第8回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    「法意識」と「相手意識」両輪からねらいにせまる著作権教育
    ~“守らなければならない著作権”から“守りたい著作権”にするために~

    教諭 山口 眞希

    受賞のことば

    石川県 金沢市立小坂小学校

    このたび、最優秀賞という栄誉ある賞を頂き本当に光栄です。初めての応募で不安でしたが、実践を認めていただいたことを大変うれしく思います。

    本実践は、子どもたちにどんな力を身につけたいか考える中、何事に対しても「やらされるから」「怒られるから」という消極的な思いではなく、「正しいことをしたい」「誰かのために行動したい」という積極的な思いを持って行動できる子になってほしい、そんな教師の願いから生まれた実践です。「著作権を守ることは多くの人を守ること、未来の文化を守ること。それってとても素敵なことだよね!」というメッセージを子どもたちに伝えたいと考えました。

    今回の受賞を励みに、今後も子ども自身が自分の生き方を考えられるような著作権授業を、子どもたちと一緒に創っていきます。ありがとうございました。

    教育活動の概要 題名 「法意識」と「相手意識」両輪からねらいにせまる著作権教育
    ~“守らなければならない著作権”から“守りたい著作権”にするために~
    対象学年 小学校6年生
    授業科目 総合的な学習の時間
    授業時間数 3時間
    実施期間 平成23年12月
    レポート・教材
    ねらい

    CDをコピーして友達にあげることの是非を考えさせることで、創作物には著作権があることを理解し、情報利用に関して実生活での判断力を養うことをねらいとした。

    内容

    授業を展開するにあたり、法で禁止されているから守らなければいけないという動機ではなく、著作権を守ることで「多くのものを守れる、大切にできる」という前向きな動機から著作権を見つめてほしいと考えた。そこで、友達にCDをコピーしてほしいと頼まれた事例を設定し、児童に身近なアーティスト「ゆず」の曲とHPに綴られた曲に対する想いを素材として授業を展開した。

    曲を通して多くの人へ平和の願いを広めたい作り手の想いと、だからと言ってコピーして配るのはよいのか?という考えの間で葛藤しながらも、「Happy Music Cycle」(日本レコード協会)で音楽創造のサイクルを考えるうちに、著作権を守ることは多くの人を守ること、さらには音楽文化を守ることにつながると理解することができた。

    成果と課題

    (成果)
    ふり返りの記述、授業中の児童の反応から、創作物の裏にいる多くの人への相手意識を高めながら著作権についての理解を深めることができたと言える。児童に身近な事例や素材を提示し、教え込みではなく討論形式で考えさせるという授業デザインをしたことによって、自分の問題として著作権を捉えることができたと考える。

    (課題)
    著作権を守ることは文化を守ることという考えについては、十分に実感させることが難しかった。文化を守るという概念を子どもたちに落とせる授業の展開を工夫していきたい。また、どんな時に著作権法に抵触するか、知識を活用できる場面を授業の中に取り入れていくことも、実践力を養うという点では必要であった。

    生徒の感想
    • この学習をするまでは、CDをコピーしてあげてもいいと思っていた。しかも自分もコピーしたことがあった。自分の行動は、自分の好きな歌手を傷つけることだとわかった。これからも音楽を楽しみたいし、自分の好きな歌手の歌をこれからも聴きたいので、著作権を守っていきたい。
    • Happy Music Cycleの輪が切れていくのを見て怖くなった。自分がしていたことで困る人が大勢いた。「自分くらいはいい」という思いが文化をなくしていくかもしれない。
    • 著作権法は自分を守ってくれるものだとわかって安心した。自分の好きな歌手の名前がキャンペーンポスターにあって、自分の音楽を大切にしてほしいという気持ちを知った。
    • ゆずさんのメッセージを見て、すごく想いをこめて曲をつくっていることがわかった。きっと他の人の曲にもその人の想いがこめられていると思う。つくった人の想いや、一生懸命売っている人の想いを大切にしたい。だから音楽だけでなくいろいろな物の著作権を守っていきたい。
    選考委員コメント

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