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    第7章 著作権の許諾

    許諾要綱及び許諾機関

    (許諾要綱及び許諾機関)
    第116条
    (1) この部において、「許諾要綱」とは、次に掲げることを記述した要綱をいう。
    (a) 要綱の運営者又はその者により代理される者が著作権の許諾を付与しようとする種類の事案
    (b) 許諾がそれらの種類の事案において付与される条件
    また、この目的上、「要綱」は、要綱若しくは料金表として又は他のいずれの名称により記述されているかどうかを問わず、要綱の性質を有するいずれのものをも含む。
    (2) この章において、「許諾機関」とは、著作権者若しくは将来の著作権者又はこの者の代理人として、著作権の許諾の交渉又はその付与を主たる目的又は主たる目的の1つとする協会その他の団体であって、その目的が2人以上の著作者の著作物を対象とする許諾の付与を含むものをいう。
    (3) この条において、「著作権の許諾」とは、著作権により制限される行為のいずれかを行い、又は行うことを許可する許諾をいう。
    (4) この章における2人以上の著作者の著作物を対象とする許諾又は許諾要綱への言及は、次に掲げる著作物のみを対象とする許諾又は要綱を含まない。
    (a) 著作者が同一である単一の又は2以上の集合著作物
    (b) 単一の個人、商社、会社又は会社グループにより又はその被雇用者により、若しくはその委嘱を受けて作成される著作物
    この目的上、会社グループとは、2016年の会社法第1159条の意味における持株会社及びその子会社をいう。
    (5) 附則A1は、許諾機関が規則を定めることについて権限を付与する。

    権利者不明著作物の許諾と拡大集中許諾

    (権利者不明著作物の許諾に関して制定する権限)
    第116条のA
    (1) 所管大臣は、規則に基づき権利者不明著作物としての資格を有する著作物に関する許諾の付与に関して、規則により制定することができる。
    (2) 規則では、
    (a) 許諾を付与する権限を与えられた所定の者又は所定の部類の者を明示し、又は
    (b) 許諾を付与する権限を与えられた所定の者又は所定の部類の者を明示するために 規則において指定される者について、規定することができる。
    (3) 規則では権利者不明著作物としての資格を有する著作物に関して、その著作権の所 有者が規則に基づいて行った入念な調査の後も判明しないことを要件として制定しな ければならない。
    (4) 規則では、所在不明の権利者の同意が必要となる著作権により制限される行為のいずれかを行い、又は行うことを許可する許諾の付与について制定することができる。
    (5) 規則では、いずれの許諾も、次の通りに制定しなければならない。
    (a) 所在不明の権利者により付与されたのと同様の効果を有すること
    (b) 排他的権利を与えるものではないこと
    (c) 許諾を付与することを許可された者に対しては与えられないとすること
    (6) 規則では、たとえ著作権が当該著作物に存続しているかどうかが不明である場合でも、著作物に対して適用されるものとし、また、所在不明の権利者及び所在不明の権利者の権利又は利益の参照は、想定される権利者及び想定される権利又は利益の参照も含むものとして読まれるものとすること。

    (拡大集中許諾)
    第116条のB
    (1) 所管大臣は規則に基づき所管大臣に申請する許諾機関に対して、当該機関又は当該機関の活動を代理する者によって保有されていない著作物に関して、著作権の許諾を付与する権限を、規則により付与することができる。
    (2) 権限付与には以下のことを明示しなければならない。
    (a) それが適用される著作物の種類、及び
    (b) 当該許諾機関が許諾を行う権限を付与される、著作権により制限される行為
    (3) 規則では、著作権の所有者が、当該規則による許諾の付与を制限又は排除する権利を有していることを規定しなければならない。
    (4) 規則では、いずれの許諾も排他的権利を与えるものではないことを規定しなければならない。
    (5) 本条において、「著作権の許諾」は、第 116 条におけるのと同様の意味を有する。
    (6) 本条の規定は、国王の著作権若しくは議会の著作権については適用されない。

    (第 116 条のA及び第 116条のB に基づく許諾に関する一般条項)
    第116条のC
    (1) 第1項この条及び第116条のDは、第116条のA及び第116条のBに基づく規則に対して適用される。
    (2) 規則では、一定の要件を満たした場合にのみ、所定の機関が許諾をする許可を付与され、又はその状態を維持すること、及び要件の充足について規則によって指定される所定の者が、その指定する方法によって決定することになると、制定することができる。
    (3) 規則では、ある者に権限を付与するかどうかに関して、規則に基づいてなされる決定において考慮すべきその他の事項を明示することができる。
    (4) 規則では、所定の許諾に関して支払われる利用料又はその他の金額に関する処理については以下のことを含めて制定しなければならない。
    (a) 管理費用の控除
    (b) 金額が保持される期間
    (c) (無主物その他の場合に関する)当該期間後の金額の処置
    (5) 規則では、許諾を与える権限付与が取り消される事情、及び所定の権限付与が取り消された場合のいずれの者の権利及び義務の決定について規定しなければならない。
    (6) 規則では、特に以下の条項を含めて、権限付与及び許諾の目的に関する他の条項を含めることができる。
    (a) 許諾が効力を有する間に、ある著作物が権利者不明著作物の資格を停止する場合(又は、いずれの著作権者への言及による資格の停止)、又は所定の著作権者が第116のB 条第3項に言及される権利を行使する場合において、いずれの者の権利と義務を決定すること;
    (b) 登録の管理及びそれへのアクセス
    (c) 申請又は調査を含む付随的な目的のための所定の著作物の利用の許可
    (d) 第 77 条により付与される権利が 第78 条にしたがって主張されているものとして取り扱うこと
    (e) 管理費用を補うための手数料の支払

