第VII編 国家
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第1節 国家著作権
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第176条 国家の指示に基づき作成された創作的著作物に対する国家著作権
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(1) |
本条がなければ、 連邦もしくは州によりまたはその指示もしくは規制に基づき作成された創作的な言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対して著作権が存在しない場合には、 本項により当該著作物に対して著作権が存続する。
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(2) |
連邦または州は、 本編および第X編に従い、 連邦もしくは州によりまたはこれらの指示もしくは規制に基づき作成された創作的な言語、 演劇、 音楽または美術著作物の著作権者となる。
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第177条 国家の指示に基づきオーストラリアで最初に発行された創作的著作物に対する国家著作権
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本編および第X編に従い、 オーストラリアで最初に発行された創作的な言語、 演劇、 音楽または美術著作物が、 連邦もしくは州によりまたはその指示もしくは規制に基づき最初に発行された場合には、 連邦または州がその著作権者となる。
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第178条 国家の指示に基づき作成された録音物およびフィルムに対する国家著作権
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(1) |
本条がなければ、 連邦もしくは州によりまたはその指示もしくは規制に基づき作成された録音物または映画フィルムに対して著作権が存在しない場合には、 本項により当該録音物またはフィルムに対して著作権が存続する。
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(2) |
連邦または州は、 本編および第X編に従い、 連邦もしくは州によりまたはその指示または規制に基づき作成された録音物または映画フィルムの著作権者となる。
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第179条 著作権の帰属に関する規定を合意により修正する可能性
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前三条は、 著作物の著作者または録音物もしくは映画フィルムの制作者との間に連邦もしくは州によりまたはこれに代わり行われる合意であって、 当該著作物、 録音物またはフィルムに対する著作権は著作者もしくは制作者または当該合意に定めるその他の者に帰属することを定めたものに従って効力を有する。
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第180条 創作的著作物に対する国家著作権の存続期間
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(1) |
連邦もしくは州が著作権者でありまたは前条の適用を受ける合意がなければ著作権者となる言語、 演劇または音楽著作物に対する著作権は、
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(a) |
当該著作物が発行されていない場合――当該著作物が発行されない限り存続する。
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(b) |
当該著作物が発行されている場合――当該著作物が最初に発行された暦年の終了から50年間が満了するまで存続し、 最初の発行の直前に当該著作物に対する著作権が存続していた場合には引き続き存続する。
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(2) |
次項に従い、 連邦もしくは州が著作権者でありまたは前条の適用を受ける合意がなければ著作権者となる美術著作物に対する著作権は、 当該著作物が作成された暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。
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(3) |
連邦もしくは州が著作権者でありまたは前条の適用を受ける合意がなければ著作権者となる版画または写真に対する著作権は、 当該版画または写真が最初に発行された暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。
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第181条 録音物およびフィルムに対する国家著作権の存続期間
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連邦または州が著作権者であり、 または第 179 条の適用を受ける合意がなければ著作権者となる録音物または映画フィルムに対する著作権は、 当該録音物またはフィルムが最初に発行された暦年の終了から 50 年間が満了するまで存続する。
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第182条 本編により存続する著作権への第III編および第IV編の適用
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(1) |
第III編 (著作権の発生、 存続期間または帰属に関する規定を除く) は、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対して本編により発生する著作権に関して、 同編によりかかる著作物に対して生じる著作権に関して適用すると同様に適用する。
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(2) |
第IV編 (著作権の発生、 存続期間または帰属に関する規定を除く) は、 録音物または映画フィルムに対して本編により発生する著作権に関して、 同編によりかかる録音物またはフィルムに対して生じる著作権に関して適用すると同様に適用する。
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第182A条 法律および判決等に対する著作権
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(1) |
所定の著作物に対する著作権 (著作権の性質を有する国家の大権または特権を含む) は、 特定の目的のために当該著作物の全部または一部のコピー1部を複写により作成することによっては侵害されない。
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(2) |
著作物の全部または一部のコピーの複写による作成については、 当該コピーの作成および供給に関して料金を徴収する場合には、 かかる料金の額が当該コピーの作成および供給の費用を超えない場合を除いては、 第(1)項は適用しない。
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(3) |
第(1)項において、 所定の著作物 とは、 以下を意味する。
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(a) |
法律もしくは州法、 特別地域の立法府の立法、 または法律、州法もしくは特別地域の立法に基づき制定された規定 (条例もしくは規程、 規則または附則を含む)
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(b) |
連邦裁判所または州もしくは特別地域の裁判所の判決、 命令または裁定
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(c) |
法律またはその他の連邦、 州もしくはは特別地域の立法によりまたはこれに基づき設立された審判所 (裁判所でないもの) の判決、 命令または裁定
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(d) |
第(b)号にいう裁判所または第(c)号にいう審判所が行った決定の理由
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(e) |
第(b)号にいう裁判所の判事、 裁判官もしくはその他の構成員または第(c)号にいう審判所の審判員が、 当該裁判所または審判所の決定に関してその単独構成員または構成員の一人として行った意見
