第1節 特定の刊行物の保護 第70条 学術的刊行物 (1) 著作権の保護を受けない著作物又は文書の刊行物は、それが学術的な整理の成果を示し、かつ、当該著作物又は文書に係る従前知られた刊行物と実質的に区別されるときは、第1章の規定を準用することによって保護を受ける。 (2) この権利は、刊行物の作成者に帰属する。 (3) この権利は、刊行物の発行後25年をもって消滅する。ただし、刊行物がこの期間内に発行されないときは、その製作後25年をもってすでに消滅する。この期間は、第69条に基づいて計算するものとする。 第71条 遺作著作物 (1) 未発行の著作物を、その著作権が消滅した後に、適法に最初に発行し又は最初に公衆に再生する者は、その著作物を利用することにつき排他的権利を有する。未発行の著作物で、この法律の適用領域でかつて保護を受けたことがなく、かつ、その著作者の死後70年を経過しているものについても、同様とする。第5条、第10条第1項、第15条乃至第23条、第26条、第27条、第44a条乃至第63条及び第88条は、ここに準用するものとする。 (2) この権利は、譲渡することができる。 (3) この権利は、著作物の発行後25年、又は著作物の最初の公衆への再生が先に行われた場合には、その公衆への再生後25年をもって消滅する。期間は、第69条に基づき計算するものとする。 第2節 写真の保護 第72条 (1) 写真及び写真と類似の方法によって製作される制作物は、写真の著作物に適用される第1章の規定を準用することによって保護を受ける。 (2) 前項に基づく権利は、その写真家に帰属する。 (3) 第1項に基づく権利は、写真の発行後50年、又は写真の最初の適法な公衆への再生が先に行われた場合には、その公衆への再生後50年をもって消滅する。ただし、写真がこの期間内に発行されず又は適法に公衆に再生されなかったときは、その製作後50年をもってすでに消滅する。この期間は、第69条に基づいて計算するものとする。 第3節 実演芸術家の保護 第73条 実演芸術家 この法律の意味における実演芸術家とは、著作物若しくは民俗芸能の表現形式を演じ、歌い、演奏し、若しくはその他の方法により実演し、又はそのような実演に関して芸
術的に協力する者をいう。 第74条 実演芸術家としての承認 (1) 実演芸術家は、自らの実演との関係において実演芸術家として承認されることについて、権利を有する。実演芸術家は、さらに、自らが挙名されるか否か、及びいかなる氏名によって挙名されるかについて、決定することができる。 (2) 二以上の実演芸術家が共同して実演を提供した場合において、個個の実演芸術家すべてを挙名することが均衡を失する失費を要するときは、当該実演芸術家は、芸術家の集団として挙名されることにかぎり求めることができる。この芸術家の集団が選出された代表者(理事)を置くときは、この者が、第三者に対して単独で利益を代表することについて権限を有する。集団が理事を置かない場合には、この権利は、その集団の長を務める者によって、そのような者を欠くときは、その集団から選出されるべき代表者によってのみ、行使することができる。関係人である実演芸術家のいずれかが個人的な挙名を求める権利は、特別な利益が認められる場合には、これによって妨げられない。 (3) 第10条第1項の規定は、ここに準用する。 第75条 実演の毀損 実演芸術家は、その実演の歪曲その他の毀損で、自らの実演芸術家としての声望又は評判を危うくすると評価されるものを、禁止する権利を有する。二以上の実演芸術家が共同して実演を提供した場合には、当該実演芸術家は、この権利を行使するにあたって、互いに相当なる配慮をしなければならない。 第76条 人格権の存続期間 第74条及び第75条に定める権利は、実演芸術家の死亡をもって消滅する。ただし、実演芸術家が、実演が行われた後50年を経過する前に死亡した場合には、当該権利は、第82条に基づき利用権について適用される期間を経過する前には消滅することなく、実演が行われた後50年をもってはじめて消滅する。この期間は、第69条に基づいて計算するものとする。二以上の実演芸術家が共同して実演を提供した場合には、関係人である実演芸術家のうち最後に残った者の死亡をもって、基準とする。実演芸術家の死亡の後は、権利は、その近親者(第60条第2項)に帰属する。 第77条 収録、複製及び頒布 (1) 実演芸術家は、その実演を録画物又はレコード盤に収録することについて、排他的権利を有する。 (2) 実演芸術家は、その実演が収録されている録画物又はレコード盤を複製し、又は頒布することについて、排他的権利を有する。第27条は、ここに準用するものとする。 第78条 公衆再生 (1) 実演芸術家は、その実演を次の各号に掲げる行為の対象とすることについて、排他的権利を有する。
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