    (第116条のA 及び 第116条のB に基づく規則)
    第116条のD
    (1) 規則を制定する権限には以下の権限を含む
    (a) 著作権審判所の管轄を拡大又は制限し又はそれに権限を付与する条項を含む、付随的、補充的又は派生的規定を設けること
    (a) 著作権審判所の管轄を拡大又は制限し又はそれに権限を付与する条項を含む、付随的、補充的又は派生的規定を設けること
    (b) 暫定規定、経過規定、又は適用免除を設けること
    (c) 事情の違いに応じた異なった定めを設けること
    (2) いずれの条項に基づく規則も、派生的規定を設け又は著作権審判所の管轄を拡大又は制限し又はそれに権限を付与する目的のために、この部、又は、当該条項が効力を有するより前に通過し又は制定された法律又は従位立法を、修正することができる。
    (3) 規則では、いずれかの者により適時に出されるガイダンスを参照して、条項を設けることができる。
    (4) 規則を設ける権限は、命令によって制定するものとする。
    (5) 法律を修正する規則を含む命令は、当該命令案が議会に提出され、かつ、各議院の決議によって承認されない限り、これを制定してはならない。
    (6) 規則を含む他のいずれの命令も、上院又は下院のいずれかの決議に基づく不採択措置に服するものとする。
    (7) (1988 年著作権意匠及び特許法に附則 A1 を挿入し、かつ、著作権に関する本条により制定される規定に対応する実演家の権利に関する条項を設ける)附則 22 は効力を有する。

    許諾要綱に関する付託及び申請

    (以下の諸条の規定が適用される許諾要綱)
    第117条
    第118条から第123条まで(許諾要綱に関する付託及び申請)の規定は、次に掲げるいずれかのことについての許諾に関係する限り、許諾機関により運営され、かつ、2人以上の著作者の著作物を対象とする許諾要綱について適用される。
    (a) 著作物の複製
    (b) 著作物の複製物の公衆へのレンタル又は貸与
    (c) 著作物の公の実演、演奏又は上映
    (d) 著作物の公衆への伝達
    また、これらの条における「許諾要綱」への言及は、それに従って解釈される。

    (提案された許諾要綱の審判所への付託)
    第118条
    (1) 許諾機関により運営されることを提案される許諾要綱の条件は、要綱が一般的に又はいずれかの種類の事案に関して適用される種類の事案において、許諾を要求する旨を主張する者の代表であると主張する団体により、著作権審判所に付託することができる。
    (2) 審判所は、付託を受理するかどうかを最初に決定し、また、付託が時期尚早であることを根拠としてそうすることを断ることができる。
    (3) 付託を受けることを決定するときは、審判所は、付託された事項を検討し、かつ、提案された要綱を一般的に又は付託が関係する種類の事案に関係する限りにおいて確認し、又は変更しつつ、状況上合理的であると審判所が決定することができる命令を定めることができる。
    (4) 命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (許諾要綱の審判所への付託)
    第119条
    (1) 許諾要綱が実施されている間に、要綱の運営者と次に掲げる者との間で紛争が生じるときは、その者又は団体は、それがその種類の事案に関するものである限り、要綱を著作権審判所に付託することができる。
    (a) 要綱が適用される種類の事案における許諾を必要とすることを主張する者
    (b) そのような者の代表者であることを主張する団体
    (2) この条に基づいて審判所に付託された要綱は、付託による訴訟手続きが終結するまで引き続き実施される。
    (3) 審判所は、紛争事項を審理し、かつ、付託が関係する種類の事案に関係するものである限り、要綱を確認し、又は変更しつつ、審判所が状況上合理的であると決定することができる命令を定める。
    (4) 命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (許諾要綱の審判所への再付託)
    第120条
    (1) 著作権審判所が、第118条、第119条若しくは第128条のA又はこの条に基づく許諾要綱の以前の付託について、要綱に関する命令を定めた場合には、命令が効力を有する間に、次に掲げる者は、それがその種類の事案に関係するものである限り、要綱を審判所に再付託することができる。
    (a) 要綱の運営者
    (b) 命令が適用される種類の事案における許諾を必要とすることを主張する者
    (c) そのような者の代表者であることを主張する団体
    (2) 許諾要綱は、審判所の特別の許可を得る場合を除き、同一の種類の事案について次に掲げる期間には審判所に再付託されない。
    (a) 以前の付託についての命令の日から12か月以内
    (b) 命令が15か月以内効力を有するように定められたときは、命令の終結前の最後の3か月まで
    (3) この条に基づいて審判所に付託された要綱は、付託による訴訟手続が終結するまで引き続き実施される。
    (4) 審判所は、紛争事項を審理し、かつ、付託が関係する種類の事案に関係するものである限り、要綱を確認し、変更し、又は再変更しつつ、審判所が状況上合理的であると決定することができる命令を定める。
    (5) 命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (許諾要綱に関連する許諾の付与の申請)
    第121条
    (1) 要綱の運営者が、要綱に従って許諾をその者に付与すること、若しくは許諾のその者への付与を取得させることを拒絶し、又は請求された後の合理的な時間内にそうすることを怠った旨を、許諾要綱が対象とする事案において主張する者は、著作権審判所に申請することができる。
    (2) 許諾要綱から除外される事案において次に掲げるいずれかのことを主張する者は、著作権審判所に申請することができる。
    (a) 要綱の運営者が、許諾をその者に付与すること、若しくは許諾のその者への付与を取得させることを拒絶し、又は請求された後の合理的な時間内にそうすることを怠ったこと、及び状況上許諾が付与されないことが不合理であること。
    (b) 要綱の運営者が不合理な許諾条件を提案していること。
    (3) 次に掲げるいずれかの場合には、事案は、第2項の目的上許諾要綱から除外されたものとみなされる。
    (a) 要綱が、許諾から事項を除外する条件に従う許諾の付与について規定し、かつ、事案がそのような除外に該当する場合
    (b) 事案が、要綱に基づいて許諾が付与されるものに類似しているため、それが同一の方法により取り扱われないことが不合理である場合
    (4) 主張が十分に根拠があることを審判所が納得するときは、審判所は、命令に明示する事項について、要綱に従って適用可能であり、又は場合により状況上合理的であると審判所が決定することができる条件で、申請者が許諾を受ける資格を有する旨を宣言する命令を定める。
    (5) 命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (許諾を受ける資格についての命令の再審理の申請)
    第122条
    (1) 著作権審判所が、ある者が許諾要綱に基づいて許諾を受ける資格を有する旨の命令を第121条に基づいて定めた場合には、要綱の運営者又は最初の申請者は、審判所にその命令の再審理を申請することができる。
    (2) 申請は、審判所の特別の許可を得る場合を除き、次に掲げる期間内には行われない。
    (a) 命令の日又はこの条に基づく以前の申請についての決定の日から12か月以内
    (b) 命令が、15か月以内効力を有するように定められたとき、又はこの条に基づく以前の申請についての決定の結果として、その決定から15か月以内に終結することとなっているときは、終結の日の前の最後の3か月まで。
    (3) 審判所は、再審理の申請があったときは、許諾要綱に従って適用される条件又は場合により事案の状況を考慮して、審判所が合理的であると決定することができるところに従って、その命令を確認し、又は変更する。