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第2節 著作権のある素材の国家のための使用
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第182B条 定義
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(1) |
第(2)項に従い、 本節において、
権利管理団体 とは、 第153F条に基づく認定が効力を有する法人を意味する。
著作権のある素材 とは、 以下を意味する。
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(a) |
著作物、
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(b) |
著作物の発行版、
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(c) |
録音物、
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(d) |
映画フィルム、
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(e) |
テレビ放送もしくは音声放送、 または
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(f) |
録音物、 映画フィルムまたはテレビ放送もしくは音声放送に含まれる著作物。
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政府 とは、 連邦または州を意味する。
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注: |
州には、 オーストラリア首都地域、 北部準州およびノーフォーク島を含む。 オーストラリア首都特別地域自治 (付随的規定) 規則 (修正) (法規程1989年第392号) 第10条(3)(n)を参照。
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政府コピー とは、 第183条(1)に基づき作成される、 著作権のある素材の有形的形式の複製物を意味する。
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(2) |
第(1)項において、 著作物には、 コンピュータ・プログラムまたはその編集物である言語著作物を含まない。
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第182C条 関連権利管理団体
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法人は、 以下のいずれかに関して本節における権利管理団体であるとの認定が第VI編第3節に基づき効力を有する場合には、 政府コピーに関して関連権利管理団体となる。
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(a) |
全ての政府コピー、 または
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(b) |
当該政府コピーを含む種類の政府コピー。
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第183条 国家のサービスのための著作権のある素材の使用
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(1) |
言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物またはこれらの発行版、 または録音物、 映画フィルム、 テレビ放送もしくは音声放送に対する著作権は、 連邦もしくは州または連邦もしくは州が書面により許可した者が著作権の及ぶ行為を行うことによっては、 当該行為が連邦または州のサービスのために行われる場合には侵害されない。
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(2) |
連邦政府が他国の防衛のために必要な物を供給するために、当該他国と合意または協定を行う場合には、
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(a) |
当該合意または協定に従ってかかる物を供給することに関する行為の遂行、 および
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(b) |
当該合意または協定のために必要とされない物の販売
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は、 前項において、 連邦のサービスのために行われるものとみなす。
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(3) |
第(1)項に基づく権限は、 権限を付与された行為の前後に付与することができ、 また、 当該行為を行うにつき著作権者が付与しまたは著作権者を拘束する使用許諾を受けている場合でも、 付与することができる。
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(4) |
第(1)項に基づき著作権の及ぶ行為が行われた場合には、 連邦または州は、 公の利益に反すると連邦または州が考える場合を除いては、 可及的速やかに所定のとおり著作権者に対して当該行為の実行を通知し、 また、 当該行為の実行に関して当該著作権者が随時合理的に要求する情報を提供しなければならない。
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(5) |
第(1)項に基づき著作権の及ぶ行為が行われた場合には、 かかる行為の遂行の条件は、 連邦または州と著作権者との間で当該行為の前後に合意された条件またはかかる合意がない場合には著作権審判所が定める条件とする。
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(6) |
著作権の及ぶ行為を連邦または州以外の者が行うことのできる条件を定める合意または使用許諾(本法の施行日前後に行われまたは付与されたかを問わない) は、 当該合意または使用許諾を連邦司法長官または州司法長官が承認した場合を除き、 本法の施行日後に第(1)項に基づき行われる行為に関しては適用しない。
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(7) |
物品が販売され、 かかる販売が第(1)項により著作権の侵害にあたらない場合には、 当該物品の購入者または当該購入者を通じて主張する者は、 連邦または州が当該物品に対する著作者であると同様に当該物品を扱うことができる。
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(8) |
第(1)項に基づき行われる行為は、 著作物またはその他の権利対象物の発行にあたらず、 また、 著作権の存続期間に関する本法の規定の適用において考慮されないものとする。
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(9) |
著作権に関して排他的使用許諾が効力を有する場合には、 本条の前各項は、 著作権者を排他的被許諾者を指すものとして効力を有する。
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(11) |
連邦、 州、 オーストラリア首都地域もしくは北部準州のまたはその規制下にある教育機関における教育目的のために行われる著作物またはその他の権利対象物の全部または一部の複製、 複写または送信は、 本条において、 連邦、 当該州、 オーストラリア首都地域または北部準州のサービスのために行われた行為とみなされない。
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第183A条 政府のサービスのための複製に関する特別な取り決め
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(1) |
法人が当該コピーに関して本節における関連権利管理団体であり、 かつ当該法人がかかる権利管理団体としての運営を停止していない場合には、 第183条(4)および(5)は、 政府コピー (いつ作成されたかを問わない) に関して適用しない。
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(2) |
第183条(5)が特定の期間中に政府のサービスのために作成された政府コピーに適用されない場合には、 当該政府は、 当該コピー (除外コピーを除く) について、 当該期間に関して以下のいずれかの方法で算定された公正な補償金を関連権利管理団体に対して支払わなければならない。
