拠によるその権利承継者は、二次的所有者とみなされる。

    第26条の2

    著作者及びその継承者は、いずれかの手段によるその著作物の公の伝達又は送信について使用料の支払いを受ける権利を享有する。著作権は、放棄できないものとする。そのような使用料は、著作物の公の伝達若しくは通信を実行する者によって著作者に直接に、又はこの法律第200条並びに第202条 (5) 及び (6) の規定に従って著作者を代表する集中管理団体に支払われる。

    使用料の額は、著作者又は場合によりそれらの使用料について責任を有する集中管理団体と、この法律第27条 (2) 及び (3) の規定に従って著作物の公の伝達又は送信を実行する者との間で直接合意されるべきとされる。合意のない場合には、研究所が、この法律第212条に規定する手続きに従って料金表を確定する。

    第27条

    経済的権利の所有者は、次に掲げる事項を許諾し、又は禁止することができる。

    1. 印刷、レコード、図形、立体、視聴覚、電子、写真その他を問わずいずれかの媒体により実施される著作物の複製物又は原作品の形式による複製、出版、編集又は有形的固定
    2. 次に掲げる方法のいずれかによる著作物の公衆への伝達
      1. 文学的及び美術的著作物の場合における公の提供、朗読及び実演
      2. 文学的及び美術的著作物の場合におけるいずれかの手段又は方法による公の展示
      3. 電気通信による公のアクセス
    3. いずれかの方法による著作物の公の送信又は放送(次に掲げる手段による著作物の送信又は再送信を含む。)
      1. 有線
      2. 光ファイバー
      3. 極超短波(マイクロウェーブ)
      4. 衛星
      5. その他いずれかの知られた、又は出現しつつある手段
    4. 著作物の頒布(著作物が収録されている有形物の販売その他の形式の所有権の移転及び著作物の使用権又は利用権のいずれかの形式の移転を含む。)。頒布が販売の手段によって実施される場合には、反対する権利は、この法律第104条に明定する場合を除き、最初の販売(ファースト・セール)の時に消尽したものとみなされる。
    5. 所有者の許諾を得ずに作成された著作物の複製物の国内領域への輸入
    6. いずれかの形式の二次的著作物(翻訳、翻案、意訳版、編曲及び変形を含む。)の公表
    7. この法律に明定する場合を除く著作物のいずれかの公の使用
    第28条

    前条に定める諸権利は、利用形式の各々と同様に、相互に独立しているものとする。

    第29条

    経済的権利は、次に掲げる期間の間効力を有する。

    1. 著作者の生存間及びその死亡の後100年間。著作物が2人以上の共同著作者に属する場合には、100年の期間は、最終の共同著作者の死亡から起算される。
    2. 次に掲げる著作物の公表の後100年間
      1. (1) に定める保護期間内に公表される遺著
      2. 連邦、連邦の機関又は地方自治体のために執行される公務の過程において作成される著作物。著作者でない経済的権利の所有者が死亡して相続人不在の場合には、著作物を利用し、又はその利用を許諾する権利は、著作者に、又は著作者不在の場合には国に発生する。国は、研究所を通じて行動し、研究所は、第三者の既得権を尊重する。この条各号に規定する期間が満了したときは、著作物は、公有となる。

    第3編 経済的権利の移転

    第1章 通則
    第30条

    経済的権利の所有者は、この法律の規定に従うことを条件として、自由にその経済的権利を移転し、又は使用のための排他的若しくは非排他的許諾を与えることができる。

    経済的権利のいずれの移転も、報酬を目的とし、かつ一時的なものとする。報酬の額若しくはそれを決定する手続きについて、又はその支払いの期限について合意がない場合には、管轄の裁判所が裁定する。

    与えられる経済的権利及び許諾(権)を移転する行為、合意、及び契約は、必ず書面で締結するものとし、書面を欠くときは、それらは、当然に無効とされる。

    第31条

    経済的権利のいずれの移転も、関係する利用からの収益における比例取り分又はあらかじめ決められた定額の報酬を著作者又は場合により経済的権利の所有者に与えることを規定する。この権利は、放棄することができない。

    第32条

    経済的権利を移転する行為、合意及び契約は、第三者を拘束するために公的著作権登録簿に記載される。

    第33条

    いずれの明示の規定もない場合には、経済的権利のいずれの移転も、期間が5年間であるとみなされる。15年以上の期間は、著作物の性質及び必要とされる投資の規模によって正当と認められる例外的な場合にのみ合意することができる。

    第34条

    将来の製作は、契約に規定されるべき特性を有する特定の著作物の場合にのみ契約の対象とすることができる。将来の著作物の包括的移転は、無効とし、また著作者がいずれの著作物も創作しないことを約束するいずれの規定も、同様とする。

    第35条

    排他的権利を与えるいずれの許諾も、それ自体明示的に与えられなければならず、また別段の合意がない場合には、他のいずれの者をも排除して著作物を利用する権利及び第三者に非排他的許諾を与える権利をも、許諾を得た者に与える。

    第36条

    排他的権利を与える許諾は、著作物の性質並びに関係する職業的、工業的又は商業的活動において一般的な習慣及び慣行に従って、許諾された利用が実施されるために必要ないずれの行動もとることを許諾を得た者に義務づける。

    第37条

    経済的権利に関する証書、協定及び契約であって、公証人、公的仲買人又はいずれかの認証官公吏の前で作成され、かつ、公的著作権登録簿に記載されるものは、適正に作成されたものとみなされる。

    第38条

    著作権は、著作物が収録されている有形媒体の所有権を条件としない。別段の明示的な合意がない限り、著作物を収録する有形媒体の著作者又はその権利継承者による処分は、その著作物の経済的権利のいずれかの(有形媒体の)取得者への移転を構成しない。

    第39条

    保護著作物をラジオ、テレビその他いずれか類似の媒体によって放送することの許諾は、その著作物を再放送し、又は利用する権利を含まない。

    第40条

    著作者の経済的権利及び隣接権の所有者は、それらの者の許可を得ずに行われるいずれかの複写又は複製であって、この法律第148条及び第151条に規定する制限のいずれにも該当しないものについて、賠償金を要求することができる。

    第41条

    経済的権利は、差し押さえ又は担保に入れることはできないが、その行使から得られる利益及び収益は、そのように使用することができる。

    第2章 文芸の著作物の出版契約
    第42条

    著作者又は場合により経済的権利の所有者が著作物を出版者に引き渡すことを約束し、次に出版者が、合意した額を経済的権利の所有者に支払うことと引き換えにその著作物を複製し、頒布し、及び販売することを約束する場合に、文芸の著作物についての出版契約が成立する。

    両当事者は、頒布及び販売がその他の者によって実施されることに合意することができ、かつ、この法律に規定する放棄することができない権利がある場合を除き、出版契約の内容に合意することができる。

    第43条

    この法律第33条の規定にかかわらず、文芸の著作物の権利がその間に譲渡される期間は、いずれの制限も受けない。

    第44条

    著作物の出版契約は、その著作物の所有者の他の経済的権利の移転を構成しない。

    第45条

    出版者は、著作者の書面による同意を得ずに著作物に要約、追加、削除その他いずれかの変更を加えて著作物を出版することはできない。

    第46条

    著作者は、著作物が印刷に回される前に、著作者が適当と考える訂正、修正、追加及び改良をその著作物に加える権利を保持する。

    修正が出版の費用をより高くする場合には、著作者は、別段の合意がない限り、そのためにかかるいずれの費用についても補償する義務を負う。

    第47条

    出版契約は、少なくとも次に掲げる事項を含むものとする。

    1. 出版契約が対象とする版又は場合により再版の数
    2. 各版を構成する複製物の部数
    3. 資料が排他的権利を伴って引き渡されるか否か
    4. 著作者又は経済的権利の所有者に支払われる報酬
    第48条

    別段の合意がない限り、出版、頒布、販売促進、広告、宣伝その他いずれかのそのような行為の費用は、出版者によって支払われる。

    第49条

    著作物のある版を製作した出版者は、同一の条件で次の版を製作する優先権を有する。

    第50条

    販売用の複製物につけるべき価格について合意がない場合には、出版者がそれを決める権利を有する。

    第51条

    別段の合意がない限り、同一の著作者が1又は2以上の著作物を別々に出版する権利は、それらの著作物を一緒に出版する権利を出版者に与えない。著作者の複数の著作物を一緒に出版する権利は、それらの著作物を別々に出版する権利を著作者に与えない。

    第52条

    著作者又は経済的権利の所有者の義務は、次に掲げることとする。

    1. 契約に明記する期限までに、かつ契約に明記する条件で、著作物を出版者に引き渡すこと。
    2. 著作物の著作者の資格及び独創性について、並びに出版者に移転される権利の妨害されない行使について、出版者に対して責任を持つこと。
    第53条

    出版者は、その出版する著作物の次に掲げる事項を、その著作物に見える形式で、かつ見える場所に明示するものとする。

    1. その名前、名称又は事業所の所在地及び住所
    2. 版又は再版の年
    3. 版又は可能な場合には再版に対応する序数
    4. 国際標準図書番号(ISBN)又は定期刊行物の場合には国際標準逐次刊行物番号(ISSN)
    第54条

    印刷業者は、その印刷する著作物に見える形式で、かつ見える場所に次に掲げる事項を表示するものとする。

    1. その名前、名称又は事業所の所在地
    2. その住所
    3. 印刷が完了した日付
    第55条

    出版契約が、版を完成して複製物を販売に供するための期限を明示していない場合には、その期間は、印刷準備のできた著作物の引き渡しの後1年であるものと了解される。出版者が版を製作することなくその期間が満了する場合には、経済的権利の所有者は、出版者に通告書を送達することによって契約の履行を要求するか又は契約を終結するかのいずれかを選択することができる。いずれの場合にも、出版者は、与えた損害及び侵害について経済的権利の所有者に賠償するものとする。

    複製物を販売に供するための期限は、著作物が出版者に提供された時から起算して2年を超えることはできない。

    第56条

    出版契約は、それが関係する版が絶版になる場合には、契約自体に基づいて提起されるいずれの訴訟をも害することなく、又は出版者が著作物を合意された条件で頒布しない場合には、その予定された期限にかかわらず、終結するものとする。公衆の需要を満たすに十分なだけのある版の複製物を出版者が欠くときは、その版は、絶版であるとみなされる。

    第57条

    著作物を出版する自然人又は法人であるいずれの者も、著作者の名前又は場合により変名を明示する義務を負う。著作物が無名である場合にも、その旨が明示されるものとする。翻訳、編集物、翻案その他の改作の場合には、それらの作成者の名前も、明示するものとする。

