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    第1章-著作権の対象および範囲


    第101条 定義

    本編に別段の定めある場合を除き、本編において、以下の用語およびその活用形は、それぞれ以下の意味を有する。

    「無名著作物」とは、いかなる自然人もその著作者として特定されていないコピーまたはレコードに含まれる著作物をいう。

    「建築著作物」とは、何らかの有形的表現媒体に収録された建築物のデザインをいい、建築物、建築計画図または設計図を含む。建築著作物は、デザインにおける空間および要素の配列および構成のみならず全体的形状を含むが、個々の標準的特徴を含まない。

    「視聴覚著作物」とは、映写機、ビューワー、または電子機器のような機械または装置を用いて見せることが本来的に意図された一連の関連する映像、およびもしあればそれに伴う音声からなる著作物をいい、当該著作物が収録されたフィルム、テープ等有体物の性質を問わない。

    「ベルヌ条約」とは、1886年9月9日にスイス国ベルヌで調印された文学的及び美術的著作物の保護に関する条約、ならびにこれに対するすべての法律、議定書およびそれらの修正をいう。

    著作物の「最良版」とは、納付日前に合衆国内で発行された版で、連邦議会図書館がその目的に最も適すると判断するものをいう。

    ある者の「子」とは、その者の直近の子孫(嫡出か否かを問わない)およびその者が適法に養子とした者をいう。

    「集合著作物」とは、定期刊行物、選集または百科事典等の、それ自体が別個独立の著作物である多数の寄与物が一つの集合物を構成するものをいう。

    「編集著作物」とは、全体として創作的な著作物を構成する方法で、既存の素材またはデータを選択し、整理しまたは配列し、これらを収集し編成して作られた著作物をいう。「編集著作物」には集合著作物を含む。

    「コンピュータ・プログラム」とは、一定の結果を得るためにコンピュータで直接または間接に使用される、文または命令の集合をいう。

    「コピー」とは、現在知られている方法または将来開発される方法によって著作物を固定した有体物(レコードを除く)であって、これにより当該著作物を直接または機械もしくは装置を使用して覚知し、複製しまたは伝達することができるものをいう。「コピー」には著作物を最初に固定した有体物(レコードを除く)を含む。

    「著作権者」とは、著作権に含まれる排他的権利のいずれかに関して、当該権利を保有する者を指す。

    「著作権使用料審判官」とは、本編第802条に基づいて選任された著作権使用料審判官であって、同条に基づく仮著作権使用料審判官として執務する個人を含む。

    著作物は、著作物が最初にコピーまたはレコードに固定される時に「創作」される。著作物が一定期間にわたって作成される場合、特定時に固定されている部分がその時点での著作物を構成する。また、著作物が異なる表現形式で作成されている場合、各々の表現形式が別個の著作物を構成する。

    「二次的著作物」とは、翻訳、編曲、脚色、小説化、映画化、録音物、美術複製、抄録、要約、またはその他著作物を改作し、変形しもしくは翻案した形式のように、一以上の既存の著作物を基礎とする著作物をいう。全体として創作的な著作物を構成する改訂、注釈、発展またはその他の変更からなる著作物は、「二次的著作物」である。

    「装置」、「機械」または「プロセス」は、現在知られているものまたは将来開発されるものをいう。

    「デジタル送信」とは、デジタルその他の非アナログ形式で全体または一部を送信することをいう。

    著作物を「展示する」とは、著作物のコピーを直接またはフィルム、スライド、テレビ映像、その他の装置もしくはプロセスを用いて見せることをいう。映画その他の視聴覚著作物の場合には、個々の映像を非連続的に見せることをいう。

    「施設」とは、小売店、専門店または製品もしくはサービスの販売を主たる目的として一般公衆に開かれたその他の事業所であって、非居住部分の総床面積の半分以上がかかる目的に利用され、かつ、非演劇的音楽著作物が公に実演される場所をいう。

    「経済的利得」は、何らかの価値ある物の受領(著作権のある他の著作物の受領を含む)およびその期待を含む。

    著作物は、著作者がまたはその許諾を得て、通過的期間以上の期間にわたって著作物を覚知し、複製しまたは伝達することが可能な程度に永続的または安定的に、著作物をコピーまたはレコードに収録したときに、有形的表現媒体に「固定」される。本編において、送信される音声、映像またはその両者からなる著作物は、送信と同時に固定されている場合には「固定」されている。

    「飲食施設」とは、レストラン、旅館、バー、居酒屋または公衆もしくは顧客が食品もしくは飲料の提供を受けることを主たる目的として集合するその他の事業所であって、非居住部分の総床面積の半分以上がかかる目的に利用され、かつ、非演劇的音楽著作物が公に実演される場所をいう。

    「ジュネーブレコード条約」とは、1971年10月29日にスイス国ジュネーブで調印された許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約をいう。

    施設の「総床面積」とは、当該施設の屋内部分全体のほか、季節その他の事由によって提供されるか否かを問わず、顧客に供するために利用される隣接する屋外部分をいう。

    「含む」および「等」は例示語であって、限定語ではない。

    「国際協定」とは、以下をいう。
     (1)万国著作権条約、
     (2)ジュネーブレコード条約、
     (3)ベルヌ条約、
     (4)WTO協定、
     (5)WIPO著作権条約、
     (6)WIPO実演・レコード条約、および
     (7)合衆国が加盟しているその他の著作権条約。

    「共同著作物」とは、二以上の著作者が、各々の寄与物を分離できないまたは相互に依存する部分からなる単一物に統合する意図をもって、作成する著作物をいう。

    「言語著作物」とは、言葉、数字またはその他言語的もしくは数学的な記号もしくは符号により表現された著作物(視聴覚著作物を除く)をいい、書籍、定期刊行物、原稿、レコード、フィルム、テープ、ディスク、カード等収録媒体の性質を問わない。

    「映画上映施設」とは、映画館、映写室、または著作権のある映画の上映のために主として使用されるその他の場所をいう。ただし、上映が公衆に開放されまたは家族および社交場の知人の通常の集まりの範囲を超えた視聴集団に対して行われる場合に限る。

    「映画」とは、一連の映像からなる視聴覚著作物であって、連続して見せることにより動きを伝達するものをいい、音楽を伴うものがあれば、それを含む。

    著作物を「実演する」とは、直接または何らかの装置もしくはプロセスを使用して、著作物を朗読、表現、演奏、舞踊または上演することをいい、映画その他の視聴覚著作物の場合には、映像を連続して見せること、または映像に伴う音声を聞かせることをいう。

    「実演権団体」とは、アメリカ作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)、ブロードキャスト・ミュージック社(BMI)および SESAC社等、非演劇的音楽著作物の公の実演について著作権者に代わって使用許諾を付与する社団、会社その他の事業者をいう。

    「レコード」とは、現在知られているまたは将来開発される方法によって音声(映画その他の視聴覚著作物に伴うものを除く)が固定された有体物であって、直接または機械もしくは装置を使用して音声を覚知し、複製しまたは伝達することができるものをいう。「レコード」には、音声が最初に固定された有体物を含む。

    「絵画、図形および彫刻の著作物」は、平面的および立体的な純粋美術、グラフィック・アート、応用美術、写真、版画、美術複製、地図、地球儀、海図、図表、模型および技術図面(建築計画図を含む)を含む。絵画、図形および彫刻の著作物は、構造的または実用的側面ではなく、形状に関する限り、美術工芸の著作物を含む。本条に定義する実用品のデザインは、当該物品の実用面と別個に識別することができ、かつ、独立して存在しうる絵画、図形または彫刻の特徴を有する場合にのみ、その限度において絵画、図形または彫刻の著作物として扱われる。

    第513条において、「経営者」とは、施設または飲食施設を所有する個人、会社、組合その他の事業者をいう。ただし、連邦通信委員会の免許を受けたラジオもしくはテレビ局の所有者もしくは運営者、ケーブル・システムもしくは衛星通信事業者、ケーブル放送もしくは衛星放送のサービス提供者もしくは番組制作者、オンライン・サービスもしくはネットワーク・アクセスのプロバイダもしくは施設運営者、電気通信会社または現在知られているもしくは将来設立されるその他の音声もしくは視聴覚サービスの提供者もしくは番組制作者、商業的加入契約音楽サービスの提供者、またはその他の送信サービスの所有者もしくは運営者は、いかなる状況においても、経営者とみなされない。

    「変名著作物」とは、コピーまたはレコードに含まれる著作物で、著作者が架空の名称によって特定されるものをいう。

    「発行」とは、著作物のコピーまたはレコードを、販売その他の所有権の移転または貸与によって公衆に頒布することをいう。その後の頒布、公の実演または公の展示を目的として一の集団にコピーまたはレコードを頒布するための提供は、著作物の発行となる。著作物の公の実演または展示自体は、著作物の発行とならない。

    著作物の「公の」実演または展示とは、以下のいずれかをいう。

      (1) 公衆に開かれた場所または家族および知人の通常の集まりの範囲を超えた相当多数の者が集まる場所において、著作物を実演しまたは展示すること。

    (2) 著作物の実演または展示を、何らかの装置またはプロセスを用いて、第(1)節に定める場所または公衆に送信しまたは伝達すること(実演または展示を受信できる公衆の構成員がこれを同一の場所で受信するか離れた場所で受信するかを問わず、また、同時に受信するか異時に受信するかを問わない)。

    第205条(c)(2)、第405条、第406条、第410条(d)、第411条、第412条および第506条(e)において、「登録」とは、著作権保護期間の新規の請求または更新延長の請求の登録をいう。

    「録音物」とは、一連の音楽、会話その他の音声(映画その他の視聴覚著作物に伴う音声を除く)を固定することによって得られる著作物をいい、ディスク、テープその他のレコード等録音物を収録する有体物の性質を問わない。

    「州」には、コロンビア特別区およびプエルトリコ自治領、ならびに連邦議会が制定する法律により本編が適用されるすべての領域を含む。

    「著作権の移転」とは、著作権または著作権に含まれるいずれかの排他的権利の譲渡、モゲージ設定、独占的使用許諾その他の移転、譲与または担保契約をいい、その効力が時間的または地域的に制限されるか否かを問わないが、非独占的使用許諾は含まない。

    「送信番組」とは、連続的にかつ一単位として公衆に送信されることを唯一の目的として全体が制作されている素材の集合体をいう。

    実演または展示を「送信する」とは、映像または音声を発信する地点から離れた場所で受信する装置またはプロセスによって、実演または展示を伝達することをいう。

    「条約加盟国」とは、国際協定の加盟国である、合衆国以外の国または政府間機構をいう。

    「合衆国」は、地理的意味に用いられる場合には、各州、コロンビア特別区およびプエルトリコ自治領、ならびに合衆国政府の権限に服する組織的領土から構成される。

    以下のいずれかの要件を満たす場合にのみ、著作物は第411条における「合衆国著作物」とする。

      (1) 発行著作物の場合、

        (A) 当該著作物が合衆国で最初に発行されたこと、

        (B) 当該著作物が、合衆国と、合衆国が定める期間と同一のまたはより長い著作権保護期間を認める法律を有する他の条約加盟国とにおいて、同時に最初に発行されたこと、

        (C) 当該著作物が、合衆国および条約加盟国でない外国において、同時に最初に発行されたこと、または

        (D) 当該著作物が条約加盟国でない外国において最初に発行され、すべての著作者が合衆国に国籍、住所もしくは常居所を有する者、または視聴覚著作物の場合には合衆国に主たる事務所を有する法人であること。

      (2) 未発行著作物の場合、すべての著作者が合衆国に国籍、住所または常居所を有すること。未発行視聴覚著作物の場合、すべての著作者が合衆国に主たる事務所を有する法人であること。

      (3) 建築物または建造物に組み込まれた絵画、図形または彫刻の著作物の場合、当該建築物または建造物が合衆国に所在すること。

    「実用品」とは、単に物品の外観を表しまたは情報を伝えること以外に、本来的に実用的機能を有する物品をいう。通常実用品の一部分である物品は、「実用品」とみなす。

    著作者の「寡婦」または「寡夫」とは、著作者の死亡時の住所地の法律における著作者の生存配偶者をいい、後に再婚しているか否かを問わない。

    「WIPO著作権条約」とは、1996年12月20日にスイス国ジュネーブで調印されたWIPO著作権条約(著作権に関する世界知的所有権機関条約)をいう。

    「WIPO実演・レコード条約」とは、1996年12月20日にスイス国ジュネーブで調印されたWIPO実演・レコード条約 (実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)をいう。

    「視覚芸術著作物」とは、以下のいずれかをいう。

      (1) 絵画、素描、版画または彫刻であって、1点のみ存在するものもしくは著作者が署名しかつ通し番号を付した200点以下の限定版が存在するもの。彫刻の場合、著作者が通し番号を付し、かつ、署名その他著作者を明らかにする記号を有する、鋳造され、彫刻され、もしくは組み立てられたものが200点以下存在するもの。または

      (2) 展示のみを目的として制作されたスチール写真映像であって、著作者が署名した1部のみが存在しもしくは著作者が署名しかつ通し番号を付した200部以下の限定版が存在するもの。

      ただし、視覚芸術著作物には、以下のものを含まない。

        (A) (i) ポスター、地図、地球儀、海図、技術図面、図表、模型、応用美術、映画その他の視聴覚著作物、書籍、雑誌、新聞、定期刊行物、データベース、電子情報サービス、電子出版物、もしくは同様の発行物、

