第6章 著作隣接権の集中管理制度のあり方について
    (我が国の実態)
    著作隣接権の集中管理は、指定(管理)団体制度の対象となっている商業用レコードの二次使用料、商業用レコードの貸与報酬等及び私的録音録画補償金に係る権利の行使の場合を除き、実演及びレコードの分野で実施されている。実演の場合は、日本芸能実演家団体協議会が商業用レコードに係る貸与権や放送番組等に係る実演の利用を中心に著作隣接権の処理を実施しているほか、他の団体においてもいくつかの事例が見られるが、限定的な利用に関する権利処理の場合が多い。また、レコードの場合は、日本レコード協会がレコードの放送番組等への録音及び当該放送番組等の二次利用について著作隣接権の処理を行っているが、これは極く限られた利用に対し行われているだけであり、原則は各レコード製作者等の個別管理である。

    なお、実演家の権利については、著作権法では、俳優などの実演家の許諾を得て一旦実演が映画の著作物に録音・録画されると、出演契約等で以後の実演の利用に関し取り決めをしておかない限り、当該映画の複製、放送等の二次利用については権利が働かないことになっているので(第91条第2項、第92条第2項)、集中管理の対象としては放送番組、生実演等の二次利用に限られている。

    また、プロダクション所属の俳優、歌手等の実演家については、当該プロダクションが権利を管理しているのが一般的であるが、所属の実演家とプロダクションの間の契約は多種多様のようであり、音楽出版者と著作者との契約と同様の譲渡契約の場合、権利行使を委任する場合など様々である。

    (法的基盤整備の必要性)
    商業用レコードの二次使用料を受ける権利等に係る指定(管理)団体制度のあり方については、次章で検討することとし、ここではそれ以外の著作隣接権の集中管理について検討することとする。

    著作隣接権は、著作権と同様に無体財産であり、もともと管理が難しい権利であるが、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、映像作品、レコードなどの視聴覚作品の利用による実演等の二次利用が今後益々増加し、利用者も広がると予想されることから、我が国において著作隣接権を取り扱う集中管理団体が健全に発展することは、著作隣接権の保護及び実演等の利用の円滑化に資するものと考えられる。

    その意味で、第5章の著作権の集中管理制度のあり方で検討した法的基盤整備の必要性に関する考え方については、著作隣接権の集中管理においても原則として同様であり、将来的には著作隣接権分野における集中管理団体についての法的基盤整備が必要となる可能性は高い。

    しかしながら、著作隣接権制度はまだ歴史も浅く、現時点において、著作隣接権の集中管理に規制を及ぼすことについては、次のような問題点があると考える。
    実演家の権利については、映画の著作物に録音・録画された実演に関し前述のような特別の取扱いがされている。映像作品に係る実演の二次利用の対価については、集中管理されている著作隣接権(録音・録画権)の許諾の対価としての使用料の場合と著作隣接権は働かないが契約上の追加報酬である場合の二通りが考えられるが、現行の契約実態としては、例えば放送局以外の番組製作者が製作した放送番組について、その点の法律上の解釈が関係者間で必ずしも一致していない実態がある。仮に制度として著作権の集中管理と同様の取扱いをした場合、例えば使用料規程の制定義務、審判所への裁定等の申請などの点で、使用料規程に盛り込むべき事項かどうか、審判所へ申請すべき事項かどうかなどの点で、権利者側と利用者側との間で紛争になる可能性があり、規制を導入することにより、かえって現行の集中管理に係る実務が混乱するおそれがあること
    実演及びレコードの著作隣接権に係る集中管理については、他の集中管理団体との共同行使による権利処理が多いが、このような権利処理については、放送番組の有線による再送信や放送番組のビデオ化の中でも聴覚障害者向けの字幕ビデオの製作など公益性・公共性のある限定的な利用に対処するために行われることが多く、個々の権利者へ分配することが不可能なほど使用料も極端に低額であることから、本来規制の対象にするのは問題があること
    著作隣接権の集中管理の多くは、指定団体である日本芸能実演家団体協議会及び日本レコード協会が指定団体としての業務と併せて実施しているのが実態であり、特にレコードの分野では日本レコード協会の業務以外に集中管理の実態はない。指定団体が行う著作隣接権の集中管理については、現行著作権法による指定団体業務に関する一定の規制の間接的効果として、業務の適正化は確保されていると考えられ、当該指定団体制度が継続する限りにおいては、これらの団体に別途の規制を及ぼす実益は乏しいと考えられること
    以上の点から、著作隣接権の集中管理について、著作権の場合と同様の措置をすることは現時点において問題が多く、将来における法律解釈や契約慣行の定着、権利行使の実態等について見定めた上で、改めて法的基盤整備の問題について検討すべきであると考える。

