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    1965年9月9日の著作権及び著作隣接権の管理に関する法律
    (著作権管理法)〔抄〕

    (連邦法律広報第 I 部第1294頁)

    最終改正:2007年10月26日の情報社会における著作権の規整に関する第二の法律
    (連邦法律広報第 I 部第2513頁)



    第1章 事業の許可

    第1条 許可義務

     (1) 1965年9月9日の著作権法(連邦法律広報第 I 部第1273頁)が付与する使用権、同意権又は報酬請求権を、二以上の著作者又は著作隣接権の保有者のために共同の利用を目的として管理する者は、その管理が自己の又は他人の名において行われるか否かにかかわらず、そのための許可を得なければならない。

     (2) 前項の規定は、そこに定められた権利及び請求権の管理で、臨時又は短期のものには適用されない。

     (3) 第一項に基づき必要とされる許可を得ることなく業務を行おうとする者は、その者に管理を目的として委託された権利又は請求権を行使することができない。その者には、著作権法第109条に基づく告訴の権限は帰属しない。

     (4) 第一項に定める業務を法人又は協会が行う場合には、それらは、この法律の意味における集中管理団体とする。第一項に定める業務を個別の自然人が行う場合には、その者には、この法律の規定で集中管理団体に関するものを準用するものとする。

    第2条 許可の付与

     許可は、書面による申請により、監督官庁(第18条第1項)によって付与される。申請に際しては、つぎに掲げるものを添付するものとする。
    1. 集中管理団体の定款
    2. 法律又は定款に基づき集中管理団体を代表する権限を有する者の氏名、住所及び国籍に関する申告
    3. 集中管理団体に自己の使用権、同意権又は報酬請求権の管理を委任した者の数、並びに、集中管理団体に管理を委託された権利及び請求権の数並びに経済的価値に関する説明

    第3条 許可の拒絶

     (1) 許可は、つぎの各号に掲げるいずれかの場合にかぎり、これを拒絶することができる。
    1. 集中管理団体の定款が、この法律の規定に反する場合
    2. 法律又は定款に基づき集中管理団体を代表する権限を有する者が、その業務の執行にあたって必要とされる信頼性を有しないことが、事実によって明らかにされる場合
    3. 集中管理団体の経済的基盤により、そこに委任された権利又は請求権の有効な管理を期待できない場合

     (2) 許可の拒絶は、理由を付して、集中管理団体に通知するものとする。

    第4条 許可の取消

     (1) 許可は、つぎの各号に掲げるいずれかの場合に、取り消されるものとする。
    1. 前条第一項の拒絶理由のいずれかが、許可を付与するに際して、監督官庁に顕著でなかったか、又は事後に生じ、かつ、監督官庁が指定することのできる期間内に是正されない場合
    2. 集中管理団体が、この法律に基づきその者に課されている義務のいずれかに、監督官庁の警告にもかかわらず、繰り返し違反する場合

     (2) 許可の取消は、理由を付して、集中管理団体に通知するものとする。取消は、より遅い時期が定められていない場合には、それが確定した後3ヶ月をもって効力を生ずる。

    第5条 公告

     許可の付与及び前条第2項に基づき有効なものとなった取消は、連邦公報に公告するものとする。



    第2章 集中管理団体の権利と義務

    第6条 管理の強制

     (1) 集中管理団体は、その業務の範囲に属する権利及び請求権を、権限を有する者の求めるところにより、その者が基本法の意味におけるドイツ人であるか又は欧州連合の他のいずれかの加盟国若しくは欧州経済領域に関する条約の他のいずれかの締約国の国民であり、又は、その住所をこの法律の適用領域に有し、かつ、権利又は請求権の有効な管理が他の場合には不可能である場合には、相当なる条件のもとで、管理する義務を負う。権限を有する者が事業者である場合には、この義務は、欧州連合のいずれかの加盟国又は欧州経済領域に関する条約のいずれかの加盟国に主たる事務所を有する事業者に対して、同様とする。

     (2) 権限を有する者で集中管理団体の構成員でないものの利益の相当なる管理を目的とする場合には、共通の代表を置くものとする。集中管理団体の定款は、権限を有する者による代表の選出及び代表の権能に関する規定を含まなければならない。

