第4回 入賞事例

    これらの教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限り、自由にご利用いただけます。

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    著作権教育でわかる、この社会のかたち
    —【10回シリーズ】インターネットを活用し、
    いつでも、どこでも、誰でもできる著作権教育—

    担当教諭 会津 拓也

    受賞のことば

    紋別北高等学校・写真

    今回、このような賞をいただき、ありがとうございます。高等学校教育の「情報」で学ぶべき著作権教育とは何か、「10時間でできる著作権教育」という形で提案させていただきました。そして多くの先生の目に触れることで、改善されればという願いのもと、今回応募させていただきました。

    そんな中で私自身、試行錯誤の中で生徒たちから教えられたことが多かったです。例えば、著作権に関わるニュースを扱った時、生徒が感想の中でこんなコメントを寄せていました。「作品を使う側がちゃんとルールを守ることも大切だけど、作品を創る側の人達も、私がお小遣いを払い、アーティストを応援していることも忘れないでほしい。」この言葉のように、使う側の立場として守るべきモラルと、創る側の立場として果たさなければならない社会的な責任、この2つの視点から考えることができたことが収穫でした。

    このような著作権教育は、情報モラル教育で終わるのではなく、この社会の「かたち」を理解するためのコミュニケーション能力を養う教材になるのではないか、という可能性を感じました。  (教諭 会津 拓也)

    教育活動の概要 題名 著作権教育でわかる、この社会のかたち
    —【10回シリーズ】インターネットを活用し、
    いつでも、どこでも、誰でもできる著作権教育—
    対象学年 高校3年生
    授業科目 情報C(3単位時間)
    授業時間数 10時間
    実施期間 平成20年10月1日~11月21日
    レポート・教材
    ねらい
    1. 創作者の視点と、使用者の視点から考えることで、ものごとを別の角度から捉えられる力を養う。
    2. 著作物の許諾に至るまでの流れを実体験し、コミュニケーション能力を育成する。
    3. 著作権教育について、多くの先生方と情報を共有し、改善されることを想定した教材を作成する。
    内容
    「知る」 1 著作権についての基礎知識を学ぶ
    2 著作物を多くの人に楽しんでもらうために
    「考える」 3 創る立場から伝えたいことがある
    4 使う立場から伝えたいことがある
    「調査・共有する」 5 著作権が消滅する映画作品のリストアップ
    6 著作権クイズのデータベース化
    「解決する」 7 私の創った著作物を守る方法
    8 著作物の使用許諾を得る
    「発信する」 9 著作権に関するニュースレポート
    10 まとめ「著作権から学んだこの社会のかたち」

    <重点項目>

    1. 学校規模、使用機材にこだわらない著作権教育の実践。
    2. モラル教育を創造、活用、実践教育へ発展させる。
    3. 無償の教材を利用することで、費用をかけずに効果的な教育活動をコーディネートする。
    4. 著作権教育の取り組みを積極的に紹介するwebサイトの運営
    成果と課題 (1) 成果
    1. 無償で利用できる教材を活用することは、著作権教育にとって有効な手段である。
    2. インターネットを活用して情報を共有することで、効果的な取り組みができる。
    3. 社会のしくみについて、様々な角度からのアプローチができる教材が著作権教育である。
    (2) 課題

    今回は作曲者から許諾をいただくことができた。しかし、かならずしも常に許諾を得られるわけではない。今回は、許諾を得られなかった場合についてのアプローチができなかった。また、今回の教材は近隣の高校の先生方に見ていただき、使用していただく予定である。