    (許諾要綱についての審判所の命令の効力)
    第123条
    (1) 次に掲げる諸条に基づいて著作権審判所により確認され、又は変更された許諾要綱は、命令が定められた事案の種類に関係する限りは、命令が引き続き効力を有する限り効力を有し、又は場合により引き続き実施される。
    (a) 第118条(提案された要綱の条件の付託)
    (b) 第119条又は第120条(現行の要綱の審判所への付託)
    (2) 命令が効力を有する間に、命令が適用される種類の事案において、次に掲げる者は、すべての実質的な時に、要綱に従って当該著作権の所有者により付与される許諾の保有者であったものとして、著作権侵害に関して同一の立場に立つ。
    (a) 当該事案を対象とする許諾について要綱に基づいて支払われるいずれの課金をも要綱の運営者に支払う者、又は金額を確認することができないときは、確認された時に課金を支払うことを運営者に約束する者
    (b) 要綱に基づいてそのような許諾に適用される他の条件を履行する者
    (3) 審判所は、命令が、支払われる課金の金額を変更するものである限りは、それが定められる日以前の日であって、付託が行われる日又はそれ以後のときは要綱が実施される日より早くない日から効力を有する旨を、指示することができる。
    そのような指示が行われるときは、
    (a) すでに支払われた課金について、いずれの必要な払い戻し又は再支払いも行われる。
    (b) 要綱に基づいて支払われる課金への第2項(a)号における言及は、命令に基づいてそのように支払われる課金への言及として解釈される。
    このようないずれの指示も、次の第4項の規定が適用される場合には、行うことができない。
    (4) 第143条に基づいていずれかの目的のために証明される要綱について行われる第119条又は第120条に基づく審判所の命令は、許諾について支払われる課金を引き下げることにより要綱を変更するものである限りは、付託が審判所に行われた日から効力を有する。
    (5) 審判所が第121条(許諾要綱に基づく許諾を受ける資格についての命令)に基づく命令を定め、かつ、その命令が引き続き効力を有する場合には、その者のために命令が定められる者は、次に掲げるいずれかの者に該当するときは、すべての実質的な時に、命令に明示される条件で当該著作権の所有者により付与される許諾の保有者であったものとして、著作権侵害に関して同一の立場に立つ。
    (a) 命令に従って支払われるいずれの課金をも要綱の運営者に支払う者、又は金額を確認することができないときは、確認された時に課金を支払うことを約束する者
    (b) 命令に明示される他の条件を履行する者

    許諾機関による許諾に関する付託及び申請

    (以下の諸条の規定が適用される許諾)
    第124条
    第125条から第128条まで(許諾機関による許諾に関する付託及び申請)の規定は、許諾要綱に従うことなく許諾機関により付与され、かつ、2人以上の著作者の著作物を対象とする許諾であって、次に掲げることを許可するものについて適用される。
    (a) 著作物の複製
    (b) 著作物の複製物の公衆へのレンタル又は貸与
    (c) 著作物の公の実演、演奏又は上映
    (d) 著作物の公衆への伝達
    また、これらの条における許諾への言及は、それに従って解釈される。

    (提案された許諾の審判所への付託)
    第125条
    (1) 許諾機関が許諾を付与することを提案する条件は、将来許諾を得る者が著作権審判所に付託することができる。
    (2) 審判所は、付託を受理するかどうかを最初に決定し、また、付託が時期尚早であることを根拠として、そうすることを断ることができる。
    (3) 付託を受理することを決定するときは、審判所は、提案された許諾の条件を検討し、かつ、条件を確認し、又は変更することにより、状況上合理的であると決定することができる命令を定める。
    (4) 命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (終結する許諾の審判所への付託)
    第126条
    (1) 時間の経過により又は許諾機関による通告の結果として終結することとなる許諾に基づいて許諾を得た者は、許諾が効力を失うことが状況上不合理であることを根拠として、著作権審判所に申請することができる。
    (2) そのような申請は、許諾が終結することとなる前の最後の3か月までは、行うことができない。
    (3) 審判所に付託された許諾は、付託についての訴訟手続が終結するまで、引き続き実施される。
    (4) 申請が十分に根拠があると認めるときは、審判所は、審判所が状況上合理的であると決定することができる条件で、許諾を得た者が引き続き許諾の利益を受ける資格を有する旨を宣言する命令を定める。
    (5) この条に基づく審判所の命令は、無期限に又は審判所が決定することができる期間について、効力を有するように定めることができる。

    (許諾についての命令の再審理の申請)
    第127条
    (1) 著作権審判所が第125条又は第127条に基づく命令を定めた場合には、許諾機関又は命令の利益を受ける資格を有する者は、審判所にその命令の再審理を申請することができる。
    (2) 申請は、審判所の特別の許可を得る場合を除き、次に掲げる期間内には行われない。
    (a) 命令の日又はこの条に基づく以前の申請についての決定の日から12か月以内
    (b) 命令が15か月以内効力を有するように定められたとき、又はこの条に基づく以前の申請についての決定の結果として、その決定から15か月以内に終結することとなっているときは、終結の日の前の最後の3か月まで。
    (3) 審判所は、再審理の申請があったときは、審判所が状況上合理的であると決定することができるところに従って、その命令を確認し、又は変更する。

    (許諾についての審判所の命令の効力)
    第128条
    (1) 著作権審判所が第125条又は第126条に基づいて命令を定め、かつ、その命令が引き続き効力を有する場合には、命令の利益を受ける資格を有する者は、次に掲げるいずれかの者に該当するときは、すべての実質的な時期に、命令に明示される条件で当該著作権の所有者により付与される許諾の保有者であったものとして、著作権侵害に関して同一の立場に立つ。
    (a) 命令に従って支払われるいずれの課金をも許諾機関に支払う者、又は金額を確認することができない場合には、確認された時に課金を支払うことを約束する者
    (b) 命令に明示される他の条件を履行する者
    (2) 命令の利益は、次に掲げるいずれかに該当するときに譲渡することができる。
    (a) 第125条に基づく命令の場合には、審判所の命令の条件に基づいて譲渡が禁止されていないとき。
    (b) 第126条に基づく命令の場合には、最初の許諾の条件に基づいて譲渡が禁止されていなかったとき。
    (3) 審判所は、第125条若しくは第126条に基づく命令又はそのような命令を変更する第127条に基づく命令が、支払われる課金の金額を変更するものである限りは、それが定められる日以前の日であって、付託若しくは申請が行われた日又はそれ以後のときは許諾が付与され、又は場合により終結することとなっていた日より早くない日から効力を有する旨を、指示することができる。
    そのような指示が行われるときは、
    (a) すでに支払われた課金について、いずれの必要な払い戻し又は再支払いも行われる。
    (b) 命令に従って支払われる課金への第1項(a)号における言及は、命令が後の命令により変更される場合には、後の命令に基づいてそのように支払われる課金への言及として解釈される。
    第128条のA
    削除
    第128条のB
    削除

