第9回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    豊かな読書文化を育むための著作権教育
    -守ってさらに上手に利用する-

    教諭 小林 祐紀

    優秀賞・モデル教育賞を頂きありがとうございました。

    今回の実践は、宮沢賢治に対する子どもたちの強い思い入れから始まりました。いろいろな作品を読んでみたい。でもそれが実現しないときに、子どもたちが出逢ったのが、青空文庫だったのです。実は、青空文庫を題材に著作権教育を行うことには、迷いがありました。青空文庫の存在は、著作権の考え方に相反するものではないかと考えたからです。しかし、「他校でも実践しやすい優れた事例」「著作権を有効利用することで読書文化を育むという新たな視点での興味深い実践」などの賛辞をいただき、大変感激しております。

     これから、子どもたちを取り巻く著作権に関する環境は、ますます複雑になりそうです。善意のつもりが違法行為であることも多々ありそうです。これからの社会の担い手である子どもたちが、著作権と上手につきあっていけるように、指導を積み重ねていきたいと考えています。

    教育活動の概要 題名 豊かな読書文化を育むための著作権教育-守ってさらに上手に利用する-
    対象学年 小学校6年生
    授業科目 学活
    授業時間数 1時間
    実施期間 2013年11月
    レポート・教材
    ねらい 著作権には効力があるということを理解し、著作権を有効利用することは、読書文化を育むことになり、私たちの生活を豊かにしてくれる可能性があること気づくことを授業のねらいとした。
    この授業は、国語科「やまなし:宮沢賢治作」の授業から派生した学びである。他にも賢治の作品を読みたい子どもたち。学校図書館にはあまりそろっていない中、ネット上(青空文庫)にあることを見つけてきた。しかし、著作権上、問題があるのではないかという声。そこで、みんなで考えることにした。
    内容 授業の根底には、「豊かな読書経験から心を育んでほしい」という思いが流れている。また、「著作権は守らなければならない。守らなければ逮捕される怖いもの。」というイメージから「よりよい社会をつくっていくために大切なもの」と考えてほしいと願った。そこで授業では、自らの読書経験をもとに「本の持つ良さ」や「青空文庫の良さ」に対する多様な考えを出し合った。最後には、創設者の思いを紹介し、「青空」と名付けた意味を皆で想像し、著作権は、豊かな読書文化を育んでいくために大切なものとまとめた。
    成果と課題 国語科の授業に端を発した学習であったために、子どもたちにとって関心の高い学習となった。また、授業の成果として、著作権は作者の権利を守るだけではなく、これからの読書文化を守るためにも大切なものであるという気づきが生まれた。そして未だ見知らぬ本への出会いを楽しみにするようになった。
    生徒の感想
    • 著作権は守らないといけないけど、それを上手く利用している「青空文庫」はすごいと思った。確かにこれを使えばたくさんの人が本を読めるし、いつも本を読んでいる人も古くて新しい本に出会えるからだ。さらにボランティアでやっているのもすごい!(Uさん女児)
    • 著作権は、はじめは守らないと怖いことになると思っていた。このサイトもだめなサイトだと思っていた。だけど、ちゃんとしたやり方で利用するとみんなのためになると思った。そして、この青空文庫をつくった人はきっともとは本が好きだったりしたから、みんなのためになることをしたんだと思った。(Sさん男児)
    • 著作権があるから、無断でホームページにのせたら・・と思うかもしれないけど、上手く利用すれば読みたいけど読めなかった人まで読めるようになるのがよく分かった。青空文庫の意味はすごくすてきだなと感じた。(Mさん女児)
    • 著作権をうまく利用するとすごく良いと思った。私はもともと読書が好きだから、青空文庫を利用してもっと好きになりたいと思う。全部ボランティアでやっているのを知ってすごく良いことだと思った。(Tさん女児)
    • 著作権に違反することはだめだけど、いいふうに使うと人を豊かにできると思った。青空に込められた思いからも人の気持ちを考えていることが分かった。いろいろな人たちが安心して本を読めるってすごいなと思った。(Yさん男児)
    • 著作権は気をつけなければいけないこともたくさんあるけど、うまく使うと良いものができることが分かった。青空文庫は読書をする人がすごく増えると思うし、いいなと思った。持ち運びの問題などを考えると、タブレットなどで見られる本は便利だと思う。(Mさん女児)
    選考委員コメント

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