第6回 入賞事例

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    中学国語における引用の授業

    担当教諭 金 隆子

    受賞のことば

    米沢市立第二中学校・写真

    この度の入賞を大変光栄に思います。本実践は、詩の引用を用いた題材において、詩に込められた思いに寄り添いながら筆者の読解を示す手法より、引用の効果を理解させることから始めました。この題材を核に、著作権・引用という視点で教科書を読むと、前後の題材も引用の教材をして生きてくることが見えてきました。国語で教えるべき「引用」について今まで触れてこなかったこと反省しつつ指導を行う中で、子ども達は内容をよく理解しこれからに生かしていこうという姿勢を見せました。日常生活に結びつくものが多いためではないかと思います。だとすれば、今だから必要な指導、避けてはいけない指導であると言えます。自分の考えを補強するために、他人の言葉を借りる引用の方法は大切な言語能力であり、他でも生かされる力です。国語科の役割を改めて確認し、今後につなげていきたいと思います。(教諭 金 隆子)

    教育活動の概要 題名 中学国語における引用の授業
    対象学年 中学1年生
    授業科目 国語
    授業時間数 3時間+(12時間)
    実施期間 平成22年6月~7月
    レポート・教材
    ねらい

    筆者の考えを効果的に表現するために、宮澤賢治の詩「高原」を引用していることを理解させる。また、引用の目的や方法を学び、実際に書く活動を取り入れることで著作物に対する意識を高める。

    内容

    引用の目的・方法を知る。
    詩「高原」の内容・構成を理解し、読み方を工夫して朗読する。
    教材文を読み、詩の引用の形に気づきその効果について考える。

    成果と課題

    授業後の調査結果をみると、引用の目的や方法については全員理解していることが分かった。しかし引用そのものは理解できたがそれを使った読解や活用については継続した指導が必要である。自分の考えを補強するために、他人の著作物を使用する引用の方法は、大切な言語能力であり、どのような場でも生かされる力である。どの教科、どのような活動の場にもいかされる国語であることを改めて考え、今後の実践につなげていきたい。

    児童・生徒の感想
    • 授業前は、技術の授業でレポートを書くときなど、参考にした文をそのままのせたりしていたが授業後はそのようなことをしないようになった。また、何かの資料を見るときにそれにはどのようなものがどこから引用されているのか誰の言葉なのかを気にするようになった。
    • 自分ではわからないことを本や資料、インターネットなどから借りて使う時は気をつけなければならないということがわかりました。引用の方法を勉強してから、教科書や本を見るときに何を何のために引用しているのかに着目できるようになりました。引用するときは著作権を守り、書いた人を大事にしたいと思います。
    • 引用については国語でレポートを書く時に用いたため、だいぶ使い方がわかったし学級通信など身近なところでも結構引用が使われていて意識して見るようになった。引用についてはこれからの説明やスピーチでも正しく使っていきたい。大人になってからも役立つことだと思った。
    • 宮澤賢治や高村光太郎の詩は、筆者の文章にしっかりと生きていると思いました。引用によって、自分の考えを広げたり補足することで、考えが広がっていくこともわかりました。人の文章を読む時も実際に自分で文章を書く時も、今までとちょっと違ってきました。著作権という言葉は知っていましたが、他の人の文や言葉を使いたい時にどうするのか疑問に思っていたので問題が解決してよかったです。
    • 社会の教科書や資料集を見るときにどこから引用されているのかが気になるようになりました。写真やグラフの右下を見るようになったし、ここに載っているはどうしてか、どうしてこのページにあるのかを考えるのも楽しくなりました。
    • 私は、心に響いた言葉を見つけた時とても嬉しかったです。その時から引用の授業が楽しくなりました。引用にはたくさんの方法があり難しそうと思ったのですが、引用することにより関連する事実や意見を示したり、説明や解説をすることで自分の意見や見方を補強するためなどの目的があることがわかりました。何のためにを意識して、読んだり書いたりするようになりました。
    • 自分でパソコンや本からその言葉や文章などを書くときに、勝手に省略したりしないように気をつけようと思った。他の人の物に対する意識が出てきたし、社会などの資料集や家にある図鑑を見るときなど注目するようになったし、実際にレポートを書いてみて引用の難しさとおもしろさがわかった。
    選考委員コメント

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