    ある種の場合に考慮されるべき要因

    (一般的考察――不合理な差別)
    第129条
    許諾要綱又は許諾に関するこの章に基づく付託又は申請について何が合理的であるかを決定する際に、著作権審判所は、次に掲げることを考慮する。
    (a) 類似の状況にある他の者への他の要綱の提供の可能性又はそのような者への他の許諾の付与
    (b) それらの要綱又は許諾の条件
    また、審判所は、付託又は申請が関係する要綱又は許諾に基づいて許諾を得た者又は将来許諾を得る者と、同一の者により運営される他の要綱又はその者により付与される他の許諾に基づいて許諾を得た者との間に、不合理な差別がないことを確保するように、その権限を行使する。

    (複写複製の許諾)
    第130条
    発行された文芸、演劇、音楽若しくは美術の著作物又は発行された版の印刷配列の複写複製の許諾に関して、この章の規定に基づいて著作権審判所に付託又は申請が行われる場合には、審判所は、次に掲げることを考慮する。
    (a) 当該著作物の発行された版が別途入手可能である範囲
    (b) 複製されるべき著作物の部分
    (c) 複製物が供せられる可能性のある使用の性質

    (放送に挿入された著作物に関する教育機関の許諾)
    第131条
    (1) 著作権のある著作物が挿入されている放送の教育機関による、若しくはそのための、教育を目的とする録音・録画のための、又はそのような録音・録画物の、教育を目的とする複製物の作成のための許諾に関するこの章に基づく付託又は申請については、この条の規定が適用される。
    (2) 著作権審判所は、許諾についていかなる課金(もしあれば)が支払われるべきかを検討する際に、放送に挿入された著作物の著作権者が、それらの挿入について支払いをすでに受けており、又は受ける資格を有する範囲を考慮する。

    (行事の主催者が課する条件を反映する許諾)
    第132条
    (1) いずれかの催し物その他の行事が挿入されている、又は挿入されることとなる録音物、映画、放送に関する許諾についてのこの章に基づく付託又は申請については、この条の規定が適用される。
    (2) 著作権審判所は、催し物その他の行事の主催者が課するいずれの条件をも考慮する。また、特に、審判所は、それらの条件と矛盾せずに許諾を付与することができなかったときは、許諾の付与の拒絶又は許諾を付与しないことを不合理と判断しない。
    (3) この条のいずれの規定も、そのようないずれかの条件が次に掲げるいずれかに該当する限り、それらの条件を考慮することを審判所に要求するものではない。
    (a) 許諾の付与について課されるべき課金を規制することを意図するもの
    (b) 録音・録画物、映画又は放送を作成するための便宜の付与の報酬として、いずれかの行事の主催者に対して行われるべき支払いに関係するもの

    (基礎をなす権利についての支払いを反映する許諾)
    第133条
    (1) 次に掲げるいずれかの付託又は申請があったときに許諾についていかなる課金が支払われるべきかを検討する際に、著作権審判所は、著作物の著作権者が、許諾の付与又は許諾により許可される行為の結果として、その著作物に挿入された著作物の著作権者に対して行う責任を有するいずれの合理的な支払いをも考慮する。
    (a) 著作物の複製物のレンタル若しくは貸与についての許諾に関するこの章に基づく付託又は申請
    (b) 第142条(ある種の著作物の貸与について支払われる使用料その他の金額)に基づく申請
    (2) 録音物、映画又は放送の著作権についての許諾に関するこの章に基づくいずれかの付託又は申請があったときは、著作権審判所は、許諾についていかなる課金が支払われるべきかを検討する際に、著作権者が、許諾の付与又は許諾により許可される行為の結果として、録音物、映画又は放送に挿入されたいずれの実演についても行う責任を有するいずれの合理的な支払いをも考慮する。

    (再送信に挿入された著作物についての許諾)
    第134条
    (1) 1の放送(「最初の送信」)が、受信及び即時の再送信により、更に放送される(「以後の送信」)こととなる場合には、放送に次に掲げるいずれかのものを挿入する許諾に関するこの章に基づく付託又は申請について、第3項のAに従うことを条件として、この条の規定が適用される。
    (a) 文芸、演劇、音楽又は美術の著作物
    (b) 録音物又は映画
    (2) 以後の送信が最初の送信と同一区域向けである限り、著作権審判所は、どちらの送信についての許諾についてもいかなる課金(もしあれば)が支払われるべきかを検討する際に、その区域向けの送信について著作権者に適切に報酬を与える他の送信についての支払いを著作権者がすでに受けている、又は受ける資格を有する範囲を考慮する。
    (3) 以後の送信が最初の送信が向けられる区域外の区域向けである限り、審判所は、最初の送信についての許諾についていかなる課金(もしあれば)が支払われるべきかを検討する際に、以後の送信を考慮しない。
    (3A) この条の規定は、第73条のA(第73条第4項に従って支払われる使用料その他の金額)に基づくいずれの申請に関しても適用されない。

    (他の関係する考察を排除しない特定事項についての記述)
    第135条
    著作権審判所がある種の場合に考慮すべき特定事項についての第129条から第134条までにおける記述は、いずれの場合にもすべての関係する考察を考慮するという審判所の一般的義務に影響しない。

