第6回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    自分の作品・人の作品、大切にする気持ちを深めよう
    ~体験した活用場面をもとに話し合うルール作り活動を通して~

    担当教諭 水谷 徹平

    受賞のことば

    長岡市立上組小学校・写真

    昨年度の優秀賞に続き、最優秀賞と最高の評価をいただき、大変光栄に思います。本実践では、昨年度からの学びを継続し、体験をもとに著作権について考えました。体験として県立近代美術館の企画展でお客さんに自分達の選んだ作品を紹介する「子ども学芸員プロジェクト」、自分たちの作品を校区内の酒蔵やお店や飾ってもらい交流を深める「まちかど美術館プロジェクト」、現代芸術家古田洋司さんとの関わりを深め、校内にあるこだま美術館で開いた企画展「古田洋司展~わたしとわたしの仲間たち~」などです。

    ポスターやウェブページ、CM動画・看板・企画展の案内ハガキなどを作成し、作品の二次利用して宣伝活動を行いました。体験を想起させる自作資料を基に、著作権への感度を高めています。

    これからも、実体験をもとに、自ら考え、判断することができるような著作権教育を実施していきたいと思います。本当にありがとうございました。 (教諭 水谷 徹平)

    教育活動の概要 題名 自分の作品・人の作品、大切にする気持ちを深めよう
    ~体験した活用場面をもとに話し合うルール作り活動を通して~
    対象学年 小学校6年生
    授業科目 総合的な学習の時間
    道徳
    授業時間数 総合的な学習の時間(48時間)
    道徳(3時間×3)
    実施期間 平成22年7月~11月
    レポート・教材
    ねらい

    小学校高学年における著作権指導を考えた時、ルールや法律だからと適切な行動を教え込むだけでは、子どもが実際に行動する上での実践力には結びつかないことがある。実践対象の6年生は、自校版「情報教育で目指す子どもの姿」の中に著作権教育を位置づけ、「情報化の光の部分にかかわる体験」と「影の部分」を関連づけた指導を5年次より継続実践している。体験をもとに話し合うルール作り活動を行う中で,判断の根拠を重視し、より高次の合理的判断力を養うことを目指す。体験をベースにして、著作権の土台である自他の作品を大切にすることを繰り返し考え、高い感度をもった子どもたちを育成したいと考える。

    内容

    今年度の6年生は、総合的な学習の時間を「表現すること、生きること~自分達が変わる・地域を変える~」というテーマで、年間を通じて造形活動と関わった追究活動を行っている。県立近代美術館や学区にある秋山孝ポスター美術館、大地の芸術祭などの作品や、現代芸術家古田洋司さんやその作品と出会う中で、作者の思いがこもった素晴らしい作品とふれあってきている。また、図画工作や総合的な学習の時間に作った自分たちの作品を、総合的な学習の時間「まちかど美術館~上組巡り~」で地域の方と交流を深め、校区内の酒蔵やお店に飾ってもらってきた。加えて、現代芸術家古田洋司さんとのワークショップをきっかけに関わりを深め、子どもたちの企画・運営で企画展「古田洋司展~わたしとわたしの仲間たち~」を校内美術館「こだま美術館」で開いたり、県立近代美術館で自分達が作品を選定し、企画展の学芸員を行ったりする計画・活動を行ってきている。これらの過程で、作品を鑑賞する立場、作品の制作者の立場、作品を展示したり美術館を運営したりする立場を経験し、宣伝のためにポスターやウェブページ作成、CM動画・看板・企画展の案内ハガキなどを作成して、二次利用を行っている。体験の中でケーススタディを積んできた子どもたちに、自作資料を基にした取り立て指導を行うことで、著作権のベースになる考え方である「自他の作品を大切に扱う」ことへの感度を高める実践を行った。

    成果と課題

    自分達の体験と著作権にかかわる問題を関連させてルール作りをしていくことで、子どもは実感をもって話し合いを行った。判断の根拠を話し合って価値観や考え方が相互にやり取りし、道徳的知識の広がりとより高位の価値への変容が見られた。今回、5年次からの継続ということで、実際に学習活動の中で多くあった二次利用についての留意点を主とした指導を行った。相手の心情や行動の影響を考え、グレーだと思ったら調べる、聞く、許可を取るなどの態度に変わっていったことが成果である。

    児童・生徒の感想
    • 作っている人は、すごい時間と思いを作品に込めている。人が作ったものを使うときには、勝手に使われた人の気持ちを考えながら考えた方がいいと思う。
    • 使っていいかどうかが分からないものもあるけれど、そういう時は調べたり、作った本人に使っていいかどうか聞いたりすればいいことが分かった。
    • 勝手にまねしていい世の中だったら、がんばって新しいものを生み出そうとしなくなると思った。相手の気持ちだけじゃなくて、みんなが作品を大事にすればいいと思う。
    選考委員コメント

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