    なお、ア、イ及びウについては、規制導入を留保する理由とはならず、著作隣接権の場合についても、著作権の場合と同様の措置を講じるべきであるとの意見があった。



    第7章 指定団体制度等のあり方
    (現行制度)
    前述したとおり、著作権法上、次の権利(以下「私的録音録画補償金受ける権利等」という)については、文化庁長官が指定する団体がある場合は当該団体によってのみ権利行使ができることになっている。
    私的録音録画補償金を受ける権利(第30条、第102条、第104条の2)
    商業用レコードの二次使用料を受ける権利(第95条、第97条)
    商業用レコードの貸与報酬を受ける権利(第95条の2、第97条の2)
    なお、貸与権の許諾に係る使用料を受ける権利については指定団体による行使ができる

    (指定団体等による権利行使の義務化)
    私的録音録画補償金を受ける権利等は、著作者、実演家又はレコード製作者に認められた権利であるが、
    これらの権利は著作物等の利用の諾否を決めることができる許諾権ではなく、著作物等の利用が行われた場合に利用者に報酬等を求めることができる報酬請求権であること
    個々の権利者の直接行使を認めた場合、支払い側である録音録画機器等の購入者、放送局、貸レコード業者等の事務処理の負担が大変煩雑で過大なものとなること
    対象となる利用行為は著作物等を大量に利用するものであり、またどの著作物等をどれだけ利用したかの把握が困難又は不可能であることから、報酬等は収入の一定金額等の包括処理にならざるを得ないこと
    などから、個々の権利者が自ら権利行使をすることは事実上不可能であり、個々の権利者に与えられた報酬請求権を有効に生かし、かつ権利者との報酬等の額に関する交渉等に係る権利者及び利用者双方の事務的負担を軽減するためには、これらの権利の行使について、指定団体等による行使を法律上義務付けることに異論はないと考える。

    (複数団体の適否)
    したがって、制度の問題としては、指定団体等が独占的に権利行使をすることの適否、換言すれば複数の指定団体等の適否である。
    複数団体による権利行使については、前述したようにこの分野の特殊性から、次のような問題がある。
    私的録音録画補償金については、著作権法上、補償金の区分ごとに一つの団体を指定することになっており、また指定管理団体がある場合は権利者の意思にかかわらず強制的に権利を管理することになっているので、当該団体が全権利者に係る補償金を徴収することになっている。また、商業用レコードの二次使用料及び貸与報酬については、法律上は指定団体は一つに限ることになっていないので、指定団体は権利者からの委託があった場合にのみ権利行使できることになっているが、実際は非委託者の取り分も含め使用料を徴収し、非委託者からのクレームは指定団体が責任を持って対応するという慣行ができている。制度改正により、または別の団体の指定により複数団体による権利行使が可能となった場合は、指定(管理)団体は受託を受けた権利者の権利だけを行使することになるが、この場合、指定(管理)団体に権利を委託しない者の権利が有効に生かされず、かえって権利保護に欠ける制度になる可能性がある。
    報酬等の額の算定については、現状では、例えば収入の一定率、レコード1枚当たりの金額、機器又は記録媒体1個当たりの金額など包括的に報酬等を決めざるを得ないので、交渉の煩雑さや報酬等の支払いの簡便さを考えれば、権利者・利用者双方にとって単一団体による行使が最も合理的・効率的である。
    報酬等の分配については、現状では、大量の著作物等が利用されていることから、サンプリング調査や他の利用形態における分配資料に基づき分配せざるを得ず、しかも関係権利者の数も膨大になることから、経費負担等の観点から、単一団体による分配が最も合理的・効率的である。
    以上の点から、指定(管理)団体制度については、規制緩和政策等の観点から、複数団体による権利行使を認めるべきであるとの意見もあるが、複数団体を認めることの利点は乏しいと考えられ、権利の保護と権利処理の円滑化の両面から、現行の制度又は制度の運用を維持することが適当であると考える。