          (ii) 販売品もしくは広告用、販売促進用、説明用、表紙用もしくは包装用の材料もしくは容器、または

          (iii) 第(i)段もしくは第(ii)段に掲げる物品の一部分、

        (B) 職務著作物、または、

        (C) 本編に基づく著作権による保護の対象とならない著作物。

    「合衆国政府の著作物」とは、合衆国政府の公務員または職員がその公務の一部として作成する著作物をいう。

    「職務著作物」とは、以下のいずれかをいう。

      (1) 被用者がその職務の範囲内で作成する著作物。

      (2) 集合著作物の寄与物、映画その他の視聴覚著作物の一部分、翻訳、補足的著作物、編集著作物、教科書、試験問題、試験の解答資料または地図帳として使用するために、特に注文または委託を受けた著作物であって、当事者が署名した文書によって職務著作物として扱うことに明示的に同意したもの。前段において、「補足的著作物」とは、序文、あとがき、挿し絵、地図、海図、表、編集後記、編曲、試験の解答資料、文献目録、付録、索引等、他の著作物を紹介し、終結させ、図解し、説明し、修正し、注釈しまたはその使用を助けることを目的として、他の著作者が著作物の二次的付加物として発行するために作成する著作物をいう。また、「教科書」とは、組織的指導活動における使用を目的として発行を予定して作成する言語、絵画または図形の著作物をいう。

    著作物が第(2)節に基づいて職務著作物に該当するか否かを判断するにあたっては、裁判所または著作権局は、公法 106-113第1000条(a)(9)によって立法化された「1999年知的財産権および通信オムニバス改革法」第1011条(d)に含まれる修正および当該修正が付加した語句の削除のいずれをも、

        (A) 考慮しもしくは法的意味付けし、または

        (B) 連邦議会がいかなる司法判断を肯定もしくは否定しまたはこれに対して黙認を与えたことを示唆するものとして解釈してはならない。

      第(2)節は、「2000年職務著作および著作権訂正法」第2条(a)(1)および一般法106-113第1000条(a)(9)によって立法化された「1999年知的財産権および通信オムニバス改革法」第1011条(d)の両方が制定されたことがなかったかのように解釈され、また連邦議会がいずれかの司法判断に対して何らの行動をとらなかったこともしくはこれを認識しなかったことを考慮することなく解釈されなければならない。

    「WTO協定」および「WTO加盟国」は、ウルグアイ・ラウンド協定法第2条(9)および(10)においてそれぞれ与えられる意味を有する。


    第102条 著作権の対象:総則

    (a) 著作権による保護は、本編に従い、現在知られているかまたは将来開発される有形的表現媒体であって、直接にまたは  機械もしくは装置を使用して著作物を覚知し、複製しまたは伝達することができるものに固定された、著作者が作成した創作的な著作物に及ぶ。著作者が作成した著作物は、以下に掲げる種類の著作物を含む。

      (1) 言語著作物、

      (2) 音楽著作物(これに伴う歌詞を含む)、

      (3) 演劇著作物(これに伴う音楽を含む)、

      (4) 無言劇および舞踊の著作物、

      (5) 絵画、図形および彫刻の著作物、

      (6) 映画およびその他の視聴覚著作物、

      (7) 録音物、ならびに

      (8) 建築著作物。

    (b) いかなる場合にも、著作者が作成した創作的な著作物に対する著作権による保護は、着想、手順、プロセス、方式、操作方法、概念、原理または発見(これらが著作物において記述され、説明され、描写され、または収録される形式の如何を問わない)には及ばない。


    第103条 著作権の対象:編集著作物および二次的著作物

    (a) 第102条に列挙する著作権の対象は、編集著作物および二次的著作物を含むが、著作権が及ぶ既存の素材を使用した著作物に対する保護は、かかる素材が当該著作物に不法に使用されている場合には、当該著作物のその部分には及ばない。

    (b) 編集著作物または二次的著作物に対する著作権は、当該著作物の著作者が寄与した素材であって、当該著作物に使用された既存の素材と区別されるもののみに及び、既存の素材に対するいかなる排他的権利をも含まない。かかる著作物に対する著作権は、既存の素材に対する著作権による保護とは別個独立のものであり、また、その範囲、存続期間、帰属または存在に影響せず、またはそれらを拡大しない。


    第104条 著作権の対象:本国

    (a) 未発行著作物

      第102条および第103条に規定する著作物は、未発行の間は、著作者の国籍または住所を問わず、本編に基づく保護の対象となる。

    (b) 発行著作物

      第102条および第103条に規定する著作物は、発行された場合には、以下のいずれかの要件を満たす場合に本編に基づく保護の対象となる。

      (1) 最初の発行の日に、著作者の一人以上が、合衆国の国民もしくは住民、条約加盟国の国民、住民もしくは主権者、または無国籍者であること(住所地の如何を問わない)。

      (2) 当該著作物が合衆国または最初の発行の日に条約加盟国である外国で最初に発行されること。

      (3) 著作物が条約加盟国において最初に固定された録音物であること。

      (4) 当該著作物が建築物その他の建造物に組み込まれた絵画、図形または彫刻の著作物、または建築物に組み込まれた建築著作物であって、かつ、かかる建築物または建造物が合衆国または条約加盟国に所在すること。

      (5) 当該著作物が国際連合もしくはその専門機関または米州機構によって最初に発行されること。

      (6) 当該著作物が大統領布告の適用範囲に該当すること。大統領は、合衆国の国民もしくは住民である著作者の著作物または合衆国で最初に発行される著作物に対して、特定の外国が、自国の国民および住民の著作物ならびにその国で最初に発行された著作物に保護を与える基準と本質的に同一の基準に基づいて著作権による保護を与えていることを知ったときは、布告により、著作者の一人以上が最初の発行の日に当該外国の国民、住民もしくは主権者である著作物またはその国で最初に発行された著作物に対し、本編に基づく保護を及ぼすことができる。大統領は、かかる布告を修正し、停止し、もしくは撤回し、または布告に基づく保護に条件もしくは制限を付すことができる。

      第(2)節において、条約加盟国でない外国における発行から30日以内に合衆国または条約加盟国で発行された著作物は、合衆国または条約加盟国で最初に発行されたものとして扱う。

    (c) ベルヌ条約の効果-

      本編に基づく保護の対象となる著作物に対するいかなる権利または利益も、ベルヌ条約の規定または合衆国の同条約への加盟を理由としまたはこれに依拠して主張することはできない。本編に基づく保護の対象となる著作物に対する権利であって、本編、他の連邦法もしくは州法、またはコモン・ローに由来するいかなるものも、ベルヌ条約の規定または合衆国の同条約への加盟を理由としまたはこれに依拠して拡大されまたは縮小されてはならない。

    (d) レコード条約の効果-第(b)項の規定にかかわらず、録音物以外の著作物は、ジュネーブレコード条約またはWIPO 実演・レコード条約への合衆国の加盟のみを理由として、本編に基づく保護を受けることができない。


    第104A条 権利回復著作物に対する著作権

    (a) 自動的保護およびその期間-

      (1) 期間-

        (A) 権利回復著作物に対する著作権は、本条に従い存続し、権利回復日に自動的に与えられる。

        (B) 本条に基づき著作権が回復した著作物は、著作物が合衆国において公有に属することがなければ合衆国において 認められた著作権保護期間の残存期間中存続する。

      (2) 例外-外国財産管理者が保有しまたは管理したことがあり、かつ、回復後は政府またはその機関が保有する著作権の場合、当該著作権により保護される著作物は権利回復著作物とならない。

    (b) 回復著作権の帰属-権利回復著作物は、当該著作物の本源国の法律が定める著作者または最初の権利者に原始的に帰属する。

    (c) 善意使用者に対して回復著作権を行使する意思の通知の提出-権利回復日以後、権利回復著作物に対する著作権を保有しまたはこれについて排他的権利を有する者は、当該著作権または排他的権利を行使する意思の通知を、著作権局に提出し、または善意使用者に直接送達することができる。著作権局による通知の受領は、いかなる善意使用者に対しても効力を有するが、当該通知に記載された事実が正確であるとの推定を生じさせるものではない。善意使用者に対する送達は、当該善意使用者ならびにかかる通知の送達および内容を現実に知る善意使用者に対して効力を有する。

    (d) 回復著作権の侵害に対する救済-

      (1) 善意使用者がいない場合の権利回復著作物に対する著作権の行使-善意使用者でない者に対しては、権利回復日以後 に開始された回復著作権の侵害行為について、回復著作権の回復日以後、本編第5章に基づく救済を受けることができる。

      (2) 権利回復著作物に対する著作権の善意使用者に対する行使-第(3)節および第(4)節に規定する場合を除き、善意使用者に対しては、第(A)号または第(B)号の要件を満たす場合に、回復著作権の侵害行為について、回復著作権の回復日以後、本編第5章に基づく救済を受けることができる。

        (A) (i) 回復著作権の保有者(もしくはその代理人)またはこれにかかる排他的権利の保有者(もしくはその代理人) が、権利回復日から24ヶ月以内に、回復著作権を行使する意思の通知を著作権局に提出し、かつ

          (ii) (I) 侵害行為が、当該通知が連邦官報に掲載された日から12ヶ月後に開始されたこと、

            (II) 侵害行為が第(I)文に定める12ヶ月間の終了前に開始され、かかる12ヶ月間の終了後も継続していること(この場合、12ヶ月間の終了後に起こった侵害についてのみ救済を受けることができる)、または

            (III) 本条に基づき著作権が回復した著作物のコピーもしくはレコードが、連邦官報に通知が掲載された後に作成されたこと。

        (B) (i) 回復著作権の保有者(もしくはその代理人)またはこれにかかる排他的権利の保有者(もしくはその代理人)が、回復著作権を行使する意思の通知を善意使用者に送達すること。

          (ii) (I) 侵害行為が、当該通知の受領日から12ヶ月後に開始されたこと、または

            (II) 侵害行為が第(I)文に定める12ヶ月間の終了前に開始され、かかる12ヶ月間の終了後も継続していること(この場合、12ヶ月間の終了後に起こった侵害についてのみ救済を受けることができる)、または

            (III) 本条に基づき著作権が回復した著作物のコピーもしくはレコードが、通知の受領後に作成されたこと。

        第(A)号の通知および第(B)号の通知の双方がなされた場合、上記の12ヶ月間は、通知の掲載または送達のうちいずれか先になされたものを起算点とする。

      (3) 現存する二次的著作物-

        (A) 権利回復著作物に基づく二次的著作物が-

          (i) 権利回復著作物の本源国がウルグアイ・ラウンド協定法の制定日*1に対象国である場合には、かかる制定日前に創作されたものであるとき、または

          (ii) 権利回復著作物の本源国がウルグアイ・ラウンド協定法の制定日に対象国でない場合には、当該本源国が対象国となった日前に創作されたものであるときは、

    善意使用者は、本節の規定がなければ侵害行為として救済の対象となる行為につき相当な補償を回復著作権者に支払うことにより、回復著作権の存続期間中当該二次的著作物の使用を継続することができる。

        (B) 当事者間の合意がない場合、第(A)号における補償の額は、連邦地方裁判所が決定するものとし、善意使用者が継続して権利回復著作物を使用することによって当該著作物の現実的または潜在的な市場または価値に及ぶ被害、ならびに権利回復著作物の著作者および善意使用者がそれぞれ二次的著作物に表現物を寄与したことに対する補償が反映されるものとする。

      (4) 善意使用者による侵害の開始-第412条に関して、善意使用者の場合には、権利回復著作物が著作権の対象となっていれば侵害にあたった行為が権利回復日前に開始されたときは、侵害は著作権登録前に開始したものとみなす。


    *1 1994年12月8日

    (e) 回復著作権行使の意思の通知-

      (1) 著作権局に提出される意思の通知-

        (A) (i) 回復著作権を行使する意思の通知を著作権局に提出する場合、第(d)項(2)(A)(i)に基づき通知を提出する回復著作権者もしくは回復著作権に基づく排他的権利者(以下本節において「権利保有者」という)または権利保有者の代理人は、通知に署名し、権利回復著作物の題名を特定し、かつ、題名の英語訳または著作物を特定できる別名で権利保有者が知るものならびに権利保有者に連絡可能な住所および電話番号を記載しなければならない。代理人が通知に署名する場合、通知提出前に権利保有者が署名した文書によって代理関係が成立していなければならない。著作権局は、通知に含まれるべき他の情報を規則により特に要求することができるが、かかる他の情報の欠落は、通知を無効とし、あるいは連邦官報に権利回復著作物を記載することを拒否する根拠とならない。

          (ii) 著作権が回復した著作物に正式の題名がない場合、意思の通知において当該著作物を特定するに足る程度に当該著作物を描写しなければならない。

          (iii) 軽微な錯誤または欠落は、意思の通知を提出後いつでも新たな通知により修正することができる。かかる軽微な錯誤または欠落の訂正の通知は、第(d)項(2)(A)(i)に定める期間の後に受理される。かかる通知は、第(B)号に従って連邦官報に掲載されなければならない。

        (B) (i) 回復著作権を行使する意思の通知が提出された場合、著作権局長は、最初は特定の国に関する権利回復日から4 ヶ月以内にまたその後2年間は4ヶ月毎に、権利回復著作物およびその帰属を特定する目録を連邦官報に掲載しなければならない。