    放送における録音物の権利としての使用

    (権利を利用することができる状況)
    第135条のA
    (1) 第135条のCの規定は、次に掲げる場合には、いずれの録音物の放送への挿入についても適用される。
    (a) それらの録音物を放送に挿入することの許諾を許諾機関が付与することができ、又はそのような機関がそのような許諾の付与を獲得することができた場合
    (b) 第2項又は第3項における条件が適用される場合
    (c) それらの録音物を放送に挿入する者が第135条のBの規定に従っている場合
    (2) 録音物を放送に挿入する者が、そうすることの許諾を保有していない場合には、条件は、許諾機関が、次に掲げるそのような許諾を付与すること又はそのような付与を獲得することを拒否することである。
    (a) 録音物を放送に挿入するための支払いについての許諾の条件が、その者に受け入れられうる許諾、又はそのような許諾若しくはそれが付与されるいずれかの要綱に関する第135条のDに基づく著作権審判所の命令に従っている許諾
    (b) 無制限の演奏時間又はその者が要求した演奏時間を許す許諾
    (3) その者が録音物を放送に挿入することの許諾を保有する場合には、条件は、許諾の条件が演奏時間を制限し、かつ、許諾機関が無制限の演奏時間若しくはその者が要求した演奏時間を許す条件を変更すること又はそのような変更を獲得することを拒否し、又は第2項(a)号に該当する条件でそうすることを拒否することである。
    (4) 第2項における許諾を付与すること又はそのような付与を獲得することを拒否することへの言及、及び第3項における条件を変更すること又はそのような変更を獲得することを拒否することへの言及は、求められる合理的な時間内にそうすることを怠ることを含む。
    (5) この条から第135条のGまでの諸条において、「演奏時間」とは、放送にいずれかの録音物を挿入することができるいずれかの期間における時間(期間又は期間の部分における時間数として決定されるとその他であるとを問わない。)をいう。
    「放送」は、第6条第1項のA(b)号又は(c)号に明示する種類の送信であるいずれの放送も含まない。
    「録音物」は、映画に伴う場合における映画の録音帯を含まない。
    (6) 第135条のBから第135条のGまでにおいて、「支払い条件」とは、録音物を放送又は有線番組サービスに挿入するための支払いについての条件をいう。

    (権利を行使する意図の通知)
    第135条のB
    (1) 第135条のCにより付与される権利を利用することを意図する者は、次に掲げることを行われなければならない。
    (a) 権利を行使するその者の意図を許諾機関に通知して、支払い条件を提案するよう同機関に求めること。
    (b) 提案を受領した後又は合理的な期間の満了後に、その権利の行使を開始することをその者が提案する日付及びそうすることをその者が意図する支払い条件を許諾機関に合理的に通知すること。
    (2) 放送に録音物を挿入する許諾をその者が有する場合には、第1項(b)号に基づく通知に明示される日付は、第135条のA第3項に該当する場合を除き、その許諾の終結の日よりも早くてはならない。
    (3) 権利を利用することを意図する者は、その行使を開始する前に、次に掲げることを行わなければならない。
    (a) 権利を行使するその者の意図及びそうすることを開始することをその者が提案する日付を、著作権審判所に合理的に通知すること。
    (b) 支払い条件を決定することを第135条のDに基づいて審判所に申請すること。

    (権利行使のための条件)
    第135条のC
    (1) 第135条のB第1項(b)号に基づく通知に明示される日又はその後に、この条が適用される状況において放送にいずれかの録音物を挿入する者は、次に掲げるいずれかに該当する場合には、すべての実質的な時に、当該著作権の所有者により付与される許諾の保有者であったものとして、著作権侵害に関して同一の立場に立つ。
    (a) 放送へのそれらの録音物の挿入について、許諾機関からその通知を受けたいずれの合理的な条件をも履行する者
    (b) 同機関が合理的に要求することができる放送へのそれらの録音物の挿入についての情報を、同機関に提供する者
    (c) この条により要求される支払いを許諾機関に行う者
    (2) 支払いは、少なくとも年4回の間隔で、遅れて行われる。
    (3) いずれの支払いの金額も、第135条のDに基づく著作権審判所のいずれかの命令に従って、又はそのようないずれの命令も定められていないときは、次に掲げるいずれかに従って決定される金額とする。
    (a) 第135条のBに基づく請求に従って許諾機関が行う支払い条件のためのいずれかの提案
    (b) いずれの提案も行われず、又は行われた提案に従って決定される金額が不当に高い場合には、第135条のB第1項(b)号に基づいて許諾機関に通知される支払い条件
    (4) 放送へのいずれかの録音物の挿入についてこの条の規定が適用される場合には、この条の規定は、いずれの許諾にも代わって適用される。

    (支払い決定の申請)
    第135条のD
    (1) 支払い条件を決定する申請があったときは、著作権審判所は、事項を検討し、かつ、状況上合理的であると決定することができる命令を定める。
    (2) 第1項に基づく命令は、申請者が第135条のCにより付与される権利の行使を開始する日から効力を有し、また、支払い期限となった金額について、いずれかの必要な払い戻し又は再支払いが行われる。

    (条件、情報その他の事情についての照会)
    第135条のE
    (1) 第135条のCにより付与される権利を行使する者又はそうすることの意図を著作権審判所に通知している者は、次に掲げるいずれかの質問を審判所に照会することができる。
    (a) 当該許諾機関からその通知を受けた放送への録音物の挿入についてのいずれの条件も、合理的な条件であるかどうかといういずれかの質問
    (b) いずれの情報も、提供することを許諾機関が合理的に要求することができる情報であるかどうかといういずれかの質問
    (2) この条に基づく照会があったときは、著作権審判所は、事項を検討し、かつ、状況上合理的であると決定することができる命令を定める。

    (命令の再審理のための申請)
    第135条のF
    (1) 第135条のCにより付与される権利を行使する者又は許諾機関は、第135条のD又は第135条のEに基づくいずれの命令をも再審理することを著作権審判所に申請することができる。
    (2) 申請は、審判所の特別の許可を得る場合を除き、次に掲げる期間には行われない。
    (a) 命令の日又はこの条に基づく以前の申請についての決定の日から12か月以内
    (b) 命令が15か月以内効力を有するように定められたとき、又は以前の申請についての決定の結果として、命令がその決定から15か月以内に終結することとなっているときは、終結する日の前の最後の3か月まで。
    (3) 申請があったときは、審判所は、事案を検討し、かつ、状況上合理的であると決定することができるところに従って、最初の命令を確認し、又は変更する命令を定める。
    (4) この条に基づく命令は、それが定められる日又は審判所が明示することができる後の日から効力を有する。

