Home >> 外国著作権法 >> ベトナム編


     第3編 産業財産権

     (省略)第58条から第156条




     第4編 植物品種に対する権利

     (省略)第157条から第197条




     第5編 知的財産権の保護

     第16章 知的財産権の保護についての総則


    第198条 自己の権利の保護

     自らの知的財産権を保護するためには、知的財産権の主体は、以下の手法を採用する権利を有する。

    a)  知的財産権侵害を防ぐための技術的手法を採用すること。

    b)  知的財産権侵害行為を行う組織または個人に対して、当該侵害行為の停止、謝罪と訂正*57を公開の下に行い、損害賠償を請求すること。

    c)  管轄機関に対して、本法典又は他の関係のある法律の規定に基づき、知的財産権侵害行為の取り扱いを求めること。

    d)  自らの適法な権利を保護するために、裁判所において訴訟を提起し、または仲裁を申し立てること。

     知的財産権侵害行為によって損害を受けた組織、個人、消費者または社会に対する知的財産権侵害に対する侵害行為を発見した組織または個人は、管轄機関に対して、本法典または他の関係のある法律の規定に基づき、知的財産権侵害行為の取り扱いを請求する権利を有する。

     不正競争行為によって損害を受け、または損害を受ける可能性がある組織または個人は、管轄機関に対して、本法典第202条に規定された民事的救済方法および競争に関係する法律の規定に基づく行政的手法の適用を請求する権利を有する。


    *57 中国では、影響消除という概念の下、謝罪と自己批判が含まれる(ただし法律用語ではないようである)が、本項の訂正ないし「修正」は、自己批判のような反省を伴う内容を含まないようである。


    第199条 知的財産権侵害行為に対する取扱い手法

     他の組織または個人が保有する知的財産権の侵害行為を行う組織または個人は、侵害の性質、程度により、民事的手法、行政的手法、または刑事的手法によって扱われる。

     管轄機関は、必要な場合には、本法典および他の関係のある法律の規定に基づき、仮処分、知的財産権に関する輸出入物品の検査、輸入差し止め、または行政処罰確保*58を適用することができる。


    *58 行政罰と行政処罰確保は異なる。行政罰は罰金支払い(金額が安い)、行政罰確保は、当該組織の営業登録証明書一時的に取り上げることを指す。


    第200条 知的財産権侵害行為に対する取扱い権限

     裁判所、監査、市場管理部、税関、公安、各レベルの人民委員会は、自らの任務、権限範囲内で知的財産権侵害行為を取り扱う権限を有する。

     民事または刑事手続の適用は、裁判所の権限に属する。裁判所は、必要な場合に、法律の規定に基づき、仮処分を適用することができる。

     行政的措置の適用は、監査、公安、市場管理部、税関、各レベルの人民委員会の権限に属する。必要な場合、これらの機関は、法律の規定に基づき、差し止めと行政処罰確保を適用することができる。

     知的財産権に関する輸出入物品の検査は、税関(海関)の権限に属する。


    第201条 知的財産をめぐる鑑定

     知的財産をめぐる鑑定とは、知的財産権の侵害に関する問題を評価し、結論を得るために、権限を有する組織または個人が専門的な業務にかかる知識を活用することである。

     知的財産権の侵害行為を取扱い管轄機関は、自らが受理している案件を解決するために、知的財産権についての鑑定を請求する権利を有する。

     知的財産権の保有者、その他関係のある組織および個人は、自らの適法な権利を保護するために、知的財産権についての鑑定を請求する権利を有する。

     政府は、知的財産権をめぐる鑑定活動を具体的に規定する。



     第17章 民事手法による知的財産権侵害行為にかかる取扱い


    第202条 民事的手法

     裁判所は、知的財産権侵害行為を行う団体および個人に対して、以下の民事的手法を適用する。

     侵害行為の停止の強制

     謝罪広告、公開による訂正の強制

     民事上の債務の履行の強制

     損害賠償の強制

     知的財産権保有者の権利を害することなく、知的財産権を侵害する物品を生産しまたは取引することに用いられる物品・原材料・機器等を廃棄し、又は営利目的なしに配布または使用する強制