    第7条 収入の分配

     集中管理団体は、その業務から得られた収入を、予め定められた規則であって分配に際し任意の手続を排除するもの(分配規程)に基づいて、分配しなければならない。分配規程は、文化的に意義を有する著作物及び給付を促進するとの原則に、沿うものでなければならない。分配規程の原則は、集中管理団体の定款内に取り込むものとする。

    第8条 保証金制度及び共済金制度

     集中管理団体は、その管理する権利又は請求権の保有者のために、保証金制度及び共済金制度を設けるものとする。

    第9条 決算の提示及び監査

     (1) 集中管理団体は、事業年度の終了の後は遅滞なく、旧事業年度に関して、年次貸借対照表、損益計算書及び付属文書(年次決算書)並びに事業報告書を作成しなければならない。

     (2) 年次決算書は、明瞭かつ簡明に作成するものとする。それは、正式の簿記の原則に沿ったものでなければならない。年次貸借対照表及び損益計算書は、付属文書において説明するものとする。

     (3) 事業報告書においては、集中管理団体の事業経過及び状況について、事実関係に即した事情が明らかになるように、記述するものとする。

     (4) 年次決算書は、簿記及び事業報告書を含めて、一又はそれ以上の専門の監査人(決算監査人)によって監査を受けるものとする。決算監査人は、公認会計士又は会計監査会社のみがこれにあたることができる。

     (5) 決算監査人は、その監査の結果について書面によって報告しなければならない。その監査の最終的な結果に対して異議が生じない場合には、決算監査人は、そのことを、年次決算書へのつぎの記載によって、証明しなければならない。
    簿記、年次決算書及び事業報告書は、当職(当社)の義務としての監査によれば、法律及び定款に即したものである。
    異議が生じた場合には、決算監査人は、その証明を制限し、又は拒否しなければならない。決算監査人は、証明の記載を、場所及び日付を記して、署名しなければならない。

     (6) 集中管理団体は、年次決算書及び事業報告書を、事業年度の終了後遅くとも8ヶ月に、連邦公報に公告しなければならない。その場合において、証明の記載の文言は、すべてこれを再録するものとする。決算監査人が証明を拒絶した場合には、そのことについて、年次決算書に特記事項として摘示するものとする。

     (7) 更なる法律上の規定で決算の提示及び監査に関するものは、これによって影響を受けない。

    第10条 報告の義務

     集中管理団体は、何人に対しても書面による求めに応じ、自らが特定の著作物に関する使用権又は特定の同意権若しくは報酬請求権を、著作者又は著作隣接権の保有者のために管理しているか否かに関して、報告を行う義務を負う。

    第11条 強制的な契約締結義務

     (1) 集中管理団体は、何人に対しても求めに応じ、自らが管理する権利に基づき、相当なる条件によって使用権を許与する義務を負う。

     (2) 使用権の許与に関する報酬の額について合意が整わない場合には、報酬が、使用者の認めた額において集中管理団体に支払われ、かつ、それを超えて集中管理団体の請求する額においては留保を付して集中管理団体に支払われ、又はその利益のために供託されているときは、使用権は許与されたものとみなす。

    第12条 団体契約

     集中管理団体は、団体で、その構成員が著作権法に基づき保護される著作物又は給付を使用し、又は報酬の支払いに関して著作権法に基づき義務を負うものとの間において、自らが管理する権利及び請求権に関して、相当なる条件によって団体契約を締結する義務を負う。ただし、集中管理団体が、とりわけ当該団体の構成員数が少なすぎることを理由として、団体契約の締結を期待し得ない場合は、この限りでない。

    第13条 料率

     (1) 集中管理団体は、自らがその管理する権利及び請求権に基づき請求する報酬について、料率を設定しなければならない。団体契約が締結されている場合は、その契約において合意された報酬基準額を料率とみなす。

     (2) 集中管理団体は、料率及び料率の改定のいずれをも、遅滞なく連邦公報に公告する義務を負う。

     (3) 料率に関する算定の基礎は、通常、利用によって得られる金銭価値に関する利益とする。料率は、その他の算定の基礎が、利用によって得られる利益に関して、経済的に代替可能な費用によって把握可能な根拠として十分なものを与える場合には、それを拠りどころとすることもできる。料率を設定するに際しては、利用の過程の全範囲における著作物使用の寄与分に対して、相当な考慮をなすものとする。集中管理団体は、料率を設定するに際して、及び料率に基づく報酬を徴収するに際して、報酬の支払いに関して義務を負う者の利益で、青少年保護に関する利益を含め、宗教、文化及び社会に関するものに対して、相当な考慮をなすものとする。