    (考慮されるべき要因)
    第135条のG
    (1) 第135条のD若しくは第135条のEに基づく申請若しくは付託について、又は第135条のFに基づくいずれの命令についても何が合理的であるかを決定する際に、著作権審判所は、次に掲げることを行う。
    (a) 第135条により付与される権利を行使する類似の状況にある者の場合に審判所が定めたいずれの命令の条件をも考慮すること。
    (b) その権利を同一の許諾機関に対して行使する者の間に不合理な差別がないことを確保するように、その権限を行使すること。
    (2) 第135条のDに基づく支払い条件を決定する際に、審判所は、同条以外のいずれの法令に基づいて定めるいずれの命令によっても左右されない。

    (第135条のAから第135条のGまでの規定を改正する権限)
    第135条のH
    (1) 所管大臣は、適当と認める経過規定に従うことを条件として、第135条のAから第135条のGまでの規定を命令により次に掲げるように改正することができる。
    (a) 命令に明示される種類のいずれの著作物をも、録音物へのいずれの言及にも含めること。
    (b) そのように明示される種類のいずれの放送をも、放送へのいずれの言及からも除外すること。
    (2) 命令は、制定文書により定められる。いずれの命令も、その草案が議会の両院に提出され、かつ、その決議によって承認されない限り、定められない。

    複写複製のための要綱又は許諾に暗に含まれる補償

    (複写複製のための要綱又は許諾に暗に含まれる補償)
    第136条
    (1) 要綱又は許諾が、それが適用される著作物を、要綱又は許諾及び著作物の点検により、著作物が要綱又は許諾に該当するかどうかを許諾を得た者が決定することができるように詳細に明示していない場合には、次に掲げる要綱及び許諾についてこの条の規定が適用される。
    (a) 発行された文芸、演劇、音楽若しくは美術の著作物又は発行された版の印刷配列の複写複製を許諾するための要綱
    (b) そのような複製のために許諾機関により付与される許諾
    (2) 要綱に基づいて許諾を付与された者又は許諾を得た者の許諾の明白な範囲内における状況において著作物の複写複製物を作成し、又はその作成を許諾することによりその者が著作権を侵害したことを理由としてその者が負ういずれの責任に対しても、次に掲げる約束が暗に含まれる。
    (a) この条が適用される各要綱においては、要綱に基づいて許諾を付与された者に補償するという要綱の運営者による約束
    (b) この条が適用される各許諾においては、許諾を得た者に補償するという許諾機関による約束
    (3) 次に掲げる場合には、事案の状況は、許諾の明白な範囲内にある。
    (a) 著作物が、許諾の適用を受ける著作物の種類に該当しないことが、許諾及び著作物の点検から明白でない場合。
    (b) 許諾が、侵害された種類の著作権に及ばない旨を明白に規定していない場合。
    (4) この条において、「責任」は、費用を支払う責任を含む。また、この条の規定は、許諾を得た者が著作権侵害について支払う責任を有する金額について適用されると同様に、著作権侵害についてその者に対する現実の又は予期される訴訟手続に関連してその者が合理的に負う費用に関して、適用される。
    (5) この条の規定が適用される要綱又は許諾は、次に掲げるような合理的な規定を含むことができる。
    (a) この条により暗示される約束に基づく主張が行われるべき方法及び時期に関する規定
    (b) 要綱の運営者又は場合により許諾機関が、その者が補償する責任を有する金額に影響するいずれかの訴訟手続の管理を引き継ぐことを可能とする規定

    教育機関による複写複製

    (要綱又は許諾の範囲を拡大する権限)
    第137条
    (1) この条の規定は、発行された文芸、演劇、音楽若しくは美術の著作物又は発行された版の印刷配列の複写複製物を授業を目的として教育機関が、又は教育機関のために作成することを許可する許諾の付与を定めている限り、又はそのような許諾である限り、次に掲げるものに適用される。
    (a) 第118条から第123条までの規定が適用される許諾要綱(第117条参照)であって、許諾機関により運営されるもの。
    (b) 第125条から第128条までの規定が適用される許諾(第124条参照)
    (2) この条の規定が適用される要綱又は許諾について次に掲げることを認めるときは、所管大臣は、要綱又は許諾がそれらの著作物に及ぶ旨を命令により規定することができる。
    (a) 要綱又は許諾が対象とする著作物に類似する種類の著作物が、その要綱又は許諾から不当に除外されること。
    (b) それらの著作物を要綱又は許諾に従わせることが、著作物の通常の利用と衝突せず、又は著作権者の正当な利益を不当に害しないこと。
    (3) そのような命令を定めることを提案する場合には、所管大臣は、その提案を次に掲げる者に通知する。
    (a) 著作権者
    (b) 当該許諾機関
    (c) 教育機関を代表する者若しくは団体その他の者又は団体であって、所管大臣が適当と認めるもの
    (4) 通知は、通知の日から6か月以内に提案について所管大臣に書面による又は口頭の陳述を行う権利について、それらの者に知らせる。また、それらの者のいずれかが口頭の陳述を行うことを希望するときは、所管大臣は、その陳述を聞いて報告する者を任命する。
    (5) 命令を定めるか否かを検討する際に、所管大臣は、第4項の規定に従って行われるいずれかの陳述及び関連すると認める他の事項を考慮する。

    (要綱又は許諾を拡大する命令の変更又は解除)
    第138条
    (1) 第137条の規定に基づいて命令がそれについて効力を有している著作物の著作権者は、申請を行う理由を述べて、命令の変更又は解除を所管大臣に申請することができる。
    (2) 所管大臣は、状況が特別であると認めない限り、最初の命令を定めた時又はこの条に基づく以前の申請による命令を定めた時から2年以内に行われる申請を受理しない。
    (3) 申請の理由を検討したときは、所管大臣は、命令を直ちに確認することができる。そうしないときは、同大臣は、申請を次に掲げる者に通知する。
    (a) 当該許諾機関
    (b) 教育機関を代表する者若しくは団体その他の者又は団体であって、同大臣が適当と認めるもの
    (4) 通知は、通知の日から2か月の期間内に提案について所管大臣に書面による又は口頭の陳述を行う権利について、それらの者に知らせる。また、それらの者のいずれかが口頭の陳述を行うことを希望するときは、所管大臣は、その陳述を聞いて報告する者を任命する。
    (5) 申請を検討する際に、所管大臣は、申請の理由、第4項の規定に従って行われるいずれかの陳述及び関連すると認める他の事項を考慮する。
    (6) 所管大臣は、命令(若しくは場合により以前変更された命令)を確認し、若しくは解除する命令又は著作物を除外するようにその命令を変更する(若しくは更に変更する)命令であって、同大臣が適当と認めるものを定めることができる。