    第3章 音楽の著作物の出版契約
    第58条

    音楽の出版契約は、著作者又は場合により経済的権利の所有者が、複製権を出版者に譲渡して、著作物の固定及びレコード複製、その視聴覚録音、公衆への伝達、翻訳、編曲又は翻案その他契約に規定するいずれかの形式の利用を実施する権限を出版者に与える契約とする。出版者側は、合意された条件に従って、その利用できるすべての手段を用いて出版物を公表することを約束して、その見返りに著作物の利用を通じて得られる経済的利得の取り分を受け取る。

    ただし、視聴覚録音、広告を目的とする翻案、翻訳、編曲又は改作を実施するためには、出版者は、それぞれの特定の場合に、著作者又はその権利継承者の明示の許可を得ていなければならない。

    第59条

    次に掲げる場合には、著作者又は経済的権利の所有者にいずれの責任も負わせることなく、契約を終結させる。

    1. 契約に明示する期間内に、出版者が著作物の公表を開始しなかった場合
    2. 出版者が、いつでも、正当な理由なしに、著作物の配布を怠る場合
    3. 契約に関わる著作物が、3年の間に、両当事者に経済的利益をもたらさなかった場合。この場合には、出版者も同様に、責任を負わない。
    第60条

    文芸の著作物の出版契約に関する規定は、この章の規定と矛盾しない限り、音楽の出版契約について適用される。

    第4章 上演契約
    第61条

    上演契約に基づいて、著作者又は場合により経済的権利の所有者は、文芸、音楽、文芸音楽、演劇若しくは楽劇の著作物、舞踏の著作物又は無言劇若しくは舞踊の著作物を、金銭的報酬と引き換えに、公に実演する権利を、興行主として知られる自然人又は法人に与える。興行主は、合意された条件で、かつこの法律の規定に従って、実演を実施することを約束する。

    契約は、与えられる権利が排他的なものか否か、並びに場合により演出又は実演の条件及び特徴について明定する。

    第62条

    著作物を公衆に実演するための期間が上演契約に明示されていない場合には、その期間は、1年であると了解される。

    第63条

    興行主は、次に掲げる事項について責任を負う。

    1. 合意された条件による公の実演を保証すること。
    2. 著作者、経済的権利の所有者又はそれらの者の代理人に実演への無料アクセスを保証すること。
    3. 合意された報酬を経済的権利の所有者に支払うこと。
    第64条

    別段の合意がない限り、著作者と興行主との間で署名される上演契約は、メキシコ共和国の領域全体にわたって著作物を実演する権限を興行主に与えるものとする。

    第65条

    文芸の著作物の出版契約に関する規定は、この章の規定と矛盾しない限り、上演契約について適用される。

    第5章 放送契約
    第66条

    放送契約に基づいて、著作者又は場合により経済的権利の所有者は、著作物を放送する権限を放送機関に与える。

    放送機関の放送について適用される規定は、有線、光ファイバー、電磁波、衛星その他保護著作物の公衆への遠隔伝達に役立つ同等の媒体によって実施される放送について準用される。

    第67条

    文芸の著作物の出版契約に関する規定は、この章の規定と矛盾しない限り、放送契約について適用される。

    第6章 視聴覚製作契約
    第68条

    視聴覚製作契約に基づいて、著作者又は場合により経済的権利の所有者は、別段の合意がない限り、視聴覚著作物の複製、頒布、公衆への伝達及び字幕の挿入の経済的権利の排他的所有権を製作者に与える。この規定は、音楽の著作物については適用されない。

    第69条

    著作者の寄与が、不可抗力を理由として完成されない場合には、製作者は、すでに完成された部分についてのその著作者の権利(無名とする権利を含む。)を尊重することを条件とし、かつ、適当とされうるいずれの補償をも害することなく、その部分を使用することができる。

    第70条

    製作契約の効力は、視聴覚著作物の作成が、両当事者が明示した期間内に、又は不可抗力を理由として開始されない場合には、当然に消滅する。

    第71条

    視聴覚著作物は、一方の監督(演出家)又は作成者と他方の製作者との間の合意に従って最終版が製作された時に完成したものとみなされる。

    第72条

    文芸の著作物の出版契約に関する規定は、この章の規定と矛盾しない限り、視聴覚製作契約について適用される。

    第7章 広告契約
    第73条

    広告契約は、文学的又は美術的著作物を、販売促進又は身元確認を目的として、いずれかの伝達媒体による広告又は商業的告知に利用することを目的とする契約とする。

    第74条

    広告又は商業的告知は、最初の伝達の後6か月を超えない期間の間流布することができる。その期限の後は、追加の各6か月の期間についての支払いと引き換えに伝達が実施されるものとし、そのような期間の部分について伝達が実施される場合であっても、少なくとも最初に契約された金額の支払いを伴う。最初の伝達の後3年が経過した後は、使用は、使用される著作物の著作者及びその著作物の隣接権の所有者の許可を必要とする。

    第75条

    印刷媒体による広告の場合には、契約は、著作物を複製すべき有形媒体を明示し、かつ、小冊子又は定期刊行物以外の媒体の場合には、印刷作業を構成する複製物の部数を明示するものとする。追加の各印刷作業については、明示の合意がなければならない。

    第76条

    文芸の著作物又は音楽の著作物の出版契約に関する規定及び視聴覚製作契約に関する規定は、この章の規定と矛盾しない限り、広告契約について適用される。

    第4編 著作権保護

    第1章 通則
    第77条

    その名前又は知られた若しくは登録された変名が著作物の著作者名として記載されている者は、反対の証拠がない場合には、著作者とみなされ、かつ、その者の権利の侵害についてその者が提起する訴訟は、その結果、管轄の裁判所によって受け入れられる。

    変名で著作された著作物又はその著作者が身元を明らかにしていない著作物に関して、それらの著作物の権利の保護のための訴訟は、著作者の同意を得てそれらの著作物を公衆に知らせる者の責任とし、その者は、前もって別段の合意をしない限り、権利所有者が当該訴訟手続に参加するまでの間、管財人としての役目を果たす。

    第78条

    文学的又は美術的著作物の編曲、要約、拡大版、翻訳、翻案、意訳版、編集物、収集物及び変形などの二次的著作物は、それら自体の独創的内容について保護される。ただし、これらの著作物は、この法律第21条(3)に規定する場合には、著作者人格権の所有者の事前の同意を得て、原著作物の経済的権利の所有者の許諾を得たときにのみ、利用することができる。

    二次的著作物が公有に属している場合には、それらの著作物は、それら自体の独創的内容について保護される。ただし、その保護は、原著作物の排他的使用権を含まず、又はそれらの著作物の他の改作を作成することを差し止める権利を与えない。

    第79条

    経済的権利の所有者から著作物を翻訳する許可を得たことを証明する翻訳者又は著作物の翻訳物の経済的権利の所有者は、当該翻訳物についてこの法律によって与えられる保護を享有する。したがって、その翻訳物は、翻訳者の同意を得ずに複製し、修正し、出版し、又は改変することができない。

    翻訳が前項に基づいて行われ、かつ他の翻訳との関係においてほとんど違いを示さず、又はほんの小さな違いしか示さない場合には、その翻訳は、単なる複製とみなされる。

    第80条

    共同著作物の場合には、この法律によって与えられる権利は、別段の合意がない限り、又は各共同著作者(の資格)が明示されていない限り、すべての著作者に等分に発生する。

    この法律に規定する権利を主張するためには、著作者の多数の同意が要求され、かつ、その同意は、著作者すべてを拘束する。少数派の著作者がいる場合には、それらの著作者は、生じうるいずれの費用にも寄与する義務を負わない。ただし、得ることがあるいずれかの利益からそれらの費用を控除することを条件とする。

    多数派(の著作者)が著作物を使用し、又は利用する場合には、それらの者は、負う経費の額を収益全体から控除し、かつ、少数派(の著作者)が資格を有する取り分を少数派に引き渡す。

    各著作者の分担部分を明確に確認することができる場合には、それらの著作者は、それらの者に帰属すべき部分についてこの法律に定める権利を自由に行使することができる。

    別段の合意がない限り、著作物の各共同著作者は、著作物全体の登録を求めることができる。

    共同著作者又は経済的権利の所有者のいずれかが死亡した時に相続人がいない場合には、その者の権利は、他の者の権利に追加される。

    第81条

    別段の合意がない限り、音楽及び歌詞を伴う著作物の著作権は、文芸の部分の著作者及び音楽の部分の作曲者に等分に属する。各著作者は、その者に帰属すべき部分の権利又は著作物全体の権利を自由に行使することができ、かつ後者の場合には、その者は、他の共同著作者の名前を出版物に明記してその旨をその共同著作者に間違いなく通知し、更に権利が営利目的で行使されるときは、他の共同著作者が資格を有する取分をその者に支払うものとする。

    第82条

    新聞、雑誌、ラジオ番組又はテレビ番組その他の伝達媒体に記事を投稿する者は、別段の合意がない限り、それらの記事が新聞若しくは雑誌において出版された後、又はそれらの者が勤務している放送局によって放送された後に、それらの記事を収集物の形式で出版する権利を保持する。

    第83条

    別段の合意がない限り、著作物の製作を委託し、又は報酬のために働く他の者とともにそのような著作物を製作する自然人若しくは法人は、その著作物の経済的権利の所有権を享有し、かつ、その著作物の公表及び同一性並びにその種の創作物を含む収集物の作成に関する権利は、その者に発生する。

    報酬と引き換えに著作物の作成に参加する者は、その者が関係した創作の部分の著作者又は実演家としてのその者の資格の明示を請求する権利を有する。

    第83条の2

    前条の規定に付け加えて、音楽の著作物の実現に参加して支払いを受ける者は、この法律第26条の2及び第117条の2に従って、その著作物の公の伝達又は送信から生ずる使用料の支払いを受ける資格を有する。

    委託されたとみなされる著作物については、契約の用語は、明白かつ正確でなければならない。疑いがある場合には、著作者に最も有利な解釈が優先する。著作者は、また、著作物を創作することを委託された場合には、その契約を準備する資格を有する。

    第84条

    書面で作成される個人的雇用契約に基づく雇用の過程において作成される著作物の場合には、反対の合意がないときは、経済的権利は、雇用主と被雇用者との間で等しく共有されるものと推定される。

    雇用主は、被雇用者の許諾を得ずにその著作物を公表することができるが、逆のことはできない。書面で作成される個人的雇用契約がない場合には、経済的権利は、被雇用者に発生する。

    第2章 写真の著作物、立体の及び図形の著作物
    第85条

    別段の合意がない限り、その絵画、彫刻又は一般に立体芸術の著作物を処分した著作者は、その著作物を複製する権利を取得者に与えないが、それを展示し、及びそれをカタログに収録する権利を取得者に与えたものとみなされる。いずれの場合にも、著作者は、展示がその名誉又は職業上の評判を害する方法で実施されるときは、それらの権利の行使に反対することができる。

    第86条

    職業写真家は、委託によって製作した写真を、それらの者の著作物の見本として、許諾を得た後に、展示することだけができる。目的が文化的、教育的又は非営利出版のためである場合には、このことは要求されない。