          (ii) 著作権局公共情報室は、権利行使の意思の通知すべてを含む一以上の目録を保管し、第705条および第708条に従い通常の執務時間中に公の閲覧および謄写に供さなければならない。

        (C) 著作権局長は、回復著作権を行使する意思の通知およびその訂正の通知の受領、処理、記録および掲載の費用に基づき、相当な料金を定める権限を有する。

        (D) (i) 著作権局は、ウルグアイ・ラウンド協定法第101条(d)(15)にいう知的所有権の貿易的側面に関する協定(TRIPs 協定)が合衆国について発効する日の90日以上前に、本項に基づく回復著作権を行使する意思の通知の提出に関する規則を公布し連邦官報に掲載しなければならない。

          (ii) 上記の規則は、回復著作権の権利保有者が同時に回復著作権の登録を申請することを認めなければならない。

      (2) 善意使用者に送達される意思の通知-

        (A) 回復著作権を行使する意思の通知は、当該回復著作権の回復日後いつでも善意使用者に送達することができる。

        (B) 回復著作権を行使する意思の通知を善意使用者に送達する場合、権利保有者または権利保有者の代理人は、通知に 署名し、権利回復著作物およびこれが使用された著作物があればこれを特定可能な程度に示し、題名の英語訳または著作物を特定できる別名で権利保有者が知るもの、権利者が異議を唱える使用、ならびに善意使用者が権利保有者に連絡可能な住所および電話番号を記載しなければならない。代理人が通知に署名する場合、通知送達前に権利保有者が署名した文書によって代理関係が成立していなければならない。

      (3) 重大な虚偽の表示の効果-意思の通知に特定する回復著作権につき重大な虚偽の表示がある場合、当該回復著作権に関する請求および主張はすべて無効となる。

    (f) 担保責任および関連する責任の免除-

      (1) 総則-ある著作物が第106条の付与する排他的権利を侵害しないことを担保し、約束しまたは保証した者は、かかる 担保、約束または保証が1995年1月1日より前になされた場合には、本条に基づく著作権の回復により違反するものとなっても、一切の普通法、衡平法、仲裁または行政処分に基づく救済について責任を負わない。

      (2) 履行-何人も、履行義務が1995年1月1日より前に発生した場合には、本条の規定に基づく著作権の回復により履行が侵害行為となっても、履行を要求されない。

    (g) 著作権回復の布告-大統領は、特定の外国が合衆国の国民または住民である著作者の著作物に対し、本条に定めるのとほぼ同程度に回復著作権による保護を及ぼすことを知った場合、布告により、以下のいずれかの要件を満たす著作物について回復著作権による保護を及ぼすことができる。

      (1) 最初の発行日において、著作者の一人以上が当該外国の国民、住民または主権者であること。

      (2) 当該外国で最初に発行されたこと。

      大統領は布告を修正し、停止しまたは撤回することができ、また、布告に基づく保護に条件または制限を付すことができる。

    (h) 定義-本条および第109条(a)において-

      (1) 「加盟または布告の日」とは、WTO協定が合衆国について発効する日にベルヌ条約加盟国またはWTO加盟国でなかった外国が、以下のいずれかとなる日のうちいずれか早いものを意味する。
    (A) ベルヌ条約同盟国、
    (B) WTO加盟国、
    (C) WIPO著作権条約加盟国、
    (D) WIPO実演・レコード条約加盟国、または
    (E)  第(g)項に基づく大統領布告の対象となる国。

      (2) 回復著作権の「回復日」とは、以下の日のうちいずれかをいう。

        (A) 権利回復著作物の本源国が1996年1月1日にベルヌ条約同盟国またはWTO加盟国であった場合、1996年1月1 日。

        (B) その他の権利回復著作物の本源国の場合、加盟または布告の日。

      (3) 「対象国」とは、合衆国以外の国で、以下のいずれかに該当する国をいう。

        (A) ウルグアイ・ラウンド協定法の制定日より後にWTO加盟国となった国。

        (B) 上記制定日またはその後に、ベルヌ条約同盟国となった国。

        (C) WIPO著作権条約の加盟国。

        (D) WIPO実演・レコード条約の加盟国。

        (E) 上記の制定日より後に第(g)項に基づく布告の対象となった国。

      (4) 「善意使用者」とは、以下のいずれかに該当する者を意味する。

        (A) 特定の著作物に関して、当該著作物の本源国が対象国となる前に権利回復著作物が著作権による保護の対象となっていれば第106条に違反していた行為を行い、かつ、当該本源国が対象国になった後もかかる行為を継続する者。

        (B) 特定の著作物の本源国が対象国となる前に、当該著作物の一以上のコピーまたはレコードを作成しまたは取得した者。

        (C) 第(d)項(3)に定める二次的著作物または本節第(A)号もしくは第(B)号に定める者の重要な財産の売買その他の処分の結果、その者の承継人、譲受人、または被許諾者となった者。

      (5) 「回復著作権」とは、本条に基づく権利回復著作物に対する著作権を意味する。

      (6) 「権利回復著作物」とは、著作者が作成した創作的な著作物であって、以下の要件をすべて満たすものをいう。

        (A) 第(a)項に基づき保護を受けること。

        (B) 本源国において保護期間満了により公有に帰属していないこと。

        (C) 以下のいずれかの理由により、合衆国において公有に帰属していること。

          (i) 更新の欠如、適切な表示の欠落、製造要件の違反を含む、合衆国著作権法が義務づける方式に従わなかったこと。

          (ii) 1972年2月15日より前に固定された録音物の場合、保護対象とされていなかったこと。

          (iii) 国籍要件を満たさなかったこと。

        (D) 少なくとも一の著作者または権利者が、著作物が創作された時点で対象国の国民または住民であり、かつ、著作物 が発行されている場合には対象国で最初に発行されたが当該対象国における発行後30日以内に合衆国で発行されなかったこと。

        (E) 著作物の本源国がWIPO実演・レコード条約への加盟のみを理由として対象国となる場合、録音物であること。

      (7) 「権利者」とは、以下のいずれかに該当する者を意味する。

        (A) 録音物については、許諾を得て最初に録音物を固定した者。

        (B) 第(A)号に定める者から譲渡または法の作用により権利を取得した者。

      (8) 権利回復著作物の「本源国」とは、以下の要件をすべて満たす国をいう。

        (A) 合衆国以外の国であること。

        (B) 未発行著作物の場合-

          (i) 著作者もしくは権利者が国民もしくは住民である対象国であること。権利回復著作物の著作者もしくは権利者が複数の場合は、外国の著作者もしくは権利者の過半数が国民もしくは住民である対象国であること、または

          (ii) 著作者もしくは権利者の過半数が外国人でないときは、合衆国以外の国であって、当該著作物と最も密接な関係を有する国であること。

        (C) 発行著作物の場合-
          (i) 著作物が最初に発行された対象国であること、または

          (ii) 権利回復著作物が二以上の対象国において同じ日に発行された場合、当該著作物と最も密接な関係を有する対象国であること。


    第105条 著作権の対象:合衆国政府の著作物

    (a) 総則-本編に基づく著作権による保護は、合衆国政府の著作物には及ばないが、合衆国政府は、譲渡、遺贈その他によって合衆国政府に移転した著作権を受領しまた保有することを妨げられない。

    (b) 一定の著作物に対する著作権による保護-第(c)項を条件として、対象著作物の対象著作者は、当該対象著作物に対する著作権を保有する。

    (c) 連邦政府による使用-国防総省長官は、対象著作物の対象著作者に対して、合衆国政府の目的のために当該対象著作物を複製、頒布、実演または展示する取消不能、無償、全世界にわたる非独占的使用許諾を連邦政府に提供するよう指示することができる。

    (d) 定義-本条において、

      (1) 「対象著作者」とは、対象施設の教職員たる民間人をいう。

      (2) 「対象施設」とは、以下をいう。

        (A) 国防総省大学

        (B) 合衆国軍事アカデミー

        (C) 陸軍戦争カレッジ

        (D) 合衆国陸軍司令官参謀カレッジ

        (E) 合衆国海軍アカデミー

        (F) 海軍戦争カレッジ

        (G) 海軍大学院学校

        (H) 海兵隊大学

        (I) 合衆国空軍アカデミー

        (J) 空軍大学

        (K) 防衛言語研究所

        (L) 合衆国沿岸警備隊アカデミー

      (3) 「対象著作物」とは、対象著作者が対象施設における雇用の過程において学術的出版または雑誌による刊行のために作成した言語著作物をいう。

    第106条 著作権のある著作物に対する排他的権利

    第107条ないし第122条を条件として、本編に基づき著作権を保有する者は、以下に掲げる行為を行いまたこれを許諾する排他的権利を有する。

      (1) 著作権のある著作物をコピーまたはレコードに複製すること。

      (2) 著作権のある著作物に基づいて二次的著作物を作成すること。

      (3) 著作権のある著作物のコピーまたはレコードを、販売その他の所有権の移転または貸与によって公衆に頒布すること。

      (4) 言語、音楽、演劇および舞踊の著作物、無言劇、ならびに映画その他の視聴覚著作物の場合、著作権のある著作物を公に実演すること。

      (5) 言語、音楽、演劇および舞踊の著作物、無言劇、ならびに絵画、図形または彫刻の著作物(映画その他の視聴覚著作物の個々の映像を含む)の場合、著作権のある著作物を公に展示すること。また、

      (6) 録音物の場合、著作権のある著作物をデジタル音声送信により公に実演すること。


    第106A条 一定の著作者の氏名表示および同一性保持の権利

    (a) 氏名表示および同一性保持の権利-第107条を条件として、視覚芸術著作物の著作者は、第106条に規定する排他的権利と独立して-

      (1) 以下の権利を有する。

        (A) 当該著作物の著作者であることを主張する権利、および

        (B) 自分が創作していない視覚芸術著作物の著作者として自分の名前が使用されることを禁止する権利。

      (2) 自分の名誉または声望を害するおそれのある著作物の歪曲、切除その他の改変の場合、視覚芸術著作物の著作者として自分の名前が使用されることを禁止する権利を有する。

      (3) 第113条(d)に定める制限を条件として、以下の権利を有する。

        (A) 自分の名誉または声望を害するおそれのある著作物の故意の歪曲、切除その他の改変を禁止する権利。当該著作物 の故意の歪曲、切除その他の改変は、かかる権利の侵害となる。また、

        (B) 名声が認められる著作物の破壊を禁止する権利。故意または重大な過失による当該著作物の破壊は、かかる権利の侵害となる。

    (b) 権利の範囲および行使-著作権者であるか否かを問わず、視覚芸術著作物の著作者のみが、第(a)項が当該著作物について付与する権利を有する。視覚芸術の共同著作物の著作者は、第(a)項が当該著作物につき付与する権利の共有者となる。

    (c) 例外-

      (1) 時の経過または素材の固有の性質の結果である視覚芸術著作物の改変は、第(a)項(3)(A)にいう歪曲、切除その他の改変には当らない。

      (2) 著作物の保存または公開(照明および配置を含む)の結果である視覚芸術著作物の改変は、重大な過失によるものでない限り、第(a)項(3)にいう破壊、歪曲、切除その他の改変には当らない。

      (3) 第(a)項(1)および(2)に定める権利は、第101条の「視覚芸術著作物」の定義の第(A)号または第(B)号に定める物品の中もしくは上にまたはそれに関連して、著作物を複製し、描写し、記述し、その他使用することには適用されず、また、かかる著作物の複製、描写、記述その他の使用は、第(a)項(3)にいう破壊、歪曲、切除その他の改変には当らない。

    (d) 権利の存続期間-

      (1) 1990年視覚芸術家権法第610条(a)に定める発効日以後に創作される視覚芸術著作物に関しては、本条第(a)項が付与する権利は、著作者の生存期間中存続する。

      (2) 1990年視覚芸術家権法第610条(a)に定める発効日より前に創作された視覚芸術著作物であるが、これに対する権原が上記発効日現在著作者から移転されていないものに関しては、本条第(a)項が付与する権利は、第106条が付与する権利と同一の期間存続し、かつ、同時に消滅する。

      (3) 二人以上の著作者が作成した共同著作物の場合、第(a)項が付与する権利は、最後の生存著作者の生存期間中存続する。

      (4) 第(a)項が付与する権利のすべての保護期間は、満了することとなる暦年の終わりまで存続する。

    (e) 移転および放棄-

      (1) 第(a)項が付与する権利は、移転することができないが、著作者が署名した文書をもって放棄に明示的に同意する場合には、放棄することができる。かかる文書には、放棄の対象となる著作物およびその使用を具体的に記載するものとし、放棄は、文書に記載された著作物およびその使用のみを対象とする。二人以上の著作者が作成した共同著作物の場合、著作者の一人が本節に基づき行う権利の放棄は、すべての著作者について当該権利を放棄する。

      (2) 視覚芸術著作物に関して第(a)項が付与する権利の保有権は、当該著作物のコピーの所有権または当該著作物の著作権もしくは著作権に基づく排他的権利とは別個のものである。視覚芸術著作物のコピーの所有権または著作権もしくは著作権に基づく排他的権利の移転は、第(a)項が付与する権利の放棄を構成しない。著作者が署名した文書をもって同意する場合を除き、視覚芸術著作物に関して第(a)項が付与する権利の放棄は、当該著作物のコピーの所有権またはその著作物の著作権もしくは著作権に基づく排他的権利の移転を構成しない。