    第13a条 機器及び記憶媒体に関する料率―透明性

     (1) 機器及び記憶媒体に関する報酬の額は、著作権法第54a条の規定に基づいてこれを定める。集中管理団体は、機器及び記憶媒体に関する料率の設定に先立ち、関係する製造者の団体と、相当な報酬の額及び団体契約の締結に関して、協議しなければならない。団体契約の協議が整わない場合は、集中管理団体は、前条の規定にかかわらず、著作権法第54a条に基づく報酬に関する料率を、第14条第5a項に従って経験的な審査を経たうえで、設定することができる。

     (2) 集中管理団体は、団体契約におけるその相手方に対し、包括報酬及び名宛団体に対するその適用から得られる収入について通知する。

    第13b条 主催者の義務

     (1) 著作権法の保護を受ける著作物の公衆再生の主催者は、その催しに先立ち、集中管理団体でこれらの著作物に関する使用権を管理するものの同意を、得なければならない。

     (2) 主催者は、催しの後、集中管理団体に対して、当該催しに際して使用された著作物に関する一覧表を送付しなければならない。ただし、レコードを用いた著作物の再生、著作物の放送の再生、及び、催しで、通常、保護を受ける音楽の著作物又は実質を欠く翻案がなされたにすぎない音楽の著作物が上演・演奏されることがないものに関しては、このかぎりでない。

     (3) 放送の再生に関する権利の管理から得られる収入の分配に関して、放送事業者でその放送を行ったものの報告が必要であると認められるときは、当該放送事業者は、集中管理団体に対して、費用の補償と引き換えに報告を提供する義務を負う。

    第13c条 当事者適格の推定、有線再放送の場合のアウトサイダー

     (1) 集中管理団体が、集中管理団体によってのみ行使され得る報告請求権を行使する場合には、その集中管理団体が、その権限を有するすべての者の権利を管理するものと推定する。

     (2) 集中管理団体が、著作権法第27条、第54条第1項、第54c条第1項、第77条第2項、第85条第4項、第94条第4項又は第137l条第5項に基づき、報酬請求権を行使する場合には、その集中管理団体が、その権限を有するすべての者の権利を管理するものと推定する。二以上の集中管理団体が、その請求権を行使することについて権限を有する場合には、その推定は、請求権がその権限を有するすべての集中管理団体によって共同で行使される場合にかぎり、妥当する。集中管理団体が、権限を有する者でその権利を集中管理団体が管理していないものとの関係でも支払いを受けるものと認められるときは、その集中管理団体は、支払いの義務を負う者に対して、これらの権限を有する者の報酬請求権を免除しなければならない。

     (3) 権利保有者が、著作権法第20b条第1項第1文の意味における有線再放送に関する権利について、その管理を集中管理団体に委託していなかったときは、この種の権利を管理する集中管理団体が、その者の権利を管理することについて権限を有していたものとみなす。その場合において、二以上の集中管理団体が関係するときは、それらが共同で権限を有していたものとみなす。ただし、権利保有者がそれらのうちの一を選択する場合は、その集中管理団体のみが権限を有していたものとみなす。第1文及び第2文は、放送事業者で自らの放送が再放送されるものが保持する権利には適用しない。

     (4) 前項の規定に基づき権限を有していたものとみなされる集中管理団体が、有線再放送に関する取極めを締結しているときは、権利保有者は、この集中管理団体との関係において、自らの権利をその管理を目的としてそれに委託していた場合と同等の権利を有し、義務を負担する。その者の請求権は、集中管理団体が定款に従い有線再放送に関する清算に着手しなければならない時点から3年をもって、時効により消滅する。ただし、集中管理団体は、その者に対して、申告期限又は同様の方法による期間短縮を対抗することができない。

    第14条 仲裁所

     (1) つぎの各号に掲げる紛争の場合には、いずれの関係人も、仲裁所に申立てをなすことができる。
    1. 集中管理団体が関係人となっている紛争であって、当該紛争がつぎのいずれかに関係するとき
    a)著作権法の保護を受ける著作物又は給付の使用
    b)著作権法第54条又は第54c条に基づく報酬の義務
    c)団体契約の締結又はその変更
    2. 放送事業者及び有線の事業者が関係人となっている紛争であって、当該紛争が有線再放送に関する契約の締結についての義務に関係するとき

