この翻訳は、欧州指令のうち、「域内市場における情報社会サービス、特に電子商取引の特定の法的側面に関する2000年6月8日の欧州議会および欧州理事会指令」、いわゆる電子商取引指令を訳したものである。 本指令は、リスボン条約が未発効であるため、欧州共同体設立条約に基づき定められたものである。また、本指令制定当時、欧州連合の加盟国は15カ国であった。 欧州共同体設立条約は、リスボン条約によって、欧州共同体設立条約は欧州連合の機能に関する条約となったが、欧州共同体設立条約に定められていたサービスの自由移動は、欧州連合の運営方法に関する条約に引き継がれている。 本指令は、加盟国における電子商取引に関する法制度の不一致が、欧州域内における情報社会サービスの発展を妨げるとの認識のもと、加盟国間における情報社会サービスの自由移動を保証することを目的とし、域内市場における電子商取引の特定の法的側面に関する共通の枠組みを定めるものである。 本指令における特定の法的側面とは、域内市場、サービスプロバイダの事業所設立、商業通信、電子契約、仲介者の責任、行為準則、裁判外紛争解決、裁判上の請求および加盟国間の協力に関するものである。このうち、著作権の分野に特に関係するものは、仲介者の責任に関する規定である。本指令は、所定の要件のもとで、仲介者の責任制限が定められているが、デジタル単一市場における著作権および隣接権に関するならびに指令96/9/ECおよび2001/29/ECを修正する2019年4月17日の欧州議会および欧州理事会指令(EU)2019/790においては、所定の場合に、本指令の定める仲介者の責任制限が適用されないことなどが規定されている。 なお、本指令の翻訳にあたっては、英語版および仏語版を参照し、一つの言語において意味が曖昧な箇所は、他の言語に基づいて補うように訳出した。
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