    第203条 当事者の証明についての権利義務

     知的財産権侵害の訴訟における訴えを提起した者、訴えを提起された者は、民事訴訟法典第79条および本条の規定に基づき、証明する権利義務を負う。

     訴えを提起する者は、以下の証拠によって、自らの知的財産権の権利主体性を証明する。

    a)  著作者権利登録証明書、関連権登録証明書または保護証書の複写、著作者の権利および関連権の国家登録簿、または保護証書の国家登録簿の複本、保護される種苗の国家登録簿の複本。

    b)  著作者の権利登録証明書または関連権の権利登録証明書がない場合には、著作者の権利関連権の発生根拠を証明するために必要な証拠、また営業秘密、著名な商標に対する権利を証明するために必要な証拠になる。

    c)  契約に基づく利用権が譲渡されたときには、知的財産権の対象の利用契約の複写

     訴えを提起した者は、知的財産権侵害行為または不正競争についての証拠を提出しなければならない。

     生産プロセスの発明に関する特許権に対する権利侵害訴訟においては、訴えを提起された者は、自らの製品が以下の場合に保護されたプロセスと違うことを証明しなければならない。

    a)  保護される当該プロセスによって生産される製品が、新規である場合。

    b)  保護される当該プロセスによって生産される製品が新規ではないが、特許権者は、訴えを提起される者が自ら保護されるプロセスによって生産される製品と判断し、適当な手法を使用したのに、訴えを提起される者が使用するプロセスを確定できないと主張する場合。

     自らの要求を証明するための適当な証拠は相手が支配しているので、接近できないと証明できる一方当事者が存する知的財産権侵害訴訟には、支配している相手がその証拠を裁判所に対して提出するように求める請求権を有する。

     損害賠償の請求がなされた場合、訴えを提起した者は、現実に生じた損害を証明しなければならず、本法典第205条の規定に基づき、その主張の根拠を特定しなければならない。


    第204条 知的財産権侵害によって生じた損害の決定に関する原則

     知的財産権侵害行為により生じた損害には、以下のものを含む。

    a)  物質的損害は、財産の喪失、収入又は利潤の減少、取引機会の損失、損害を防止しまたは損害を防止または回復するための合理的な費用を含む。

    b)  精神的損害は、名誉、品格、声望の損失、また文学芸術学術の著作者、実演家、特許・意匠・回路配置デザイン、種苗の創作者に対する他の精神的損害を含む。

     損害の程度は、知的財産権侵害行為により実際に生じて、知的財産権の保有者が負担しなければならない損害に基づいて確定される。


    第205条 知的財産権侵害行為により生じた損害の賠償程度を確定する根拠

     訴えを提起した者は、知的財産権侵害行為が、自身に物質的損害を生じたと証明できる場合に、以下の根拠に基づき、裁判所に対して、賠償範囲の決定を請求する権利を有する。

    a)  訴えを提起した者の利益減額分を総物質損害に含まないときは、金額で計算された物質的損害額に加えて、侵害行為によって訴えを提起された者に生じた利益と決定された総物質損害。

    b)  訴えを提起される者が当該対象を利用する権利の譲渡を受けたと仮定して、実施した侵害行為に応じる範囲内に知的財産権の対象の利用権移転契約に基づく譲渡価格

    c)  本項aまたはbに規定された根拠に基づき、損害賠償の範囲を確定できない場合、裁判所は、損害の程度により物質的損害賠償を決定するが、5億ドンを超えない。

     訴えを提起する者は、知的財産権侵害行為が自身について精神的損害を受けたと証明できるときに、裁判所に対して、損害賠償の範囲は損害の程度により500万ドンから5000万ドンまでの範囲で賠償程度を決定し請求する権利を有する。

     本条の1項・2項に定められた損害賠償以外に、知的財産権保有者は、裁判所に対して知的財産権侵害行為を行った組織または個人に対して、合理的な弁護士費用を計算することを請求する権利を有する。