     (2) 仲裁所は、監督官庁(第18条第1項)に設置される。それは、議長又はその代理人及び二名の陪席員をもって構成される。仲裁所の構成員は、ドイツ裁判官法に基づく裁判官資格を有しなければならない。それらは、連邦司法大臣によって、少なくとも一年を数える特定の期間を任期として任命される。ただし、再任を妨げない。

     (3) 仲裁所には二以上の合議体を設置することができる。合議体の構成は、第2項第2文から第4文までの規定に基づきこれを定める。合議体の間での業務の分配は、ドイツ特許商標庁の長官がこれを決める。

     (4) 仲裁所の構成員は干渉を受けない。

     (5) 仲裁所に対する申立ては書面による申請によって行う。

     (5a) 第1項第1号c)に基づく手続においては、仲裁所は、著作権法第54a条第1項により基準とされる使用を、経験的な審査によって明らかにしなければならない。

     (5b) 著作権法第54条に基づく報酬の義務に関する紛争においては、公的手段によって支援を受ける消費者連盟の連邦上部団体に対し、書面による意見の機会が与えられる。

     (6) 仲裁所は、紛争の平和的解決に努めなければならない。仲裁所において締結された和解が、その成立の日を表示して議長及び当事者によって署名されている場合には、それに基づいて強制執行を行う。民事訴訟法第797a条の規定は、ここに準用する。

     (7) 将来の紛争で第1項第1号b)によるものに関する仲裁契約は、それがすべての関係人に対し、権利で、個別の事案において仲裁裁判所に代え仲裁所に申立てをなし、及び、通常裁判所による判決を求めることに関するものを与えていないときは、無効とする。

     (8) 仲裁所に対する申立てにより、時効は、訴えの提起による場合と同様に中断する。

    第14a条 仲裁所による合意の提案

     (1) 仲裁所は、多数決をもってその裁定を行う。

     (2) 仲裁所は、申立て後1年以内に、関係人に合意の提案を行わなければならない。この期間の経過後は、仲裁所における手続は、すべての関係人の同意をもって半年毎に継続することができる。合意の提案には、理由を付し、かつ、仲裁所の構成員でその紛争について管轄を有するすべての者が署名するものとする。合意の提案には、異議申立ての可能性及び異議申立て期間を徒過した際の効果について表示するものとする。合意の提案は、当事者に送達するものとする。

     (3) 合意の提案は、その送達後1ヶ月内に書面による異議申立てが仲裁所に到達しない場合には、受諾されたものとみなし、提案の内容に対応する取極めが成立したものとみなす。紛争が、有線再放送に関する使用権の許与又は譲渡に関係する場合は、その期間を3ヶ月とする。

     (4) 受諾された合意の提案に基づいて強制執行を行う。民事訴訟法第797a条の規定は、ここに準用する。

    第14b条 合意提案の制限、合意提案の見合わせ

     (1) 第14条第1項第1号a)による紛争において、料率(第13条)の適用可能性又は相当性が争われ、かつ、事実関係につきその他の点においても争いがある場合には、仲裁所は、その合意の提案を、料率の適用可能性又は相当性に関する意見に限定して行うことができる。

     (2) 第14条第1項第1号a)による紛争において、料率の適用可能性及び相当性が争われていない場合には、仲裁所は、合意の提案を見合わせることができる。

    第14c条 団体契約に関する紛争

     (1) 第14条第1項第1号c)による紛争においては、合意の提案は団体契約の内容を含むものとする。仲裁所は、団体契約を、申請がなされた年の1月1日より有効なものにかぎって提案することができる。

     (2) 関係人の申請があるときは、仲裁所は、提案を仮の取極めのためになすことができる。第14a条第2項第3文から第5文まで及び第3項の規定は、ここに準用する。仮の取極めは、別段の合意がないかぎり、仲裁所における手続が終結するまで効力を有する。

     (3) 仲裁所は、手続に関して連邦カルテル庁に通知しなければならない。競争制限禁止法第90条第1項第2号及び第2項の規定は、連邦カルテル庁の長官が監督官庁(第18条第1項)の職員を代理人に選任することができないことを条件として、ここに準用するものとする。