    (命令に対する上訴)
    第139条
    (1) 第137条(要綱又は許諾の範囲を拡大する命令)に基づく命令の主題である著作物の著作権者は、著作権審判所に上訴することができる。審判所は、同条第2項に定める考察を考慮して適当と認めるところに従って、命令を確認し、若しくは解除し、又は著作物を除外するようにその命令を変更することができる。
    (2) 所管大臣が第138条(要綱又は許諾の範囲を拡大する命令を確認し、変更し、又は解除する命令)に基づく命令を定めた場合には、次に掲げる者は、審判所に上訴することができる。審判所は、命令を確認し、若しくは解除し、又は所管大臣が定めたかもしれない他のいずれの命令をも定めることができる。
    (a) 命令を申請した者
    (b) 教育機関を代表するいずれかの者又は団体であって、命令のための申請について通知を受け、かつ、同条第4項の規定に従って陳述を行った者
    (3) この条に基づく上訴は、命令が定められた時から6週間以内に、又は審判所が許可することができるそれ以上の期間内に提起される。
    (4) 第137条又は第138条の規定に基づく命令は、命令が定められた時から6週間の期間の終了まで、又はその期間の終了前に上訴が提起されるときは、上訴の訴訟手続が処理され、若しくは撤回されるまでは、効力を生じない。
    (5) その期間の終了後に上訴が提起されるときは、上訴についての審判所のいずれの決定も、その決定が効力を生ずる前に上訴された命令を信頼して行われたいずれの事項の効力にも影響しない。

    (新しい要綱又は一般的許諾が要求されるかどうかの調査)
    第140条
    (1) 所管大臣は、現行の許諾要綱又は一般的許諾が対象とせず、かつ、第137条(現行の要綱及び許諾を類似の著作物に拡大する権限)により与えられる権限に該当しないと認める種類の次に掲げる著作物又は印刷配列の複写複製物を、授業を目的として教育機関が、又は教育機関のために作成することを許諾する新しい規定が要求される(許諾要綱又は一般的許諾により)かどうかの問題を調査する者を任命することができる。
    (a) 発行された文芸、演劇、音楽又は美術の著作物
    (b) 発行された版の印刷配列
    (2) 調査に関して覆行すべき手続は、所管大臣が定める規則により規定することができるものとする。
    (3) 規則は、特に、次に掲げる者に与えられる通知及びそのような者が書面による又は口頭の陳述を行うことについて規定する。ただし、他の者及び団体に通知を与えること並びに他の者及び団体が陳述を行うことを害しない。
    (a) その種類の著作物の著作権者を代表するために所管大臣に出頭する者又は団体
    (b) 教育機関を代表するために所管大臣に出頭する者又は団体
    (4) 調査を行うために任命される者は、次に掲げることを納得しない限り、新しい規定を定めることを勧告しない。
    (a) 当該著作物の複写複製物を作成することを許可されることが、教育機関にとって利益となること。
    (b) それらの著作物を許諾要綱又は一般的許諾に従わせることが、著作物の通常の利用と衝突せず、又は著作権者の正当な利益を不当に害しないこと。
    (5) 新しい規定を定めることを勧告するときは、その者は、支払われる課金についての条件以外のいずれかの条件であって、それにより新しい規定に基づく許可を利用することができるものを明示する。
    (6) この条に基づく規則は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる制定文書により定められる。
    (7) この条(及び第141条)において、「一般的許諾」とは、許諾団体により付与される許諾であって、それが適用される種類のすべての著作物を対象とするものをいう。

    (勧告が実施されない場合における法定許諾)
    第141条
    (1) 所管大臣は、第140条に基づく勧告が行われた時から1年以内に、勧告に従って規定が定められなかったとき又はその限度において、勧告が関係する著作物の複写複製物を授業を目的として教育機関が、又は教育機関のために作成することが、著作物の著作権の所有者により許諾されたものとして取り扱われる旨を、命令により規定することができる。
    (2) その目的上、規定は、次に掲げるいずれかの場合には、勧告に従って定められたものとみなされる。
    (a) 当該機関が許諾を利用することができるための、証明された許諾要綱が設定されている場合。
    (b) 一般的許諾が、
    (i) その機関に、又はその機関のために付与されている場合。
    (ii) 第125条(提案された許諾の条件の付託)に基づいてその機関により又はその機関のために著作権審判所に付託されている場合。
    (iii) そのような付託なしに、その機関に、又はその機関のために提供され、かつ、拒否された場合。
    また、要綱又は許諾の条件は、勧告と合致する。
    (3) 命令は、また、そのような複製物の作成を許可する現行のいずれかの許諾(証明された許諾要綱又は一般的な許諾に基づいて付与される許諾でない)が、命令により規定される許諾よりも制限され、又はより負担付きである限度において、効力を有しなくなる旨を規定する。
    (4) 命令は、許諾が、使用料無料であるが、他の事項について、勧告に明示されるいずれかの条件及び所管大臣が適当と認めることができる他の条件に従う旨を規定する。
    (5) 命令は、命令がなければ侵害複製物となる複製物が、命令に規定する許諾に従って作成されるが、その後に利用される場合には、その利用の目的上、及びその利用が著作権を侵害するときは以後のすべての目的上、侵害複製物として取り扱われる旨を規定することができる。
    この項において、「利用される」とは、販売され、賃貸され、販売若しくは賃貸のために提供され、若しくは陳列され、又は公に展示されることをいう。
    (6) 命令は、それが定められた後少なくとも6か月までは、効力を生じない。
    (7) 命令は、随時変更することができるが、勧告が関係する著作物以外の著作物を挿入するように、又は勧告に明示されるいずれの条件をも除去するように変更することはできず、また、廃止することができる。
    (8) この条に基づく命令は、議会の上院又は下院の決議に従って廃止することができる制定文書により定められる。
    (9) この条において、「証明された許諾要綱」とは、第143条に基づいてこの条の目的上証明された許諾要綱をいう。