    第87条

    肖像写真は、肖像写真を撮られる者、その代理人又は対応する権利の所有者の明示の同意を得てのみ、使用し、又は出版することができる。肖像写真を使用し、又は出版する許諾は、それを与えた者によって取り消すことができる。その場合、その者は、そのような取り消しによって生じうる損害及び侵害について責任を負う。

    ある者が報酬と引き換えにその肖像写真を作成することを許可する場合には、その者は、前項に定める同意を与えたものと推定され、かつ、その肖像写真が合意された方法で、及び同意された目的のために使用されることを条件として、それを取り消す権利を有しない。

    ある者の肖像写真が全体のうちの小部分を構成する場合、又は写真が情報若しくは報道の目的のために公の場所で撮られる場合には、この条に定める同意は、必要とされない。

    肖像写真を撮られる者に与えられる権利は、その者の死亡の後50年間存続する。

    第88条

    別段の合意がない限り、絵画、写真若しくは図形の著作物又は彫刻の著作物を複製する排他的権利は、その著作物をいずれかの種類の物品に複製し、又はそのような物品の商業広告のためにその著作物を複製する権利を含まない。

    第89条

    連続する図形及び写真の著作物は、著作者が作成する母型から複数の複製物を作成することの結果である著作物とする。

    第90条

    この法律の目的上、連続する図形及び写真の著作物の正当に署名され、かつ番号を付けられた複製物は、原著作物とみなされる。

    第91条

    この章の規定は、鋳型からの番号を付けた鋳物の限定版として作成される彫刻について適用される。

    第92条

    別段の合意がない限り、建築の著作物の著作者は、その著作物の所有者が改造物を作成することを阻止することができない。ただし、その著作者は、その名前がそのように改造された著作物と関連づけられることを禁止する権利を有する。

    第92条の2

    立体及び写真の美術の著作物の著作者は、公売若しくは商業施設と同様の条件で、又は商人若しくは商業上の代理人を介して、いずれかの再版の価格からの取り分を売り手から受け取る資格を有する。ただし、応用美術の著作物は、除外される。

    1. 著作者の前記の取り分は、この法律第212条に基づいて研究所によって確定される。
    2. この条によって創設される権利は、放棄することができず、相続によって移転され、かつ、著作者の死亡又は死亡の宣言の後100年で消滅する。
    3. 再版に介在した競売人、商業施設の所有者又は商業上の代理人は、2か月以内に関係の集中管理団体又は場合により著作者若しくはその継承者にその旨を通知し、かつ、所定の精算を実施するために必要な証拠書類を提供するものとする。また、競売人は、売り手として又は売り手の代理として介在する場合には、連帯して及び別個に、使用料の支払いを精算する責任を負い、かつ、そのために、価格から前記の取り分を保持するものとする。いずれの場合にも、競売人は、そのような取り分の額を受け取ったものとみなされる。
    4. 同一の権利が、文学的及び美術的著作物の原本である原稿について適用される。
    第93条

    この章の規定は、独創性を有する応用美術の著作物について適用される。それらの著作物の使用(権)は、保護を受けることができない。

    第3章 映画の著作物及び視聴覚著作物
    第94条

    視聴覚著作物とは、収録された音を伴い、又は伴わない関連する映像の連続として表現された著作物であって、機械的手段によって知覚可能とされ、かつ動きの印象を生ずるものをいう。

    第95条

    視聴覚著作物に翻案され、又はその著作物に収録される著作物の著作者の権利を害することなく、視聴覚著作物は、原著作物として保護される。

    第96条

    経済的権利の所有者は、視聴覚著作物へのそれぞれの分担部分をそれらの者自身の権利の利用のために使用することができる。ただし、その著作物の通常の利用がそれによって害されないことを条件とする。

    第97条

    次に掲げる者が、視聴覚著作物の著作者とされる。

    1. 監督(又は演出家)
    2. 筋、脚色、脚本又は対話の著作者
    3. 楽曲の著作者
    4. 撮影者
    5. 漫画及び動画の著作者

    別段の合意がない限り、製作者は、著作物全体の経済的権利の所有者とみなされる。

    第98条

    視聴覚著作物の製作者は、著作物の作成について発意し、それを調整し、及びその責任をとり、又はそのスポンサーとなる自然人又は法人とする。

    第99条

    別段の合意がない限り、著作者又は場合により経済的権利の所有者と製作者との間で締結される契約は、視聴覚著作物の経済的権利の製作者への無制限の排他的譲渡を伴わない。

    著作者又は経済的権利の所有者が、一旦視聴覚著作物の作成に寄与することを約束すると、それらの者は、その著作物の複製、頒布、公演、有線送信、放送、公衆への伝達又は字幕の挿入及びテキストの吹き替えに反対することができない。

    著作者の権利を害することなく、製作者は、視聴覚著作物の利用に必要なすべての行為を行うことができる。

    第100条

    この章に含まれる規定は、放送の著作物について準用される。

    第4章 コンピュータ・プログラム及びデータベース
    第101条

    コンピュータ・プログラムとは、一連の指令であって、特定の連続、構造及び組織によって、コンピュータその他の装置に特定の仕事又は機能を実施させることを意図するものの、いずれかの形式、言語又は符号による独創的表現をいう。

    第102条

    コンピュータ・プログラムは、文芸の著作物と同一の条件で保護される。この保護は、ソース・コード又はオブジェクト・コードの形式によるオペレーティング・プログラム及びアプリケーション・プログラムの両者に及ぶ。他のプログラム又は装置に有害な効果を与えることを目的とするコンピュータ・プログラムは、除外される。

    第103条

    別段の合意がない限り、コンピュータ・プログラム及びその関係資料の経済的権利は、それらが1又は2以上の被雇用者によってその職務の過程において、又はその雇用主からの指図に基づいて創作される場合には、雇用主に帰属する。

    この法律第33条の規定の例外として、コンピュータ・プログラムに関連する権利の譲渡のための期間は、いずれの制限にも服さない。

    第104条

    第27条 (4) の規定の例外として、コンピュータ・プログラム又はデータベースの著作権の所有者は、その複製物の販売の後であっても、それらの複製物の貸与を許諾し、又は禁止する権利を保持する。この原則は、コンピュータ・プログラムの複製物自体が使用許諾の不可欠の要素を構成しない場合には、適用されない。

    第105条

    コンピュータ・プログラムの適法な使用者は、著作権の所有者が与える許諾がその者に許すだけ多数の複製物を作成することができ、又は複製物が次のいずれかに該当する場合には単一の複製物を作成することができる。

    1. その複製物が、プログラムの使用上不可欠である場合
    2. 適法に取得した複製物が、損傷又は紛失のために使用上不可能なときに、その複製物と取り換えるための予備の複製物としてのみを意図される場合。使用者のコンピュータ・プログラムの使用権が、消滅するときは、その予備の複製物は、破棄されるものとする。
    第106条

    コンピュータ・プログラムの経済的権利は、次に掲げる事項を許諾し、又は禁止する権利を含む。

    1. プログラムの全部又は一部分をいずれかの媒体及び形式に恒久的に又は一時的に複製すること。
    2. プログラムの翻訳、翻案、編曲その他いずれかの変更、及びその結果としてのプログラムを複製すること。
    3. プログラム自体又は複製物のいずれかの形式の頒布(貸与を含む。)
    4. コンピュータ・プログラムについてデコンパイル(機械語を日常語に変換すること)し、又はリバース・エンジニアリング(分解工学)の処理をすること。
    第107条

    マシン・リーダブル(機械可読)や他の解読可能な形式のデータベースその他の資料であって、その内容の選択及び配列のために知的創作物を構成するものは、編集物として保護される。そのような保護は、データ及び資料自体には及ばない。

    第108条

    独創的でないデータベースは、それにもかかわらず、それらを開発した者の排他的使用のために5年の期間の間保護される。

    第109条

    前条に定めるデータベースに含まれる人々に関する個人的性格の情報へのアクセス並びにそのような情報の出版、複製、公表、公衆への伝達及び送信は、関係する人々の事前の許諾を必要とする。

    前項の規定は、行政及び司法の執行について責任を有する当局が関係法令に従って行う調査については適用されず、又は法律によって権限を権限を与えられる者による公文書のアクセスについては、そのアクセスが適切な手続に従っていることを条件として、適用されない。

    第110条

    データベースの経済的権利の所有者は、そのデータベースの構造の表現形式について、次に掲げる事項を許諾し、又は禁止する排他的権利を有する。

    1. いずれかの手段により、及びいずれかの形式で、その全体又は一部分を、恒久的に又は一時的に複製すること。
    2. その翻訳、翻案、再編曲その他いずれかの方法による変更
    3. データベースの原本又は複製物の頒布
    4. その公衆への伝達
    5. この条 (2) に掲げる作業の結果の複製及び頒布又は公衆への伝達
    第111条

    視覚的、音の、立体の、又は動画の要素を含む電子的に作動するプログラムは、それら自体の独創的特徴についてこの法律によって保護される。

    第112条

    コンピュータ・プログラム、電磁波による及び電気通信網による通信並びに前条に掲げる電子要素を含むプログラムの技術的保護の除去を目的とする装置を輸入し、製造し、頒布し、及び使用すること、又はそのような業務を提供することは、禁止される。

    第113条

    電子手段によって電磁気の領域にわたって、及び電気通信網にわたって送信される著作物及び実演並びにそのような送信から得られる結果は、この法律によって保護される。

    第114条

    この法律に基づいて保護される著作物の有線、電磁波、衛星その他類似の手段による送信は、メキシコの法令に従わせられるものとし、かつ、すべての場合に、及びすべての時に、この主題に関する規定に従うものとする。

    第5編 隣接権

    第1章 通則
    第115条

    この編に規定する保護は、文学的及び美術的著作物の著作権の保護を害せず、かつ、いずれにしてもその保護に影響を与えない。したがって、この編のいずれの規定も、その保護を害するように解釈することはできない。

    第2章 実演家
    第116条

    実演家とは、俳優、語り手、話し手、歌手、音楽家、舞踊家、その他文学的若しくは美術的著作物若しくはフォークロアの表現を実演し、又はその実演を指図する既存のテキストを有しない場合であっても、類似の活動に従事するいずれの者をもいう。エキストラ及び代役は、この定義に含まれない。

    第117条

    実演家は、その名前をその実演と関連づけさせる権利を有し、かつ、その実演のいずれの歪曲若しくは切除にも反対し、又はその他その名声若しくは評判を害するようなその実演に関する不利な行為に反対する権利を有する。

    第117条の2

    実演家は、いずれかの媒体、公衆伝達又は公衆への提供において直接的若しくは間接的営利を目的として実施されるその実演の使用又は利用について報酬を受け取る放棄不能の権利を有する。

