第6回 入賞事例

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    クリエイティブコモンズの可能性
    −クラス解散後の共同著作物をどう管理するか?

    担当教諭 野村 泰介

    受賞のことば

    山陽女子高等学校・写真

    授業で作成した著作物について、それを外部に公開する場合、そのクラス解散後の責任の所在が不明瞭で、問い合わせが来た場合の対応に苦慮していました。ちょうどそのとき「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」のことを知り、今回のようなケースの課題解決に役立てるのではないかと思いました。ただ、新しい概念であるために既成の教材が存在せず、指導に試行錯誤し、また、「音楽制作」実習については、担当教員の機器操作が不慣れなため、必ずしもスムーズな授業進行ができたとはいえませんでした。このような事情から、ぎりぎりのスケジュールの中での作業でしたが、受賞の連絡を受けた時の喜びはひとしおでした。

    著作権の授業を実習の中に組み込むことができたのが良かったと思います。今回の受賞を励みに、実践の過程で浮かび上がった問題点を解決しつつ、よりよい授業に改善していきたいと思います。 (教諭 野村 泰介)

    教育活動の概要 題名 クリエイティブコモンズの可能性
    −クラス解散後の共同著作物をどう管理するか?
    対象学年 高校1年生(音楽科・普通科アクティブイングリッシュコース合同授業)
    授業科目 情報A
    授業時間数 18時間
    実施期間 平成22年9月~11月
    レポート・教材
    ねらい

    自作の著作物を多くの人に知ってもらいたい。この方法として最も効率的なのがインターネットを介しての公開である。しかし、クラス単位での共同著作物の場合、そのクラスが解散した際、その性質上、著作権責任の所在が難しい。そこで、「作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布できる」という 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を取得することにより、クラス解散後も著作物を円滑に公開させる。以上の流れをクラスで著作物を制作する過程の中で、生徒自身が著作者として発信する立場の側より学習させていきたい。

    内容

    「情報A」の授業において、「音楽制作実習」を行った。この授業ではそれぞれの科・コースの特性を活かし、作詞・作曲、演奏・録音などを行い、完成物をインターネットにアップロードした。しかし実践は今年度限りであり、次年度以降、クラスで制作した著作物をどのように管理するかという問題が生じた。この問題をクリアするために、「クリエイティブ・コモンズ」の概念を学び、共同著作物の著作権管理の方法のひとつのあり方として学んだ。

    成果と課題

    昨年度、公開を前提としたビデオ制作を行ったが、制作生徒の卒業を控え、その後の著作権管理責任をどのようにするかという課題が表面化した。特にネット上で自由に閲覧できる形式で公開する場合の管理が難しかったが、今回の実践における「クリエイティブ・コモンズ」の概念はその問題の大部分をクリアすることができた。しかし、この概念に対する歴史が浅く、教育実践の例も無いことから、想定外の問題が出てくる可能性も否定できない。前例の無い実践だけに、実践終了後の状況推移も注意深く見守る必要があるだろう。また、音楽制作のための機器使用方法が難しく、生徒の負担が重くなってしまったことが今後の課題である。

    児童・生徒の感想

    自分たちで音楽を作るという作業、はじめは本当にできるのかと半信半疑でした。しかし、クラス全員が役割分担し、自分たちのできることを少しずつ積み重ねることによって完成できたので良かったと思います。今回の授業でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスという言葉を初めて聞きましたが、この概念を使えば自分たちの作ったものをいつまでも大切にできると感じました。

    選考委員コメント

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