    児童・生徒の感想
    • 今回、著作権についてたくさん学んで、前よりも知識がついたと思っています。授業では著作権のことをわかりやすく、クイズや映像をみて楽しく理解することができました。
      最近、著作権に関することをテレビでよく見ることが多いので、授業で習ったことを思い出しながら見たりしています。もしかしたら、自分も著作権侵害しているかも… と考えたりする機会が増えました。携帯サイトなどで画像交換掲示板などがありますが、その掲示板では©が付いた画像や写真付き画像が交換されています。それも著作権侵害だよなあ~…とか思う今日この頃です。
    • この著作権の授業をするまでは、普段からあまり著作権のことを気にしないで生活していました。しかし、今回の授業を通して少しではありますが、著作権について考えるようになりました。
      前は、「海賊版DVDが格安で販売されている」というニュースを見ても悪いことだとは思いましたが、特に関心を持っていませんでした。でも、今回の授業で海賊版DVDが販売されると本物を制作した人たちの損害が大きいことやそのせいで次回作がつくられなくなる可能性があるということを知りとてもショックを受けました。
      今後、こんなことを無くしていくためにも、私たち一人ひとりが著作権について関心を持ち、著作権を侵害しないよう注意し合っていくことが大切だと思いました。
    • 著作権の授業を習って一番印象に残っていることは、~ムリムリ童話「☆星のダイヤモンド」です。先生の説明がおもしろかったのが一番印象に残っています。あと、おじゃる丸のコピーライト・ワールドの著作権クイズです。著作権は授業でやる前から知っていたのですが。著作権の中にもいっぱい○○権ってのもあるのも知りませんでした。何か「○○権」って技みたいですよね。著作権について細かいところまで学べて、とてもよかったです!
    • 授業で著作権について学んだことで、ぼんやりと理解していた著作権のことががっちりとは言わないけれど、常識以上には分かった気がします。おじゃる丸の著作権クイズでは、意外と難しくて定期的に挑戦してみるのもよいと思いました。他にも、テレビに吸い込まれて著作権についてお姉さんに指導される物語をみて、著作権を侵害されるのは精神的なダメージが強いとばかり思っていましたが、海賊版DVDなど著作権を侵害したコピー品が世界に蔓延することによって、高い正規品が売れない→企業の利益が減る→雇用者が減るという精神的ダメージ以外の社会的ダメージを被ることを学べたことが印象に残っています。
    • まずは自分や誰かが何気なく作った作品や文章にも著作権が発生するというのを知って、著作権は音楽とか映画とかに関わるものだと思っていたので、誰にでも権利が発生して、申請すれば著作物を使用できることに驚いたし、こんなに身近なものだということを学びました。
    • 私が思っていた以上に著作権にはいろいろな法律があって結構大変な問題なのだと思いました。でも私たちは授業で勉強したからまだいけないことだとわかりますが、多くの人は著作権についてあまりよく知らないと思います。実際、私も授業をするまでは©マークぐらいしか知りませんでした。これからもっとインターネットなどが多く普及していく中、著作権についての知識が身についていないと知らない間に犯罪をおかしていることになってしまうと思います。そんなことにならないために学校の授業などで多くの人に著作権を知ってもらう必要があると思います。
    • おじゃる丸の著作権を勉強するサイトは子どもたちのもわかりやすい説明がついていたりクイズがあったり、可愛いサイトなので親子で見るにはいいと思いました。
      このようなサイトをもっと増やすことや、身近に著作権を感じることで著作権について知るきっかけができると思います。そしてルールを守って犯罪を減らしたり、犯罪に巻き込まれないようになればいいと思います。
    • 私が著作権の勉強をして印象に残っていることは、どんな人が作ったものにでも、著作権はあるということです。私は著作権のことを勉強する前までは、何かを創ることを職業としている人にだけ著作権があると思っていました。でも、私たちが書いた作文や絵にも著作権があるということを知りました。著作権の勉強で学んだことは、著作権には、複製権や譲渡権、貸与権などの種類があることです。著作権という言葉は以前から聞いたことがありましたが、複製権や譲渡権などといった権利はこの勉強をしていなかったら、学ぶことができなかったので、少しでも著作権について理解ができてよかったと思います。
    • DVDなど、いろいろな著作権を学んで少し反省しました。私は高校3年生にもなって「クレヨンしんちゃん」がとっても好きです。映画のDVDを全部持っています。でもそれは全部コピーしたものです・・・。個人的に楽しんでいるものですが、友達に貸したり、あぶなく友達にコピーしてあげてしまうところでした。他にもレンタルしてきたDVDやCDをよくコピーして好きな曲だけ集めたり、友達にあげたりしてるので、今回の授業で知らなかったことがわかったので、今までやってきた行動を反省して、これからは気をつけていこうと思います。
    選考委員コメント

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