    第118条

    実演家は、次に掲げる事項に反対する権利を有する。

    1. その実演を公衆に伝達すること。
    2. その実演をいずれかの有形媒体に固定すること。
    3. その実演のそのような固定物を複製すること。

    前項の権利は、実演家がいったんその実演を視覚的、音の、若しくは視聴覚的固定物に収録することを許諾した場合には、消尽したものとみなされる。ただし、そのような物的媒体を営利目的で使用する者は、対応する支払いをすることを条件とする。

    第119条

    音楽集団、聖歌隊、オーケストラ、バレエ団又は劇団などの同一の実演に集団として参加する実演家は、前条に定める反対する権利を行使するためにそれらの者の中から代表者を指名するものとする。

    そのような指名がない場合には、集団又は団体のリーダーが代表者の役目を務めるものと推定される。

    第120条

    実演契約は、その実演の固定、複製及び公衆への伝達に関連する回数、期間、報酬その他の条件及び手続を明定する。

    第121条

    別段の合意がない限り、視聴覚著作物の製作を目的とする実演家と視聴覚著作物の製作者との間の契約の締結は、実演家の実演を固定し、及び複製する権利並びにそれらを公衆に伝達する権利を含む。前期の締結は、別段の合意がない限り、視聴覚著作物に固定された音と映像を個別に使用する権利を含まない。

    第122条

    実演家に許与される保護期間は、次に掲げる時点から起算して75年とする。

    1. 実演のレコードへの最初の固定
    2. レコードに固定されていない著作物の最初の実演
    3. ラジオ、テレビその他の媒体による最初の送信
    第3章 書籍出版者
    第123条

    書籍は、いずれかの媒体に印刷されている文芸、美術、学術、技術、教育、情報、又は娯楽の性格を有するいずれかの単一の非定期出版物であって、その発行が、1巻若しくは2巻以上として又は間隔をおいて発行される小冊子として全体的には1つの作業で行われるものとする。それは、また、書籍とともに単一の全体を構成し、かつ、個別に市場に出すことができないいずれかの種類の媒体(電子媒体を含む。)による補足的資料を含む。

    第124条

    書籍出版者は、出版を選択し、又は計画し、かつ、その製作を自ら又は第三者を通して実施する自然人又は法人とする。

    第125条

    書籍出版者は、次に掲げる事項を許諾し、又は禁止する権利を有する。

    1. その書籍の全部若しくは一部を直接的又は間接的に複製し、及びそれを利用すること。
    2. その書籍の複製物をその許諾を得ずに輸入すること。
    3. その書籍の原本及び各複製物を販売その他の手段により最初に公衆に頒布すること。
    第126条

    書籍出版者は、各書籍の版面及び図形の特徴が独創的である限り、それらについて排他的権利を有する。

    第127条

    この章に定める保護は、当該書籍の最初の発行から50年間とする。

    第128条

    定期刊行物は、この章が書籍に与える保護と同一の保護を受ける。

    第4章 レコード製作者
    第129条

    レコードは、実演の音その他の音のみの、又はそのデジタル表示のいずれかの固定物とする。

    第130条

    レコード製作者は、実演の音その他の音又はそのデジタル表示を最初に固定し、かつ、レコードの製造、複製及び発行について責任を有する自然人又は法人とする。

    第131条

    レコード製作者は、次に掲げる事項を許諾し、又は禁止する権利を有する。

    1. そのレコードの全部若しくは一部を直接的又は間接的に複製すること及びそれを直接的又は間接的に利用すること。
    2. その許諾を得ずに作成されたレコードの複製物を輸入すること。
    3. レコードの原本及び各複製物を販売その他の手段により公衆に頒布すること(信号又は放送の手段による頒布を含む)。
    4. レコードを翻案し、又は変形すること。
    5. 原本であるレコード又はその複製物が販売された後であっても、それを商業的に貸与すること。ただし、著作者又は経済的権利の所有者がそれを自らに留保していないことを条件とする。
    第131条の2

    レコード製作者は、そのレコードが直接的又は間接的営利を目的として、いずれかの媒体、公衆への伝達又はそれらの提供のために使用され、又は利用されることについて報酬を受ける権利を有する。

    第132条

    レコードは、℗の記号を最初の発行の年の記載とともに表示する。

    前期の要件の不履行は、レコード製作者がその権利を失う原因とはならないが、法律に規定する制裁を製作者に負わせる。

    反対の証拠がない場合には、その名前が℗の記号を先頭に、かつ最初の発行の年を伴ってレコードの適法複製物に表示されている自然人又は法人が、レコード製作者であると推定される。

    レコード製作者は、その製品のレーベル及び輸出される原盤についての詳細を、それぞれの場合の国名とともに、集中管理団体に通知する。

    第133条

    いったんレコードが適法にいずれかの商業ルートに持ち込まれると、実演家もレコード製作者も、公衆へのその直接伝達に反対することができない。ただし、それを営利目的のために使用する者は、対応する支払いをそれらの者にすることを条件とする。当事者間に合意がない場合には、使用料の支払いは、等分に行われる。

    第134条

    この章に定める保護は、音のレコードへの最初の固定から75年間とする。

    第5章 ビデオグラム製作者
    第135条

    ビデオグラムとは、収録された音を伴い、若しくは伴わない関連する映像であって、動きの印象を与えるもの、又は視聴覚著作物から、又は他の著作物若しくはフォークロアの表現の実演からとったそのような映像のデジタル表示、その他音を伴い、若しくは伴わない同種類の映像の固定物をいうものとみなされる。

    第136条

    ビデオグラム製作者は、収録された音を伴い、若しくは伴わない関連する映像であって動きの印象を与えるもの、又は視聴覚著作物を構成し、若しくは構成しないそのような映像のデジタル表示を最初に固定する自然人若しくは法人とする。

    第137条

    製作者は、そのビデオグラムについて、それらの複製、頒布及び公衆への伝達を許諾し、又は禁止する権利を享有する。

    第138条

    この章に規定する権利の期間は、映像のビデオグラムへの最初の固定から50年とする。

    第6章 放送機関
    第139条

    この法律の目的上、2人以上の視聴者が受信することができる音若しくは視覚的信号又はこの両者を送信することができる免許又は認可を所有する組織が、放送機関とみなされる。

    第140条

    放送又は送信とは、電磁波、ケーブル(有線)、光ファイバーその他類似の媒体を用いて著作物、音又は音と映像を伝達することをいう。放送の概念は、また、その後の放送のために衛星に向けて地上局から信号を送ることを含む。

    第141条

    再送信は、ある放送機関が他の放送機関からの放送を同時に送信することとする。

    第142条

    一時的録音・録画は、放送機関が、技術上又はスケジュール上の理由により、かつ、後の単一の放送を目的として、音楽選集又はその部分、学術上の会議資料、講義又は研究、文芸、演劇、舞踊及び楽劇の著作物、コンピュータ・プログラム並びに一般に放送に適したいずれかの著作物の映像、音又はその両者を自己のスタジオにおいて前もって録音・録画し、又は固定しなければならない場合に、その放送機関が行う録音・録画とする。

    第143条

    信号は、次に掲げるものとすることができる。

    1. それらの公衆へのアクセス可能性に関して
      1. 暗号化されている信号:それらを発信する放送機関から事前にその権利を取得している者のみによって受信され、かつ解読されるために変更されているもの。
      2. 開放されている信号:信号の受信に適したいずれの装置を用いても受信することができるもの。
    2. それらの発信時に関して
      1. 同時信号:生の番組又は出来事を伝えるもの。
      2. 異時信号:事前に録音・録画した番組又は出来事を伝えるもの。
    第144条

    放送機関は、その放送に関して次に掲げる事項を許諾し、又は禁止する権利を有する。

    1. 再送信
    2. 異時送信
    3. ケーブル(有線)その他いずれかの方式による同時又は異時の配信
    4. 有形媒体への固定
    5. 固定物の複製
    6. 直接的営利を目的とするいずれかの手段による、及びいずれかの形式における公衆への伝達
    第145条

    信号の適法な配信者の許可を得ずに次に掲げる行為を行う者は、損害及び侵害について責任を負う。

    1. 暗号化された番組伝送衛星信号を解読すること。
    2. 不法に解読されている暗号化された番組伝送衛星信号を受信し、及び配信すること。
    3. 暗号化された番組伝送衛星信号の解読を実質上助ける装置又は方式の製造、輸入、販売又は貸与に参加し、若しくは助力し、又はそのような装置又は方式の供給に役立ついずれかの行為の実行に参加し、若しくは助力すること。
    第146条

    この章に定める放送機関の権利は、番組の最初の原放送又は原送信から50年を期限とする。

    第6編 著作権及び隣接権の制限

    第1章 公益のための制限
    第147条

    文学的又は美術的著作物の出版又は翻訳は、学術、国民文化及び国民教育の振興のためにそれらが必要である場合には、公益のためであるとみなされる。対応する経済的権利の所有者の同意を得ることができない場合には、連邦行政部が、公教育省を通じて、かつ、職権により、又は当事者の要請によって、賠償的報酬の支払いと引き換えに当該出版又は翻訳を許諾することができる。前期の規定は、メキシコが署名し、及び批准した著作権及び隣接権に関するいずれの国際条約も害することはない。

    第2章 経済的権利の制限
    第148条

    すでに公表されている文学的及び美術的著作物は、次に掲げる場合に限り、経済的権利の所有者の同意を得ることなく、かつ、報酬を支払うことなく、使用することができる。ただし、著作物の通常の利用がそれによって不利な影響を受けないこと、並びに、出所が常に明示され、かつ、著作物にいかなる変更も加えられないことを条件とする。

    1. 原文の引用。ただし、引用した量が、著作物の内容の見せかけの実質上の複製とみなすことができないことを条件とする。
    2. 新聞雑誌において公表され、又はラジオ若しくはテレビその他いずれかの伝達媒体によって放送された時事の出来事に関する記事、写真、挿し絵及び解説の複製。ただし、権利所有者がこれを明白に禁止していない場合に限る。
    3. 学術上、文芸上又は美術上の批評及び研究を目的とする著作物の部分の複製
    4. 文学的又は美術的著作物の1回限り、かつ1部限りの複製であって、複製を行う者の個人的及び私的使用のため、かつ営利を目的としないもの。法人は、それが教育又は研究の機関であり、又は商業活動に従事していない場合を除き、この号の規定を利用することはできない。
    5. 公文書館又は図書館による1部限りの複製であって、著作物が絶版であり、もはや目録に載せられておらず、又は無くなるおそれがある場合に安全及び保存を理由とするもの。
    6. 司法上又は行政上の訴訟手続における証拠を目的とする複製
    7. 公開の場所から見ることができる著作物の素描、絵画、写真及び視聴覚的方法による複製、伝達及び頒布
    第149条