    第107条 排他的権利の制限:フェア・ユース

    第106条および第106A条の規定にかかわらず、批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェア・ユース(コピーまたはレコードへの複製その他第106条に定める手段による使用を含む)は、著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェア・ユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。

      (1) 使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。

      (2) 著作権のある著作物の性質。

      (3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性、および

      (4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。

    上記のすべての要素を考慮してフェア・ユースが認定された場合、著作物が未発行であるという事実自体は、かかる認定を妨げない。


    第108条 排他的権利の制限:図書館および文書資料館による複製

    (a) 本編に別段の定めある場合を除き、かつ、第106条の規定にかかわらず、図書館もしくは文書資料館または職務の範囲内で行動するその被用者が、本条に定める条件に基づいて著作物のコピーまたはレコードを1点に限り複製し(第(b)項および第(c)項に定める場合を除く)または頒布することは、以下の条件をすべて満たす場合には著作権の侵害とならない。

      (1) 複製または頒布が、直接または間接の商業的利益を目的とせず行われること。

      (2) 図書館または文書資料館の収蔵物が、(i)公衆に開かれているか、または(ii)図書館もしくは文書資料館またはこれらの一部である施設に関係する研究者のみならず、専門分野において研究を行う他の者にも、利用可能であること。

      (3) 著作物の複製または頒布が、本条の規定に基づき複製されたコピーもしくはレコード上に付された著作権表示を含むか、または、本条の規定に基づき複製されたコピーもしくはレコード上に著作権表示がない場合には当該著作物が著作権の保護を受けることがある旨の表示を含むこと。

    (b) 以下の場合には、本条に基づく複製および頒布の権利は、保存および盗難防止の目的または第(a)項(2)に定める種類の他の図書館もしくは文書資料館における研究用に供するためのみに、増製した未発行著作物のコピーまたはレコード3 部に限り適用される。

      (1) 複製されたコピーまたはレコードが現在図書館または文書資料館の収蔵物に含まれ、かつ、

      (2) デジタル形式で複製されたコピーまたはレコードが他にデジタル形式にて頒布されておらず、かつ、図書館または文書資料館の施設外ではデジタル形式にて公に利用可能になっていない場合。

    (c) 本条に基づく複製権は、コピーまたはレコードが損傷を受け、変質し、紛失しもしくは盗難にあい、または現在著作物が収録されている形式が古くなり、かつ、以下の条件を満たす場合には、かかるコピーまたはレコードと交換することのみを目的として増製した発行著作物のコピーまたはレコード3部に適用される。

      (1) 図書館または文書資料館が、相当な努力の後、公正な価格で未使用の代替物を入手できないと判断し、かつ、

      (2) デジタル形式で複製されたコピーまたはレコードが、合法的にかかるコピーを占有する図書館または文書資料館の施設外で、デジタル形式にて公に利用可能になっていない場合。

    本項において、形式が古くなったとは、当該形式で保存された著作物を覚知するに必要な機械または装置がもはや製造されずまたは商業的市場において合理的に入手可能でなくなった場合をいう。

    (d) 以下の条件をすべて満たす場合、本条に基づく複製および頒布の権利は、利用者が貸し出しの申込を行う図書館もしくは文書資料館またはその他の図書館もしくは文書資料館が所蔵する著作権のある集合著作物または定期刊行物に含まれる記事その他寄与物1件のみのコピー、または、著作権の対象となるその他の著作物の小部分のコピーもしくはレコードに適用される。

      (1) コピーまたはレコードが利用者の所有物となること、かつ、図書館または文書資料館が当該コピーまたはレコードが 私的研究、学問または調査以外の目的に使用される旨の通知を受けていないこと。

      (2) 図書館または文書資料館が、著作権局長が規則により定める要件に従った明瞭な著作権注意書を、申込を受け付ける場所に掲示し、かつ、申込用紙に表示すること。

    (e) 以下の条件をすべて満たす場合、図書館または文書資料館が相当な調査に基づき著作権のある著作物のコピーまたはレコードを公正な価格で入手できないと第一次的に判断したときは、本条に基づく複製および頒布の権利は、利用者が貸し出しの申込を行う図書館もしくは文書資料館またはその他の図書館もしくは文書資料館の収蔵物から作成された著作物の全体または重要な部分に適用される。

      (1) コピーまたはレコードが利用者の所有物となり、かつ、図書館または文書資料館が当該コピーまたはレコードが私的研究、学問または調査以外の目的に使用される旨の通知を受けていないこと。

      (2) 図書館または文書資料館が、著作権局長が規則により定める要件に従った明瞭な著作権注意書を、申込を受け付ける場所に掲示し、かつ、申込用紙に表示すること。

    (f) 本条のいかなる規定も-

      (1) 図書館もしくは文書資料館またはその被用者に対し、施設に設置された複製機器を非監督下で使用したことについて、 著作権侵害の責任を負わせるものと解釈されてはならない。ただし、かかる機器には、コピーの作成に著作権法が及ぶことがある旨の通知を掲示しなければならない。

      (2) 上記の複製機器を使用する者、または第(d)項に基づきコピーもしくはレコードの貸し出しを申し込む者について、かかる行為またはコピーもしくはレコードの将来の使用が第107条に規定するフェア・ユースの範囲を超える場合には、著作権侵害の責任を免除するものではない。

      (3) 第(a)項(1)、(2)および(3)を条件として、図書館または文書資料館が視聴覚ニュース番組のコピーまたは抄録を限られた部数複製し、貸し出しにより頒布することを制限するものと解釈されてはならない。

      (4) 第107条に規定するフェア・ユースの権利または図書館もしくは文書資料館が著作物のコピーもしくはレコードをその収蔵物として取得したときに負担する契約上の責任に、何ら影響を及ぼさない。

    (g) 本条に基づく複製および頒布の権利は、同一物の単一のコピーまたはレコードの、別の機会に行った別個の無関係な複製または頒布に適用されるが、図書館もしくは文書資料館またはその被用者が以下のいずれかにあたる場合を除く。

      (1) 一回または数回に分けて行われるかを問わず、また、一人以上の個人による集合的使用を意図するか団体の個々の構成員による個別的使用を意図するかを問わず、同一物の複数のコピーまたはレコードについて関連または同時の複製または頒布に関与していることを知りまたはそう信じる重大な理由があること。

      (2) 第(d)項に定める物の単一または複数のコピーまたはレコードの組織的な複製または頒布に関与すること。ただし、本節のいかなる規定も、図書館または文書資料館が、著作物の購読または購入に代わる程度の多量のコピーまたはレコードを頒布のために受領することを目的や効果とするものではない図書館相互協定に、参加することを妨げない。

    (h) (1) 本条において、発行著作物に対する著作権の保護期間の最後の20年間に、図書館または文書資料館(図書館または文書資料館として機能する非営利的教育機関を含む)が、相当な調査に基づいて第(2)節(A)(B)および(C)に定める条件に該当しないと第一次的に判断した場合には、保存、学問または研究のために、かかる著作物またはその一部のコピーまたはレコードをファクシミリまたはデジタル形式にて複製、頒布、展示または実演することができる。

      (2) 以下のいずれかの場合、複製、頒布、展示または実演は本条において認められない。

        (A) 著作物が通常の商業的利用の対象である場合。

        (B) 著作物のコピーまたはレコードが相当な金額で入手できる場合。

        (C) 著作権者またはその代理人が、著作権局長が定める規則に従って、第(A)号または第(B)号に定める条件が適用される旨の通知を行う場合。

      (3) 本項に定める免除は、図書館または文書資料館以外の利用者による、以後の使用には適用されない。

    (i) 本条に基づく複製および頒布の権利は、音楽著作物、絵画、図形もしくは彫刻の著作物、または映画その他の視聴覚著作物(ニュースを扱う視聴覚著作物を除く)には適用されない。ただし、第(b)項、第(c)項および第(h)項が付与する権利、または、挿し絵、図表その他同様の著作物の付加物として発行される絵画もしくは図形の著作物で第(d)項および第(e)項に従ってコピーが複製または頒布されるものは、この制限を受けない。


    第109条 排他的権利の制限:特定のコピーまたはレコードの移転の効果

    (a) 第106条(3)の規定にかかわらず、本編に基づき適法に作成された特定のコピーもしくはレコードの所有者またはかかる所有者の許諾を得た者は、著作権者の許諾なく、当該コピーまたはレコードを売却しその他占有を処分することができる。前段にかかわらず、第104A条に基づく回復著作権の対象となる著作物のコピーまたはレコードが著作権回復日前に、または善意使用者については第104A条(e)に基づく通知の掲載もしくは送達前に、製造された場合には、以下の日のうちいずれか早い日に始まる12ヶ月間に限り、回復著作権者の許諾なく、直接または間接の商業的利益を目的としてかかるコピーまたはレコードを売却しその他占有を処分することができる。

      (1) 第104A条(d)(2)(A)に基づき著作権局に提出された回復著作権行使の意思の通知が連邦官報に掲載された日、または

      (2) 第104A条(d)(2)(B)に基づき送達された実際の通知を受領した日。

    (b) (1) (A) 第(a)項の規定にかかわらず、録音物の著作権者またはコンピュータ・プログラム(テープ、ディスクその他当該プログラムが記録された媒体を含む)の著作権者の許諾がなければ、また、録音物に音楽著作物が含まれる場合にはその音楽著作物の著作権者許諾がなければ、特定のレコードの所有者またはコンピュータ・プログラム(テープ、ディスクその他当該プログラムが記録された媒体を含む)のコピーの占有者は、直接または間接の商業的利益を目的として、貸与その他貸与と性質を同じくする行為によって当該レコードまたはコンピュータ・プログラム(テープ、ディスクその他当該プログラムが記録された媒体を含む)の占有を処分しまたはこれを許諾することができない。前段の規定は、非営利の図書館または非営利的教育機関による非営利目的のレコードの貸与には適用されない。非営利的教育機関が別の非営利的教育機関またはその教員、職員および生徒に対して適法に作成されたコンピュータ・プログラムのコピーの占有を移転することは、本項における直接または間接の商業的利益を目的とする貸与とならない。

        (B) 本項は、以下のコンピュータ・プログラムには適用されない。

          (i) 機械もしくは製品に記録され、かつ、当該機械もしくは製品が通常に機能しもしくは使用されている間は複製することができないコンピュータ・プログラム、または

          (ii) ビデオ・ゲーム用に設計され他の目的のためにも設計できる限定目的のコンピュータに記録され、もしくはこれと共に使用されるコンピュータ・プログラム。

        (C) 本項のいかなる規定も、本編第9章の規定に影響を及ぼさない。

      (2) (A) 非営利の図書館が非営利目的でコンピュータ・プログラムを貸与する場合、著作権局長が規則で定める要件に従って、コンピュータ・プログラムの各コピーの梱包に著作権注意書が添付されていれば、本項の規定は適用されない。

       

    (B)
    1990年コンピュータ・ソフトウェア・レンタル修正法の制定日*2から3年以内およびその後著作権局長が適切と判断する時に、著作権局長は、著作権者および図書館長の代表との協議の後に、本節が非営利の図書館に対してその機能を果たす能力を与えつつ、著作権制度の完全性を維持する目的を達成できたか、について記述する報告書を連邦議会に提出しなければならない。かかる報告書は、本項の目的を遂行するために著作権局長が必要と考える情報または勧告を、連邦議会に提示するものとする。

      (3) 本項のいかなる規定も、反トラスト法の規定に影響しない。前段において「反トラスト法」とは、クレイトン法第1条において付与する意味を有し、不正な競争の手段に関連する限りにおいて連邦通商委員会法第5条を含むものとする。

      (4) 第(1)節に違反してレコードまたはコンピュータ・プログラム(テープ、ディスクその他当該プログラムを記録する媒体を含む)のコピーを頒布する者は、本編第501条に規定する著作権侵害者となり、第502条、第503条、第504 条および第505条に定める救済の適用を受ける。かかる違反は、第506条に基づく刑事犯罪とはならず、また、第18編第2319条に定める刑事罰の対象とならない。

    (c) 第106条(5)の規定にかかわらず、本編に基づき適法に作成された特定のコピーの所有者またはかかる所有者の許諾を得た者は、著作権者の許諾なく、当該コピーを直接または一回につき画像1点を映写することで、コピーがある場所にいる観衆に対し公に展示することができる。

    (d) 第(a)項および第(c)項に定める特権は、著作権者の許諾がなければ、著作権者から貸与その他の方法によりコピーまたはレコードの占有を取得したが所有権は取得しなかった者には及ばない。

    (e) 第106条(4)および第106条(5)の規定にかかわらず、コイン式機器による使用を意図した電子視聴覚ゲームの場合、本編に基づき適法に作成された上記ゲームのコピーの所有者は、当該ゲームの著作権者の許諾なく、これをコイン式機器を用いて公に実演しまたは展示することができる。ただし、本項は、当該電子視聴覚ゲームの著作権者が同時にこれに含まれる著作物の著作権者でない場合、当該著作物には適用されない。


    *2 1990年12月1日


    第110条  排他的権利の制限:一定の実演および展示の免除

    第106条の規定にかかわらず、以下の行為は著作権の侵害とならない。

      (1) 教師または生徒が、非営利的教育機関の対面教育活動の過程で教室または教育にあてられる同様の場所で行う著作物の実演または展示。ただし、映画その他の視聴覚著作物については、その実演または個々の映像の展示が、本編に基づき適法に作成されたものでないコピーを用いて行われ、かつ、当該実演の責任者が当該コピーが適法に作成されたものでないことを知りまたはそう信じる理由がある場合を除く。