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(a) |
当該権利管理団体と政府との間で合意された方法、 または
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(b) |
合意がない場合――第 153K 条に基づき審判所が決定する方法。
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(3) |
特定の期間に政府コピー (除外コピーを除く) に関して権利管理団体に支払うべき公正な補償金を算定する方法は、
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(a) |
当該期間中に政府のサービスのために作成されたコピーであって、 当該団体が関連権利管理団体であるものの推定数を考慮しなければならず、 また
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(b) |
第(a)号においてコピーの数を推定するために使用されるサンプリング制度を特定しなければならない。
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(4) |
権利管理団体に支払うべき公正な補償金を算定する方法においては、 異なる種類の政府コピーにつき異なる扱いを定めることができる。
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(5) |
第(3)項および第(4)項は、 補償金の算定方法が権利管理団体と政府とが合意するか、 審判所により決定されるかを問わず適用する。
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(6) |
本条において、
除外コピー とは、 政府コピーであって、 その作成に関する情報を開示することが公の利益に反すると政府が判断するものを意味する。
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第183B条 政府コピーに関して支払うべき公正な補償金の支払および回収
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(1) |
第183A条(2)に基づき権利管理団体に支払うべき公正な補償金は、 以下の方法および時期にて支払われなければならない。
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(a) |
当該権利管理団体と政府との間で合意された方法および時期、 または
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(b) |
審判所が支払を行うべき方法および時期を定める第153K条(3)に基づく命令を行った場合――当該命令に定める方法および時期
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(2) |
合意または審判所の命令に従って公正な補償金が支払われない場合には、 権利管理団体は、 管轄ある裁判所において自己に対する債務として当該補償金を回収することができる。
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第183C条 権利管理団体の抜き取り検査を行う権限
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(1) |
本条は、 政府のサービスのために作成される政府コピーに関して第183A条(2)に基づき支払うべき公正な補償金を算定する方法が、 政府と関連権利管理団体との間で合意されまたは審判所により決定された場合に適用する。
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(2) |
権利管理団体は、 政府に対して、 政府が占有する特定の施設において特定の期間に当該方法に従って抜き取り検査を行うことを希望する旨の書面による通知を行うことができる。 書面に特定する期間は、 当該通知が行われた日から7日以内に開始してはならない。
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(3) |
政府は、 権利管理団体に対して、 当該通知に定める期間または施設において抜き取り検査を行う提案に対して、 合理的な理由に基づく書面による異議を行うことができる。 しかし、 この場合には、 当該異議通知には、 抜き取り検査を行うことのできる別の期間または別の施設を提案しなければならない。
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(4) |
政府が権利管理団体に対して異議を行う場合には、 抜き取り検査は、 当該異議が取り下げられない限りは、 当該異議にかかる期間または施設において行うことができない。
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(5) |
特定の期間前または期間中に、 政府が異議を行わず、 または異議を取り下げた場合には、 権利管理団体が書面により権限を付与した者は、 当該期間中に、 当該通知に定める施設に立ち入り、 当該方法に従った抜き取り検査を、 当該施設に勤務する政府職員の通常の業務日に行うことができる。
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(6) |
政府は、 当該施設に立ち入る者が、 抜き取り検査を行うために全ての合理的かつ必要な設備および支援を受けられるよう合理的な措置をとらなければならない。
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第183D条 権利管理団体の年次報告および会計
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(1) |
権利管理団体は、 各会計年度の終了後可及的速やかに、 当該年度中の運営に関する報告書を作成し、 その写しを司法長官に送付しなければならない。
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(2) |
権利管理団体は、 当該団体の取引 (信託管理人としての取引を含む) および当該団体の財務状態を正確に記録し説明する会計帳簿を作成しなければならない。
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(3) |
会計帳簿は、 権利管理団体における真正かつ公平な会計記録を作成しかつ便宜的かつ適切に監査することを可能にする方法にて作成されなければならない。
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(4) |
権利管理団体は、 各会計年度の終了後可及的速やかに、
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(a) |
当該団体の構成員でない監査人に会計帳簿を監査させ、
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(b) |
監査を受けた会計帳簿の写しを司法長官に送付しなければならない。
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(5) |
司法長官は、 第(1)項または第(4)項(b)に基づき送付された文書の写しを、 議会の各院に対して報告を受領した後当該院の15会日以内に提出させなければならない。
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(6) |
権利管理団体は、 その構成員に対して、 以下の写しへの合理的なアクセスを認めなければならない。
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(a) |
本条に基づき作成される全ての報告書および監査済み会計帳簿、 ならびに
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(b) |
会計監査に関する全ての監査報告書。
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(7) |
本条は、 権利管理団体がその設立準拠法に基づき負う年次報告書または会計帳簿の作成および提出義務に影響しない。
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第183E条 権利管理団体の規則の改正
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権利管理団体は、 その規則を改正した後 21 日以内に、 改正後の規則の写しを当該改正の効果および改正を行った理由を記載した書面と共に司法長官に送付しなければならない。
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