    第8章 その他の集中管理に関する問題
    緩やかな規制を前提とし、集中管理団体の複数団体化の容認等の新しい集中管理制度の導入に伴い、今後重要となるであろう集中管理に関連する以下のいくつかの運用上の問題も含めて検討を行った。

    1 著作権等の集中管理と権利情報の集中管理
    (J-CIS構想)
    我が国では、前述したように現在関係者間で著作権権利情報集中システム(J-CIS)の構築に向けての検討が進められている。このJーCIS構想は、情報化の進展に対応した著作権問題について審議している著作権審議会マルチメディア小委員会が、平成5年11月に公表した第一次報告書ーマルチメディア・ソフトの素材として利用される著作物に係る権利処理を中心としてーにおいて提言したものであり、円滑かつ簡便な権利処理のため、多様な分野の著作物にかかわる権利所在情報を統合し、それらの利用者に一つの窓口で提供するシステムである。また、この構想の実現については文化庁においても支援することとしており、平成7年度からは調査研究費を計上し、平成10年度からは科学技術庁とも連携して、構想の具体化について検討をしているところである。

    (権利情報の集中提供化の推進)
    著作物等の利用が多様化しつつある現在、個別許諾方式による権利処理で対応可能な利用については、著作権等の集中管理による権利処理システムの整備だけでなく、一方で権利情報の集中提供化により、著作権等の個別管理がより有効に機能するような制度の整備も重要となっている。今後、ネットワークを通じた著作物等の流通において「権利認証機関」の位置付けが問題となると考えられるため、検討にあたっては、この動きにも留意しながら進めることが適切である。

    また、集中管理制度の改正により、集中管理団体の複数化が認められると規制対象の集中管理かどうかにかかわらず、どの著作物が又はどの権利がどこの集中管理団体で管理されているのかを明らかにする必要がある。そうしないと、利用者は著作物を利用する場合、どの団体に利用の申込みをすればよいのか迷うことになる。制度の改正に当たって規制対象の集中管理団体に利用者等に対する管理著作物・著作権に関する情報提供を義務付けることとしたのは、利用者の便を図ることが理由の一つであるが、規制対象とならない非一任型の団体等についてもJ-CISに積極的に参加するよう働きかける必要がある。

    2 文化目的、社会目的等の共通目的基金の創設
    (我が国の法制及び実態)
    著作権法では、私的録音録画補償金制度に関し、指定管理団体は、徴収した私的録音録画補償金(第104条の第1項の機器等の購入の際の一括の支払いの場合に限る)の2割以内で政令で定める割合(現在は2割)に相当する額を「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」のために支出することを義務付けている(第104条の8)。

    これは、第104条の4第1項の一括の支払いの場合は、第30条第2項の利用行為ごとの徴収の場合と異なり、どの著作物等をどれだけ複製したかにかかわらず包括の一回の補償金で済み、しかも一回支払えば機器等が何年又は何回利用されてもそれ以上支払う必要がないこと、分配精度に限界があることなどから、全ての補償金を分配対象とするのは適当でなく、権利者全体の利益となるような事業に支出することにより、一種の間接的な分配を行うことが適切であるとの趣旨から設けられた規定である。