      (2) 送信によるまたは送信の過程における、非演劇的な言語著作物もしくは音楽著作物の実演またはその他の著作物の合理的かつ限られた部分の実演、または典型的には生の授業の過程において展示される分量相当における著作物の展示であって、以下の条件をすべて満たす行為。ただし、デジタルネットワークにて送信される媒介的教育活動の一部として実演もしくは展示することを主たる目的として作成もしくは販売される著作物、または、本編に基づいて適法に作成されかつ取得されたものでないコピーもしくはレコードであり、かつ送信する政府機関または認定された非営利的教育機関がかかるコピーもしくはレコードであることを知りまたはそう信じる理由がありながら、これによって行われる実演もしくは展示に関しては本節を適用しない。

        (A) 実演または展示が、政府機関または認定された非営利的教育機関の組織的な媒介的教育活動の通常の行為として提供される授業の不可欠の一部として、教師によって、教師の指示に従って、または教師の監督下でなされること。

        (B) 実演または展示が、送信される教育内容に直接関連しかつその重要な補助となること。

        (C) 送信が下記の者のためにのみになされ、かつ、技術的に可能な限り、当該送信の受信が以下の者に限定されていること。

          (i) 送信がなされる授業に正式に登録している学生、または

          (ii) 政府機関の公務員もしくは職員。ただし、公務もしくは職務の一部として受信する場合に限る。

        (D) 送信の機関または団体が、

          (i) 著作権に関する行動指針を定め、著作権に関連するアメリカ合衆国の法律を正確に説明しその遵守を推進する情報資料を教員、学生および関係スタッフに提供し、また学生に対して授業に関連して使用される資料が著作権の保護を受けうることを通知し、かつ、

          (ii) デジタル送信の場合には、

            (I) 以下の行為を合理的に防止する技術的手段を施していること、

    (aa)送信の機関または団体からの送信を受けた者が、授業時間を超えて、視聴可能な形式で著作物を保持する行為、および

    (bb)当該受信者が、他人に対して、視聴可能な形式で著作物を無断で再流布する行為。かつ

            (II) 著作権者が、当該保持または再流布を防止するために使用した技術的手段を妨げると合理的に予想される行動をとらないこと。

      (3) 礼拝所またはその他の宗教的集会における礼拝の過程で行われる、非演劇的な言語著作物もしくは音楽著作物の実演または宗教的な劇的音楽著作物の実演、または著作物の展示。

      (4) 公衆への送信によらない非演劇的な言語または音楽の著作物の実演のうち、直接または間接の商業的利益を目的とせず、かつ、その実演家、後援者または主催者に対して手数料その他の報酬が支払われないもので、以下のいずれかの要件を満たす行為。

        (A) 直接または間接の入場料を徴収しないこと。

        (B) 実演の制作のための相当な費用を差し引いた収益が、教育、宗教または慈善の目的にのみ使用され、私的な経済的利得のために使用されないこと。ただし、著作権者が以下の条件において実演に反対する旨の通知を送達した場合を除く。

          (i) 通知は書面により、かつ、著作権者またはその適法に授権された代理人がこれに署名すること。

          (ii) 通知は実演の日の少なくとも7日前に実演の責任者に送達され、かつ、実演に反対する理由を記載すること。また、

          (iii) 通知は、その書式、内容および送達の方法において、著作権局長が規則により定める要件に従うこと。

      (5) (A) 第(B)号に定める場合を除き、著作物の実演または展示を収録する送信の伝達で、公衆が個人の家庭で一般的に使用される種類の単一の受信装置を用いて受信することによる行為。ただし、以下の場合を除く。

          (i) 送信を視聴するために直接料金が課される場合。または、

          (ii) 上記の受信された送信が、さらに公衆に送信される場合。

        (B) 一般公衆が受信することを意図した非演劇的音楽著作物の実演または展示を収録する送信または再送信を行う施設 による伝達であって、ラジオもしくはテレビの放送局として連邦通信委員会の免許を受けた局または視聴覚送信についてはケーブル・システムもしくは衛星通信事業者が発信したもの。ただし、以下の条件を満たす場合に限る。

          (i) 飲食施設以外の施設が伝達を行うときは、当該施設の総床面積が2,000平方フィート未満(顧客用駐車場にのみ 使用される部分を除く)である場合、または、総床面積が2,000平方フィート以上(顧客用駐車場にのみ使用される部分を除く)でありかつ以下のいずれかに該当する場合。

            (I) 音声のみの実演の場合、合計6台以内のスピーカー(うち4台以内が一つの部屋または隣接する屋外に設置されていること)によって伝達されること。

            (II) 視聴覚による実演または展示の場合、実演または展示の映像部分が4台以内の視聴覚装置(うち1台は一つの部屋に設置されていること)によって伝達され、画面サイズが55インチを超えず、かつ、実演または展示の音声部分が合計6台以内のスピーカー(うち4台以内が一つの部屋または隣接する屋外に設置されていること)によって伝達されること。

          (ii) 飲食施設が伝達を行うときは、当該施設の総床面積が3,750平方フィート未満(顧客用駐車場にのみ使用される部分を除く)である場合、または、総床面積が3,750平方フィート(顧客用駐車場にのみ使用される部分を除く)以上でありかつ以下のいずれかに該当する場合。

            (I) 音声のみの実演の場合、合計6台以内のスピーカー(うち4台以内が一つの部屋または隣接する屋外に設置されていること)によって伝達されること。

            (II) 視聴覚による実演または展示の場合、実演または展示の映像部分が4台以内の視聴覚装置(うち1台は一つの部屋に設置されていること)によって伝達され、画面サイズが55インチを超えず、かつ、実演または展示の音声部分が合計6台以内のスピーカー(うち4台以内が一つの部屋または隣接する屋外に設置されていること)によって伝達されること。

          (iii) 送信または再送信を視聴することに対して直接料金が課されないこと。

          (iv) 送信または再送信が、これを受信する施設からさらに送信されないこと。

          (v) 送信または再送信が、公に実演または展示される著作物の著作権者の許諾を受けていること。

      (6) 政府機関または非営利農業団体もしくは非営利園芸団体が、年一回の農業または園芸の品評会または展示会の過程で行う非演劇的音楽著作物の実演。本節に規定する免除は、売店、事業施設その他当該品評会または展示会に参加する者による実演に関して、使用者責任または関連侵害の法理に基づき当該機関または団体が負うべき著作権侵害の責任に及ぶが、実演を行う者の責任を免除するものではない。

      (7) 直接または間接の入場料金なく一般公衆に開かれた販売施設による非演劇的音楽著作物の実演で、当該著作物のコピーもしくはレコードまたはかかる実演に使用された視聴覚その他の装置の小売販売の促進を実演の唯一の目的とし、かつ、当該実演が販売施設の所在地以遠に送信されず、販売が行われる区域内で行われる行為。

      (8) 障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の身体障害者、または、視覚信号の送信に付随する聴覚信号を聞くことのできない聴覚障害者その他の身体障害者向けに特に構成され主としてこれらの者に送信される送信によりまたはその過程で行われる非演劇的言語著作物の実演で、直接または間接の商業的利益を目的とせず、(i)政府機関、(ii)非商業的教育放送局(第47編第397条に定義する)、(iii)ラジオ副送信事業者免許(連邦規則集第47編 第 73.293条-第73.295条および第73.593条-第73.595条に定義する)、または(iv)ケーブル・システム(第111条(f)に定義する)の設備により送信する行為。

      (9) 障害のため通常の印刷物を読むことのできない視覚障害者その他の身体障害者向けに特に構成され主としてこれらの者に送信される送信によりまたはその過程で行われる、実演の日の少なくとも10年前に発行された演劇的言語著作物の1 回の実演で、直接または間接の商業的利益を目的とせず、第(8)節(iii)にいうラジオ副送信事業者免許の設備により送信する行為。ただし、本節の規定は、同一の実演家によるまたは同一の団体の主催による同一の著作物の2回以上の実演には適用されない。

      (10) 第(4)節にかかわらず、以下の行為は著作権の侵害とならない:非営利の退役軍人団体または慈善団体が主催し、当該団体の招待者を除く一般公衆が招待されない社交行事の過程で行われる非演劇的な言語または音楽著作物の実演で、実演の制作のための相当な費用を差し引いた収益を寄付目的のみに使用し、経済的利益のために使用しない行為。大学の男子学生社交クラブまたは女子学生社交クラブの社交行事は、特定の寄付目的で資金を集めるために開催される場合を除き、本条の対象とならない。

      (11) 個人世帯の構成員によりもしくはその指示によって、私的家庭内視聴用に当該世帯での実演もしくは当該世帯への送信がなされている間について、許諾を受けて作成された映画のコピーから、映画の音声もしくは映像コンテンツの限定された部分を、視聴不可能にする行為、または、かかる視聴を不可能にするコンピュータ・プログラムもしくはその他の技術(ただし、かかるコンピュータ・プログラムもしくはその他の技術が当該映画の改変版を固定してはならない)であって、個人世帯の構成員の指示によってかかる視聴不能のために使用されるよう設計され販売されるものを製作しもしくは提供する行為。

    第(5)節に定める免除は、著作物の公の実演または展示につき著作権者に支払われる使用料を設定しまたは調整する行政、司法その他の政府の手続において考慮されない。第(5)節に基づき免除される実演または展示以外の公の実演または展示につき著作権者に支払われる使用料は、第(5)節に定める免除によっていかようにも減額されない。

    第(2)節において、本条に基づくデジタル送信による著作物の実演または展示に関する「媒介的教育活動」とは、教師によるまたは教師の指導の下で管理され教室で生で行われる実演または展示の形式に相当する教室体験の不可欠な一部であるような著作物を使用する活動をいう。この用語は、典型的には高等教育の学生が一人で使用し保持するために購入もしくは入手しまたは初等教育もしくは中等教育の学生が所持し一人で使用するために購入もしくは入手する、教科書、コースパックまたはその他の資料(いかなる媒体、コピーまたはレコードに収録されているかを問わない)のような著作物を1教科の一つ以上の授業で使用する活動を意味しない。

    第(2)節において、認定は、

    (A) 中等教育を終えた者に対する教育を提供する団体に関しては、高等教育認定委員会または合衆国教育省が認めた地区または全国の認定機関によって、決定されるところのものとし、また

    (B) 初等教育または中等教育を提供する団体に関しては、州のしかるべき証明または許認可手続によって認定されるところのものとする。

    第(2)節において、政府機関または認定された非営利的教育機関は、第(2)節に基づいて許された資料の実演または展示を自動的な技術的手続によってデジタル送信する過程において作成された過渡的または一時的な資料の蓄積について、責任を負わない。本節に基づいて送信の機関または団体が管理または運営するシステムまたはネットワークに蓄積された当該資料は、予定された受信者以外の者が通常アクセス可能な方法で当該システムまたはネットワークに維持されてはならない。当該複製物は、その複製物の送信を実行するのに合理的に必要な時間を越えて、当該予定された受信者が通常アクセス可能な方法で維持されてはならない。

    第(11)節において、「視聴不可能」とは、映画にすでに存在するコンテンツに被せてまたは置き換えて実演または展示される音声または映像コンテンツの付加を含まない。

    第(11)節のいかなる規定も、本編第106条に定める権利を追加するものと解釈されてはならず、また、本編の他の条もしくは本条の他の節に基づいて付与される権利に対する抗弁もしくは権利制限に影響を及ぼすものと解釈されてはならない。


    第111条 排他的権利の制限:ケーブルによる放送番組の二次送信

    (a) 一定の二次送信の免除-一次送信に収録された著作物の実演または展示の二次送信は、以下の場合には著作権の侵害とならない。

      (1) 二次送信がケーブル・システムが行うものでなく、二次送信の全体が、連邦通信委員会の免許を受けた放送局が送信した信号を、そのローカル放送区域内においてホテル、アパートその他同様の施設の管理者が当該施設の宿泊者または居住者の私室に中継することからなり、かつ、当該二次送信を視聴するために直接の料金が課されない場合。

      (2) 二次送信が、第110条(2)に定める目的のみで、かつ、同規定に定める条件において行われる場合。

      (3) 一次送信の内容もしくは選択または二次送信の特定の受信者について直接または間接に管理を行わず、二次送信に関するその活動が有線、ケーブルその他の通信手段を他者に提供することのみからなる通信事業者が、二次送信を行う場合。ただし、本節の規定は、上記通信事業者の二次送信に関する活動にのみ及び、他者が行う一次送信または二次送信に関する当該他者の活動について責任を免除するものではない。

      (4) 衛星通信事業者が第119条または第122条に基づく法定使用許諾に従って二次送信を行う場合。

      (5) 直接または間接の商業的利益を目的とせず、かつ、二次送信の受信者に対し二次送信業務の維持および運営にかかる現実かつ相当な費用を支出するに必要な賦課金以外の料金を課さない二次送信を、ケーブル・システムではなく政府機関その他の非営利的団体が行う場合。

