第4回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

    最優秀賞  千葉県 松戸市立馬橋小学校一覧にもどる

    著作物利用のルールとマナーを体験的に身につけよう
    ~国語でのパンフレット作りを通して~

    担当教諭  佐和 伸明

    受賞のことば

    馬橋小学校・写真

    昨年度に続いての入賞、しかも最優秀賞という最高な評価をいただき、たいへん光栄に思います。

    本実践では、2点重視したことがあります。ひとつは、教科学習のなかに著作権教育を位置づけたことです。小学校6年生の国語科では、パンフレット作りやガイドブック作りが取り上げられています。本実践では、「学校紹介パンフレット」を作成し、不特定多数の人に見てもらうようにすることで、著作権処理の必要性が生じるように設定しました。特別な題材を設定するのではなく、教科学習のなかに位置づけることができたので、授業時数にも無理がありませんでした。

    ふたつめは、「著作権があるから使ってはいけない」というだけで終わらず、処理方法を身につけることまで扱ったことです。自分の作品をより良くするために、他の人の著作物を使いたいと思う場面を設定し、トラブルを発生しないための著作権契約を締結していく活動を取り入れました。子どもたちは著作権者とつながり、コミュニケーションを図る体験を通して、著作物を大切にしようとする気持ちをより高めることができたと感じています。今後も、考える活動や体験を重視した著作権教育を実施していきたいと思います。 (教諭 佐和 伸明)

    教育活動の概要 題名 著作物利用のルールとマナーを体験的に身につけよう
    ~国語でのパンフレット作りを通して~
    対象学年 小学6年生
    授業科目 国語・総合的な学習の時間
    授業時間数 24時間
    (著作権教育は2時間)
    実施期間 平成20年9月~平成21年1月
    レポート・教材
    ねらい

    本実践を行った子どもたちは、著作権は誰もが持っている平等な権利であるということや、著作物を勝手に使ってはいけないということを学んでいる。しかし、実際に他の人の著作物を使いたい時には、「どのような処理が必要であるのか分からない」という実態であった。これでは、「著作権処理の方法が分からないから使えない」という考え方になってしまうのではないだろうか。そこで、本活動では、自分の作品をより良くするために他の人の著作物を使いたいと思う場面を設定し、著作権の処理方法を身につけることをねらいとした。トラブルを発生しないための著作権契約を締結していく体験は、著作物を大切にしようとする態度を養うことにつながると考える。

    内容

    小学校6年生の国語科の教科書には、パンフレット作りやガイドブック作りが取り上げられているものが多い。多くのテーマは、できあがった作品を学級内で見合って終わりであるが、本実践では、「学校紹介パンフレット」を作成することにした。つまり、不特定多数の人に見てもらうことで、著作権処理の必要性が生じるように設定したのである。パンフレットが完成した時点で、著作権や肖像権の観点から作品を見直し、公開するためにはきちんとした処理をすることの必要性に気付かせた。そして、自作した承諾書をもって子どもたちが交渉という体験的な活動を取り入れた。

    成果と課題

    本活動を通して、「著作物は使ってはいけない」というのではなく、「使うためにはきちんとした処理が必要である」ということを体験的に理解することができた。また、承諾書を持って著作権者と交渉する活動のなかで、著作権者にも喜んでもらえる経験ができたことは、これからも著作権処理をきちんとしていこうという気持ちを育むことにつながったと考える。今後も、各教科での制作活動の中に、著作権教育を位置づけていきたい。

    選考委員コメント

    ページの上部へ戻る