    第206条 裁判所に対する仮処分の申し立て*59

     訴えを提起すると同時か、または訴えを提起した後に、知的財産権の主体は、以下の場合において、裁判所に対して仮処分を申し立てることができる。

    a)  知的財産権の主体に対して、回復不可能な損害が生じるおそれがある場合。

    b)  もし適切な時期に保護されなければ、知的財産権侵害と主張されている物品または知的財産権侵害行為に関する証拠が散逸し、または破壊されるおそれがある場合。

     裁判所は、本条1項に定められた知的財産権の主体の請求に従って、仮処分が適用される相手方の意見を聞く前に、仮処分の適用を決定する。


    *59 ベトナム語は、「裁判所に対する仮処分(臨時緊急手法)適用の請求権」という用語が用いられている。おそらく、証拠保全と仮処分は未分化である。


    第207条 仮処分の諸手法

     以下に定められる仮処分の諸手法は、知的財産権侵害と主張されている物品または当該物品の生産・取引の原材料および手段に対して適用される。

    a)  押収

    b)  差押え

    c)  密閉、現状変更禁止、移動禁止

    d)  所有権移転の禁止

     他の仮処分手法については、民事訴訟法典の規定に基づいて適用される。


    第208条 仮処分適用申し立て者の義務

     仮処分適用を申し立てる者は、本法典第203条2項に定められている資料、証拠によって、本法典第206条1項の規定に基づき、仮処分の申し立てをすることができる地位を有することにつき、証明義務を負う。

     仮処分を適用された相手方が、知的財産権を侵害しない場合には、仮処分適用申し立て者は、当該相手に生じる損害を賠償する義務を負う。この義務の履行を担保するため、仮処分適用を申し立てる者は、以下の方法で保証金を積まなければならない。

    a)  仮処分が適用される物品の価値の20%に相当する金額、または当該物品の価値を確定できない場合は、2000万ドン。

    b)  銀行または他の信用機関の保証証拠書類。


    第209条 仮処分適用の停止

     民事訴訟法第122条1項に定められている場合、または仮処分を適用された者が仮処分適用に適切な根拠がないと証明できる場合、裁判所は、適用された仮処分の効力停止決定を発行する。

     仮処分の適用を停止する場合に、裁判所は、仮処分適用を申し立てる者に対して、本法典第208条2項に定められている保証金の返却を検討しなければならない。適切な根拠がなく仮処分適用を申し立てたために仮処分を適用された相手方に対して損害が生じた場合に、裁判所は、申し立て者に対して損害賠償を命じる*60


    *60 2項後段は、損害を受けた相手方に対する損害賠償を命じるという意味と推測されるが、ベトナム語には、賠償の相手方が誰かということを明記する規定がないようである。


    第210条 仮処分適用の権限、手続

     仮処分適用権限と手続は、民事訴訟法第8章第1節に基づき、実施される。



     第18章 行政的・刑事的手法における知的財産権侵害の取扱い;知的財産に関する輸出入物品の支配と監督

    第1節 行政的・刑事的手法における知的財産権侵害行為の取扱い

    第211条 行政処罰により取り扱われる知的財産権侵害行為

     以下の知的財産権侵害行為は、行政処罰において取り扱われる。

    a)  消費者または社会に損害を与える知的財産権侵害行為

    b)  知的財産権の主体が、書面によって侵害行為の停止を請求したのに、知的財産権侵害行為を停止しない場合

    c)  本法典第213条の規定に基づき、知的財産権侵害物品または偽装品を生産し、輸入し、運搬し、販売すること、または他人にこれらの行為を行わせること。

    d)  保護されている商標、地理的表示の同一または混同させるほど類似している商標または地理的表示を付した物品を生産し、輸入し、運搬し、販売すること、または他人にこれらの行為を行わせること。

     政府は、具体的に行政的手法において取り扱われる知的財産権侵害行為に対する取り扱いの形式、程度、および手続について規定する。

     知的財産に関する不正な競争行為を行う団体、組織、個人は、競争に関する法律の規定に基づき、行政的手法において取り扱われる。


    第212条 刑事的手法により取り扱われる知的財産権侵害行為

     犯罪構成要素を満たす知的財産権侵害行為を行う個人は、刑事法の規定に基づき、刑事責任を追及される。


    第213条 知的財産偽装物品

     本法典に基づく知的財産偽装物品は、本条2項に定めている、商標又は地理的表示の偽装物品(以下、単に商標偽装物品という)または、本条3項に規定された違法に複製された物品を含む。

     商標偽装物品とは、商標保有者または地理的表示の管理組織に許諾を受けないで、同一の物品に利用されている保護を受ける商標、地理的表示の同一、または特別に区別しにくい商標または地理的表示を付した物品、ないし物品の包装である。