    (b) 被制御集団に対する一次送信の二次送信-第(a)項および第(c)項の規定にかかわらず、一次送信に収録された著作物の実演または展示の公衆への二次送信は、一次送信が一般公衆による受信のために行われず、制御されかつ公衆の特定の構成員による受信に限定される場合には、第501条に基づき侵害行為として訴えることができ、また、第502条ないし第 506条に規定する救済に全面的に服する。ただし、以下の要件をすべて満たす場合には、侵害行為として訴えることができない。

      (1) 連邦通信委員会の免許を受けた放送局が一次送信を行うこと。

      (2)

    連邦通信委員会の準則、規則または許可により、二次送信を構成する信号の送信が要求されること。

      (3) 二次送信事業者が一次送信事業者の信号をいかようにも改変しまたは変更しないこと。

    (c) ケーブル・システムによる二次送信-

      (1) 本項第(2)節、第(3)節および第(4)節ならびに第114条(d)の規定を条件として、連邦通信委員会の免許またはカナダもしくはメキシコの政府所轄官庁の免許を受けた放送局が行った一次送信に収録された著作物の実演または展示のケーブル・システムによる公衆への二次送信は、当該二次送信を構成する信号の通信が連邦通信委員会の準則、規則または許可に基づいて許される場合には、第(d)項の要件に従って法定使用許諾の対象となる。

      (2) 本項第(1)節の規定にかかわらず、連邦通信委員会の免許またはカナダもしくはメキシコの政府所轄官庁の免許を受けた放送局が行った著作物の実演または展示を収録した一次送信の、ケーブル・システムによる故意のまたは反復する公衆への二次送信は、以下の場合には、第501条の規定に基づき侵害行為として訴えることができ、また、第502条ないし第506条に規定する救済に全面的に服する。

        (A)

    二次送信を構成する信号の通信が、連邦通信委員会の準則、規則もしくは許可に基づいて許されない場合、または

        (B) ケーブル・システムが、第(d)項が要求する明細書および使用料を納付していない場合。

      (3) 本項第(1)節の規定にかかわらず、かつ、本条第(e)項の規定を条件として、連邦通信委員会の免許またはカナダもしくはメキシコの政府所轄官庁の免許を受けた放送局が行う一次送信に収録される著作物の実演または展示のケーブル・システムによる公衆への二次送信は、当該ケーブル・システムが実演もしくは展示を含む特定の番組の内容または当該番組の送信の間、直前もしくは直後に一次送信事業者が送信する商業広告もしくは局の告知を、変更、削除または差替により故意に改変する場合(テレビ商業広告市場調査に従事する者が行う商業広告の改変、削除または差替を除く)には、第501条の規定に基づいて侵害行為として訴えることができ、また、第502条ないし第506条および第510条に規定する救済に全面的に服する。ただし、調査会社は、元の商業広告を購入した広告主、当該商業広告を放送するテレビ局および二次送信を行うケーブル・システムの事前の承諾を得なければならない。また、かかる商業広告の改変、削除または差替は、商業広告放送時間の販売から収入を得る目的で行われてはならない。

      (4) 本項第(1)節の規定にかかわらず、カナダまたはメキシコの政府所轄官庁の免許を受けた放送局が行う一次送信に収録される著作物の実演または展示のケーブル・システムによる公衆への二次送信は、

        (A) カナダから発信される信号に関しては、当該ケーブル・システムが所在するコミュニティが、合衆国とカナダの国境から150マイル以上離れ、かつ、北緯42度より南に所在する場合、

        (B) メキシコから発信される信号に関しては、ケーブル・システムが当該テレビ局が発信する自由空間ラジオ波の直接の傍受以外の手段によって一次送信を受信し、二次送信を行う場合には、第501条の規定に基づいて侵害行為として訴えることができ、かつ、第502条ないし第506条に規定する救済に全面的に服する。ただし、1976 年4月15日より前に、当該ケーブル・システムが、連邦通信委員会の準則、規則もしくは許可条件に従って、当該外国局の信号をその施設において現に送信し、または送信する許可を特に得ていた場合はこの限りでない。

    (d) ケーブル・システムによる二次送信にかかる法定使用許諾-

      (1)

    明細書および使用料-第(5)節を条件として、第(c)項に基づき法定使用許諾の対象となる二次送信を行うケーブル・システムは、著作権局長が規則により定める要件に従って、著作権局長に対して以下のものを半年毎に納付しなければならない。


        (A) ケーブル・システムが加入者に対して二次送信を行ったチャンネルの数、当該ケーブル・システムが再送信を行った送信のすべての一次送信事業者の名称および所在地、加入者の総数、一次放送送信事業者の二次送信を提供する基本サービスについてケーブル・システムに支払われた総額、その他著作権局長が随時規則により定める情報を明記した、直前6ヶ月に関する明細書。加入者の総数および一次放送送信事業者の二次送信を提供する基本サービスについてケーブル・システムに支払われる総額の決定にあたっては、二次送信を受信する加入者および加入者から第119条に従って徴収した金額を算入してはならない。また、上記明細書は、一定の状況において信号の差替または追加を認める連邦通信委員会の準則、規則または許可に基づき、ケーブル・システムが一次送信事業者のローカル放送区域を超えてその全体または一部を送信する非ネットワークテレビ番組については、特別明細書ならびに上記の差し替えられまたは追加された送信にかかる時間、日付、放送局および番組を示す日誌を含まなければならない。

        (B) 一次放送送信事業者の二次送信を提供する基本サービスについて加入者がケーブル・システムに支払う総収入の特定の割合を基礎に、以下のとおり算出する、上記明細書の対象となる期間に第(3)節に従い著作権者に支払うべき使用料の総額(第(E)号または第(F)号がその使用料を定めるケーブル・システムの場合を除く)。

        (i) 一次送信事業者のローカル放送区域を超えて一次送信事業者の非ネットワーク番組の全体または一部をさらに送信する特権については、総収入の1.064パーセント。この金額は、第(ii)段ないし第(iv)段に従って支払われる使用料があれば、これに充当する。

          (ii) 第一遠隔信号等価については、総収入の1.064パーセント。

          (iii) 第二、第三および第四遠隔信号等価については、それぞれ総収入の0.701パーセント。また、

          (iv) 第五遠隔信号等価以降の遠隔信号等価については、それぞれ総収入の0.330パーセント。

        (C) 第(B)号第(ii)段ないし第(iv)段の金額の算出にあたっては-

          (i) 遠隔信号等価の端数については端数値を用いり、

          (ii) 一部が一次送信事業者のローカル放送区域内に所在し、一部が当該区域外に所在するケーブル・システムについては、総収入は当該一次送信事業者のローカル放送区域外に所在する加入者が支払った総収入に限定され、また

          (iii) ケーブル・システムがサービスを提供するすべてのコミュニティではなくその一部に対して、一次送信事業者の二次送信が提供される場合-

          (Ⅰ) 当該二次送信の総収入および遠隔信号等価は、当該ケーブル・システムが当該二次送信を提供するコミュニティの加入者のみを基準に計上されるものとし、また

          (Ⅱ) 当該システムが支払いを行った期間に対する使用料の総額は、第(B)号(i)に基づき算出された使用料に、当該システムのすべての加入者からの総収入を乗じた金額以上でなければならない。

        (D) 2010年衛星放送視聴拡大・地方色法の制定日よりも前に提出された明細書に基づいて第(C)号(iii)に基づく計算方法に則って使用料を算出したケーブル・システム、または当該方法を用いて支払われるべき使用料を算出するために当該制定日よりも前に提出された明細書を修正するケーブル・システムは、当該明細書において当該計算方法を用いたことによって発生した侵害行為について提訴されず、また使用料の返金もしくは相殺の対象とされてはならない。

        (E) 当該明細書の対象となる期間に、一次放送送信事業者の二次送信を提供する基本サービスについて加入者がケーブル・システムに支払った実際の総収入が263,800ドル以下である場合-

          (i) 本節におけるケーブル・システムの総収入は、263,800ドルが実際の総収入を超える差額分を実際の総収入から引いて算出されるものとする。ただし、いかなる場合であっても、ケーブル・システムの総収入は10,400ドル未満となってはならない。また、

          (ii) 本第(3)節に従って本節に基づき著作権者に支払われるべき使用料は、遠隔信号等価の数にかかわらず、0.5パーセントとする。

        (F) 当該明細書の対象となる期間に、一次放送送信事業者の二次送信を提供する基本サービスについて加入者がケーブル・システムに支払った実際の総収入が263,800ドルを超えるが527,600ドル未満の場合、第(3)節に従って本節に基づき支払われる使用料は、

          (i) 遠隔信号等価の数にかかわらず、263,800ドルまでの総収入については0.5パーセントとし、また、

          (ii) 遠隔信号等価の数にかかわらず、263,000ドルを超えるが527,000ドル未満の部分については総収入の1パーセントとする。

        (G) 第708条(a)に従い著作権局長が決定する申請料。

      (2) 使用料の取り扱い-著作権局長は、本条に基づき納付されたすべての使用料(第(1)節(G)に明記する申請料を含む)を受領し、本条に基づき著作権局が負担した相当な費用を差し引いた後に、残額を財務長官が指示する方法で合衆国財務省に納付しなければならない。財務長官が保管するすべての資金は、連邦議会図書館長が著作権使用料審判官の承認を得た後に利息とともに分配する目的のために、利息を生じる合衆国債券に投資されなければならない。
      (3) 著作権者への使用料の分配-上記の方法で納付された使用料は、第(4)節に定める手続に従って、自己の著作物が当該半年間に行われたケーブル・システムによる二次送信の対象となったと主張する以下の著作権者の間で分配される。

        (A) 一次送信事業者のローカル放送区域を超えてケーブル・システムが行った非ネットワークテレビ番組の二次送信にその全部または一部が収録された著作物の著作権者。

        (B) 第(1)節(A)に基づき納付された特別明細書に記載した二次送信に収録された著作物の著作権者。

        (C) 一次送信事業者のローカル放送区域を超えてケーブル・システムが送信した聴覚信号のみからなる非ネットワーク番組にその全部または一部が収録された著作物の著作権者。

      (4) 使用料の分配手続-上記の方法で納付された使用料は、以下の手続に従って分配される。

        (A) 二次送信にかかる法定使用許諾料を受けることができると主張する者は、毎年7月に、著作権使用料審判官が規則により定める要件に従って、著作権使用料審判官に対して請求書を提出しなければならない。反トラスト法のいかなる規定にもかかわらず、本号において、請求者は、法定使用許諾料を比例配分することについて相互に合意し、請求を一括して共同のもしくは単独の請求として提出し、または請求者のために支払いを受ける共通の代理人を指名することができる。

        (B) 毎年8月1日より後に、著作権使用料審判官は、使用料の分配について争いがあるか否かを決定しなければならない。かかる争いがないと決定した場合、著作権使用料審判官は、連邦議会図書館長に対して、使用料を受けることができる著作権者またはその者が指名した代理人に対して、本条に基づく相当の経費を差し引いたうえで、使用料を分配することを承認しなければならない。争いがあると決定した場合、著作権使用料審判官は、本編第8章に従って、使用料の分配を決定するための手続きを行わなければならない。

        (C) 本項に基づく手続の係属中、著作権使用料審判官は、その裁量により、連邦議会図書館長に対して、争いの対象でない金額を分配することを承認することができる。

      (5) 3.75パーセントおよび協同独占権割増金のマルチキャスト・ストリームへの不適用-2010年衛星放送視聴拡大・地方色法の制定日に有効な連邦規則集第37編第256.2条(c)および第256.2条(d)に明記される使用料(通常それぞれ「3.75パーセント」および「協同独占権割増金」と称する)または、その後著作権使用料審判官により料率が調整されもしくは再指定される当該使用料は、マルチキャスト・ストリームの二次送信には適用されない。

      (6) 計算書の認証および料金の支払-著作権局長は、第(A)号に基づき指名された監査人が、2010年1月1日以降に始まる会計期間について本項に基づき半期計算書で報告される計算および使用料の支払を正しいかどうか確認できるよう、本条に基づく一次送信の二次送信に含まれる著作物の当該著作権者が当該計算書で報告される情報について行う秘密認証を規定する規則を公布する。当該規則は-

        (A) 以下の要件を備えた適格独立監査人を指定する手続を定める。

          (i) 計算書が対象とする会計期間にケーブル・システムが行う一次送信の二次送信に含まれる著作物のすべての著作権者に代わって当該計算書の確認を求める独占的な権限を有すること。また、

          (ii) 監査以外の目的で著作権者の役員、従業員、もしくは代理人でないこと。

        (B) 本節に基づき提供される非公開の財務上および事業上の情報を保護するための手続を定める。

        (C) (i)独立監査人がケーブル・システムの指定する者とその結果を検討するための協議期間を義務づけ、

          (ii) ケーブル・システムが監査人の報告書に特定される過誤を訂正し、特定された未払いを解消するための仕組みを定め、かつ

          (iii) 争いとなる事実または結果を訂正する機会を与える。

        (D) 複数システムの運営者が一年間に特定のケーブル・システムについて受ける認証要求の頻度および監査回数を制限する。また、

        (E) 計算書が提出された年の最後の日から3年以内に限り当該計算書の認証を求めることを認める。

      (7) 追加納付の受領-本項に従い計算され納付された支払いに追加して著作権局が一次送信の二次送信に関してケーブル・システムから受領した使用料は、これが受領された特定の会計期間に納付されたとみなされ、本項に規定されるとおりに分配される。