    我が国の実態としては、私的録音補償金を徴収している(社)私的録音補償金管理協会が、前述の法律の定めに従い徴収額の20%を控除し共通目的基金として活用している。

    この他、日本芸能実演家団体協議会においては、商業用レコードの二次使用料収入等の10%を控除し共通目的基金として、事業助成等に利用している実態がある。

    (外国の法制及び実態)
    私的録音録画補償金の分野では我が国を始め、フランス、オーストリアなどいくつかの国は法律により補償金からの控除による共通目的事業を認めている。また、法律上の規定がない場合であっても、ドイツなどのように任意の拠出金として控除を行っている国もある。

    法制の例としては、フランスでは、レコードの二次使用料のうち分配不能金額の50%を、また私的録音録画補償金のうち25%を創作援助活動、生の興行の普及及び芸術家養成活動に使用しなければならないことになっている(第321の9条)。

    また、著作権協会国際連合(CISAC)で作成している演奏権管理協会間の相互管理標準契約書では、自己の会員の使用料から控除している場合に限り、外国団体への送金分から、協会が行う会員救済及び文化振興事業のために最大10%の控除が可能となっている。この制度を採用している団体としては、スペインのSGAE、スイスのSUISAなどがある。また、例えばイギリスのPRSは、会員の分配額から10%控除を行う一方で、外国団体への送金分については10%控除をしてくる団体への送金分に限り同率の控除を行い、会員の福利厚生事業の原資にしている。さらに、例えばフランスのSACEM、ドイツのGEMAについては会員の分配額に限り一定率の控除を行い文化事業等に使用している。

    (共通目的基金のあり方)
    共通目的基金の問題に言及する前に、著作権等は私権であるので、集中管理団体の徴収した使用料は、管理手数料を控除した後、合理的な分配方法により個々の委託者に分配されるのが原則であることを、まず確認する必要がある。

    それを前提にして、分配されるべき金額からの一定額を控除し共通目的基金を創設することについては、次の2つの原則が遵守される必要があると考える。
    著作権等は私権であるので、控除はあくまでも委託者の承認に基づいて行われる必要があること
    控除の割合、控除した金額の用途などの控除に関する重要事項については、委託者又は委託者の代表が参加する機関によって決定されること
    アについては、法律により共通目的基金のための控除が義務付けられている私的録音録画補償金の場合を除き、委託者の承認がない控除は認められないということである。控除を実施する場合は権利者と集中管理団体の間で結ばれる委託契約又は委託契約約款の中で共通目的基金のための控除について規定を定めておく必要がある。集中管理団体の総会又は理事会の決議による控除についても、委託者が分配額から一定の控除がなされることがあり得ることを了承した上での決議である場合を別にして、認められない。なお、委託者が控除を拒否した場合に控除が認められないのは言うまでもない。

    イについては、共通目的基金は、集中管理団体である権利者団体が委託者である会員のため又は著作者、実演家等の全体の利益のために実施する場合に限られるということであり、株式会社等である集中管理団体が行う控除は一般に認められないと考えるべきである。控除の割合は、我が国及び外国の慣行から10%以下が適当である。

    ただし、実演家に係る商業用レコードの二次使用料については、著作権法上は、商業用レコードに録音されている演奏、歌唱等の実演に係る実演家に与えられた権利であるが、権利の創設の趣旨としては、レコードの普及によりレコードに録音されている実演家かどうかにかかわらず実演の機会が失われたことに対する補償いわゆる機械的失業に対する補償としての意味合いが強いことから、比較的高率の控除が認められると考えるべきである。控除した金額の用途については、共通目的基金の性格上おのずと制限があると考えられるが、具体的には共通目的基金を有する権利者団体の定款等に反しない事業であれば問題ないと考える。

    3 著作権等に係る登録制度の整備
    著作権法上、登録は、実名の登録(第75条)、第一発行(公表)年月日等の登録(第76条)、創作年月日の登録(第76条の2)、著作権の登録(第77条)、出版権の登録(第88条)及び著作隣接権の登録(第104条)がある。このうち、著作権の登録、出版権の登録及び著作隣接権の登録は、著作権等の移転、出版権の設定、著作権等を目的とする質権の設定など権利の変動がおこった場合の第三者対抗要件の登録である。