    ある種の著作物の貸与について支払われる使用料その他の金額

    (ある種の著作物の貸与について支払われる使用料その他の金額)
    第142条
    (1) 第66条(著作権のあるある種の著作物の複製物の貸与)に従って支払われる使用料その他の金額を決定するための申請は、著作権者又はその者により許諾されたものとして取り扱われることを主張する者が、著作権審判所に対して行うことができる。
    (2) 審判所は、事項を検討し、かつ、状況上合理的であると決定することができる命令を定める。
    (3) いずれの当事者も、その後、命令を変更することを審判所に申請することができ、また、審判所は、事項を検討し、かつ、最初の命令を確認し、又は変更する命令であって、状況上合理的であると決定することができるものを定める。
    (4) 第3項に基づく申請は、審判所の特別の許可を得る場合を除き、最初の命令又は同項に基づく以前の申請による命令の日から12か月以内には行われない。
    (5) 第3項に基づく命令は、それが定められる日又は審判所が明示することができる後の日から効力を有する。

    許諾要綱の証明

    (許諾要綱の証明)
    第143条
    (1) 許諾要綱を運営し、又は運営することを提案する者は、次に掲げる諸条の目的上要綱を証明することを所管大臣に申請することができる。
    (a) 削除
    (b) 第60条(学術上又は技術上の論文の摘要)
    (c) 第66条(ある種の著作物の複製物の公衆への貸与)
    (d) 削除
    (e) 第141条(発行された著作物の教育機関による複写複製)
    (2) 所管大臣は、次に掲げることを納得するときは、制定文書により定められる命令により、要綱を証明する。
    (a) 要綱が、それが関係する著作物が、許諾を必要とする可能性がある者により十分な確実性をもって確認されることを可能とすること。
    (b) 要綱が、支払われる課金(もしあれば)及び許諾が付与される他の条件を明示していること。
    (3) 要綱は、命令の附則とされ、かつ、証明は、第60条、第66条又は第141条の目的上、次に掲げるいずれかの日に実施される。
    (a) 命令に明示することができる日であって、命令が定められた後8週間以後の日
    (b) 要綱が第118条(提案された要綱の付託)に基づく付託の主題であるときは、同条に基づく著作権審判所の命令が効力を生じ、又は付託が撤回されるいずれか後の日
    (4) 要綱の変更は、命令の対応する修正が行われない限り、効力を有しない。また、所管大臣は、第118条、第119条又は第120条に基づく付託により著作権審判所が命令する変更の場合にそのような修正を行い、また、適当と認める他のいずれの場合にも修正を行うことができる。
    (5) 命令は、要綱が実施されなくなるときには廃止され、また、それがその条件に従ってもはや実施されていないと所管大臣が認めるときは、廃止することができる。

    競争報告の結果行使することができる権限

    (競争及び市場当局報告の結果行使することができる権限)
    第144条
    (1) 1980年の競争法第12条第5項又は2002年の企業法第41条第2項、第55条第2項、第60条第6項、第75条第2項、第83条第2項、第138条第2項、第147条第2項、第147条のA第2項若しくは第160条第2項又は同法附則第7第5項⑵若しくは第10項⑵(公共団体その他のある種の者、合併又は市場調査に関連して競争及び市場当局への付託に伴って救済措置をとる権限)に基づいて所管大臣、競争及び市場当局により救済され、軽減され、又は阻止されるべきいずれの必要性も、次に掲げるいずれかのものから成り、又はそれを含む場合には、第1項のAの規定が、適用される。
    (a) 著作物の著作権者により付与される許諾における条件であって、許諾を得た者による著作物の使用又は他の許諾を付与するという著作権者の権利を制限するもの
    (b) 合理的な条件で許諾を付与することを著作権者が拒否すること。
    (1A) 2002年の企業法附則第8により与えられる権限は、それらの条件を取り消し、又は修正する権限及び、その代わりに又はそれに加えて、著作権についての許諾を権利として利用することができる旨を規定する権限を含む。
    (1B) 1980年の競争法第12条第5項のA並びに2002年の企業法第75条第4項(a)号、第83条第4項(a)号、第84条第2項(a)号、第89条第1項、第160条第4項(a)号、第161条第3項(a)号及び附則第7第5項、第10項及び第11項における、2002年の企業法附則第8により許されるいずれのことへの言及も、それに従って解釈される。
    (2) 同法第56条第2項及び第73条第2項並びに1980年の競争法第12条第5項における同附則の同部に明示する権限への言及は、それに従って解釈される。
    (3) 所管大臣、競争及び市場当局は、そうすることが連合王国が締約国である著作権に関するいずれの条約にも違反しないことを納得する場合に限り、この条に基づいて利用することができる権限を行使する。
    (4) この条に基づいて利用することができる許諾の条件は、合意のないときは、許諾を要求する者による申請を受けて著作権審判所により決定される。また、そのように決定される条件は、許諾を得た者が、許諾をそのように利用することができるあらゆることを行うことを許可する。
    (5) 許諾の条件が審判所により決定される場合には、許諾は、審判所への申請が行われた日から効力を有する。

    ある種の権利の強制的集中管理

    (有線再送信に関するある種の権利の集団行使)
    第144条のA
    (1) この条の規定は、著作物が挿入されている他のEEA加盟国からの無線放送の有線再送信について許諾を付与し、又は拒否するという、文芸、演劇、音楽若しくは美術の著作物、録音物又は映画の著作権者の権利について適用される。
    (2) 有線再送信権は、許諾機関を通してのみ、有線運営者に対して行使することができる。
    (3) 著作権者がその有線再送信権の管理を許諾機関に移転していない場合には、同一種類の権利を管理する許諾機関が、その者の権利を管理することを委任されるものとみなされる。
    2以上の許諾機関がその種類の権利を管理する場合には、その者は、それらのいずれがその者の権利を管理することを委任されるとみなされるか選択することができる。
    (4) 第3項の規定が適用を受ける著作権者は、有線運営者と許諾機関との間のいずれの関係する協定からも結果する権利及び義務であって、有線再送信権の管理をその許諾機関に移転している著作権者が有するものと同一のものを有する。
    (5) 著作権者が第4項に基づいて資格を有することができるいずれの権利も、関係する有線再送信の日から起算して3年の期間内に主張しなければならない。
    (6) この条の規定は、放送に関して又はそれに挿入されている著作物に関してと否とを問わず、放送の作成者が行使することができるいずれの権利にも影響しない。
    (7) この条において、
    「有線運営者」とは、無線放送の有線再送信について責任を有する者をいう。
    「有線再送信」とは、無線放送の有線による受信及び即時の再送信をいい、地上固定地間のマイクロ波エネルギーの送信を含む。



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