    次に掲げる行為は、許諾を得ることなく行うことができる。

    1. 文学的及び美術的著作物は、それらの著作物の複製物を売買する公衆に開放された商店又は施設において使用することができる。ただし、入場料が課されないこと、及び使用が、販売の行われる場所の範囲を越えず、かつ、著作物の複製物の販売を促進するという唯一の目的にかなうことを条件とする。
    2. 次に掲げる条件に従って、一時的録音・録画物を作成することができる。
      1. この目的のために合意された期間内に送信が行われること。
      2. 録音・録画を口実として関連する、若しくは同時の放送又は伝達が行われないこと。
      3. 録音・録画は、1回限りの放送の権利を与える。

    前記の方法によって実施される映像と音の録音・録画及び固定は、著作物の使用について支払われるべき報酬以外のいずれの追加の報酬の支払いも要しない。

    この号の規定は、著作者又は実演家が、後の放送を許諾する報酬のための協定を締結している場合には、適用されない。

    第150条

    次に掲げる状況すべてが当てはまる場合には、公の実演についての使用料はない。

    1. 実演が、個人の家庭で通常使用される種類のラジオ又はテレビの受信機を用いて直接受信される通信の伝達の形態をとること。
    2. 一連のサービスの一部でない送信の視聴について料金が課されないこと。
    3. 受信した送信が、営利目的のために再送信されないこと。
    4. 受信当事者が、小経営者又は零細事業者であること。
    第151条

    次に掲げる場合には、実演、レコード、ビデオグラム又は放送の使用は、実演家、レコード製作者、ビデオグラム製作者又は放送機関の権利の侵害とはならない。

    1. 直接の経済的利益を求めない場合
    2. 時事の出来事の報道のために短い断片のみが使用される場合
    3. 教育又は学術研究を目的として使用される場合
    4. 関係する事例が、この法律第147条、第148条及び第149条に規定するものである場合
    第3章 公有
    第152条

    公有の著作物は、当該著作者の著作者人格権の尊重という唯一の条件に従って、いずれの者も、自由に使用することができる。

    第153条

    無名の著作者の著作物の使用は、その著作者がその身元を明らかにしていないこと、又は経済的権利の認められる所有者がいないことを要件として、自由とされる。

    第7編 国のシンボル及び大衆文化の表現の著作権

    第1章 通則
    第154条

    この編に定める著作物は、その著作物の個人の著作者を確定することができるか否か、又は著作者に与えられる保護期間が消滅しているか否かにかかわらず、保護される。

    第2章 国のシンボル
    第155条

    メキシコ国家を、国のシンボル(象徴)の著作者人格権の所有者とする。

    第156条

    国のシンボルの使用は、国家紋章、国旗及び国歌に関する法律の規定に従うものとする。

    第3章 大衆文化
    第157条

    この法律は、文学的及び美術的著作物、大衆芸術の著作物又は工芸の著作物、並びに地方語によるすべての独創的表現、及びメキシコ国家を構成する多文化社会の慣行、慣習及び伝統であって身元を確認できる著作者を有しないものを保護する。

    第158条

    メキシコ共和国に起源若しくはルーツを有する共同社会又は民族集団において進化し、及び永続してきた文学的又は美術的著作物、大衆芸術の著作物又は工芸の著作物は、それらの著作物の評判を悪くすること、又はそれらが帰属する共同社会若しくは民族集団の評判若しくはイメージを害することを意図する改変に対して、この法律によって保護される。

    第159条

    この章によって保護される文学的若しくは美術的著作物、大衆芸術の著作物又は工芸の著作物の使用は、この章の規定に違反しないことを条件として、自由とされる。

    第160条

    この章に基づいて保護される文学的若しくは美術的著作物、大衆芸術の著作物又は工芸の著作物のいずれかの固定、表現、出版、伝達又はいずれかの方法による使用には、その著作物が特有なものとされる共同社会若しくは民族集団又は場合によりメキシコ共和国の地方を明示するものとする。

    第161条

    研究所は、この章の規定の順守を確保すること及びこの章の適用を受ける著作物の保護を援助することについて責任を負う。

    第8編 権利の登録

    第1章 公的著作権登録簿
    第162条

    公的著作権登録簿の目的は、関係する著作者、隣接権者、経済的権利の保有者及びそれらの者の権利継承者の法的安全を確保すること、並びに著作物、証書及び書類を登録を通じて十分に周知させることにある。

    文学的及び美術的著作物並びに隣接権は、それらが登録されない場合であっても、保護されるものとする。

    第163条

    公的著作権登録簿には、次に掲げるものを載録することができる。

    1. 文学的又は美術的著作物の著作者が提出するそれらの著作物
    2. 文学的又は美術的著作物の要約、編曲、翻訳、翻案その他の改作(経済的権利の所有者が与える当該著作物を公表する許可の証明がない場合であっても)。このような登録は、適切な許諾が証明されない限り、登録された著作物を出版し、又はいずれかの方法で使用する権利を与えるものではない。その事実は、登録及び発行されるいずれの証明書の両方に記録される。
    3. 各種の集中管理団体に関する証書及び計算書(それらを改訂し、又は修正するものを含む。)
    4. メキシコの集中管理団体が外国の対応する団体と締結する契約又は協定
    5. 経済的権利をいずれかの方法で与え、変更し、移転し、債務を負わせ、又は取り消す証書、協定又は契約
    6. 隣接権に関する協定又は契約
    7. 研究所との交渉のために与えられる委任状。この場合、与えられる代表権は、本人が研究所を相手に処理すべきすべての業務に適用される。
    8. 集中管理団体に対してその会員が与える指示
    9. 実演家が締結する実演の協定又は契約
    10. 著作物の図形的その他独特の特徴
    第164条

    公的著作権登録局は、次に掲げる義務を有する。

    1. 適当な場合に、提出される著作物及び関係書類を登録すること。
    2. 登録に関する情報及び、次項に規定する場合を除き、登録簿に載録されている資料に関する情報を請求する者にその情報を提供すること。

    コンピュータ・プログラム、出版契約及び未発行著作物の場合には、写しの発行は、経済的権利の所有者の許可を得てのみ、又は裁判所の命令によってのみ、許される。

    請求者又は請求当局が登録簿記載事項の写しを請求する場合には、研究所は、認証謄本を発行するが、登録簿からの原本の除去は、いずれの場合にも許されない。原本へのアクセスを請求する司法当局又は行政当局は、公的著作権登録局の構内において原本を閲覧する。

    紙以外の有体物に固定されている著作物の場合には、司法当局、行政当局、請求者又は場合により証拠を提示する当事者は、写しをとるための技術的手段を提供する。この条に基づいて作成される複製物は、関係する司法上又は行政上の訴訟手続における証拠としてのみ使用することができる。

    1. 次に掲げるものの登録を拒否すること。
      1. この法律第14条に基づいて保護を受けることができないもの。
      2. 公有の著作物
      3. すでに登録簿に載録されているもの。
      4. 商標(その主題が美術の著作物でもあり、かつ、著作権者としての承認を求める者が商標の所有者でもある場合を除く。)
      5. 広告及び販売促進のキャンペーン
      6. 著作権判決の公示又は優先捜査の開始のために登録の効力を一時停止する旨の欄外の注がある資料
      7. 一般に、形式又は内容に関してこの法律の規定に違反し、その他一致していない証書及び資料
    第165条

    文学的又は美術的著作物の登録は、裁判所の命令による場合を除き、その著作物が道徳、プライバシー権又は公的政策に反していることを口実として拒否し、又は保留することができない。

    第166条

    文学的又は美術的著作物の登録は、いずれかの政治上、イデオロギー上又は学説上の考慮を口実として拒否し、又は保留することができない。

    第167条

    2人以上の者が同一の著作物の登録を請求する場合には、その著作物は、最初の請求に従って登録される。ただし、登録に異議を唱える権利を害しない。

    第168条

    登録簿の記載事項は、それらが関係する事実及び状況が、反対の証拠がない限り真実であるという推定を基礎とする。いずれの登録も、第三者の権利に従う。紛争が生じる場合には、登録の効力は、権限ある当局によって最終決定が言い渡される時まで一時停止される。

    第169条

    前条の規定にかかわらず、資格ある者が作成する証書又は締結する協定若しくは契約であって、登録簿に記載されているものは、その登録がその後に取り消される場合であっても、善意で行動する第三者に損害を与えて無効とされることはない。

    第170条

    記載事項は、著作者の名前並びに当てはまる場合にはその死亡の日付、その国籍及びその住所、著作物の表題、公表の日付、著作物が委託されたものかどうか、及び経済的権利の所有者の身元を明示する。

    変名で著作された著作者の登録については、申請は、登録を請求する当事者の責任で、著作者の身元確認についての明細を入れた封印した封筒を添付する。

    登録局代表は、登録を請求する当事者、著作物の出版者若しくはその権利の所有者から要請のある場合には証人の面前で、又は裁判所の命令によって、封筒を開封する。封筒を開封する目的は、著作者の身元及び著作物とのその者の関係を証明することにある。開封の記録がとられ、かつ、責任者が、請求されるいずれの証明書をも発行する。

    第171条

    2人以上の者が同一の著作物に関して同一の権利を取得している場合には、最初に登録された許諾又は譲渡が優先する。ただし、登録について争う権利は、害されない。

    第172条

    登録についての責任者が、その担当の部局が間違って記載をしたことを発見する場合には、その者は、そのことによって影響を受けうる者たちのための保証された聴聞(会)に従って、当該記載事項の取り消し又は修正についての手続を職権で開始する。

    第2章 排他的使用権の留保
    第173条

    権利の留保は、表題、名称、呼称、特色ある物質的及び心理的特徴又は独創的な操作上の特徴であって、それらの性質に応じて次に掲げる事項のいずれかに適用されるものの排他的使用及び利用の権利とする。

    1. 定期出版物:中身を異にする連続する部分として出版され、かつ、無期限に続くことが期待されるもの。
    2. 定期発行物:中身を異にする連続する部分として頒布され、かつ、送信することができるもの。
    3. 典型的な人的又は想像上の若しくは象徴的キャラクター
    4. 芸術活動に専心する個人又は集団
    5. 販売促進のための広告:新しい、保護されない考案物であって、市場で一般に出会う条件よりも良い条件で他の製品又はサービスを取得することを選択することができる一般公衆の追加の動機によって、ある製品又はサービスを販売促進し、かつ提供するためのもの。商業広告は、前記のものから除外される。
    第174条

    研究所は、前条に定める留保された権利を保護するために、関係する証明書を発行し、かつ、登録を行う。

    第175条

    前条に定める証明書によって与えられる保護は、それが関係の登録の一部を成す場合であっても、この法律第188条に規定する権利の留保について資格のない事項を含まない。

    第176条

    権利の留保を認めるために、研究所は、以前認められていたかもしれない他のいずれかの留保との混同の恐れを避けるために、権利が関係する表題、名称、呼称又は特徴を請求者が使用しようとする方法を確認する権利を有する。