    第14d条 有線再放送の権利に関する紛争

     第14条第1項第2号による紛争においては、第14c条の規定を準用する。

    第14e条 手続の停止

     仲裁所は、第14条第1項第1号c)による係属中の手続において合意の提案をなすまでは、第14条第1項第1号a)又はb)に基づく手続を停止することができる。手続が停止されている間は、第14a条第2項第1文及び第16条第1項に基づく合意の提案の提示に関する期間は停止する。

    第15条 仲裁所における手続

     連邦司法大臣は、法規命令によりつぎの各項に掲げることを行う権限を有する。
    1. 仲裁所における手続を定めること。
    2. 仲裁所の構成員の業務に関するその者の補償について細則を発すること。
    3. 仲裁所における手続に関して管理費用の補填のために監督官庁が徴収することのできる費用(手数料及び立替金)を規定すること。ただし、手数料は、第一審の訴訟手続において徴収することのできる手数料を上回ってはならない。
    4. 費用債務者、費用の納付期限及び消滅時効、費用の前納義務、費用の免除、費用の確定手続及び費用の確定に対する法的救済に関する規則を定めること。

    第16条 裁判における行使

     (1) 第14条第1項による紛争の場合には、請求権は、仲裁所における手続が、先に行われ、又は第14a条第2項第1文及び第2文に基づく手続の期間内に終結しなかった後に、初めて訴えの方法で行使することができる。

     (2) 前項の規定は、第14条第1項第1号a)による紛争において、料率の適用可能性及び相当性が争われない場合には、適用しない。料率の適用可能性又は相当性に争いのあることが法律上の争訟の過程で初めて明らかになるときは、裁判所は、当事者に仲裁所の申立てを可能とするため、法律上の争訟を停止する。料率の適用可能性又は相当性を争う当事者が、停止の後2ヶ月以内に、仲裁所に申請をなしたことを証明しないときは、法律上の争訟は継続される。ただし、この場合において、集中管理団体が使用関係の基礎とする料率の適用可能性及び相当性は認諾されたものとみなす。

     (3) 仮差押え又は仮処分に関する命令の申請には、仲裁所に対する事前の申立てを要しない。仮差押え又は仮処分が発せられた後は、訴えは、当事者に民事訴訟法第926条及び第936条により訴えの提起の期限が定められているときは、第1項の制限を受けることなく許される。

     (4) 団体契約(第12条)の締結又は変更を求める請求権、第14条第1項第2号による契約の締結又は変更を求める請求権及び第14条第1項第1号b)による紛争に関しては、専ら、仲裁所の所在地を管轄する上級地方裁判所が第一審として判決する。その手続については、民事訴訟法第二篇第一章を準用する。上級地方裁判所は、団体契約の内容、とりわけ報酬の種類及び額を、衡平な裁量によって決定する。その決定は、関係人の対応する取極めに代替する。契約の決定は、申請がなされた年の1月1日より有効なものとしてのみ、行うことができる。上級地方裁判所が発した終局判決に対しては、民事訴訟法の定めるところに従って上告が行われる。

    第17条 専属裁判籍

     (1) 集中管理団体の請求権に関する法律上の争訟で、その管理する使用権又は同意権の侵害を理由とするものについては、裁判所で、その地区において侵害行為が行われ、又は加害者が自らの普通裁判籍を有するものが、専属で管轄する。著作権法第105条の規定は、これによって影響を受けない。

     (2) 前項第一文に基づき同一の加害者に対する複数の法律上の争訟について異なる裁判所が管轄を有するときは、集中管理団体は、すべての請求権をこれらの裁判所の一つにおいて、行使することができる。

    第17a条 任意調停

     (1) 著作権法第54条に基づく報酬義務に関する紛争においては、関係人の求めるところにより、仲裁所に対する申立てに代えて調停手続を行う。

     (2) 調停人は、関係人が一致してその者を推薦し、又はその者に調停人の指名を求める場合には、連邦司法大臣によって任命される。調停人は、自らの職務を中立的に、かつ独立して行う。その報酬及び費用は、関係人が同等に負担する。関係人の独自の費用は、紛争処理に関する取極めにおいて別段の定めがなされないかぎり、自ら負担する。

     (3) 調停人は、関係人との評決における手続を、覊束裁量のもとで定める。調停人は、関係人とともに事実及び争点を議論し及び解明し、かつ、合意に基づく解決を目指す。調停人は、調停手続に基づいて、紛争処理に関する提案を関係人に対し提示する。