    (e) ケーブル・システムによる非同時二次送信-

      (1) ケーブル・システムによる非同時二次送信に関する第(f)項(2)の規定にかかわらず、かかる送信は、第501条に基づき侵害行為として訴えることができ、また、第502条ないし第506条および第510条に定める救済に全面的に服する。ただし、以下の要件をすべて満たす場合を除く。

        (A) ケーブル・システムの加入者に対し、ビデオテープに収録された番組が1回に限り送信されること。

        (B) 著作権のある番組、挿話または映画ビデオ(これらに含まれる商業広告を含む)が、削除または編集なしに送信されること。

        (C) ケーブル・システムの所有者または役員が、(i)当該システムがビデオテープを保有している間その増製を防止すること、(ii)当該システムのためにビデオテープを作成する施設が保有するビデオテープについては、当該施設を所有または支配する場合には無許可の増製を防止し、所有または支配しない場合には無許可の増製を防止するための相当な予防手段をとること、(iii)ビデオテープの輸送中の増製を防止するために適切な予防手段をとること、および(iv)第(2)節を条件として、ビデオテープを消去しもしくは廃棄し、または消去させもしくは廃棄させること。

        (D) 各四半期の終了後45日以内に、ケーブル・システムの所有者または役員が、(i)ビデオテープの増製を防止するためにとった手段および予防策ならびに(ii)第(2)節を条件として、当該四半期の間に作成または使用したビデオテープの消去または廃棄を証する宣誓供述書を作成すること。

        (E) 所有者または役員が、上記の宣誓供述書および第(2)節(C)に基づき受領した宣誓供述書を、当該ケーブル・システムが送信を行うコミュニティまたはその事業所がある最寄りのコミュニティに所在する主たる事業所において、公の閲覧に供されたファイルに保存すること。

        (F) 非同時送信が、同時送信で行われたとすれば、送信の時点で効力を有する連邦通信委員会の準則、規則または許可に基づきケーブル・システムによる送信が許されているものであること。ただし、本号は、意図しないまたは偶然の送信には適用されない。

      (2) ケーブル・システムが非同時送信を行った番組のビデオテープを譲渡した場合、かかる譲渡は第501条に基づき侵害行為として訴えることができ、また、第502条ないし第506条に定める救済に全面的に服する。ただし、以下の要件をすべて満たす場合には、第(1)節に従って、ビデオテープおよびその譲渡にかかる費用の公平な分配を定める書面による非営利の契約に基づき、アラスカに所在する一のケーブル・システムからアラスカに所在する他のケーブル・システムに対し、ハワイに所在する非同時送信の許可を得た一のケーブル・システムからハワイに所在する非同時送信の許可を得た他のケーブル・システムに対し、または、グアム、北マリアナ諸島もしくは太平洋諸島信託統治領に所在する一のケーブル・システムから上記の5地域のいずれかに所在する他のケーブル・システムに対して、非同時送信が行われたビデオテープを譲渡することができる。

        (A) 各契約が、当該ケーブル・システムの事業所において公の閲覧に供され、かつ、その写しが、契約締結後30日以内に著作権局に提出されること(著作権局はかかる契約書を公の閲覧に供さなければならない)。

        (B) ビデオテープを譲り受けるケーブル・システムが、第(1)節(A)、(B)、(C)(i)、(iii)および(iv)ならびに(D)ないし(F)に従うこと。

        (C) 当該システムが、第(1)節(D)に基づき作成することを要する宣誓供述書の写しを、既に当該ビデオテープの非同時送信を行った各ケーブル・システムに送付すること。

      (3) 本項は、ケーブル・システムと当該システムが所在する地域のテレビ放送局もしくは当該放送局が所属するネットワークとの間に締結された既存の契約または今後締結される契約における排他的保護の規定に代わるものと解釈されてはならない。

      (4) 本項において、「ビデオテープ」は、連邦通信委員会の免許を受けたテレビ放送局が放送した番組の映像および音声の複製をいい、テープまたはフィルム等複製が収録される有形物の性質を問わない。

    (f) 定義-本条において、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。

      (1) 一次送信-「一次送信」とは、送信施設が公衆に対して行った送信で、二次送信事業者がその信号を受信しさらに送信するものをいい、実演または展示が最初に送信された場所または日時を問わない。テレビ放送局の場合、かかる局から送信されたプライマリー・ストリームおよびマルチキャスト・ストリームは一次送信を構成する。

      (2) 二次送信-「二次送信」とは、一次送信をこれと同時に送信し、または、その全部または一部が隣接する48州、ハワイまたはプエルトリコに所在しない「ケーブル・システム」が非同時に送信することをいう。ただし、ハワイに所在するケーブル・システムが一次送信を非同時に送信する場合、かかる送信を構成するテレビ放送信号の放送が連邦通信委員会の準則、規則または許可に基づき許される場合には、二次送信とみなされる。

      (3) ケーブル・システム-「ケーブル・システム」とは、米国の州、領土、信託統治領または属領に所在する施設であって、連邦通信委員会の免許を受けた一以上のテレビ放送局が送信する信号または放送する番組の全部または一部を受信し、有線、ケーブル、超短波その他の通信手段を用いて、サービスにつき料金を支払った公衆の加入者に対して上記信号または番組の二次送信を行うものをいう。第(d)項(1)に基づく使用料の算出にあたっては、隣接するコミュニティに所在し共通の所有もしくは支配に服しまたは一の中継局から運営される二以上のケーブル・システムは、一のシステムとして扱う。

      (4) 一次送信事業者のローカル放送区域-「一次送信事業者のローカル放送区域」とは、テレビ放送局である一次送信事業者により放送されたプライマリー・ストリームおよびマルチキャスト・ストリームの場合には、ケーブル・システムが1976年4月15日現在効力を有する連邦通信委員会の準則、規則および許可条件に従って自己の信号を再送信していると主張できる地域、あるいは、連邦規則集第47編第76.55条(e)に定義する当該局のテレビ市場または連邦規則集第47編第76.55条(e)もしくは第76.59条に従ってもしくは連邦規則集第47編73.662条(e)(1)に定義するノイズ制限域内(noise-limited contour)について、1993年9月18日以後修正されたテレビ市場をいい、カナダまたはメキシコの政府所轄官庁の免許を受けたテレビ放送局の場合には、上記準則、規則および許可条件に従うテレビ放送局であれば自己の信号が再送信されていると主張できる地域をいう。連邦通信委員会の準則および規則に定義する低出力テレビ局の場合には、「一次送信事業者のローカル放送区域」とは、第122条(j)(2)(C)に定義される指定地域であって、かかる局のライセンスコミュニティのほか、送信地から35マイル内にその全部また一部に位置する指定地域外のコミュニティ、またはかかる局が標準的な大都市圏のうち人口が上位50位以内の地域(1980年に商務長官が行った10年毎の人口統計に基づく)に所在する場合には、送信地から20マイル内にその全部また一部に位置する指定地域外のコミュニティを含む。「一次送信事業者のローカル放送区域」は、ラジオ放送局の場合には、連邦通信委員会の準則および規程に従い、当該放送局の一次放送区域を含む。

      (5) 遠隔信号等価-

        (A) 総則-第(B)号に規定される場合を除き、「遠隔信号等価」とは、-

          (i) ケーブル・システムが非ネットワークテレビ番組の全部または一部を当該番組の一次送信事業者のローカル放送区域を超えて送信する二次送信に与えられる値をいう。また、

          (ii) この値は、独立局である各プライマリー・ストリームおよび各マルチキャスト・ストリーム(サイマルキャスト以外)に1の値を与え、また、ネットワーク局または非商業的教育局である各プライマリー・ストリームおよび各マルチキャスト・ストリーム(サイマルキャスト以外)に4分の1の値を与えることによって、算出される。

        (B) 例外-第(A)号に明記する独立局、ネットワーク局および非商業的教育局は、以下に服する。:

          (i) ケーブル・システムが連邦通信委員会の準則および規程により、特定の番組の再送信を省略しなければならず、かつ、著作物の実演もしくは展示を収録する他の番組を省略される送信と差し替えることができる場合、あるいは、1976年著作権法の制定日*3 に効力を有する準則もしくは規則が生放送でない番組の省略もしくは差替または自己のローカル放送区域内にケーブル・システムが所在する一次送信事業者が送信しない追加の番組の放送を自己の選択によって行うことができる場合には、差し替えられまたは追加された番組については何らの値も与えられない。

          (ii) 1976年著作権法の制定日に効力を有する連邦通信委員会の準則、規則もしくは許可により、ケーブル・システムが特定の番組の再送信の省略を自己の選択において行うことができ、かつ、著作物の実演もしくは展示を収録する他の番組を省略される送信と差し替えることができる場合には、差し替えられまたは追加された番組について与えられる値は、生番組の場合には、差替が生じた日数を分子としその年の日数を分母とする分数を一遠隔信号等価全体に乗じた値とする。

          (iii) 連邦通信委員会の深夜番組規程もしくは特別番組規程に従ってテレビ放送局である一次送信事業者の二次送信とされる場合、またはケーブル・システムが放送の許可を得たすべての信号を終日再送信する活性チャンネル容量を欠くために全日放送が不可能であるときにおいて定時制でテレビ放送局である一次送信事業者の二次送信とされる場合には、第(A)号に定める独立局、ネットワーク局および非商業的教育局に対する値は、ケーブル・システムが再送信する当該一次放送事業者の放送時間に対する当該一次放送事業者の全放送時間の割合に等しい分数を乗じられるものとする。

          (iv) ローカル放送区域内のコミュニティにおけるテレビ放送局である一次送信事業者のプライマリー・ストリームまたはマルチキャスト・ストリームに対しては、値は与えられない。

      (6) ネットワーク局-

        (A) プライマリー・ストリームの取り扱い-「ネットワーク局」とは、全国的送信を提供する合衆国内の一以上のテレビネットワークによって所有されもしくは運営され、またはこれに加入しているテレビ放送局であって、その局の典型的な放送日の主要部分についてネットワークが提供する番組の主要部分を送信するテレビ放送局のプライマリー・ストリームに適用される。

        (B) マルチキャスト・ストリームの取り扱い-「ネットワーク局」とは、テレビ放送局が以下の相互接続番組サービスの番組のすべてまたは主要部分を放送するマルチキャスト・ストリームに適用される:

          (i) 第(A)号に記載する一以上のテレビネットワークが所有もしくは運営し、またはこれと提携し、かつ、

          (ii) 10以上の州において最低25以上の提携テレビ局のライセンシーに相互接続番組サービスを週15時間以上、定期的に提供しているもの。

      (7) 独立局」とは、ネットワーク局でも非商業的教育局でもないテレビ放送局のプライマリー・ストリームまたはマルチキャスト・ストリームに適用される。

      (8) 「非商業的教育局」とは、2010年衛星放送視聴拡大・地方色法の制定日に有効である1934年通信法第397条に定義される非商業的教育放送局であるテレビ放送局のプライマリー・ストリームまたはマルチキャスト・ストリームに適用される。

      (9) プライマリー・ストリーム-「プライマリー・ストリーム」とは、以下のものをいう。

        (A) 2009年6月12日よりも前において、テレビ放送局が放送した番組をアナログ信号で実質的に複製していた単一のデジタル・ストリーム、または

        (B) 第(A)号に記載するストリームがない場合には、最も長い期間、テレビ放送局が放送した番組の単一のデジタル・ストリーム。

      (10) 一次送信事業者-「一次送信事業者」とは、連邦通信委員会またはカナダもしくはメキシコの政府当局の免許を受け、公衆に一次送信を行うテレビまたはラジオ放送局をいう。

      (11) マルチキャスト・ストリーム-「マルチキャスト・ストリーム」とは、テレビ放送局が放送する番組のデジタル・ストリームであって、テレビ放送局のプライマリー・ストリームではないものをいう。

      (12) サイマルキャスト-「サイマルキャスト」とは、プライマリー・ストリームで送信される番組を複製するテレビ放送局のマルチキャスト・ストリーム、または当該放送局のその他のマルチキャスト・ストリームをいう。

      (13) 加入者、加入-

        (A) 加入者-「加入者」とは、ケーブル・システムから二次送信サービスを受け、当該ケーブル・システムに直接的または間接的に料金を支払う個人または事業者をいう。

        (B) 加入-「加入」とは、加入者になることを選択することをいう。


    *3 1976年10月19日


    第112条  排他的権利の制限:一時的固定物

    (a) (1) 第106条の規定にかかわらず、映画その他の視聴覚著作物の場合を除き、使用許諾(第114条(f)に基づく法定使用許諾を含む)、著作権の譲渡または第114条(a)に定める録音物にかかる排他的権利に対する制限に基づいて著作物を公に実演または展示することができる送信機関、または、ラジオもしくはテレビ放送局として連邦通信委員会の免許を受けた局である送信機関であって、加入契約なくデジタル方式で録音物の実演の放送送信を行う者が、実演または展示を収録する特定の送信番組のコピーまたはレコードを1部に限り作成することは、以下の要件をすべて満たす場合には著作権の侵害とならない。