    第177条

    権利の留保が認められ、かつ更新されるため、更にこの章に規定する他のいずれかの手続の処理のために履行すべき要件及び条件は、この法律に基づく規則に規定される。

    第178条

    2人以上の者がその自己の名前で権利の留保のための請求を提出する場合には、別段の合意がない限り、それらすべての者が平等に資格を有するものと理解される。

    第179条

    留保された権利が関係する表題、名称、呼称又は特徴は、留保が認められた形式で使用される。それらの構成要素のいずれの変更も、新しい留保を必要とする。

    第180条

    研究所は、留保された権利の付与に関するいずれかの事業において言い渡された決議の普通の又は認証した謄本を、権利者若しくはその代理人又は法的利害関係を証明するいずれの者にも供給する。

    第181条

    留保された権利の所有者は、対応する証明書に含まれる権利の移転について研究所に通知する。

    第182条

    研究所は、次に掲げる状況において、必要な注記を行い、かつ、適切な場合には必要な記録を交付する。

    1. 権利の留保が無効と宣言される場合
    2. 権利の留保が取り消されたと宣言される場合
    3. 消滅が宣言される場合
    4. 権限ある当局の命令によってそのような行為が要求されるすべての場合
    第183条

    権利の留保は、次に掲げる場合には、無効とされる。

    1. それらが、以前認められた、又は申請中の他の留保と全く同一か、又は区別がつかないほど類似している場合
    2. 規則上、留保の付与に不可欠な明細が、虚偽で提示された場合
    3. 留保の付与の日現在メキシコにおける不変で連続した先の使用によって、より強い権利の存在が示される場合
    4. 留保が、この章の規定に反する方法で認められた場合
    第184条

    権利の留保のための手続に関連して研究所が作成する証書の取り消しは、次に掲げる場合には、適切であるとされる。

    1. 請求者が、第三者に損害を与えて、又は法律上若しくは契約上の義務に違反して、悪意で行動した場合
    2. 留保が無効と宣言された場合
    3. この法律第179条の規定違反が、保護される他の留保との混乱を生じる場合
    4. 留保の所有者によってその取り消しが請求される場合
    5. 権限ある当局が言い渡す最終決定においてその取り消しが命じられる場合
    第185条

    権利の留保は、この章に規定する条件に基づいて更新されない場合には、消滅するものとする。

    第186条

    無効、取り消し又は消滅の行政上の宣言のための手続は、研究所により職権で、若しくは当事者の請求により、又は連邦が利害関係を有する場合には連邦検察官の示唆により、いつでも開始することができる。前条に定める消滅は、研究所側の行政上の宣言を必要としない。

    第187条

    この章に基づく無効及び取り消しのための手続は、この法律に基づく規則の関係規定に従って行われ、かつ裁決される。

    第188条

    次に掲げる事項については、権利を留保することはできない。

    1. この法律第173条に定める事項のいずれかに適用されると称される表題、名称、呼称、物質的若しくは心理的特徴又は操作上の特徴であって、次に掲げる場合に該当するもの。
      1. それらの文法上、音声上、視覚上若しくは概念上の同一性又は類似性のために、それらが、人を迷わせ、又は先に認められ、若しくは申請中の権利の留保と混同を生じさせるかもしれない場合。前文の規定にかかわらず、権利の同一の留保は、それらが同一の所有者によって請求される場合には、同一の事項に関連して取得することができる。
      2. それらが一般的であって、かつ、分離して使用される場合
      3. 国内的又は国際的な公的若しくは私的会社、機関又は研究所その他いずれかの公認機関による後援の証拠又は表示を、適切な明示の許諾を得ずに与える場合
      4. それらが、いずれかの国、州、市町村又は同等の政治区分の紋章、旗、記章又は記号を、許諾を得ずに複製し、又は模倣している場合
      5. それらが、いずれか特定の者の名前、変名又は肖像を、その者の明示の許可を得ずに含んでいる場合
      6. それらが、メキシコにおいて周知であると研究所がみなす他のものと同一であるか、又は混同させるほど類似している場合。ただし、請求者が周知の権利の所有者である場合を除く。
    2. 副表題
    3. 図形の特徴
    4. それらの特徴である名称のもとに確認され、又は一般に知られるようになった伝説、伝統又は過去の出来事
    5. 分離した文字又は数字
    6. それら自体としては留保することができない単語の任意の綴りの変化又は人為的な構造の他の言語への翻訳
    7. 分離して使用される人の名前。ただし、芸名若しくは舞台名、実演集団の名称又は生きた人間の、象徴的若しくは想像上のキャラクターの名前の保護のために提出されるものを除く。この場合には、この条 (1) (e) の規定が、適用される。
    8. 国、都市、地方その他いずれかの地域的、政治的若しくは地理的区分の名称若しくは呼称又はそれらに由来する上品名称(分離して使用されるそれらの派生形式を含む。)
    第189条

    定期出版物又は定期発行物の表題について付与される留保される権利の証明書の効力は、付与の日から1年とする。

    定期出版物の場合には、証明書は、流通の目的のために請求されることがある他のいずれの書類とも別個に発行される。

    第190条

    次に掲げるものについて認められる留保される権利の証明書の効力は、発行の日から5年とする。

    1. 人的及び想像上の若しくは象徴的キャラクターの名称並びに特色ある物質的及び心理的特徴
    2. 芸術活動に専心する個人又は集団の名称若しくは呼称
    3. 宣伝キャンペーンの独創的名称及び操作上の特徴
    第191条

    留保される権利の証明書が及ぶ保護の期間は、同一の存続期間の継続期間について更新することができる。この規定は、宣伝キャンペーンを除外する。宣伝キャンペーンは、その有効期間の満了とともに、公有に帰する。

    前項に定める更新は、留保される権利の使用についての正式の証拠に基づいて認められる。関係当事者は、その証拠を、対応する権利の留保の満了の日の前1か月からその日の後1か月までの期間中に研究所に提出するものとする。

    研究所は、権利の留保が関係する表題、名称、呼称又は特徴がその留保の時のもくろみ通りに使用されなかったことが、関係者が提出する証拠から明らかである場合には、この条に定める更新を拒否することができる。

    第9編 権利の集中管理

    単一章 集中管理団体
    第192条

    集中管理団体は、国内及び外国の著作者及び隣接権者を保護し、かつ、その著作権又は隣接権に基づいてそれらの者に支払われる金額を徴収してそれらの者に分配するために、この法律に基づいて設立される非営利目的の法人とする。

    メキシコに居住する国内又は外国の著作者及び隣接権者の権利承継人は、集中管理団体に所属することができる。

    前2項に定める団体は、その会員に対する相互援助の提供を目的として設立され、かつ、協同、平等及び公正の原則にその活動の基礎を置き、さらにそれらの団体を公益団体とするというこの法律に規定する原則に基づいて運営されるものとする。

    第193条

    集中管理団体として運営する権利は、研究所による事前の許可を必要とし、研究所は、連邦公報におけるその許可の公表を命じる。

    第194条

    この法律によって集中管理団体に課される義務の不履行の場合、又はその会員の間に紛争が起こって、理事長若しくは経営陣なしの状態になり、その結果団体の目的及び目標が悪影響を受け、その会員の権利に損害を与えるようになる場合には、研究所は、許可を取り消すことができる。このような状態では、事前の通知が研究所に提出され、研究所は、報告された事態が収拾され、又は矯正されるために3か月を超えない期間を設定する。

    第195条

    集中管理団体の会員となる資格を有する者は、団体に加入するか否かを自由に選択することができる。それらの者は、また、その経済的権利を自ら行使するか、代理人を通じて行使するか、又は団体を通じて行使するかを選択することができる。

    集中管理団体は、会員が著作物のいずれかの使用に関して、その権利を自ら行使することを選択する場合、又はそれらの者が支払いの直接的な回収方法に合意している場合には、使用料の徴収に関与することはできない。

    ただし、会員が団体に代理徴収を委任している場合には、それらの者は、その委任を取り消さない限り、使用料を自ら徴収することはできない。

    集中管理団体は、すべての形式の利用、あらゆる種類の著作物又はすべての将来の著作物の強制的管理を強いることはできない。

    第196条

    会員がその経済的権利を代理人を通じて行使することを選択する場合には、その代理人は、自然人とし、かつ、研究所の許可を得るものとする。代理人に与えられる委任権は、代替し、又は委任することができない。

    第197条

    集中管理団体の会員がその名による支払い金の徴収を団体にさせることを選択する場合には、それらの者は、訴訟及び徴収のための一般的委任権を団体に与える。

    第198条

    集中管理団体が徴収する使用料その他の支払い金は、定款上の禁止によって会員から団体に逆戻りすることはない。著作者のために外国から徴収される使用料その他の支払金の場合には、互恵主義の原則が適用される。

    第199条

    研究所は、次に掲げる状況に該当する場合に、第193条に定める許可を与える。

    1. 申請者である集中管理団体の定款が、研究所の判断上、この法律に規定する要件に従っていること。
    2. 研究所に申請される明細及び研究所が収集することができる情報が、申請者である集中管理団体が、その団体に委託されるべき権利の透明で効率的な管理という必要条件を満たしていることを示していること。
    3. 集中管理団体が、著作権、経済的権利の所有者及び国内の隣接権者の保護という一般的利益のために運営されていること。
    第200条

    研究所の許可を得る集中管理団体は、その自己の定款に規定するところに従って、その管理に任される権利を行使し、かつ、あらゆる種類の行政上又は司法上の訴訟手続においてそれらの権利を主張する資格を有する。

    集中管理団体は、その会員に代わって訴訟若しくは紛争を提起し、確認し、又はそれらをやめる権利を有する。ただし、それらの団体が、訴訟を提起し、又はそれをやめることについての特別条項を含んでいる訴訟及び徴収のための一般的委任権であって、研究所に登録されているものを与えられていることを条件とする。また、連邦刑事訴訟法典第120条の規定は、著作者及び派生する権利の所有者が関係の集中管理団体とともに自ら行動する可能性を条件として、それらの団体について適用されない。メキシコ共和国外に居住する外国人の場合には、関係する互恵協定の規定が、適用される。

    第201条

    集中管理団体と著作者、経済的権利の所有者又は隣接権者との間、並びにそれらの団体とその会員の著作物、実演、レコード、ビデオグラム又は放送の使用者との間のすべての証書、協定及び契約の締結については、書面形式が使用されるものとする。

