第5回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    人の作品、まねしていいの?著作権について考えよう
    ~体験した活用場面をもとに話し合うルール作り活動を通して~

    担当教諭 水谷 徹平

    受賞のことば

    上組小学校・写真

    優秀賞という高い評価をいただき、大変光栄に思っています。本実践では、子どもたちが学校をよりよくしようとアイデアを練って作り上げたピクトグラムを題材として考える場を設定しました。図画・工作科での実体験と連動し、無断でまねされた人の心情を考えてルールを話し合う活動を、道徳の時間の中で行いました。「決まりでいけないからやらない」だけでなく、「勝手にまねされたら悲しいから」、「社会全体がオリジナルのものを作ろうとしなくなってしまうから」など、判断の根拠をお互いに伝え合うことで、自分たちのルールを作る活動を重視しました。この活動から、どうして権利として保護されているのかを考えて行動を選択できるよう成長していってほしいと願っています。これからも、実体験を重視し、自ら考え、判断することができるような著作権教育を実施していきたいと思います。本当にありがとうございました。 (教諭 水谷 徹平)

       
    教育活動の概要 題名 人の作品、まねしていいの?著作権について考えよう
    ~体験した活用場面をもとに話し合うルール作り活動を通して~
    対象学年 小学校5年生(3学級)
    授業科目 道徳
    授業時間数 60分×3
    実施期間 平成21年1月~2月
    レポート・教材
    ねらい

    本実践では、自校版「情報教育で目指す子どもの姿」の高学年の姿の中に著作権教育を位置づけ、「情報化の光の部分にかかわる体験」と「影の部分」を関連づける。体験をもとに話し合うルール作り活動を行う中で,判断の根拠を述べる場を設定し、より高次の合理的判断力を養うための一連の活動の有効性を検証する。

    内容

    委員会ごとに学校をよりよくするためのメッセージを、自分でデザインした色と図柄で段ボール工作し、学校に掲示する図画工作のピクトグラム(絵文字)看板作りの経験した子どもたち。子どもたちが権利を侵害された著作者の心情を想起しやすいように、この学習直後に、子どもたちの実際の姿に近い権利侵害(苦労して考えたデザインのまね)について、どのように思うかを考えさせた。無断のまね、デザインをほんの少し変えただけ、色を変えただけ、相手が参考にしていいかどうか聞いてきたら、たまたま同じ部分があったら…などのケースで、それぞれ「自分が同じことをされたらどう思うか」を怒りメーターで表し、人によって感じ方が違うことにも気づく。人の作品を参考にする際に、注意しなければいけない点を、子どもたちとルール化し、お互いに気をつけるとともに、世の中には著作権と言って自分の作品を勝手に使われない権利があるという知識を教え、絵だけに限らず、作った人や考えた人が不利益を被らないかを考えて行動する必要があることを押さえた。

    成果と課題

    自校版「情報教育目指す子どもの姿」を作成し、体験と著作権にかかわる問題を関連させてルール作りをしていくことで、子どもは実感をもって話し合いを行った。判断の根拠を述べる場を設定することで、価値観や考え方が相互にやり取りでき、道徳的知識の広がりとより高位の価値への変容が見られた。また、学習から状況の知識を習得することで、道徳的知識と状況の知識を組み合わせて合理的判断の根拠とする変容が見られた。今回、初めての著作権教育という位置づけで、著作権のベースとなる「権利者の気持ちや不利益を考えて行動する」という心情の育成を主とし、道徳的知識の割合が高い指導を行った。著作権上の問題の多くは、著作者の権利がどの範囲まで法律で守られているかという知識が必要である。今後は子どもの実態に即し、判断する際に状況の知識と道徳的知識の割合や、どのレベルまでの習得を求めるかという視点で指導内容を分類して、教え込むのではない子ども自身が考える実践を重ねていく必要がある。

    児童・生徒の感想
    • 授業を受けて、作品をまねするときには、作った人の気持ちを考えなければいけないと思いました。
    • アイデアをまねするときには、作った人にまねをしていいかを聞いてからしたほうがいいと感じました。
    選考委員コメント

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