第3部 意匠権 |
第4章 長官及び裁判所の管轄権
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長官の管轄権
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(意匠権に関する事項を決定する管轄権)
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第246条 |
(1) |
次に掲げる事項のいずれかについての紛争の一方の当事者は、その紛争を裁定のために長官に付託することができる。 |
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(a) |
意匠権の存続 |
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(b) |
意匠権の期間 |
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(c) |
意匠権が最初に帰属した者の身元 |
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また、付託に対する長官の裁定は、紛争の両当事者を拘束する。 |
(2) |
次に掲げる場合を除き、他のいずれの裁判所又は審判所も、そのようないずれの事項についても裁定しない。 |
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(a) |
長官からの付託又は上訴による場合 |
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(b) |
係争点が付随的に生じる侵害その他の訴訟手続における場合 |
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(c) |
両当事者の合意又は長官の許可を得て提起される訴訟手続における場合 |
(3) |
長官は、この条に基づく付託の過程において生じる事実上又は法律上のいずれの付随的問題をも裁定する管轄権を有する。 |
(権利の許諾条件を決定するための申請)
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第247条 |
(1) |
次に掲げる規定又は命令に基づく権利として利用することができる許諾を要請する者は、許諾条件を決定することを長官に申請することができる。 |
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(a) |
第237条(意匠権の最後の5年内に利用することができる許諾) |
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(b) |
第238条(公益のために利用することができる許諾)に基づく命令 |
(2) |
第237条に基づいて利用することができる許諾条件の決定のためのいずれの申請も、許諾が同条に基づいて効力を生じることができる最も早い日の前1年以上早く行うことはできない。 |
(3) |
長官により決定される許諾条件は、許諾を得た者に次に掲げることを行う権限を与える。 |
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(a) |
第237条に基づいて利用することができる許諾の場合には、許諾がないときに意匠権の侵害となるあらゆること。 |
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(b) |
第238条に基づいて利用することができる許諾の場合には、許諾をそのように利用することができるあらゆること。 |
(4) |
許諾条件を決定する際に、長官は、所管大臣が制定文書により定める命令により規定することができる要因を考慮する。 |
(5) |
そのようないずれの命令も、その草案が議会の両院に提出され、かつ、その決議により承認されない限り、定められない。 |
(6) |
許諾条件が長官により決定される場合には、許諾は、次に掲げる日から効力を生じる。 |
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(a) |
第237条に基づいて利用することができる許諾について、許諾が同条に基づいて効力を生じることができる最も早い日の前に行われる申請の場合には、その日 |
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(b) |
他のいずれの場合にも、長官への申請が行われた日 |
(意匠権者が知られていない場合における条件の決定)
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第248条 |
(1) |
この条の規定は、第247条(権利の許諾条件の決定)に基づく申請を行う者が、合理的な調査により意匠権者の身元を発見することができない場合に、適用される。 |
(2) |
長官は、許諾条件を決定する際に、許諾が使用料その他の支払いについていずれの義務をも免除される旨を命ずることができる。 |
(3) |
このような命令が定められるときは、意匠権者は、その申請が行われる日から効力を生じる許諾条件を変更することを長官に申請することができる。 |
(4) |
許諾条件が長官により決定され、かつ、権利として許諾を利用することができなかったことがその後に確認されるときは、許諾を得た者は、許諾を利用することができなかった旨の意匠権者によるいずれかの主張をその者が知る前に行われたいずれかのことについても、損害賠償において又はそのようなことについての利得の計算について、責任を有しない。 |
(権利の許諾条件についての上訴)
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第249条 |
(1) |
第247条又は第248条(権利の許諾条件の決定)に基づく長官のいずれの裁定に由来する上訴も、1949年の登録意匠法第27A条に基づいて指名された者に係属する。 |
(2) |
削除 |
(意見サービス)
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第249条のA |
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1949年の登録意匠法の第28条のA第1項(b)(デザインについての意見サービスに関する長官に対する要求)に基づいて規則により特定される意匠の記載は,特に以下のものを含む。 |
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(a) |
この部に従って維持される意匠権にかかる意匠、及び |
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(b) |
意匠権が維持されるかどうか問題がある場合の意匠 |
(規則)
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第250条 |
(1) |
所管大臣は、この部に基づいて長官に提起されるいずれの訴訟手続に関連しても履行すべき手続を規制するための規則を定めることができる。 |
(2) |