        (A) 当該コピーまたはレコードを作成した送信機関のみがこれを保有し使用し、かつ、これからさらなるコピーまたはレコードを複製しないこと。

        (B) 当該コピーまたはレコードが、送信機関のローカル放送地域における自らの送信または資料保存もしくは保守の目的のみに使用されること。

        (C) 資料目的のみに保存される場合を除き、当該コピーまたはレコードが、送信番組が最初に公衆に送信された日から6 ヶ月以内に廃棄されること。

      (2) 著作物の実演または展示を公衆に送信することに関して第(1)節に基づきコピーまたはレコードを作成することが許される送信機関が、著作権者が著作物の複製を防止する技術的手段を使用したことにより、コピーまたはレコードを作成できない場合、著作権者は、著作権者にとって技術的に実施可能でありかつ経済的に相当である限り、本節に基づいて許されるコピーまたはレコードの作成を可能とするに必要な手段を送信機関に提供しなければならない。著作権者が送信機関の合理的な業務上の要請に鑑みて適時に上記を行わない場合、当該送信機関は、本項第(1)節に基づき許されるコピーまたはレコードの作成に必要な行為を行ったことについて、本編第1201条(a)(1)の違反の責任を負わない。

    (b) 第106条の規定にかかわらず、第110条(2)または第114条(a)に規定する録音物にかかる排他的権利に対する制限に基づいて著作物を公に実演または展示することができる政府機関その他の非営利的団体が、実演または展示を収録する特定の送信番組のコピーまたはレコードを30部以下に限り作成することは、以下の要件をすべて満たす場合には著作権の侵害とならない。

      (1) 本項に基づき作成されたコピーまたはレコードからさらなるコピーまたはレコードを複製しないこと。

      (2) 資料目的のみに保存されるコピーまたはレコード1部を除く当該コピーまたはレコードが、送信番組が最初に公衆に送信された日から7年以内にすべて廃棄されること。

    (c) 第106条の規定にかかわらず、政府機関その他の非営利的団体が、宗教的な非演劇的音楽著作物の実演またはかかる音楽著作物の録音物を収録する特定の送信番組のコピーまたはレコードを、本項第(2)節に定める送信機関に頒布するために1部に限り作成することは、以下の要件をすべて満たす場合には著作権の侵害とならない。

      (1) 当該コピーまたはレコードの作成または頒布につき、直接または間接の料金が課されないこと。

      (2) いかなるコピーまたはレコードも、使用許諾または著作権の移転に基づき著作物の実演を公衆に送信することのできる送信機関による公衆への1回の送信以外の実演に使用されないこと。

      (3) 資料目的のみに保存されるコピーまたはレコード1部を除く当該コピーまたはレコードが、送信番組が最初に公衆に送信された日から1年以内にすべて廃棄されること。

    (d) 第106条の規定にかかわらず、第110条(8)に基づき著作物の実演を送信することができる政府機関その他の非営利的団体が、当該実演を収録するコピーもしくはレコードを10部以下に限り作成し、または、第110条(8)に基づき著作物の実演を送信することができる政府機関もしくは非営利団体がコピーもしくはレコードを使用することを許諾することは、以下の要件をすべて満たす場合には著作権の侵害とならない。

      (1) 当該コピーまたはレコードを作成した団体または第110条(8)に基づき著作物の実演を送信することができる政府機関もしくは非営利的団体のみがこれを保有し使用し、かつ、これからさらなるコピーまたはレコードを複製しないこと。

      (2) 当該コピーまたはレコードが、第110条(8)が許可する送信または資料保存もしくは保守の目的のみに使用されること。

      (3) 本項に基づき政府機関または非営利的団体が当該コピーまたはレコードを使用することを許可する政府機関または非営利的団体が、かかる使用に対して何らの料金をも課さないこと。

    (e) 法定使用許諾-

      (1) 第114条(d)(1)(C)(iv)に定める排他的権利の制限に基づいてまたは第114条(f)に従う法定使用許諾に基づいて録音物の実演を公衆に送信することを許された送信機関は、以下の条件を満たす場合には、本項の定める条件において録音物の1部を超えないレコード(法定使用許諾の条件がより多数を認める場合を除く)を作成する法定使用許諾を受けることができる。

        (A) 当該レコードを作成した送信機関のみがこれを保有し使用し、かつ、これからさらなるレコードを複製しないこと。

        (B) 当該レコードが、第114条(f)に基づく法定使用許諾または第114条(d)(1)(C)(iv)に定める排他的権利の制限に基づいて、合衆国から発信される当該送信機関の送信にのみ使用されること。

        (C) 資料保存目的のみで保存される場合を除き、当該レコードが、これを用いて録音物が最初に公に送信された日から6 ヶ月以内に廃棄されること。

        (D) 録音物のレコードが著作権者の許諾を得て公に頒布されまたは著作権者が送信事業者に対して録音物を送信することを許諾しており、かつ、著作権者の許諾を得て適法に作成・取得されたレコードから本項に基づいて送信事業者が当該レコードを作成すること。

      (2) 反トラスト法の規定にかかわらず、録音物の著作権者および本項に基づき法定使用許諾を受けることのできる送信事業者は、本条に基づいて当該録音物のレコードを作成するための使用料率および使用許諾の条件ならびに支払われた使用料の著作権者間での配分について交渉し合意することができ、また、かかる使用料の支払について交渉し、合意しまたは支払を受けるための共通の代理人を指名することができる。

      (3) 第8章に基づく手続は、手続開始の翌年の1月1日から5年間または当事者が別途合意するその他の期間について、第(1)節に定める活動に対する相当な使用料率および使用料支払条件を決定する。かかる料率には、送信機関が提供するサービスの種類毎の最低料金を含むものとする。録音物の著作権者または本項に基づき法定使用許諾を受けることのできる送信機関は、著作権使用料審判官に対して、当該録音物に関して、かかる行為を対象とする使用許諾を提出することができる。各当事者は、手続に要する費用を負担する。

      (4) 第(5)節を条件として、著作権使用料審判官によって決定された相当な使用料率および条件は、第(3)項に定める5 年間または当事者が別途合意する期間について、録音物のすべての著作権者および本項に基づいて法定使用許諾を受けることのできる送信機関を拘束する。かかる料率には、送信機関が提供するサービスの種類毎の最低料金を含むものとする。著作権使用料審判官は、市場において取引を希望する売主と買主が交渉したであろう使用料率を最も明確にあらわす使用料率を設定しなければならない。かかる使用料率および条件を決定するにあたって、著作権使用料審判官は、以下を含む、当事者が提出する経済、競争および番組についての情報に基づいて決定しなければならない。

        (A) 当該サービスの利用が、レコードの販売に代替するかもしくは促進するか、または、録音物に対する著作権者の録音物からの収入源を妨害するかもしくは拡大するか。また、

        (B) 相対的な創作的寄与、技術的寄与、資本投資、費用およびリスクに関して、公に利用可能な当該著作権のある著作物および当該サービスにおける、著作権者および送信事業者の相対的役割。

        使用料率および条件を定めるにあたって、著作権使用料審判官は、第(2)節および第(3)節に定める任意的使用許諾契約に基づく使用料率および条件を考慮することができる。また、著作権使用料審判官は、著作権者が本条に基づく録音物の使用の適切な通知を受け取るべき要件および本項に基づいて法定使用許諾を受けることのできる送信機関がかかる使用の記録を保存し利用可能にすべき要件を定めなければならない。

      (5) 録音物の一以上の著作権者および本項に基づき法定使用許諾を受けることのできる一以上の送信機関が時期を問わず任意に交渉した使用許諾契約は、連邦議会図書館長の決定または著作権使用料審判官の決定に代わる効力を有する。

      (6) (A) 本項に従う法定使用許諾に基づいて録音物のレコードを作成しようとする者は、以下のいずれかの場合には、第 106条(1)に基づく録音物に対する著作権者の排他的権利を侵害することなくこれを行うことができる。

          (i) 著作権使用料審判官が規則により定める通知の要件に従い、かつ、本項に従って使用料を支払う場合。

          (ii) 使用料が定められていないときは、本項に従って定められる使用料の支払いに同意する場合。

        (B) 未払の使用料は、使用料が定められた月の翌月20日以前に支払われなければならない。

      (7) 本項に基づきレコードを作成することが許される送信機関が、著作権者が録音物の複製を防止する技術的手段を使用したことによりレコードを作成できない場合、著作権者は、著作権者にとって技術的に実施可能でありかつ経済的に合理的である限り、本項に基づいて許されるレコードの作成を可能とするに必要な手段を送信機関に提供しなければならない。著作権者が送信機関の合理的な業務上の要請に鑑みて適時に上記を行わない場合、当該送信機関は、本項に基づき許されるレコードの作成に必要な行為を行ったことについて、本編第1201条(a)(1)の違反の責任を負わない。

      (8) 本項のいかなる規定も、著作権者が録音物(本項に別途定める場合を除く)または音楽著作物に対して保有する排他的権利(第106条(1)、第106条(3)および第115条に基づき録音物または音楽著作物をデジタル・レコード頒布等の方法によって複製・頒布する排他的権利ならびに第106条(4)および第106条(6)に基づき録音物または音楽著作物をデジタル音声送信等の方法によって公に実演する権利を含む)の存在または価値を無効にし、制限し、阻害し、またはその他の影響を及ぼさない。

    (f) (1)第106条の規定にかかわらず、また第(b)項への適用に限らず、第110条(2)に基づいて実演または展示を許されている政府機関またはその他非営利的教育機関が、第110条(2)に基づいて許諾された送信を行うために使用される実演または展示を収録したコピーまたはレコードをデジタル形式にてまたは第(2)節に基づいて許された範囲でアナログ形式にて作成する行為は、以下の条件を満たす場合には、著作権侵害とならない。

        (A) 第110条(2)に基づいて許諾される場合を除き、かかるコピーまたはレコードを作った機関または団体だけがそれを保有して使用し、かかるコピーまたはレコードからさらなるコピーまたはレコードが複製されないこと、および

        (B) かかるコピーまたはレコードが、第110条(2)に基づいて許諾された送信にのみ使用されること。

      (2) 本項は、著作物の活字またはその他アナログ版をデジタル形式に変換することを許すものではない。ただし、以下のいずれの場合には、本項に基づいてかかる変換は、第110条(2)に基づいて当該著作物の実演または展示が許されている量についてのみ、許される。

        (A) 団体に、著作物のデジタル版が手に入らない場合、または

        (B) 団体が手に入れることのできるデジタル版が、第110条(2)の目的とする使用を妨げるような技術的保護手段を施している場合。

    (g) 本条に基づき作成されるコピーまたはレコードを含む送信番組は、当該番組に使用される既存の著作物の著作権者の明示的な同意がない限りは、二次的著作物として本編に基づく保護を受けない。


    第113条 絵画、図形および彫刻の著作物に対する排他的権利の範囲

    (a) 本条第(b)項および第(c)項の規定を条件として、著作権のある絵画、図形または彫刻の著作物を第106条に基づきコピーに複製する排他的権利は、あらゆる種類の物品(実用品であるか否かを問わない)に著作物を複製する権利を含む。

    (b) 本編は、実用品そのものを表現する著作物の著作権者に対し、表現された実用品の作成、頒布または展示について、本編に基づき提起された訴訟において裁判所が適用し解釈した1977年12月31日現在効力を有する法(第17編または州のコモン・ローもしくは制定法であるかを問わない)が当該著作物について付与する権利に、優越しまたは劣後するいかなる権利を付与するものではない。

    (c) 公の販売その他の頒布に供された実用品に適法に複製された著作物の場合、著作権は、当該物品の頒布もしくは展示に関連する広告もしくは解説またはニュース報道に関する当該物品の絵画または写真の作成、頒布または展示を禁止する権利を含まない。

    (d) (1) (A) 建築物からの除去が第106A条(a)(3)に定める著作物の破壊、歪曲、切除その他の改変をもたらす方法で視覚芸術著作物が建築物に組み込まれもしくはその一部とされた場合、また

       

    (B)
    著作者が、1990年視覚芸術家権法第610条(a)に定める発効日*4前に著作物を建築物に組み入れることを承諾した場合、または、建築物の所有者および著作者が署名し、著作物の除去により著作物が破壊され歪曲され切除されその他改変されることを特記した書面により、著作物を建築物に組み込むことを承諾した場合には、第106A条(a)(2)および(3)が付与する権利は適用されない。

      (2) 建築物の所有者が、第106A条(a)(3)に定める破壊、歪曲、切除その他の改変なしに建築物から除去できる、建築物の一部となっている視覚芸術著作物を除去することを希望するときは、第106A条(a)(2)および(3)に基づく著作者の権利は、以下の場合を除き適用される。

        (A) 所有者が著作者に対し、その意図する視覚芸術著作物に影響する行為につき通知すべく誠実かつ善意の努力をしたが通知できなかった場合、または

        (B) 所有者が書面をもって上記の通知を行ったが、通知を受けた者が受領後90日以内に著作物の除去もしくは除去の費用の支払を行わなかった場合。

        第(A)号において、所有者が著作者に対して、第(3)節に基づき著作権局長が記録する著作者の最新の住所に宛てて書留郵便をもって通知を送付した場合、所有者は著作者に対して通知すべく誠実かつ善意の努力をしたものとみなす。著作物が著作者の費用で除去された場合、著作物のコピーに対する権原は著作者に帰属するものとみなす。

      (3) 著作権局長は、建築物に組み込まれまたはその一部とされた視覚芸術著作物の著作者が著作権局にその身元および住所を記録することのできる記録制度を定めなければならない。著作権局長はまた、上記の著作者が記録された情報を更新するための手続、および、建築物の所有者が本項に従うための努力の証拠を著作権局に登記するための手続を定めなければならない。


    *4 1990年12月1日




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