    なお、コンピュータプログラムに係る登録については、著作物の特殊性に鑑み、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律(昭和61年法律第65号)が制定され、登録原簿を磁気テープ等で調製できること(第2条)、プログラムの著作物の複製物の提出を義務づけていること(第3条)などのほか、文化庁長官が指定する指定登録機関により登録業務を行わせること(第5条)ができることが定められている。

    現在、プログラムの著作物については、ソフトウェア情報センターが、その他の著作物については文化庁が登録業務を行っている。

    仲介業務法の規制対象の集中管理団体は、全て信託により著作権の管理を行っているのが現状であるが、例えば音楽の場合、現在は日本音楽著作権協会が独占的に著作権を管理していることから、一般に二重信託の問題は生じず、著作権等の集中管理の分野では、登録制度はほとんど活用されていないのが現状である。

    しかしながら、同一分野に集中管理団体がいくつかできた場合、委託者は、委託先を変えることが可能になり、また株式会社等の集中管理団体の場合であれば、例えば経営状況の悪化等により委託者に無断で委託された権利が処分される危険性があるなど権利の管理を巡って様々な問題が生じる可能性が出てくるため、権利保全のための登録制度が活用される可能性が広がると考えられる。

    登録制度が活用されるようになると登録の件数が増加することになるが、登録事務の専門性に鑑み専門家を配置することやプログラムの著作物と同様登録事務を外部委託することも含め今後登録事務処理の体制の強化が必要となってくると考えられる。

    また、電子取引の普及により、コンピュータ技術とネットワーク技術を利用した許諾システム等の構築に伴い、登録の有無や権利の所在等に関する照会回答を電子的に行うシステムも構想されているが、そのようなシステムの実用化に備えて、例えば現在のバインダー方式の帳簿により登録原簿を作成しているのを電子的な方法により登録原簿を調整できるようにするなど制度の見直しを行う必要がある。

    4 集中管理団体における職員の資質の向上
    集中管理団体が増加することなどにより、当該業務に従事する職員の数も増加すると考えられるが、規制対象の集中管理かどうかにかかわらず、集中管理業務に従事する職員は著作権に関する正確な知識が必要であり、また、実務についての知識も要求される。著作権管理業務従事者に対する資質向上のための研修については、各集中管理団体で独自に実施しているほか、音楽出版社協会やコンピュータソフトウェア著作権協会が著作権管理者養成講座を実施している例がある。また、文化庁においては、全国7か所で著作権に関する基礎知識を身に付けてもらうため著作権セミナーを開催しているところである。

    集中管理団体の健全な発展を確保するためには、当該団体で働く職員の資質の向上が不可欠であるのは言うまでもない。集中管理に関する制度改正を経て、集中管理団体の新規参入が進むと事業者の中には、組織の規模や財政的な面で、著作権に関する教育研修を実施できない事業者も出てくる可能性があるので、例えば事業者団体において又は複数の事業者が協力して研修会を実施するなど、職員の資質の向上を図る方策を考えるべきである。

    5 集中管理団体協議会(仮称)の設立
    規制緩和により参入規制が緩やかになり、また業務の運営についても集中管理団体の自主性が尊重されるようになると、国の指導監督により業務の健全性を維持するのではなく、個々の集中管理団体の自助努力により、権利者・利用者からの信頼を確保していくことがより重要となる。この場合、個々の集中管理団体の努力だけでは限界があるのは当然であり、例えば、職員のため基礎的な研修の実施、委託契約約款・利用契約約款作成例の研究、著作物使用料規程の作成例の研究などについては、特定の集中管理団体のためではなく集中管理業務全体の利益のために実施すべき事項であると考える。したがって、どの程度の新規参入があるかは不明であるが、ある程度の新規参入がある場合については、集中管理団体で組織する集中管理団体協議会(仮称)を設立し、この協議会を核にして、集中管理団体全体の問題について取り組み、集中管理業務の健全な発展に資するための事業を行うことが望ましい。
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