     (4) いずれの関係人も、調停の失敗をいつでも宣言し、仲裁所に申し立てることができる。

     (5) 調停人の面前にて紛争処理に関する取極めが締結された場合には、その取極めは書面に記載し、かつ当事者が署名するものとする。調停人は、その署名をもって終結を証明する。関係人は、取極めの謄本を保持する。調停人の前で締結された取極めに基づいて強制執行を行う。民事訴訟法第797a条の規定は、ここに準用する。



    第3章 集中管理団体に対する監督

    第18条 監督官庁

     (1) 監督官庁はこれを特許庁とする。

     (2) 他の法律の規定に基づき集中管理団体に対する監督が行われる場合は、それは特許庁との協議によって行うものとする。

     (3) 事業に関する許可の付与を求める申請(第2条)及び許可の取消(第4条)に関しては、特許庁は、連邦カルテル庁との合意に基づいて決定を行う。合意の形成に至らない場合には、特許庁は、事案を連邦司法大臣に提出し、その指揮で、連邦経済技術大臣との協議によって与えられるものが、その合意に代わるものとする。

    第19条 監督の内容

     (1) 監督官庁は、集中管理団体がこの法律によって自らに課された義務をそれに則り果たすよう、配慮しなければならない。

     (2) 集中管理団体が、第1条第1項に基づく許可を得ずに業務を行おうとする場合には、監督官庁は、その業務の継続を禁止することができる。監督官庁は、集中管理団体が自らに課されたその他の義務をそれに則り履行することを保障するため、必要となるすべての措置を講ずることができる。

     (3) 監督官庁は、集中管理団体に対しいつでも、その業務の執行に関するすべての事項についての報告、並びに、業務帳簿及びその他の業務上の書類の提出を求めることができる。

     (4) 監督官庁は、構成員総会に、及び、取締役会又は監査役会が存する場合にはその会議にも、委任を受けた者によって参加する権限を有する。

     (5) 法律又は定款に基づき集中管理団体を代表する権限を有する者が、その業務の執行にあたって必要とされる信頼性を有しないことが事実により明らかとなる場合には、監督官庁は、集中管理団体に対し、第4条第1項第1号に基づく許可の取消を回避することを目的として、その者の解任のための期間を設ける。監督官庁は、この期間が経過するまでは、より重大な不利益を回避するために必要とする場合には、その者に対して自らの業務の更なる執行を禁止することができる。

    第20条 通知義務

     集中管理団体は、監督官庁に対して、法律又は定款に基づき自らを代表する権限を有する者の交代については、いずれもこれを告知しなければならない。集中管理団体は、監督官庁に対して、つぎの各号に掲げる事項を、遅滞なくその副本によって伝えなければならない。
    1. 定款の変更
    2. 料率及び料率のすべての改定
    3. 団体契約
    4. 外国の集中管理団体との協定
    5. 構成員総会、取締役会又は監査役会及びすべての委員会の決議
    6. 年次決算書、事業報告書及び監査報告書
    7. 監督官庁がそれを求める場合には、集中管理団体が当事者となっている裁判上又は行政上の手続における決定



    第4章 経過規定及び最終規定

    第21条 強制金

     この法律に基づき発せられる行政行為の執行に対しては、1953年4月27日の行政執行法(連邦法律広報第 I 部第157頁)が、強制金の額は10万ユーロまでとなし得ることを条件として、適用される。

    第22条(廃止)から第23条まで省略〕

    第24条 競争制限禁止法の修正

     競争制限禁止法は、つぎの通り修正される。
    1. 第91条第1項第1文において、「第100条、第102条」の後に、「第102a条」を挿入する。第91条には、さらに、つぎの第3項を加える。
    「(3) 1965年9月9日の著作権及び著作隣接権の管理に関する法律(連邦法律広報第 I 部第1294頁)第14条第1項第3文は、これによって妨げられない。」

    2. 第102条の後に、つぎの第102a条を挿入する。
    「第102a条

     (1) 第1条及び第15条の規定は、集中管理団体で著作権及び著作隣接権の管理に関する法律によって監督されるものの設立に対して、及び、当該集中管理団体に係る競争制限的な契約又は取極めにあっては、その契約又は取極めが、著作権及び著作隣接権の管理に関する法律第1条によって許可を要する業務に関係を有し、かつ監督官庁に届出がなされている場合にかぎり、当該契約又は取極めに対しても、適用されない。監督官庁は、その届出の内容に関する詳細を定めなければならない。監督官庁は、その届出を連邦カルテル庁に転送する。

