第22条 【自己の肖像に関する権利】
肖像は、肖像本人の同意がある場合に限り、頒布し、又は公衆に展示することができる。肖像本人が、自らを描写させることにつき報酬を受けている場合において、疑いがあるときは、この同意は与えられたものとみなす。肖像本人の死後は、10年の期間が終了するまでの間、肖像本人の近親者の同意を要する。この法律の意味における近親者とは、肖像本人の生存配偶者又はパートナー及び子をいうものとし、配偶者、パートナー又は子のいずれも存しない場合には、肖像本人の父母をいうものとする。
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第23条 【第22条に対する例外】
(1) つぎの各号に掲げるものは、前条により必要とされる同意を得ることなく、頒布し、及び展示することができる。 |
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1. |
時事の領域に属する肖像 |
2. |
影像で、人物が風景その他の場所と並び専ら点景として登場するもの |
3. |
影像で、描写された人物が参加している集会、行進及びそれに類する出来事に関するもの |
4. |
嘱託によらずに作成された肖像で、その頒布又は展示が美術のより高度の利益に裨益するもの |
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(2) ただし、この権限は、頒布及び展示で、肖像本人の正当な利益又はその者が死亡の場合にはその近親者の正当な利益を損なうものには及ばない。
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第24条 【公共の利益による例外】
司法又は公共の安全を目的とするときは、当局は、肖像を、その権限を有する者及び肖像本人又はその近親者の同意を得ることなく、複製し、頒布し、及び公衆に展示することができる。
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第33条 【罰則】
(1) 第22条及び第23条の規定に違反して肖像を頒布し又は公衆に展示する者は、1年以下の自由刑又は罰金に処する。
(2) その行為は、告訴があるときにのみ訴追される。
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第37条 【廃棄】
(1) 違法に製作され、頒布され、又は上映に供された現物、及び、専ら違法な複製又は上映のために特定された装置で、型枠、印刷用の版、石版のようなものは、これを廃棄する。違法に頒布され、又は公衆に展示された肖像、及び、専らその複製のために特定された装置についても、同様とする。著作物の一部が違法に製作され、頒布され又は上映されたにすぎないときは、この部分及びそれに対応する装置の廃棄について、認めるものとする。
(2) 廃棄の対象は、現物及び装置で、製作、頒布、上映若しくは展示に関与した者又はこれらの者の相続人の所有にかかるすべてのものが、これにあたる。
(3) 廃棄は、製作、頒布、上映又は展示が、故意又は過失のいずれによることもなく行われるときも、認めるものとする。
(4) 廃棄は、それが所有者に対して確定した裁判をもって認められた後に、行われなければならない。現物又は装置が、廃棄によるとは異なる方法により除去することが可能であると認められる場合において、所有者がその費用を引き受けるときは、この方法が行われなければならない。
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第38条 【引取りの権利】
被害者は、廃棄に代え、現物及び装置を、その全部又は一部について、その製作費用と同額を上限とする相当なる報酬と引き換えに引き取る権利を自らに認めるよう、求めることができる。
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第42条 【民事又は刑事手続】
現物又は装置の廃棄は、民法上の争訟の方法により、又は刑事手続において、訴追することができる。
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第43条 【申請に基づく廃棄】
(1) 現物又は装置の廃棄は、刑事手続においても、被害者による個別の申請がある場合にのみ、これを認めることができる。
(2) 被害者は、現物又は装置の廃棄を、独立して訴追することができる。この場合において、刑事訴訟法第477条から第479条までの規定を、被害者が私的公訴人となり得ることを条件として、適用する。
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第44条 【引取りに対する権利】
第42条及び第43条の規定は、第38条に定める権利に関する訴追について準用する。
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第48条 【消滅時効】
(1) 著作物の違法な頒布又は上映を理由とする損害賠償を求める請求及び刑事訴追並びに肖像の違法な頒布又は展示を理由とする刑事訴追は、3年の時効によって消滅する。
(2) 消滅時効は、違法行為が最後に行われた日をもって開始する。
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第50条 【廃棄を求める申請】
現物及び装置につきそれらの廃棄を求める申請は、当該現物又は装置が現存する間は許される。
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第55条 【施行】
(1) この法律は、1907年7月1日をもって施行する。
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※訳注記 条の見出しを大亀甲で括ったのは、法律の原文には見出し表示を欠いていることによる。個々の見出し表示は、ドイツ連邦司法省が提供するテキストに拠った。
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