    第202条

    集中管理団体は、次に掲げる目的を遂行する。

    1. その会員の経済的権利を行使すること。
    2. それらの団体が管理するレパートリーを、その構内において、使用者の利用に供すること。
    3. それらの団体が管理するレパートリーの使用のための許諾を、関係する委任の条件に従って、使用者と交渉し、かつ、適切な契約を締結すること。
    4. 許諾を得たレパートリーの使用をモニターすること。
    5. その会員に属する著作権又は隣接権について支払われる使用料をその会員に代わって徴収し、かつ、団体の管理費の控除の後にそれらの使用料を引き渡すこと。ただし、明示の委任協約が存在することを条件とする。
    6. 外国の著作権又は隣接権の所有者に生じる使用料を、それらの団体自ら又はそれらの団体を代理する集中管理団体を通じて、徴収し、かつ、引き渡すこと。ただし、メキシコの集中管理団体に明示の委任が与えられており、かつ、管理費の控除後であることを条件とする。
    7. その会員のための援助サービスを促進し、又は遂行し、かつ、そのレパートリーに関する促進活動を支援すること。
    8. それらの団体に対する寄付を受け取り、かつ遺贈を引き受けること。
    9. その性質に従ってそれらの団体に生じる他のいずれかの目的であって、前記の諸目的及びその会員と使用者又は当局との間の仲介者の地位と合致するもの。
    第203条

    集中管理団体は、次に掲げる義務を負う。

    1. その会員の著作者人格の保護に関与すること。
    2. その目標又は目的に従ってそれらの団体に委任される経済的権利又は隣接権の管理に合意すること。
    3. それらの団体が運営の許可を得た場合に、その定款並びに徴収分配規則、使用者と締結した契約、対応する団体と締結した代理契約並びにその管理機関のメンバー、理事、代表者などを指名する証書及び文書を、全てそれらの承認、締結、選挙又は指名から30日以内に、公的著作権登録簿に記載させること。
    4. 全ての会員を平等に取り扱うこと。
    5. 全ての使用者を平等に取り扱うこと。
    6. それらの団体が管理するレパートリーの使用者が支払う使用料の額を交渉し、かつ、合意が得られない場合には、一般的料金表の採用を研究所に提案し、及び補助的証拠を提出すること。
    7. その各会員が受け取った金額及びその計算書の写し、それらの団体を通じて外国に送金された金額並びにメキシコの著作者への分配又は外国の著作者への送金までの間それらの団体が保持している金額及びその金額がなお保持されている理由の証明書を添付して、それらの金額の明細計算書を毎年その会員に提供すること。この計算書は、当該団体の会員の名簿及びそれらの会員が資格を有する投票権を含む。
    8. 特定の清算の基礎となる証拠資料の写しをそれらの団体が代理する経済的権利の所有者に送付すること。清算を証明する資料を受け取る権利は、放棄することができない。
    9. その関与を通じて徴収される使用料を、その使用料が生み出したかもしれないいずれかの利子とともに、団体が使用料を受け取った日から3か月を超えない期間内に、支払うこと。
    第204条

    集中管理団体の理事の義務は、次に掲げることとする。

    1. 前条に明示する団体の義務の履行について責任をとること。
    2. 理事としてのその任期中にそれらの者が遂行する行為について民事及び刑事法上責任を負うこと。
    3. 前条第8号に定める証拠資料の写しを会員に送付すること。
    4. 団体に請求されることがある情報及び資料を、法令に従って研究所その他の権限ある当局に提供すること。
    5. 研究所が実行することがある点検において研究所を支援すること。
    6. その他この法律及び団体の定款に定めるいずれかの義務
    第205条

    集中管理団体の定款は、少なくとも、次に掲げる事項を記録するものとする。

    1. その名称
    2. その住所
    3. その目標又は目的
    4. その管理活動に含まれる権利の所有者の種類
    5. 会員資格の取得及び喪失を決定する条件
    6. 会員の権利及び義務
    7. 投票方式 A 会員の超過の代表選出を避けるために最適の機構が導入される。 B 会員の除名については、投票方式は、常に1会員1票とし、かつ、同意は、総会出席会員の投票の75パーセントを必要とする。
    8. 集中管理団体の管理機関及びその関連する権限、並びに各種の会議の招集のための規則及び議事日程に載っていない事項に関する合意の採択についての明示の禁止。
    9. 会員の中からの理事の選出のための手続。いずれの会員も、理事として勤める可能性を奪われることはできない。
    10. 当初の資産及び計画の財源
    11. 団体の収入全体のうち次のものに使われるパーセンテージ:
      1. 団体の運営
      2. 団体の社会福祉プログラム
      3. その会員の仕事の促進
    12. 徴収した金額の分配方式が従うべき規則。これらの規則は、代表される経済的権利又は隣接権の所有者が、その著作物、実演、レコード又は放送の現実の証明された使用に厳密に比例する、徴収使用料における取り分を与えられるという原則に基礎を置く。
    第206条

    会議の招集及び会議における定数に関する規則は、この法律及びこの法律に基づく規則並びに商事会社に関する一般法の規定に従う。

    第207条

    少なくとも10パーセントの会員からの報告に基づいて、研究所は、集中管理団体に対していずれの種類の情報をも提供することを要請し、かつ、その団体がこの法律及びこの法律に基づく規則の規定を履行していることを確認するために、点検及び会計検査を命じる。

    第10編 国立著作権研究所

    単一章
    第208条

    著作権及び隣接権に関する行政機関である国立著作権研究所は、公教育省の分権組織とする。

    第209条

    研究所の任務は、次に掲げることとする。

    1. 著作権を保護し、及び振興すること。
    2. 文学的及び美術的著作物の創作を奨励すること。
    3. 公的著作権登録簿を維持すること。
    4. その歴史的公文書を最新のものに保つこと。
    5. 著作権及び隣接権の登録及び保護について責任を有する施設との国際協力及び交換を促進すること。
    第210条

    研究所は、次に掲げる事項を行う権限を有する。

    1. 疑われる行政違反の捜査を行うこと。
    2. 視察巡回を実施することを権限ある当局に要請すること。
    3. 著作権及び隣接権の侵害を防止し、又は終わらせるための暫定措置を命じ、及び実施すること。
    4. 適切とされる行政上の制裁を科すること。
    5. その他、この法律、この法律に基づく規則その他の適用規定に基づいて研究所が実施することができるいずれかの行動をとること。
    第211条

    研究所は、事務局長の権限の下に帰属する。事務局長は、公教育省を通じて行動する連邦行政部によって任命され、及び解任され、かつ、この法律、この法律に基づく規則その他の適用規定に定める権限を有する。

    第212条

    使用料の支払いのための料金表は、集中管理団体又は関係の使用者の明示の要請に基づいて、研究所が提案する。

    研究所は、関係分野における慣習及び慣行並びに他の諸国における同一の事項に適用される料金表に照らして、要請を検討する。研究所は、承認のため提出される料金表に原則として同意する場合には、それを草案として連邦公報に公表し、かつ、関係当事者に30日の期間を与えて意見を提出させる。反対がない場合には、研究所は、料金表を提案し、かつ、それを最終案として連邦公報に公表する。

    反対がある場合には、研究所は、2回目の分析を行い、かつ、研究所が適切と考える料金表を提案して、それを連邦公報に公表する。

    第11編 訴訟手続

    第1章 司法当局への訴訟手続
    第213条

    連邦裁判所は、この法律の実施から生ずるいずれの紛争をも通告される。ただし、そのような紛争が個人的利害関係のみに影響する場合には、州裁判所及び連邦地方裁判所が、著作者の決定に従って、通告を受けることができる。

    提起されるいずれの民事訴訟も、この法律及びこの法律に基づく規則の規定に従って準備され、処理され、及び裁定される。それとともに、連邦裁判所には連邦民事訴訟法典が、及び州裁判所には国の法令が、補助的に適用される。

    第214条

    研究所は、登録簿の記録、注釈その他の記載事項が争われるいずれの訴訟手続にも当事者となり、かつ、その訴訟手続は、連邦裁判所にのみ提起することができる。

    第215条

    連邦裁判所は、普通の権限事項に関しては連邦地方のために、及び連邦権限事項に関しては共和国全体のために、刑法典第26編に規定する著作権違反について管轄権を有する。

    第216条

    司法当局は、著作権の分野において提起されるいずれの訴訟手続の開始をも研究所に通告する。

    研究所は、また、特定の著作物の著作権をいずれかの方法で変更し、債務を負わせ、取り消し、又は確認する全ての最終裁定の認証謄本の送付を受ける。それらの書類に照らして、適切な暫定的又は最終的な注記が、登録簿に付される。

    第216条の2

    この法律によって与えられる権利の侵害についての物質的及び精神的損害についての賠償並びに損害及び侵害についての補償は、この法律に基づいて保護される1又は2以上の権利の侵害を伴う最初の製品又はいずれかの種類のサービスの最初の提供の公開の販売価格の40パーセント以下には決してされない。

    前項に従ってそのような金額を決定することができない場合には、裁判所は、専門家を審問した後、損害についての賠償又は損害及び侵害についての補償の金額を確定する。

    この条の目的上、精神的侵害行為とは、この法律第21条(1)、(2)、(3)、(4) 及び (5) の各号に基づくいずれかの権利の侵害を引き起こすものをいう。

    第2章 和解手続
    第217条

    この法律によって保護される自己の権利のいずれかが影響を受けたと考える者は、それらの者が利用することができる司法上の訴訟を開始するか又は和解手続に頼るかを選択することができる。

    和解手続は、この法律の解釈又は実施から生じた紛争を円満に解決するために、両当事者の一方の求めに応じて、研究所に提起される。

    第218条

    行政上の和解手続は、次に掲げる手順に従って、研究所によって処理される。

    1. 手続は、この法律に基づいて保護される自己の著作権、隣接権その他の権利が悪影響を受けたと考える者によって書面で研究所に提出される申し立てに基づいて開始される。
    2. 申し立ての相手の者は、申し立て及びその添付書類を見せてもらい、かつ、通知の後10日の期間内に応答することを許される。
    3. 両当事者は、和解の審問に招集され、同時に、出席しない場合には、連邦地方における最低限の一般的日当の100倍の罰金を科される旨の警告を受ける。
    4. 審問において、研究所は、両当事者の間を和解させるように努め、かつ、両当事者間での解決を果たす。両当事者が合意すれば、和解の審問は、和解が達成されるに必要とされる回数だけ延期することができる。両当事者及び研究所が署名する和解は、既判事項とみなされ、かつ、実施することができる。
    5. 和解の審問の過程において、研究所は、案件の実質についていずれの言明もすることができないが、解決に積極的に参加することができる。
    6. 和解の手続が成功しない場合には、研究所は、この編第3章に基づく仲裁に訴えるよう両当事者に勧告する。

    審問の審議は、秘密とみなされ、従って、その全ての記録は、紛争の両当事者又はそれらを要請する権限ある当局のみに通告される。

    第3章 仲裁
    第219条

    この法律によって保護される権利に関していずれかの種類の紛争が生じる場合には、両当事者は、この章の規定、この章を実施する規則の規定及び補助的に商法典の規定によって律せられる仲裁手続に訴えることができる。