規則は、特に、次に掲げることを規定することができる。 |
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(a) |
形式を定めること。 |
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(b) |
支払われるべき料金を要求すること。 |
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(c) |
手続の変則性を矯正する権限を与えること。 |
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(d) |
証拠を与える方法を規制し、かつ、証人の出席並びに書類の開示及び提出を強制する権限を長官に与えること。 |
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(e) |
提起された訴訟手続において長官を補佐する顧問の任命について規定すること。 |
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(f) |
行われることを要求されるいずれかのことを行うための時間的制限を定めること(及びそのようないずれかの制限の変更を規定すること)。 |
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(g) |
費用を査定し、かつ、費用がいかに、いかなる当事者に、及びいかなる当事者から支払われるべきかを指示する権限を長官に与えること。 |
(3) |
料金を定める規則は、大蔵省の同意を必要とする。 |
(4) |
長官を補佐するために任命される顧問の報酬は、大蔵省の同意を得て所管大臣により決定され、かつ、議会が準備する資金から支出される。 |
(5) |
規則は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる制定文書により定められる。 |
裁判所の管轄権
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(意匠権事項についての付託及び上訴)
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第251条 |
(1) |
第246条(意匠権に関する事項の付託)に基づいて提起されるいずれの訴訟手続においても、長官は、いつでも、指示することができる条件で、訴訟手続全体又はいずれかの問題若しくは係争点(事実上又は法律上の)が高等裁判所に、又はスコットランドにおいては民事控訴院に付託されることを命ずることができる。 |
(2) |
長官は、訴訟手続の両当事者が、長官がそうすべきことに合意するときは、そのような命令を定めることができる。 |
(3) |
この条に基づく付託があったときは、裁判所は、付託された事項について、この部に基づいて長官が利用することができるいずれの権限をも行使することができ、かつ、その決定に従って、いずれの事項をも長官に差し戻すことができる。 |
(4) |
第246条(意匠権に関する事項についての裁定)に基づいて長官に提起される訴訟手続における長官のいずれの裁定に由来する上訴も、(a)高等裁判所に、または(b)1949年登録意匠法第27条のAに基づいて指名された者、又はスコットランドにおいては民事控訴院に係属する。 |
(国王による使用に関する紛争の付託)
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第252条 |
(1) |
次に掲げる諸条に基づく合意がないときに裁判所により決定されることとなるいずれの事項についての紛争も、紛争のいずれかの当事者により裁判所に付託することができる。 |
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(a) |
第241条(国王による使用のための条件の決定) |
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(b) |
第242条(国王による使用の場合における第三者の権利) |
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(c) |
第243条(国王による使用――利得の損失についての補償金) |
(2) |
国王による意匠の使用のための条件についての政府の省庁といずれかの者との間の紛争を裁定する際に、裁判所は、次に掲げることを考慮する。 |
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(a) |
その者又はその者に権限を付与する者が、その意匠についていずれかの政府の省庁から直接的又は間接的に受けた、又は受ける資格を有するいずれかの金額 |
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(b) |
その者又はその者に権限を付与する者が、裁判所の意見では合理的な原因なしに、合理的な条件による意匠の使用についての政府の省庁の要請に応じることを怠ったかどうか |
(3) |
2人又は2人以上の共同意匠権者の1人は、他の者の同意なしに、この条に基づいて紛争を裁判所に付託することができる。ただし、他の者も当事者とならない限り、そうしてはならない。また、それらの他の者のいずれも、その者が訴訟手続に参加しない限り、いずれの費用についても責任を有しない。 |
(4) |
国王による意匠の使用のための条件を合意により決定するために、第242条第3項(a)号(i)により排他的許諾を得た者の同意が要求される場合には、そのような使用について行われるべきいずれの支払いの金額の裁判所による決定も、許諾を得た者がその付託について通知され、かつ、聴聞の機会を与えられない限り、効力を有しない。 |
(5) |
第242条第3項(a)号(ii)(意匠権者に支払われる金額の一部を取り戻すという排他的許諾を得た者の権利)に定めるところに従って取り戻すことができる金額についての紛争の付託があった場合には、裁判所は、許諾を得た者が次に掲げることを行う際に負担するいずれの経費をも考慮して、何が公正であるかを決定する。 |
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(a) |
意匠の開発 |
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(b) |
許諾の対価としての意匠権者への支払い(使用料その他意匠の使用に関連して決定される支払い以外の) |
(6) |
この条において、「裁判所」とは、次に掲げる裁判所をいう。 |
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(a) |
イングランド及びウェールズにおいては、高等裁判所又はこの法律第287条に基づく命令に基づいて管轄権を有するいずれかの州特許裁判所 |
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(b) |
スコットランドにおいては、民事控訴院 |
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(c) |
北部アイルランドにおいては、高等裁判所 |