     違法に複製される物品は、著作者、著作権または関連権の主体から許諾を受けていない複製物である。


    第214条 行政処罰と行政救済

     本法典第211条1項に定められた知的財産権侵害行為を行う組織または個人は、侵害行為停止を強制され、加えて、以下の主な処罰の対象となる。

    a)  警告

    b)  罰金

     侵害の性質、程度により知的財産権を侵害した組織または個人は、以下の補充的方法を認める可能性がある。

    a)  知的財産権侵害物品または侵害物品の生産または取引において用いられる重要な原材料、機器等の押収。

    b)  侵害を行った範囲内にかぎった*61、期間を定めた営業活動の停止。

     本条1項・2項に定められた処罰手法以外に、知的財産権侵害を行った組織または個人は、以下の一つまたは複数の救済の対象となる。

    a)  知的財産権主体の権利の利用を害することなく、知的財産権の偽装物品、知的財産権の偽装物品を生産しまたは取引することに用いられる主要な原材料・機器等を廃棄し、又は営利目的なく配布しまたは使用させること。

    b)  ベトナムを経由した知的財産権侵害物品に対して、ベトナム国外への搬出を強制すること、または、知的財産権の偽装物品、知的財産権の偽装物品を生産し取引に用いられるために、輸入された機器、原材料に対して、物品における侵害要素を取り除いた後に、再輸出させること。

     本条の1項bに定められた罰金は、少なくとも、発見された物品の価値と同一額か、多くとも、発見された物品の価値の5倍を超えない額とする。
     政府は、侵害物品の価値の確定方法を具体的に規定する。


    *61 侵害行為企業の営業全体を停止するのではなく、侵害品のみという趣旨。


    第215条 侵害停止制度と行政処罰確保の手法

     以下の場合に、組織または個人は、本条2項に定められる、期間を定めた侵害停止および行政処罰確保を管轄機関に対して申し立てることができる。

    a)  消費者または社会に甚大な損害を与えるおそれがある知的財産権侵害行為

    b)  その侵害行為を証明する証拠物件が散逸されるおそれがあり、または侵害した組織または個人が責任を免れる兆候がある場合

    c)  行政処罰決定を実施するためである場合

     知的財産権の侵害行為に対して行政手続に基づき取り扱われる侵害禁止および行政処罰確保の手法は、以下を含むものとする。

    a)  人を拘禁すること

    b)  侵害物品、証拠物件、侵害手段を差し押さえること

    c)  関係する個人について、検査すること

    d)  運搬手段、侵害物品を検査し、または知的財産権侵害物品以外の証拠物件、手段を留置する場所を検査すること

    dd)  行政侵害処分に関する法律の規定に基づく行政的な侵害停止手段



    第2節 知的財産に関する輸出入物品の検査

    第216条 知的財産に関する輸出入物品の検査手法

     知的財産に関する輸出入物品の検査の手法は、以下を含む。

    a)  知的財産権を侵害するおそれがある物品に対して、臨時に税関手続を停止すること

    b)  知的財産権侵害の証拠がある物品を発見するため、検査または監察すること

     知的財産権を侵害するおそれがある物品に対する臨時的な税関手続停止とは、知的財産権の主体が、権利侵害の停止請求権を行使して仮処分または差し止め、行政処罰の確保を請求するため、当該物品群に関する情報、証拠の収集を目的とする知的財産権主体の請求に基づき行われる手続である。

     知的財産権を侵害する証拠がある物品を発見するための検査または監察とは、臨時の税関手続停止請求権を行使するための情報収集を目的とする知的財産権の主体の申立てに基づいて行われる手法である。

     本条2項および3項に規定された手法を実施する際、本法典第213条の規定に基づく知的財産の偽装物品を発見すれば税関機関は、本法典第214条および第215条の規定に基づき、行政手法の適用権限および責任を有する。