     (2) 連邦カルテル庁は、第1条及び第15条の適用免除により市場において獲得された地位の濫用にあたるものについては、集中管理団体に対してそのような措置を禁止し、及びそのような契約及び取極めの無効を宣言することができる。団体契約又は放送事業者との契約の内容が、著作権及び著作隣接権の管理に関する法律第14条に基づき、仲裁所によって拘束力をもって確定されている場合においては、連邦カルテル庁にこの法律に基づく権限が存するのは、その契約に第三者の利益を損なう条項が含まれており、又はその契約が濫用によって適用されているときにかぎられる。契約の内容が、著作権及び著作隣接権の管理に関する法律第15条に基づき、上級地方裁判所によって確定されている場合においては、連邦カルテル庁にこの法律に基づく権限が存するのは、その契約が濫用によって適用されているときにかぎられる。

     (3) この法律に基づく処分で、集中管理団体の業務と関係するものは、監督官庁との協議を経たうえで連邦カルテル庁によって下される。」

    3. 第105条において、「第100条、第102条」の後に、「第102a条」を挿入する。

    競争制限禁止法(2005年7月7日改正前の旧法)

    第30条 著作権集中管理団体


     (1) 第1条及び第14条の規定は、集中管理団体で著作権及び著作隣接権の管理に関する法律によって監督されるものの設立に関して、及び、当該集中管理団体に係る契約及び取極めにあっては、それらが、著作権及び著作隣接権の管理に関する法律第1条の意味における権利の有効な管理のために必要であり、かつ監督官庁に届出がなされている場合には、当該契約及び取極めに関しても、適用されない。監督官庁は、その届出を連邦カルテル庁に転送する。

     (2) 契約の内容が、著作権及び著作隣接権の管理に関する法律第16条第4項に基づき、上級地方裁判所によって確定されている場合においては、連邦カルテル庁にこの法律に基づく権限が存するのは、その契約が濫用によって適用されているときにかぎられる。

    訳注記: 第24条によって修正を指示されている競争制限禁止法第102a条の規定は、1998年8月26日の競争制限禁止法の改正に関する第六の法律(連邦法律広報第 I 部第2546頁)に、競争制限禁止法第30条の規定によって置き換えられた。また、この第30条の規定は、2005年7月7日の競争制限禁止法の改正に関する第七の法律(連邦法律広報第 I 部第1954頁)によって削除されたが、これによって競争制限禁止法に対する集中管理団体の位置づけには影響がないものと解されている。

    第25条 省略

    第26条 廃止される規定

     この法律の施行とともに、つぎに掲げる規定は、それがすでに失効したものとなっていないかぎり、この法律の施行とともに廃止される。
    1. 1933年7月4日の音楽演奏権の仲介に関する法律(ライヒ法律広報第 I 部第452頁)
    2. 1934年2月15日の音楽演奏権の仲介に関する法律の施行令(ライヒ法律広報第 I 部第100頁)

    第26a条 係属中の手続

     第14条から第16条までの規定は、この法律の施行に際して仲裁所に係属している手続には、適用しないものとする。これらの手続については、1965年9月9日時点の著作権及び著作隣接権の管理に関する法律(連邦法律広報第 I 部第1294頁)の第14条及び第15条を適用する。

    第27条 情報社会における著作権の規整に関する第二の法律に関する経過規定

     情報社会における著作権の規整に関する第二の法律に関しては、つぎの経過規定を適用する。

     (1) 報酬基準額で、2007年12月31日前の団体契約において合意されていたものは、遅くとも2010年1月1日までにそれが新たな報酬基準額に代わるまでは、引き続き料率とみなされる。第1文は、2007年12月31日まで妥当した著作権法第54d条第1項の別表に規定された基準額についても、それがこの日に適用されていたものと認められるときは、準用する。

     (2) 第14条の規定は、2008年1月1日においてすでに仲裁所に係属している手続に対して、第14a条第2項による1年の期間が当該法律の施行とともに開始することを条件として、準用するものとする。

     (3) 第16条第4項第1文の規定は、2008年1月1日においてすでに地方裁判所に係属している手続に対して、準用するものとする。

    第28条 施行

     (1) 第14条第7項の規定は、この法律の公布の翌日に施行する。

     (2) その余の場合には、この法律は、1966年1月1日に施行する。




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