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    孤児著作物の特定の適法利用に関する2012年10月25日の欧州議会および欧州理事会指令 2012/28/EU(欧州経済領域関連文書)

    はしがき

    目 次

    ( 前文 )

    第1条  目的および適用範囲
    第2条  孤児著作物
    第3条  権利者の入念な調査
    第4条  孤児著作物状態の相互承認
    第5条  孤児著作物状態の終了
    第6条  孤児著作物の適法利用
    第7条  他の法規の継続適用
    第8条  時間的適用範囲
    第9条  国内法化
    第10条  レビュー条項
    第11条  発効
    第12条  名宛人

    別紙



    はしがき

     この翻訳は、欧州指令のうち、「孤児著作物の特定の適法利用に関する2012年10月25日の欧州議会および欧州理事会指令2012/28/EU」、いわゆる孤児著作物指令を訳したものである。  本指令は、2005年の欧州デジタル図書館計画により、オンライン図書館を創設する計画をその背景とするものである。さらに、2010年5月に公表された欧州デジタルアジェンダでは、政策目標の一つとしてデジタル単一市場の創設が掲げられているが、孤児著作物のデジタル化と普及を促進する法的枠組の創設は、欧州デジタルアジェンダの主要な活動の一部と位置づけられている。  本指令は、加盟国内で設立された公衆がアクセス可能な図書館等による孤児著作物の特定の利用について定めるものであり、目的が限定されている(1条)。本指令は、孤児著作物の定義を定め(2条)、孤児著作物であるかどうかを判断する手続きとして入念な調査を定め(3条)。孤児著作物状態であることは加盟国間で相互承認される(4条)。図書館等による孤児著作物の利用は、複製権および公衆に利用可能とする権利に例外または制限を設けるという枠組みによることを定め(6条)、孤児著作物状態の終了(5条)と終了した権利者に対する公正な補償についても定めている(6条)。 また、デジタル単一市場における著作権および隣接権に関するならびに指令96/9/ECおよび2001/29/ECを修正する2019年4月17日の欧州議会および欧州理事会指令(EU)2019/790においては、情報社会サービス提供者による報道出版物のオンライン利用について、報道出版物の発行者に対し、複製権と公衆に利用可能とする権利を与えることを定めているが、孤児著作物指令は、これらの権利に準用されるが、当該指令に定められている。 なお、本指令の翻訳にあたっては、英語版および仏語版を参照し、一つの言語において意味が曖昧な箇所は、他の言語に基づいて補うように訳出した。


    2021年3月
    井奈波 朋子


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