    第217条 知的財産に関する輸出入物品の検査手法の適用を請求する者の義務

     知的財産に関する輸出入物品の検査手法を請求する者は、以下の義務を負う。

    a)  本法典第203条2項に定められた資料および証拠により自分が知的財産権主体であると証明すること

    b)  知的財産権侵害のおそれがある物品を確定するため、または知的財産権を侵害する証拠がある物品を発見するために十分な情報を提供すること

    c)  法律の規定に基づき、税関機関に申請書を提出し、料金を支払うこと

    d)  検査された物品が知的財産権を侵害しない場合には、検査手法を適用された者に対して損害を賠償し、発生した費用を支払うこと

     本条1項dに規定された義務履行を確保するため、臨時的な税関手続の停止を請求する者は、以下の一つの形式で、保証金を提供しなければならない。

    a)  臨時に税関手続停止手法の適用が必要である物品群の価値の20%に相当する金額または当該物品の価値を確定することが出来ない場合は、2000万ドン

    b)  銀行又は他の信用機関の保証書


    第218条 臨時の税関手続の停止手法適用手続

     臨時の税関手続手法を請求する者は、本法典217条に規定されている義務を十分に履行した場合、税関機関は当該物品群に対して臨時的な税関手続停止決定を発行する。

     臨時の税関手続停止の期間は、決定を発行する日から10営業日の間である。ただし、請求者が、正当な理由を有する場合には、この期間を延長することが出来るが、臨時に税関手続停止手法を請求する者は、本法典第217条2項に記載された保証金の追加納付を条件として、20営業日を超えない範囲に限る。

     本条2項に規定された期間が満了した際には、臨時の税関手続停止手法を請求する者が民事訴訟を開始せず、かつ税関機関は当該物品群を輸出入する者に対して行政違反手続きに基づく事件受理を決定しない場合には、税関機関は以下の責任を有する。

    a)  当該物品群に対して税関手続を続けること

    b)  臨時の税関手続停止を請求する者に対して、物品群の所有者に対する誤った臨時の税関手続停止の請求による損害を賠償し、法律の規定に基づき、税関機関または他の関連する機関、組織、または個人に留置・物品の保管の費用またはその他の発生した費用の支払いを強制すること

    c)  損害賠償または本項bに定められた費用の支払いがなされた後、臨時の税関手続停止手法を請求した者に対して、残余の保証金を返還すること


    第219条 知的財産権侵害の証拠のある物品を発見するための検査、監察

     知的財産権の主体が知的財産権侵害の証拠を発見するための検査、監察を請求する場合には、知的財産権侵害の証拠を発見した際、税関機関はその者にすぐ通知しなければならない。通知された日から3営業日以内に、請求者は証拠が発見された物品群に対して、臨時の税関手続停止手法を請求せず、税関機関が本法典第214条および第215条に定められた行政取扱い手法の適用を決定しない場合には、税関機関は当該物品群に対して、税関手続を続ける責任を有する。




     第6編 施行条項


    第220条 経過規定

     本法典が有効になる日以前に有効であった法規範文書の規定に基づいて保護され、本法典が有効になる日に保護期間が残存する著作者の権利、関連権は、本法典の規定に基づき保護が継続される。

     本法典が有効になる日以前に管轄機関に提出された著作者の権利、関連権、特許、実用新案、意匠、商標、地理的表示、集積回路*62、種苗の登録申請書は、提出された時点に有効であった法規範文書の規定に基づき取り扱われる。

     保護証書を発行した時点において有効であった法規範文書の規定に基づいて判断されるべき保護証書を無効とする根拠についての規定を除き、本法典が有効になる以前に有効であった法律の規定に基づき発行された保護証書に基づく権利義務、および当該保護証書に関する維持・延長・変更・利用権移転・権利譲渡・紛争解決手続は、本法典の規定が適用される。

     営業秘密、地理的表示、商号に対する産業財産権の保護および産業財産権に関する不正競争防止権の保護は、2000年10月3日に発行された政府54/2000/ND-CP号デクレ*63に基づき存続し、保護されている営業秘密、商号は、本法典の規定に基づき保護が継続される。

     本法典が有効になる日から、本条4項の規定に基づいて保護されている地理的表示を含む地理的表示は、本法典の規定に基づき登録された場合にのみ保護される。


    *62 集積回路の用語法が4条4項と異なるが、同義であろう。起草担当部局が異なっていたために生じた齟齬と思われる。
    *63 デクレは、法規範文書の形式の一つで、内閣が定めるもの。国会の議決による法律と実質的に違いはなく、その意味では、同デクレはベトナムにおける実質的著作権法であった。


    第221条 施行

     本法典は、2006年7月1日より施行される。


    第222条 施行

     政府、最高裁判所は、本法典について具体的に規定し、施行を指導する。



    国会議長
    NGUYEN VAN AN




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