    第220条

    両当事者は、次の形式の仲裁手続に従うことに合意することができる。

    1. 仲裁条項:仲裁の合意は、この法律によって保護される著作物に関する契約の中に、又はその両当事者の間で将来生じるかもしれない全ての、若しくは幾つかの紛争に関する独立した合意として、記述される。
    2. 仲裁の約束:署名の時に既に両当事者間で全ての、又は幾つかの紛争が生じていた場合に、仲裁手続に従う合意

    仲裁条項及び仲裁の約束は、両者とも、常に書面に記述される。

    第221条

    毎年1月に、研究所は、仲裁人として行動する公認の者の名簿を公表する。

    第222条

    仲裁委員会は、次のとおり構成される。

    1. 両当事者双方は、研究所が提供する名簿から仲裁人を選出する。
    2. 2人以上の当事者が関係する場合には、それらの者は、仲裁人の代表選出についてそれらの者の間で合意しなければならない。合意がない場合には、研究所は、両者の仲裁人を指名する。
    3. 両当事者によって指名される2人の仲裁人は、それらの者自身、同一の名簿から委員会の議長を選出する。
    第223条

    仲裁人として指名されるためには、次に掲げる事項に該当することを要する。

    1. 法律の学位を保有すること。
    2. 認められる名声及び清廉さを享有すること。
    3. 過去5年間集中管理団体に職を得ていなかったこと。
    4. 両当事者のいずれかにかかえられた弁護士でなかったこと。
    5. 詐欺に関連する重大な犯罪で刑罰を受けていないこと。
    6. 両当事者のいずれかの、又は法人の場合には理事のいずれかの、4親等までのいずれかの血縁関係又は婚姻関係にないこと。
    7. 公務員でないこと。
    第224条

    仲裁の最大限の期間は、60日とし、この期間は、仲裁人の受諾を内容とする文書に明示される日の次の日から起算される。

    第225条

    仲裁手続は、仲裁の終了を宣言する裁定とともに、又は裁定が下される前に両当事者間の合意によって、終了することができる。

    第226条

    仲裁委員会の裁定は、

    1. 文書で発出される。
    2. 最終とし、控訴が及ばないものとし、かつ、両当事者を拘束する。
    3. 論証及び根拠によって支援される。
    4. 既判事項とみなされ、かつ、実施される。
    第227条

    裁決の通告の後5日以内に、両当事者のいずれも、研究所及び他の当事者に書面で通知を送達して、その裁決の分析的側面を明らかにし、いずれかの計算上又は印刷上の誤りその他いずれかの同性質の誤りを修正することを仲裁委員会に求めることができる。ただし、それによって裁決の意味が変更されないことを条件とする。

    第228条

    仲裁手続から生じる費用は、両当事者が負担するものとする。仲裁委員会の報酬の支払いは、研究所が毎年公表する料金表に従って清算される。

    第12編 行政手続

    第1章 著作権侵害
    第229条

    次に掲げる行為は、著作権侵害を構成する。

    1. 出版者、興行者、製作者、雇用者、放送機関又は被許諾者が、この法律の規定に反する方法で著作権移転を目的とする契約を締結すること。
    2. 被許諾者が、この法律第146条に基づいて与えられる強制許諾の条件に違反すること。
    3. 研究所に適切な登録を行うことなく集中管理団体であると称すること。
    4. 集中管理団体の理事としての勤務中に、この法律第204条(4) 及び第207条に定める情報及び書類を研究所に提出することを、正当な理由なく怠ること。
    5. この法律第17条に定める表示を発行著作物に挿入することを怠ること。
    6. この法律第53条に定める細目を出版物から省き、又は虚偽の細目を挿入すること。
    7. この法律第54条に定める情報を省き、又は虚偽の情報を挿入すること。
    8. この法律第132条に定める情報をレコードに固定することを怠ること。
    9. 著作物の出版の許諾を得ている場合に、その著作物の複製物に著作者、翻訳者、編集者、翻案者又は編曲者の名前を記載せずに、その著作物を出版すること。
    10. 著作物の出版の許諾を得ている場合に、著作者の名声自体及び適用ある場合に翻訳者、編集者、編曲者又は翻案者の名声を害する方法でその著作物を出版すること。
    11. 公務の過程において創作される著作物を、連邦、州又は市町村より先に、かつ許諾を得ずに出版すること。
    12. 先に出版された著作物と混同を生じる名称を著作物に不正に使用すること。
    13. この法律第7編第3章に基づいて保護される文学的又は美術的著作物を、その著作物が特有なものとされる共同社会若しくは民族集団又は適用ある場合にメキシコ共和国の地方を明示することなく、いずれかの方法で固定し、実演し、出版し、伝達し、又はいずれかの形式で使用すること。
    14. その他、この法律及びこの法律に基づく規則の解釈に由来するいずれかの違反行為
    第230条

    著作権侵害は、行政手続に関する連邦法の規定に従って、研究所により、次に掲げる罰金に処せられる。

    1. 前条(1)、(2)、(3)、(4)、(11)、(12)、(13) 及び (14) の各号に規定する場合には、最低限の日当の5,000倍から15,000倍の罰金
    2. 前条に規定するその他の場合には、最低限の日当の1,000倍から5,000倍の罰金

    侵害が継続する場合の毎日については、最低限の日当の500倍までの追加の罰金

    第2章 商業関連侵害
    第231条

    次に掲げる業務は、それらが直接的又は間接的営利目的で従事する業務である場合には、商業関連侵害を構成する。

    1. 著作者、その法定相続人又は著作者の経済的権利の所有者の明示の事前許諾を得ずに、保護著作物をいずれかの手段及びいずれかの形式で公衆に伝達し、又は公に使用すること。
    2. 人の肖像を、その許可又はその権利継承人の許可を得ずに使用すること。
    3. 著作権又は隣接権によって保護される著作物、レコード、ビデオグラム又は書籍の複製物を、この法律の規定に基づく各保有者の許諾を得ずに、製作し、製造し、仕入れ、頒布し、輸送し、又は市販すること。
    4. この法律によって保護される著作物であって、著作権者の許可を得ずに改変され、変更され、又は切除されているものを、販売、仕入れ、輸送又は頒布のために提供すること。
    5. コンピュータ・プログラムの保護のための電子装置の不活性化を目的とする装置又はシステムの輸入、販売、貸与又はそれを占有させるいずれかの行為
    6. 放送機関の放送を、正当な許諾を得ずに、再送信し、固定し、複製し、及び公衆に配信すること。
    7. 留保された権利の表示又はコンピュータ・プログラムを、所有者の同意を得ずに使用し、複製し、又は利用すること。
    8. 名称、表題若しくは呼称又は物質的若しくは心理的特徴又は操作上の特徴を、人を迷わせるような方法又は保護されている権利の留保と混同を生じさせるような方法で使用し、又は利用すること。
    9. この法律第7編第3章によって保護される文学的又は美術的著作物を、この法律第158条の規定に反する方法で使用すること。
    10. その他、この法律の規定に対する侵害であって、この法律によって保護される著作物に関連して商業的又は工業的規模の活動を伴うもの。
    第232条

    この法律に規定する商業関連侵害は、メキシコ工業所有権研究所により、次に掲げる罰金に処せられる。

    1. 前条(1)、(3)、(4)、(5)、(7)、(8) 及び (9) の各号に規定する場合には、最低限の日当の5,000倍から40,000倍の罰金
    2. 前条 (2) 及び (6) の各号に規定する場合には、最低限の日当の1,000倍から5,000倍の罰金
    3. その他、前条 (10) 号に規定する場合には、最低限の日当の500倍から1,000倍の罰金

    侵害が継続する場合の毎日については、適用される最低限の一般的日当の500倍までの追加の罰金

    第233条

    侵害者が出版者若しくは放送機関又は著作物を商業的規模で利用するいずれかの自然人若しくは法人である場合には、罰金は、前条に規定する金額の50パーセントまでだけ増額することができる。

    第234条

    メキシコ工業所有権研究所は、工業所有権法第6編及び第7編に規定する手続及び方式に従って、商業関連侵害を処罰する。

    メキシコ工業所有権研究所は、工業所有権法に規定する予防手段をとることができる。

    そのために、メキシコ工業所有権研究所は、調査を指揮し、視察巡回を命じ、及び実施し、かつ、情報及びデータを要請する権限を与えられる。

    第235条

    商業関連侵害に関して、メキシコ工業所有権研究所は、関税法の規定に基づいて、外国原産の商品の自由流通を国境で停止する決定を発出する権限を与えられる。

    第236条

    この編に定める制裁の適用の目的上、最低限の賃金は、侵害が行われた日現在において連邦地方で支払われている一般的な最低賃金であると了解される。

    第3章 行政上の上訴
    第237条

    行政手続を終わらせ、又は問題を解決する研究所の行為及び決定によって影響を受ける者は、行政手続に関する連邦法に基づく再調査のための上訴を提起することができる。

    第238条

    行政手続を終わらせ、又は問題を解決する商業関連侵害に関するメキシコ工業所有権研究所の行為及び決定によって影響を受ける者は、工業所有権法に規定する抗弁の手段を利用することができる。

    経過規定
    第1

    この法律は、連邦公報におけるその公示の後90日で効力を生じる。(1997年3月24日発効)

    第2

    1956年12月29日に連邦公報に公示された連邦著作権法、1963年12月21日に連邦公報に公示された改革及び追加並びにその後の改革及び追加は、ここに廃止される。

    第3

    公的著作権登録簿に現在登録されている法人であって、著作者団体又は実演家団体の性格を有するものは、この法律の発効の後60就業日の期間内に、その定款をこの法律の規定に調和させることができる。

    第4

    再検討のための行政上の上訴であって、この法律の発効時において未決であるものは、ここに廃止される連邦著作権法に従って決定される。

    第5

    ここに廃止される連邦著作権法に基づいて開始された和解手続は、同法に従って処理される。ただし、この法律の発効時においてその通知が最初に送達されていなかったものは、この法律に従う。

    第6

    ここに廃止される連邦著作権法に基づいて与えられた権利の留保は、同法の規定に従って引き続き効力を有する。ただし、留保の使用の単なる証拠は、その性質の如何にかかわらず、その留保をこの法律の規定に従わせる。

    ここに廃止される連邦著作権法に規定された権利の留保であって、この法律に規定されていないものは、廃止法に定める保護期間が満了した場合に無効となる。

    第7

    著作権総局に現在提供されている人的資源は、国立著作権研究所に統合される。職員の権利は、法律に従って尊重され、かつ、この法律に含まれる規定によって影響されることは決してない。

    第8

    著作権総局に充当されていた財政的及び物的資源は、公教育省本局の仲介で、かつ、公教育省がその目的のために制定する規定に従って、国立著作権研究所に再充当される。

    第9

    この法律の発効の後30日以内に、研究所は、仲裁人名簿及び仲裁手続の料金表を公表する。この名簿及び料金表は、例外的に、1997年12月31日まで効力を有する。

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