東京特別研修を実施
去る2012年2月6日から17日までの約2週間にわたり、「アジア地域 著作権・著作隣接権のエンフォースメントに関する特別研修」(WIPO/JAPAN Special Course on the Enforcement of Copyright and Related Rights)(通称:東京特別研修)を実施しました。昨年度は、震災等の影響で例年より数カ月遅れての開催となりました。
この事業は、世界知的所有権機関(WIPO)と文化庁が協力して実施する「アジア地域著作権制度普及促進事業」(通称:APACEプログラム)の一つであり、1994年から継続して行っています。
当センターは、国際協力・国際交流事業の一環として、研修プログラムの策定や研修生の引率などを担当することで、実施に協力しています(具体的な日程は、本誌2011年11月号に掲載したとおりです)。
今回で19回目を迎える研修には、著作権のエンフォースメントに直接携わる著作権局職員を対象とし、中国、インドネシア、タイから各2名、スリランカから1名の計7名が参加しました。また、共催者であるWIPOからは、安藤博・アソシエイトオフィサーが来日されました。
初日の開講式後、都築智・文化庁国際課海賊版対策専門官から、「日本における著作権制度の概要と最近の動向」について、WIPO安藤氏から「著作権に関する国際的な法的枠組と現在の動向」について、2日目には土井輝生・早稲田大学名誉教授による「著作権法の概要」について、それぞれ総体的な講義が行われ、続いて学識者や関係団体の方々から、著作権保護の現況とエンフォースメントなどについてご講義いただきました。
講義を通して参加者は、業務遂行に関連する著作権・著作隣接権の知識習得に努めました。多くの質疑がなされ、独自の実務経験を背景にした質疑内容からも、今後の業務に役立てようとする積極的な姿勢を垣間見ることができました。休憩中には、習得した内容を確認しあったり、各国の研修生同士が情報を交換したり、この機会に他国との交流を深めようとする姿も見られました。
講義は、主に当センターの会議室で行われましたが、JASRACには訪問して受講し、館内での業務風景の一部も紹介されました。また、日程には現場訪問プログラムも組まれており、東京外郵出張所で郵送物の通関業務を視察し、その日の午後に引き続き東京税関を訪問し、税関業務全般について講義を受けました。著作権法に則ったエンフォースメントに関与する参加者にとって、著作物を侵害する製品を輸入禁止にするまでに至るわが国での手続には、強い関心を寄せ、自国での実務経験を背景に多くの質問を担当者に投げかけていました。
大楽光江・北陸大学未来創造学部教授をモデレーターとしたカントリーレポートでは、各国からの研修生の代表が、自国の著作権制度や違法行為への取り組みの現状や法改正の予定などについて報告しました。また、大楽教授は、参加者に対して、検討を希望する項目についての報告を事前に求め、限られた時間内で効率的に討論を行いました。
最終日のラップアップミーテイングでは、研修生が本研修に期待していた事柄を前提に、講義内容について全般的な評価、研修の印象、参加して役立ったこと、今回の成果、自国の課題、将来への展望などについて、文化庁からの出席者を交え意見交換がなされました。また、今後のこのプログラムへの希望も述べられました。
講義をお引き受けいただいた皆様は、前述の講師の方々をはじめとして、水沼徹夫氏(知的財産戦略推進事務局)、地道秀明氏、北村秀明氏(警察庁)、江見浩一氏、溝谷哲也氏(JASRAC)、早川義英氏(出版者著作権管理機構)、菊池絵理氏(東京地裁)、山本隆司氏(弁護士)、木下祐二氏(ACCS)、石井亮平氏(NHKアーカイブスセンター)、木下和幸氏(sarah)、楠本靖氏(RIAJ)、増山周氏(CPRA)、後藤健郎氏(コンテンツ海外流通促進機構)の方々です(講義日程順)。この場を借りて御礼申し上げます。
最終日の閉講式では、芝田政之・文化庁長官官房審議官から、研修生に1人ずつ修了証が授与されました。
引き続き行われたフェアウェルパーティーには、講師の方々をはじめ関係団体からご出席いただき、2週間のプログラムを締めくくりました。
WIPOは2005年度から、本研修のフォローアップを目的として、Eフォーラムを立ち上げ、インターネット上に研修生が意見・情報交換を行う場を提供しています。当センターとしても、このフォーラムに参加するなど、研修生との交流を継続し、情報交換を行っていくとともに、本研修などを通じて、アジア地域の著作権整備に貢献していきたいと考えています。
今後も、文化庁のご指導、学識経験者ならびに関係団体の方々のご協力をたまわり、本事業を実施してまいります。
※本事業は、一般社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)の著作権制度普及を目的とする共通目的基金をもとに実施しました。
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