第4回 入賞事例

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    優良賞  石川県 小松市立能美小学校 一覧にもどる

    「誠実な行動をとるために」 作品に対する思いを大事に!

    担当教諭 廣田 恵子 山﨑 祐喜

    受賞のことば

    能美小学校・写真

    情報モラルの学習の必要性は年々高くなり、新指導要領でも「児童の発達の段階や特質性を考慮し、第2に示す道徳の内容との関連を踏まえ、情報モラルに関する指導に留意すること」と書かれているように単に知識だけでなく、心を育てていく教育が、これからは重要だと言えます。そのため子どもの実態を1学期に調査し、道徳と情報教育の年間計画とを関連させながら実践してきました。

    本実践はその中で著作権に関わるものです。「姿が見えない相手への意識・配慮」が育成される道徳の資料を選択し、総合的な学習の時間の情報モラルと関連させ、効果的にモラルの心を育ていきたいと考えました。授業を通して姿が見えない相手への意識・配慮が誠実な行動への意欲へつながるように考えてきました。このような機会を与えていただき、受賞できたこと大変有難く思っています。また道徳では指導要領改訂委員の山西実先生、情報モラルでは星稜大学の村井万寿夫教授にご指導いただき心から感謝しています。 (教諭 廣田 恵子 山﨑 祐喜)

    教育活動の概要 題名 「誠実な行動をとるために」 作品に対する思いを大事に!
    対象学年 小学6年生
    授業科目 道徳・総合的な学習の時間
    授業時間数 5時間
    実施期間 平成20年5月~7月
    レポート・教材
    ねらい
    • 著作者側の作品に対する思いに気付き、自分自身が誠実に行動していこうとする意欲を高める。(心情を育てる)
    • 自分たちの生活の中で著作権法上気をつけなければならない事があることに気付き、自分が生活する上での情報判断する視点を身につける。(知識を身につける)
    内容

    昨今では、情報に関わる犯罪やトラブルが子どもの世界とも無縁ではなくなってきている。そのため、情報モラルの学習の必要性は年々高くなっていると言える。そのため、情報モラルの年間計画を踏まえ、道徳・総合的な学習の時間で、著作権・肖像権について考えさせる。著作物の保護、著作者への思いやりが規範意識にもつながると考えている。著作権に関する法律や知識は、総合的な学習や教科と関連させて行い、道徳では無断でコピーしたいという心にブレーキをかけ、誠実に行動していこうという意識を育てる授業を行う。このことは、今後パソコンや携帯など様々な機器を利用する上で、よく考えて判断したり、見えない相手にも誠実に行動する態度が危険を回避したり、他人に迷惑をかけてしまう事を防ぐことにもつながる。

    成果と課題
    • 著作権という言葉は子どもの日常に当たり前に使われる言葉となり、インターネットの写真や資料、本、音楽、キャラクターの絵などコピーできても、してはいけないんじゃないかという判断を立ち止まって考えるようになってきた児童が増えた。個人の写真や個人情報などについても簡単に使ってはいけないことも理解してきている。
    • 道徳を通して、著作権にかかわらず情報モラルの意識を高めていく上で、自分の心をコントロールし、律していく強い心を育てていく必要がある。判断するための知識と、自分を律していく心と、誠実に対応し行動していく力を年間を通して実践を積み重ねて行く過程で育成していきたい。
    児童・生徒の変容

    著作権という言葉は子どもの日常に当たり前に使われる言葉となっている。インターネットの写真や資料、本、音楽、キャラクターの絵など授業で使っても「コピーしてはいけないんじゃないか」という判断を立ち止まって考えるようになった児童が増えてきた。個人の写真や個人情報などについても「あなたのフォルダの写真もらっていい?」「Aグループのとった写真まとめに使ってもいい?」など許可を求める声も多くなっている。

    また、収集した情報の出所を明らかにし、明記することも定着してきている。教科の授業の中でも引用する情報には出所を明記し、多角的に情報を収集することも意識できるようになってきた。友達の意見や考えをノートに書く場合にも「○○さんの考え」「○○さんの意見」など相手の立場を尊重して書き込まれている。良い考えを教えてもらえた相手へ「ありがとう」という感謝の言葉も聞かれるようになった。情報や考えは物ではないため目には見えないが、相手への心遣いへの意識が高まってきていると感じている。

    選考委員コメント

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